(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
図1は、コンベア1の概略側面図である。
図1に示すように、このコンベア1の上流側にプールコンベア90が設けられ、コンベア1の下流側に包装装置95が設けられている。プールコンベア90はローラーコンベア、ベルトコンベア又はチェーンコンベアである。作業者が複数の棒状物品2をプールコンベア90に供給すると、これら棒状物品2が横に倒れた状態でプールコンベア90によってコンベア1に供給される。コンベア1に供給された棒状物品2は、1本ずつ、コンベア1によって、棒状物品2の軸線方向(
図1の紙面に垂直な方向)に直交する方向(
図1中の左から右へ向かう方向)に包装装置95へ搬送される。このコンベア1から包装装置95に搬送された棒状物品2は、包装装置95の搬送機によって
図1の紙面の垂直方向に搬送されて、包装装置95によって包装材にパッケージされる。
【0014】
コンベア1は堰止板11、傾斜ガイド板21、水平ガイド板23、ガイド25、ブラシローラ29、一対のスプロケット31〜35、一対の無端チェーン36、駆動モーター37、複数の搬送棒40及び調整機構50等を備える。
【0015】
堰止板11は、プールコンベア90の終端91の下方において起立した状態に設けられていて、コンベア1の機枠に固定されている。この堰止板11は、プールコンベア90の終端91の下方の位置から下流側(
図1中の右側)に向かって下り勾配になるように設置されている。プールコンベア90からコンベア1に供給された棒状物品2は、堰止板11によって堰き止められて、堰止板11よりも下流側(
図1中の右側)に群集する。
【0016】
傾斜ガイド板21は、水平面に対して傾斜するとともに、下流側に向けて上りに傾斜する。この傾斜ガイド板21は、堰止板11の下方を上流側から下流側へ跨ぐように配設されている。傾斜ガイド板21と堰止板11の下端との間には、隙間12が存在する。
水平ガイド板23は、傾斜ガイド板21の上端から下流側に向かって水平に延出している。
【0017】
傾斜ガイド板21と水平ガイド板23は一体化されており、水平ガイド板23が傾斜ガイド板21に対して傾斜している。つまり、板状部材が曲げ加工されることによって、その曲折部22よりも上流側の部分が傾斜ガイド板21となり、その曲折部22よりも下流側の部分が水平ガイド板23となる。傾斜ガイド板21及び水平ガイド板23の上面が棒状物品2の搬送経路となり、棒状物品2がこれら傾斜ガイド板21及び水平ガイド板23上を上流側から下流側へ搬送される。傾斜ガイド板21と曲折部22と水平ガイド板23がシームレスであるので、棒状物品2がスムーズに搬送される。
【0018】
水平ガイド板23はコンベア1の機枠に固定されており、これによって傾斜ガイド板21がコンベア1の機枠に支持されている。傾斜ガイド板21及び曲折部22が弾性変形可能であり、その弾性変形により傾斜ガイド板21が曲折部22を支点として傾動可能に設けられている。つまり、傾斜ガイド板21が曲折部22を支点として振り上げられたり、振り下げられたりするよう傾動する。傾斜ガイド板21の傾斜角が後述の調整機構50によって調整されることによって、傾斜ガイド板21と後述の搬送棒40との間隔が調整される。なお、傾斜ガイド板21の下端から上端までの高さと比較して、傾斜ガイド板21の傾動角が小さく、傾斜ガイド板21の傾動は傾斜ガイド板21の平行移動とみなしてもよい。
【0019】
堰止板11の上方には、ブラシローラ29が設けられている。ブラシローラ29は傾斜ガイド板21に対向する位置に配置されていて、傾斜ガイド板21から離れている。ブラシローラ29の軸は傾斜ガイド板21の幅方向(
図1の紙面の垂直方向)に対して平行である。ブラシローラ29はモーターによって矢印Bの向きに回転駆動される。
【0020】
傾斜ガイド板21の下端部の幅方向(
図1の紙面の垂直方向)両側には、一対のスプロケット31が配置されている。傾斜ガイド板21と水平ガイド板23との間の曲折部22の幅方向両側には、一対のスプロケット32が配置されている。水平ガイド板23の下流側端部の幅方向両側には、一対のスプロケット33が配置されている。水平ガイド板23の幅方向両側且つ水平ガイド板23の下方には、一対のスプロケット34及び一対のスプロケット35が配置されている。スプロケット34はスプロケット35よりもスプロケット33寄りに配置され、スプロケット35はスプロケット34よりもスプロケット32寄りに配置されている。
【0021】
一対のスプロケット31は、幅方向に間隔を置いて同軸となった状態で、コンベア1の機枠に回転可能に取り付けられている。一対のスプロケット32〜35についても同様である。
【0022】
スプロケット31〜35には無端チェーン36が掛け渡されている。無端チェーン36は上流端においてスプロケット31によって折り返され、下流端においてスプロケット33によって折り返され、中流においてスプロケット32によって方向転換される。
【0023】
無端チェーン36のうちスプロケット31からスプロケット32までの部位36aは、傾斜ガイド板21と堰止板11の下端との間の隙間12を通って、更に傾斜ガイド板21とブラシローラ29との間の隙間を通って、傾斜ガイド板21に沿って上りに傾斜している。
無端チェーン36のうちスプロケット32からスプロケット33までの部位36bが水平ガイド板23に沿って水平に設けられている。
無端チェーン36のうちスプロケット33からスプロケット31までの部位36cがスプロケット34,35によって押し上げられることによって、無端チェーン36のテンションが調整されている。
【0024】
スプロケット31〜35のうち少なくとも1つ(例えばスプロケット31)が駆動モーター37に接続され、駆動モーター37によって無端チェーン(ローラーチェン)36が周回される。無端チェーン36の周回の向きは、スプロケット31からスプロケット32を経由してスプロケット33に向かう向きである。
【0025】
無端チェーン36には、複数本の搬送棒40が取り付けられている。これら搬送棒40は、無端チェーン36の連続方向に等間隔で配列されているとともに、両側の無端チェーン36の間に架け渡されている。そのため、無端チェーン36が駆動モーター37によって周回されると、搬送棒40がスプロケット31からスプロケット32に向かって傾斜ガイド板21上を上り方向へ移動した後、搬送棒40はスプロケット32からスプロケット33に向かって水平ガイド板23上を水平方向に移動する。
【0026】
水平ガイド板23の下流側には、水平ガイド板23の下流側部位の上方から水平ガイド板23の先方にかけて湾曲したガイド25が設けられている。ガイド25が水平ガイド板23から離間しており、搬送棒40が水平ガイド板23とガイド25との間を通過する。
【0027】
ここで、堰止板11の下端と傾斜ガイド板21との間の隙間12に着目すると、搬送棒40がその隙間12を順次通過する。搬送棒40がその隙間12を通過する毎に、堰止板11よりも下流側にプールされた棒状物品2の群集3のうち1本がその通過した搬送棒40と次の搬送棒40との空間41に収容される。以下、隣り合う搬送棒40の間の空間41を収容空間41という。
【0028】
収容空間41に収容された棒状物品2は、他の棒状物品2の群集3から抜け出て(
図1の矢印A参照)、傾斜ガイド板21によってガイドされることによって傾斜ガイド板21を上るように下流側へ搬送される。その後、傾斜ガイド板21の上端まで搬送された棒状物品2が水平ガイド板23によってガイドされて、水平ガイド板23上を下流側へ搬送される。水平ガイド板23の下流側端部まで搬送された棒状物品2はガイド25によってガイドされて落下し、包装装置95の搬送機に供給される。
【0029】
群集3の棒状物品2の数が減ったら、プールコンベア90が駆動されて、複数の棒状物品2が群集3に補充される。ここで、プールコンベア90のオンオフは、作業者によって手動で制御される。或いは、センサによって群集3の棒状物品2が検出されている場合には、プールコンベア9が停止され、センサによって群集3の棒状物品2が検出されなくなったら、プールコンベア9が作動する。
【0030】
ところで、傾斜ガイド板21に沿って移動する搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔が狭いと、収容空間41が浅い(ここで、収容空間41の深さとは、傾斜ガイド板21に沿って移動する複数の搬送棒40に外接する平面からガイド板21までの距離のことをいう)。一方、傾斜ガイド板21に沿って移動する搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔が広いと、収容空間41が深い。
【0031】
収容空間41の深さが棒状物品2の径と比較して大きく異なると、隣り合う搬送棒40の間に収容された棒状物品2や搬送棒40には他の棒状物品2が引っ掛かってしまい、他の棒状物品2が不意に搬送されてしまう虞がある。例えば、棒状物品2の径と比較して収容空間41が浅いと、棒状物品2が収容空間41から突出してしまう(
図4参照)。そのため、隣り合う収容空間41に収容された棒状物品2の間に更に他の棒状物品2が収まって、一緒に搬送されてしまう(
図4参照)。
一方、棒状物品2の径と比較して収容空間41が深いと、隣り合う搬送棒40の間に収まった1本の棒状物品2の周囲のスペースが広くなる(
図6参照)。そのため、そのスペースに他の棒状物品2が収まってしまい、これら棒状物品2が搬送されてしまう(
図6参照)。
【0032】
そこで、本実施形態では、棒状物品2の径に合わせて収容空間41の深さを適切に調整するために、傾斜ガイド板21に沿って移動する搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔を手動式の調整機構50によって調整可能としている。
【0033】
図2を参照して、調整機構50について詳細に説明する。
図2に示すように、傾斜ガイド板21の下方にベース板51が配置されていて、そのベース板51はコンベア1の機枠に固定されている。ベース板51にはねじ軸61,71が貫通するように設けられ、これらねじ軸61,71がベアリングによってベース板51に回転可能に取り付けられている。ねじ軸61,71は、無端チェーン36のうちスプロケット31からスプロケット32までの部位36aに対して垂直であるとともに、その部位36aに設けられた搬送棒40に対しても垂直である。
【0034】
傾斜ガイド板21の下面にナット60,70が固定され、ねじ軸61,71の先端がナット60,70によって噛み合い、ねじ軸61,71と傾斜ガイド板21が略直交する。ナット60,70は傾斜ガイド板21に固定されており、ねじ軸61,71の回転によって傾斜ガイド板21がねじ軸61,71の軸方向に移動する。ナット60は隙間12の裏側に配置され、ナット70は隙間12から上方に離れた位置に配置されている。
また、ナット60は、ブラシローラ29に対向する位置よりも下方の裏側に配置されている。ナット70は、ブラシローラ29に対向する位置よりも僅かに下方の裏側に配置されている(
図1参照)。但し、ナット70は、ブラシローラ29に対向する位置の裏側に配置されてもよいし、ブラシローラ29に対向する位置よりも上方の裏側に配置されてもよい。
【0035】
ねじ軸61,71の他端に傘歯車62,72が設けられていて、傘歯車62,72が傘歯車63,73に噛み合う。傘歯車63,73は、コンベア1の機枠に回転可能に取り付けられたシャフト64,74によって傘歯車65,75に直結されている。傘歯車65,75は傘歯車66,76に噛み合う。傘歯車66,76は、コンベア1の機枠に回転可能に取り付けられたシャフトによってハンドル67,77に直結されているとともに、そのシャフトによって回転角計(回転角ゲージ)68,78に直結されている。回転角度計68,78は、ハンドル67,77の回転角を測定して、表示するものである。
【0036】
以上のような調整機構50を用いて、傾斜ガイド板21に沿って移動する搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔を調整することができる。
具体的には、作業者がハンドル67,77を一方に回転させることによって、ねじ軸61,71がナット60,70に対して緩むように回転する。そうすると、ナット60,70及び傾斜ガイド板21がベース板51から離間するよう移動する。これにより、傾斜ガイド板21に沿って移動する搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔が狭くなる(
図3参照)。
一方、作業者がハンドル67,77を他方に回転させると、ねじ軸61,71がナット60,70に対して締まるように回転する。そうすると、ナット60,70及び傾斜ガイド板21がベース板51に近づくように移動する。これにより、搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔が広くなる(
図2参照)。
【0037】
以上のように、ハンドル67,77の回転により傾斜ガイド板21の位置を調整して、収容空間41の深さを棒状物品2の直径にほぼ等しく調整する。こうすることによって、1つの収容空間41につき2本の棒状物品2が収容されることもないし、隣り合う収容空間41に収容された棒状物品2の間に更に他の棒状物品2が収まることもない。従って、収容空間41に収容された棒状物品2以外の棒状物品2が不意に搬送されることを防止できる。この効果についてより具体的に説明する。
【0038】
棒状物品2が大径であることによって、棒状物品2が収容空間41から大きく突出する場合には(
図4参照)、作業者がハンドル67,77を回転させて、搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔を広げる(
図5参照)。そうすることによって、収容空間41の深さを棒状物品2の直径にほぼ等しくする。そのため、
図5に示すように、収容空間41に収容された棒状物品2以外の棒状物品2は、収容空間41に収容された棒状物品2に引っ掛かり難くなる。それゆえ、収容空間41に収容された棒状物品2以外の棒状物品2が不意に搬送されることを防止できる。
一方、棒状物品2が小径であることによって、棒状物品2が収容空間41に大きく引き込んでしまう場合には(
図6参照)、作業者がハンドル67,77を回転させて、搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔を狭くする(
図7参照)。そうすると、
図7に示すように、収容空間41の深さが棒状物品2の直径にほぼ等しくなり、収容空間41に収容された棒状物品2以外の棒状物品2が不意に搬送されることを防止できる。
【0039】
なお、ハンドル67,77のうち一方のみを回転させることによって、搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔を調整してもよいし、ハンドル67,77の両方を回転させることによって、搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔を調整してもよい。また、ハンドル67,77の回転方向を逆にして、ナット60,70のうち一方を搬送棒40に近づけて、他方を搬送棒40から離間してもよい。
【0040】
ところで、搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔の調整に些細な不備があると、収容空間41に収容された棒状物品2以外の棒状物品2が不意に搬送されることが時々ある。その場合、不意に搬送された棒状物品2は、回転するブラシローラ29によって払い落とされる。搬送棒40と傾斜ガイド板21との間隔の調整に不備があるとはいえ、その不備は些細なものであるので、ブラシローラ29によって払い落とされずに通過する棒状物品は無い。
【0041】
ここで、ブラシローラ29の毛材の硬さ(弾性係数)や材質は棒状物品2に対して適切なものとされている。そのため、不意に搬送された棒状物品2はブラシローラ29によって確実に払い落とされ、更にブラシローラ29によって傷つくこともない。
【0042】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を上記実施形態に限定して解釈するものではない。また、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態から変更或いは改良してもよく、本発明にはその等価物も含まれる。以下に、上記実施形態からの変更点について幾つか説明するが、以下に説明する幾つかの変更点を可能な限り組み合わせてもよい。
【0043】
(1) 上記実施形態における無端チェーン36を無端のタイミングベルトに変更し、スプロケット31〜35をタイミングプーリーに変更してもよい。
【0044】
(2) 上記実施形態では、調整機構50が手動式であったが、モーター等の動力源により動作するものでもよい。つまり、具体的には、傘歯車66,76にモーターの出力回転軸が直結され、傘歯車66.76がモーターによって駆動されることによって、傾斜ガイド板21が搬送棒40に対して接離してもよい。
【0045】
(3) 上記実施形態では、傾斜ガイドが板状のガイド板21であり、水平ガイドが板状のガイド板23であったが、これらがレール(棒体)であってもよい。この場合、傾斜ガイドレールと水平ガイドレールが1本に連なっている。更に、複数の傾斜ガイドレール及び複数の水平ガイドレールが
図1の紙面に垂直な方向に間隔を置いて配列されている。
【0046】
(4) 上記実施形態では、調整機構50は、2箇所で、つまり、ナット60,70の位置で傾斜ガイド板21と搬送棒40との間隔を調整するものであった。それに対して、調整機構50は、1箇所で傾斜ガイド板21と搬送棒40との間隔を調整するものであってもよいし、傾斜ガイド板21と搬送棒40との間隔を調整するものであってもよい。つまり、調整機構50の歯車機構は2体に限るものではない。
ここで、調整機構50が1箇所で傾斜ガイド板21と搬送棒40との間隔を調整する場合、その調整箇所はブラシローラ29に対向する位置よりも上流側(下方)にある。調整機構50が2箇所以上で傾斜ガイド板21と搬送棒40との間隔を調整する場合、少なくとも1つの調整箇所がブラシローラ29に対向する位置よりも上流側(下方)にある。これにより、ブラシローラ29よりも上流側において、収容空間41に収容された棒状物品2以外の棒状物品2の不意な搬送の頻度が低下する。そのため、不意に搬送された棒状物品2をブラシローラ29によって払い落とす頻度が低下する。
【0047】
(5) 上記実施形態では、調整機構50は歯車機構を利用したものであったが、リンク機構、スライダリンク機構、シリンダ・ピストン機構等の機械要素を利用したものでもよい。また、ハンドル又は動力源から傾斜ガイド板21までの動力伝達に油圧・空気圧などを利用してもよい。