(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置)を示す図である。
図1AはスマートフォンMの正面図であり、
図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0017】
スマートフォンMは、例えば背面カメラOCとして、カメラモジュールAを搭載する。カメラモジュールAは、オートフォーカス機能及び振れ補正機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる振れ(振動)を補正して像ぶれのない画像を撮影する。
【0018】
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。
図3は、カメラモジュールAの分解斜視図である。
図2、
図3に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。カメラモジュールAは、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、図中上側が光軸方向受光側(「マクロ位置側)ともいう)、下側が光軸方向結像側(「無限遠位置側」ともいう)となる。また、Z軸に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称する。
【0019】
図2、3に示すように、カメラモジュールAは、AF機能及び振れ補正機能を実現するレンズ駆動装置1、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2、全体を覆うカバー3、及びリジッドフレキシブルプリント配線基板4(以下「リジッドFPC」と称する、FPC:Flexible Printed Circuit)等を備える。
【0020】
本実施の形態では、レンズ駆動装置1とリジッドFPC4を区別して扱うが、レンズ駆動装置1の構成要素としてリジッドFPC4を含めてもよい。
【0021】
カバー3は、光軸方向から見た平面視で正方形状の有蓋四角筒体であり、上面に円形の開口3aを有する。この開口3aからレンズ部2が外部に臨む。カバー3は、Y方向に沿う2つの側面の下部、及びX方向に沿う一方の側面の下部において、それぞれ、レンズ駆動装置1(角度振れ補正固定部20のベース21、
図7参照)に対して位置決めするための切欠部3b、3cを有する。また、カバー3は、X方向に沿う他方の側面の下部において、撮像モジュール用プリント配線基板400(
図5参照)を外部に引き出すための引出口3dを有する。カバー3は、リジッドFPC4のリジッド部41に固定される。
【0022】
リジッドFPC4は、ガラスエポキシ樹脂などの硬質の材料で形成されるリジッド部41と、ポリイミドなどの屈曲性を有する材料で形成されるフレックス部42とを有する。リジッドFPC4は、例えばフレックス部42にリジッド部41を貼設した構成を有する。リジッドFPC4においては、剛性の高いリジッド部41に部品が実装されるので、部品実装が容易であり、またフレックス部42が屈曲するため自由度の高い立体配置が可能である。
【0023】
フレックス部42は、カメラモジュールAの本体側に接続されるコネクター42aを有する。リジッド部41及びフレックス部42は、信号ライン及び電源ラインを含む配線パターン(図示略)を有する。リジッド部41には、レンズ駆動装置1、ドライバーIC43、振れ検出部44、及びコネクター45等が実装される。また、リジッド部41の表面には、配線パターン(図示略)の端子パッド46が配置される。カメラモジュールAの本体側からレンズ駆動装置1、ドライバーIC43、及び振れ検出部44への給電、及びカメラモジュールAの本体側とレンズ駆動装置1、ドライバーIC43、及び振れ検出部44との信号の送受信は、リジッドFPC4を介して行われる。
【0024】
ドライバーIC43は、スマートフォンMに実装されている制御部(図示略)からの指示に従って、レンズ駆動装置1における角度振れ補正用駆動部、並進振れ補正用駆動部、及びオートフォーカス用駆動部の動作を制御する。なお、制御部は、リジッド部41に実装されてもよいし、ドライバーIC43が制御部を兼用してもよい。
【0025】
振れ検出部44は、カメラモジュールAの振れ(動き)を検出する。振れ検出部44は、例えばカメラモジュールAの角速度を検出するジャイロセンサー及びX方向及びY方向の加速度を検出する加速度センサーを含む。ジャイロセンサーの出力に基づいて、カメラモジュールAの角度振れが検出され、加速度センサーの出力に基づいて、カメラモジュールAの並進振れが検出される。
【0026】
振れ検出部44の検出信号は、リジッド部41及びフレックス部42の信号ライン(図示略)を介して制御部(図示略)に出力される。制御部は、振れ検出部44の検出信号に相当する角度振れ又は並進振れが相殺されるように、ドライバーIC43を介して角度振れ補正用コイル部23(
図7参照)、及び並進振れ補正用コイル部231(
図11参照)の通電電流を制御する。
【0027】
図4は、レンズ駆動装置1の分解斜視図である。
図4に示すように、レンズ駆動装置1は、角度振れ補正駆動部として、角度振れ補正可動部10、角度振れ補正固定部20、及び角度振れ補正用支持部30等を備える。
【0028】
角度振れ補正可動部10は、角度振れ補正固定部20に対して、光軸方向受光側に離間して配置され、角度振れ補正用支持部30によって角度振れ補正固定部20と連結される。角度振れ補正可動部10は、角度振れ補正用ボイスコイルモーターを構成する角度振れ補正用マグネット部を有し、角度振れ補正時にX軸及びY軸を中心に回転揺動する部分である。角度振れ補正固定部20は、角度振れ補正用ボイスコイルモーターを構成する角度振れ補正用コイル部23を有し、角度振れ補正用支持部30を介して角度振れ補正可動部10を支持する部分である。すなわち、角度振れ補正駆動部には、ムービングマグネット方式が採用されている。角度振れ補正可動部10は、並進振れ補正用駆動部を含む。
【0029】
図5は、角度振れ補正可動部10の分解斜視図である。
図5に示すように、角度振れ補正可動部10は、ヨーク11、角度振れ補正用マグネット部12、モジュールガイド部13、及び撮像モジュール14を有する。
【0030】
ヨーク11は、磁性材料により形成された矩形枠状の部材であり、角度振れ補正用マグネット部12を保持する。ヨーク11は、ヨーク本体11a、保持枠部11b、及びジンバル取付部11cを有する。
【0031】
ヨーク本体11aのそれぞれの辺は、角度振れ補正固定部20側に開口する凹状の断面形状を有する。すなわち、ヨーク本体11aは、枠状の凹室(符号略)を有し、この凹室に角度振れ補正用マグネット部12が収容され、固定される。
【0032】
ヨーク本体11aは、X方向に沿う一方の周縁部及びY方向に沿う一方の周縁部に、切欠部11d、11eを有する。切欠部11d、11eの外側に角度検出部25(
図7参照)が配置される。ヨーク本体11aに切欠部11d、11eを形成することにより、永久磁石12A、12Bからの漏れ磁束が、角度検出部25を効率よく横切る。したがって、角度検出部25は、永久磁石12A、12Bからの漏れ磁束の変化に基づいて、角度補正可動部10のX軸又はY軸に対する傾きを検出することができる。
【0033】
保持枠部11bは、ヨーク本体11aの内縁から径方向内側に張り出すように形成される。保持枠部11bには、両面テープ又は樹脂製の接着剤等によって、撮像モジュール14が固定される。
【0034】
ジンバル取付部11cは、保持枠部11bよりも一段下がって、保持枠部11bの内縁から径方向内側に張り出すように形成される。ジンバル取付部11cの下面に、角度振れ補正支持部30が取り付けられる(
図6参照)。
【0035】
本実施の形態に示す角度振れ補正用支持部30の場合、角度振れ補正可動部10がY軸を中心に回転揺動する際、撮像モジュール14は角度振れ補正支持部30のX軸に沿うジンバル軸30x(
図6参照)の一方に近づく。すなわち、角度振れ補正可動部10の可動範囲は、撮像モジュール14と角度振れ補正用支持部30との離間距離によって制限される。本実施の形態では、ヨーク11のジンバル取付部11cが、保持枠部11bよりも一段下がって形成され、段差の分だけ撮像モジュール14と角度振れ補正用支持部30との離間距離が大きくなっているので、撮像モジュール14がジンバル取付部11cに固定される場合に比較して角度振れ補正可動部10の可動範囲が大きくなる。
【0036】
角度振れ補正用マグネット部12は、直方体状の4つの永久磁石12A〜12Dで構成される。永久磁石12A〜12Dの大きさは、後述するチルトコイル23A〜23Dの内側に収まる程度とされる。永久磁石12A〜12Dは、ヨーク本体11aの凹室の短手方向略中央に、長手方向に沿って配置され、例えば接着により固定される。永久磁石12A〜12Dの着磁方向はZ方向である。
【0037】
角度振れ補正固定部20に角度振れ補正可動部10を取り付けたとき、永久磁石12A〜12Dは、それぞれ、チルトコイル23A〜23D(
図7参照)の内側に位置する。すなわち、チルトコイル23A〜23Dにおいて、一方の長辺部分は、ヨーク本体11aの内側脚部(凹室を形成する内側の側面、符号略)と永久磁石12A〜12Dの内側面とで挟まれる空間に位置し、他方の長辺部分は、ヨーク本体11aの外側脚部(凹室を形成する外側の側面、符号略)と永久磁石12A〜12Dの外側面とで挟まれる空間に位置する。したがって、チルトコイル23A〜23Dにおいて、2つの長辺部分には、互いに逆向きの磁界が形成される。
【0038】
角度振れ補正用マグネット部12及び角度振れ補正用コイル部23を有する磁気回路は、撮像モジュール14の下方ではなく、側方に位置することになる。これにより、カメラモジュール1の低背化を図ることができる。
【0039】
モジュールガイド部13は、板金加工により形成された断面L字状の一対のガイド部材13A、13Bで構成される。ガイド部材13A、13Bは、X方向において起立壁が対向するように、ヨーク本体11aに固定される。モジュールガイド部13は、ヨーク11に撮像モジュール14を取り付ける際のガイドになる。それぞれのガイド部材13A、13Bは、撮像モジュール14の側面に、接着剤等によって固定される。これにより、撮像モジュール14がヨーク11に正確に取り付けられるので、信頼性が向上する。モジュールガイド部13は、撮像モジュール14ととともに、後述するスカート24の受容口24aから上方に突出する。
【0040】
図6は、角度振れ補正用支持部30を示す底面図である。
図6には、角度振れ補正用支持部30を角度振れ補正可動部10に取り付けた状態を示している。角度振れ補正用支持部30は、2軸ジンバル機構を有する矩形状の部材(いわゆるジンバルばね)である。
【0041】
図6に示すように、角度振れ補正用支持部30は、正方形状の中央部30a、内側ジンバル30b、及び外側ジンバル30cを有する。内側ジンバル30bは入り組んだ湾曲形状を有し、中央部30aからX軸に沿って片側2本ずつ延びるジンバル軸30xに接続される。外側ジンバル30cは、内側ジンバル30bからY軸に沿って片側2本ずつ延びるジンバル軸30yに接続される。
【0042】
角度振れ補正用支持部30の中央部30aは、ベース21の突出部21a(
図7参照)に固定される。外側ジンバル30cは、ヨーク11のジンバル取付部11cに固定される。これにより、角度振れ補正可動部10は、ベース21の略中央に浮遊した状態で配置され、ジンバル軸30x、30yを中心として揺動回転可能となる。
【0043】
図7は、角度振れ補正用固定部20を示す分解斜視図である。角度振れ補正用固定部20は、リジッドFPC4に固定され、スマートフォンMに実装したときにリジッドFPC4とともに移動不能に固定される(
図3参照)。
図7に示すように、角度振れ補正固定部10は、ベース21、角度振れ補正用コイル基板22、角度振れ補正用コイル部23、スカート24、及び角度検出部25を有する。
【0044】
ベース21は、金属材料からなる略矩形状の部材である。ベース21を金属製とすることにより、樹脂製の場合に比較して強度が高くなるので、ベース21を薄くすることができ、ひいてはカメラモジュールAの低背化を図ることができる。
【0045】
ベース21は、中央に、角度補正用支持部30を固定するための角錐台状の突出部21aを有する。また、ベース21は、周縁部に、カバー3及びスカート24を固定する際の位置決めを行う突出辺部21b、21cを有する。突出辺部21b、21cは、カバー3及びスカート24が取り付けられた際に、それぞれの切欠部3b、3c及び切欠部24b、24cに係合する。
【0046】
ベース21は、X方向に沿う一方の周縁部及びY方向に沿う一方の周縁部に、起立片21d、21eを有する。起立片21d、21eは、U字状の切欠部(符号略)を有する。この切欠部の下辺に、角度検出部25が突き当てられることにより、角度検出部25のZ方向の位置決めが行われる。
【0047】
角度振れ補正用コイル部23は、4つのチルトコイル23A〜23Dで構成される。角度振れ補正用コイル部23は、コイル軸がZ方向と一致するように、角度振れ補正用コイル基板22のコイル配置部22cに配置される。チルトコイル23A、23Cは、Y方向に対向し、角度振れ補正可動部10を、X軸を中心に回転揺動させる場合に使用される。チルトコイル23B、23DはX方向に対向し、角度振れ補正可動部10を、Y軸を中心に回転揺動させる場合に使用される。
【0048】
スカート24は、受容口24aを有する上部枠体24A及び上部枠体24Aの周縁に垂設される側壁24Bを有する。側壁24Bは、下部に、ベース21の突出辺部21b、21cに対応する切欠部24b、24cを有する。スカート24は、ベース21に角度振れ補正用支持部30を介して角度振れ補正可動部10が取り付けられた後、ベース21の外周縁に外嵌することにより固定される。ベース21とスカート24との間に角度振れ補正可動部10が挟装されることになる。
【0049】
角度振れ補正用コイル基板22は、フレキシブルプリント基板で構成され、矩形状の基板部22A、基板部22Aから側方に延出する端子部22B、及び基板部22Aから上方に延出するホール素子保持部22Cを有する。角度振れ補正用コイル基板22は、角度振れ補正用コイル部23及び角度検出部25の電源ライン、並びに角度検出部25の信号ラインを含む配線パターン(図示略)を有する。角度振れ補正用コイル基板22の基板部22Aがベース21上に配置される。
【0050】
基板部22Aは、中央部に、ベース21の突出部21aが挿入される開口22aを有する。突出部21aは、角度振れ補正用コイル基板22の開口22aを介して、上方に突出する。基板部22Aは、4つの周縁部に沿って、周囲よりも一段凹んで形成されたコイル配置部22cを有する。また、基板部22Aは、それぞれのコイル配置部22cの両端に、配線パターンの電源ライン(図示略)に接続される給電パッド22bを有する。給電パッド22bは、コイル配置部22cに配置される角度補正用コイル部23(チルトコイル23A〜23D)と、例えば半田付けにより電気的に接続される。
【0051】
端子部22Bは、X方向に対向するチルトコイル23B、23D用の電源ライン(共通)に接続される2ピン、Y方向に対向するチルトコイル23A、23C用の電源ライン(共通)に接続される2ピン、ホール素子25A、25B用の電源ライン及び信号ラインに接続される8ピンの計12ピンの接続端子22dを有する。なお、接続端子22dの端子数はこれに限らず、並進振れ補正用駆動部で用いられる部品の入出力端子に対応した数となる。
【0052】
接続端子22dは、レンズ駆動装置1をリジッドFPC4に実装したとき、リジッドFPC4の端子パッド46と電気的に接続される。また、接続端子22dは、レンズ駆動装置1単体での動作確認を行う際に、検査評価装置に接続される。
【0053】
ホール素子保持部22Cは、ベース21の起立片21d、21eに対応する位置に形成される。それぞれのホール素子保持部22Cには、角度検出部25を構成するホール素子25A、25Bが配置される。ホール素子保持部22Cは、基板部22Aとの連設部位に切欠窓(符号略)を有する。この切欠窓(符号略)にベース21の起立片21d、21eが挿入され、ホール素子保持部22Cに配置されたホール素子25A、25Bの位置決めが行われる。
【0054】
角度検出部25は、角度振れ補正可動部10の回転揺動、すなわち撮像モジュール14の姿勢をセンシングし、X軸及びY軸に対する傾きを検出する。角度検出部25は、例えば、2つのホール素子25A、25Bにより構成される。ホール素子25A、25Bは、角度振れ補正用マグネット部12を構成する4つの永久磁石12A〜12Dのうちの2片(永久磁石12A、12B)とそれぞれ離間して対向配置されるように、角度振れ補正用コイル基板22のホール素子保持部22Cに実装される。
【0055】
ホール素子25A、25Bは、例えば永久磁石12A、12Bからの漏れ磁束がZ方向に横切るように配置される。ここでは、ホール素子25A、25Bは、基板部22Aに配置されるチルトコイル23A、23Bの外側に、これらと並んで実装され、チルトコイル112A、112B内に配置される永久磁石12A、12Bと対向する。
【0056】
角度検出部25の検出信号は、リジッドFPC4の信号ライン(図示略)を介して制御部(図示略)に出力される。制御部は、振れ検出部44の検出信号に相当する角度振れを補正する際、角度検出部25の検出信号に基づいて、角度振れ補正可動部10が基準位置に戻るように、角度振れ補正用コイル部23の通電電流を制御する(いわゆるフィードバック制御)。
【0057】
なお、角度検出部25は、レンズ駆動装置1ではなく、リジッドFPC4に実装するようにしてもよい。
【0058】
角度振れ補正用コイル基板22においては、接続端子22dを有する端子部22Bが基板部22Aから側方に延び、レンズ駆動装置1を組み立てた際にスカート24からも外方に突出する。これにより、レンズ駆動装置1をリジッドFPC4に実装する前に、角度振れ補正用コイル基板22の接続端子22dを検査評価装置にして、容易にレンズ駆動装置1の動作確認を行うことができる。
【0059】
実装前評価に合格したレンズ駆動装置1だけがリジッドFPC4に実装されるので、振れ検出部44やドライバーIC43等の高価な部品を有し、単体でも高価なリジッドFPC4が、レンズ駆動装置の動作不良に伴い使用不可となることを防止できる。したがって、信頼性の高いカメラモジュールAを、生産コストを低減しつつ製造することができる。
【0060】
図8は、撮像モジュール14を示す外観斜視図である。
図9は、撮像モジュール14を示す分解斜視図である。なお、
図8、
図9では、撮像モジュール用プリント配線基板400(
図4参照)を省略して示している。撮像モジュール14は、並進振れ補正用駆動部及びAF用駆動部を有する。
【0061】
図8、
図9に示すように、撮像モジュール14は、並進振れ補正用駆動部として、並進振れ補正可動部100、並進振れ補正固定部200、並進振れ補正用支持部300、撮像モジュール用プリント配線基板400(
図5参照)、及び撮像部(図示略)等を備える。
【0062】
並進振れ補正可動部100は、並進振れ補正固定部200に対して、光軸方向受光側に離間して配置され、並進振れ補正用支持部300によって並進振れ補正固定部200と連結される。並進振れ補正可動部100は、並進振れ補正用ボイスコイルモーターを構成する並進振れ補正用マグネット部(マグネット部122)を有し、並進振れ補正時にX方向又はY方向に並進移動する部分である。並進振れ補正固定部200は、並進振れ補正用ボイルコイルモーターを構成する並進振れ補正用コイル部231を有し、並進振れ補正用支持部300を介して並進振れ可動部100を支持する部分である。すなわち、並進振れ補正駆動部には、ムービングマグネット方式が採用されている。並進振れ補正可動部100は、AF用駆動部(AF可動部110及びAF固定部120、
図10参照)を含む。
【0063】
本実施の形態では、並進振れ補正用支持部300は、Z方向に沿って延在する6本のサスペンションワイヤーで構成される(以下「サスペンションワイヤー300」と称する)。サスペンションワイヤー300の一端(上端)は並進振れ補正可動部100(上側弾性支持部130、
図10参照)に固定され、他端(下端)は並進振れ補正固定部200(並進振れ補正用コイル基板230、
図11参照)に固定される。並進振れ補正可動部100は、サスペンションワイヤー300によって、XY平面内で揺動可能に支持される。
【0064】
6本のサスペンションワイヤー300のうち、サスペンションワイヤー301、302はホール素子161(
図10参照)の信号ラインとして使用される(信号用サスペンションワイヤー)。また、サスペンションワイヤー311、312はホール素子161の電源ラインとして使用される(ホール素子給電用サスペンションワイヤー)。さらに、サスペンションワイヤー321、322はAF用コイル部132(
図10参照)の電源ラインとして使用される(コイル給電用サスペンションワイヤー)。なお、サスペンションワイヤー300の本数は、これに限定されず、6本より多くてもよい。
【0065】
撮像部(図示略)は、撮像素子(図示略)を有し、並進振れ補正固定部200の光軸方向結像側に配置される。撮像素子(図示略)は、例えばCCD(chargecoupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子(図示略)の光軸方向受光側には、IRフィルター(図示略)が配置される。撮像素子(図示略)は、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。撮像部は、撮像モジュール用プリント配線基板400に実装される。
【0066】
撮像モジュール用プリント配線基板400は、ここでは、可撓性を有するフレキシブルプリント基板(Flexible printed circuits)により構成される。撮像モジュール用プリント配線基板400は、並進振れ補正用コイル部231及びAF用コイル部132の電源ライン、撮像素子(図示略)から出力される映像信号用の信号ライン、Z位置検出部160の電源ライン及び信号ライン、並びにXY位置検出部240の電源ライン及び信号ラインを含む配線パターン(図示略)を有する。撮像モジュール用プリント配線基板400は可撓性を有するため、角度振れ補正可動部10に設けられても、角度振れ補正可動部10の回転揺動を妨げない。
【0067】
撮像モジュール用プリント配線基板400は、レンズ駆動装置1を組み立てたときに、内側からスカート24を乗り超えて、カバー3の引出口3dを介して外部に引き出される(
図2、3参照)。引き出された撮像モジュール用プリント配線基板400は、リジッドFPC4のコネクター45に接続される。
【0068】
図10は、並進振れ補正可動部100の分解斜視図である。
図10に示すように、並進振れ補正可動部100は、AF可動部110、AF固定部120、上側弾性支持部130、及び下側弾性支持部140等を備える。
【0069】
AF可動部110は、AF固定部120に対して径方向内側に離間して配置され、上側弾性支持部130及び下側弾性支持部140によってAF固定部120と連結される。AF可動部110は、AF用ボイスコイルモーターを構成するAF用コイル部112を有し、ピント合わせ時に光軸方向に移動する部分である。AF固定部120は、AF用マグネット部(マグネット部122)を有し、上側弾性支持部130及び下側弾性支持部140を介してAF可動部110を支持する部分である。すなわち、AF用駆動部には、ムービングコイル方式が採用されている。
【0070】
AF可動部110は、レンズホルダー111、AF用コイル部112、及びZ位置検出用磁石150を有する。
【0071】
レンズホルダー111は、円筒形状の部材であり、レンズ収容部111aにレンズ部2(
図3参照)が接着又は螺合により固定される。レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの周面に、上側フランジ部111b及び下側フランジ部111cを有する。上側フランジ部111bと下側フランジ部111cとで挟まれる部分(以下「コイル巻線部」と称する)に、AF用コイル部112が巻線される。
【0072】
レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの上部外周において、X方向及びY方向(以下「十字方向」と称する)を45°回転した方向(以下「対角方向」と称する)と交差する4つの部分に、上側弾性支持部130を固定する上バネ固定部111eを有する。レンズホルダー111は、4つの上バネ固定部111eのうちの対角に位置する2つの上バネ固定部111eから径方向外側に突出する絡げ部111fを有する。また、レンズホルダー111は、下面において、十字方向と交差する4つの部分に、下側弾性支持部140を固定する下バネ固定部(符号略)を有する。
【0073】
レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの上部外周において、十字方向と交差する4つの部分に、上側フランジ部111b及び下側フランジ部111cよりも径方向外側に張り出す突出部111dを有する。突出部111dの上面がAF可動部110の光軸方向受光側への移動を規制するための被係止部となり、突出部111dの下面がAF可動部110の光軸方向結像側への移動を規制するための被係止部となる。
【0074】
AF用コイル部112は、ピント合わせ時に通電される空芯コイルであり、レンズホルダー111のコイル巻線部の外周面に巻線される。AF用コイル部112の両端は、レンズホルダー111の絡げ部111f、111fに絡げられる。
【0075】
位置検出用磁石150は、レンズホルダー111の上バネ固定部111eに形成された磁石収容部111hに配置される。Z位置検出部160に対応する側に配置される位置検出用磁石150(以下「第1の位置検出用磁石151」と称する)が、実際にAF可動部110の位置検出に用いられる。他方の位置検出用磁石150(以下「第2の位置検出用磁石152」と称する)は、AF可動部110の位置検出には用いられないダミー磁石である。第2の位置検出用磁石152は、AF可動部110に作用する磁力をバランスさせ、AF可動部110の姿勢を安定させるために配置される。すなわち、第2の位置検出用磁石152を配置しない場合、マグネット部122が発生する磁界によってAF可動部110に片寄った磁力が作用し、AF可動部110の姿勢が不安定となるので、第2の位置検出用磁石152を配置することにより、これを防止している。
【0076】
AF固定部120は、マグネットホルダー121、マグネット部122、及びZ位置検出部160を有する。マグネット部122は、マグネットホルダー121にAF可動部110が挿入された後、取り付けられる。
【0077】
マグネットホルダー121は、正方形状の上部枠体121fと上部枠体121fに垂設される側壁121gを有し、全体として四角筒形状を有する。マグネットホルダー121は、ここでは非磁性体で形成され、側壁121gの内面に取り付けられるマグネット部122を保持する。
【0078】
側壁121gは、補助ヨーク部123の係合部123aに係合する凸状の被係合部121hを有する。被係合部121hは、凸状部の基端側に、水平方向に窪み、係合部123aの爪部123bが嵌合する爪嵌合部121iを有する。
【0079】
マグネットホルダー121は、側壁121g同士の4つの連結部(Z方向に沿う4つの辺)に、径方向内側に円弧状に凹んで形成される。この部分にサスペンションワイヤー300が配置される(以下「ワイヤー挿通部121a」と称する)。ワイヤー挿通部121aを設けることにより、並進振れ補正可動部100が並進移動する際に、サスペンションワイヤー300とマグネットホルダー121が干渉するのを回避している。
【0080】
マグネットホルダー121は、上部枠体121fに、径方向内側にリング状に張り出すストッパー部121bを有する。ストッパー部121bにおいて、レンズホルダー111の上バネ固定部111eに対応する部分は切り欠かれており、マグネットホルダー121の上面よりも光軸方向受光側に、AF可動部110が移動できるようになっている。AF可動部110が光軸方向受光側に移動するときに、レンズホルダー111の突出部111dにストッパー部121bが当接することにより、AF可動部110の光軸方向受光側への移動が規制される。また、ストッパー部121bの上面には、上側弾性支持部130のアーム部131c、131f、132c、132fが載置される。
【0081】
マグネットホルダー121は、下面の四隅121eに、下側弾性支持部140を固定する下バネ固定部を有する(以下「下バネ固定部121e」と称する)。マグネットホルダー121は、上部枠体121fの四隅に、上側弾性支持部130を固定する上バネ固定部121cを有する。上バネ固定部121cの角部121dの上面は、マグネットホルダー121の上面(上側弾性支持部13が取り付けられる面)よりも僅かに凹んで形成され、上側弾性支持部130を取り付けたときに、隙間が形成されるようになっている(以下「「ダンパー材配置部121d」と称する)。ダンパー材配置部121dの頂角部(ワイヤー挿通部121aの上部に連設される部分)は、下部よりも外側に延出し、円弧状に切り欠かれている。ダンパー材配置部121dの円弧状に切り欠かれている部分は、ワイヤー挿通部121aの一部を構成する。
【0082】
マグネット部122は、4つの直方体状の永久磁石122A〜122D及び連結ヨーク124、125を有する。永久磁石122A〜122Dは、マグネットホルダー121の4つの側壁121gの内面に沿って配置される。永久磁石122A〜122Dは、AF用コイル部112に径方向に横切る磁界が形成されるように着磁される。例えば、永久磁石122A〜122Dは、内周側がN極、外周側がS極に着磁される。マグネット部122とマグネットホルダー121のストッパー部121bの間の空間に、レンズホルダー111の突出部111dが位置することとなる。本実施の形態では、マグネット部122は、AF用マグネット部と並進振れ補正用マグネット部を兼用する。
【0083】
永久磁石122Aの一方の長手方向端面と、これに隣接する永久磁石122Bの長手方向端面は、連結ヨーク124によって連結される。連結ヨーク124は、一方の端部にヨーク部124aを有し、他方の端部にヨーク部124bを有する。すなわち、永久磁石122Aの第1の位置検出用磁石151と近接する端面にヨーク部124aが配置され、永久磁石122Bの第1の位置検出用磁石151と近接する端面にヨーク部124bが配置される。
【0084】
同様に、永久磁石122Cの一方の長手方向端面と、これに隣接する永久磁石122Dの長手方向端面は、連結ヨーク125によって連結される。永久磁石122Cの第2の位置検出用磁石152と近接する端面にヨーク部125aが配置され、永久磁石122Dの第2の位置検出用磁石152と近接する端面にヨーク部125bが配置される。
【0085】
ヨーク部124a、124bは、マグネット部122が発生する磁束がホール素子161の検出部と交差するのを抑制するため、すなわちマグネット部122からの漏れ磁束を低減するために用いられる。ヨーク部124a、124bを配置することにより、ホール素子161の出力オフセットを低減し、増幅ゲインを高く設定することが可能となるので、検出感度が向上する。ヨーク部124a、124bを配置した場合、第1の位置検出用磁石151との間に吸引力が生じる。ヨーク部125a、125bは、AF可動部110に作用する磁力をバランスさせ、AF可動部110の姿勢を安定させるために配置される。
【0086】
本実施の形態では、連結ヨーク124、125を適用しているが、ヨーク部124a、123b、125a、125bは、それぞれ独立した部材で構成されていてもよい。ただし、ヨーク部124a、124bは、本実施の形態で示すように、連結されていることが好ましい。これにより、永久磁石122A、122Bのそれぞれにヨーク部を取り付ける場合に比較して、取付作業が格段に容易化される。また、ヨーク部124aとヨーク部124bとを連結する連結部と第1の位置検出用磁石151との間でも吸引力が生じるため、この吸引力が所望の値となるように連結ヨーク124を設計する場合、ヨーク部124a、124bの厚さを薄くすることができる。その分だけ永久磁石122A、122Bの長さを長くすることができるので、AF用駆動部の駆動特性が向上する。さらには、AF固定部120の強度を補強する上でも有用である。
【0087】
補助ヨーク部123は、磁性体からなり、例えば、SPCC(冷間圧延鋼板)等の板状の磁性体により形成される。マグネット部122に補助ヨーク部123を配置することにより、マグネット部122の磁力が増大するので、並進振れ補正時及びオートフォーカス時の推力が増大する。
【0088】
補助ヨーク部123は、永久磁石122A〜122Dのそれぞれに対応する4つの板状の補助ヨーク123A〜123Dを有する。補助ヨーク123A〜123Dの形状(高さ、長さ及び厚さ)は、並進振れ補正用駆動部及びAF用駆動部の磁気回路として機能する永久磁石122A〜122Dにおいて磁束が飽和しない程度に設定される。補助ヨーク123A〜123Dは、永久磁石122A〜122Dの外側の磁極面に吸着される。補助ヨーク123A〜123Dと永久磁石122A〜122Dを接着してもよい。
【0089】
補助ヨーク123A〜123Dの下面(並進振れ補正用コイル231A〜231Dに対向する面)は、対応する永久磁石122A〜122Dの下面と面一となるように取り付けられる。このとき、補助ヨーク123A〜123Dの上面は、対応する永久磁石122A〜122Dの上面よりも低いことが好ましい。
【0090】
補助ヨーク123A〜123Dは、上部に、マグネットホルダー121の側壁121gの被係合部121hに係合する係合部123aを有する。係合部123aは、凸状の被係合部121hの形状に対応して凹状に形成される。補助ヨーク部123の長手方向の中央部における磁束密度は低いため、この部分が切り欠かれていても、併進振れ補正用駆動部及びAF用駆動部において所望の推力を得ることができる。したがって、係合部123aを凹状に形成することにより、振れ補正用駆動部及びAF用駆動部における推力を確保しつつ、補助ヨーク部123の軽量化を図ることができる。
【0091】
さらに、係合部123aは、凹状部を構成する対向辺部の上端部のそれぞれに、対向方向に突出する爪部123bを有する。爪部123bがマグネットホルダー121の爪嵌合部121iに嵌合することにより、Z方向において、マグネットホルダー121に対する補助ヨーク部123の相対移動が規制されるので、マグネット部122に対して補助ヨーク部123を正確に位置決めすることができる。
【0092】
なお、補助ヨーク部123は、樹脂製のマグネットホルダー121とともにインサート成形により一体的に成形してもよい。インサート成形による部品の一体化により組立工数を減らし、且つ、補助ヨーク部123の位置精度を高めることができる。
【0093】
Z位置検出部160は、マグネットホルダー121の4つの上バネ固定部121dのうちの一つに配置される。Z位置検出部160は、ホール効果を利用して磁界の変化を検出するホール素子161と、ホール素子161への給電と検出信号の取り出し用の位置検出用基板162を有する。
【0094】
ホール素子161は、半導体素子からなる検出部(図示略)を有し、検出部の検出方向が光軸方向と一致するように配置される。Z位置検出部160は、主として第1の位置検出用磁石151による磁界の変化を検出する。これにより、光軸方向におけるAF可動部110の位置が検出される。
【0095】
上側弾性支持部130は、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる板バネであり、全体として平面視で正方形状を有する。上側弾性支持部130は、AF固定部120に対してAF可動部110を弾性支持する上側板バネ131、132、ホール素子161に給電するための電源ライン部133、134、及びホール素子161からの検出信号を取り出す信号ライン部135、136を有する。上側板バネ131、132、電源ライン部133、134及び信号ライン部135、136は、例えばエッチング加工により成形される。
【0096】
上側板バネ131は、2つのバネ部131A、131Bを有する。バネ部131Aは、レンズホルダー111に固定されるレンズホルダー固定部131a、レンズホルダー固定部131aの径方向外側に配置されマグネットホルダー121に固定されるマグネットホルダー固定部131b、及びレンズホルダー固定部131aとマグネットホルダー固定部131bを連結するアーム部131cを有する。同様に、バネ部131Bは、レンズホルダー固定部131d、マグネットホルダー固定部131e、及びアーム部131fを有する。レンズホルダー固定部131a、131dはアーム部131cの内側で連結され、マグネットホルダー固定部131b、131eはアーム部131c、131fの外側で連結される。
【0097】
レンズホルダー固定部131a、131dは、レンズホルダー111の上バネ固定部111eに対応する形状を有する。レンズホルダー固定部131a、131dの固定穴(符号略)が、レンズホルダー111の位置決めボス(符号略)に挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して上側板バネ131が位置決めされ、固定される。
【0098】
マグネットホルダー固定部131b、131eは、マグネットホルダー121の上バネ固定部121cに対応する形状を有する。マグネットホルダー固定部131b、131eの固定穴(符号略)が、上バネ固定部121cの位置決めボス(符号略)に挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して上側板バネ131が位置決めされ、固定される。
【0099】
アーム部131c、131fは、XY平面内で波打つように延在し、AF可動部110が並進移動するときに弾性変形する。
【0100】
上側板バネ131は、マグネットホルダー固定部131bから湾曲して延在するワイヤー接続部131gを有する。ワイヤー接続部131gには、AF用コイル部112への給電用のサスペンションワイヤー322(
図9参照)が接続される。上側板バネ131は、レンズホルダー固定部131dから延在する平面視U字状のコイル接続部131hを有する。コイル接続部131hは、レンズホルダー111の一方の絡げ部111fに絡げられたAF用コイル部112の一端部と、はんだ付けにより電気的に接続される。
【0101】
上側板バネ132は、上側板バネ131と完全に同一の形状ではないが、基本的な構造は同様であるので説明を省略する。上側板バネ132のワイヤー接続部132gには、AF用コイル部112への給電用のサスペンションワイヤー321(
図9参照)が接続される。また、コイル接続部132hは、レンズホルダー111の他方の絡げ部111fに絡げられたAF用コイル部112の他端部と、はんだ付けにより電気的に接続される。
【0102】
電源ライン部133は、両端部にマグネットホルダー121の位置決めボス(符号略)に対応する固定穴133a、133bを有する。電源ライン部133は、一方の端部(固定穴133a側の端部)に、湾曲して延在するワイヤー接続部133cを有する。ワイヤー接続部133cには、ホール素子161への給電用のサスペンションワイヤー311(
図9参照)が接続される。電源ライン部133の他方の端部(固定穴133b側の端部)は、位置検出用基板162の電源端子に接続される。
【0103】
電源ライン部134は、電源ライン部133と対称な形状を有する。電源ライン部134のワイヤー接続部134cには、ホール素子161への給電用のサスペンションワイヤー32B(
図5参照)が接続される。また、電源ライン部134の他方の端部(固定穴134b側の端部)は、位置検出用基板162の電源端子に接続される。
【0104】
信号ライン部135は、マグネットホルダー121の位置決めボス(符号略)に対応する固定穴135aを有する。信号ライン部135は、一方の端部に、湾曲して延在するワイヤー接続部135bを有する。ワイヤー接続部135bには、ホール素子161からの検出信号取り出し用のサスペンションワイヤー301(
図9参照)が接続される。信号ライン部135の他方の端部は、位置検出用基板162の信号端子に接続される。
【0105】
信号ライン部136は、信号ライン部135と対称な形状を有する。信号ライン部136のワイヤー接続部136bには、ホール素子161からの信号取り出し用のサスペンションワイヤー302(
図9参照)が接続される。また、信号ライン部136の他方の端部136aは、位置検出用基板162の信号端子に接続される。
【0106】
ワイヤー接続部131g、132g、133c、134c、135b、136bは、マグネットホルダー121のワイヤー挿通部121aの光軸方向受光側に位置する。上側弾性支持部130をマグネットホルダー121に取り付けた状態において、ワイヤー接続部131g、132g、133c、134c、135b、136bとダンパー材配置部121dの間には隙間が形成される(
図9参照)。この隙間にはダンパー材が配置される。
【0107】
また、ワイヤー接続部131g、132g、133c、134c、135b、136bは、弾性変形しやすい形状を有する。ワイヤー接続部131g、132g、133c、134c、135b、136bとサスペンションワイヤー300との撓みにより、落下時の衝撃が吸収される。したがって、落下等の衝撃によって、サスペンションワイヤー300が塑性変形したり破断したりするのを効果的に防止できる。
【0108】
下側弾性支持部140は、上側弾性支持部130と同様に、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる板バネであり、全体として平面視で正方形状を有する(以下「下側板バネ140」と称する)。下側板バネ140は、AF固定部120(マグネットホルダー121)とAF可動部110(レンズホルダー111)とを弾性的に接続する。下側板バネ140は、例えばエッチング加工により成形される。
【0109】
下側板バネ140は、4つのバネ部141を有する。バネ部141は、それぞれ、レンズホルダー111に固定されるレンズホルダー固定部141a、レンズホルダー固定部141aから45°回転した位置に配置されマグネットホルダー121に固定されるマグネットホルダー固定部141b、及びレンズホルダー固定部141aとマグネットホルダー固定部141bを連結するアーム部141cを有する。
【0110】
隣接するレンズホルダー固定部141aは、連結部142で連結されており、全体として、レンズホルダー111の下バネ固定部(図示略)に対応する形状を有する。レンズホルダー固定部141aの固定穴(符号略)が、レンズホルダー111の下バネ固定部の位置決めボス(図示略)に挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して下側板バネ14が位置決めされ、固定される。
【0111】
マグネットホルダー固定部141bは、マグネットホルダー121の下バネ固定部121eに対応する形状を有する。マグネットホルダー固定部141b〜144bの固定穴が、下バネ固定部121eの位置決めボスに挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して下側板バネ14が位置決めされ、固定される。
【0112】
並進振れ補正可動部100においては、まず、マグネットホルダー121にZ位置検出部160(ホール素子161及び位置検出用基板162)が取り付けられ、マグネットホルダー121のヨーク収容部(符号略)に連結ヨーク124、125が取り付けられる。そして、上バネ固定部121cに上側弾性支持部130が取り付けられる。
【0113】
このとき、電源ライン部133、134の一端は、位置検出用基板162の電源端子にはんだ付けされ、電気的に接続される。また、信号ライン部135、136の一端は、位置検出用基板162の信号端子にはんだ付けされ、電気的に接続される。
【0114】
次に、レンズホルダー111の下バネ固定部(図示略)に下側板バネ140が取り付けられ、この状態で、レンズホルダー111が光軸方向結像側からマグネットホルダー121に挿嵌される。そして、上側板バネ131、132がレンズホルダー111の上バネ固定部111eに取り付けられる。また、マグネットホルダー121の下バネ固定部(図示略)に下側板バネ140が取り付けられる。
【0115】
このとき、上側板バネ131のコイル接続部131hは、レンズホルダー111の一方の絡げ部111fに絡げられたAF用コイル部112の一端部にはんだ付けされ、電気的に接続される。同様に、上側板バネ132の絡げ接続部132hは、レンズホルダー111の他方の絡げ部111fに絡げられたAF用コイル部112の他端部にはんだ付けされ、電気的に接続される。
【0116】
次に、永久磁石122A〜122Dが光軸方向結像側からマグネットホルダー121に挿入され、接着される。同時に、永久磁石122Aの長手方向端面にはヨーク124の一方のヨーク部124aが接着され、永久磁石122Bの長手方向端面にはヨーク124の他方のヨーク部124bが接着される。また、永久磁石122Cの長手方向端面にはヨーク125の一方のヨーク部125aが接着され、永久磁石122Dの長手方向端面にはヨーク125の他方のヨーク部125bが接着される。
【0117】
次に、補助ヨーク部123が、マグネットホルダー121に径方向外側から嵌合により取り付けられる。具体的には、補助ヨーク123A〜123Dは、永久磁石122A〜122Dの吸引力を利用して永久磁石122A〜122Dの外側面に吸着し、係合部123aがマグネットホルダー121の被係合部121hに係合した状態となる。
【0118】
図11は、並進振れ補正固定部200を示す分解斜視図である。
図11に示すように、並進振れ補正固定部200は、ベース210、接続基板220、並進振れ補正用コイル基板230、及びXY位置検出部240等を備える。
【0119】
ベース210は、平面視で正方形状の部材であり、中央に円形の開口210aを有する。ベース部材210は、開口210aの周縁部において、並進振れ補正用コイル基板230の位置決め穴230c及び接続基板220の位置決め穴220bと対応する位置に位置決めボス210bを有する。
【0120】
ベース210は、周縁部において、接続基板220の制御端子220cと対応する位置に凹部210cを有する。凹部210cは、下方に向かって外側に拡がるテーパー状に形成される。また、ベース210は、開口210aの周縁部において、ホール素子241、242を収容するホール素子収容部210d、接続基板220の電源端子220dを収容する端子収容部210eを有する。
【0121】
並進振れ補正用コイル基板230は、ベース210と同様に平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口230aを有する。並進振れ補正用コイル基板230は、四隅に、サスペンションワイヤー300の他端(下端)が挿入されるワイヤー固定穴230bを有する。また、並進振れ補正用コイル基板230は、開口230aの周縁部において、対角方向と交差する位置に、位置決め穴230cを有する。
【0122】
並進振れ補正用コイル基板230は、光軸方向においてマグネット部122と対向する位置に並進振れ補正用コイル部231を有する。並進振れ補正用コイル部231は、永久磁石122A〜122Dに対応する4つのシフトコイル231A〜231Dを有する。シフトコイル231A〜231Dのそれぞれの長辺部分を、永久磁石122A〜122Dの底面から放射される磁界がZ方向に横切るように、シフトコイル231A〜231D及び永久磁石122A〜122Dの大きさや配置が設定される。
【0123】
接続基板220は、ベース210と同様に平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口220aを有する。接続基板220は、開口220aの周縁部において、並進振れ補正用コイル基板230の位置決め穴230cと対応する位置に位置決め穴220bを有する。接続基板220は、Y方向に沿う2辺に、それぞれ下方に屈曲して形成される制御端子220cを有する。制御端子220cは、撮像部(図示略)と電気的に接続される。
【0124】
接続基板220は、開口220aの内周縁部の対角方向と交差する4箇所に、並進振れ補正用コイル部231に給電するための電源端子220dを有する。また、接続基板220は、AF用コイル部112及び並進振れ補正用コイル部231に給電するための電源ライン(図示略)、XY位置検出部240から出力される検出信号用の信号ライン(図示略)を含む配線パターンを有する。接続基板22の裏面には、XY平面における並進振れ補正可動部100の位置を検出するXY位置検出部240が配置される。
【0125】
位置検出部240は、例えばホール効果を利用して磁界を検出するホール素子241、242(磁気センサー)で構成される。ホール素子241、242は、接続基板220の下面の隣接する2辺において、それぞれの略中央に配置される。マグネット部122によって形成される磁界を、ホール素子241、242で検出することにより、XY平面における並進振れ補正可動部100の位置を特定することができる。なお、マグネット部122とは別に、XY位置検出用磁石を並進振れ補正可動部100に配置するようにしてもよい。
【0126】
並進振れ補正固定部200においては、まず、並進振れ補正用コイル基板230と接続基板220をはんだ付けにより接着する。これにより、並進振れ補正用コイル部231と接続基板220の電源ライン(図示略)が電気的に接続される。
【0127】
次に、ベース210の位置決めボス210bに並進振れ補正用コイル基板230の位置決め穴230c及び接続基板220の位置決め穴220bを挿嵌し、並進振れ補正用コイル基板230及び接続基板220をベース210に載置する。接続基板220の制御端子220cがベース210の凹部210cに係合されることにより、並進振れ補正用コイル基板230及び接続基板220がベース210に固定される。
【0128】
レンズ駆動装置1においては、サスペンションワイヤー321、322の一端が、それぞれ、上側板バネ132のワイヤー接続部132g、上側板バネ131のワイヤー接続部131gに挿通され、はんだ付けにより固定される。サスペンションワイヤー311、312の一端が、それぞれ、電源ライン部133のワイヤー接続部133c、電源ライン部134のワイヤー接続部134cに挿通され、はんだ付けにより固定される。サスペンションワイヤー301、302の一端が、それぞれ信号ライン部135のワイヤー接続部135b、信号ライン部136のワイヤー接続部136bに挿通され、はんだ付けにより固定される。これにより、サスペンションワイヤー300と上側板バネ131、132、電源ライン部133、134、及び信号ライン部135、136が電気的に接続される。
【0129】
次に、サスペンションワイヤー300の他端(下端)が、並進振れ補正用コイル基板230のワイヤー固定穴230bに挿通され、はんだ付けにより固定される。これにより、サスペンションワイヤー300と接続基板220の電源ライン及び信号ラインが電気的に接続される。すなわち、サスペンションワイヤー300と上側弾性支持部130を介して、AF用コイル部112及びホール素子161への給電、並びにホール素子161の動作制御が可能となる。
【0130】
また、サスペンションワイヤー300を囲むように、マグネットホルダー121のダンパー材配置部121d(ワイヤー挿通部121aの上部を含む)にダンパー材(図示略)が配置される。ダンパー材が上側板バネ131、132とマグネットホルダー121との間に介在することとなる。上側板バネ131、132とマグネットホルダー121との間にダンパー材(図示略)を介在させることにより、不要共振(高次の共振モード)の発生が抑制されるので、動作の安定性を確保することができる。ダンパー材は、ディスペンサーを使用して、ダンパー材配置部121dに容易に塗布することができる。ダンパー材としては、例えば紫外線硬化性のシリコーンゲルを適用できる。
【0131】
レンズ駆動装置1において並進振れ補正を行う場合には、並進振れ補正用コイル部231への通電が行われる。具体的には、並進振れ補正用駆動部では、カメラモジュールAの並進振れが相殺されるように、振れ検出部44(加速度センサー)からの並進振れを示す検出信号に基づいて、並進振れ補正用コイル部231の通電電流が制御される。このとき、XY位置検出部240の検出結果をフィードバックすることで、並進振れ補正可動部10の並進移動を正確に制御することができる。
【0132】
並進振れ補正用コイル部231に通電すると、マグネット部122の磁界と並進振れ補正用コイル部231に流れる電流との相互作用により、並進振れ補正用コイル部231にローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。ローレンツ力の方向は、並進振れ補正用コイル部231の長辺部分における磁界の方向(Z方向)と電流の方向(X方向又はY方向)に直交する方向(Y方向又はX方向)である。並進振れ補正用コイル部231は固定されているので、マグネット部122に反力が働く。この反力が並進振れ補正用ボイスコイルモーターの駆動力となり、マグネット部122を有する並進振れ補正可動部100がXY平面内で揺動し、並進振れ補正が行われる。
【0133】
レンズ駆動装置1において角度振れ補正を行う場合には、角度振れ補正用コイル部23への通電が行われる。具体的には、角度振れ補正用駆動部では、カメラモジュールAの角度振れが相殺されるように、振れ検出部44(ジャイロセンサー)からの角度振れを示す検出信号に基づいて、角度振れ補正用コイル部23の通電電流が制御される。このとき、角度検出部25の検出結果をフィードバックすることで、角度振れ補正可動部10の揺動回転を正確に制御することができる。
【0134】
角度振れ補正用コイル部23に通電すると、角度振れ補正用マグネット部12の磁界と角度振れ補正用コイル部23に流れる電流との相互作用により、角度振れ補正用コイル部23にローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。ローレンツ力の方向は、角度振れ補正用コイル部23の長辺部分における磁界の方向(X方向又はY方向)と電流の方向(Y方向又はX方向)に直交する方向(Z方向)である。角度振れ補正用コイル部23は固定されているので、角度振れ補正用マグネット部12に反力が働く。この反力が角度振れ補正用ボイスコイルモーターの駆動力となり、角度振れ補正用マグネット部12を有する角度振れ補正可動部10がX軸又はY軸を中心に回転揺動し、角度振れ補正が行われる。
【0135】
例えば、Y方向に対向するチルトコイル23A、23Cに互いに逆向きの電流を流すと、永久磁石12A、12CにはZ方向において互いに逆向きの力が働く。したがって、撮像モジュール14を含む角度振れ補正可動部10は、角度振れ補正用支持部30の中央部30aを支点として、X軸を中心に揺動回転する。同様に、X方向に対向するチルトコイル23B、23Dに互いに逆向きの電流を流すと、撮像モジュール14を含む角度振れ補正可動部10は、角度振れ補正用支持部30の中央部30aを支点として、Y軸を中心に揺動回転する。角度振れ補正用ボイスコイルモーターの駆動力(角度振れ補正用マグネット部12に働く力)と、角度振れ補正用支持部30の復元力が釣り合うまで、角度振れ補正可動部10は揺動回転する。これにより、角度振れによる光軸のズレが補正され、光軸方向が一定に保持される。
【0136】
レンズ駆動装置1において自動ピント合わせを行う場合には、AF用コイル部112への通電が行われる。AF用コイル部112に通電すると、マグネット部122の磁界とAF用コイル部112に流れる電流との相互作用により、AF用コイル部112にローレンツ力が生じる。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(X方向又はY方向)とAF用コイル部211に流れる電流の方向(Y方向又はX方向)に直交する方向(Z方向)である。マグネット部122は固定されているので、AF用コイル部112に反力が働く。この反力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、AF用コイル部112を有するAF可動部110が光軸方向に移動し、ピント合わせが行われる。
【0137】
レンズ駆動装置1のAF用駆動部においては、Z位置検出部160の検出信号に基づいて、クローズドループ制御が行われる。クローズドループ制御方式によれば、ボイスコイルモーターのヒステリシス特性を考慮する必要がなく、またAF可動部110の位置が安定したことを直接的に検出できる。さらには、像面検出方式の自動ピント合わせにも対応できる。したがって、応答性能が高く、自動ピント合わせ動作の高速化を図ることができる。
【0138】
ここで、ピント合わせを行わない無通電時には、AF可動部110は、上側板バネ131、132及び下側板バネ140によって、無限遠位置とマクロ位置との間に吊られた状態(以下「基準状態」と称する)となる。すなわち、並進振れ補正可動部100において、AF可動部110(レンズホルダー111)は、上側板バネ131、132及び下側板バネ140によって、AF固定部120(マグネットホルダー121)に対して位置決めされた状態で、Z方向両側に変位可能に弾性支持される。
【0139】
ピント合わせを行うときには、AF可動部110を基準状態からマクロ位置側へ移動させるか、無限遠位置側に移動させるかに応じて、電流の向きが制御される。また、AF可動部110の移動距離に応じて、電流の大きさが制御される。
【0140】
ピント合わせ時にAF可動部110が無限遠位置側へ移動する場合、レンズホルダー111の突出部111dの下面がマグネット部122の上面に近づき、最終的に当接する。すなわち、レンズホルダー111の突出部111dの下面とマグネット部122の上面によって、無限遠位置側への移動が規制される。
【0141】
一方、ピント合わせ時にAF可動部110がマクロ位置側へ移動する場合、レンズホルダー111の突出部111dの上面がマグネットホルダー121のストッパー部121bの下面に近づき、最終的に当接する。すなわち、レンズホルダー111の突出部111dの上面とマグネットホルダー121のストッパー部121bの下面によって、マクロ位置側への移動が規制される。
【0142】
このように、レンズ駆動装置1は、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部(図示略)と、並進振れを検出する振れ検出部44(並進振れ検出部)からの検出信号に基づいて、レンズ部2を光軸に直交する平面内で揺動させることにより並進振れ補正を行う並進振れ補正用駆動部と、角度振れを検出する振れ検出部44(角度振れ検出部)からの検出信号に基づいて、撮像部(図示略)及び並進振れ補正用駆動部を一体的に傾斜させることにより角度振れ補正を行う角度振れ補正用駆動部と、を備える。
【0143】
具体的には、レンズ駆動装置1における並進振れ補正用駆動部は、レンズ部2の周囲に配置されるマグネット部122(並進振れ補正用マグネット部)と、マグネット部122から光軸方向に離間して配置される並進振れ補正用コイル部231と、並進振れ補正用コイル部231を含む並進振れ補正固定部200に対して、マグネット部122を含む並進振れ補正可動部100を揺動可能に支持するサスペンションワイヤー300(並進振れ補正用支持部)と、を有し、並進振れ補正用コイル部231とマグネット部122で構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して並進振れ補正を行う。
【0144】
また、レンズ駆動装置1における角度振れ補正用駆動部は、レンズ部2の周囲に配置される角度振れ補正用マグネット部12と、角度振れ補正用マグネット部12から光軸方向に離間して配置される角度振れ補正用コイル部23と、角度振れ補正用コイル部23を含む角度振れ補正固定部20に対して、撮像モジュール14(撮像部(図示略)、並進振れ補正用駆動部)及び角度振れ補正用マグネット部12を含む角度振れ補正可動部10を傾斜可能に支持する角度振れ補正用支持部30と、を有し、角度振れ補正用コイル部23と角度振れ補正用マグネット部12で構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して角度振れ補正を行う。
【0145】
また、レンズ駆動装置1は、レンズ部2の周囲に配置されるAF用コイル部112と、AF用コイル部112から径方向に離間して配置されるマグネット部122(オートフォーカス用マグネット部)と、マグネット部122を含むAF固定部120に対して、AF用コイル部112を含むAF可動部110を光軸方向に移動可能に支持する上側弾性支持部130及び下側弾性支持部(オートフォーカス用支持部)と、を有し、AF用コイル部112とマグネット部122で構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して自動ピント合わせを行うAF用駆動部を備える。
【0146】
レンズ駆動装置1によれば、角度振れ補正に加えて、並進振れ補正を行うことができる。具体的には、チルト方式の角度振れ補正用駆動部によって角度振れ補正を行い、シフト方式の並進振れ補正用駆動部によって並進振れ補正を行うので、マクロ撮影のように高倍率で撮影が行われる場合にも、撮影画像の四隅に歪みが生じることなく、高品質な撮影画像を得ることができる。また、振れ補正に関する制御を簡略化することができる上、それぞれの駆動部の調整及び評価を容易化することができる。さらには、振れ補正が効率よく行われるため、オートフォーカスの高速化及びフォーカス精度の向上を図ることができる。
【0147】
また、チルト方式の振れ補正用駆動部及びシフト方式の振れ補正用駆動部のいずれか一方によって角度振れ補正と並進振れ補正に対応する場合、振れ補正可動部の可動範囲を大きくする必要があり、装置の大型化を招く虞があるが、実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、従来と同等のサイズで実現することができる。
【0148】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0149】
例えば、実施の形態では、角度振れ補正用駆動部及び並進振れ補正用駆動部にムービングマグネット方式を採用したレンズ駆動装置を開示しているが、本発明には、角度振れ補正用駆動部及び並進振れ補正用駆動部の一方にムービングコイル方式を採用したレンズ駆動装置も含まれる。また例えば、実施の形態では、AF用駆動部にムービングコイル方式を採用したレンズ駆動装置を開示しているが、本発明には、ムービングマグネット方式のAF用駆動部を備えるレンズ駆動装置も含まれる。
【0150】
また、角度振れ補正固定部20が角度振れ補正用コイル部23を有し、角度振れ補正可動部10が角度振れ補正用マグネット部12を有する、いわゆるムービングマグネット方式のレンズ駆動装置1について説明したが、本発明は、角度振れ補正固定部が角度振れ補正用マグネット部を有し、角度振れ補正可動部が角度振れ補正用コイル部を有する、いわゆるムービングコイル方式のレンズ駆動装置にも適用できる。この場合、ヨークも角度振れ補正固定部に配置されることとなる。
【0151】
また、実施の形態では、X軸を中心に角度振れ補正可動部10を揺動回転させるボイスコイルモーターとして、チルトコイル23A、永久磁石12A及びチルトコイル23C、永久磁石12Cの2組を配置し、Y軸を中心に角度振れ補正可動部10を揺動回転させるボイスコイルモーターとして、チルトコイル23B、永久磁石12B及びチルトコイル23D、永久磁石12Dの2組を配置しているが、それぞれ少なくとも1組が配置されていればよい。
【0152】
実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンMを挙げて説明したが、本発明は、情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置に適用できる。情報機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールAとカメラモジュールAで得られた画像情報を処理する制御部を有する情報機器であり、例えばカメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールAとカメラモジュールAで得られた画像を処理する制御部を有する輸送機器であり、例えば自動車を含む。
【0153】
図12は、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。
図12Aは自動車Vの正面図であり、
図13Aは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。
図12に示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0154】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。