特許第6708914号(P6708914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ IKK株式会社の特許一覧

特許6708914機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法
<>
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000002
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000003
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000004
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000005
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000006
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000007
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000008
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000009
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000010
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000011
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000012
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000013
  • 特許6708914-機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6708914
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】機器類の装着用ベルト及び機器類の装着用ベルトの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A44B 18/00 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   A44B18/00
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-174243(P2019-174243)
(22)【出願日】2019年9月25日
【審査請求日】2019年9月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513220883
【氏名又は名称】IKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 節夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和英
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−019993(JP,A)
【文献】 特開2004−131109(JP,A)
【文献】 特開2001−169888(JP,A)
【文献】 特開2016−113135(JP,A)
【文献】 特開平09−206522(JP,A)
【文献】 特許第6083836(JP,B1)
【文献】 特開2005−220450(JP,A)
【文献】 特開2001−299791(JP,A)
【文献】 特開2013−233188(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3191180(JP,U)
【文献】 国際公開第2016/059838(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を発揮させるためのメッシュ状の多数の孔を有する細幅織編物とフック(雄部)やループ(雌部)を有する面ファスナーとを連結して、これら細幅織編物と面ファスナーとを重ね合わせて縫製するとともに、前記細幅織編物と面ファスナーとの間に、機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部が面ファスナー素材で構成されて取り付けられているか、又は、前記面ファスナーの延長部として、機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部が取り付けられており、機器類の係止部に前記先端締付け部が引っ掛けて折り返すとき、前記面ファスナーの部分では接合されるが、前記細幅織編物の部分では接合されないことを特徴とする機器類の装着用ベルト
【請求項2】
前記機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部は、前記メッシュ状の細幅織編物と前記面ファスナーとの連結部に幅広の基端側接触部が設けられ、その先端側は前記基端側接触部よりも幅狭に構成されており、その先端側の幅狭部分を機器類の係止部に引っ掛けて折り返して、前記幅広の基端側接触部に着脱させることを特徴とする請求項1記載の機器類の装着用ベルト。
【請求項3】
前記細幅織編物と前記面ファスナーとを連結するに際して、前記細幅織編物を二枚の面ファスナーで挟み合わせて縫製するとともに、前記機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部を前記二枚の面ファスナーで挟み合わせて縫製されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の機器類の装着用ベルト。
【請求項4】
前記面ファスナーは、前記細幅織編物と同じ幅を有する部分と前記先端締め付け部と同じ幅を有する部分を有して、前記1つの細幅織編物の両端に左右対称に2つ取り付けられており、前記機器類の2か所の係止部に前記先端締め付け部が各々引っ掛けられることを特徴とする請求項1記載の機器類の装着用ベルト。
【請求項5】
前記細幅織編物は、メッシュ状の多数の孔を有するとともに長手方向の両側端側に孔を有しない両側端縁部が設けられており、前記細幅織編物と前記面ファスナーを重ね合わせて縫製するとき、前記細幅織編物の孔を有しない両側端縁部に沿うようにして縫製されていることを特徴とする請求項1又は2記載の機器類の装着用ベルト。
【請求項6】
前記細幅織編物と前記面ファスナーとを連結するに際して、前記細幅織編物を二枚の面ファスナーで挟み合わせて縫製し、前記先端締付け部は前記細幅織編物と同じ厚みを有し、前記細幅織編物と隣接させるようにして前記二枚の面ファスナーで挟み合わせて縫製されているか、又は所定間隔を空けて前記二枚の面ファスナーで挟み合わせて縫製されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の機器類の装着用ベルト。
【請求項7】
伸縮性を発揮させるためのメッシュ状の多数の孔を有する細幅織編物とフック(雄部)やループ(雌部)を有する面ファスナーとを連結して、これら細幅織編物と面ファスナーとを重ね合わせて縫製するとともに、前記細幅織編物と面ファスナーとの間に、機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部が面ファスナー素材で構成されて取り付けられているか、又は、前記面ファスナーの延長部として、機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部が取り付けられた機器類の装着用ベルトを製造するに際して、前記細幅織編物は、多数の孔を有するとともに長手方向の両側端側に孔を有しない両側端縁部が設けられており、前記細幅織編物と前記面ファスナーを重ね合わせて縫製するとき、前記細幅織編物の孔を有しない両側端縁部に沿うようにして縫製することを特徴とする機器類の装着用ベルトの製造方法。
【請求項8】
前記細幅織編物と前記面ファスナーとを連結するに際して、前記細幅織編物を二枚の面ファスナーで挟み合わせて縫製し、前記先端締付け部は前記細幅織編物と同じ厚みを有し、前記細幅織編物と隣接させるようにして前記二枚の面ファスナーで挟み合わせて縫製するか、又は所定間隔を空けて前記二枚の面ファスナーで挟み合わせて縫製することを特徴とする請求項7記載の機器類の装着用ベルトの製造方法。
【請求項9】
前記機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部は、前記メッシュ状の細幅織編物と前記面ファスナーとの連結部に幅広の基端側接触部が設けられ、その先端側は前記基端側接触部よりも幅狭に構成されており、その先端側の幅狭部分とを幅広の基端側接触部の周縁部を縫製することを特徴とする請求項7又は8記載の機器類の装着用ベルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸器用のマスクを口や鼻に装着するときなどに使用する機器類の装着用ベルト(連結用ベルト)などに使用するメッシュ素材と面ファスナーとの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、呼吸器用のマスク(図8図9における機器類500)を口や鼻に装着するときなどに使用する医療用ベルトや、顎部と頭頂部の間を掛け渡して用いる機器類の装着用ベルトが使用されている。
しかし、従来の機器類の装着用ベルト200,300,400は、合成樹脂製やゴム製のものであり(図10)、長時間着用すると通気性が悪いために蒸れ易く、また伸びが悪いために寝返り等、顔を動かすとずれて外れることもあった。さらに機器類の装着用ベルト自体の耐久性の問題により、使用しているうちに機器類の装着用ベルトが伸びてしまい使用できなくなってしまうという問題点があった。
特許文献1は、睡眠中におけるいびきを防止する顎バンドに関するもので、顎と頭頂部との間に掛け渡す環状のバンドで形成され、編物で作られており、顎に掛ける部分と頭頂部に掛ける部分は幅広く掌程度の大きさで(その段落0024)、顎に掛ける部分が網目の集合によって形成される編物(メリヤス)によって作られているため、顎に掛かっている部分が顎の形状に沿って伸縮し、顎によく馴染むので、睡眠中に外れにくい(その段落0016,0018)、と記載されている。
また特許文献2は、いびきや無呼吸を防止するための頭部装着具に関するもので、使用者の後頭部に所定の長さで縦に配置した棒状弾性体と、該棒状弾性体が取り付けられた保持シートと、該保持シートの周辺を取巻くように取り付けられた帯状体と、該帯状体の顔面の両側の位置に所定の間隔で両端を取り付けられた一対の牽引体と、該一対の牽引体間に差し渡すように取り付けた伸縮可能なあご保持部材とを備えた頭部装着具であり(その段落0019)、前記保持シートが網状シートで形成されているため、使用者の頭部に密着する剛性(寸法安定性)を備え、かつ通気性を備えているので就寝中に発汗等で不快な感じを抱くことがない(その段落0024)、と記載されている。
特許文献3は、睡眠時に装着していびきの発生を抑制するいびき抑制具に関するもので、下顎保持帯部と上顎保持帯部とからなり、下顎保持帯部は、環状に形成され、頭頂部と下顎との間を掛け渡して装着される(その段落0015)。下顎保持帯部と上顎保持帯部を、例えば、ポリエステルとポリウレタン等とからなる素材で、伸縮性と共に、人に優しい柔らかな肌触り感を有する素材で形成することにより、フィット感のある肌触りが得られ、人が睡眠時に本考案のいびき抑制具を長時間装着しても、不快にならない(その段落0010)、と記載されている。
【0003】
そこで、本願出願人は、特許文献4と5を、既に提供している。すなわち、機器類の装着用ベルトが多数の孔が形成されたメッシュ素材からなる帯状部材で構成されているため、通気性がよく使用感が良好で、さらにストレッチ率が120〜300%に構成されているため、伸縮性がよく頭部や身体が動いてもずれたり外れたりすることがなく頭部にぴったりと固定されるものである。
【0004】
特許文献4は、本発明の顎固定用ベルト10,20は、頭頂部と顎との間に掛け渡して装着される顎固定用ベルトにおいて、第1の顎締め付けベルト3の端部と第2の顎締め付けベルト4の端部が重ね合わされて二重に形成された顔両端装着部2と、前記第1の顎締め付けベルト3の中心部の一縁部と前記第2の顎締め付けベルト4の中心部の他縁部が接合された顎先固定部1とからなるものであり、前記第1の顎締め付けベルトと前記第2の顎締め付けベルトは多数の孔が形成されたメッシュ素材からなる帯状部材で構成される特徴を有するものである。
【0005】
特許文献5は、人工呼吸器を顔の正面側に固定用バンドを使用して着脱する人工呼吸器装着用の固定具において、前記固定用バンド101は、額から頭部にかけて周方向に固定する額側固定用バンドと、口元から首部にかけて周方向に固定する口元側固定用バンドと、前記額側固定用バンドと前記口元側固定用バンドの中央位置に固定され、通気性の孔が形成された滑り止め部材(合成樹脂製のメッシュ素材)201を備えたことを特徴とする人工呼吸器装着用の固定具を提供している(図12)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−299791号公報
【特許文献2】特開2013−233188号公報
【特許文献3】実用新案登録第3191180号公報
【特許文献4】特許第6083836号公報
【特許文献5】再表2016/0598238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ある素材とある素材の連結には、一般的には接着剤を使用するが、単に接着剤を使用するだけでは、接着剤が溢れ出たりして綺麗な連結ができないことが多い。また、接着剤を使用しても、縫製が必要になることが多く(周縁部等)、接着剤を施した個所では、縫製を簡単に行うことができず、綺麗な縫製ができないという問題を有していた。
そして、多数の孔を有するメッシュ素材を装着用固定ベルトなどに使用するときは、伸縮性を保持する必要があるところ、その伸縮性が失われてしまうことも多かった。
また、装着用固定ベルトにおいては、その先端部に人口呼吸器などの機器類に引っ掛けて係止する先端締め付け部が設けられているものがあるが(合成樹脂製の面ファスナーが使用されることも多い)、これらを介してメッシュ素材と面ファスナーとを連結するときには、縫製では、綺麗に仕上げられないことが多かった。
【0008】
そこで本発明の目的は、メッシュ素材と面ファスナーとの連結において、面ファスナーのフック(雄部)やループ(雌部)が利用することで、メッシュ素材を簡単かつ綺麗に連結することができるメッシュ素材と面ファスナーとの連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、伸縮性を発揮させるためのメッシュ状の多数の孔を有する細幅織編物とフック(雄部)やループ(雌部)を有する面ファスナーとを連結して、これら細幅織編物と面ファスナーとを重ね合わせて縫製するとともに、前記細幅織編物と面ファスナーとの間に、機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部が面ファスナー素材で構成されて取り付けられているか、又は、前記面ファスナーの延長部として、機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部が取り付けられており、機器類の係止部に前記先端締付け部が引っ掛けて折り返すとき、前記面ファスナーの部分では接合されるが、前記細幅織編物の部分では接合されないことを特徴とする機器類の装着用ベルトである。また、伸縮性を発揮させるためのメッシュ状の多数の孔を有する細幅織編物とフック(雄部)やループ(雌部)を有する面ファスナーとを連結して、これら細幅織編物と面ファスナーとを重ね合わせて縫製するとともに、前記細幅織編物と面ファスナーとの間に、機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部が面ファスナー素材で構成されて取り付けられているか、又は、前記面ファスナーの延長部として、機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部が取り付けられた機器類の装着用ベルトを製造するに際して、前記細幅織編物は、多数の孔を有するとともに長手方向の両側端側に孔を有しない両側端縁部が設けられており、前記細幅織編物と前記面ファスナーを重ね合わせて縫製するとき、前記細幅織編物の孔を有しない両側端縁部に沿うようにして縫製することを特徴とする機器類の装着用ベルトの製造方法である。
【0010】
また、本発明は、多数の孔を有するメッシュ素材とフック(雄部)やループ(雌部)を有する面ファスナーとを連結するに際して、これらメッシュ素材と面ファスナーとを重ね合わせか、又は、メッシュ素材を二枚の面ファスナーで挟み合わせて、前記メッシュ素材の多数の孔を利用して縫製することを特徴とするメッシュ素材と面ファスナーとの連結構造である。
本発明によれば、前記メッシュ素材の多数の孔を利用して縫製するので、縫製の際における針を通しやすくなり、綺麗な仕上がりの縫製ができる。
【0011】
本発明としては、前記メッシュ素材の多数の孔に接着剤を介在させる部分と接着剤を介在させない部分とを設け、前記接着剤を介在させない部分における多数の孔に対して縫製することを特徴とするメッシュ素材と面ファスナーとの連結構造である。
本発明によれば、前記接着剤を介在させない部分における多数の孔(空の穴)に対して縫製するために、縫製が容易で綺麗な仕上がりになる。
ここで、前記メッシュ素材の中央部は接着剤を充填しないようにして、互い素材の端縁部を縫製することが好ましい。
本発明によれば、多数の孔を有するメッシュ素材の伸縮性を失わないようにして、強固で縫製の綺麗な連結が可能になる。
【0012】
また、本発明としては、前記メッシュ素材と面ファスナーとの間に、機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部が面ファスナー素材で構成されて取り付けられているか、又は、前記面ファスナー素材の延長部として、機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部が取り付けられており、機器類の係止部に引っ掛けられた後、前記本体側の面ファスナーと接合されることを特徴とするメッシュ素材と面ファスナーとの連結構造であることが好ましい。
ここで、前記先端締付け部は、前記本体側の面ファスナーと同じように、多数の孔を有するメッシュ素材と縫製されたり、又は、多数の孔を有するメッシュ素材に接着剤を介して接合することが好ましい。また、前記面ファスナーに多数の孔を形成して、多数の孔を有するメッシュ素材と縫製したり、接着剤を介して接合することができる。面ファスナーや先端締付け部が合成樹脂製である場合、多数の孔は、パンチングなどで容易に形成可能である。また、これら合成樹脂製の素材の面ファスナーのフック(雄部)やループ(雌部)を利用して、接着剤との絡み合い(融合)を図ることもできる
本発明によれば、面ファスナーとしての先端締付け部が取り付けられており、機器類の係止部に引っ掛けられた後、前記本体側の面ファスナーと接合されるものであるが、ので、前記面ファスナーに多数の孔を形成して、多数の孔を有するメッシュ素材と縫製したり、接着剤を介して接合することができる。
【0013】
本発明としては、前記メッシュ素材は、ゴム糸が使用されるゴム入り織編物であるか、又は、熱融着糸が配される織編物であり、連結に際して熱圧着により前記ゴム糸や熱融着糸を溶融して連結することを特徴とする。
本発明によれば、連結に際して熱圧着により前記ゴム糸や熱融着糸を溶融して連結することができるが、前記接着剤を介しての熱圧着との相乗効果が働き、より確実な接合状態が得られた連結になる。
ここで、前記メッシュ素材が多数の孔を有するとともに長手方向の両側端側に多数の孔を有しない両側端縁部が設けられた細幅織編物であり、この細幅織物の両側端縁部に沿うようにして縫製されることを特徴とする顎固定用ベルトであることが好ましい。なお、縫製に使用する糸としては、ゴム系や熱融着糸が配された糸を使用して、縫製した後に熱圧着することも可能である。
【0014】
本発明としては、前記面ファスナーは表裏にフック(雄部)やループ(雌部)を有するものであり、これらをメッシュ素材の多数の孔に入れるようにして、前記接着剤との融合を図ることを特徴とする。
本発明によれば、面ファスナーのフック(雄部)とループ(雌部)がメッシュ素材の多数の孔に入り込み、接着剤との融合(溶融)が図られるので、強固とで綺麗な連結状態になる。
ここで、本発明としては、前記面ファスナーは表裏にフック(雄部)やループ(雌部)を有するものを2枚使用するか、又は、上方側と下方側の二股状に構成され、一つのメッシュ素材に対して上方側と下方側から挟み込まれるものであり、その挟み込む側に少なくとも面ファスナーのフック(雄部)やループ(雌部)があることが好ましい。すなわち、表裏面にフック(雄部)やループ(雌部)がある面ファスナーを使用して、メッシュ素材を挟み込む構造である。フック(雄部)とループ(雌部)には、これらを兼用する構成の面ファスナーを含む。
本発明によれば、表裏面にフック(雄部)やループ(雌部)がある面ファスナーを使用して、メッシュ素材を挟み込む構造であるために、前記接着剤と絡み合って(融合して)、接着剤を介在させた熱圧着との相乗効果が働き、より確実な接合状態が得られた連結になる。
【0015】
本発明としては、機器類の装着用ベルトとして使用して、ゴム系あるいはポリウレタン弾性糸を芯とするカバーリング糸で生成された伸縮性細幅編み物であるメッシュ素材で形成されていることが好ましい。
本発明によれば、伸縮性細幅編み物であるメッシュ素材であるため、呼吸器などの機器類の装着用ベルトの使用回数が多い場合でも伸びてしまったり切れたりすることがなく、耐久性の高い機器類の装着用ベルトを提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、接着剤を介して連結されるので、強固な連結状態が得られることになる。また、接着剤は多数のメッシュ孔に入れられるので、接着剤が溢れ出るような事態がなく、綺麗な連結構造を得ることができる。メッシュ素材の多数の孔に、接着剤を入れる部分と入れない空の部分を設けたり、前記接着剤を入れない空の部分を利用して縫製を行うことにより、伸縮性が損なわないようにしたり、縫製を容易にしたりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用した第1の実施形態の機器類の装着用ベルトの連結構造を示す斜視図である。
図2】上記実施形態の機器類の装着用ベルトの連結構造を説明する斜視図である。
図3】上記実施形態の機器類の装着用ベルトの連結構造の断面図である。
図4】上記実施形態の機器類の装着用ベルトの連結構造の斜視図である。
図5】上記実施形態の機器類の装着用ベルトの連結構造の断面図である。
図6】上記実施形態の機器類の装着用ベルトの連結構造の断面図である。
図7】上記実施形態の機器類の装着用ベルトの連結構造の分解斜視図である。
図8】上記実施形態を機器類の装着用ベルトに適用した例を示す斜視図である。
図9】上記実施形態の機器類の装着用ベルトに適用した例を示す斜視図である。
図10】従来の機器類の装着用ベルト200,300,400を示す写真である。
図11】上記実施形態の機器類の装着用ベルトに滑り止めのメッシュ素材を接合させた例を示す斜視図である。
図12】上記実施形態の機器類の装着用ベルトに適用した例を示す斜視図である。
図13】上記実施形態の機器類の装着用ベルトの連結構造の他の例を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態を以下に図を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用した第1の実施形態の機器類の装着用ベルト1を示す斜視図であり、図2は、上記実施形態の機器類の装着用ベルト1の先端側の拡大図である。図3は、上記実施形態の機器類の装着用ベルト1の連結部の拡大断面図である。
本実施形態のメッシュ素材と面ファスナーの連結構造は、人工呼吸器を顔の正面側に固定用バンドを使用して着脱する人工呼吸器装着用の固定具において、機器類の装着用ベルト1として使用されるものであり(図8)、機器類の装着用ベルト1は、多数の孔を有するメッシュ素材2と、メッシュ素材の先端側と後端側に配される面ファスナー3とからなる連結構造である。
【0020】
前記メッシュ素材2は、ゴム入りの細幅織物が使用され、その幅中央に多数の孔2aが設けられており、その幅方向端部の側縁部2bは、縫い代部7として利用されるゴム入り糸が孔を形成せずに設けられている。本実施の形態では、前記多数の孔2aは、面ファスナー3のフック3bやループ3aとの連結に利用され、前記左右の側端部2bは、面ファスナーとの縫製に利用される。
前記メッシュ素材2は、ゴム系あるいはポリウレタン弾性糸を芯とするカバーリング糸で生成された伸縮性細幅編み物であるメッシュ素材で形成されている。伸縮性細幅編み物とは、伸縮性の高い素材を製造段階で必要な細幅に編むことで生成された編み物であり、広幅編み物をカットして使用する場合と比べて端部がほつれにくいという効果をもつ。カバーリング糸とは、ゴム系あるいはポリウレタン弾性糸を芯として、その糸を中心にポリエステルやナイロンの糸を巻きつけて保護している糸のことを指し、前記カバーリング糸を編組機械により多数の孔が形成されたメッシュ状に編み、メッシュ素材とする。カバーリング糸は、ストレッチ率の高いゴム系あるいはポリウレタン弾性糸を芯として使用しているため伸縮性に優れ、ゴム系あるいはポリウレタン弾性糸の上からポリエステル等の糸で保護しているため耐久性が高い。カバーリング糸で形成されたメッシュ素材も同様に、伸縮性、耐久性に優れた生地となる。
前記多数の孔2aの形状は、本実施の形態では菱形であるが、長方形状、楕円形状、星形形状、正方形状、三角形状、多角形状、円状等、種々選択可能であり、前記多数の孔11aは長手方向に間隔を空けて設けられる。
【0021】
面ファスナー3は、表面にフック(雄部)3bやループ(雌部)3aが形成されるものであり、本実施の形態では、その生地3の表裏面にフック3bとループ3aが形成されている(フックとループとが兼用するものでも良い。)。この表裏にフック(雄部)やループ(雌部)を有するものを上方側と下方側の二枚使用して、前記メッシュ素材2を挟み込むようにすると、メッシュ素材2の多数の孔2aに、面ファスナー3のフック(雄部)やループ(雌部)が入り込み、強い接合力が得られる。このメッシュ素材の多数の孔2aには、接着剤6とともに介在させても良く、また、接着剤6は、面ファスナー3のフック(雄部)やループ(雌部)が入り込まない孔2cに対して、供給されても良い。なお、本実施の形態の面ファスナー3は、前記メッシュ素材とは異なり、多数の孔は形成されているものではないが、前記メッシュ素材2と同じように、多数の孔2aを形成したものを使用して、面ファスナー3のフック(雄部)やループ(雌部)を介在させるようにして、接合することも可能である。
機器類の装着用ベルトが多数の孔2aが形成されたメッシュ素材2からなる帯状部材で構成されているため、通気性がよく使用感が良好で、さらにストレッチ率が120〜300%に構成されているため、伸縮性がよく頭部や身体が動いてもずれたり外れたりすることがなく頭部にぴったりと固定される。
【0022】
図4(a)(b)は、前記メッシュ素材2と面ファスナー3とを接着剤を介して接合した後に、縫製により接合する例の実施形態である。なお、先端締付け部5は取り付けられておらず、面ファスナー3の先端部が細幅に形成されて、先端締付け部5の役割を果たしている。
図4(a)は、前記メッシュ素材2と面ファスナー3とを接着剤を介して接合した後に、接着剤の上から縫製7を行った例である。すなわち、接着剤6の介在する箇所2bに×形状の縫製7を行ったものであるが、接着剤のない空きの箇所2aにおいて縫製7を行うことにより、接着剤に影響を与えない綺麗な仕上がりの縫製が可能である。
図4(b)は、前記メッシュ素材2の中央に接着剤を介在させない空きの箇所2aを設けてできる限り伸縮力を発揮させるようにしたものであり、前記空きの箇所2aを利用するとともに、面ファスナー3の周縁部を縫製7した例である。すなわち、中央を除いて、対称的な2か所の縫製7を行ったものであるが、接着剤のない空きの箇所2aにおいて縫製7を行うことで、伸縮力に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0023】
ここで、先端締付け部5としては、合成樹脂製の面ファスナー3が使用される場合がある。先端締付け部5は、機器類の係止部601に引っ掛けられるが、メッシュ素材2との連結に際して、接着剤6を介して上記のように連結される。しかし、縫製7による場合は、合成樹脂製のために、針の貫通ができない場合がある。このような場合は、合成樹脂製の先端締付け部5に多数の孔2aを形成したものを使用して縫製しても良い。
また、前記メッシュ素材2が多数の孔を有するとともに長手方向の両側端側に多数の孔を有しない両側端縁部2bが設けられた細幅織編物である場合(長手方向の両端縁が布地の場合もある)、この細幅織物の両側端縁部に沿うようにして縫製することができる。そして、縫製に使用する糸としては、ゴム系や熱融着糸が配された糸を使用して、縫製した後に熱圧着することも可能である。
【0024】
図13(a)(b)は、前記メッシュ素材2と面ファスナー3との間に、機器類の係止部に引っ掛けられる先端締付け部5が面ファスナー素材で構成されて取り付けられている例である。先端締付け部5の役割は、前記面ファスナー素材3の延長部として、機器類の係止部に引っ掛けられるものであり、機器類600の係止部601に引っ掛けられた後、前記本体側の面ファスナー3と接合されるものである。ここで、前記先端締付け部は、前記本体側の面ファスナー3と同じように、多数の孔2aを有するメッシュ素材と縫製されたり、又は、多数の孔を有するメッシュ素材2に接着剤6を介して接合することが好ましい。また、先端締付け部5に多数の孔2aを形成して、多数の孔2aを有するメッシュ素材として縫製したり、接着剤6を介して接合することができる。
【0025】
図6(a)(b)は、前記面ファスナー3が二重構造であり、その先端側に、先端締付け部5が挟み込まれている。先端締付け部5は、呼吸用マスクなどの機器類600の係止部601に差し込まれており返す先鋭部である。本実施の形態の先端締付け部5は、面ファスナー3のフック(雄部)やループ(雌部)と係合するようにフック(雄部)やループ(雌部)が設けられており、この先端締付け部5を呼吸用マスクなどの機器類の係止部に差し込んでから、引き出して、前記面ファスナー3と係止するために使用される。先端締付け部5は、合成樹脂製やゴム製であっても良い。
また、先端締め付け部5としては、前記メッシュ素材2と同じ厚みを有しており、メッシュ素材2とは隣接させるようにして、二枚の面ファスナー2,2で挟み込んでも良いが、所定間隔を開けて配置されて、二枚の面ファスナー3で挟み込むようにして、連結させることも可能である。すなわち、多数の孔が形成されているものを使用すると、本願発明のメッシュ素材と面ファスナーとしての連結構造と同じように連結することが可能である。
なお、本実施の形態では、メッシュ素材2に前記先端締め付け部5が取り付けられているが、この先端締め付け部5は設けることなく、面ファスナー3の先端側を細くなるように形成することで対応することも可能である。
【0026】
次に、本願発明のメッシュ素材と面ファスナーとしての連結構造は、面ファスナー3のフック(雄部)3bやループ(雌部)3aをメッシュ素材2の多数の孔2aに介在させて連結させる(図2(a)(b)(c))。
ここで、前記面ファスナーは表裏にフック(雄部)やループ(雌部)を有するものを2枚使用するか、又は、上方側と下方側の二股状に構成され、一つのメッシュ素材2に対して上方側と下方側から挟み込まれるものであり、その挟み込む側にフック3bやループ3aがある面ファスナーを使用すると、接着剤を使用しなくとも、二つの面ファスナーの一方のフック(雄部)とループ(雌部)との係止のみで、メッシュ素材と面ファスナーとを連結させることが可能である。後は、面ファスナー3の外周部とメッシュ素材2の側端縁3aを縫製すると、メッシュ素材と面ファスナーとを連結させる。
【0027】
また、メッシュ素材2は、ゴム糸が使用されるゴム入り織編物であるか、又は、熱融着糸が配される織編物であるときは、熱圧着により前記ゴム糸や熱融着糸を溶融して連結することができる。ここで、メッシュ素材2の多数の孔2aについて、フック(雄部)やループ(雌部)を介在させる孔2aと介在させずに接着剤6を介在させる孔2aとを使い分けても良い。図2(c)は、メッシュ素材2の多数の孔2aについて、フック(雄部)やループ(雌部)を介在させる孔2aと介在させずに接着剤6を介在させる孔2aとを使い分けた例である。
また、連結に際して熱圧着により前記ゴム糸や熱融着糸を溶融して連結することができる。熱融着糸を使用すると、後述する熱圧着するときに、前記メッシュ素材2の多数の孔2aに面ファスナーのフック(雄部)やループ(雌部)を介在させた状態で熱圧着させることにより、熱融着糸を溶融させて、強い接合力を得ることができる。
【0028】
装着方法としては、装着者100にマスク500を装着する前に人工呼吸器装着用の固定具1のベルトを前記機器類600の装着用ベルト1の一対の穴(係止部)にそれぞれ挿通し、前記人工呼吸器装着用の固定具501を前記機器類の装着用ベルト1に取り付ける。その後、マスク500を人工呼吸器装着用の固定具により装着者に装着するとともに、前記機器類の装着用ベルト20を前記装着者100に装着する。
このように、本発明の機器類の装着用ベルト1を使用すると、前記顎先固定部1が伸びすぎず顎先固定部1の形状を適度に保ち、顎先をしっかりと固定することが可能で、さらに顔両端装着部2,2はよく伸縮するため、寝返り等、頭部や身体が動いてもずれたり外れたりすることなく頭部にしっかりと固定し、口が閉じた状態を長時間維持することが可能となる。
【0029】
図7(a)(b)は、合成樹脂製やゴム製の多数の孔を有するズレ防止用ベルト8a,8bとの連結を説明する図である。位置ズレ防止用ベルト8a,8bは、後頭部や顎部に前記装着用ベルト1を着脱自在に装着するための部材である。そして、前記二股状の面ファスナー3A,3Bを二組連結状態に配置して、一方の二股状の面ファスナー3A,3Bによりメッシュ素材(織編物)2により挟み込まれて構成されているとともに、他方の二股状の面ファスナー3A,3Bによりメッシュ素材(合成樹脂製、ゴム製)8a,8bにより挟み込まれて構成されている(図7(a))。また、前記二股状の面ファスナー3A,3Bを一組で配置する場合は、その二股状の面ファスナー3A,3Bによりメッシュ素材(織編物)2とメッシュ素材(合成樹脂製、ゴム製)8a,8bとを重ねるようにしてから、面ファスナーで挟み込む(図7(b))。このようにすることで、従来は、メッシュ素材(織編物)2と合成樹脂製やゴム製の位置ずれ棒締め付け用ベルト8a,8bを縫製していたが、本実施の形態によれば、二股状の面ファスナー3A,3Bで挟み込んでの連結が可能になる。
【0030】
図12(a)(b)は、呼吸用マスクなどの機器類600の係止部601に先端締付け部5が差し込まれており返して、面ファスナー2と接合する例を示す。本実施の形態の先端締付け部5は、面ファスナー3のフック(雄部)やループ(雌部)と係合するようにフック(雄部)やループ(雌部)が設けられているが、なくても良く、この場合は、図4(a)(b)の例のように、面ファスナー3の先端部を先細りにして、機器類600の係止部601に差し込まれるようにする必要がある。
【0031】
以上、本実施の形態の機器類の装着用ベルトは、呼吸器用のマスク500を口や鼻に装着するための装着用ベルト1を例に説明したが(図8)、いびき防止用や睡眠時無呼吸症候群等を防止するため、また内視鏡による胃カメラ検査や長時間にわたる胃や食道の内視鏡手術に使用する顎固定用の医療ベルトとして使用可能であり(図9)、さらにスポーツや格闘技を行う際のサポーターや小顔効果を得るための美容用ベルトとして種々の分野で使用することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 機器類の装着用ベルト、
2 メッシュ素材、2a 多数の孔、2b 側縁部(長手方向の端縁)、
3,3A,3B 面ファスナー、3A,3B 二枚の面ファスナー、
3a ループ(雌部)、3b フック(雄部)、
5 先端締め付け部、
6 接着剤、
7 縫製の糸(縫製箇所)、
8a,8b 位置ズレ防止用ベルト(合成樹脂製やゴム製のメッシュ素材)、
200,300,400 従来の装着用ベルト
500,600 機器類、 601 係止部、

【要約】      (修正有)
【課題】メッシュ素材の多数の孔や面ファスナーのフック(雄部)やループ(雌部)が利用することで、メッシュ素材を簡単かつ綺麗に連結することができるメッシュ素材と面ファスナーとの連結構造を提供する。
【解決手段】多数の孔2aを有するメッシュ素材2と、フック(雄部)やループ(雌部)を有する面ファスナー3A,3Bとを連結するに際して、これらメッシュ素材と面ファスナーとを重ね合わせるか、又は、メッシュ素材を二枚の面ファスナー3A,3Bで挟み合わせて、面ファスナー3A,3Bのフック(雄部)やループ(雌部)をメッシュ素材2の多数の孔2aに介在させて連結させるか、又は、多数の孔2aを利用して縫製する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13