(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記供給ユニットは、前記積層パレットが水平状態を維持したままで前記第1回転体が前記傾斜面と係合するように、前記積層パレットを前記昇降ユニットに供給する第1ベルトコンベアを有し、
前記搬出ユニットは、前記第1ベルトコンベアに平行に配置された第2ベルトコンベアを有することを特徴とする請求項2記載の積層パレット搬送装置。
前記支持部は、前記循環部材の外周面の両側縁部に取り付けられ、前記第1回転体と係合する切欠部を有する1対の支持体と、前記循環部材の外周面に取り付けられ、前記積層パレットを傾斜させるストッパとを有することを特徴とする請求項1記載の積層パレット搬送装置。
前記供給ユニットは、前記積層パレットが水平状態を維持したままで前記第1回転体が前記支持体の前記切欠部と係合するように、前記積層パレットを前記昇降ユニットに供給する第1ベルトコンベアを有し、
前記搬出ユニットは、前記第1ベルトコンベアに平行に配置された第2ベルトコンベアと、前記第2ベルトコンベアに取り付けられ、前記第2回転体に引っ掛かるフック部とを有することを特徴とする請求項4記載の積層パレット搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る積層パレット搬送装置を適用して製造される蓄電装置の内部構成を示す断面図である。
図2は、
図1のII−II線断面図である。
図1及び
図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
【0018】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、図示はしないが、ケース2の内側の側面及び底面と電極組立体3との間には絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。
図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の内側の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。なお、電極組立体3とケース2との間にスペーサを配置することにより、電極組立体3とケース2との間に隙間を形成してもよい。
【0019】
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
【0020】
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。そして、タブ14bは、セパレータ10を突き抜けている。タブ14bは、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、
図2では、便宜上タブ14bを省略している。
【0021】
正極活物質層15は、箔本体部14aに形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
【0022】
負極9は、例えば銅箔からなる金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、
図2では、便宜上タブ16bを省略している。
【0023】
負極活物質層17は、箔本体部16aに形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0024】
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
【0025】
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まずセパレータ付き正極11及び負極9を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、セパレータ付き正極11及び負極9を固定することで電極組立体3を得る。そして、正極8のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
【0026】
図3は、本発明の第1実施形態に係る積層パレット搬送装置を備えた製造設備を示す概略平面図である。製造設備20は、平行に並んで設置された2本の搬送ライン21においてセパレータ付き正極11及び負極9をそれぞれ積層パレット32(後述)に向けて水平方向に搬送し、セパレータ付き正極11及び負極9を積層パレット32に積層する。製造設備20は、正極製造装置22と、セパレータ付き正極製造装置23と、負極製造装置24と、2つの反転装置25と、2つの反転装置26と、2つの電極積層装置27と、2つの積層パレット搬送装置28とを備えている。
【0027】
正極製造装置22は、特に詳述はしないが、帯状の金属箔14の表面に形成された正極活物質層15をロールによりプレスした後、打ち抜き機を用いて、正極活物質層15が形成された金属箔14を所定の形状に打ち抜くことにより、正極8を製造する。正極製造装置により製造された正極8は、2つのベルトコンベア29によってセパレータ付き正極製造装置23に順次搬送される。正極製造装置22は、多条取り(本実施形態では二条取り)に対応した装置である。帯状の金属箔14は正極8の2枚分に相当する幅を有し、一度の打ち抜きで2枚の正極8が形成される。
【0028】
セパレータ付き正極製造装置23は、特に詳述はしないが、帯状の1対のセパレータ10間に正極8を配置し、正極8の縁部に沿って1対のセパレータ10同士を溶着することで、1対のセパレータ10により正極8を包み込み、その後セパレータ10を所定の寸法に切断することにより、セパレータ付き正極11を製造する。セパレータ付き正極製造装置23により製造されたセパレータ付き正極11は、2つのベルトコンベア30によって反転装置25に順次搬送される。
【0029】
負極製造装置24は、特に詳述はしないが、帯状の金属箔16の表面に形成された負極活物質層17をロールによりプレスした後、打ち抜き機を用いて、負極活物質層17が形成された金属箔16を所定の形状に打ち抜くことにより、負極9を製造する。負極製造装置24により製造された負極9は、2つのベルトコンベア31によって反転装置26に順次搬送される。負極製造装置24も、多条取り(本実施形態では二条取り)に対応した装置である。帯状の金属箔16は負極9の2枚分に相当する幅を有し、一度の打ち抜きで2枚の負極9が形成される。
【0030】
反転装置25は、セパレータ付き正極11の表裏を反転させる。反転装置26は、負極9の表裏を反転させる。
【0031】
図4は、電極積層装置27を積層パレット搬送装置28と共に示す斜視図である。
図3及び
図4において、電極積層装置27は、セパレータ付き正極11と負極9とを高速で交互に積層する装置である。電極積層装置27は、セパレータ付き正極11及び負極9が積層される積層パレット32と、この積層パレット32を挟んで互いに対向するように配置され、左右両側からセパレータ付き正極11及び負極9をそれぞれ搬送する正極搬送部(電極搬送部)33及び負極搬送部(電極搬送部)34とを備えている。
【0032】
積層パレット32は、
図5に示されるように、セパレータ付き正極11及び負極9を位置決めする断面U字状の壁部35を有している。積層パレット32の両側面32aにおける壁部35の開放部35a側の端部下部には、回転体36(第1回転体)が積層パレット32の外側に突出するように設けられている。開放部35aは、壁部35の一側面に開放している。積層パレット32の両側面32aにおける壁部35の開放部35aとは反対側の端部上部には、回転体37(第2回転体)が積層パレット32の外側に突出するように設けられている。なお、積層パレット32の上下方向は、セパレータ付き正極11及び負極9の積層方向に相当する。回転体36,37は、積層パレット32の両側面32aにフリー回転自在に取り付けられたローラである。
【0033】
積層パレット32は、壁部35の開放部35aが上側に位置するように水平方向に対して所定の角度で傾斜している(
図6参照)。セパレータ付き正極11及び負極9が積層される積層パレット32は、正極搬送部33及び負極搬送部34の上端よりも低い位置に配置されている。
【0034】
正極搬送部33は、セパレータ付き正極11を積層パレット32に向けて水平方向に搬送する。正極搬送部33は、載置台38の上に載置されている。負極搬送部34は、負極9を積層パレット32に向けて水平方向に搬送する。負極搬送部34は、載置台39の上に載置されている。正極搬送部33及び負極搬送部34は、ベルト駆動式またはチェーン駆動式のローラコンベアで構成されている。なお、正極搬送部33及び負極搬送部34は、ベルトコンベア等で構成されていてもよい。また、セパレータ付き正極11の搬送方向は水平であるが、正極搬送部33の搬送面は他の方向に傾斜していてもよい。
【0035】
正極搬送部33により積層パレット32に向けて搬送されたセパレータ付き正極11は、正極搬送部33から落下して積層パレット32に積層される。負極搬送部34により積層パレット32に向けて搬送された負極9は、負極搬送部34から落下して積層パレット32に積層される。これにより、セパレータ付き正極11と負極9とが交互に積層された積層体40(
図3参照)が得られる。
【0036】
図6は、本発明の第1実施形態に係る積層パレット搬送装置を示す斜視図である。
図7は、
図6に示された積層パレット搬送装置の側面図である。
図4〜
図7において、本実施形態の積層パレット搬送装置28は、積層パレット32を昇降させる昇降ユニット41と、この昇降ユニット41の前後一方側に配置され、昇降ユニット41に積層パレット32を供給する供給ユニット42と、昇降ユニット41の前後一方側(供給ユニット42と同じ側)における供給ユニット42の上方に配置され、積層パレット32を搬出する搬出ユニット43とを備えている。なお、昇降ユニット41の前後一方側は、セパレータ付き正極11及び負極9の搬送方向に垂直な方向の一方側である。セパレータ付き正極11及び負極9が積層パレット32に積層される位置(積層位置)は、供給ユニット42と搬出ユニット43との間のほぼ中間である。
【0037】
昇降ユニット41は、上下方向に延びるように配置されたループ状の循環部材44と、この循環部材44の外周面に取り付けられ、壁部35の開放部35aが上側を向くように積層パレット32を傾斜させた状態で、積層パレット32を支持する複数組(ここでは6組)の支持部45とを有している。循環部材44は、無端状のベルトコンベアで構成されている。循環部材44は、載置台38,39に支持されている。
【0038】
支持部45には、積層パレット32の回転体36,37が係合する。支持部45は、循環部材44の外周面の両側縁部に取り付けられた1対の支持体46を有している。支持体46は、昇降ユニット41の前後一方側(供給ユニット42及び搬出ユニット43と面した側)において支持体46の基端側から先端側に向かって下がるように傾斜し、積層パレット32の回転体36が回転するように係合する傾斜面46aを有している。
【0039】
供給ユニット42は、積層パレット32を搬送する無端状のベルトコンベア47A,47B(第1ベルトコンベア)を有している。ベルトコンベア47A,47Bは、直列に配置されている。ベルトコンベア47A,47Bは、図示しない支持台に支持されていると共に、正極搬送部33及び負極搬送部34の下方において水平方向に配置されている。ベルトコンベア47A,47Bによる積層パレット32の搬送方向は、セパレータ付き正極11及び負極9の搬送方向に対して直交している。供給ユニット42は、積層パレット32が水平状態を維持したままで積層パレット32の回転体36が支持体46の傾斜面46aと係合するように、積層パレット32を昇降ユニット41に供給する。なお、供給ユニット42は、1つの無端状のベルトコンベアで構成されていてもよい。
【0040】
搬出ユニット43は、積層パレット32を搬送する無端状のベルトコンベア48(第2ベルトコンベア)を有している。ベルトコンベア48は、図示しない支持台に支持されていると共に、正極搬送部33及び負極搬送部34の上方において水平方向に配置されている。従って、ベルトコンベア48は、ベルトコンベア47A,47Bに平行に配置されていることとなる。ベルトコンベア48による積層パレット32の搬送方向は、セパレータ付き正極11及び負極9の搬送方向に対して直交している。
【0041】
昇降ユニット41の前後一方側(供給ユニット42及び搬出ユニット43と面した側)には、上下方向に延びる1対のアーム49が配置されている。各アーム49は、載置台38,39に支持されている。アーム49には、積層パレット32の回転体37が回転するように係合する。アーム49の下端位置は、積層パレット32が昇降ユニット41に供給可能となるように設定されている。
【0042】
アーム49の上端部には、積層パレット32を昇降ユニット41から搬出ユニット43に案内する側面視三角形状のガイド部50が設けられている。ガイド部50は、昇降ユニット41側から搬出ユニット43側に向かって下がるように傾斜し、積層パレット32の回転体36,37が回転するように係合する傾斜面50aを有している。
【0043】
アーム49の下部には、昇降ユニット41の反対側に突出した取付部51が固定されている。取付部51には、側面視三角形状の押さえ具52がバネ53を介して取り付けられている(
図6では不図示)。押さえ具52は、積層パレット32の回転体37と係合し、積層パレット32を支持体46に対して押さえる。押さえ具52は、昇降ユニット41の反対側に向かって上がるように傾斜したテーパ面52aを有している。バネ53は、押さえ具52を下側に付勢している。
【0044】
以上のような積層パレット搬送装置28において、上下3組の支持部45が供給ユニット42及び搬出ユニット43と面した側に突出するように配置された状態で、循環部材44の回転が停止している。このとき、一番下の支持部45は、昇降ユニット41に積層パレット32が供給される位置(積層パレット供給位置)に配置されている。中間の支持部45は、積層パレット32にセパレータ付き正極11及び負極9が積層される位置(積層位置)に配置されている。一番上の支持部45は、積層パレット32が搬出される位置(積層パレット搬出位置)に配置されている。
【0045】
セパレータ付き正極11及び負極9が積層されていない空の状態の積層パレット32は、昇降ユニット41のベルトコンベア47A,47Bにより昇降ユニット41に向けて搬送される。そして、空の状態の積層パレット32は、バネ53の付勢力に抗して押さえ具52を押し上げながら昇降ユニット41に供給される。このとき、積層パレット32が水平になっている状態で、積層パレット32の回転体36が一番下の支持体46の傾斜面46aに載る。また、バネ53の付勢力により押さえ具52が初期状態に戻ることで、積層パレット32の回転体37が押さえ具52に当接する。
【0046】
次いで、循環部材44を回転させることで、支持部45を空の状態の積層パレット32と共に積層位置まで上昇させる。このとき、積層パレット32の回転体37がアーム49の側面上を回転しながら、支持部45が上昇する。すると、積層パレット32の自重によって積層パレット32が水平状態から傾斜した状態となり、積層パレット32の回転体37も支持体46の傾斜面46aに載る。
【0047】
空の状態の積層パレット32が積層位置に達すると、上述したように、セパレータ付き正極11及び負極9が積層パレット32に交互に積層されることで、積層体40(
図3参照)が得られる。
【0048】
次いで、循環部材44を回転させることで、支持部45をセパレータ付き正極11及び負極9が積層された状態(積層状態)の積層パレット32と共に積層パレット搬出位置まで上昇させる。このとき、積層パレット32の回転体37がアーム49の側面上を回転しながら、支持部45が上昇する。積層状態の積層パレット32が積層パレット搬出位置に達すると、積層状態の積層パレット32は、自重によって支持体46の傾斜面46a及びガイド部50の傾斜面50aに沿って搬出ユニット43のベルトコンベア48まで下りる。このとき、積層パレット32の回転体36,37が傾斜面46a,50a上を回転しながら、積層パレット32が下がる。そして、積層状態の積層パレット32は、ベルトコンベア48により所定の位置まで搬送される。
【0049】
ところで、電極積層装置27は、
図3に示されるように、平行に並んで設置された2本の搬送ライン21に設けられている。このため、空の状態の積層パレット32を一方の搬送ライン21の積層位置に供給したり、積層状態の積層パレット32を一方の搬送ライン21の積層位置から取り出す際に、積層パレット32を単に積層位置に対して水平方向に移動させると、他の搬送ライン21の正極搬送部33及び負極搬送部34に積層パレット32が干渉してしまう。
【0050】
これに対し本実施形態では、供給ユニット42により空の状態の積層パレット32を昇降ユニット41に供給し、昇降ユニット41により積層パレット32を積層パレット供給位置から積層位置に上昇させ、積層位置において積層パレット32にセパレータ付き正極11及び負極9が積層された後、昇降ユニット41により積層状態の積層パレット32を積層位置から積層パレット搬出位置に上昇させ、搬出ユニット43により積層パレット32を搬出する。これにより、セパレータ付き正極11及び負極9を左右両側から積層パレット32に向けてそれぞれ搬送する正極搬送部33及び負極搬送部34を含む搬送ライン21が平行に並んで2本存在する場合でも、積層パレット32を積層位置に供給する際または積層パレット32を積層位置から取り出す際に、正極搬送部33及び負極搬送部34への積層パレット32の干渉を防止することができる。
【0051】
また、支持部45は、積層パレット32の壁部35の開放部35aが上側を向くように積層パレット32を傾斜させた状態で、積層パレット32を支持する。従って、セパレータ付き正極11及び負極9が積層パレット32に積層される際に、セパレータ付き正極11及び負極9の自重によってセパレータ付き正極11及び負極9が容易に積層パレット32に位置決めされる。また、積層パレット32の両側面32aにおける壁部35の開放部35a側に設けられた回転体36が支持部45と係合するので、簡単な構成によって積層パレット32を傾斜させた状態で支持することができる。
【0052】
さらに、積層パレット32の回転体36が支持体46の傾斜面46aに係合すると共に、積層パレット32の回転体37がアーム49に係合するので、昇降ユニット41により積層パレット32を上昇させたときに、積層パレット32が支持体46の傾斜面46aを下がることなく、積層パレット32を確実に傾斜させた状態で支持することができる。
【0053】
また、積層パレット32が昇降ユニット41に供給されるときは、積層パレット32が水平状態になっているので、供給ユニット42による昇降ユニット41への積層パレット32の供給をスムーズに行うことができる。
【0054】
なお、本実施形態では、積層パレット32の両側面32aにおける壁部35の開放部35a側の端部下部に回転体36が設けられ、積層パレット32の両側面32aにおける壁部35の開放部35aとは反対側の端部上部に回転体37が設けられているが、積層パレット32の両側面32aにおける壁部35の開放部35aとは反対側の端部下部にも回転体が設けられていてもよい。この場合には、循環部材44の回転に伴って支持体46が上昇する際に、回転体37が支持体46の傾斜面46aを擦ることが防止される。
【0055】
図8は、本発明の第2実施形態に係る積層パレット搬送装置を示す側面図である。
図8において、本実施形態の積層パレット搬送装置60は、積層パレット61を昇降させる昇降ユニット62と、この昇降ユニット62の前後一方側に配置され、昇降ユニット62に積層パレット61を供給する供給ユニット63と、昇降ユニット62の前後一方側(供給ユニット63と同じ側)における供給ユニット63の上方に配置され、積層パレット61を搬出する搬出ユニット64とを備えている。
【0056】
積層パレット61は、
図9に示されるように、上記第1実施形態における積層パレット32と同様に、壁部35及び回転体36,37を有している。回転体36は、積層パレット61の両側面61aにおける壁部35の開放部35a側の上部に積層パレット61の外側に突出するように設けられている。回転体37は、積層パレット61の両側面61aにおける壁部35の開放部35aとは反対側の端部上部に積層パレット61の外側に突出するように設けられている。
【0057】
昇降ユニット62は、
図8及び
図10に示されるように、上記の循環部材44と、この循環部材44の外周面に取り付けられ、壁部35の開放部35aが上側を向くように積層パレット61を傾斜させた状態で、積層パレット61を支持する複数組(ここでは6組)の支持部65とを有している。
【0058】
支持部65には、積層パレット61の回転体36が係合する。支持部65は、循環部材44の外周面の両側縁部にそれぞれ取り付けられた1対の支持体66と、循環部材44の外周面における各支持体66の間に取り付けられ、積層パレット61を傾斜させる三角柱形状のストッパ67とを有している。支持体66には、積層パレット61の回転体36と係合する切欠部68が設けられている。切欠部68は、支持体66の先端面に開口している。ストッパ67は、各支持体66に挟まれるように配置されている。ストッパ67は、昇降ユニット62の前後一方側(供給ユニット63及び搬出ユニット64と面した側)においてストッパ67の先端側から基端側に向けて下がるように傾斜し、積層パレット61の傾斜角を決定する傾斜面67aを有している。
【0059】
供給ユニット63は、積層パレット61を搬送する無端状のベルトコンベア69(第1ベルトコンベア)を有している。供給ユニット63は、積層パレット61が水平状態を維持したままで積層パレット61の回転体36が支持体66の切欠部68と係合するように、積層パレット61を昇降ユニット62に供給する。
【0060】
搬出ユニット64は、積層パレット61を搬送する無端状のベルトコンベア70(第2ベルトコンベア)と、このベルトコンベア70の外周面に取り付けられ、積層パレット61の回転体37に引っ掛かる側面視L字形のフック部71とを有している。ベルトコンベア70は、ベルトコンベア69に平行に配置されている。
【0061】
昇降ユニット62の前後一方側(供給ユニット63及び搬出ユニット64と面した側)には、積層パレット61を搬出するときに、積層パレット61の回転体36を案内するガイド部材72が配置されている。ガイド部材72は、図示しない支持台に支持されている。
【0062】
以上のような積層パレット搬送装置60において、まず
図11(a)に示されるように、供給ユニット63のベルトコンベア69により空の状態の積層パレット61が搬送されて昇降ユニット62に供給される。このとき、積層パレット61が水平になっている状態で、積層パレット61の回転体36が支持体66の切欠部68に入り込む。なお、
図11では、支持部65を便宜上1組のみ示している。
【0063】
次いで、循環部材44を回転させることで、
図11(b)に示されるように、支持部65を空の状態の積層パレット61と共に積層位置まで上昇させる。このとき、積層パレット61がベルトコンベア69から離れると、積層パレット61はストッパ67に当たって傾斜する。つまり、積層パレット61は、支持部65によって傾斜した状態で支持される。そして、上述したように、セパレータ付き正極11及び負極9が積層パレット61に交互に積層される。
【0064】
次いで、循環部材44を回転させることで、
図11(c)に示されるように、支持部65をセパレータ付き正極11及び負極9が積層された状態(積層状態)の積層パレット61と共に積層パレット搬出位置まで上昇させる。
【0065】
その状態で、搬出ユニット64のフック部71がベルトコンベア70の上部に達すると、
図11(d)に示されるように、フック部71が積層状態の積層パレット61の回転体37に引っ掛かる。そして、ベルトコンベア70の回転によるフック部71の移動に伴って、積層状態の積層パレット61の回転体37がフック部71に押されることで、積層パレット61が水平方向に移動し、積層パレット61の回転体36が支持体66の切欠部68から抜け出る。このとき、積層パレット61の回転体36がガイド部材72上を回転しながら、積層パレット61が支持体66から離れるように移動する。そして、積層状態の積層パレット61は、ベルトコンベア70により所定の位置まで搬送される。
【0066】
以上のような本実施形態においても、セパレータ付き正極11及び負極9を左右両側から積層パレット61に向けてそれぞれ搬送する正極搬送部33及び負極搬送部34を含む搬送ライン21が平行に並んで2本存在する場合でも、積層パレット61を積層位置に供給する際または積層パレット61を積層位置から取り出す際に、正極搬送部33及び負極搬送部34への積層パレット61の干渉を防止することができる。
【0067】
また、積層パレット61の回転体36が支持体66の切欠部68に係合すると共に、積層パレット61がストッパ67に当たることにより、昇降ユニット62により積層パレット61を上昇させたときに、積層パレット61を確実に傾斜させた状態で支持することができる。
【0068】
さらに、積層パレット61が昇降ユニット62に供給されるときは、積層パレット61が水平状態になっているので、供給ユニット63による昇降ユニット62への積層パレット61の供給をスムーズに行うことができる。また、ベルトコンベア70に取り付けられたフック部71が積層パレット61の回転体37に引っ掛かることで、積層パレット61がフック部71に押されて支持体66から離れるように移動するため、搬出ユニット64による積層パレット61の搬出をスムーズに行うことができる。
【0069】
なお、本実施形態では、積層パレット61の傾斜角を決定する傾斜面67aを有するストッパ67が循環部材44に取り付けられているが、特にその形態には限られず、例えば
図12に示されるように、循環部材44の外周面における支持体66の下方位置に直方体形状のストッパ75を取り付けてもよい。この場合には、積層パレット61がストッパ75の上角部に当たることで、積層パレット61が傾斜した状態で支持されることとなる。また、上記第1実施形態のようにアーム49を配置し、積層パレット61をガイドしてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態には限定されない。
【0071】
例えば上記第1実施形態では、昇降ユニット41は、積層パレット32の回転体36と係合する1対の支持体46からなる支持部45を有しているが、積層パレット32を傾斜させた状態で支持する支持部の構造としては、特にその形態には限られない。例えば
図13に示されるように、昇降ユニット80は、循環部材44の外周面に取り付けられ、先端側から基端側に向けて上がるように傾斜した傾斜面81a(傾斜領域)をもった支持部81を有していてもよい。なお、
図13では、循環部材44を省略している。
【0072】
図14は、支持部81を有する昇降ユニット80を備えた積層パレット搬送装置を示す側面図である。
図13及び
図14(a)に示される積層パレット搬送装置82は、昇降ユニット80に積層パレット32を供給する供給ユニット83と、積層パレット32を搬出する搬出ユニット84とを備えている。供給ユニット83は、積層パレット32が載置される板状部材85と、この板状部材85の左右両側に配置され、板状部材85上に載置された積層パレット32の回転体37を支持部81に向けて押すための1対のバー86とを有している。搬出ユニット84は、ベルトコンベア87と、このベルトコンベア87の外周面に取り付けられ、積層パレット32の回転体37に引っ掛かるフック部88とを有している。なお、板状部材85の上面には、ローラが配置されていてもよい。
【0073】
供給ユニット83により積層パレット32を昇降ユニット80に供給するときは、板状部材85上に載置された積層パレット32の回転体37をバー86により押すことで、積層パレット32を支持部81に向けて移動させて支持部81の傾斜面81aに沿って押し上げる。その後、搬出ユニット84により積層パレット32を搬出するときは、フック部88が積層パレット32の回転体37に引っ掛かっている状態で、ベルトコンベア87の回転によるフック部88の移動に伴って、積層パレット32が支持部81の傾斜面81aを降りてベルトコンベア87に移載される。
【0074】
供給ユニット83は、
図14(b)に示されるように、上記第1実施形態と同様に、ベルトコンベア89を有していてもよい。この場合には、ベルトコンベア89により積層パレット32が支持部81の傾斜面81aに沿って上がっていく。
【0075】
なお、支持部81は、傾斜面81aの代わりに、複数のローラが支持部81の先端側から基端側に向けて上がるように並んで配置されていてもよい。この場合には、複数のローラが傾斜領域を構成することになり、積層パレット32が支持部81を上がりやすくなる。
【0076】
また、上記実施形態では、搬出ユニット43が供給ユニット42の上方に配置され、搬出ユニット64が供給ユニット63の上方に配置されているが、特にその形態には限られず、例えば
図15に示されるように、搬出ユニット84が供給ユニット83の下方に配置されていてもよい。
図15(a)は、
図14(a)に対応する図であり、
図15(b)は、
図14(b)に対応する図である。この場合には、供給ユニット83により空の状態の積層パレット32が昇降ユニット80に供給された後、昇降ユニット80が積層位置まで下降する。そして、セパレータ付き正極11及び負極9が積層パレット32に積層された後、昇降ユニット80が積層パレット搬出位置まで下降し、搬出ユニット43により積層状態の積層パレット32が搬出される。
【0077】
また、
図14及び
図15に示される変形例では、昇降ユニット80の支持部81は、先端側から基端側に向けて上がるように傾斜した傾斜面81aを有しているが、特にその形態には限られない。昇降ユニット80は、
図16に示されように、先端側から基端側に向けて下がるように傾斜した傾斜面91aをもった支持部91を有していてもよい。傾斜面91aの下部には、積層パレット32を停止させるストッパ92が突設されている。
【0078】
図16(a)は、
図14(b)に対応する図である。
図16(a)において、供給ユニット83により積層パレット32を昇降ユニット80に供給するときは、供給ユニット83のベルトコンベア89により積層パレット32を支持部91に向けて搬送して支持部91の傾斜面91aに沿って滑り下ろす。そして、昇降ユニット80を上昇させる。その後、搬出ユニット84により積層パレット32を搬出するときは、フック部材93を積層パレット32の回転体36に引っ掛けた状態で、フック部材93を搬出ユニット84側に移動させることにより、積層パレット32を支持部91の傾斜面91aに沿って押し上げて搬出ユニット84に移載する。
【0079】
図16(b)は、
図15(b)に対応する図である。
図16(b)において、まず
図16(a)に示される変形例と同様に、積層パレット32を昇降ユニット80に供給する。そして、昇降ユニット80を下降させる。その後、
図16(a)に示される変形例と同様に、積層パレット32を搬出する。
【0080】
さらに、上記実施形態では、積層パレット32,61は、セパレータ付き正極11及び負極9を位置決めする断面U字状の壁部35を有すると共に、積層位置において水平方向に対して傾斜するように配置されるが、積層パレット32,61がセパレータ付き正極11及び負極9を位置決めする壁部を有していれば、積層パレット32,61は積層位置において水平方向に対して傾斜していなくてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、電極積層装置27を含む搬送ライン21が平行に並んで2本設置されているが、電極積層装置27を含む搬送ライン21の本数としては、3本以上あってもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、正極8が袋状のセパレータ10に包まれた状態であるセパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層パレット32,61に積層しているが、特にその形態には限られず、正極と負極が袋状のセパレータに包まれた状態であるセパレータ付き負極とを交互に積層パレット32,61に積層してもよい。このとき、正極搬送部33により正極が搬送され、負極搬送部34によりセパレータ付き負極が搬送される。
【0083】
さらに、上記実施形態では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池であるが、本発明は、特にリチウムイオン二次電池には限られず、例えばニッケル水素電池等の他の二次電池、電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタ等の蓄電装置における電極の積層にも適用可能である。