(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0010】
[実施例1]
図1は、実施例1による端末装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1のP部の拡大図である。
図3乃至
図4は、端末装置1の分解斜視図であり、
図3は、フロント側からの斜視図であり、
図4は、リア側からの斜視図である。
図5は、リア側から視た端末装置1の一部の分解斜視図であり、バックカバー50が取り外された状態での斜視図である。
図6は、端末装置1の角部の内部構造の説明する一部切欠き斜視断面図である。尚、
図3及び
図4において、細かい部材(ねじやキャップ等)等については一部の図示が省略されている。
【0011】
以下では、説明上、端末装置1の長手方向を、Y方向と定義し、直交する3軸であるX軸,Y軸,及びZ軸を定義する。ここでは、端末装置1のLCD(Liquid Crystal Display)ガラス12の表示面がXY平面に対応し、Z軸のZ1側が端末装置1のフロント側に対応し、Z2側がリア(背面)側に対応する。また、側面は、Z方向に延在する面を指し、側方とは、XY平面内に延在する方向を指す。
【0012】
端末装置1は、携帯型の電子機器であるが、ラップトップのような固定型の電子機器であってもよい。端末装置1は、携帯電話(スマートフォンを含む)、PDA(personal digital assistant)、タブレットのような携帯型情報端末、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤ等であってよい。
【0013】
端末装置1は、タッチパネル11と、LCDガラス12と、フロントカバー20(第2支持部材の一例)と、バックカバー50と、インナカバー60(第1支持部材の一例)と、保護部80とを含む。フロントカバー20及びバックカバー50は、端末装置1の筐体を形成し、内部空間を形成する。以下では、「外側/内側」や「外方/内方」という用語は、端末装置1の筐体の内部空間を基準とする。具体的には、外側/外方は、端末装置1の筐体の内部空間から離れる側/方向を指し、内側/内方は、端末装置1の筐体の内部空間に近づく側/方向を指す。
【0014】
タッチパネル11は、端末装置1の操作部として機能する。タッチパネル11は、例えば、静電式であってもよいし、感圧式であってもよい。タッチパネル11は、端末装置1のフロント側で、XY平面内に延在する。
【0015】
LCDガラス12は、タッチパネル11と共に、端末装置1のフロント側で、XY平面内に延在する。LCDガラス12は、タッチパネル11の背面を覆う態様で設けられる。尚、LCDガラス12とタッチパネル11は、LCDガラス12のフロント側にタッチパネル11の層を含む多層構造体により実現されてもよい。
【0016】
フロントカバー20は、例えば板金又は樹脂により形成される。フロントカバー20は、XY平面内に延在し、略矩形の外形を有する。フロントカバー20は、LCDガラス12の背面側に設けられ、LCDガラス12及びタッチパネル11を保持する。フロントカバー20は、例えば、LCDガラス12の側面及び背面を覆う形状を有する(
図3参照)。
【0017】
フロントカバー20は、リア側の表面(XY平面内に延在する表面)に、雌ネジが切られたボス22(雌ネジ部の一例)を備える。ボス22は、後述の保護部80の取付位置に対応して、フロントカバー20の4隅の角部のそれぞれに設けられる。ボス22には、ネジ24が結合される。ネジ24及びボス22は、フロントカバー20、インナカバー60、及び保護部80を結合させる締結部となる。
【0018】
フロントカバー20は、4方に側面枠220を含む。側面枠220は、
図1に示すように、フロント面221からZ方向でZ2側に延在する。側面枠220は、フロントカバー20のリア側の表面(XY平面内に延在する表面)の4辺に沿った縁部に立設される。側面枠220のZ方向の延在幅は、バックカバー50の厚みと合わせて、端末装置1の厚み(Z方向の幅)を形成する。尚、側面枠220の外表面は、端末装置1の側面における意匠面(外観として露出する表面)となり、フロント面221は、タッチパネル11と共に、端末装置1のフロント面における意匠面となる。尚、側面枠220の外表面は、4隅の角部において湾曲される(いわゆるピン角にならないように丸み、即ちアールRが付けられる)。
【0019】
側面枠220は、XY平面内に延在する空間(筐体の内部空間)を囲繞する。空間224には、後述のインナカバー60が設けられる。
【0020】
側面枠220は、4隅の角部のそれぞれに切欠き222を有する。切欠き222は、
図1及び
図2に示すように、側面枠220におけるZ方向の一部に形成されてよい。
図1及び
図2では、切欠き222は、側面枠220におけるZ方向のZ2側に形成されているが、Z方向の中央のみに形成されてもよいし、Z1側に形成されてもよい。
【0021】
バックカバー50は、端末装置1の背面における意匠面となる。バックカバー50は、例えば樹脂により形成される。尚、実施例1では、整備性を高めるために、バックカバー50は、インナカバー60とは別体であるが、バックカバー50は、インナカバー60と一体に形成されてもよい。
【0022】
インナカバー60は、フロントカバー20とは別体の部材である。インナカバー60は、フロントカバー20に対してリア側に設けられる。インナカバー60は、上述のように、筐体の内部空間に配置される。実施例1では、インナカバー60は、全体が筐体の内部空間内に配置される(即ち端末装置1の外部に露出する部位を有さない)。インナカバー60は、例えば板金又は樹脂により形成される。インナカバー60は、
図3に示すように、XY平面内に延在する表面(部品搭載表面)66を有し、フロントカバー20よりも若干小さい略矩形の外形を有する。
【0023】
インナカバー60は、後述の保護部80の取付位置に対応して、
図4に示すように、4隅の角部のそれぞれに、保護部80が取り付けられる取付部62と、当接面64(後出の
図9参照)とを含む。取付部62は、
図4(及び後出の
図9)に示すように、座面621と、ネジ挿通穴622とを含む。座面621は、保護部80の座面であり、ネジ挿通穴622は、ネジ24が挿通される穴である。ネジ挿通穴622は、ネジ24の軸部の径よりも若干大きい径を有する。ネジ挿通穴622は、中心軸(Z方向)がボス22と同軸になる位置に形成される。当接面64については、後出の
図9を参照して後述する。
【0024】
インナカバー60は、
図3に示すように、端末装置1の各種内部構成要素を保持する。例えば、インナカバー60は、基板70(
図3参照)やバッテリ72等を保持する。基板70には、端末装置1の各種機能を実現するための各種電子回路(図示せず)が設けられる。電子回路は、例えばチップの形態の電子部品に含まれる電子回路や、基板に形成される配線パターンを含んでよい。
【0025】
ここで、インナカバー60が保持する各部品(第1部品の一例)は、フロントカバー20が保持する部品であるタッチパネル11やLCDガラス12(第2部品の一例)に比べて、耐衝撃性が高い。即ち、タッチパネル11やLCDガラス12は、衝撃を受けることで比較的容易に破損しやすいが、基板70やバッテリ72は、衝撃を受けても破損し難い(比較的頑強である)。
【0026】
保護部80は、
図4に示すように、インナカバー60に設けられる。保護部80は、後に詳説するように、端末装置1の落下などで加わり得る端末装置1への衝撃から、端末装置1を保護する機能を有する。端末装置1の構成要素の中には、耐衝撃性が比較的低い部品があり、その代表例がLCDガラス12やタッチパネル11である。実施例1による保護部80は、後に詳説するように、LCDガラス12やタッチパネル11に伝わる衝撃を低減する機能を有する。
【0027】
実施例1では、一例として、保護部80は、インナカバー60とは別体であり、インナカバー60に取り付けられる。具体的には、保護部80は、
図5に示すように、ネジ24によりインナカバー60に締結される。取り付け方法の更なる詳細については、
図9乃至
図11を参照して後述する。
【0028】
保護部80は、
図1に示すように、好ましくは、端末装置1の4隅の角部のそれぞれに、端末装置1の側面から外方に突出する態様で設けられる。実施例1では、一例として、保護部80は、端末装置1の4隅の角部のそれぞれに形成される側面枠220の切欠き222に対応して、4つ設けられる。保護部80は、
図2及び
図6に示すように、フロントカバー20の側面枠220の切欠き222を介して側面枠220よりも内方から側面枠220よりも外方(側方の外側)に延出する。従って、保護部80は、端末装置1の4隅の角部のそれぞれにおいて、
図2に示すように、フロントカバー20よりも外方(側方の外側)に延出する。以下では、保護部80におけるフロントカバー20よりも外方に延出する部位を、「突出部位82」と称する。
【0029】
保護部80の突出部位82は、側面視で、フロントカバー20に重ならない領域に延在する。即ち、XY平面内における保護部80の突出部位82よりも内側には、フロントカバー20が(近接して)延在することはない。実施例1では、一例として、保護部80の突出部位82は、側面視で、側面枠220の切欠き222に対応した外形であって、切欠き222よりも若干小さい外形を有する(
図2及び
図6参照)。これにより、突出部位82に衝撃が加わったときに、突出部位82が内方に変位しても、突出部位82がフロントカバー20の側面枠220に当たることが無く、フロントカバー20への衝撃の伝達を低減できる。この点は、
図13A乃至
図14B等を参照して後述する。
【0030】
次に、
図7A乃至
図12を参照して、保護部80、及び保護部80に関連する構造の更なる詳細について説明する。
【0031】
図7Aは、フロント側からの保護部80の斜視図であり、
図7Bは、リア側からの保護部80の斜視図である。
図8は、保護部80の3面図である。
図9乃至
図11は、保護部80の取り付け方法の説明図である。
図12は、ノミナル状態(設計中立状態)における保護部80とインナカバー60及びフロントカバー20との関係の説明図であり、バックカバー50を取り外した状態でリア側から視た端末装置1の角部の上面図である。
【0032】
保護部80は、
図8に示すように、突出部位82と、基部83と、ネジ挿通穴84とを含む。
【0033】
突出部位82は、上述のように、ノミナル状態において、フロントカバー20から外方(側方の外側)に延出する部位である。尚、ノミナル状態とは、設計通りに組み付けられたときの状態である。尚、「ノミナル状態」という用語は、突出部位82は、衝撃等が加わることで、内方に変位しうるために、かかる変位後の状態と区別することを目的として適宜用いられる。
【0034】
突出部位82は、側面枠220の外表面と共に、端末装置1の側面における意匠を形成する。意匠性を高めるために、突出部位82は、好ましくは、周囲の側面枠220の外表面に対応した側面形状(例えば周囲の側面枠220の外表面に対して連続的な側面形状)を有する。実施例1では、一例として、突出部位82の外表面(側面)は、同領域における側面枠220の外表面に対して、外方に距離ΔL1だけオフセットした関係を有する(
図12参照)。距離ΔL1は、ノミナル状態における突出部位82の突出量(第2距離の一例)に対応する。例えば、
図12に示すように、角部における側面枠220の外表面の曲率半径をR0とすると、突出部位82の外表面の曲率半径をR1は、R1=R0+ΔL1の関係を有する。但し、変形例では、突出部位82の突出量は、場所に応じて異なってもよい(即ち一定でなくてもよい)が、後述の方向Q(
図12参照)に沿った突出量はΔL1とされる。
【0035】
基部83は、XY平面内に延在する。基部83のZ1側の表面は、平面状であり、インナカバー60の取付部62に対してZ方向で当接(面接触)する。即ち、基部83は、インナカバー60の取付部62の座面621に対して面接触する態様で、インナカバー60の取付部62の座面621上に着座する。尚、基部83における外側の縁部に突出部位82が配置される。
【0036】
基部83は、XY平面に平行な方向でインナカバー60の当接面64と対向する端面(内側の端面)831を有する。インナカバー60の当接面64は、取付部62からZ方向に延在し(
図9参照)、基部83の端面831は、基部83の厚み分だけZ方向に延在し、互いにZ方向でオーバーラップする。基部83の端面831は、インナカバー60の当接面64に対して、外方に距離ΔC1だけオフセットした関係を有する(
図12参照)。距離ΔC1は、ノミナル状態におけるインナカバー60と保護部80との間の隙間の距離(第1距離の一例)に対応する。但し、変形例では、インナカバー60と保護部80との間の隙間の距離は、場所に応じて異なってもよい(即ち一定でなくてもよい)が、後述の方向Q(
図12参照)に沿った距離はΔC1とされる。
【0037】
ネジ挿通穴84は、ネジ24が挿通される穴である。ネジ挿通穴84は、ネジ24の軸部よりも有意に大きい穴であり、長穴である。具体的には、
図12に示すように、ネジ挿通穴84は、角部の中心を通る方向Qを長手方向とする長穴である。角部の中心を通る方向Qは、XY平面内に延在する方向であって、平面視で角部の中心(45度のライン)を通る方向である。尚、
図12に示す例では、角部は、一定のR(曲率半径R1)が付けられており、方向Qは、XY平面内に延在し且つ曲率半径R1の中心を通る方向である。
【0038】
ここで、方向Qは、端末装置1に加わり得る各種方向からの衝撃のうち、端末装置1に最もダメージを与えうる方向の1つである。これは、方向Qは、上述のように、角部の中心を通り、角部は、角であるが故に点で衝撃を受けやすく、その分だけ衝撃力が集中しやすいためである。従って、端末装置1において方向Qの衝撃に対して必要な保護性能が確保できれば、端末装置1において角部に対する衝撃に対する必要な保護性能が実質的に確保されることになる。以下では、方向Qを、「衝撃方向Q」と称する。
【0039】
保護部80は、
図9乃至
図11に示す態様で、インナカバー60と共にフロントカバー20に取り付けられる(共締めされる)。具体的には、保護部80は、まず、
図9に示す状態から
図10に示すように、インナカバー60の取付部62に載置される。次いで、ネジ24がネジ挿通穴84を通ってボス22に結合される。締結トルク(締付軸力)は、任意であるが、想定される衝撃が衝撃方向Qに加わったときに、保護部80がインナカバー60に対して内方に変位(摺動)できるような値に設定される。
【0040】
保護部80は、インナカバー60と共にフロントカバー20に取り付けれたノミナル状態では、
図12に示すように、平面視で、インナカバー60の当接面64に対して距離ΔC1の隙間C1を介して対向する。また、同ノミナル状態では、保護部80の突出部位82は、
図12に示すように、平面視で、距離ΔL1の突出量でフロントカバー20から外方に突出する。また、同ノミナル状態では、保護部80は、
図12に示すように、平面視で、ネジ24の軸部に対して、衝撃方向Qで外側に距離ΔC2の隙間C2を有する。
【0041】
ここで、衝撃方向Qでの距離ΔL1、距離ΔC1、及び距離ΔC2は、好ましくは、以下の関係を有する。
関係1:距離ΔC1<距離ΔL1
関係2:距離ΔC1<距離ΔC2
上述のように、保護部80の突出部位82は、側面視で、フロントカバー20に重ならない領域に延在するので、上記の関係2を有することで、保護部80は、インナカバー60に対して衝撃方向Qで内側に距離ΔC1だけ変位できる。また、上記の関係2を有することで、保護部80がインナカバー60に対して衝撃方向Qで内側に距離ΔC1だけ変位した状態においても、保護部80がネジ24の軸部に対して衝撃方向Qで離間した状態となる。また、上記の関係1を有することで、保護部80がインナカバー60に対して衝撃方向Qで内側に距離ΔC1だけ変位した状態においても、保護部80の突出部位82がフロントカバー20から外方に突出した状態となる(
図13B参照)。これにより、保護部80がインナカバー60に対して衝撃方向Qで内側に距離ΔC1変位するような強い衝撃が加わる場合でも、該衝撃が直接作用する部位を、突出部位82だけに限定できる。尚、保護部80がインナカバー60に対して衝撃方向Qで内側に距離ΔC1変位すると、保護部80の端面831がインナカバー60の当接面64に当接するので、保護部80の更なる内側への変位は実質的に不能となる。
【0042】
次に、
図13A乃至
図14Bを参照して、保護部80の機能と共に、実施例1の効果について説明する。
【0043】
図13Aは、ノミナル状態における保護部80とインナカバー60及びフロントカバー20の位置関係を示す上面図である。
図13Bは、端末装置1の角部に衝撃が加わった状態における保護部80とインナカバー60及びフロントカバー20の位置関係を示す上面図である。
図13A及び
図13Bは、バックカバー50を取り外した状態でリア側から視た端末装置1の角部を示す。
図14A及び
図14Bは、衝撃方向Qに沿った保護部80及びインナカバー60等の概略断面図であり、
図14Aは、ノミナル状態を示し、
図14Bは、端末装置1の角部に衝撃が加わった状態を示す。
【0044】
図13Aには、衝撃方向Qに沿った衝撃が矢印Fs0で模式的に示される。但し、
図13Aは、衝撃が加わる前の状態を示す。端末装置1の角部が地面等に当たるとき、端末装置1の角部に衝撃が加わる。端末装置1の角部では、上述のように、保護部80の突出部位82がフロントカバー20から外方に突出しているため、衝撃は、フロントカバー20ではなく、保護部80の突出部位82に初期的に加わる。このため、端末装置1の角部に衝撃(矢印Fs0参照)が加わると、
図13Bに示すように、
図13Aに示す状態から、保護部80がインナカバー60に対して衝撃方向Qで内側に変位する。このような
図13Aに示す状態から
図13Bに示す状態への変位は、保護部80が、ネジ24の頭部座面(締付け座面)との摩擦力、及びインナカバー60の座面621との摩擦力等に抗して実現される。
図14Aには、摩擦が生じる部位がG1〜G4で示される。かかる摩擦に抗した変位が実現されると、摩擦熱が生じる。従って、衝撃のエネルギの一部は、摩擦熱として消失する。これにより、インナカバー60に伝達される衝撃成分を低減できる。
【0045】
また、
図13Bに示す状態では、保護部80の端面831がインナカバー60の当接面64に当接する。従って、
図13B及び
図14Bに示すように、衝撃は、保護部80の端面831とインナカバー60の当接面64との当接部を介して、インナカバー60に伝達される。ここで、
図13Bに示すように、保護部80の端面831とインナカバー60の当接面64との当接態様は、点でなく、面である。従って、インナカバー60は、衝撃を面で受けることができるので、衝撃に対する耐性が良好となる。また、保護部80の端面831及びインナカバー60の当接面64は、
図13Bに模式的に示すように、湾曲面であるので、インナカバー60に伝わる衝撃を複数の方向に分散させることができる。これにより、インナカバー60の衝撃に対する耐性が更に良好となる。
【0046】
また、保護部80がインナカバー60に対して衝撃方向Qで内側に距離ΔC1変位すると、保護部80の端面831がインナカバー60の当接面64に当接するので、保護部80の更なる内側への変位は実質的に不能となる。即ち、
図13Bに示す状態が実質的に最大変位した状態である。従って、保護部80がインナカバー60に対して衝撃方向Qで内側に最大変位しても、
図13B及び
図14Bに示すように、保護部80の突出部位82がフロントカバー20から外方に突出した状態で留まる。これにより、例えば保護部80がインナカバー60に対して衝撃方向Qで内側に最大変位したときに保護部80の突出部位82がフロントカバー20と面一になってしまう第1比較構成(図示せず)において生じる不都合を低減できる。即ち、第1比較構成では、保護部80の突出部位82がフロントカバー20と面一になった時点から、衝撃がフロントカバー20に直接作用する。フロントカバー20は、耐衝撃性が比較的低い部品があるLCDガラス12やタッチパネル11を保持するため、フロントカバー20への衝撃の直接的な作用は、LCDガラス12やタッチパネル11の破損を起こしやすい。これに対して、実施例1によれば、上述のように、強い衝撃が加わった場合でも保護部80の突出部位82がフロントカバー20から外方に突出した状態で留まる。従って、実施例1によれば、フロントカバー20への衝撃の直接的な作用が防止され、上記の第1比較構成において生じる不都合を低減できる。
【0047】
また、実施例1によれば、
図13Bに示す状態において、保護部80は、
図14Bにて隙間ΔRで示すように、ネジ24の軸部に対して衝撃方向Qで離間した状態となる。これにより、例えば保護部80がインナカバー60に対して衝撃方向Qで内側に最大変位したときに保護部80がネジ24の軸部に当接してしまう第2比較構成(図示せず)において生じる不都合を低減できる。即ち、第2比較構成では、保護部80がネジ24の軸部に当接した時点から、衝撃がネジ24の軸部を介してフロントカバー20に伝わる。ネジ24の軸部を介したフロントカバー20への衝撃の伝達は、LCDガラス12やタッチパネル11の破損やネジ24の破損を起こしやすい。これに対して、実施例1によれば、上述のように、強い衝撃が加わった場合でも保護部80がネジ24の軸部に対して衝撃方向Qで離間した状態で留まる。従って、実施例1によれば、ネジ24の軸部を介したフロントカバー20への衝撃の伝達が防止され、上記の第2比較構成において生じる不都合を低減できる。
【0048】
尚、上述した実施例1では、保護部80は、
図12に示すように、平面視で、ネジ24の軸部に対して、衝撃方向Qで外側に距離ΔC2の隙間C2を有するが、他の方向(例えばX方向やY方向)においても外側に距離ΔC2の隙間C2を有してもよい。
【0049】
[実施例2]
実施例2による端末装置1Aは、上述した実施例1による端末装置1に対して、インナカバー60がインナカバー60Aで置換され、且つ、保護部80が保護部80Aで置換された点が異なる。以下では、端末装置1Aの構成要素のうち、上述した実施例1による端末装置1と同一であってよい構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0050】
図15は、実施例2による端末装置1Aの分解斜視図であって、フロント側からの分解斜視図である。
【0051】
インナカバー60Aは、上述した実施例1によるインナカバー60に対して、保護部80Aが一体に形成されている点が異なる。即ち、上述した実施例1によるインナカバー60は、別体の保護部80が取り付けられているの対して、実施例2によるインナカバー60Aは、保護部80Aが一体に形成されている。従って、実施例2による保護部80Aは、上述した実施例1による保護部80に対して、インナカバー60Aと一体に形成されている点が異なることになる。
【0052】
図16は、リア側から視た端末装置1Aの一部の分解斜視図であり、バックカバー50が取り外された状態での斜視図である。
【0053】
保護部80Aは、上述したように、
図16に示すように、インナカバー60Aの一部により形成される。保護部80Aは、上述した実施例1による保護部80と同様、端末装置1Aの落下などで加わり得る端末装置1Aへの衝撃から、端末装置1Aを保護する機能を有する。インナカバー60Aは、
図16に示すように、保護部80Aの領域においてネジ24によりインナカバー60Aに締結される。
【0054】
保護部80Aは、
図16に示すように、好ましくは、端末装置1Aの4隅の角部のそれぞれに、端末装置1Aの側面から外方に突出する態様で設けられる。実施例2では、一例として、保護部80Aは、端末装置1Aの4隅の角部のそれぞれに形成される側面枠220の切欠き222に対応して、4つ設けられる。保護部80Aは、
図16に示すように、フロントカバー20の側面枠220の切欠き222を介して側面枠220よりも内方から側面枠220よりも外方(側方の外側)に延出する。従って、保護部80Aは、端末装置1Aの4隅の角部のそれぞれにおいて、
図16に示すように、フロントカバー20よりも外方(側方の外側)に延出する。即ち、保護部80Aは、上述した実施例1による保護部80と同様、突出部位82を有する。尚、上述した実施例1で説明したように、突出部位82は、側面視で、フロントカバー20に重ならない領域に延在する。
【0055】
次に、
図17乃至
図19を参照して、保護部80A、及び保護部80Aに関連する構造の更なる詳細について説明する。
【0057】
保護部80Aは、
図18に示すように、突出部位82と、基部83Aと、ネジ挿通穴84Aとを含む。尚、基部83Aは、インナカバー60Aの4隅の角部により形成される。
【0058】
ネジ挿通穴84Aは、ネジ24が挿通される穴である。ネジ挿通穴84Aまわりには、ネジ24の締結面に当接する座面85Aが形成される。ネジ挿通穴84Aは、ネジ24の軸部よりも若干大きい穴であり、例えば
図19に示すように、距離ΔBの隙間を有する。尚、上述した実施例1で説明したように、ノミナル状態では、保護部80Aは、
図19に示すように、平面視で、距離ΔL1の突出量でフロントカバー20から外方に突出する。
【0059】
ここで、衝撃方向Qでの距離ΔL1及び距離ΔBは、好ましくは、以下の関係を有する。
関係3:距離ΔB<距離ΔL1
関係4:所定値Th<距離ΔB
上記の関係3を有することで、インナカバー60Aがフロントカバー20に対して衝撃方向Qで内側に距離ΔBだけ変位した状態においても、保護部80Aの突出部位82がフロントカバー20から外方に突出した状態となる。所定値Thは、端末装置1Aに加わり得る衝撃のうちの想定される最大の衝撃が加わったときに、インナカバー60Aがフロントカバー20に対して衝撃方向Qで内側に変位する量に対応する。所定値Thは、適合値であり、例えば試験等により決定される。上記の関係4を有することで、インナカバー60Aがフロントカバー20に対して衝撃方向Qで内側に距離ΔBだけ変位した状態においても、インナカバー60A(ネジ挿通穴84A)がネジ24の軸部に対して衝撃方向Qで離間した状態となる。
【0060】
実施例2によっても、保護部80Aを備えることで、耐衝撃性が比較的低い部品であるLCDガラス12やタッチパネル11を衝撃から保護できる。具体的には、端末装置1Aの角部では、上述のように、保護部80Aの突出部位82がフロントカバー20から外方に突出しているため、衝撃は、フロントカバー20ではなく、保護部80Aの突出部位82に初期的に加わる。また、距離ΔL1を距離ΔB(>所定値Th)よりも大きく設定することで、インナカバー60Aがフロントカバー20に対して衝撃方向Qで内側に最大変位しても、保護部80Aの突出部位82がフロントカバー20から外方に突出した状態で留まる。これにより、インナカバー60Aがフロントカバー20に対して衝撃方向Qで内側に比較的大きく変位するような強い衝撃が加わる場合でも、該衝撃が直接作用する部位を、突出部位82だけに限定できる。また、距離ΔBを所定値Thよりも大きく設定することで、インナカバー60Aがフロントカバー20に対して衝撃方向Qで内側に比較的大きく変位するような強い衝撃が加わる場合でも、ネジ24の軸部を介したフロントカバー20への衝撃の伝達を防止できる。
【0061】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0062】
例えば、上述した実施例1又は実施例2において、保護部80又は80Aの突出部位82の外側の端面(側方の表面)には、滑り止めのラバーが被覆されてもよい。
【0063】
また、上述した実施例1又は実施例2において、保護部80又は80Aは、端末装置1又は1Aの4隅の角部の全てに設けられるが、端末装置1又は1Aの4隅の角部の一部だけに設けられてもよいし、角部以外の側部領域に設けられてもよい。
【0064】
また、上述した実施例1では、保護部80は、インナカバー60のリア側に設けられるが、インナカバー60のフロント側に設けられてもよい。
【0065】
なお、以上の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
[付記1]
第1部品を支持する第1支持部材と、
前記第1支持部材とは別体であり、前記第1部品よりも耐衝撃性が低い第2部品を保持する第2支持部材と、
前記第1支持部材に設けられ、第1方向で前記第2支持部材よりも外方に延出する保護部とを含み、
前記保護部における前記第2支持部材よりも外方に延出する部位は、前記第1方向に視て前記第2支持部材に重ならない領域に延在する、端末装置。
[付記2]
前記第2部品は、表示装置及びタッチパネルのうちの少なくともいずれか1つであり、
前記第2支持部材は、内部空間を形成する筐体のフロントカバーであり、
前記第1支持部材は、前記内部空間に配置される、付記1に記載の端末装置。
[付記3]
前記第2支持部材は、切欠きを有する側面枠を有し、
前記保護部は、前記切欠きを介して前記第1方向で前記側面枠よりも内方から前記側面枠よりも外方に延出する、付記1又は2に記載の端末装置。
[付記4]
前記側面枠は、当該端末装置における角部に対応する位置に前記切欠きを有する、付記3に記載の端末装置。
[付記5]
前記保護部は、前記第1支持部材に一体に形成される、付記1〜4のうちのいずれか1項に記載の端末装置。
[付記6]
前記保護部は、前記第1方向で前記第1支持部材に対して第1距離の隙間を介して対向する、付記1〜4のうちのいずれか1項に記載の端末装置。
[付記7]
前記保護部及び前記第1支持部材は、それぞれ、前記第1方向で前記第1距離の隙間を介して対向する湾曲面を含む、付記6に記載の端末装置。
[付記8]
前記保護部は、前記第1方向で前記第2支持部材よりも外方に第2距離だけ延出し、前記第2距離は、前記第1距離よりも大きい、付記6又は7に記載の端末装置。
[付記9]
前記第2支持部材は、ネジと結合する雌ネジ部を有し、
前記保護部は、前記ネジが通る貫通穴を有し、前記貫通穴は、前記ネジの軸部に対して前記第1方向で外方に前記第1距離よりも大きい第3距離の隙間を有する、付記6〜8のうちのいずれか1項に記載の端末装置。
[付記10]
前記第1方向は、当該端末装置の表示面に平行である、付記1〜9のうちのいずれか1項に記載の端末装置。
[付記11]
前記第1方向は、当該端末装置の角部の側面に対して垂直な方向である、付記1〜9のうちのいずれか1項に記載の端末装置。
[付記12]
前記保護部は、樹脂材料により形成される、付記1〜11のうちのいずれか1項に記載の端末装置。
[付記13]
前記第1部品は、基板及びバッテリを含む、付記1〜12のうちのいずれか1項に記載の端末装置。