(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708931
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20200601BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20200601BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20200601BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
G06F1/16 312Z
G09F9/00 350Z
H01Q1/24 Z
H05K7/00 H
G06F1/16 312E
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-196738(P2016-196738)
(22)【出願日】2016年10月4日
(65)【公開番号】特開2018-60334(P2018-60334A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 隆
【審査官】
田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−083982(JP,A)
【文献】
特開2013−076938(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0082580(US,A1)
【文献】
特開2014−044460(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0055468(US,A1)
【文献】
中国実用新案第203520229(CN,U)
【文献】
特開2012−079025(JP,A)
【文献】
特開2009−296377(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0303137(US,A1)
【文献】
特開2012−168704(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0206884(US,A1)
【文献】
特開2011−155527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
G09F 9/00
H01Q 1/24
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
額縁部を備える背面カバーと、前記背面カバーと組み合わされているディスプレイユニットと、を有する表示部と、
アンテナと、前記アンテナに接続され、前記表示部の厚み方向に沿って整列している複数のケーブルが、少なくとも前記背面カバーへの接着面が形成されている緩衝材によって纏めて被覆されている被覆ケーブルと、を有し、前記額縁部に沿って配置されているアンテナユニットと、を備え、
前記被覆ケーブルは、前記額縁部の角部に対応する屈曲位置において、前記緩衝材が分断されている開放部を備える、
無線通信装置。
【請求項2】
額縁部を備える背面カバーと、前記背面カバーと組み合わされているディスプレイユニットと、を有する表示部と、
アンテナと、前記アンテナに接続され、前記表示部の厚み方向に沿って整列している複数のケーブルが緩衝材によって纏めて被覆されている被覆ケーブルと、を有し、前記額縁部に沿って配置されているアンテナユニットと、
を備え、
前記被覆ケーブルは、第1の接着面と第2の接着面とを有し、前記第1の接着面は前記背面カバーと接着し、前記第2の接着面は前記ディスプレイユニットの枠部と接着して、前記背面カバーと前記ディスプレイユニットとを前記被覆ケーブルを介して接着固定する、
無線通信装置。
【請求項3】
前記第2の接着面は、前記ディスプレイユニットの位置決め面になる請求項2に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書開示の発明は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に通信用のアンテナを備えた無線通信装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような無線通信装置では、アンテナに接続される複数のケーブル(配線)を備える。無線通信装置が、メイン回路を実装した本体部と、ディスプレイ画面を実装した表示部とをヒンジを介して接続したノート型(クラムシェル型)である場合、通信用のアンテナは、表示部側に実装されることが多い。アンテナ実装箇所は、装置の薄型化、本体部に金属製の筐体が用いられることが多いこと、装置操作時のユーザ接触箇所、通信性能の確保等を考慮して選定されている。具体的に、アンテナは、表示部の上縁に沿って実装され、アンテナに接続したケーブルは、表示部の側縁を通過し、さらに、表示部と本体部とを接続しているヒンジ部を経由して本体部側へ接続される。
【0003】
無線通信装置が複数のケーブルを備える場合、そのルーティング作業時に無線通信装置の筐体内へのケーブルの収まりが悪く、例えば、ディスプレイの下側へ潜り込んだり、筐体同士の嵌合時に噛み込みが発生したりすることがあった。これらの不具合が生じると、そのリペア作業や、組み立て作業に余計な工数がかかり、望ましくない。
【0004】
このような現象の改善に寄与できると考えられる提案として、ケーブルを保護チューブで覆うことが考えられる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−66904号公報
【特許文献2】特開2014−147273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、表示部における表示実効面積を確保したり、デザインの自由度を向上させたりするために、表示部の側縁を狭くする狭縁化が望まれている。しかしながら、表示部の側縁には、表示部が備えるディスプレイユニットを位置決めするリブや、このリブとディスプレイユニットとの間に無線通信装置の落下時の衝撃を吸収し、ディスプレイユニットを保護する緩衝材が配置される。すなわち、ケーブルを通過させる表示部の側縁には、種々の構造が配置される。このため、表示部の側縁の狭縁化は困難である。特許文献2は、主として、コルゲートチューブを用い、複数の電線を纏めことができるため、ディスプレイの下側へのケーブルの潜り込みや、筐体同士の嵌合時の噛み込みを回避することはできると考えられる。しかしながら、コルゲートチューブの外観形状は、円弧部分を有している等、コルゲートチューブを用いただけでは、依然として筐体内での収まりが悪く、また、コルゲートチューブを側方から保持する構成が求められる。このため、表示部の狭縁化を図る観点からも改良の余地を有している。
【0007】
1つの側面では、本明細書開示の無線通信装置は、表示部の狭縁化を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書開示の無線通信装置は、額縁部を備える背面カバーと、前記背面カバーと組み合わされているディスプレイユニットと、を有する表示部と、アンテナと、前記アンテナに接続され、前記表示部の厚み方向に沿って整列している複数のケーブルが、少なくとも前記背面カバーへの接着面が形成されている緩衝材によって纏めて被覆されている被覆ケーブルと、を有し、前記額縁部に沿って配置されているアンテナユニットと、を備えている。
また、前記被覆ケーブルは、前記額縁部の角部に対応する屈曲位置において、前記緩衝材が分断されている開放部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本明細書開示の無線通信装置によれば、表示部の狭縁化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は実施形態の無線通信装置の斜視図である。
【
図2】
図2は実施形態の無線通信装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3はディスプレイカバーを取り去った状態の表示部の平面図である。
【
図4】
図4は実施形態の無線通信装置が備える第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットの斜視図である。
【
図5】
図5(A)は
図4におけるX1−X1断面図であり、
図5(B)は
図4におけるX2−X2断面図である。
【
図7】
図7(A)は
図6におけるY1部の拡大図であり、
図7(B)は
図6におけるY2部の拡大図である。
【
図9】
図9(A)は実施形態の無線通信装置が備える表示部の縁幅W0の説明図であり、
図9(B)は表示部の狭縁化の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては、説明の都合上、実際には存在する構成要素が省略されていたり、寸法が実際よりも誇張されて描かれていたりする場合がある。また、図面によっては、断面であることを示すハッチングが省略されている場合がある。
【0012】
(実施形態)
まず、
図1乃至
図9(B)を参照しつつ、実施形態の無線通信装置1について説明する。
図1は実施形態の無線通信装置の斜視図である。
図2は実施形態の無線通信装置の分解斜視図である。
図3はディスプレイカバーを取り去った状態の表示部の平面図である。
図4は実施形態の無線通信装置が備える第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットの斜視図である。
図5(A)は
図4におけるX1−X1断面図であり、
図5(B)は
図4におけるX2−X2断面図である。
図6は
図3におけるX3−X3断面図である。
図7(A)は
図6におけるY1部の拡大図であり、
図7(B)は
図6におけるY2部の拡大図である。
図8は
図3におけるY3部の拡大図である。
図9(A)は実施形態の無線通信装置が備える表示部の縁幅W0の説明図であり、
図9(B)は表示部の狭縁化の説明図である。
【0013】
図1を参照すると、無線通信装置1は、いわゆるノート型パソコンであり、本体部10と表示部20とを備える。
図2を参照すると、本体部10は、内部にメイン回路11a等を収納している本体底面カバー11を備える。また、本体部10は、キーボード12aを備え、本体底面カバー11と組み合わされる本体上面カバー12を備える。本体部10は、本体底面カバー11の後端部に本体部側ヒンジ13を備えている。
【0014】
表示部20は、背面カバー21を備える。背面カバー21は、その周縁に沿って額縁部21aを備える。額縁部21aは、上縁部21a1、左縁部21a2及び右縁部21a3を含む。額縁部21aには、後に説明するように、第1アンテナユニット31や第2アンテナユニット35を設置するスペースが設けられている。表示部20は、ディスプレイユニット22を備える。ディスプレイユニット22は、背面カバー21内に収容されるディスプレイ本体22aと、ディスプレイ本体22aを覆うディスプレイカバー22bを含む。表示部20は、背面カバー21の下端部の左右に表示部側ヒンジ24を備えている。表示部側ヒンジ24は、本体部側ヒンジ13と組み合わされることで、表示部20を本体部10に対し、開閉自在とする。
【0015】
図3や
図6を参照すると、無線通信装置1は、
図4に示すような第1アンテナユニット31及び第2アンテナユニット35を備えている。第1アンテナユニット31及び第2アンテナユニット35は、それぞれ額縁部21aに沿って配置されている。
【0016】
第1アンテナユニット31は、第1アンテナ32a、第2アンテナ32b及び第1被覆ケーブル33を備える。第1被覆ケーブル33は、複数のケーブル、すなわち、第1同軸ケーブル33a及び第2同軸ケーブル33bを備えている。同軸ケーブルの数は、アンテナの数と一致している。第1同軸ケーブル33aの先端部には
図8に示すように接続端子33a1が設けられており、第1アンテナ32aに接続されている。図には表れていないが、第2同軸ケーブル33bの先端部にも接続端子が設けられており、第2アンテナ32bに接続されている。第1アンテナ32a及び第2アンテナ32bは、額縁部21aの上縁部21a1に配置されており、第1被覆ケーブル33は、上縁部21a1から右縁部21a3に沿わせて装着されている。第1被覆ケーブル33は、本体部側ヒンジ13及び表示部側ヒンジ24を通過して本体部10内に到達している。
【0017】
第2アンテナユニット35は、第3アンテナ36a、第4アンテナ36b、第5アンテナ36c及び第2被覆ケーブル37を備える。第2被覆ケーブル37は、複数のケーブル、すなわち、第3同軸ケーブル37a、第4同軸ケーブル37b及び第5同軸ケーブル37cを備えている。同軸ケーブルの数は、アンテナの数と一致している。第3同軸ケーブル37a乃至第5同軸ケーブル37cの先端部には図には表れていないが、それぞれ接続端子が設けられており、第3アンテナ36a、第4アンテナ36b及び第5アンテナ36cにそれぞれ接続されている。第3アンテナ36a、第4アンテナ36b及び第5アンテナ36cは、額縁部21aの上縁部21a1に配置されており、第2被覆ケーブル37は、上縁部21a1から左縁部21a2に沿わせて装着されている。第2被覆ケーブル37は、本体部側ヒンジ13及び表示部側ヒンジ24を通過して本体部10内に到達している。なお、額縁部21aの上縁部21a1の中心部には、カメラ39が設置されている。
【0018】
図5(A)を参照すると、第1被覆ケーブル33は、表示部20の厚み方向に沿って整列している第1同軸ケーブル33aと第2同軸ケーブル33bを備えている。第1同軸ケーブル33aと第2同軸ケーブル33bは、緩衝材34によって纏めて被覆されている。緩衝材34の素材は、ディスプレイユニット22に対する衝撃を適切に吸収できる弾性を有するものが選定されている。すなわち、柔らかすぎると衝撃を吸収することができず、硬すぎるとディスプレイユニット22にダメージを与えることになるので、これらの観点から適切な素材が選定される。本実施形態では、タイコエレクトロニクスジャパン合同会社製 VERSAFIT V2が用いられている。緩衝材34は、第1平滑面34aと第2平滑面34bを備える。第1平滑面34aは、背面カバー21の内面と対向し、背面カバー21への接着面となる。
図7(B)を参照すると、第1平滑面34aは、両面テープ40を介して背面カバー21内に接着されている。なお、両面テープ40に代えて接着剤による接着としてもよい。
【0019】
第1同軸ケーブル33aの断面形状と第2同軸ケーブル33bの断面形状は、それぞれ、円形であるが、第1同軸ケーブル33aと第2同軸ケーブル33bとを緩衝材34で被覆することで、第1被覆ケーブル33の断面形状は矩形となっている。このため、第1被覆ケーブル33の背面カバー21内での位置決めは、容易である。例えば、第1平滑面34aを背面カバー21内に接着するために、背面カバー21内にケガキ線による目印がつけられている。このように、第1被覆ケーブル33を背面カバー21内に設置するために、例えば、第1被覆ケーブル33を保持するためのリブ等を形成し、そのリブ等に沿わせて第1被覆ケーブル33を設置することは不要である。すなわち、第1被覆ケーブル33は、第1平滑面34aを有することで、安定した状態で背面カバー21内に設置できるのでリブ等を廃止することができる。このため、右縁部21a3に寸法上の余裕が生じる。この結果、右縁部21a3の狭縁化を図ることが可能となる。
【0020】
また、第1被覆ケーブル33は、自身が緩衝材34を備え、ディスプレイユニット22に沿わせるように設置されるので、第1被覆ケーブル33と別個の緩衝材を設けなくてもよい。この点によっても、右縁部21a3に寸法上の余裕が生じる。この結果、右縁部21a3の狭縁化を図ることが可能となる。
【0021】
すなわち、
図7(B)を参照すると、背面カバー21は側壁部211を備えると共に、その内側にディスプレイユニット22を支持する部分である支持壁212を備える。そして、側壁部211と支持壁212との間に、ディスプレイユニット22が備える枠部22a1の凸状部22a11が嵌め込まれる。このような状態で、ディスプレイユニット22は、爪固定等により背面カバー21に固定される。このとき、支持壁212と第1被覆ケーブル33との間隔は、S1であるが、支持壁212と第1被覆ケーブル33との間には、他の構造物が存在していないため、S1を縮めることが可能となる。この結果、右縁部21a3の狭縁化を図ることができる。
【0022】
また、第1同軸ケーブル33aと第2同軸ケーブル33bとは、表示部20の厚み方向に沿って整列しており、表示部20の平面方向には整列していない。この点によっても、右縁部21a3の狭縁化を図ることができる。
【0023】
なお、第1被覆ケーブル33は、第1平滑面34aの裏面に第2平滑面34bを備えているが、本実施形態において、第2平滑面34bは、ディスプレイユニット22の枠部22a1やその他の箇所と接触しない状態とされている。これは、後に説明する第2被覆ケーブル37と比較して表示部20の厚み方向に沿う方向の寸法が短いためである。しかしながら、第1被覆ケーブル33は、右縁部21a3のほぼ全域に亘って接着されているので、安定した状態で背面カバー21内に収容され、組み立て時の噛み込みの発生も回避される。また、ディスプレイユニット22に対する緩衝機能も発揮することができる。
【0024】
図5(B)を参照すると、第2被覆ケーブル37は、表示部20の厚み方向に沿って整列している第3同軸ケーブル37a、第4同軸ケーブル37b及び第5同軸ケーブル37cを備えている。第3同軸ケーブル37a乃至第5同軸ケーブル37cは、緩衝材38によって纏めて被覆されている。緩衝材38の素材は、緩衝材34と同様に、タイコエレクトロニクスジャパン合同会社製 VERSAFIT V2が用いられている。緩衝材38は、第1平滑面38aと第2平滑面38bを備える。第1平滑面38aは、背面カバー21の内面と対向し、背面カバー21への接着面となる。
図7(A)を参照すると、第1平滑面38aは、両面テープ40を介して背面カバー21内に接着されている。なお、両面テープ40に代えて接着剤による接着としてもよい。
【0025】
第3同軸ケーブル37a乃至第5同軸ケーブル37cのそれぞれの断面形状は、いずれも、円形であるが、第3同軸ケーブル37a乃至第5同軸ケーブル37cを緩衝材38で被覆することで、第2被覆ケーブル37の断面形状は矩形となっている。このため、第2被覆ケーブル37の背面カバー21内での位置決めは、容易である。例えば、第1平滑面38aを背面カバー21内に接着するために、背面カバー21内にケガキ線による目印がつけられている。このように、第2被覆ケーブル37を背面カバー21内に設置するために、例えば、第2被覆ケーブル37を保持するためのリブ等を形成し、そのリブ等に沿わせて第2被覆ケーブル37を設置することは不要である。また、第1平滑面38aの裏面に第2平滑面38bを備えており、この第2平滑面38bは、ディスプレイユニット22の位置決め面となる。第2平滑面38bは、両面テープ40を介してディスプレイユニット22の枠部22a1に位置決めされ、接着される。すなわち、第2被覆ケーブル37は、第1平滑面38aを有し、さらに、第2平滑面38bを有することで、安定した状態で背面カバー21内に設置できるのでリブ等を廃止することができる。このため、左縁部21a2に寸法上の余裕が生じる。この結果、左縁部21a2の狭縁化を図ることが可能となる。また、組み立て時の噛み込みの発生も回避される。また、ディスプレイユニット22に対する緩衝機能も発揮することができる。なお、第2平滑面38bと枠部22a1との接着は接着剤を用いてもよい。
【0026】
さらに、第2被覆ケーブル37は、自身が緩衝材38を備え、ディスプレイユニット22に沿わせるように設置されるので、第1被覆ケーブル33と別個の緩衝材を設けなくてもよい。この点によっても、右縁部21a3に寸法上の余裕が生じる。この結果、左縁部21a2の狭縁化を図ることが可能となる。
【0027】
すなわち、
図7(A)を参照すると、背面カバー21は側壁部211を備えると共に、その内側にディスプレイユニット22を支持する部分である支持壁212を備える。そして、側壁部211と支持壁212との間に、ディスプレイユニット22が備える枠部22a1の凸状部22a11が嵌め込まれる。このような状態で、ディスプレイユニット22は、爪固定等により背面カバー21に固定される。このとき、支持壁212と第1被覆ケーブル33との間隔は、S2であるが、支持壁212と第1被覆ケーブル33との間には、他の構造物が存在していないため、S2を縮めることが可能となる。この結果、左縁部21a2の狭縁化を図ることができる。
【0028】
また、第3同軸ケーブル37a乃至第5同軸ケーブル37cは、表示部20の厚み方向に沿って整列しており、表示部20の平面方向には整列していない。この点によっても、左縁部21a2の狭縁化を図ることができる。
【0029】
つぎに、
図8を参照しつつ、額縁部21aの角部に対応する第1被覆ケーブル33の屈曲位置について説明する。第1被覆ケーブル33は、上縁部21a1から右縁部21a3に移行する箇所が屈曲位置となる。第1被覆ケーブル33は、
図8においてY4部をさらに拡大して示すように、屈曲位置において、緩衝材34が分断されている開放部50を備えている。開放部50では、第1同軸ケーブル33a及び第2同軸ケーブル33bが露出した状態となっているとともに、第1被覆ケーブル33の径は開放部50で細くなっているため、曲げの自由度が上がり、屈曲しやすくなっている。このような開放部50を設けることで、第1被覆ケーブル33に過大な負荷がかからないようになっている。また、仮に、開放部50を設けていないと、角部において、第1被覆ケーブル33がディスプレイ本体22aに押され、第1被覆ケーブル33がディスプレイ本体22aに密着しにくくなることが考えられる。開放部50を設けることで、第1被覆ケーブル33をディスプレイ本体22aに密着させ易くすることができる。また、断線が抑制される。なお、第2被覆ケーブル37にも同様の開放部が設けられている。
【0030】
以上のように、本実施形態の無線通信装置1によれば、表示部20の狭縁化を図ることができる。また、表示部20の狭縁化が可能となることから、表示部20の背面カバー21を小型化することができるようになり、ひいては、無線通信装置1自体を小型化することもできるようになる。
【0031】
さらに、組み立て時に、ケーブルが浮き上がったり、撚れたりすることが回避され、ケーブルの噛み込み等も回避することができる。この結果、フォーミング作業の工数が減り、リペア作業や組立作業時の余計の工数も削減することができる。また、第1被覆ケーブル33や第2被覆ケーブル37自身が緩衝材を備えているため、別途、緩衝材を準備しなくてもよく、部品点数を削減すると共に、これに伴う工数も低減することができる。また、ディスプレイ本体22aを固定するときに、第1被覆ケーブル33や第2被覆ケーブル37自身が位置決め機能を発揮することができるので、背面カバー21側に位置決め形状を形成しなくてもよく、背面カバー21の製造工程における製造歩留まりの向上も期待される。
【0032】
また、
図9(A)及び
図9(B)を参照すると、さらなる狭縁化を図ることができる。
図9(A)は、
図7(A)を用いて説明した本実施形態の左縁部21a2を示している。
図9(A)に示す状態では、背面カバー21は支持壁212を備え、ディスプレイユニット22は爪固定等により背面カバー21に固定される。このとき、ディスプレイ本体22aの側縁から背面カバー21の側縁までの距離である縁幅はW0である。これに対し、
図9(B)に示すように、支持壁212を廃止することで、縁幅をW0よりも短いW1に設定することができている。この結果、さらなる狭縁化、ひいては無線通信装置1の小型化が実現される。支持壁212を廃止できるのは、第2被覆ケーブル37の第1平滑面38a及び第2平滑面38bの双方を接着できるようにしたことに起因する。すなわち、背面カバー21とディスプレイユニット22の枠部22a1とを第2被覆ケーブル37を介して接着固定することで、支持壁212を廃止することができる。なお、第1被覆ケーブル33は、纏めている同軸ケーブルが2本であることから、第2被覆ケーブル37と比較して第1平滑面34aと第2平滑面34bとの間隔が狭いが、この場合、緩衝材34により嵩上げすることで対応してもよい。
【0033】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 無線通信装置
10 本体部
20 表示部
22 ディスプレイユニット
22a ディスプレイ本体
22b ディスプレイカバー
31 第1アンテナユニット
32a 第1アンテナ
32b 第2アンテナ
33 第1被覆ケーブル
33a 第1同軸ケーブル
33b 第2同軸ケーブル
34 緩衝材
34a 第1平滑面
34b 第2平滑面
35 第2アンテナユニット
36a 第3アンテナ
36b 第4アンテナ
36c 第5アンテナ
37 第2被覆ケーブル
37a 第3同軸ケーブル
37b 第4同軸ケーブル
37c 第5同軸ケーブル
38 緩衝材
38a 第1平滑面
38b 第2平滑面
50 開放部