特許第6708916号(P6708916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6708916補気調節用チワン族医薬品組成物及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6708916
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】補気調節用チワン族医薬品組成物及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/69 20060101AFI20200601BHJP
   A61K 36/07 20060101ALI20200601BHJP
   A61K 36/12 20060101ALI20200601BHJP
   A61K 36/282 20060101ALI20200601BHJP
   A61K 36/54 20060101ALI20200601BHJP
   A61K 36/906 20060101ALI20200601BHJP
   A61K 36/346 20060101ALI20200601BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20200601BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200601BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20200601BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20200601BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   A61K36/69
   A61K36/07
   A61K36/12
   A61K36/282
   A61K36/54
   A61K36/906
   A61K36/346
   A61P25/18
   A61P43/00 111
   A61K9/08
   A61K9/16
   A61K47/26
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-6091(P2020-6091)
(22)【出願日】2020年1月17日
【審査請求日】2020年1月17日
(31)【優先権主張番号】201910065453.5
(32)【優先日】2019年1月23日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520020937
【氏名又は名称】広西中医薬大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】方 剛
(72)【発明者】
【氏名】林 基勇
(72)【発明者】
【氏名】樊 官偉
(72)【発明者】
【氏名】▲ぱん▼ 宇舟
(72)【発明者】
【氏名】付 宇蕾
(72)【発明者】
【氏名】盧 可
(72)【発明者】
【氏名】曹 知勇
(72)【発明者】
【氏名】楊 暁華
【審査官】 菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102824458(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/69
A61K 9/08
A61K 9/16
A61K 36/07
A61K 36/12
A61K 36/282
A61K 36/346
A61K 36/54
A61K 36/906
A61K 47/26
A61P 25/18
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/NAPRALERT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オウカトウスイレン10〜60重量部、ホウトウクウ10〜50重量部、ガイキョウケツ10〜40重量部、オウキャクガイ10〜30重量部、ニッケイ5〜20重量部、シシ10〜25重量部、シャキョウ10〜25重量部、およびキキョウ10〜30重量部の原料を用いて調製される、
ことを特徴とする、補気調節用チワン族医薬品組成物。
【請求項2】
オウカトウスイレン40重量部、ホウトウクウ40重量部、ガイキョウケツ20重量部、オウキャクガイ20重量部、ニッケイ10重量部、シシ20重量部、シャキョウ20重量部、およびキキョウ20重量部の原料を用いて調製される、
ことを特徴とする請求項1に記載の補気調節用チワン族医薬品組成物。
【請求項3】
前記重量部で秤取された原料をそれぞれ洗浄した後、生薬に水を10倍加え、1回当たり1時間煎じ、これを3回繰り返して煎じ、濾過して濃縮し、80℃で減圧乾燥し、粉砕して100メッシュのふるいにかけ、乾燥ペースト粉末にスクロースを加え、均一に混合し、純度75%のエタノールで軟質材料を調製し(エタノール用量は8%)、15撹拌し、12メッシュのふるいにかけて造粒し、75℃で4時間乾燥し、12メッシュのふるいにかけて整粒し、混合機で均一に混合し、梱包して包装するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の補気調節用チワン族医薬品組成物の調製方法。
【請求項4】
前記チワン族医薬品組成物の剤形は、煎剤、顆粒剤である、
ことを特徴とする請求項3に記載の補気調節用チワン族医薬品組成物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、民族医薬の分野に属し、具体的には、補気・精神調節用チワン族医薬品組成物及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
民族医薬品の重要な部分であるチワン族医薬品は、チワン族が古くから疾患を予防し治療するための有効な手段であり、チワン族の身体的健康や生存発展に重要な役割を果たしてきた。チワン族医学によれば、人体は有機的な全体であり、その各構成部分は密接に関連しており分割できないものである。人体の「巧」(天部)、「廊」(人部)、「胴」(地部)の三部、三道(谷道、気道、水道)、両路(龍路、火路)、内臓、及び「奪」(骨)、「諾」(肉)「嘘」(気)、「勒」(血)などは、いずれも互いに関連し、相互作用し、自然界と同期して機能し、制約及び化生を行い、生死を繰り返し移り変わる。人体に正気が不十分である場合、
瘴、蠱、毒などの毒邪が龍路、火路を介して侵入し、水道、谷道、気道の流れが悪くなり、臓腑骨肉ではバランスが崩れたり、又は栄養を充分に取られなかったりし、天人地という三気がともに壊れていると、さまざまな疾患に罹患しやすくなる。疾患の治療には、チワン族医学は、病因を究明することを強調し、疾患の診断を主とし、適切な処方及び適切な生薬を適用する場合が多く、これは、チワン族医学による治療法の主な特徴の1つである。チワン族医学は、婦人科疾患の治療について豊富な経験を蓄積し、チワン族医学に特有のいくつかの方法、チワン族医薬品の処方は、臨床的に良い結果を達成している。
【0003】
チワン族医学によれば、「嘘」(気)を非常に重視し、「嘘」(気)は陽であり、「嘘」(気)は動力であり、「嘘」(気)は機能であり、体の生命の動力の表現である。「嘘内」(気虚)は、主に以下の原因で起こる。一、生まれつきの体質が悪く、両親の体が弱く、妊娠中の栄養のバランスが悪く、又は妊娠中の女性の生活や仕事のリズムが不適切であることに起因して早産したり、産後の育て方が不適切であり、栄養失調が起きる。二、後天の過労、精気の消耗、身体虚弱、又は慢性疾患に罹患して長期にわたって治癒できず、体が邪毒と戦った結果、気血が過度に消耗されることである。三、食事が不適切であり、たとえば辛いもの、冷たいもの、甘いものや脂っこいものを必要以上に摂取したり、又は過量の酒を飲んだりして、谷道へダメージを与え、谷道の受入、消化、吸収の機能の低下を引き起こし、十分に摂取できないか又は水や穀由来の微妙な栄養素を消化して吸収して気に変換できず、気が十分であれば元気があり、逆に気が不十分であれば元気が損なわれ、その結果、精神障害、神気両虚を引き起こし、精神的・体力的疲労、少気懶言、声低息微などの症状が現れる。従って、特に気の流れを調整して虚の状態を改善し、龍路、火路を整え、且つ精神障害、神気両虚、精神的・体力的疲労、少気懶言、声低息微などの症状を著しく改善できる医薬品の開発が非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解决しようとする技術的課題は、気の流れを調整して虚の状態を改善し、龍路、火路を整えるという効能を有し、精神障害、神気両虚、精神的・体力的疲労、少気懶言、声低息微などの症状をよく改善する補気・精神調節用チワン族医薬品組成物及びその調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の技術案により上記技術的課題を解决する。
【0006】
補気・精神調節用チワン族医薬品組成物であって、オウカトウスイレン10〜60重量部、ホウトウクウ10〜50重量部、ガイキョウケツ10〜40重量部、オウキャクガイ10〜30重量部、ニッケイ5〜20重量部、シシ10〜25重量部、シャキョウ10〜25重量部、キキョウ10〜30重量部の原料を用いて調製される。
【0007】
さらに、上記補気・精神調節用チワン族医薬品組成物において、該組成物は、オウカトウスイレン40重量部、ホウトウクウ40重量部、ガイキョウケツ20重量部、オウキャクガイ20重量部、ニッケイ10重量部、シシ20重量部、シャキョウ20重量部、キキョウ20重量部の原料を用いて調製される。本発明の煎剤の調製方法は、上記原料を重量に応じてそれぞれ秤取し、原料を洗浄して選別し、薬鍋に入れ、水を加えて0.5〜1時間浸し、薬液が沸騰するまで強火で煎じた後、弱火に切り替えて20〜25分間煎じ、煎じ汁を濾取する一次煎じステップと、生薬の平面から0.5〜1センチメートル上に常温の水を再度加え、薬液が沸騰するまで強火で煎じた後、弱火に切り替えて15〜20分間煎じ、煎じ汁を濾取する二次煎じステップと、一次煎じと二次煎じで得られた煎じ汁を合わせるステップと、を含む。
【0008】
本発明の第2の目的は、上記補気・精神調節用チワン族医薬品組成物の調製方法を提供することであり、重量部で秤取される原料に水を10倍加え、1回当たり1時間に3回煎じ、濾過して濃縮し、80℃で減圧乾燥し、粉砕して100メッシュのふるいにかけ、乾燥ペースト粉末にスクロースを加え、均一に混合し、75%エタノールを用いて軟質材料とし(エタノール使用量8%)、15min撹拌し、12メッシュのふるいにかけて造粒し、75℃で4h乾燥し、12メッシュのふるいにかけて整粒し、混合機で均一に混合し、梱包して包装する。
【0009】
さらに、上記補気・精神調節用チワン族医薬品組成物の調製方法において、前記チワン族医薬品組成物の剤形は煎剤である。
【0010】
本発明に係るチワン族医薬品及び漢方薬組成物に含まれる原料の特徴は、以下のとおりである。
【0011】
オウカトウスイレン:チワン族医薬名はGosinhvahenjであり、ヒメハギ科植物黄花倒水蓮Polygala aureocauda Dunnの根又は全株に由来する。性味:甘、微温。効能:虚の状態を改善して気の流れを調整して、湿邪を取り除き毒素を排出し、血の流れを促進したり出血を止めたりする。主治:病気後虚弱、産後血虚、脾虚水腫、風湿骨痛、季肋部痛、打撲傷、膣出血、外傷出血などである。
【0012】
ホウトウクウ:チワン族医薬名はRaethozduzlingzであり、ハリタケ科真菌ヤマブシタケHericium erinaceus(Bull:Fr)Persの子実体に由来する。性味:甘、平。効能:谷道を整え、気の流れを調整して虚の状態を改善する。主治:食滞、気虚、血虚などである。
【0013】
ガイキョウケツ:チワン族医薬名はyazgyanghgezであり、ウラボシ科植物カザリシダPseudodrynaria coronans (Wall.) Chingの根茎に由来する。性味:苦、熱。効能:腎の働きを向上させて、筋骨を丈夫にし、龍路を整えて、痛みを止める。主治:泄瀉、腰痛、風湿骨痛、風火歯痛などである。
【0014】
オウキャクガイ:チワン族医薬名はGaekdinbitであり、キク科植物ヨモギナArtemisia lactiflora Wall.ex DC.の全草に由来する。性味:辛、苦、熱。効能:谷道を整え、湿毒を取り除く。主治:生理痛、無月経、胃痛、慢性胃炎、肝脾腫大、食滞、泄瀉、ヘルニア、固根、打撲傷、火傷や熱傷などである。
【0015】
ニッケイ:チワン族医薬名はNaengigveqであり、クスノキ科植物シナニッケイCinnamomum cassia Preslの茎皮に由来する。性味:辛、甘、熱。効能:水道を整えて、虚の状態を改善し、湿邪を取り除く。主治:気虚、血虚、陽萎、淋証、面赤足冷、めまいや耳鳴、口舌糜破、胃痛、泄瀉、腰痛、無月経、生理痛、悪性潰瘍、癰腫などである。
【0016】
シシ:チワン族医薬名はGanodermaであり、多孔菌科真菌ガノダーマシネンスGanodernau sinen Zhao.Xu et zhangの子実体に由来する。性味:甘、平。効能:龍路、谷道を整え、気の流れを調整して虚の状態を改善する。主治:気虚、血虚、不眠、眩暈、咳、喘息などである。
【0017】
シャキョウ:チワン族医薬名はSagiengであり、ショウガ科植物バンウコンKaempferia galangalの根茎に由来する。性味:辛、熱。効能:湿毒を取り除き、谷道を整え、痛みを止める。主治:胃痛、嘔吐、泄瀉、コレラ、食滞、歯痛、風湿骨痛などである。
【0018】
キキョウ:チワン族医薬名はGitgwngqであり、キキョウ科植物キキョウPlatycodon grandiflorus (Jacq.) A.DC.の根に由来する。性味:苦、辛、平。効能:気道を整える。主治:咳、喀痰、咽頭痛、悪性潰瘍、癰腫、赤痢、尿閉などである。
【0019】
処方におけるオウカトウスイレン、ホウトウクウは主薬であり、ガイキョウケツ、オウキャクガイ、ニッケイは副薬であり、シシ、シャキョウは公薬であり、キキョウは母薬であり、処方全体は、主副公母を組み合わせて使用し、気の流れを調整して虚の状態を改善し、龍路、火路を整える効能を果たす。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以下の顕著な効果を有する。
【0021】
本発明は、気の流れを調整して虚の状態を改善し、龍路、火路を整えるという明確な効能を有し、精神不振、神気虚耗、精神的・体力的疲労、少気懶言、声低息微などの症状をよりよく改善する補気・精神調節用チワン族医薬品組成物を提供し、その調製方法も提供し、調製方法は、操作しやすく、生薬の効能を十分に発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0023】
補気・精神調節用チワン族医薬品組成物の調製プロセス
(一)生産プロセスの設計
本処方は、臨床的経験に基づく処方であり、剤形として一般的に煎剤を使用し、製造方法が簡単であり、機器の条件により制限されないような利点を有する。しかし、煎剤は、ほとんど単剤として煎じたものであり、品質の統一及び量産が難しく、保存しにくく、携帯や輸送が不便であり、使用も不便である。上記欠点を解決し、大多数の患者により受け取られやすくするために、一般的な投与経路及び方法に適している剤形である顆粒剤を、本製品の調製剤形とする。伝統的な漢方薬の煎剤は、水を抽出溶媒とすることが多く、水による抽出は、コストが低く、薬効が確かであるため、水を抽出溶媒とする予定である。生産プロセスの方法は、水で煎じて、乾燥ペーストを得た後、賦形剤を加え、造粒することである。
【0024】
(二)水抽出プロセス条件のスクリーニング
1、直交試験の設計
水抽出効果に影響を及ぼす要因は、(1)煎じ回数、(2)煎じ時間、(3)水添加量、(4)破砕度である。3水準で、これらの要因について、直交試験の最適化を実行し、L(3)直交表を用いて直交試験を実行した(詳細は表1、表2を参照)。
【0025】
2、最適化指標及び総合スコアリング方法
本製品の処方には、抽出する必要がある生薬は合計8つであり、そのうち、君薬は、オウカトウスイレンであり、フラボノイド成分を主に含有し、その代表的な成分は総フラボンであり、総フラボンの含有量のレベルは本製品の有効性と密に関連し、本製品のプロセス条件の最適化指標とすることができ、エキス収率は、抽出効率を全体的に反映することができ、本製品のプロセス条件の第2の最適化指標とした。主成分の重み係数が大きいという原則に準じて、総サポニン含有量を主(重み係数0.6)、エキス収率を補助とし(重み係数0.4)、以下の式1、2によりスコアリングした。以下の簡単な式3により総合スコアリングを行った。
式1、総フラボン含有量=抽出された総サポニン量/生薬の質量×100%
式2、エキス収率=エキス重量/生薬の質量×100%
式3、dij=b1aij/s1+b2bij/s2+b3cij/s3
式中、aij、bij、cijは第i項の第jの指標であり、s1、s2、s3はサンプルの標準偏差であり、b1、b2、b3は重み係数である。
【0026】
3、最適化方法
3.1直交試験
表2に示される直交設計試験表に従って試験を設定し、各群の試験では、処方量の生薬を準備し、各試験番号の煎剤をそれぞれ合わせ、均一に混合し、濾過し、濾液を濃縮した後、1000mlに定容し、試験液とした。
【0027】
3.2測定方法
総固形分の測定
試験液100mlを精密に量り、105℃で一定重量まで乾燥した蒸発皿に入れ、水浴で蒸乾し、80℃で一定重量まで減圧乾燥し、重量を秤量して、乾燥ペーストの量を算出した。
【0028】
総フラボン含有量の測定
1、試薬
1.1 ポリアミド粉末
1.2 ルチン標準溶液
ルチン5.0mgを秤取し、メタノールを加えて溶解し、100mlに定容し、50μg/mlを得た。
1.3 エタノール:分析グレード
1.4 メタノール:分析グレード
【0029】
2、分析ステップ
2.1 試料の処理:サンプルから水を蒸発させた乾燥ペースト試料を1.5g秤取し、エタノールを加え、2mlに定容し、均一に振り、20min超音波抽出し、放置し、上清液を1.0ml吸い取り、蒸発皿にポリアミド粉末を1g加えて吸着させ、水浴においてエタノールを蒸発させ、その後、クロマトグラフィーカラムに移した。先ず、20mlのベンゼンで洗浄し、ベンゼン溶液を捨て、次に、メタノールでフラボンを溶出し、25mlに定容した。この溶液について波長360nmで吸収値を測定した。同時に、ルチンを標準品とし、検量線を決定し、回帰式を求め、試料中の総フラボンの含有量を算出した。
【0030】
2.2 ルチン検量線
ルチン標準溶液0、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0mlを10ml比色管に吸い取り、メタノールを所定の目盛りまで加え、均一に振り、波長360nmで比色した。回帰式を求め、試料中の総フラボンの含有量を算出した。
【0031】
3、計算及び結果:
式中、
X−試料中の総フラボンの含有量(mg/100g)
A−検量線より算出された試験液中のフラボンの量(μg)
M−試料の質量(g)
−測定用試料体積(ml)
−試料定容総体積(ml)
計算結果は、有効数字2桁であった。
【0032】
4、直交試験最適化の結果及び分析
結果に対して総合スコアリングを行い、スコアリング結果に対して視覚分析及び分散分析を行い、結果を表4、5に示した。明らかなように、A、B、Cの3つの要因は、いずれもエキス収率、総フラボンの含有量に影響を及ぼし、影響要因の順序は、B>A>Cであり、分散分析結果から、差異が有意であることを示した。また、多重比較により、水抽出の最適な理論抽出条件は、好ましくは、B3A1C1、即ち、処方量10倍の水を加え、1回1h、3回抽出する。
表1 水抽出プロセスL(3)直交試験設計及び結果(n=2)
表2 水抽出プロセスの分散分析表
注、F0.01(1,2)=99、F0.05(1,2)=19
【0033】
5、直交試験最適化結果の確認試験
上記プロセスに従って3回煎じた煎じ滓に10倍の水を加え、1時間煎じ、煎剤を濾過し、1000mlまで濃縮し、50mlを精密に量り、上記総フラボンの含有量の測定方法に従って測定した結果、総フラボンの含有量が非常に低く、乾燥ペーストが1.5%得られ、それは、生薬を3回煎じると、有効成分が基本的に抽出されることを示した。
【0034】
(三)濃厚ペーストの乾燥プロセスの最適化
最適化した水抽出プロセスで本製品を濃縮した濃厚ペーストを、70℃、80℃、90℃で一定重量まで減圧乾燥し、乾燥ペーストを約1g、精密に秤量し、上記総フラボンの測定方法に従ってサンプルソラレンの含有量を測定し、結果を表3に示した。実験結果から、乾燥温度は、本製品の総フラボンの含有量に影響を及ぼし、80℃での減圧乾燥が最適であり、ソラレン含有量を低下させることなく作業効率を向上できることを示し、これにより、濃厚ペーストの乾燥温度条件として、80℃で減圧乾燥することとした。
表3、濃厚ペーストの乾燥温度試験
【0035】
(四)造粒成形プロセスの最適化についての検討
最適な抽出プロセスに従って得られた薬液を濃縮乾燥し、エキス粉末を得て、賦形剤をエキス粉末と均一に混合して顆粒に製造したときの収率、溶解度及び口当たりに応じて適切な賦形剤を選択した。結果を表4−1に示した。
顆粒収率の測定:調製された顆粒を秤量した。顆粒収率=合格顆粒の重量g/(エキス粉末の重量g+賦形剤の重量g)×100%
溶解度の測定:一定重量まで乾燥した5mL遠心分離管に精密に秤量した顆粒を加え、沸騰水5mLを精密に加え、5min撹拌して振とうし、3000r/minで15min遠心分離し、上清液を捨て、80℃で残渣を一定重量まで乾燥し、精密に秤量し、溶解率を算出した。溶解率=溶解顆粒の質量/顆粒の質量×100%
口当たり等級:重苦味、微苦味を伴う甘味。
表4−1 賦形剤のスクリーニング結果
賦形剤のスクリーニング実験結果より、賦形剤をスクロースとした。
成形プロセスについての検討:
成形プロセスに影響を及ぼす多くの要因のうち、エタノールの濃度、エタノールの使用量及び撹拌時間を考慮して要因レベル及びL(3)直交試験表を設計し、表2−2、表2−3として示した。成形性を評価指標とした。
表4−2 要因レベル表
表4−3 L(3)直交試験表
表4−4 分散分析結果
注:F0.05(2.2)=19.00
分散分析結果から、顆粒収率に対する3つの要因の影響の度合いは、A>B>Cであり、要因A、Bには有意であることがわかった。視覚分析の結果により、最適なプロセスはAであることを確認し、最適なプロセス条件A試験を繰り返したところ、顆粒収率が直交表の試験結果とほぼ一致した。表4−5を参照されたい。従って、成形プロセスを、エタノール濃度75%、エタノール使用量8%、15min撹拌とした。
表4−5 検証実験結果リスト(n=3)
【0036】
(五)パイロットテストについての検討
スクリーニングされた処方プロセスに従って、100倍拡大し、3つのパイロットテストを実行し、そのバッチ番号を、それぞれ20180401、20180402、20180403とした。各バッチには、100000gの比率で原料を秤取した。8倍量の水を加え、1回当たり60minに、3回抽出し、濾過して濃縮し、真空乾燥し、粉砕して100メッシュのふるいにかけ、乾燥ペースト粉末に、100000gまでスクロースを加え、均一に混合し、75%エタノールを用いて軟質材料とし、12メッシュのふるいにかけて造粒し、75℃で4h乾燥し、12メッシュのふるいにかけて整粒し、混合機で均一に混合し、梱包して包装し、得られた顆粒サンプルの顆粒収率、粒度及び溶解度をそれぞれ統計し、得られた結果を表に示した。
表5 3バッチのパイロットテスト結果
【0037】
(六)安定性調査試験
本製品の包装、貯蔵、輸送中の安定性を検討し、製剤の有効期限を設定する基礎を提供するために、『漢方薬、天然薬物安定性研究の技術指導原則』に記載の要件に従って、顆粒剤安定性試験の関連規定及び本製品の品質基準のドラフトにより、龍鑽通痺顆粒の3バッチのサンプルについて、加速安定性試験及び長期安定性試験を実行した。本製品について12ヶ月の長期常温調査及び6ヶ月の加速安定性調査を行った結果、3バッチのサンプルの性状、同定、検査、含有量測定及び微生物限界検査は、いずれも規定を満たした。この結果から、本製品の有効期間は、暫定的に2年に設定できることを示し、貯蔵条件は30℃±2℃であり、相対湿度は65%±5%であり、低密度ポリエチレン医薬品包装用複合フィルムを包装材料とした。
【0038】
(七)結論
補気・精神調節用チワン族医薬品組成物の最適な調製プロセスは、生薬に水を10倍加え、1回当たり1時間に3回煎じ、濾過して濃縮し、80℃で減圧乾燥し、粉砕して100メッシュのふるいにかけ、乾燥ペースト粉末にスクロースを加え、均一に混合し、75%エタノールを用いて軟質材料とし(エタノール使用量8%)、15min撹拌し、12メッシュのふるいにかけて造粒し、75℃で4h乾燥し、12メッシュのふるいにかけて整粒し、混合機で均一に混合し、梱包して包装することである。
【0039】
二、臨床実施例
実施例1
1.チワン族医薬品組成物は、重量部で、オウカトウスイレン40g、ホウトウクウ40g、ガイキョウケツ20g、オウキャクガイ20g、ニッケイ10g、シシ20g、シャキョウ20g、キキョウ20gの原料を含む。
【0040】
2.チワン族医薬品組成物の調製方法:
上記原料を重量に応じてそれぞれ秤取し、原料を洗浄して選別し、薬鍋に入れ、一次煎じを行い、具体的には、水を加え、0.5〜1時間浸し、薬液が沸騰するまで強火で煎じた後、弱火に切り替えて20〜25分間煎じ、煎じ汁を濾取し、二次煎じを行い、具体的には、薬鍋に生薬の平面から0.5〜1センチメートル上に常温の水を再度加え、薬液が沸騰するまで強火で煎じた後、弱火に切り替えて15〜20分間煎じ、煎じ汁を濾取し、一次煎じと二次煎じで得られた煎じ汁を合わせた。本発明によるチワン族医薬品組成物は、煎剤であった。
【0041】
3.投薬方法:上記顆粒剤を経口投与し、1剤/日、朝晩1回ずつ服用し、14日間を1クールとし、2クール連続して治療した。
【0042】
4.典型的な病例:
黎氏、女性、41歳、河池市人、気虚、精神不振3年、上記投薬方法に従って、このチワン族医薬品組成物を服用した後、症状が好転した。
牛氏、女性、37歳、玉林市人、気虚、精神不振6年、上記投薬方法に従って、このチワン族医薬品組成物を服用した後、症状が好転した。
【0043】
実施例2
1.チワン族医薬品組成物は、重量部、オウカトウスイレン40部、ホウトウクウ40部、ガイキョウケツ20部、オウキャクガイ20部、ニッケイ10部、シシ20部、シャキョウ20部、キキョウ20部の原料を含む。比率は、4:4:2:2:1:2:2:2であった。
【0044】
2.チワン族医薬品組成物の調製方法:
重量部で秤取された上述の原料をそれぞれ洗浄して選別した後、生薬に水を10倍加え、1回当たり1時間に3回煎じ、濾過して濃縮し、80℃で減圧乾燥し、粉砕して100メッシュのふるいにかけ、乾燥ペースト粉末にスクロースを加え、均一に混合し、75%エタノールを用いて軟質材料とし(エタノール使用量8%)、15min撹拌し、12メッシュのふるいにかけて造粒し、75℃で4h乾燥し、12メッシュのふるいにかけて整粒し、混合機で均一に混合し、梱包して包装し、パックあたり25gとした。
【0045】
3.投薬方法:上記顆粒剤を、1パック/回、朝晩1回ずつ経口投与し、14日間を1クールとし、2クール連続して治療した。
【0046】
4.本発明の薬物を使用した患者についての臨床的な統計資料:
4.1基本資料
診断基準:(1)現代医学診断基準(『亜健康漢方医臨床ガイド』の診断基準に従って策定)を参照し、被験者の主訴により、精神的・体力的疲労、少気懶言、声低息微などの不快感は、3ヶ月以上繰り返し発作し、重要な器質的疾患や精神疾患はなく、投薬を必要とせず、関連する実験室及び身体検査では陽性結果はない。(2)漢方医証候診断基準(2002版『新しい漢方薬の臨床研究指導原則』)を参照し、気虚の主症は、息切れ、疲労、倦怠感、脈虚であり、次症は、自汗、懶言、舌淡であり、2つの主症+1つの次症を持っている人は気虚であると判定された。亜健康診断基準及び漢方医漢方医血虚証基準基準を満たした患者は、男性56例、女性64例、合計120例であり、年齢30〜50歳、病状3〜10年であった。
【0047】
4.2実験の群分け
患者を、観察群と、対照群の2群にランダムに分け、各群を60人とした。
【0048】
4.3治療計画
観察群:上記顆粒剤を、1パック/回、朝晩1回ずつ経口投与し、14日間を1クールとし、2クール連続して治療した。
対照群:オリザノール、ビタミンB1をそれぞれ20mg、1日3回経口投与し、14日間を1クールとし、2クール連続して治療した。
【0049】
5.治療効果の判定
『漢方医証候の治療効果判定基準』に記載の気虚型亜健康の治療効果判定基準を参照する。短時間治癒:漢方医により診断された症状が消えるか、ほぼ消える。著効:漢方医により診断された症状が大幅に改善される。有効:漢方医により診断された症状がいずれも改善されたが、有意ではない。無効:漢方医により診断された症状がいずれも明らかに改善されず、さらに悪化する。
【0050】
6.統計学的処理
SPSS20.0統計ソフトウェアを用いて分析し、計数資料に対してカイ二乗検定を行い、計量資料に対してt検定を行った。P<0.05の場合は、差には統計的に有意であるとした。
【0051】
7.実験結果
観察群において、32例は短時間治癒、14例は著効、10例は有効、4例は無効であり、総有効率は93.34%であり、対照群において、20例は短時間治癒、9例は著効、11例は有効、20例は無効であり、総有効率は66.67%であった。観察群は、対照群と比較すると、差が統計的に有意であった。観察群の臨床的治療効果は、対照群よりも優れていた。
【0052】
表1 対照群と観察群の臨床的治療効果の比較
注、対照群と比較すると、P<0.05。
【0053】
8.典型的な病例
秦氏、女性、43歳、柳州市人、気虚、精神不振10年、上記投薬方法に従って、このチワン族医薬品組成物を服用した後、症状が好転した。
【0054】
黄氏、女性、24歳、賀州市人、気虚、精神不振4年、上記投薬方法に従って、このチワン族医薬品組成物を服用した後、症状が好転した。
【要約】
【課題】 補気・精神調節用チワン族医薬品組成物及びその調製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、補気・精神調節用チワン族医薬品組成物を開示し、該組成物は、オウカトウスイレン10〜60重量部、ホウトウクウ10〜50重量部、ガイキョウケツ10〜40重量部、オウキャクガイ10〜30重量部、ニッケイ5〜20重量部、シシ10〜25重量部、シャキョウ10〜25重量部、キキョウ10〜30重量部の原料を用いて調製され、調製方法も提供する。本発明の有利な効果は、以下のとおりである。本発明は、気の流れを調整して虚の状態を改善し、龍路、火路を整えるという明確な効能を有し、精神不振、神気虚耗、精神的・体力的疲労、少気懶言、声低息微などの症状をよりよく改善する補気・精神調節用チワン族医薬品組成物を提供し、その調製方法も提供し、調製方法は、操作しやすく、生薬の効能を十分に発揮することができる。
【選択図】なし