特許第6708975号(P6708975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708975
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】スクリュープレスの目詰まり防止装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 9/14 20060101AFI20200601BHJP
   C02F 11/125 20190101ALI20200601BHJP
   B01D 29/17 20060101ALI20200601BHJP
   B01D 29/25 20060101ALI20200601BHJP
   B01D 29/37 20060101ALI20200601BHJP
   B01D 29/64 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   B30B9/14 G
   B30B9/14 ZZAB
   B30B9/14 B
   C02F11/125
   B01D29/30 501
   B01D29/38 550B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-45624(P2017-45624)
(22)【出願日】2017年3月10日
(65)【公開番号】特開2018-149548(P2018-149548A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2019年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】本田 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】石崎 祐一
【審査官】 藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−070785(JP,U)
【文献】 特開昭60−049989(JP,A)
【文献】 特開昭50−049770(JP,A)
【文献】 特開2015−199044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/14
C02F 11/12
B01D 29/00 − 29/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒スクリーン(4)の内部にスクリュー羽根(5)を巻き掛けたスクリュー軸(6)を回転自在に内設してろ過室(10)を形成し、ろ過室(10)の一端側から供給された汚泥を脱水しながら他端側に搬送して脱水ケーキを排出するスクリュープレスの目詰まり防止装置において、
スクリュー羽根(5)の外周部に付設し、内部の圧力に応じて伸縮可能な管状の調整具(18)と、
調整具(18)の伸縮に応じて外筒スクリーン(4)方向に移動自在なスクレーパ(14)と、
スクレーパ(14)を外筒スクリーン(4)の方向に移動可能に挟持する押え板(19)と、
スクリュー軸(6)の端部にロータリースイベルジョイント(15)と、
スクリュー軸(6)に内挿し、一端をロータリースイベルジョイント(15)に接続し、他端を調整具(18)に接続した圧力供給管(17)と、
を備えると共に、
スクリュー羽根(5)をろ過室(10)の内圧に応じて各ゾーンに区分し、
調整具(18)をそれぞれの区分で独立して配設し、
各調整具(18,…)に圧力供給管(17,…)を接続する
ことを特徴とするスクリュープレスの目詰まり防止装置。
【請求項2】
前記スクリュー羽根(5)の外周端に付設する調整具(18)と、
調整具(18)の外筒スクリーン(4)側に隣接するスクレーパ(14)と、を備え、
スクリュー羽根(5)の前後面に押え板(19,19)配し、調整具(18)とスクレーパ(14)を挟持する
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリュープレスの目詰まり防止装置。
【請求項3】
前記スクリュー羽根(5)の前後面の何れか一方の外周部に付設した調整具(18)と、
調整具(18)の外筒スクリーン(4)側に隣接したスクレーパ(14)と、を備え、
調整具(18)とスクレーパ(14)を配している面の外方に押え板(19)を配し、調整具(18)とスクレーパ(14)をスクリュー羽根(5)と押え板(19)で挟持する
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリュープレスの目詰まり防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の外筒スクリーンで汚泥を脱水しながら、外筒スクリーンに内挿したスクリュー軸のスクリュー羽根で脱水ケーキを搬送するスクリュープレスにおいて、外筒スクリーンの目詰まりを防止させるためにスクリュー羽根に止着したスクリュープレスの目詰まり防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場等から発生する難脱水性汚泥や浄水処理場から発生する非圧縮性汚泥は、凝集剤を添加して懸濁物質のフロックを形成させて固液分離を行ない、脱水ケーキの含水率の低減を図っている。このような汚泥を濃縮・脱水させる装置としては、外筒スクリーンに内設したスクリュー軸を回転させながら汚泥の固液分離を行うスクリュープレスが知られている。
【0003】
そして、スクリュープレスの外筒スクリーンの内面にケーキが付着して目詰まりすることを防止するために、螺旋状のスクリュー羽根の外周部に、一連の帯状に構成したスクレーパを設ける技術は周知である。
【0004】
スクリュー羽根に設けたスクレーパであって、スクレーパの取り付け部を傾斜面で構成することにより、取り付けボルトの締め付け具合に応じてスクレーパの外周方向への移動を可能とした技術は特許文献1に記載されている。
【0005】
また、弾性体からなるスクレーパの内部に流路を形成し、流路に注入する流体の圧力により外筒スクリーンの内壁に向かって伸縮可能な構成とした技術は特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3858701号公報
【特許文献2】特開2001−321990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の可撓性を有するスクレーパは、弾圧的に外筒スクリーンの内面に摺接して、スクリーンの目詰まりを解消するものであるが、引用文献1のスクレーパのようにスクレーパを押し付けているだけでは、スクレーパの摺接部が摩耗していき、外筒スクリーンに摺接出来なくなった時には交換が必要となり、その交換に時間と労力を要する。
【0008】
引用文献1は、スクレーパの摩耗に応じてスクレーパを外周方向へ移動可能としたものであるが、取り付けボルトを増し締めすることによって移動自在とした構造であるため、スクレーパを調整する際には外筒スクリーンを取り外す必要がある。臭気対策により脱水部をカバー等で覆っていることも多く、従来技術と同様にスクレーパの調整のための分解組立に多大な時間と労力を要する。
【0009】
特許文献2は、スクレーパ内部の流路に供給する圧力により伸縮可能な構成としたものであるが、どのような手段でスクレーパ内部の流路に圧力を供給するのか不明である。外部から圧力供給できない場合は、従来技術と同様に外筒スクリーンを取り外す必要があるため、分解組立に多大な時間と労力を要する。また、螺旋状のスクリュー羽根の外周端に凹溝を形成する加工作業が困難であり、その凹溝にスクレーパを嵌め付けることは現実的ではない。
【0010】
本発明は、スクリュープレスを分解することなく、スクリュー羽根に設けたスクレーパを外周方向へ移動可能としたスクリュープレスの目詰まり防止装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は外筒スクリーンの内部にスクリュー羽根を巻き掛けたスクリュー軸を回転自在に内設してろ過室を形成し、ろ過室の一端側から供給された汚泥を脱水しながら他端側に搬送して脱水ケーキを排出するスクリュープレスの目詰まり防止装置において、スクリュー羽根の外周部に付設し、内部の圧力に応じて伸縮可能な管状の調整具と、調整具の伸縮に応じて外筒スクリーン方向に移動自在なスクレーパと、スクレーパを外筒スクリーンの方向に移動可能に挟持する押え板と、スクリュー軸の端部にロータリースイベルジョイントと、スクリュー軸に内挿し、一端をロータリースイベルジョイントに接続し、他端を調整具に接続した圧力供給管と、を備えたもので、スクリュープレスを分解することなく、スクリュー羽根に設けたスクレーパを外周方向へ移動可能である。
【0012】
スクリュー羽根をろ過室の内圧に応じて各ゾーンに区分し、調整具をそれぞれの区分で独立して配設し、各調整具に圧力供給管を接続すると、押圧力の異なる各ゾーンのスクレーパを個別に調整可能で、摩耗しているゾーンのスクレーパのみを移動させることができる。
【0013】
スクリュー羽根の外周端に付設する調整具と、調整具の外筒スクリーン側に隣接するスクレーパと、を備え、スクリュー羽根の前後面に押え板を配し、調整具とスクレーパを挟持すると、スクリュー羽根の前後に突出する部材が少なく、汚泥の搬送抵抗が増加することがない
【0014】
スクリュー羽根の前後面の何れか一方の外周部に付設した調整具と、調整具の外筒スクリーン側に隣接したスクレーパと、を備え、調整具とスクレーパを配している面の外方に押え板を配し、調整具とスクレーパをスクリュー羽根と押え板で挟持する構成は、スクリュー羽根の厚みが小さく、スクリュー羽根の外周端に配置できない場合に有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明におけるスクリュープレスの目詰まり防止装置は、スクリュープレスを分解することなくスクレーパを外周方向へ移動可能とできるものである。また、スクレーパを移動可能とする調整具を、ろ過室の押圧力の異なる各ゾーンに独立して連設すれば、摩耗したゾーンのスクレーパのみを個別に調整できる。スクリュープレスの運転時間に関わらず、常時スクレーパが外筒スクリーンに摺接しているので、脱水ケーキがろ過室内で逆流することなく、また、スクリーンの目詰まりがないので、スクリュープレスの脱水性能を安定化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るスクリュープレスの一部縦断側面図である。
図2】同じく、スクリュー羽根外周部の拡大図である。
図3】本発明に係る他の実施例1のスクリュー羽根外周部の拡大図である。
図4】同じく、他の実施例2のスクリュー羽根外周部の拡大図である。
図5】本発明に係るスクリュー羽根の要部縦断側面図である。
図6】同じく、スクリュー羽根の要部縦断平面図である。
図7】本発明に係る他の実施例3のスクリュー羽根の要部縦断側面図である。
図8】本発明に係る圧力供給管の接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係るスクリュープレスの一部縦断側面図である。
スクリュープレス1は前後のフレーム2,3間に支架されており、周部にろ過面を有する外筒スクリーン4にスクリュー羽根5を巻き掛けたスクリュー軸6を内設している。外筒スクリーン4の内部に配設したスクリュー軸6は始端側から終端側に向かってテーパー状にその径を増大させ、外筒スクリーン4とスクリュー軸6を延伸方向に向かって相対的に間隔を減少させるようにしている。
【0018】
スクリュー軸6の始端側に供給路7が設けてあり、原液タンク8の汚泥を圧入ポンプ9で供給路7に圧入する。この圧入した汚泥はスクリュー軸6に設けた供給路7の供給口7aからろ過室10の始端部に圧入され、スクリュー軸6に巻き掛けたスクリュー羽根5で搬送しながら外筒スクリーン4からろ液を分離して、後端部の排出口11からケーキを取出す。固液分離された固形物は外筒スクリーン4のスクリーン内面にケーキ層を形成する。
【0019】
スクリュー軸6の後端部にはスクリュー駆動軸12が連結しており、スクリュー駆動軸12には駆動用のスプロケット13を嵌着している。このスプロケット13をスクリュー駆動機(図示せず)で駆動させ、スクリュー軸6を回転させる。
【0020】
スクリュー軸6に巻き掛けたスクリュー羽根5に、その始端部から終端部にかけて一連のスクレーパ14がスクリュー羽根5の外周先端部に配設している。スクリュー軸6の終端側にはロータリースイベルジョイント15を設けており、圧力供給装置16からの圧力流体を、スクリュー軸に内挿した圧力供給管17を介してスクレーパ14に供給する。圧力供給管17は一端をロータリースイベルジョイント15に接続し、他端を調整18に接続する。ロータリースイベルジョイント15の内環と圧力供給管17およびスクリュー軸6が回転する。
【0021】
なお、スクリュープレス1の各部の具体的構成は実施形態の記載に限定されるものではなく、本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0022】
図2は本発明に係るスクリュー羽根外周部の拡大図である。
スクリュー羽根5の外周部にはスクレーパ14を設けており、スクレーパ14の端部が外筒スクリーン4の内面に弾圧的に摺接するようにしている。スクリュー軸6の回転に伴ってスクリュー羽根5に装着したスクレーパ14が外筒スクリーン4の内面に弾圧的に摺接し、スクリーン内面に堆積して細孔を塞がんとするケーキを剥離搬送して効率のよいろ過脱水を行うことができる。
【0023】
本実施例では、スクリュー羽根5の外周端に付設した調整具18の外筒スクリーン4側に隣接してスクレーパ14を配し、押え板19,19で挟持する。押え板19の内面はスクレーパ14の外面に応じた形状で、押え板19とスクレーパ14との間は所定のクリアランスを有し、スクレーパ14が上下に移動自在な構成としている。
押え板19はスクリュー羽根5の前後面に配し、ボルト20とナット21で止着する。ボルト20はスクリュー羽根5と前後の押え板19,19を貫通している。
【0024】
スクレーパ14は外筒スクリーン4の内面に弾圧的に摺接するため、外筒スクリーン4より耐摩耗性の低いゴム、樹脂等で形成した部材を用いることができる。外筒スクリーン4へは大きな接触面を必要としないが、調整具18の伸縮に応じて垂直に移動し、且つ前後方向の傾倒を防止する必要があるので、調整具18との接触面は大きく、挟持する押え板19,19とのクリアランスは可能な限り小さいほうが望ましい。
【0025】
本実施例では、スクレーパ14を外筒スクリーン4に向かって幅が狭くなるよう多段に形成し、それぞれの幅の側面を同様の形状に形成した押え板19で支持する構成としている。特に、外筒スクリーン4に近接している箇所のクリアランスを小さくすれば、外筒スクリーン4に堆積する汚泥をスクレーパ14が掻き取った際に、スクレーパ14と押え板19の間に汚泥が溜まることを防止できる。
【0026】
図3は本発明に係る他の実施例1のスクリュー羽根外周部の拡大図である。
先端に向かって幅を漸減させた形状のスクレーパ14であり、押え板19,19でスクレーパ14の前後面を支持している。外筒スクリーン4への接触面を小さくしたもので、摺接時の抵抗が小さく、スクレーパ14の前後面の押え板19との接触面を十分に確保することで前後方向の傾倒を防止できる。スクレーパ14の調整具18側の幅は調整具18に合わせることで、調整具18の伸縮に対するスクレーパ14の移動精度が高まる。スクレーパ14および押え板19の形状がシンプルで製作が容易である。
【0027】
図4は本発明に係る他の実施例2のスクリュー羽根外周部の拡大図である。
スクリュー羽根5の外周部に沿って、スクリュー羽根5の前後面の何れか一方に押え板19を設け、押え板19とスクリュー羽根5の間に調整具18と、調整具18の外筒スクリーン4側にスクレーパ14を隣接し、スクレーパ14の端部近傍を突出させて外筒スクリーン4に摺接させている。調整具18とスクレーパ14を配している面の外方に押え板19を配し、スクレーパ14の前後面をスクリュー羽根5と押え板19で挟んで支持することで前後方向の傾倒を防止できる。スクリュー羽根5の厚みが小さく、スクリュー羽根5の外周端に配置できない場合に有効な構成である。
【0028】
なお、本実施例では調整具18とスクレーパ14を直接的に接するよう隣接させているが、調整具18の伸縮に応じてスクレーパ14が外筒スクリーン4の方向に移動可能となるのであれば、例えば両部材の間に他の部材を介在させる等、構成を限定しない。
【0029】
図5,6は本発明に係るスクリュー羽根の要部縦断側面図および要部縦断平面図である。
調整具18は管状部材で内部には圧力流体が供給される。材質は変形可能なゴム等の弾性体を使用しており、内部の圧力に応じて伸縮可能である。調整具18の伸縮時には外筒スクリーン4方向へスクレーパ14を移動させるので、調整具18の両側面を押え板19あるいはスクリュー羽根5で挟持し、内部の圧力に応じて上下方向に伸縮させることが望ましい。
調整具18と圧力供給管17は継手22により連通しており、圧力流体は圧力供給管17から継手22を介して調整具18に供給される。圧力流体は、公知の水、空気等を用いることができる。
【0030】
本実施例では、スクリュー羽根5の内部に管路23を形成し、管路23内に圧力供給管17を挿通している。圧力供給管17の一方に継手22を接続し、他方にスクリュー軸6内部に挿通した圧力供給管17を接続する。
【0031】
分割した調整具18をそれぞれ継手22の両側に接続するように構成しているが、調整具18の側面に形成した開口に差し込む継手等、公知の継手を使用できる。
また、スクリュー羽根5の内部に形成した管路23をそのまま圧力供給管17の一部としてもよい。その場合、管路23の上部に継手22を接続し、管路23の下部にスクリュー軸6内部に挿通した圧力供給管17を接続する。
スクリュー羽根5の厚みが小さく、内部に管路23を形成できない場合は、継手22の位置でスクリュー羽根5を根元から外周端まで切り欠き、別途管材を固定してもよい。
【0032】
図7は本発明に係る他の実施例3のスクリュー羽根の要部縦断側面図である。
調整具18に外部から圧力を供給する継手22をスクリュー羽根5の前後面の何れか一方に突出させ、継手22に接続した圧力供給管17をスクリュー羽根5に沿ってスクリュー軸6まで配設している。スクリュー羽根5の厚みが小さい場合等に有効で、製作が容易である。
【0033】
図8は本発明に係る圧力供給管の接続図である。
スクリュープレス1のろ過室10は、スクリュー軸の始端から終端に向かって内部圧力が次第に大きくなる。本実施例では、スクリュー軸6の始端から、供給ゾーンA、濃縮ゾーンB、脱水ゾーンC、高脱水ゾーンDに区分している。スクレーパ14の調整具18はそれぞれの区分ごとに独立して配設しており、独立した調整具18にそれぞれ圧力供給管17を接続する。
【0034】
供給ゾーンAは原液をろ過室10に供給するゾーンであって、供給口7aからろ過室10に原液を供給後、外筒スクリーン4から大量のろ液が分離排出される。ろ過室10の上方まで脱水ケーキで充満されることがなく供給ゾーンAの内圧は低い。ろ過室10に残留する固形分は多量の水分を含んでおり、供給ゾーンAのスクリュー羽根5に止着しているスクレーパ14には高い負荷がかかることがなく、容易に次ゾーンに搬送することができる。
【0035】
濃縮ゾーンBはろ過室に残存する固形物の水分を外筒スクリーン4にて分離しつつスクリュー羽根5で搬送するゾーンである。供給ゾーンAから搬送された多量の水分を含有した固形物は、濃縮ゾーンBで多量の水分を外筒スクリーン4により分離する。濃縮ゾーンBでは内圧および固形物の濃縮度が供給ゾーンAより高く、濃縮ゾーンBのスクリュー羽根5に止着しているスクレーパ14には供給ゾーンAより高い負荷がかかる。
【0036】
脱水ゾーンCは濃縮ゾーンBで濃縮された固形分に圧力をかけて水分を分離するゾーンである。固形分はろ過室10内で圧密された状態で搬送されており、固形分から水分を分離しているが、濃縮ゾーンBより分離水の量は少ない。脱水ゾーンCの内圧は比較的高く、スクリュー羽根5に止着しているスクレーパ14には濃縮ゾーンBより高い負荷がかかり、スクレーパ14の摩耗速度は濃縮ゾーンBより速い。
【0037】
高脱水ゾーンDは高い圧力をかけて固形分から水分を分離するゾーンである。減縮されたろ過室10による内圧と排出口11のプレッサーによる背圧で、非常に高い内圧がかかっている。圧密された低含水率の固形分を搬送する際にかかる力が大きく、高脱水ゾーンDのスクリュー羽根5に止着しているスクレーパ14には脱水ゾーンCより高い負荷がかかり、スクレーパ14の摩耗速度は脱水ゾーンCより速い。
なお、各ゾーンの幅は原液性状やスクリュープレス1の仕様によって適宜設定できる。
【0038】
スクリュープレス1を長時間運転していると、スクレーパ14が摩耗して外筒スクリーン4に摺接しなくなり、外筒スクリーン4内周面に汚泥が堆積して細孔が目詰まりをおこす。その際に、圧力供給管17を介して調整具18に圧力を供給し、スクレーパ14を外筒スクリーン4の方向へ移動させることにより、スクレーパ14にて外筒スクリーン4内周面に堆積する汚泥を掻き取り、細孔の目詰まりを解消できる。逆に、スクレーパ14の外筒スクリーン4への押圧力が高すぎる場合には、調整具18の圧力を減少させることによりスクレーパ14をスクリュー軸6方向に移動させて、適切な摺動をさせることができる。
【0039】
特に、それぞれのゾーンに独立して調整具18,…を配設し、それぞれの調整具18,…にそれぞれ圧力供給管17,…を接続している場合は、各ゾーンからのろ液排出量の減少等からスクレーパ14の摩耗を推測し、該当するゾーンの調整具18に圧力流体を供給することによって、そのゾーンのスクレーパ14のみを外筒スクリーン4方向へ移動させることができる。摩耗したスクレーパ14のみを外筒スクリーン4方向へ移動させることで、他ゾーンの摩耗していないスクレーパ14の押圧力を上昇させることがなく、摺接抵抗によるトルク上昇やスクレーパ14の摩耗を防止できる。
常時適切な押圧力で摺接するスクレーパ14によって、外筒スクリーン4内周面に堆積する汚泥を除去し、安定的な固液分離を行うことができる。
【0040】
なお、スクリュー羽根5の外周部に沿って設けるスクレーパ14は、供給ゾーンAから高脱水ゾーンDまで一連で設けても各ゾーンで独立して設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明におけるスクリュープレスの目詰まり防止装置は、スクリュープレスを分解せずにスクリュー羽根の端部に配設しているスクレーパを外筒スクリーンの方向へ移動自在に構成し、また、スクレーパの調整具をスクリュープレスの各ゾーンに応じてそれぞれ独立して設けるので、摩耗したゾーンのスクレーパのみを移動させることができる。
定期的にスクリュープレスを分解してスクレーパの位置調整を行う必要がないので、分解組立のための天井クレーンやスペースをもたない比較的小規模な処理場にも有効である。
また、無機性汚泥や高硬度汚泥を含むスクレーパが摩耗しやすい汚泥の処理にも有効で、上水や貝殻、甲殻類の処理等にも適している。
【符号の説明】
【0042】
4 外筒スクリーン
5 スクリュー羽根
6 スクリュー軸
14 スクレーパ
15 ロータリースイベルジョイント
17 圧力供給管
18 調整具
19 押え板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8