特許第6709002号(P6709002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ガイア エス.アール.エル.の特許一覧

<>
  • 特許6709002-風力発電システム 図000002
  • 特許6709002-風力発電システム 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709002
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】風力発電システム
(51)【国際特許分類】
   F03D 1/02 20060101AFI20200601BHJP
   F03D 13/20 20160101ALI20200601BHJP
【FI】
   F03D1/02
   F03D13/20
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-544673(P2017-544673)
(86)(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公表番号】特表2018-507352(P2018-507352A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(86)【国際出願番号】IT2015000058
(87)【国際公開番号】WO2016139685
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2018年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】517289206
【氏名又は名称】ガイア エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】GAIA S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ベナッシ, リッカルド
(72)【発明者】
【氏名】ペリッツァーリ, ダヴィデ
【審査官】 井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−040585(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0301824(US,A1)
【文献】 特表2012−527577(JP,A)
【文献】 特表2008−528846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/02
F03D 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの被駆動ユーティリティ装置(3)をそれぞれ制御する少なくとも1つのロータ(2)と、少なくとも1つのステータ(4)とを備える風力発電システムにおいて、前記少なくとも1つのロータ(2)が、形状が平坦であり、半径方向に配置され、かつ25°〜90°の間の角度だけ、前記ロータ(2)のシャフト(7)に対して傾斜している複数のベーン(5)を備え、前記ステータ(4)が、前記少なくとも1つのロータ(2)の上流に配置され、管状体(6)を備えており、前記管状体(6)が、前記ロータ(2)のシャフト(7)と同軸であり、かつ略円筒状の外側筐体(8)と同軸であり、前記管状体(6)が、テーパ状端部を有するフェアリング(9)と、前記風力発電システム(1)の所定の入射角に従い、前記ステータ(4)に入る空気を、前記ロータ(2)の外側部分に向かって、前記複数のベーン(5)にそれぞれ導くような形状をした複数の湾曲したブレード(10)とを備え、前記筺体(8)の内壁と、2つの隣り合うブレード(10)と、前記管状体(6)との間には、前記システム(1)に入る空気のための押し込み通路ができ
個々のケーブル(12)を有する偏菱形の構造体(11)を備え、前記構造体(11)内で、前記ロータ(2)、前記ステータ(4)、及び前記被駆動ユーティリティ装置(3)が吊支状態で保持されていることを特徴とする、風力発電システム。
【請求項2】
前記構造体(11)が、土台(13)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の風力発電システム。
【請求項3】
前記構造体(11)の頂点(15)を、前記システム(1)が据え付けられる地面に接続する複数の支え(14)を備え、前記支え(14)が、前記システム(1)が回転することを可能にすることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか一項に記載の風力発電システム。
【請求項4】
前記ロータ(2)及び関連する前記ステータ(4)の数が、4つのロータ(2)と4つのステータ(4)との少なくとも8つであり、前記ロータ(2)及び関連する前記ステータ(4)が、構造体(11)の境界を定めるために、少なくとも2つのロータ(2)及び2つのステータ(4)をそれぞれ備える少なくとも2つの列上に、互いに一直線に配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の風力発電システム。
【請求項5】
前記ベーン(5)が、上端を前記ロータ(2)の中心体に接続する複数のケーブル(18)を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の風力発電システム。
【請求項6】
前記ロータ(2)の前記中心体が、前記ベーン(5)を支持するための2つのフランジ(19)を備え、前記フランジ(19)が、前記ロータ(2)の直径とは異なるより小さな直径を有し、直列に配置されており、前記ロータ(2)の前記シャフト(7)に平行して配置されたロッド(20)により接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の風力発電システム。
【請求項7】
略円筒状の前記外側筐体(8)が、弾性的に変形可能な材料から成るフィルムを支持するために、前記構造体(11)と結合した2つの円形冠(21)を備えることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の風力発電システム。
【請求項8】
前記ロータ(2)が、2つの端部リング(23)によって支持された略円筒状の外側カバー(22)を備え、前記端部リング(23)が、前記構造体(11)と結合していることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の風力発電システム。
【請求項9】
前記フィルムが、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、メタクリレートの中から選択される材料から作られることを特徴とする、請求項に記載の風力発電システム。
【請求項10】
前記外側カバー(22)がポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、メタクリレートの中から選択される材料から作られることを特徴とする、請求項に記載の風力発電システム。
【請求項11】
前記被駆動ユーティリティ装置(3)が、発電機、圧縮機の中から選択されるタイプのものであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の風力発電システム。
【請求項12】
前記発電機が、商用電源、蓄電セル、電気的負荷装置の中から選択される要素によって制御されることを特徴とする、請求項11に記載の風力発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気を製造するための風力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、風力発電部門は、風力エネルギーが再生可能であり、いたるところで利用でき、かつクリーンであるため、化石燃料に信頼性をもって代わることができるという理由で大規模に拡大している。しかし、従来の風力発電組立体(従来の風力発電組立体とは基本的に、工業用語で言えば世界の現場を効果的に独占している、3つのベーンを有する今や古典になっている風力タワーを意味する)は、物理的かつ経済的な本質に関する問題を提示している。この問題により、風力は、低級のエネルギー源、又はいずれにしろ同程度のエネルギー源となっており、炭化水素に由来するエネルギーに置き換えられるにはいたっていない。
【0003】
まず実際に、すべての風力発電システムは、最大量の運動エネルギーを集め、適切な生産量を得るために、風を捕らえるための可能な限り広い領域を必ず確保する必要がある。より強力で信頼性のある風を捕らえるために、地面から可能な限り高くシステムを持ち上げることもまた必要である。したがってこのために、現在の風力タワーは、支持マストを備える。支持マストは、増大するねじり力に耐えるために、高さ及び直径が増す一方である。また、現在の風力タワーは、ベーンを備える。ベーンは、1つのロータの直径、したがって風を捕らえる領域を可能な限り増加させるために、長さが増加している。しかし残念ながら、ロータの直径が増加するにつれて、同じ風に対しては、風力タワーの特定の生産量が比例して減少し、回転を引き起こすのに必要な風速が比例して増加する。また、次第に大きくなる構造体を製造し、輸送し、持ち上げることが必要ということは、据え付けコストが指数関数的に増加するということを意味する。現在の風力タワーのベーンは、非常に精緻な翼形状を有し、このような翼形状は、非常に高価なだけではなく、その性能レベルの高さが、持続的に風が吹く場合にのみ生成される「揚力」と呼ばれる効果に負うところが大きいということを付け加えることもまた重要である。上述の問題が組み合わされることにより、現在の風力発電システムの据え付けは、平均的に強い風が吹く領域でのみ、かつ重要な経済的誘因がある場合にのみ、利益になり、したがって可能になる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、生産量が高い風力発電システムを提供することにより、上述の欠点を解決することである。
【0005】
この目標において、本発明の目的は、風速を減少させた状態で動作することができる風力発電システムを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、風のレベルが低い領域にも据え付けることが可能な風力発電システムを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、製造、輸送、据え付け、及び維持することが容易かつ経済的な風力発電システムを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、停止期間が減少した風力発電システムを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、農業と両立する風力発電システムを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、低コストであり、容易かつ実用的に実現され、安全に使用することができる風力発電システムを提供することである。
【0011】
この目標、並びにこれら及び他の目的は、少なくとも1つの被駆動ユーティリティ装置をそれぞれ制御する少なくとも1つのロータと、少なくとも1つのステータとを備える風力発電システムにおいて、前記少なくとも1つのロータが、形状が実質的に平坦であり、半径方向に配置され、かつ25°〜90°の間の角度だけ、ロータの回転軸線に対して傾斜している複数のベーンを備え、前記ステータが、前記少なくとも1つのロータの上流に配置され、管状体を備えており、管状体が、前記ロータのシャフトと同軸であり、かつ略円筒状の外側筐体と同軸であり、前記管状体が、テーパ状端部フェアリングと、風力発電システムの生産量を最大化するのに適した予め調整された入射角に従い、前記ステータに入る空気を、前記ロータの外側部分に向かって、前記複数のベーンにそれぞれ導くような形状をした複数の湾曲したブレードとを備え、前記外側筺体の内壁と、2つの隣り合うブレードと、前記管状体との間には、前記風力発電システムに入る空気のための押し込み通路ができることを特徴とする、風力発電システムによって達成される。
【0012】
本発明のさらなる特性及び利点は、本発明による風力発電システムの好ましいが排他的ではない実施形態の説明から、よりよく明らかになる。この実施形態は、添付の図面における非限定的な例によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による風力発電システムの斜視図である。
図2】本発明による風力発電システムのいくつかの部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図を特に参照すると、参照数字1は、一般に風力発電システムを表しており、この風力発電システムは、少なくとも1つのロータ2を備える。ロータ2は、少なくとも1つの関連する被駆動ユーティリティ装置3と、少なくとも1つのステータ4とを制御する。
【0015】
本発明によれば、少なくとも1つのロータ2は、複数のベーン5を備え、これらのベーン5は、半径方向に配置されており、形状が実質的に平坦である。
【0016】
従来のベーンの翼形状は、技術的に非常に精緻であり、エネルギー生産量は高いが、製造コストがかなり高くなることに留意されたい。
【0017】
そのようなコストを下げる必要性により、従来のベーンに採用されてきた翼形状を放棄する選択をすることになった。
【0018】
実際、形状が平坦なベーン5により、製造がより容易なため、コストをかなり減少させることができる。
【0019】
また、翼形状を有するベーンを使用する場合、そのような生産量を達成することが可能な揚力を生成するためには、信頼性のある強風を得ることが必要である。
【0020】
反対に、形状が平坦なベーン5は、揚力効果を生成しなくてもよいため、従来の翼形状を有するベーンを駆動するのに必要な速度よりもかなり低速の風で回転を引き起こし、したがってエネルギーを製造する。
【0021】
より詳細には、ベーン5は、25°〜90°の間の角度だけ、ロータ2の回転軸線に対して傾斜している。
【0022】
また、システム1は、少なくとも1つのステータ4を備える。ステータ4は、少なくとも1つのロータ2の上流に配置されており、ロータ2のシャフト7と同軸であり、かつ略円筒状の外側筐体8と同軸の管状体6を備える。
【0023】
シャフト7は、ロータ2を支持し、ロータ2を動作位置に保つ。シャフト7は、ロータ2の中心部分を通り、貫通ピンによってロータ2と統合される。その後、適切にロータ2により大気から取り出された機械的エネルギーが、シャフト7に接続された被駆動ユーティリティ装置3に伝達される。
【0024】
特に、管状体6は、テーパ状端部フェアリング9と、個々の湾曲したブレード10とを備える。湾曲したブレード10は、風力発電システム1の生産量を最大化させるのに適した予め調整された入射角に従い、システム1に入る空気を、ロータ2の外側部分に向けてベーン5に導くような形状をしている。
【0025】
実際、筺体8の内壁と、2つの隣り合うブレード10と、管状体6との間には、システム1に入る空気のための押し込み通路ができる。
【0026】
実際、外側筐体8は、ブレード10の上部と実質的に接触している。
【0027】
したがって、ロータ2とステータ4と筺体8とが同時に存在することにより、システム1の特定の生産量を増加させることができる。
【0028】
ステータ4があることにより、ベーン5の形状が平坦なことによる性能の低下を補償することができる。
【0029】
実際、これらの要素を別々に使用することは、実質的に効果的ではないであろう。
【0030】
実際、ステータ4があることにより、エネルギーの点から考えればあまり生産的ではない中心領域から、より大きなてこの作用を利用することができるために風の衝突がより効果的な周辺領域に、システム1に入る風を逸らすことができる。また、ステータ4があることにより、ベーン5に衝突する風の速度を不均等にすることができ、外側のより生産的な領域で速度が上がるように、ベーン5の中心部分で速度を下げることができる。さらにステータ4があることにより、ベーン5における風の入射角を大きくすることができる。この入射角は、従来の風力発電組立体では、45°を超えることがない。
【0031】
従来の組立体では、風の方向が、ロータに対して(ベーンに対してではない)垂直に保たれなければならない。実際、ロータは、このために断続的に配置し直される。これは、垂直以外の角度は何度であれ、風収集領域の減少と、特にベーンにおける入射角の均一性の損失とを意味し、実際、システムを大幅に非生産的なものにしてしまうためである。
【0032】
マルチロータ構造体によりさらに、寸法の大きなシステムを有する必要性と、寸法の小さなロータを有する必要性とが調和することが可能になる。このため、高い性能レベルを実現することができる。実際、マルチロータシステムでは、寸法が大きいということが、上述のように不可欠であるが、これは、1つのロータの直径を増加させることによってでは、性能の低下につながるため達成されない。したがってむしろ、性能レベルが高いことを特徴とする寸法が小さなロータを複数集めることによって達成される。
【0033】
システム1は、個々のケーブル12を備える周辺部管状構造体11を備える場合があり、周辺部管状構造体11内で、ロータ2、ステータ4、及び被駆動ユーティリティ装置3が、吊支状態で保持されていることに留意されたい。
【0034】
したがって、ケーブル12にあることにより、管状構造体11をさらに固定することができる。
【0035】
管状構造体11は、立方体であってもよい。
【0036】
構造体11が立方体である場合、ケーブル12は、立方体の辺の対角線に沿って、構造体11の角を接続してもよい。
【0037】
管状構造体11は、好ましくは亜鉛メッキ鉄、鋼鉄、アルミニウム等の中から選択される材料で作られていてもよい。
【0038】
これらの装置により、軽量で、かつ風によって生み出されるねじり力に強く耐える構造体11を提供することができる。
【0039】
また、構造体11は、使用構成及び減速構成において、又はシステム1を停止させることが必要な場合に、構造体11自体の軸線を中心に構造体11が回転するように、個々の運動要素により土台13に接続されてもよい。
【0040】
使用構成において、構造体11は、風の方向に対して実質的に垂直な方向に配置される。
【0041】
風速が高くなりすぎた場合、個々の運動要素により、構造体11自体の軸線を中心に構造体11全体を回転させ、構造体11を風の方向と平行になるように配置し、ロータ2のベーン5が回転することを効果的に妨げることもできる。
【0042】
システム1は、システム1全体を安定化させ、同時にシステム1がシステム1自体の軸線を中心に回転することができるように、構造体11の頂点15をシステム1が据え付けられた地面に接続する複数の支え14を備えてもよい。
【0043】
土台でのみならず、今示されたように頂点においても安定している構造体を有することが、風によって引き起こされるねじり力に最大限耐えることと、構造体の重量を最大限減少させること、したがって製造、輸送、及び据え付けのコストを結果的に最小化することとを両立させるためには必須である。
【0044】
特に、管状構造体11の4つの角におけるそれぞれの角は、互いに結合した管16によって構成されるそれぞれの三角形に結合され得る。これらの三角形の頂点は、さらなる支え17により、管状構造体11に接続されており、これにより風とロータ2及びステータ4の重量とによって引き起こされたねじり力が、外向きの牽引力と釣り合う。
【0045】
また、支え17があるため、管状構造体11の剛性を増加させることができる。
【0046】
特定のユーティリティ性からの解決策によれば、ロータ2及び関連するステータ4の数は、4つのロータ2と4つのステータ4との少なくとも8つであってもよく、これらのロータ2及びステータ4は、偏菱形の管状構造体11における境界を定めるために、少なくとも2つのロータ2及び2つのステータ4をそれぞれ備える少なくとも2つの列上に、互いに一直線に配置される。
【0047】
したがって、ロータ2の数を増やすことにより、ロータ2の寸法を修正することなく、システム1全体の生産量を増加させることができる。
【0048】
したがって、システム1は、管状構造体11を備える。提示された構成、即ち4つのロータ2を備える基本的な構成のみではなく、複数の構成、即ち16個又は64個のロータ2等の構成のそれぞれの構成が、風のねじり力に対する十分な抵抗力と、システム1の全体的な重量の増加に対する十分な支持力とを提供することができる。
【0049】
したがって、システム1は、システム1自体の容易に達成される柔軟性とモジュール性とにより、容易に据え付けられ得る。
【0050】
システム1は、地上で組み立てられ、その後に持ち上げられることに留意されたい。
【0051】
1列目のロータ2とステータ4とをまとめることから組立てが始まり、その後これらのロータ2とステータ4とは、2列目のロータ2とステータ4とを1列目の下に挿入するために持ち上げられる。こうしてシステム1全体の組立てが完了するまで、組立ては続けられる。
【0052】
構造体11全体が組み立てられると、構造体11の4つの角のうちのそれぞれの角が、三角形と結合する。この三角形は、さらなる支え17を用いて管16の頂点を管状構造体11に接続することにより、管16を組み立てることによって構成される。
【0053】
その後、管状構造体11全体は、土台13に接続され、確定された位置に到達するまで持ち上げられる。この位置で、管状構造体11全体は、好ましくは鋼鉄から作られた複数の支え14によって保持される。支え14は、システム1の頂点15を地面に接続させる。
【0054】
この時点で、システム1は動作可能になり、風の方向に垂直に配置されるように、個々の運動要素により、システム1自体の軸線を中心に回転することができる。
【0055】
したがって、システム1の特定の構成により、ロータ2の特定の生産量と、ロータ2のベーン5を回転させるのに必要とされる風速値との両方を変えることなく保ちつつ、風収集面を増加させることができる。
【0056】
また、ステータ4と、ロータ2の特定の構造との存在により、最も生産力が劣る中心領域から、より大きなてこの作用を利用することができるために風の衝突がより生産的な周辺領域に、風を逸らすことができる。ステータ4と、ロータ2の特定の構造との存在により、一定の長さの各ベーン5に衝突する風の速度を不均等にすることができ、外側のより生産的な領域で速度が上がるように、ベーン5の中心部分では速度を下げることができる。ステータ4と、ロータ2の特定の構造との存在により、ベーン5における風の入射角を大きくすることができる。この入射角は、従来の風力発電組立体では、45°を超えることがない。
【0057】
実際、風は、筺体8によって定められる領域に対応する収集領域に最初に入り、フェアリング9の方向変換作用と、同時に筺体8によって加えられる閉じ込め作用との両作用によって、フェアリング9と筺体8との間に構成される空間に流される。
【0058】
したがって、ブレード10があることにより、風に遠心力が生じる。この遠心力は、筺体8の閉じ込め作用による抵抗を受ける。
【0059】
筺体8の内壁と、2つの隣り合うブレード10と、管状体6とによって範囲が定められる表面は、風がシステム1に入る筺体8によって囲まれた領域の表面より実質的に小さく、したがって、ステータ4から風が出る速度は、システム1に入る速度よりも比例的に大きくなることにもまた留意されたい。
【0060】
構成の観点から、ベーン5は、カバーシートを支持するための網状構造体を備えてもよい。
【0061】
このような網状構造体は、前記網状構造体の上端をロータ2の中心体に接続する複数のケーブル18を備える。
【0062】
このようなケーブルにより、ベーン5は、風によって引き起こされるねじり力に耐えることができる。
【0063】
また、ブレード10は、少なくとも2つの強化リブを備えてもよく、強化リブは、カバープレートを支持するために、実質的に直列に配置される。
【0064】
特に、形状が定められたブレード10は、管状体6の軸線と実質的に平行な第1の部分と、湾曲した第2の部分とを有する場合がある。この場合、ブレード10の形状は、ロータ2の回転の平面に対して傾いており、この傾きは、130°〜140°の間に含まれる。
【0065】
したがって、風は、一部分に集められた後、ブレード10の間に導入される。ブレード10は、ロータ2の軸線に対して約45°分、風の方向を漸進的に変化させる。
【0066】
したがって、今度はロータ2のベーン5が、約45°の角度分、またロータ2の軸線に対して、しかしこの軸線とは反対方向に傾いていることを考えると、風は、ベーン5すべてに対して実質的に垂直、かつ均一に衝突する。このことは、システム1の特定の最大生産量を得るために、最大の生産性を獲得することを可能にする考えられ得る構成を直観的に表す。
【0067】
フェアリング9が、ロータ2の管状体6と同じ軸線に配置され、かつ管状体6と直径が同じであることができ、したがって、システム1に入る空気流が、てこの作用を好ましく利用することができないために、エネルギーに点では最も生産力が劣るロータ2の中心部分に到達することを防ぐことができることに留意されたい。
【0068】
したがって、空気流は、部分的には外側筐体8によって加えられる閉じ込め作用により、ベーン5の領域でのみ圧縮される。これにより、流入する風の速度が比例的に増加する。しかし何より、そのようなより大きな推力は、ロータ2の最も外側の部分、ベーン5によって占められる部分にのみ加えられる。この部分はまた、てこの作用をよりよく利用できるため、エネルギーの点では最も生産的な部分である。
【0069】
ロータ2の中心体は、ベーン5を支持するための2つのフランジ19を備えてもよい。
【0070】
フランジ19は、ロータ2の直径とは異なるより小さな直径を有してもよい。フランジ19は、直列に配置され、かつロータ2のシャフト7と平行して配置されたロッド20により、互いに接続されてもよい。
【0071】
したがって、フランジ19の寸法は、システム1の据え付けゾーンに存在する風の速度と関連して変わる可能性がある。
【0072】
また、個々のロータ2を特徴付けてさえいる組立ての高度な容易さにより、システム1の据え付け場所で、ベーン5にフランジ19を直接取り付ける可能性も排除されない。
【0073】
外側筐体8は、略円筒状であり、好ましくは亜鉛メッキ鉄、鋼鉄、アルミニウム等の中から選択される材料によって作られる2つの円形冠21を備えてもよい。円形冠21は、弾性的に変形可能な材料から成るフィルムを支持するために、管状構造体11に安定的に結合されている。
【0074】
特に、筺体8は、筺体8自体の円形の形状で風収集領域の範囲を定めることに加えて、不可欠な閉じ込め作用を果たす。
【0075】
実際、風は、フェアリング9の作用のみではなく、管状体6を中心としてブレード10自体が漸進的に螺旋状に進むことによって引き起こされる遠心力によっても、外向きに流される。
【0076】
したがって、フェアリング9と、ブレード10と、外側筐体8とを組み合わせて存在させることにより、こうして、流入する空気流のための8つの押し込み通路が生み出され、押し込み通路は、管状体6を中心に螺旋状に進むことによって逸れていくことにより、ロータ2の回転の平面に対して約135°の角度になり、約90°の角度ですべてのベーン5に同時に風を衝突させる(今度はベーン5が、ロータ2の回転の平面に対してまた、約45°分傾斜しているため)。
【0077】
このようなベーン5における衝突の角度により、従来の風力発電システムで得られる生産量よりも高いエネルギー生産量が得られる。従来の風力発電システムでは、風がベーンに衝突する角度は約45°である。
【0078】
上に述べたことに加えて、外側筐体8において空気流によって加えられる圧力により、各ベーン5の周辺領域において風が衝突する速度が増し、したがって、ロータ2の中心に最も近いベーン5の領域で衝突する速度が落ちる。
【0079】
特定の実用性及びユーティリティ性からの解決策によれば、ロータ2は、2つの端部リング23によって支持された、略円筒状の外側カバー22を備えてもよく、端部リング23は、管状構造体11と安定的に結合している。
【0080】
カバー22は、システムが風の方向と平行な方向に配置されている場合、風からロータ2を遮断することができる。
【0081】
したがって、このような構造の装置により、補修又は整備を行うためのみではなく、過度の強風の場合、電力網に過剰な負荷がかかることを防ぐために、ベーン5が回転しないようにすることができる。
【0082】
この代わりに従来の風力発電システムは、このような要求に応えるために、必然的に適切な制動装置を備えなければならない。
【0083】
しかし、このような装置はコストが高く、したがって、マルチロータ風力発電システムでは、このような装置によりコストが非常に高くなってしまい、結果的にこのような装置の採用が見送られてしまう可能性がある。したがって、このような問題は、マルチロータシステムの成功を妨げる一因となっている。
【0084】
したがって、システム1では、本発明によれば、ベーン5の上部に接続されたカバー22の存在により、実際、ロータ2の円形の周辺が定められ、ロータ2が、ロータ2の回転の平面に平行な風の影響を受けなくなる。
【0085】
このような装置により、単にシステム1全体を90°回転させて、風の方向に垂直ではなく平行にすることにより、ロータ2のベーン5、したがって風力発電システム1全体を、確実に回転しないようにすることができる。
【0086】
外側筐体8のフィルム、ベーン5のシート、ブレード10のカバープレート、及びロータ2のカバー22は、好ましくはポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、メタクリレート等の中から選択される材料で作られてもよい。
【0087】
したがって、このような部品が透明であることにより、システム1の審美面及び環境面での影響が最小限になり、したがって実際、システム1が農業と両立する。
【0088】
管状体6は、好ましくはアルミニウムで作られ、断面が長方形である複数の管状部分を備えてもよい。これらの管状部分は、風の方向と平行なだけではなく、互いに対しても平行に、構造体11の中心領域に吊され、フランジ19の直径と等しい距離の分、互いから離れて配置される。
【0089】
その後、これらの管状部分は、複数の円によって接合されてもよい。これらの円は、アルミニウムから作られ、フィルムにより外部から覆われることが好ましい。
【0090】
一方の端部円は、ロータ2のフランジ19の方を向き、かつこれに近接して配置され、他方の端部円は、フェアリング9のための土台として作用する。
【0091】
管状体6を構成するこれらの5つの円には、アルミニウムで作られ、外側筐体8の直径と高さが等しいことが好ましい強化リブが配置されている。
【0092】
リブは、5つのリブをそれぞれ有する8つの列を形成する場合があり、このような列は、管状体6の長手方向軸線から徐々に次第に逸れる。管状体6は、このような軸線に対して傾きが45°に到達するまで、リブを支持する。
【0093】
また、リブは、管状体6を構成する部分の組立てが完了すると、ブレード10の上部を支持する場合がある。
【0094】
したがって、管状体6は、管状部分のそれぞれに強固に接続されている。
【0095】
ブレード10の数は、好ましい解決策によれば8つであってもよく、それぞれのブレード10は、片側が管状体6の円に接続され、もう片方の側がリブの上部に接続されている。
【0096】
ブレード10は、風が入る領域の近くの部分では、管状体6の軸線と実質的に平行に配置され、その後、ロータ2の近くで、傾きが、また管状体6の軸線に対して約45°、したがってロータ2の回転の平面に対して約135°に到達するまで、ロータ2の回転の方向にこのような軸線から徐々に逸れるような形状にされ得る。
【0097】
より詳細には、被駆動ユーティリティ装置3は、好ましくは発電機、圧縮機等の中から選択されるタイプのものであってもよい。
【0098】
そのような発電機は、好ましくは商用電源、蓄電セル、電気負荷装置等の中から選択される要素によって制御される場合がある。
【0099】
システム1は、高い生産量を特徴とすることが効果的である。
【0100】
実際、従来のロータ2と直径及び形状が同じ場合のロータ2が、ロータ2の特定の生産量をかなり増加させ、回転を引き起こすのに必要とされる風速を結果的に減少させ、したがって、システム1の動作時間全体を増加させることができる。
【0101】
本発明によるシステム1が、減少した風速で動作することができることが有効である。
【0102】
システム1はまた、風のレベルが低い領域で据え付けられ得ることが好都合である。
【0103】
実際、従来のシステムに必要な速度よりも速度が減少した弱い風しか存在しない場合でも、ロータ2を回転させることができる。
【0104】
風力発電システム1は、整備が容易かつ経済的であることが好都合である。
【0105】
風力発電システム1は、動作しない期間が減少していることが好都合である。
【0106】
風力発電システム1は、農業と両立することがよい。
【0107】
したがって、実際、外側筐体8、ベーン5、ブレード10、及びカバー22が透明であることにより、システム1の審美面及び環境面での影響が最小限になり、したがって実際、システム1が農業と両立する。
【0108】
実際、システム1の様々な部品が実質的に透明であることにより、システム1に近くに位置するいかなる耕作地の光合成も妨げないことが可能になる。
【0109】
これにより、本発明を据え付けるために、農業に現在使用されている広大な地面を利用することができる。
【0110】
したがって、本発明は、多数の修正及び変形を受ける余地があり、修正及び変形のすべては、添付の特許請求の範囲に含まれると考えられる。その上、詳細のすべては、他の技術的に均等な要素に置き換えられる可能性がある。
【0111】
図示された実施形態では、特定の例に関連して示された個々の特性は、他の実施形態に存在する別の特性に実際には置き換えられる場合がある。
【0112】
実用では、用いられる材料、及び寸法は、要求、及び最新の状況に従い、いかなるものであってもよい。
図1
図2