【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年3月4日に加茂暁星高校にて、平成31年3月5日に中越高等学校、帝京長岡高等学校にて、平成31年4月15日に加茂暁星高校、渋谷教育学園渋谷中学高等学校、富士見丘中学高等学校、都立青山高校、國學院高等学校、東海大付属望星高校、代々木中学校、笹塚中学校にて、平成31年4月16日に白金の丘学園にて、令和1年8月29日に株式会社ガッコム本社にて、ウェブサイト(http://grandscenery.net/2019/04/15gs−case−ご使用方法/)にて、本件発明者の瓦井健太郎が発明した携帯デバイスケースについて公開した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術では、携帯デバイスケースに携帯デバイスを収納して、紐や樹脂製チャック等によって携帯デバイスの挿入口を閉じるようにしているため、簡単に開けることができ、携帯デバイスを取り出して使用することができるものである。従って、携帯デバイスの使用を禁止するという目的に対しては、不十分なものであった。
【0005】
そこで、本開示は、携帯デバイスを収納した状態においては、携帯デバイスの取り出しを確実に制限することが可能な携帯デバイスケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下によって把握される。
(1)携帯デバイスケースであって、携帯デバイスを収納するケース本体と、前記ケース本体に施錠し、前記ケース本体に収納された携帯デバイスの取り出しを制限するロックと、を有し、前記ケース本体が、携帯デバイスを出し入れする開口部と、前記開口部の近傍にあり、前記ケース本体を貫通するロック孔部を有し、前記ロックが、前記ロック孔部を貫通するロック部材と、前記ロック部材を装嵌して前記ケース本体を施錠するロック部材受け部と、を有する。
(2)上記(1)において、前記ケース本体は、少なくとも前記開口部を有する辺と隣り合う2辺の外周部が相互に縫合された縫合部を有し、前記縫合部は、前記2辺の外周部のうち少なくとも1辺の外周部の前記縫合部が人間の素手で抜脱することができるように構成されている。
(3)上記(1)又は(2)において、前記ケース本体は、開口部を形成する少なくとも2枚の前記シート材のそれぞれにおいて、前記開口部の近傍に、人間の手の指で把持する把持部を有する。
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記2辺の外周部において、第1外周部の縫合部の強度が、第2外周部の縫合部の強度より弱く構成されている。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記第1外周部と第2外周部の縫合部が、異なる縫合方法により縫合されている。
(6)前上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記ケース本体は、前記把持部が、前記把持部以外の部分より強度が高く構成されている。
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記ロックは、前記ケース本体に装着された状態で前記把持部を把持することができるように構成されている。
(8)上記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記ロックは、前記ケース本体に装着された状態で前記ロック孔部を中心にして前記第2外周部の方向に揺動し、前記第1外周部の近傍の前記把持部を拡大することができるように構成されている。
(9)上記(8)において、前記開口部を有する辺は、前記開口部を有する辺の外周部において、前記ロック孔部の中心付近の位置から前記第2外周部までが円弧形状で構成されている。
(10)上記(1)から(9)のいずれかにおいて、前記縫合部は、少なくとも1辺の縫合部が、5kgfから30kgfの範囲で定められた基準力以上の力が作用した場合に抜脱するように構成されている。
(11)上記(1)から(10)のいずれかにおいて、前記縫合部は、少なくとも1辺の縫合部が、10kgfから20kgfの範囲で定められた基準力以上の力が作用した場合に抜脱するように構成されている。
(12)上記(1)から(11)のいずれかにおいて、前記ロックの施錠状態を解除する、ロック解除具を有する。
(13)上記(1)から(12)のいずれかにおいて、前記ロックが、磁力の作用で施錠状態を解除するように構成されており、前記ロック解除具が、磁場を発生することにより前記ロックの施錠状態を解除する。
(14)上記(1)から(13)のいずれかにおいて、前記ケース本体が、前記ケース本体に収納された携帯デバイスの通信用電磁波を遮断しないシート材により構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、携帯デバイスを収納した状態においては、携帯デバイスの取り出しを確実に制限することが可能な携帯デバイスケースを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯デバイスケース50のケース本体1を示す斜視図である。
図1を用いて、ケース本体1について説明する。
ケース本体1は、2枚のシート材2a、2bで構成されている。シート材2a、2bは、例えば、布生地等で構成され、
図1に示すように、方形に半円形を追加した同形状をしている。2枚のシート材2a、2bは、補強のため、外周部4(4a、4b、4c、4d、4e)をテープ状の縁取りでくるまれ、方形部分の外周部4(4a、4b、4c)の3辺を縫合部3a、3b、3cでシート材2a、2bを一体として縫合することで携帯デバイスDを収納する収納部5を形成している。
一体としては縫合されていない半円形状の重ね合わせ部7a、7bは、半円形の外周部4d、4eをそれぞれ個別に縁取りとともに縫合され、開閉が可能に構成されており、開閉の支点となる半円形の直線部分である開閉支点部9a、9bの内側に携帯デバイスDを出し入れする開口部8を形成している。
図1において、重ね合わせ部7a、7bには、幅方向のほぼ中央で開口部8の近傍の同じ位置に、重ね合わせ部7a、7bを貫通するロック孔10a、10bが設けられている。ロック孔10a、10bは重ね合わせ部7a、7bを重ねた状態でも一体的に貫通した状態になっている。
本実施形態では、半円形状の重ね合わせ部7a、7bを設けているが、これらが無い形状であってもよい。例えば、シート材2a、2bが方形であり、その3辺を一体的に縫合し、縫合していない1辺を開口部8とする構成であり、開口部8の近傍であって、幅方向の中央付近にロック孔10a、10bをシート材2a、2bを貫通するように設ける構成であってもよい。
【0011】
以上の説明において、ケース本体1は、2枚のシート材2a、2bで構成されているが、これに限定されるものではない。
例えば、方形の1枚のシート材を2つ折りにし、折った辺を底辺として、底辺に垂直な2辺の外周部を縫合し、底辺に対向して平行な辺を縫合しないことで、この縫合しない辺を開口部としたケース本体1を構成することができる。
さらに、方形の相互に対向する両辺に半円形を追加した形状のシート材を、半円形部分が重なるように2つ折りにし、同様に底辺に垂直な2辺の外周部を縫合し、半円形側は縫合しないことで、開口部を有するケース本体1を構成することができる。
いずれも、開口部に隣り合う2辺を縫合することで、ケース本体1を構成している。
これらの場合、補強のため、周辺部にテープ状の縁取りを合わせて縫合することができる。
【0012】
図2は、本発明の実施形態に係る携帯デバイスケース50のケース本体1への携帯デバイスDの挿入を示す図である。
図2を用いて、ケース本体1への携帯デバイスDの挿入方法について説明する。
ケース本体1に、携帯デバイスDを装入する際は、重ね合わせ部7a、7bをそれぞれ外側に開き、その間に携帯デバイスDを差し込む。携帯デバイスDは、重ね合わせ部7a、7bにガイドされて開口部8に入り、さらに装入することで収納部5に収納される。
【0013】
図3は、本発明の実施形態に係る携帯デバイスケース50に携帯デバイスDを収納し、施錠した状態を示す図である。
図3において、収納部5に携帯デバイスDを収納した後、重ね合わせ部7a、7bを重ねて一体状態にする。すると、重ね合わせ部7a、7bに設けられたロック孔10a、10bが丁度重なり、貫通した状態になる。ロック孔10a、10bを両方通してロック20を掛けて施錠する。
施錠された状態では、重ね合わせ部7a、7bを開くことができないため、開口部8から携帯デバイスDを取り出すことができなくなる。
【0014】
図4は、本発明の実施形態に係る携帯デバイスケース50のロック20の施錠動作を示す図である。
図4を用いて、ロック20の施錠動作について説明する。
図4(a)は、ロック20の解錠状態を示す図である。
ロック20は、可動部22と固定部27から構成されている。可動部22には、ロック部材収納部23の中に、ロック部材25が収納されている。ロック部材25は、金属製のピンで構成され、先端が尖っている。解錠状態では、ロック部材25は、先端も含めて全体がロック部材収納部23の中に収納されている。固定部27は、ロック部材25が装嵌して施錠状態を構成するロック部材受け部28を有している。ロック部材受け部28には、ロック部材25が装嵌する穴部29が設けられている。
この状態で、ケース本体1の重ね合わせ部7をロック部材収納部23とロック部材受け部28の間に挿入し、重ね合わせ部7に開けられたロック孔部10をロック部材受け部28の穴部29と合わせて設置する。
【0015】
図4(b)は、ロック20を解錠状態から施錠状態にする過程を示す図である。
解錠状態において、押下部24を押すと、ロック部材収納部23の中に収納されているロック部材25が押下部24に連動して出てくる。
【0016】
図4(c)は、ケース本体1の施錠状態を示す図である。
図4(b)の状態から、さらに押下部24を押すと、ロック部材25が重ね合わせ部7に開けられたロック孔部10を貫通して、ロック部材受け部28の穴部29に装嵌される。重ね合わせ部7を可動部22と固定部27が挟持する状態で施錠動作が完了する。
施錠状態では、ロック部材25から重ね合わせ部7を抜くことができないため、ケース本体1に収納された携帯デバイスDを取り出すことができない。
【0017】
図5及び
図6は、本発明の実施形態に係る携帯デバイスケース50に収納された携帯デバイスDの取り出し手順を示す図である。
図5において、携帯デバイスDがケース本体1に収納され、ロック20により施錠されている。ロック20を解錠するには、ロック解除具30を用いる。
ロック解除具30は、ロック解除具本体31が円錐台形を成し、その中央にロック解除部32が円柱状の溝を形成している。ロック解除具本体31の底部外周には円盤状のフランジ部33がロック解除具本体31と一体的に設けられている。フランジ部33には、固定孔35が2個設けられており、必要に応じてロック解除具本体31を図示しない台等にねじで固定する。
ロック解除具30は磁石が内蔵されており、その周囲に磁場を発生している。
【0018】
ロック20は磁力の作用で施錠状態を解除するように構成されている。これにより、本実施形態において、ロック20は、ロック20のロック部材受け部28をロック解除具30のロック解除部32に挿入すると、ロック解除具30の発生する磁場による磁力の作用で、ロック20の施錠状態が解除されるように構成されている。
【0019】
図6は、ロック20が解錠状態になり、ロック部材25が、ケース本体1のロック孔部10から抜けた状態になっている。ロック20の施錠状態が解除されると、ロック20の可動部22が固定部27から離れ、押下部24が上がってロック部材25がロック部材収納部23の中に収納される。可動部22と固定部27に挟持されていた重ね合わせ部7が解放され、ケース本体1からロック20を外すことができる。
この状態では、重ね合わせ部7a、7bを開き、収納部5に収納されている携帯デバイスDを開口部8から取り出すことができる。
【0020】
図7は、本発明の実施形態に係る携帯デバイスケース50の把持部12,13を示す図である。
図8、
図9は、本発明の実施形態に係る携帯デバイスケース50の緊急時における携帯デバイスDの取り出し方法を示す図である。
図7に示すように、重ね合わせ部7には、開口部8の近傍において、ロック20の両側それぞれに、把持部12、13が形成されている。把持部12、13は、重ね合わせ部7a、7bのそれぞれに設けられており、重ね合わせ部7aには把持部12a,13aが、重ね合わせ部7bには12b、13bが設けられている。
【0021】
図8において、ケース本体1に携帯デバイスDを収納し、ロック20で施錠されており、この状態で重ね合わせ部7a、7bを開き、左手の親指と人差し指で把持部12aを挟持し、右手の親指と人差し指で把持部12bを挟持している。このように、ロック20をケース本体1に装着して施錠状態になっていても、把持部12を把持することができる。把持部13についても同様である。
【0022】
図7において、重ね合わせ部7a、7bの外周部4d、4eが円弧形状をしており、ロック20がロック孔部10を中心に第1外周部4a、第2外周部4cの方向に揺動することが出来るため、ロック20を第2外周部4cの方向に揺動した場合には、把持部12を拡げることができ、ロック20を第1外周部4aの方向に揺動した場合には、把持部13を拡げることができる。これにより、把持部12、13を把持し易くできるようになっている。
【0023】
施錠状態で、ロック解除具30が近傍になく、緊急で携帯デバイスDをケース本体1から取り出す必要が生じた場合には、
図8に示すように、重ね合わせ部7aの把持部12aを左手の指で把持し、重ね合わせ部7bの把持部12bを右手の指で把持し、相互に離れる方向に拡げる。
把持部12を把持して、一定以上の力で重ね合わせ部7a、7bを拡げると、
図9に示すように、シート材2a、2bの縫合部3aの縫合を抜脱できる。これにより、重ね合わせ部7に近い側から縫合部3aが開いていき、ケース本体1に収納された携帯デバイスDが取り出せる大きさの開口が形成され、この開口から携帯デバイスDをケース本体1から取り出す。このように、緊急時には、特別な器具や道具を使用することなく、人間が素手で縫合部を抜脱することができ、携帯デバイスDをケース本体1から取り出すことができる。なお、縫合部3aに限らず、把持部13を把持して、一定以上の力で重ね合わせ部7a、7bを拡げることで、縫合部3cにおいても同様に抜脱することができる。
【0024】
図10は、本発明の実施形態に係る携帯デバイスケース50のケース本体1の正面図、及び、縦断面図である。
図1示すように、シート材2a、2bは開閉支点部9a、9bから底付近まで縫合されているが、
図10で示す通り、シート材2a、2bはそれぞれ1枚である。
これに対して、重ね合わせ部7a、7bはシート材がそれぞれ2枚重なっており、
図1で示す通り、外周部4d、4eと開閉支点部9a、9bの上方近傍で縫合されている。このように、ケース本体1は、収納部5と比較して、重ね合わせ部7の強度が高くなっており、このような構成にすることにより、緊急時に重ね合わせ部7の把持部12、13を持ってシート材2a、2bの縫合部3a、又は、3cの縫合を抜脱しても、重ね合わせ部7が破損せずにこの作業ができるようになっている。
【0025】
次に、本実施形態に係る携帯デバイスケース50の運用について説明する。
スマートフォンに代表される携帯デバイスは、各学校等の教育機関において、大多数の生徒が保有し、生徒、教員、親等との連絡、様々なウェブサイトからの情報収集、あるいは音楽、動画の視聴やゲーム等、様々な用途に使用され、生徒が片時も手放せないツールになっている。一方、学校においては各科目の授業が主要な目的であるが、携帯デバイスに気を取られて生徒の集中力が散漫になり、授業の能率が低下するという問題が生じている。
【0026】
このため、携帯デバイスケース50は、例えば学校において、朝の登校時から休み時間、あるいは、下校時等の学校の指定時間までの間、生徒が携帯デバイスを使用できないようにすることを目的として使用される。
【0027】
朝の登校時に、生徒が校舎入口等でケース本体1とロック20を1つずつ受け取り、自分の携帯デバイスDをケース本体1に収納し、ロック20により施錠して、各自が保有する。これにより、ケース本体1から携帯デバイスDを確実に取り出すことができなくなるため、生徒は携帯デバイスDを使用することができない。
【0028】
昼休みや下校時等、学校が指定した時間になると、生徒は、携帯デバイスDが収納され、施錠されたケース本体1を教職員に渡す。教職員は、ロック解除具30を用いてロック20を解錠し、ケース本体1に収納された携帯デバイスDを生徒に返し、ケース本体1とロック20を回収する。回収した、ケース本体1とロック20は、次の登校時に生徒が1つずつ受け取り、携帯デバイスDを収納して施錠する。これを、毎日繰り返して、運用する。
【0029】
以上のように、本実施形態に係る携帯デバイスケース50を使用することにより、学校の指定時間に生徒が携帯デバイスDを使用するのを制限することができるため、生徒が授業に集中することができ、授業の能率が向上するという効果を得ることができる。
【0030】
次に、緊急時の運用について説明する。
災害発生時等の緊急時において、生徒が家族に連絡をする、学校が生徒の安否確認をする等、携帯デバイスDを使用することが必要になることが想定される。このような場合には、先に説明した通り、重ね合わせ部7の把持部12、又は、把持部13を把持してシート材2a、2bの縫合部3a、又は、3cの縫合を抜脱することで、携帯デバイスDをケース本体1から取り出すことができるため、生徒が緊急時に携帯デバイスDを使用することができる。
本実施形態では、ケース本体1の把持部12、又は、把持部13のどちらを把持しても、縫合を抜脱することができるため、緊急時に生徒がどこを把持したらよいかについて迷うことが無く、混乱しないようになっている。
【0031】
なお、本実施形態において、生徒が自己の力で縫合部3aの縫合を抜脱することができるようにするために、縫合部3aは、5kgf以上30kgf以下の力、さらに好ましくは、10kgf以上20kgf以下の力の範囲で定めた基準力以上の力が作用した場合に抜脱するように、縫合方法や縫合用の糸等を調整している。この縫合を抜脱する力は、弱過ぎると、意図しないで縫合部にほつれや破損が生じる等、縫合部の強度不足や耐久性不足になってしまう。逆に、強すぎると、力のない生徒が、自己の力で縫合部3aの縫合を抜脱することができない場合が生じ、緊急時の連絡等に支障が生じるおそれがある。このため、適切な基準力を設定し、これに適合した縫合方法や縫合用の糸等を選定している。また、シート材2が基準力より弱い力で破損しないように、適切な強度を有する材質や厚さ等を選定している。
【0032】
縫合部を所定の基準力以上の力が作用した場合に抜脱するように調整して管理するのには手間がかかる。このため、基準力で抜脱するような縫合部は、必要な範囲に限定することでこの手間を削減でき、製造コストを低減することができる。
以上の説明において、縫合部3a、3cは同じ強度で縫合され、把持部12、13のどちらを把持しても縫合部3a、又は、3cの縫合を抜脱することができる内容であった。
一方で、縫合部3a、3cのいずれか一方の縫合を抜脱することができれば、緊急時に携帯デバイスDをケース本体1から取り出すことができる。
図7において、第1外周部4aの縫合部3aの強度は、第2外周部4cの縫合部3cの強度より弱く縫合することができる。これにより、第1外周部4aの縫合部3aだけを、緊急時に縫合を抜脱する構成にすることができる。
この縫合部3aと3cの強度の違いは、縫合部3aと3cが異なる縫合方法により縫合されていることによって生じている。縫合方法の差異は、縫合のピッチ、使用する糸、縫合の回数である。
このように、縫合を抜脱することができる縫合部を第1外周部4aだけにした場合に、ケース本体1の形状が左右対称であると、生徒は縫合部3aと3cのどちらの縫合を抜脱するのか迷い、緊急時に混乱してしまう。
この混乱を防止するために、例えば、重ね合わせ部7の外周部4d,4eの形状を、把持部12側を略方形にし、把持部13側をロック孔部10の中心付近の位置から第2外周部4cまでを円弧形状にすることで、一見して第1外周部4aがわかるようにできる。そして、外周部4d,4eの把持部13側の形状を円弧形状にすることで、ロック20がロック孔部10を中心に第2外周部4cの方向に揺動することができ、第1外周部4aの近傍の把持部12が拡大し、生徒が把持部12を持ち易くすることができる。
また、ケース本体1の形状が左右対称の場合には、把持部12付近等に矢印等を印刷することで、生徒が把持部12及び縫合を抜脱することができる縫合部3aを認識することができる。
【0033】
また、ケース本体1は携帯デバイスDの通信用電磁波を遮断しない木綿、合繊、麻、絹、ウール等を素材とした布生地等のシート材2で構成されており、ケース本体1に携帯デバイスDを収納し、ロック20で施錠した状態であっても、携帯デバイスDは通信用電磁波の受信、送信ができ、生徒に家庭等から緊急連絡があった場合には、携帯デバイスDは電話を着信したことやメール等を受信したことを報知することができる。これにより、生徒は緊急連絡があったことを認識し、教職員にケース本体1を施錠しているロック20の解錠を依頼して、携帯デバイスDを取り出すことができ、緊急連絡先に連絡することができる。
【0034】
なお、本実施形態においては、ロック20の解錠はロック解除具30が発生する磁場による磁力の作用を用いて行う構成にしているが、これに限定されるものではない。例えば、いわゆる南京錠を鍵で解錠するものや、ダイヤル式の南京錠であって解錠する番号が変更できるものであっても、同様の機能を有する。
【0035】
以上説明の通り、本開示によれば、携帯デバイスDを収納した状態においては、携帯デバイスDの取り出し、使用を確実に制限することが可能な携帯デバイスケース50を提供することができる。
また、ケース本体1が、シート材を縫合して収納部5を形成しているため、緊急時には特別な器具や道具を使用することなく、人間が素手で縫合部を抜脱することで、携帯デバイスDをケース本体1から取り出すことができる。
さらに、緊急時において、電話を着信したことやメール等を受信したことを認識することが可能な携帯デバイスケース50を提供することができる。
【0036】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【解決手段】携帯デバイスケースであって、携帯デバイスを収納するケース本体と、ケース本体に施錠し、ケース本体に収納された携帯デバイスの取り出しを制限するロックと、を有し、ケース本体が、携帯デバイスを出し入れする開口部と、開口部の近傍にあり、ケース本体を貫通するロック孔部を有し、ロックが、ロック孔部を貫通するロック部材と、ロック部材を装嵌してケース本体を施錠するロック部材受け部と、を有する、携帯デバイスケースを提供する。