特許第6708976号(P6708976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6708976-車両用バックドア 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708976
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】車両用バックドア
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/10 20060101AFI20200601BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   B60J5/10 H
   B60J5/00 M
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-63412(P2017-63412)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-165113(P2018-165113A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2019年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 淳哉
(72)【発明者】
【氏名】上見 将規
【審査官】 高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−166371(JP,A)
【文献】 実開昭61−071766(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0150250(US,A1)
【文献】 特開2012−061957(JP,A)
【文献】 特開2004−027563(JP,A)
【文献】 特開平08−258568(JP,A)
【文献】 特開2011−057119(JP,A)
【文献】 特開2009−023480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後部に開閉可能に取り付けられ、閉めた状態で前記車体に対してロックするドアロック部を有する車両用バックドアにおいて、
インナパネルと、
前記インナパネルに取り付けられたオープナーハンドルと、
前記インナパネルに取り付けられ、車幅方向に延びるサイド補強部材と、
前記ドアロック部を補強するロック補強部材とを備え、
前記ロック補強部材は、前記ドアロック部が固定されたロック固定部と、前記オープナーハンドルと共に前記インナパネルに締結された第1締結部と、前記サイド補強部材と共に前記インナパネルに締結された第2締結部とを有することを特徴とする車両用バックドア。
【請求項2】
前記ロック補強部材は、底面板と、前記インナパネルに沿うように前記底面板から立設された背面板とを含み、
前記ロック固定部は、前記底面板に設けられており、
前記第1締結部及び前記第2締結部は、前記背面板に設けられていることを特徴とする請求項1記載の車両用バックドア。
【請求項3】
前記ロック補強部材は、前記第1締結部と前記第2締結部との間に配置された段差部分を有することを特徴とする請求項1または2記載の車両用バックドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バックドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用バックドアとしては、例えば特許文献1に記載されているような構造が知られている。特許文献1に記載のバックドアは、バックドアインナーと、ドアロック本体を挟むようにバックドアインナーに形成された第1リブ及び第2リブと、第1リブの外側に配置された第1補強板と、第1リブと第2リブとの間に配置された第2補強板と、第2リブの外側に配置された第3補強板とを備えている。第1補強板と第2補強板とは、第1リブを挟んでボルト及びナットで締結して固定されている。第2補強板と第3補強板とは、第2リブを挟んでボルト及びナットで締結して固定されている。第2補強板は、バックドアアウターにボルト及びナットで固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−137430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、バックドアのドアロック部周辺の強度を高めるために、第1補強板、第2補強板及び第3補強板という3つの補強板を使用している。また、バックドアを開くためのオープナーハンドルを補強する補強部品が別途必要となる。このため、部品点数が多くなり、コストアップにつながる。
【0005】
本発明の目的は、部品点数を削減しつつ、ドアロック部周辺の強度を高くすることができる車両用バックドアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車体の後部に開閉可能に取り付けられ、閉めた状態で車体に対してロックするドアロック部を有する車両用バックドアにおいて、インナパネルと、インナパネルに取り付けられたオープナーハンドルと、インナパネルに取り付けられ、車幅方向に延びるサイド補強部材と、ドアロック部を補強するロック補強部材とを備え、ロック補強部材は、ドアロック部が固定されたロック固定部と、オープナーハンドルと共にインナパネルに締結された第1締結部と、サイド補強部材と共にインナパネルに締結された第2締結部とを有することを特徴とする。
【0007】
このような車両用バックドアにおいては、ロック補強部材のロック固定部にドアロック部が固定されている。そして、ロック補強部材の第1締結部がオープナーハンドルと共にインナパネルに締結されており、ロック補強部材の第2締結部がサイド補強部材と共にインナパネルに締結されている。従って、ドアロック部周辺の強度が高くなる。また、ロック補強部材には、ロック固定部、第1締結部及び第2締結部が設けられている。このため、ドアロック部を補強する部品としては1つのロック補強部材だけで済み、オープナーハンドルを補強する専用の部品も不要となる。これにより、バックドアの部品点数が削減される。
【0008】
ロック補強部材は、底面板と、インナパネルに沿うように底面板から立設された背面板とを含み、ロック固定部は、底面板に設けられており、第1締結部及び第2締結部は、背面板に設けられていてもよい。このような構成では、ドアロック部によってバックドアが車体に対してロックされるときは、底面板に力が加わる。一方、オープナーハンドルを操作してバックドアを開けるときは、背面板に力が加わる。このようにバックドアがロックされる時とバックドアを開ける時とでは、ロック補強部材において力を受ける方向が異なることとなる。従って、ドアロック部周辺の強度がより高くなる。
【0009】
ロック補強部材は、第1締結部と第2締結部との間に配置された段差部分を有してもよい。このような構成では、段差部分によって第1締結部及び第2締結部が凹凸状となるため、オープナーハンドルを操作してバックドアを開けるときに、第1締結部に力が加わっても、ロック補強部材がねじれにくい。従って、ドアロック部周辺の強度がより高くなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品点数を削減しつつ、ドアロック部周辺の強度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用バックドアを備えた車両を示す斜視図である。
図2図1に示されたバックドアの下側部分の車幅方向中央部(図1におけるA部分)を示す断面図である。
図3図1に示されたバックドアの下側部分の車幅方向中央部を前側から見たときの拡大斜視図である。
図4図1に示されたバックドアの下側部分を後側から見たときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用バックドアを備えた車両を示す斜視図である。図1において、車両1は、車体2を備えている。車体2の上部には、ルーフパネル3が設けられている。車体2の両側部には、サイドパネル4が設けられている。車体2の下部には、バンパー5が設けられている。なお、図中の矢印FRは、車両1の前後方向における前側を示しており、図中の矢印UPは、車両1の上下方向における上側を示しており、図中の矢印OUTは、車両1の車幅方向における外側を示している。
【0014】
車体2の後部には、本実施形態の車両用バックドア6(以下、単にバックドア6)が開閉可能に取り付けられている。バックドア6は、ルーフパネル3の後端部にヒンジ(図示せず)を介して上下方向に回動可能に支持されている。なお、以下の説明において、バックドア6に関する上下方向及び前後方向は、バックドア6を車体2に対して閉めた状態(図1参照)における方向のことである。
【0015】
バックドア6は、窓開口部(図示せず)を有するインナパネル7(図2参照)と、このインナパネル7の窓開口部を覆うようにインナパネル7に取り付けられたドアウィンドウ8と、このドアウィンドウ8の下方においてインナパネル7の後側(車室外側)に配置されるようにインナパネル7に取り付けられたアウタパネル9と、ドアウィンドウ8の上部に取り付けられたスポイラー10とを備えている。
【0016】
ドアウィンドウ8は、樹脂(例えばポリカーボネート)で形成されている。ドアウィンドウ8を樹脂で形成することにより、ドアウィンドウ8を自由な形状にすることができる。インナパネル7、アウタパネル9及びスポイラー10は、樹脂(例えばポリプロピレン)で形成されている。
【0017】
ドアウィンドウ8は、透明樹脂で形成された透明樹脂部11と、有色樹脂で形成された有色樹脂部12とを有している。なお、有色樹脂部12を形成する有色樹脂としては、例えば黒の樹脂材が用いられる。有色樹脂部12は、透明樹脂部11の縁部において透明樹脂部11とインナパネル7との間に配置されるように透明樹脂部11と一体化されている。つまり、有色樹脂部12は、枠形状を呈している。なお、ドアウィンドウ8は、透明樹脂部11の一部がインナパネル7の窓開口部と一致するようにインナパネル7に取り付けられることによって形成されている。有色樹脂部12は、インナパネル7の開口部の周囲に配置されている。
【0018】
図2は、バックドア6の下側部分の車幅方向中央部(図1におけるA部分)を示す断面図である。図3は、バックドア6の下側部分の車幅方向中央部を前側から見たときの拡大斜視図である。図4は、バックドア6の下側部分を後側から見たときの斜視図である。
【0019】
図2図4において、バックドア6は、上記のインナパネル7及びアウタパネル9に加え、インナカバー13と、オープナーハンドル14と、サイド補強部材15と、ドアロック部16と、ロック補強部材17とを備えている。インナカバー13は、インナパネル7の前側に配置されている。
【0020】
図示しない窓開口部(前述)の下方の車幅方向中央部に位置するインナパネル7は、後側に対して断面台形状に突出した凸状部7aと、この凸状部7aの下側に配置され、後側に対して断面台形状に凹んだ凹状部7bとを含んでいる。凸状部7aには、オープナーハンドル14の基端部が配置される開口部7cが設けられている。
【0021】
アウタパネル9には、オープナーハンドル14が操作可能となるようにオープナーハンドル14を下方に対して臨ませる開口部9aが設けられている。また、アウタパネル9における凹状部7bに対応する位置には、凹状部7b側に突出したブラケット19を介して固定部20が取り付けられている。固定部20には、雌ネジが切られている。
【0022】
オープナーハンドル14は、バックドア6を車体2に対して開けるためのハンドルである。オープナーハンドル14は、インナパネル7におけるドアウィンドウ8の下方位置に取り付けられている。
【0023】
サイド補強部材15は、車幅方向に延びるV字形の補強部材であり、金属で形成されている。サイド補強部材15の車幅方向端部は、インナパネル7を介して窓開口部の側方に配置された他の補強部材(図示せず)に取り付けられている。サイド補強部材15は、当該補強部材と後述するドアロック部16とを接続することで、ドアロック部16の位置精度を確保するための部材である。サイド補強部材15は、平坦部15aと、この平坦部15aの下側に配置され、後側に対して凸状に曲げられた曲げ部15bとを含んでいる。サイド補強部材15は、複数のボルト34により凹状部7bに固定されている。
【0024】
ドアロック部16は、バックドア6を閉めた状態で、バックドア6を車体2に対してロックする。ドアロック部16は、車体2に設けられたロック受け部(図示せず)に係止される。
【0025】
ロック補強部材17は、ドアロック部16を補強する部材であり、金属で形成されている。ロック補強部材17は、底面板21と、インナパネル7に沿うように底面板21の後端から上方に立設された背面板22と、底面板21の両側にそれぞれ配置され、底面板21及び背面板22と一体化された2つの側面板23とを含んでいる。
【0026】
底面板21には、ドアロック部16の下端側部分が配置される開口部21aが設けられている。また、底面板21には、ドアロック部16が固定されたロック固定部24が設けられている。具体的には、ドアロック部16は、複数組のボルト25及びナット26によりロック固定部24に取付金具27を介して固定されている。
【0027】
背面板22は、インナパネル7の凸状部7aに対応して、後側に対して断面台形状に突出した凸状部22aを有している。従って、背面板22には、凸状部22aの一部を構成する上段差部分28及び下段差部分29が設けられている。また、背面板22には、オープナーハンドル14の基端部が配置される開口部22cが設けられている。
【0028】
凸状部22aには、オープナーハンドル14と共にインナパネル7に締結された第1締結部30が設けられている。第1締結部30及びオープナーハンドル14は、2組のボルト31及びナット32によりインナパネル7の凸状部7aに共締めされている。
【0029】
背面板22における第1締結部30の下方位置には、サイド補強部材15と共にインナパネル7に締結された第2締結部33が設けられている。従って、下段差部分29は、第1締結部30と第2締結部33との間に配置されている。
【0030】
第2締結部33は、インナパネル7の凹状部7bに対応する位置に配置されている。第2締結部33及びサイド補強部材15は、ボルト34によりインナパネル7の凹状部7bに共締めされている。具体的には、ボルト34は、第2締結部33、凹状部7b及びサイド補強部材15の平坦部15aを通って固定部20にねじ込まれている。
【0031】
以上のように本実施形態にあっては、ロック補強部材17のロック固定部24にドアロック部16が固定されている。そして、ロック補強部材17の第1締結部30がオープナーハンドル14と共にインナパネル7に締結されており、ロック補強部材17の第2締結部33がサイド補強部材15と共にインナパネル7に締結されている。従って、ドアロック部16の周辺の強度が高くなる。また、ロック補強部材17には、ロック固定部24、第1締結部30及び第2締結部33が設けられている。このため、ドアロック部16を補強する部品としては1つのロック補強部材17だけで済み、オープナーハンドル14を補強する専用の部品も不要となる。これにより、バックドア6の部品点数が削減される。その結果、バックドア6のコスト削減を図ることが可能となる。
【0032】
また、本実施形態では、ロック固定部24は、ロック補強部材17の底面板21に設けられ、第1締結部30及び第2締結部33は、ロック補強部材17の背面板22に設けられている。このような構成では、ドアロック部16によってバックドア6が車体2に対してロックされるときは、底面板21に力が加わる。一方、オープナーハンドル14を操作してバックドア6を開けるときは、背面板22に力が加わる。このようにバックドア6がロックされる時とバックドア6を開ける時とでは、ロック補強部材17において力を受ける方向が異なることとなる。従って、ドアロック部16の周辺の強度がより高くなる。
【0033】
また、本実施形態では、第1締結部30と第2締結部33との間には、下段差部分29が配置されている。このような構成では、下段差部分29によって第1締結部30及び第2締結部33が凹凸状となるため、オープナーハンドル14を操作してバックドア6を開けるときに、第1締結部30に力が加わっても、ロック補強部材17がねじれにくい。従って、ドアロック部16の周辺の強度がより高くなる。
【0034】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、ロック補強部材17は、第1締結部30と第2締結部33との間に配置された下段差部分29を有しているが、特にその形態には限られず、第1締結部30と第2締結部33との間に段差部分が無くてもよい。この場合には、ロック補強部材17の構造を簡単化することができる。
【0035】
また、上記実施形態では、ドアウィンドウ8が樹脂で形成されているが、ドアウィンドウ8の材料としては、特に樹脂には限られず、例えば珪砂、ソーダ灰及び石灰等を混ぜ合わせて形成されたガラス等であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…車両、2…車体、6…バックドア(車両用バックドア)、7…インナパネル、14…オープナーハンドル、15…サイド補強部材、16…ドアロック部、17…ロック補強部材、21…底面板、22…背面板、24…ロック固定部、29…下段差部分(段差部分)、30…第1締結部、33…第2締結部。
図1
図2
図3
図4