(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通電制御部は、前記ロック部材が、前記係合部と前記電子機器本体とが係合する位置へ移動したことを検知したセンサー信号に基づいて前記接続ピンへの通電を許可する請求項1に記載の拡張装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては、説明の都合上、実際には存在する構成要素が省略されていたり、寸法が実際よりも誇張されて描かれていたりする場合がある。
【0012】
(実施形態)
図1乃至
図9を参照して実施形態の拡張電子機器システム1について説明する。
図1(A)は実施形態の拡張装置に電子機器本体を搭載した状態の拡張電子機器システムの斜視図であり、
図1(B)は実施形態の拡張装置から電子機器本体を取り外した状態の拡張電子機器システムの斜視図である。
図2は拡張装置の電子機器本体の搭載部の一部を拡大して示す説明図である。
図3は実施形態の電子機器本体のコネクタ部を模式的に示す説明図である。
図4は拡張装置の機能ブロック図である。
図5(A)は電子機器本体が搭載されていない状態の拡張装置の内部の様子を上面側から観た説明図であり、
図5(B)は電子機器本体が搭載されていない状態の拡張装置の内部の様子を下面側から観た説明図である。
図6(A)は電子機器本体が搭載された状態の拡張装置の内部の様子を上面側から観た説明図であり、
図6(B)は電子機器が搭載された状態の拡張装置の内部の様子を下面側から観た説明図である。
図7はカバー部材の周辺を側方から観た説明図である。
図8は拡張電子機器システムにおける通電制御の一例を示すフローチャートである。
図9は拡張装置が備えるエジェクトボタンを模式的に示す説明図である。
【0013】
図1(A)及び
図1(B)を参照すると、拡張電子機器システム1は、電子機器本体10と拡張装置20を備える。本実施形態の電子機器本体10は、6インチサイズのタブレットPCである。拡張装置20は、リプリケータであり、電子機器本体10を充電することができる。タブレットPCは、電子機器本体の一例であり、例えば、スマートフォン等、従来公知の他の電子機器本体としてもよい。また、リプリケータは、拡張装置の一例であり、電子機器と接続することでその機能を拡張することができる他の装置であってもよい。
【0014】
図1(B)及び
図2を参照すると、拡張装置20は、外装部21を備える。外装部21の前面側には、後に説明するエジェクトボタン26が露出した第1窓部21aが設けられている。外装部21には、電子機器本体10を搭載し、支持する凹状の搭載部22が形成されている。搭載部22は、電子機器本体10を安定した状態で支持できるように凹状に形成されている。凹状の搭載部22の底部22aには、2つの貫通孔22a1、2つの第2窓部22a2が設けられている。さらに、底部22aには、第3窓部22a3及び第4窓部22a4が設けられている。
【0015】
一方、
図3を参照すると、電子機器本体10の長手方向に沿う側面には、2つの挿入孔11と、これらの挿入孔11の間にコネクタ部12が設けられている。挿入孔11は、その開口部から長手方向に沿う奥側に向かって広がる被係合部11aを備えている。被係合部11aには、後に説明する鉤状部32aが入り込み、電子機器本体10を拡張装置20の搭載部22に固定する。コネクタ部12は、後に説明する接続ピン31aが挿し込まれるピン挿入穴12aが設けられている。ピン挿入穴12aの両側には、それぞれ、位置決め穴12bが設けられている。
【0016】
搭載部22に設けられた貫通孔22a1には、位置決めピン24の先端部が露出している。位置決めピン24は、電子機器本体10が搭載部22に搭載された状態となるときに、電子機器本体10に設けられた位置決め穴12bに挿し込まれる。2つの第2窓部22a2には、それぞれ挿入部23が形成されている。挿入部23は、電子機器本体10が搭載部22に搭載された状態となるときに、電子機器本体10の側面に形成された挿入孔11内に挿し込まれる。挿入部23には、鉤状部カバー23aと、この鉤状部カバー23aに対し出没可能に設けられている鉤状部32aが含まれる。鉤状部32aについては、後に説明する。第3窓部22a3には、後に説明するカバー部材25のハウジング部25aが露出可能に配置されている。第4窓部22a4には、後に説明する押込み部材27の押込み突部27aが出没可能に設けられている。
【0017】
ここで、
図5(A)や
図6(A)を参照すると、外装部21の内部に設けられる基板30には、コネクタ部31が設けられている。コネクタ部31には、搭載部22に対し露出可能に設けられ、電子機器本体10が備えるコネクタ部12に電気的に接続される複数の接続ピン31aが含まれている。そして、接続ピン31aの両側に、それぞれ、基板30から位置決めピン24が立設されている。
【0018】
コネクタ部31には、カバー部材25が装着されている。
図7を参照すると、カバー部材25は、凸状に形成されたハウジング部25aを備えている。ハウジング部25aの頂面には、接続ピン31aの位置に対応させて、挿通孔25a1が設けられている。カバー部材25は、両側に位置決めピン24が挿通される位置決め穴25bを備えている。このようなカバー部材25は、位置決め穴25bに位置決めピン24を挿通させて、位置決めピン24に対して摺動可能に装着される。このとき、位置決めピン24には、コイルバネであるバネ部材43が装着され、これにより、カバー部材25は、搭載部22から突出する側に付勢されている。バネ部材43は、第1の付勢部材の一例である。第1の付勢部材は、コイルバネに限定されるものではなく、カバー部材25を搭載部22から突出する側に付勢することができるものであれば、他の部材であってもよい。
【0019】
搭載部22に電子機器本体10が搭載されていない状態のとき、カバー部材25は、
図7に示すように、バネ部材43の付勢力により、上方に持ち上げられた状態となっている。換言すると、カバー部材25は、基板30から離れ、上方に位置する状態に保たれている。このように、カバー部材25が上方に位置しているとき、接続ピン31aは、カバー部材25のハウジング部25a内に収納された状態となる。このような状態から、バネ部材43の付勢力に抗して押圧され、押し下げられると、接続ピン31aが挿通孔25a1から露出する。従って、搭載部22に電子機器本体10が搭載され、カバー部材25が押し下げられると、露出した接続ピン31aを電子機器本体10側のコネクタ部12のピン挿入穴12aに挿し込むことができるようになる。
【0020】
このようなカバー部材25は、側方に突出した突部25cを備えている。突部25cは、後に説明するロック部材32が備える第1ストッパ部32cと係合する。
【0021】
拡張装置20は、押込み部材27を備える。押込み部材27には、押込み突部27aが設けられており、押込み部材27は、この押込み突部27aが第4窓部22a4に対して出没可能となるように配置されている。押込み部材27は、第1押出部材37及び第2押出部材38によって押込み突部27aが搭載部22から突出する側に付勢されている。押込み部材27は、搭載部22に搭載される電子機器本体10によって搭載部22の内側へ押し込まれる。押込み部材27は、搭載部22から突出した状態のときに、後に説明するロック部材32が備える第2ストッパ部32dと係合する。第1押出部材37は、一端側が外装部21の内部に固定され、他端側が押込み部材27の下側に配置された板バネであり、第2押出部材38は、外装部21と押込み部材27との間に挟持されたねじりバネである。第1押出部材37や第2押出部材38は、押込み突部27aを搭載部22から突出する側に付勢することができるものであれば、これらに限定されない。
【0022】
拡張装置20は、ロック部材32を備える。ロック部材32は、概ね板状の部材であり、外装部21内において、カバー部材25と並列配置されるとともに、カバー部材25の長手方向に沿って移動可能に設けられている。ロック部材32は、電子機器本体10に係脱する係合部としての鉤状部32aを備える。また、ロック部材32は、接続ピン31aを収納した状態のカバー部材25の突部25cに係合する第1ストッパ部32cと、搭載部22から突出した状態の押込み部材27に係合する第2ストッパ部32dを備える。鉤状部32aは、2か所に設けられており、電子機器本体10が搭載部22に通載されたときに、それぞれ、挿入孔11に挿入される。そして、ロック部材32が移動することで、鉤状部32aは、被係合部11aに係合することができる。なお、鉤状部32aは、被係合部11aに係合するとき、第2窓部22a2に設けられた鉤状部カバー23aに収納された状態から鉤状部カバー23aの外側に移動する。
【0023】
ロック部材32は、並列配置されているカバー部材25側に向かって突出した第1ストッパ部32cを備える。第1ストッパ部32cは、カバー部材25が備える突部25cと係合することができる。第1ストッパ部32cは、突部25cと共に、第1ロック部34を形成している。カバー部材25が押し下げられると、第1ロック部34のロックが解除される。
【0024】
ロック部材32は、押込み部材27側に向かって突出した第2ストッパ部32dを備える。第2ストッパ部32dは、押込み部材27と係合することができる。第2ストッパ部32dは、押込み部材27と共に、第2ロック部35を形成している。押込み部材27が押し下げられると、第2ロック部35のロックが解除される。
【0025】
このように、本実施形態の拡張装置20は、複数のロック部を備えている。これらのロック部は、同時にそのロックが解除されないと、ロック部材32を移動させることができない。
【0026】
ロック部材32は、第2の付勢部材としてのバネ部材33により、鉤状部32aが電子機器本体10の被係合部11aに係合する側へ付勢されている。バネ部材33は、コイルバネであり、その第1端部33aがロック部材32に設けられた掛止部32bに掛止され、第2端部33bが、外装部21の内部に掛止されている。なお、
図5(A)等におけるバネ部材33は、描画の都合上、いずれの場所にも掛止されていない状態に描かれている。しかしながら、バネ部材33は、第1端部33aが掛止部32bに掛止され、第2端部33bが外装部21の内部に掛止されることで、ロック部材32を矢示40の方向に付勢している。矢示40が示す方向は、鉤状部32aが電子機器本体10の被係合部11aに係合する際の移動方向と一致している。
【0027】
ロック部材32は、常に矢示40の方向に付勢されているが、第1ロック部34と第2ロック部35のいずれか一方がロック状態にあるときは、鉤状部32aと電子機器本体10の被係合部11aとの係合が解除された状態を維持する。すなわち、第1ロック部34と第2ロック部35の双方の係合状態が同時に解除された状態とならない限り、鉤状部32aは電子機器本体10の被係合部11aに係合しない。
【0028】
ロック部材32は、遮蔽部36を備える。遮蔽部36は、基板30に設けられているセンサー28の発光部を遮蔽可能に設けられている。センサー28は、遮光センサーであり、発光部が遮蔽状態から解放されると、センサー信号を発する。
図5(B)に示すように、ロック部材32が、鉤状部32aと被係合部11aとの係合を解除した状態となっているとき、遮蔽部36は、センサー28に重なる場所に位置している。一方、
図6(B)に示すように、ロック部材32が、鉤状部32aと被係合部11aとを係合させた状態となっているとき、遮蔽部36は、センサー28とずれた場所に位置している。センサー28は、遮蔽部36がセンサー28とずれた位置に移動すると、センサー信号を発するように設定されている。これにより、センサー28は、ロック部材32が、鉤状部32aと電子機器本体10とが係合する位置へ移動したことを検知したセンサー信号を発することができる。なお、遮光センサーは、センサーの一例であり、ロック部材32が、鉤状部32aと電子機器本体10とが係合する位置へ移動したことを検知したセンサー信号を発することができるものであれば、他の形式にセンサーであってもよい。また、遮蔽部36は、採用されるセンサーの形式によって適宜変更することができる。
【0029】
拡張装置20は、通電制御部29を備える。通電制御部29は、センサー28と電気的に接続されており、センサー28が発するセンサー信号に応じて、鉤状部32aが電子機器本体10と係合した状態であると判断したときに、接続ピン31aへの通電を許可する。
【0030】
ここで、
図8を参照しつつ、拡張電子機器システム1における通電制御の一例について説明する。搭載部22に電子機器本体10が搭載されていない状態のとき、カバー部材25及び押込み部材27は、いずれも搭載部22から突出した状態となっており、第1ロック部34と第2ロック部35はいずれもロック状態とされている。従って、ロック部材32は、遮蔽部36がセンサーと重なる状態となる場所に位置しており、接続ピン31aには、通電されていない状態となっている。このような状態から、電子機器本体10を搭載部22に載置すると、カバー部材25と押込み部材27(押込み突部27a)が同時に押される(ステップS1)。すると、第1ロック部34のロック状態と、第2ロック部35のロック状態が同時に解除される(ステップS2)。
【0031】
第1ロック部34及び第2ロック部35が同時にロック解除の状態となると、バネ部材33によって付勢されているロック部材32が移動し(ステップS3)、センサー28が検知する(ステップS4)。すなわち、センサー28が遮蔽部36の移動を検知し、センサー信号を発する。センサー信号は、通電制御部29へ送られる。センサー信号を受信した通電制御部29は、鉤状部32aが電子機器本体10と係合した状態であると判断し、接続ピン31aへの通電を許可する。これにより、通電が開始される(ステップS5)。
【0032】
なお、電子機器本体10が搭載部22に適切に搭載された場合に、第1ロック部34と第2ロック部35とを同時にロック解除状態とすることができる。換言すると、電子機器本体10がいわゆる斜め挿しされたような場合には、第1ロック部34と第2ロック部35とを同時にロック解除状態とすることができない。このように、本実施形態では、電子機器本体10が適切に搭載部22に搭載されないと通電が開始されないため、適切な電子機器本体10の搭載に対する使用者への注意喚起となる。
【0033】
また、センサー28がセンサー信号を発し、通電制御部29が接続ピン31aに通電を許可するのは、ロック部材32が備える遮蔽部36がセンサー28とずれた位置に移動したときである。ロック部材32がこのような位置に移動できるのは、第1ロック部34と第2ロック部35とが、同時にロック解除の状態となった場合である。従って、使用者が誤って、カバー部材25を押し下げてしまったり、押込み部材27を押し込んでしまったりしても、その動作が別個に行われている限り、ロック部材32が移動することはなく、接続ピン31aへの通電もされない。従って、誤ってカバー部材を押し下げてしまい、接続ピン31aが露出しても、接続ピン31aには通電されていないため、安全性を確保することができる。
【0034】
図5(A)等を参照すると、ロック部材32には、復帰ブロック39が設けられている。復帰ブロック39は、バネ部材33の付勢力に抗してロック部材32を元の位置に押し戻す機能を有する。復帰ブロック39は、傾斜面39aを備えている。
図9を参照すると、復帰ブロック39の傾斜面39aは、エジェクトボタン26の下面側に形成された傾斜面26aと当接する。エジェクトボタン26は、外装部21の第1窓部21aに嵌め込まれ、第1窓部21aの内周壁に摺動することで、その動きが上下方向に規制されている。このため、
図9中、矢示41のようにエジェクトボタン26が押し込まれると、復帰ブロック39が矢示42の方向に移動する。すなわち、ロック部材32が元の位置に移動する。ロック部材32が元の位置に復帰すると、第1ストッパ部32cの下側に潜り込んでいた突部25cがバネ部材43の付勢力によって上昇し、第1ストッパ部32cと係合される。また、ロック部材32が元の位置に復帰すると、第2ストッパ部32dの下側に潜り込んでいた押込み部材27が第1押出部材37及び第2押出部材38の付勢力によって上昇し、第2ストッパ部32dと係合される。これにより、第1ロック部34と第2ロック部35がともに、ロック状態に復帰する。そして、遮蔽部36がセンサー28と重なる位置に移動し、接続ピン31aへの通電が停止される。
【0035】
本実施形態によれば、第1ロック部34と第2ロック部35のどちらか一方がロックされていたら、ロック部材32は移動できない。従って、接続ピン31aへの通電はされない。すなわち、カバー部材25が押し下げられただけでは、接続ピン31aへ通電されていないため、使用者は、拡張電子機器システム1を安全に使用することができる。
【0036】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。