(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記準備工程と前記生産工程で、前記第二軸部に対する前記冷却流体の供給流量を変えることで、前記第二ローラの内部冷却温度を調整することを特徴とする請求項3に記載のガラス物品の製造方法。
前記準備工程は、前記ガラスの厚み及び反りの向きを調整する調整工程を備えており、前記調整工程の後に、前記第二ローラの内部冷却温度を、前記準備工程における内部冷却温度から前記生産工程における内部冷却温度に切り替えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス物品の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のガラス物品の製造方法には、生産工程の前に、ガラスリボンを成形する準備を行うための準備工程が含まれる場合がある。この準備工程では、成形体から流下させたガラスをアニーラローラで順に挟持する。これにより、成形体から流下されたガラスを薄く引き伸ばし、徐々にガラスリボンの形状に近づける。
【0006】
上記の準備工程及び生産工程では、アニーラローラが熱変形によって曲がったり、アニーラローラにガラスが巻き付いてしまったりするなどの不具合を防止するために、アニーラローラを内部冷却する場合がある。しかし、アニーラローラを過度に冷却すると、例えば生産工程において、ガラスリボンを急冷してしまい、ガラスリボンが割れやすくなるという新たな問題が生じ得る。したがって、準備工程及び生産工程の各工程において、アニーラローラの内部冷却に依然として課題がある。
【0007】
本発明は、準備工程及び生産工程の各工程において、アニーラローラの内部冷却の適正化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、ダウンドロー法を用いたガラス物品の製造方法であって、成形体で成形されたガラスリボンを上下複数段のアニーラローラで挟持した状態で下方に搬送しながら徐冷する生産工程と、前記生産工程の前に、成形体から流下させたガラスをアニーラローラで順に挟持し、ガラスリボンの形状に近づける準備工程とを備え、アニーラローラは、生産工程でガラスリボンの歪点超となる第一温度領域に配置された第一ローラと、生産工程でガラスリボンの歪点以下となる第二温度領域に配置された第二ローラとを備え、第二ローラは、生産工程における内部冷却温度が準備工程における内部冷却温度よりも高いことを特徴とする。
【0009】
本願発明者等は、生産工程におけるガラス(ガラスリボン)の熱量と、準備工程におけるガラスの熱量の相違に着目した。すなわち、準備工程では、ガラスはガラスリボンになる前段階の状態であるので、厚みが大きい。そのため、ガラスが有する熱量は必然的に大きくなる。これに対し、生産工程では、ガラスリボンの厚みが小さいため、ガラスリボンが有する熱量は必然的に小さくなる。そのため、生産工程において、準備工程と同じ温度条件でアニーラローラを冷却すると、ガラスリボンが急冷され、ガラスリボンが割れるという事態が生じると考えられる。このようなガラスリボンの急冷は、ガラスリボンの温度や周辺温度が高い歪点超の第一温度領域では生じにくく、ガラスリボンの温度や周辺温度が低い歪点以下の第二温度領域で生じやすい。そこで、本願発明では、上記の構成のように、生産工程における第二ローラ(第二温度領域に配置されるアニーラローラ)の内部冷却温度が、準備工程における第二ローラの内部冷却温度よりも高くなるように設定した。これにより、生産工程において、ガラスリボンがアニーラローラの内部冷却によって急冷される事態が防止されるので、アニーラローラの内部冷却に起因するガラスリボンの割れを確実に抑制することができる。したがって、準備工程及び生産工程の各工程において、アニーラローラの内部冷却の適正化が図られたと言える。
【0010】
上記の構成において、生産工程で、第一ローラの内部冷却温度が、第二ローラの内部冷却温度よりも低いことが好ましい。生産工程であっても、歪点超の第一温度領域ではガラスの温度や周辺温度が高いため、当該領域に配置される第一ローラには熱変形やガラスの巻き付きが生じるおそれがある。そこで、生産工程における第一ローラの熱変形やガラスの巻き付きを防止するためには、上記の構成を採用することが好ましい。
【0011】
上記の構成において、第一ローラは、内部に冷却流体を流通可能な通路を有する第一軸部と、第一軸部に設けられた第一ローラ本体とを備えており、第二ローラは、内部に冷却流体を流通可能な通路を有する第二軸部と、第二軸部に設けられた第二ローラ本体とを備えていてもよい。このようにすれば、第一ローラおよび第二ローラは、各軸部の通路に冷却流体を流通させることで内部冷却される。
【0012】
上記の構成において、準備工程と生産工程で、第二軸部に対する冷却流体の供給流量を変えることで、第二ローラの内部冷却温度を調整してもよい。内部冷却温度を調整する方法としては、冷却流体自体の供給温度を変更する方法も考えられるが、供給流量自体を変更する方法の方がより簡便な機構で実現可能である。
【0013】
上記の構成において、生産工程で第二軸部に対する冷却流体の供給を停止してもよい。
【0014】
上記の構成において、第二軸部は両持ち支持された金属製であり、第二ローラ本体は第二軸部の軸方向両側にそれぞれ設けられており、第二軸部は第二軸部の軸方向における第二ローラ間に金属露出部を有していてもよい。
【0015】
上記の構成において、第二軸部は片持ち支持された金属製であり、第二ローラ本体は第二軸部の軸方向片側に設けられていてもよい。
【0016】
上記の構成において、準備工程は、ガラスの厚み及び反りの向きを調整する調整工程を備えており、調整工程の後に、第二ローラの内部冷却温度を、準備工程における内部冷却温度から生産工程における内部冷却温度に切り替えることが好ましい。
【0017】
上記の構成において、生産工程でガラスリボンの状態
を検出するとともに、その検出結果に基づいてガラスリボンの生産不良が検出された時に、第二ローラの内部冷却温度を、生産工程における内部冷却温度から準備工程における内部冷却温度に切り替えてもよい。このようにすれば、生産工程でガラスリボンの生産不良が生じた時に、第二ローラの内部冷却温度を準備工程における内部冷却温度に自動的に切り替えることができる。
【0018】
上記の構成において、前記生産工程で徐冷後の前記ガラスリボンをロール状に巻き取るようにしてもよい。このようにすれば、ロール状のガラス物品(ガラスロール)を製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のような本発明によれば、準備工程及び生産工程の各工程において、アニーラローラの内部冷却の適正化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係るガラス物品の製造方法の一実施形態について説明する。
【0022】
図1及び
図2に示すように、ガラス物品の製造方法に用いられるガラス物品の製造装置1は、成形炉2と、成形炉2の下方に位置する徐冷炉3とを主に備える。ガラス物品の製造装置1は、上流側に設けられる溶融炉から供給される溶融ガラスGMを成形炉2によりガラスリボンGRに成形した後、このガラスリボンGRの反り及び内部歪を徐冷炉3にて除去する。なお、図中において、成形炉2と徐冷炉3の炉壁の図示は省略している。
【0023】
成形炉2は、炉壁の内側にオーバーフローダウンドロー法を実行する成形体4と、成形体4で成形されたガラスリボンGRの幅方向両端部を冷却するエッジローラ5とを備える。
【0024】
成形体4は、長尺状に構成されるとともに、頂部にその長手方向(ガラスリボンGRの幅方向)に沿って形成されたオーバーフロー溝6を有する。また、成形体4は、互いに対向する一対の側壁部を構成する垂直面部7及び傾斜面部8を備える。垂直面部7の下端部には、傾斜面部8が繋がるように形成される。一対の傾斜面部8は、下方に向かって漸次接近することで交差し、成形体4の下端部9を構成している。
【0025】
図1に示すように、エッジローラ5は、成形体4の直下方において、ガラスリボンGRの幅方向各端部を挟持するように、正面視において左右一組として構成される。また、
図2に示すように、エッジローラ5は、ガラスリボンGRの幅方向端部を挟持するように、ガラスリボンGRの板厚方向に並設されるローラ対として構成される。エッジローラ5は、片持ちタイプのローラであり、後述する準備工程及び生産工程の各工程において常時内部冷却される。なお、エッジローラ5は、上下方向に複数段(例えば二段)設けられていてもよい。例えば上下二段の場合、上段のエッジローラを駆動ローラとし、下段のエッジローラをフリーローラとすることが好ましい。
【0026】
この成形炉2では、成形体4のオーバーフロー溝6に溶融ガラスGMを流し込み、このオーバーフロー溝6から両側に溢れ出た溶融ガラスGMを垂直面部7及び傾斜面部8に沿って流下させながら下端部9で融合一体化し、一枚のガラスリボンGRを連続成形する。なお、成形体4は、上記の構成に限らず、スロットダウンドロー法やリドローダウンドロー法など、オーバーフローダウンドロー法以外の他のダウンドロー法を実行する構成であってもよい。
【0027】
図1及び
図2に示すように、徐冷炉3は、上下方向に複数段(図例では六段)として構成されるアニーラローラ10を有する。アニーラローラ10は、生産工程でガラスリボンGRの歪点超となる第一温度領域Xに配置された第一ローラ(第一アニーラローラ)11と、生産工程でガラスリボンGRの歪点以下となる第二温度領域Yに配置された第二ローラ(第二アニーラローラ)12とを備える。
【0028】
図1に示すように、第一ローラ11は、両持ち支持された第一軸部13と、第一軸部13のガラスリボンGRと重なる部分に連続的に設けられた第一ローラ本体14とを備える。第一軸部13は金属製であり、第一ローラ本体14の軸心を貫通し、第一ローラ本体14の各端部から突出している。
【0029】
第一ローラ本体14は、ガラスリボンGRに接触する大径の接触部14aと、ガラスリボンGRに接触しない小径の非接触部14bとを有する。
図2に示すように、接触部14aは、ガラスリボンGRを板厚方向において挟持するローラ対として構成される。また、接触部14aは、ガラスリボンGRにおける幅方向の各端部を挟持するように、正面視(
図1参照)において左右一組となるように構成される。非接触部14bは、正面視においてガラスリボンGRに重なる第一軸部13を被覆するカバー部として機能する。
【0030】
一方、
図1に示すように、第二ローラ12は、両持ち支持された第二軸部15と、第二軸部15の幅方向の両側に設けられた第二ローラ本体16とを備える。第二軸部15は金属製であり、第二ローラ本体16の軸心を貫通し、それぞれの第二ローラ本体16の各端部から突出している。
【0031】
第二ローラ本体16は、ガラスリボンGRに接触する接触部として機能する。
図2に示すように、第二ローラ本体16は、ガラスリボンGRを板厚方向において挟持するローラ対として構成される。また、第二ローラ本体16は、ガラスリボンGRにおける幅方向の各端部を挟持するように、正面視(
図1参照)において左右一組となるように構成される。第二軸部15のうち、左右一組の第二ローラ本体16の間の部分は、第二軸部15の金属部分が露出した金属露出部15aとされる。金属露出部15aは、正面視においてガラスリボンGRと重なっている。
【0032】
各ローラ本体14,16は、例えばセラミックス製であり、その表面から所定の深さまで無機充填材を含浸させることにより構成される。セラミックスとしては、例えば、シリカ、より好ましくは焼結アモルファスが用いられる。無機充填材としては、コロイダルシリカ又はコロイダルアルミナ等の耐熱性酸化物のコロイド懸濁液が好適である。なお、各ローラ本体14,16の材質は、耐熱性を有していれば特に限定されない。
【0033】
図3及び
図4に示すように、各ローラ11,12の各軸部13,15には、冷却装置17,18がそれぞれ設けられている。
図3に示すように、第一冷却装置17は、中空状に構成される第一軸部13の内部に第一冷却配管19を配置してなる。第一冷却配管19は、空気等の冷却媒体を吐出する複数の孔20を有する。これら複数の孔20から吐出される冷却媒体は、第一軸部13の内部を流通することにより、第一軸部13及び第一ローラ本体14を内部冷却する。ここで、内部冷却とは、冷却対象の部材をその内側から冷却することを意味する。
図4に示すように、第二冷却装置18は、第一冷却装置17と実質的に同様の構成を備える。すなわち、第二冷却装置18も、中空状に構成される第二軸部15の内部に、冷却媒体を吐出する複数の孔22を有する第二冷却配管21を備える。各冷却配管19,21には、
図1に示すように、バルブ23,24が設けられており、冷却媒体の流量が調整可能となっている。冷却媒体の流量の調整には、バルブ23,24を完全に閉じて冷却媒体の供給を停止する場合も含まれる。なお、冷却装置17,18の構成は、軸部13,15の内部及び/又はローラ本体14,16の内部に冷却流体を流通可能なものであれば特に限定されない。
【0034】
ここで、
図1において、符号25は、エッジローラ5のトルク及び/又は回転数を検出するセンサであり、
図2において、符号26は、ガラスリボンGRの有無及び/又はガラスリボンGRのひび(例えば縦割れ)の有無を検出するセンサ(例えばレーザサンセ)である。また図示は省略するが、エッジローラ5やアニーラローラ10の対向間隔を検出するセンサ(例えばレーザサンセ)も設けられている。なお、これらセンサは省略してもよい。
【0035】
次に、上記構成のガラス物品の製造装置1によりガラス物品としての板ガラスを製造する方法(ガラス物品の製造方法)について説明する。
【0036】
本製造方法は、ガラスリボンGRを成形するための準備工程と、ガラスリボンGRを成形する生産工程とを備える。
【0037】
準備工程及び生産工程において、溶融炉から供給される溶融ガラスGMは、成形体4のオーバーフロー溝6に注入されるとともに、このオーバーフロー溝6から溢れ出て垂直面部7及び傾斜面部8を伝い、下端部9にて合流する。
【0038】
図4に示すように、準備工程では、成形体4の下端部9で合流した溶融ガラスGMが、成形体4の下端部9の直下において、ガラスリボンGRよりも大きい板厚を有するガラスGBとなる。このガラスGBは、塊状となってガラス塊を形成する場合もある。
【0039】
図5に示すように、このガラスGBをエッジローラ5で挟持する。次に、エッジローラ5によって幅方向両端部が支持されたガラスGBを幅方向及び上下方向に引き伸ばしながら開状態で待機しているアニーラローラ10の間を通過させる。その後、アニーラローラ10を開状態から閉状態とし、アニーラローラ10でガラスGBを挟持する。ここで、開状態とは、ガラスGBの板厚方向に対向配置されたローラ対の対向間隔をガラスGBの板厚よりも大きく維持した状態をいい、閉状態とは、当該ローラ対の対向間隔をガラスGBの板厚と同程度(好ましくは板厚以下)に維持した状態をいう。上記の挟持動作は、最上段の第一ローラ11から順々に行われる。これにより、ガラスGBの形状をガラスリボンGRに徐々に近づけていく。ここで、ガラスGBの上下方向の引き伸ばしは、重力の作用に加え、アニーラローラ10でガラスGBを下方に牽引することによって行ってもよいし、徐冷炉3の外などに別途設けた引張ローラ(図示省略)でガラスGBを下方に牽引することによって行ってもよい。また、エッジローラ5と最上段のアニーラローラ10との間に、ガラスGBを挟持して幅方向に広げるローラ(図示省略)を別途設けてもよい。当該ローラは、準備工程の初期の段階でガラスGBを幅方向に広げた後、ガラスGBから離れることが好ましい。
【0040】
複数のアニーラローラ10でガラスGBを挟持した後、ガラスGBの板厚及び反りの向きを調整する調整工程を行う。調整工程は準備工程の終盤で行われる。調整工程では、例えば成形炉2及び徐冷炉3の温度調整することにより、ガラスGBの板厚を調整する。また、調整工程では、例えば徐冷炉3内でガラスGBを棒状体で押圧し、ガラスGBの反りの向きを調整する。
【0041】
準備工程が終了すると、
図1に示すように、生産工程を開始する。生産工程では、成形体4の下端部9で合流した溶融ガラスGMからガラスリボンGRが連続的に成形される。成形されたガラスリボンGRは、徐冷炉3において徐冷された後、徐冷炉3の搬送方向下流側において、図示しない切断装置により所定の寸法に切断される。これにより、ガラスリボンGRからガラス物品としての板ガラスが製造される。このように製造された板ガラスは、例えば、縦姿勢又は横姿勢で複数枚積層された状態でパレット上に梱包され、顧客等に輸送される。板ガラスを積層梱包する場合、各板ガラスの相互間に合紙や樹脂シート等からなる保護シートを介在させることが好ましい。
【0042】
図5に示すように、準備工程では、各ローラ11,12に冷却媒体(水、空気など)を供給するための各バルブ23,24を開状態とする。これに対し、
図1に示すように、生産工程では、第一ローラ11に冷却媒体を供給するための第一バルブ23は開状態としたまま、第二ローラ12に冷却媒体を供給するための第二バルブ24は閉状態とする。すなわち、第二ローラ12への冷却媒体の供給を停止する。
【0043】
これにより、準備工程において、各ローラ11,12が内部冷却される。準備工程ではガラスGBの温度や周辺温度が相対的に高くなりやすいが、各ローラ11,12が内部冷却されるので、熱変形が生じたりガラスGBが巻き付いたりするなどの不具合が生じるのを防止することができる。
【0044】
また、生産工程における第二ローラ12の内部冷却温度T2pは、準備工程における第二ローラ12の内部冷却温度T2rよりも高く設定される。そのため、生産工程では、第二ローラ12の内部冷却が弱められ、歪点以下まで冷却されたガラスリボンGRが急冷されて割れるという事態が生じにくくなる。
【0045】
また、生産工程において、第一ローラ11の内部冷却温度T1pは、第二ローラ12の内部冷却温度T2pよりも低く設定される。そのため、生産工程でも、第一ローラ11の内部冷却は強く、第一ローラ11に熱変形が生じたり、ガラスリボンGRが巻き付いたりするのを防止することができる。生産工程であっても、第一ローラ11が配置された歪点超の第一温度領域Xでは、ガラスリボンGRの温度や周囲温度が相対的に高くなりやすいので、当該内部冷却態様とすることが好ましい。
【0046】
本製造方法では、調整工程の後に、第二バルブ24を開状態から閉状態に切り替え、第二ローラ12の内部冷却温度を、準備工程における内部冷却温度T2rから生産工程における内部冷却温度T2pに変更する。すなわち、第二ローラ12の内部冷却温度の切り替えは生産工程の直前に行われる。
【0047】
また本製造方法では、生産工程において、ガラスリボンGRに生産不良が生じると、生産不良情報が報知(出力)される。この生産不良情報は、例えば次のような場合に報知される。(1)センサ25によって、エッジローラ5のトルクが所定値以下になったことが検出された場合や、エッジローラ5の回転数が所定値以下になったことが検出された場合に、ガラスリボンGRの生産不良情報を報知する。ここで、例えば、ガラスリボンGRがなくなった場合や割れた場合に、エッジローラ5のトルクや回転数が所定値以下になる。(2)また、センサ26によって、ガラスリボンGRが無いと検出された場合や、ガラスリボンGRにひびが有ると検出された場合に、ガラスリボンGRの生産不良情報を報知する。(3)さらに、センサ(図示省略)によって、エッジローラ5やアニーラローラ10の対向間隔が所定値以下になったことが検出された場合に、ガラスリボンGRの生産不良情報を報知する。ここで、例えば、エッジローラ5やアニーラローラ10はガラスリボンGRを挟持する向きに付勢されているので、ガラスリボンGRがなくなった場合に、エッジローラ5やアニーラローラ10の対向間隔が所定値以下になる。
【0048】
更に本製造方法では、上記(1)〜(3)のいずれかで生産不良情報が報知されると、第二バルブ24が閉状態から開状態に切り替わり、第二ローラ12の内部冷却温度が、生産工程における内部冷却温度T2pから準備工程における内部冷却温度T2rに変更される。このような第二ローラ12の内部冷却温度の変更は手動で行ってもよいが、生産不良情報をトリガー信号として自動で行うことが好ましい。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0050】
上記の実施形態では、第二ローラ12として、両持ち支持された第二軸部15の軸方向両側に第二ローラ本体16が設けられた構成を例示したが、第二ローラ12は、
図7に示すように、片持ち支持された第二軸部27の片側にローラ本体28が設けられた構成であってもよい。この第二軸部27には、冷却装置(図示省略)が設けられている。また同様に、第一ローラ11についても、片持ちタイプのローラを採用してもよい。
【0051】
上記の実施形態では、生産工程で第二ローラ12への冷却媒体の供給を停止する場合を説明したが、生産工程で第一ローラ11の一部又は全部への冷却媒体の供給も停止するようにしてもよい。
【0052】
上記の実施形態では、生産工程で第二ローラ12への冷却媒体の供給を停止することで、第二ローラ12の内部冷却温度を相対的に高くする場合を説明したが、生産工程で第二ローラ12へ冷却媒体を供給してもよい。この場合、準備工程よりも生産工程で、第二ローラ12への冷却媒体の供給流量を少なくしたり、冷却媒体の温度を高くしたりするなどしてもよい。もちろん、準備工程及び生産工程の各工程において、各ローラ11,12への冷却媒体の供給流量を変化させてもよいし、冷却媒体の温度を変化させてもよい。前者の場合、上段側のローラの冷却媒体の供給流量を相対的に多く、下段側のローラの冷却媒体の供給流量を相対的に少なくすることが好ましい。後者の場合、上段側のローラの冷却媒体の温度を相対的に低く、下段側のローラの冷却媒体の温度を相対的に高くすることが好ましい。
【0053】
上記の実施形態では、ガラスリボンGRからガラス物品として板ガラスを製造する場合を説明したが、ガラス物品は板ガラスに限定されない。例えば、ガラスリボンGRが薄い場合(ガラスフィルムの場合)には、徐冷炉3の搬送方向下流側において、図示しない巻取装置でガラスリボンGRをロール状に巻き取ってもよい。これにより、ガラスリボンGRからガラス物品としてのガラスロールが製造される。このように製造されたガラスロールは、例えば、ロール形態のまま保管又は顧客等に輸送される。ガラスロールの場合、巻き芯の周りにガラスリボンGRと保護シートを重ねて巻き取り、半径方向に対向するガラスリボンGRの間に保護シートを介在させることが好ましい。