(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロボットが検出した物理的特性値又は化学的特性値をユーザーが直接知覚したときの感覚とは異なる大きさの皮膚感覚が、前記第2提示機構によって提示されるように、前記第2提示機構を制御するコントローラをさらに備える
請求項1〜5のいずれか1項に記載のロボットシステム。
前記第2提示機構は、前記ロボットが検出した物理特性値又は化学特性値をユーザーが直接知覚したときの皮膚感覚とは異なる種類の皮膚感覚を提示するよう構成されている
請求項1〜6のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1項]
ロボットと、
前記ロボットによる物体への接触に基づく力覚を、ユーザーに提示する第1提示機構と、
前記ロボットによる検出結果に基づく感覚であって、前記第1提示機構によって提示される前記力覚とは異なる皮膚感覚を、前記ユーザーに提示する第2提示機構と、
を備えるロボットシステム。
【0009】
第1項によれば、第1提示機構及び第2提示機構によって複数の感覚をユーザーに提示でき、ユーザーへより適切な感覚を提示することができる。
【0010】
[第2項]
前記第2提示機構は、前記第1提示機構が力覚提示のために出力した力を受けて、前記ユーザーへの接触圧が高まるように設けられている
第1項記載のロボットシステム。
【0011】
第2項によれば、ユーザーに対して複合的な感覚提示を行うことができる。
【0012】
[第3項]
前記ユーザーの指に装着される第1装着部を更に備え、
前記第1提示機構は、前記ユーザーに提示すべき前記力覚の大きさに応じた力を、前記第1装着部に与えるよう設けられ、
前記第2提示機構は、前記第1装着部に取り付けられている
第1項又は第2項のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【0013】
第3項によれば、装着部が装着された指に対して、複数の感覚が提示される。
【0014】
[第4項]
前記ユーザーの前腕に装着される第2装着部を更に備え、
前記第1提示機構は、前記第1装着部と前記第2装着部との間に設けられている
第3項記載のロボットシステム。
【0015】
第4項によれば、第1提示機構は、ユーザーの指に装着された第1装着部とユーザーの前腕の間に装着された第2装着部とによって保持される。
【0016】
[第5項]
前記第2提示機構によって提示される前記感覚は、温覚を含む
第1項〜第4項のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【0017】
第5項によれば、力覚と温覚がユーザーに提示される。
【0018】
[第6項]
前記ロボットが検出した物理的特性値又は化学的特性値をユーザーが直接知覚したときの感覚とは異なる大きさの皮膚感覚が、前記第2提示機構によって提示されるように、前記第2提示機構を制御する
コントローラをさらに備える
第1項〜第5項のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【0019】
第6項によれば、第2提示機構は、ユーザーが知覚し易い感覚を提示することができる。
【0020】
[第7項]
前記第2提示機構は、前記ロボットが検出した物理特性値又は化学特性値をユーザーが直接知覚したときの皮膚感覚とは異なる種類の皮膚感覚を提示するよう構成されている
請求項1〜6のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【0021】
[第8項]
力覚をユーザーに提示する第1提示機構と、
前記第1提示機構によって提示される前記力覚とは異なる皮膚感覚を、前記ユーザーに提示する第2提示機構と、
を備える感覚提示装置。
【0022】
第8項によれば、第1提示機構及び第2提示機構によって複数の感覚をユーザーに提示でき、ユーザーへより適切な感覚を提示することができる。
【0024】
[2.1 ロボットシステム]
図1は、ロボットシステム100の全体構成を示している。ロボットシステム100は、マスタ装置200及びスレーブ装置300を有する。マスタ装置200は、感覚が提示されるユーザー側の装置であり、スレーブ装置300は、マスタ装置200からの操作によって動作する。マスタ装置200及びスレーブ装置300は、コントローラ400に対して有線又は無線にて接続されている。マスタ装置200は、スレーブ装置300の操作器210を有する。操作器210は、操作者であるユーザーによって操作される。
【0025】
スレーブ装置300は、操作器210によって操作されるロボット310を有する。実施形態に係るロボット310は、例えば、ロボットハンド(スレーブハンド)である。ロボットハンド310は、人の手の指のように屈曲可能なフィンガー部を有し、人の手を模した動作が可能である。なお、ロボットの形態は、人の手の形態である必要はなく、他の形態であってもよい。
【0026】
ロボットハンド310は、例えば、特開2006−204612号公報に記載のバルーンアクチュエータを備えたフィンガーアクチュエータにより構成される。バルーンアクチュエータは、空気の吸入による膨張により、屈曲動作する。
図2に示すように、バルーンアクチュエータを備えたフィンガーアクチュエータ310は、人の手の親指、人差し指、中指、薬指、小指に相当する5本のフィンガー部2a,2b,2c,2d,2eを備えている。各フィンガー部2a,2b,2c,2d,2eは、バルーンアクチュエータ5を備える。バルーンアクチュエータ5の膨張により、フィンガー部2a,2b,2c,2d,2eが屈曲する。バルーンアクチュエータ5は、収縮すると屈曲状態から復帰する。
【0027】
フィンガーアクチュエータ310は、各フィンガー部2a,2b,2c,2d,2eが取り付けられた取付部4を有している。この取付部4は、空気注入用のチューブを取り付けるための空気注入部6を有している。空気注入部6から各バルーンアクチュエータ5へは空気供給路7が形成されている。空気注入部6に供給された空気によってバルーンアクチュエータが膨張し、空気注入部6から空気が排出されるとバルーンアクチュエータ5が収縮する。
【0028】
ロボットハンド310におけるフィンガー部の具体的な駆動機構は、特に限定されず、様々なものを採用可能である。例えば、フィンガー部はモータ駆動により屈曲するものであってもよい。
【0029】
ロボットハンド310を操作するための操作器210としては、例えば、センサグローブが好適である。センサグローブは、データグローブとも呼ばれる。センサグローブ210は、グローブの形態を有し、ユーザーの手に装着される。センサグローブ210は、ユーザーの指の曲げを検出する曲げセンサ211を備える。曲げセンサ211は、例えば、指の曲げに応じて曲がって電気抵抗が変化する。曲げセンサ211によって検出された指の曲げ量(屈曲角)は、コントローラ400に与えられる。
【0030】
ロボットハンド310の各フィンガー部2a,2b,2c,2d,2eは、フィンガー部の曲げを検出する曲げセンサ320を備えている。曲げセンサ320は、例えば、フィンガー部の曲げに応じて曲がって電気抵抗が変化する。曲げセンサ320によって検出されたフィンガー部2a,2b,2c,2d,2eの曲げ量(屈曲角)は、コントローラ400に与えられる。
【0031】
コントローラ400は、曲げセンサ211及び曲げセンサ320の検出結果に基づき、ロボットハンド310がユーザーの指の動き(曲げ具合)を再現するように、ロボットハンド310を制御する。より具体的には、コントローラ400は、ユーザーの指の曲げ度合と、ユーザーが曲げた指に対応するフィンガー部の曲げ度合とが一致するように、各バルーンアクチュエータ5に供給される空気の量又は空気圧を調整する。
【0032】
ロボットハンド310の各フィンガー部2b,2c,2d,2eは、温度センサ330を備えている。温度センサ330によって検出された温度は、コントローラ400に与えられる。温度センサ330は、フィンガー部2b,2c,2d,2eに設けられているため、フィンガー部2b,2c,2d,2eが接触した物体の温度を検出することができる。温度センサ330は、複数のフィンガー部2b,2c,2d,2eそれぞれに設けられているため、各フィンガー部2b,2c,2d,2eで個別に温度を検出することができる。温度センサ330の検出結果は、後述の温覚提示に用いられる。
【0033】
図3に示すように、フィンガー部2a,2b,2c,2d,2eは、第1面5aと、第1面5aの反対側の面である第2面と、を有する。第1面5aは、フィンガー部2a,2b,2c,2d,2eが屈曲する向きA側の面である。第1面5aは、人の指における手のひら側の面(指の腹)に相当する。温度センサ330は、第1面5aに設けられている。第1面5aに設けられた温度センサ330は、屈曲したフィンガー部2b,2c,2d,2eが接触した物体の温度を好適に検出することができる。温度のより好適な検出のため、温度センサ330は、フィンガー部2b,2c,2d,2eの先端付近に配置されているのが好ましい。なお、実施形態においては、人の親指に相当するフィンガー部2aには、温度センサ330が設けられていないが、フィンガー部2aに温度センサ330を設けてもよい。
【0034】
曲げセンサ320は、第2面5bに設けられている。第2面5bに設けられた曲げセンサ320は、温度センサ330との接触を回避して、フィンガー部の曲がり具合を検出することができる。
【0035】
[2.2 感覚提示装置]
マスタ装置200は、
図4〜8に示す感覚提示装置220を有する。実施形態の感覚提示装置220は、ユーザーに複数の感覚を提示するため、複数の感覚提示機構230,240を備える。複数の感覚には、例えば、力覚及び力覚以外の感覚が含まれる。力覚は、物体との接触による受ける反力感覚である。力覚提示は、力覚提示機構230によって行われる。力覚提示機構230は、ユーザーが物体に接触したような反力感覚を、ユーザーに提示する力覚フィードバックを行う。実施形態のロボットシステム100では、フィンガー部2b,2c,2d,2eが物体に接触したときに、フィンガー部2b,2c,2d,2eがその物体から受ける反力が、力覚提示機構230によって反力感覚としてユーザーへ提示される。
【0036】
ユーザーに提示される力覚以外の感覚は、一種類の感覚でもよいし、複数の感覚でもよい。力覚以外の感覚は、物体に接触したときに知覚される感覚を力覚とともに提示するという観点からは、力覚以外の皮膚感覚であるのが好ましい。皮膚感覚とは、感覚器としての皮膚によって知覚される感覚である。力覚以外の皮膚感覚は、例えば、温覚、触覚、痛覚を含む。温覚は、温度の感覚である。温覚は、皮膚の温度よりも高い温度又は低い温度によって知覚される。触覚は、物体表面の質感又は手触り感である。触覚は、テクスチャ(texture)とも呼ばれる。触覚は、力覚を含む意味で用いられることもあるが、ここでは、力覚と触覚は区別される。触覚によって得られる情報としては、例えば、物体表面の粗さ(滑らかさ)、物体の粘性又は弾性がある。痛覚は、痛みの感覚である。
【0037】
温覚は、例えば、提示されるべき温度を発生できる装置(例えば、加熱装置又は冷却装置)を有する温覚提示機構によって提示される。触覚は、例えば、物体表面形状、物体粘性、及び物体弾性の少なくともいずれか一つを再現する触覚提示機構によって提示される。痛覚は、例えば、痛みとして知覚される電気刺激又は機械的刺激を発生する痛覚提示機構によって提示される。感覚提示装置220は、力覚以外の感覚を提示する機構240を1又は複数備えることができる。図示の感覚提示装置220は、温覚をユーザーへ提示する温覚提示機構240を備える。温覚提示機構240は、ユーザーが物体的に接触したような温覚を、ユーザーに提示する温覚フィードバックを行う。実施形態の温覚提示機構240は、フィンガー部2b,2c,2d,2eが検出した温度を、温覚としてユーザーに提示する。
【0038】
図4〜
図8は、力覚提示機構230及び温覚提示機構240を備える感覚提示装置220を示している。感覚提示装置220は、第1装着部510を備える。第1装着部510は、感覚提示装置220をユーザーに装着させるために用いられる。第1装着部510は、例えば、ユーザーの手に装着される手装着部である。第1装着部510が装着される部位は、手の指を含むのが好ましい。実施形態の第1装着部510は、指に挿通される筒状の本体511を有する。本体511は、指の屈曲を許容するように、弾性変形可能な材料によって形成されている。本体511は、例えば、弾性変形可能なプラスチックによって形成される。
【0039】
図示の第1装着部510は、手の指だけに装着される。ただし、第1装着部510は、指及び手のひらを含む手のほぼ全体に装着されてもよい。手のほぼ全体に装着される第1装着部の形態としては、例えば、グローブ形状を採用できる。
図4において2点鎖線で示すように、センサグローブ210を、グローブ形状の第1装着部として利用することで、マスタ装置200の構成が簡素化される。また、指だけに装着される第1装着部510に、指の曲げを検出する曲げセンサ211を具備させることで、第1装着部510を操作器210として機能させることもできる。
【0040】
図5及び
図6に示すように、感覚提示装置220は、複数(4個)の第1装着部510を備えている。複数の第1装着部510は、親指を除く指それぞれに装着される。指を筒状の第1装着部510内に挿通させることで、第1装着部510が指に装着される。親指に第1装着部510を装着させてもよい。感覚提示装置220は、第1装着部510が装着された指に対して、力覚及び温覚を提示する。
【0041】
感覚提示装置220は、第2装着部520を備える。第2装着部520は、第1装着部510とは異なる身体部位へ、感覚提示装置220を装着させるために用いられる。第2装着部520は、例えば、ユーザーの前腕に装着される前腕装着部である。前腕とは、肘から手首の間の部位である。
【0042】
第1装着部510及び第2装着部520が装着される部位は特に限定されない。第1装着部510が装着される部位と第2装着部520が装着される部位との間には、少なくとも一つの関節が介在していればよい。例えば、第1装着部510が手の指に装着される場合、第2装着部520は、手のひら、又は、第1装着部510が装着された指とは別の指(例えば、親指)に装着されていてもよい。
【0043】
図4に戻り、第2装着部520は、ベース521を備える。ベース521は、例えば、前腕の長手方向に沿った長尺部材である。ベース521は、ユーザーへの装着時において前腕の手のひら側の面に当接する。ベース521は、ユーザーに巻かれる複数本のベルト522,523を備える。ベルト522,523は、例えば、ユーザーの前腕に巻き付けにより、第2装着部520が前腕に装着される。複数本のベルト522,523によって長尺状のベース521が前腕の長手方向に沿って装着されることで、第2装着部520の装着状態が安定する。
【0044】
第2装着部520は、ベース521から、ユーザーの指の方へ延びる延長部525を備えている。第2装着部520は、複数の延長部525を備えている。延長部525の数は、例えば、第1装着部510の数に対応し、4個である。複数の延長部525は、前腕に装着されたベース521から、親指を除く各指の方へ延びている。各延長部525の先端526は、第1装着部510が装着された指の手のひら側の面から間隔をおいて、各指の手のひら側の面に対向して位置する。このように、第2装着部520の延長部525の先端526は、第1装着部510に対して対向配置となっている。第1装着部510が装着された指が屈曲すると、第1装着部510は、延長部先端526に近づく。第1装着部510が装着された指を延ばすと、第1装着部510は、延長部先端526から離れる。
【0045】
[2.3 力覚提示機構]
力覚提示機構230は、例えば、シリンダを有して構成される。力覚提示機構230は、シリンダから出力する推力によって、力覚を提示する。感覚提示装置220は、第1装着部510が装着された各指に力覚を個別に提示するため、第1装着部510の数に対応した数(4個)のシリンダ230を有している。
【0046】
シリンダ230は、シリンダチューブ231及びシリンダロッド232を備える。シリンダロッド232は、シリンダチューブ231に対して進退移動可能に設けられている。シリンダチューブ231には、シリンダ230の動作のための流体圧が印加される。シリンダロッド232は、シリンダチューブ231に印加された流体圧によって、シリンダチューブ231に対して進退移動する。
【0047】
シリンダ230は、駆動流体が空気であるエアシリンダが好ましい。エアシリンダ230は、シンプルな構造を有しており、軽量であるため、ユーザーに装着される力覚提示機構として好適である。
【0048】
シリンダ230には、単動型と複動型とがあり、いずれを採用してもよいが、好適な力覚提示のためには、単動型であるのが好ましい。単動型とは、流体圧印加によるシリンダロッド232の移動方向が単方向であるものをいい、流体圧印加による移動方向とは逆方向への移動は、バネ、ロッド232自重、又は外力によって行われる。複動型は、流体圧印加によるロッド232の移動方向が双方向であるものをいう。指先への力覚提示では、一方向の力を提示することが求められることが多いため、単動型が好ましい。
【0049】
以下では、力覚提示機構230を構成するシリンダとして、空気圧印加により指先をシリンダロッド232により押圧する単動型エアシリンダを用いた例について説明する。
【0050】
力覚提示機構を構成するシリンダ230は、第1装着部510と第2装着部520との間に設けられている。実施形態の力覚提示機構230は、装着部510,520によってユーザーに装着される。力覚提示機構230がユーザーに装着されていることで、ユーザーの移動性が向上する。シリンダ230は、第1装着部510と、第2装着部520の延長部先端526と、の間の間隔を広げる方向に力を発生することで、第1装着部510が装着された部位に対して力覚を提示する。
【0051】
図示のシリンダ230は、シリンダチューブ231が第2装着部520側に支持され、シリンダロッド232が第1装着部510側に支持される。ただし、シリンダチューブ231が第1装着部510側に支持され、シリンダロッド232が第2装着部520側に支持されていてもよい。
【0052】
図7に示すように、第1装着部510は、筒状の本体511に設けられた第1支持部551を備えている。第1支持部551は、例えば、本体511と一体形成されている。第1支持部551は、シリンダ230の長手方向一端側を支持する。シリンダ230の長手方向一端は、例えば、例えば、シリンダロッド232の先端232aである。第1支持部551は、指に接触する接触面551aを有する。接触面551aは、シリンダ230から出力された推力によって指を押圧し、力覚を指に与えるための力覚提示面である。接触面551aは、例えば、指先、より具体的には指の第1関節J1よりも先の部位、に接触する。接触面551aは、例えば、指の手のひら側の位置(指の腹)に接触する。実施形態の接触面551aは、ユーザーが指の腹で物体を触ったときのような力覚を、ユーザの指の腹に提示することができる。
【0053】
実施形態において、第1支持部551は、第1ジョイント560を介して、ロッド先端232aを支持する。第1ジョイント560は、第1装着部510に対するシリンダ230の角度が可変となるように、第1支持部551とロッド先端232aとを接続する。
図8に示すように、第1ジョイント560によって、直線的な運動をするシリンダ230を指に装着しても、ユーザーの指の比較的自由な動きが確保される。
【0054】
第1ジョイント560は、例えば、ボールジョイントである。ボールジョイント560は任意の方向に角度を変えることができるため、指の動きの自由度がより高まる。ボールジョイント560は、球体563と、球体563に取り付けられた棒体565と、球体563と球面接触し球体563を保持するソケット567と、を備える。棒体565は、第1支持部551内に形成された孔に挿入され、ボールジョイント560を第1支持部551に取り付ける部材として機能する。ソケット567は、その内部に形成された孔にシリンダロッド先端232aが挿入され、ボールジョイント560をシリンダ230に取り付ける部材として機能する。
【0055】
図4に戻り、第2装着部520は、第2ジョイント580を介して延長部525に設けられた第2支持部571を備えている。第2支持部571は、シリンダチューブ231を支持する。第2支持部571は、シリンダチューブ231のシリンダロッド側端部231a付近において、シリンダチューブ231を支持する。第2支持部571がシリンダロッド側端部231a付近を支持することで、第1装着部510と第2装着部520との間の間隔を小さくでき、装置220をコンパクトにできる。第2支持部571は、筒状であり、内部に挿通されたシリンダチューブ231を保持する。
【0056】
第2ジョイント580は、左右方向の軸581を回動中心として回動する。左右方向とは、ユーザーからみた左右方向である。第2ジョイント580は、第2装着部520に対するシリンダ230の角度が可変となるように、延長部525と第2支持部571とを接続する。
図8に示すように、第2ジョイントによって、ユーザーの指の屈曲に応じて、第2装着部520に対するシリンダ230の角度を変えることができる。これにより、ユーザーの指の比較的自由な動きが確保される。
【0057】
[2.4 温覚提示機構]
温覚提示機構240は、各第1装着部510に設けられている。感覚提示装置220は、第1装着部510が装着された各指に温覚を個別に提示するため、第1装着部510の数に対応した数(4個)の温覚提示機構240を有している。
【0058】
図7に示すように、第1装着部510は、温覚提示機構240の保持のため、筒状の本体511に設けられた保持部590を有する。実施形態の保持部590は、本体511と一体形成されている。保持部590は、温覚提示機構240を内部に収納できる中空箱形状に形成されている。保持部590は、温覚提示機構240から発生した熱の効率的な放熱のため、放熱用開口590aを有する。保持部590は、第1支持部551と隣接して配置されている。保持部590は、第1支持部551とも一体形成されている。保持部590は、第1支持部551よりも指の根元側(手のひら側)に配置されている。
【0059】
実施形態の保持部590は、指先、より具体的には指の第1関節J1よりも先の部位、に温覚提示機構240を接触させるように、温覚提示機構240を保持する。温覚提示機構240は、例えば、指の手のひら側の位置(指の腹)に接触する。実施形態の温覚提示機構240は、ユーザーが指の腹で物体を触ったときのような温覚を、ユーザーの指の腹に提示することができる。力覚及び温覚のような複数の感覚を、ユーザーの同一の部位又は互いに近傍の位置において提示することで、ユーザーが物体を触ったときの感覚を複合的に提示することができる。
【0060】
実施形態の温覚提示機構240は、熱電素子241を有する。熱電素子241は、例えば、ペルチェ素子である。ペルチェ素子は、熱移動により、冷却と発熱とを生じさせる。実施形態においては、ペルチェ素子を指の冷却用に用いる。ペルチェ素子を発熱用に用いてもよい。実施形態では、ペルチェ素子241の冷却面が、ユーザーの指に接触する接触面241aとされている。接触面241aは、温覚を指に与えるための温覚提示面である。
【0061】
実施形態において、温覚提示面である接触面241aは、力覚を指に与える力覚提示面でもある。温覚提示機構240を保持する保持部590は、支持部551と一体形成されているので、シリンダ230から出力された推力は、支持部551及び保持部590を介して、温覚提示機構240に与えられる。この結果、接触面241aは、力覚を指に与える力覚提示面としても機能する。
【0062】
単一の接触面241aが複数の感覚(ここでは、温覚及び力覚)の提示面として機能することで、複合的な感覚提示をより適切に行える。例えば、人が物体へ接触することによって感じる物体の体感温度は、物体に対する接触圧によって異なることがある。同じ温度の物体に対して、強く接している場合には物体の温度はより強く感じられ、軽く接触している場合には物体の温度はより弱く感じられる。また、例えば、人が物体へ接触することによって感じる物体表面の質感は、物体に対する接触圧によって異なることがある。同じ質感の物体に対して、強く接している場合には物体の質感はより強く感じされ、軽く接触している場合には物体の質感はより弱く感じられる。温覚等の提示面241aが力覚提示面としても機能していることで、ユーザーに対する提示面241aの接触圧を、変化させることができる。ユーザーに対する提示面241aの接触圧は、力覚提示のために出力された力が大きくなれば高まり、力覚提示のために出力された力が小さくなれば低くなる。
【0063】
実施形態の温覚提示機構240は、ペルチェ素子の熱移動により発生した熱を、放出するヒートシンク243を備える。ヒートシンク243の放熱効率を高めるため、実施形態の温覚提示機構240は、放熱ファン245を備える。熱電素子241、ヒートシンク243及び放熱ファン245は、保持部590によって保持されている。
【0064】
[2.5 感覚提示の駆動制御系]
図9は、感覚提示のための駆動制御系を示している。駆動制御系は、力覚提示機構(エアシリンダ)230の駆動のため、電空レギュレータ235及びコンプレッサ237を備える。電空レギュレータは、コントローラ400からの指令電気信号の値に応じた空圧を、エアシリンダ230に出力する。コンプレッサ237は、圧縮空気を電空レギュレータに供給する。駆動制御系は、ペルチェ素子241の駆動のため、ペルチェ素子駆動回路247を備える。ペルチェ回路駆動素子は、コントローラ400からの指令電気信号に応じた電流を、ペルチェ素子241に出力する。
【0065】
コントローラ400は、曲げセンサ221,320の検出結果に基づいて力覚提示処理を行う。力覚提示処理として、コントローラ400は、センサグローブ210の曲げセンサ211によって検出された第1屈曲角と、ロボットハンド310の曲げセンサ320によって検出された第2屈曲角と、を比較する。ロボットハンド310のフィンガー部2b,2c,2d,2eが物体に接触すると、フィンガー部2b,2c,2d,2eは、ユーザーの指の曲げ度合よりも小さい曲げ度合となり、第2屈曲角が第1屈曲角よりも小さくなる。第2屈曲角が第1屈曲角よりも小さくなると、コントローラ400は、第1屈曲角と第2屈曲角との差に応じた空圧がエアシリンダ230に与えられるよう電空レギュレータ235を制御する。コントローラ400は、第1屈曲角と第2屈曲角との差が大きくなるほど、エアシリンダ230に与えられる空圧を大きくする。例えば、屈曲角の差が10°のときは空圧を10kPa、屈曲角の差が20°のときは空圧を20kPa、屈曲角の差が30°のときは空圧を40kPaとすることができる。
【0066】
コントローラ400は、温度センサ330の検出結果に基づいて温覚提示処理を行う。温覚提示処理としては、コントローラ400は、温度センサ330によって検出された温度に基づいて、ユーザーに提示される温度(提示温度)を決定する。コントローラ400は、温覚提示機構240(ペルチェ素子241)が提示温度を提示するようにペルチェ素子駆動回路247を制御する。例えば、温度センサ330が20°C以上30°C未満の温度を検出したときは提示温度を20°とし、温度センサ330が30°C以上40°C未満の温度を検出したときは30°を提示温度とし、温度センサ330が40°C以上50°C未満の温度を検出したときは40°Cを提示温度とすることができる。
【0067】
[2.6 感覚チューニング]
ロボット310に備わった温度センサ330の温度検出性能は、知覚性能とは異なる。多くの場合、温度センサ330の方が人よりも、温度検出可能範囲が広い。また、−100°Cや100°Cの温度は、ユーザーにとっては強すぎる刺激である。そこで、
図10(a)に示すように、コントローラ400は、温度センサ330によって検出される温度範囲よりも狭い温度範囲で温覚がユーザーに提示されるように、提示温度を決定する。例えば、温度センサ330の温度検出範囲が−100°C〜100°Cである場合、コントローラ400は、検出された温度を、線形又は非線形の変換処理によって、より狭い提示温度範囲の温度に変換し、変換された温度を提示温度とする。提示温度範囲は、例えば、5°Cから40°Cである。このような変換処理により、ユーザーは、直接知覚することが容易ではない温度であっても、温覚として知覚するのが容易となる。
【0068】
多くの場合、温度センサ330の方が人よりも、温度検出分解能が高い。温度センサ330は、人が感じることが困難な僅かな温度差(例えば、0.1°Cの温度差)を検出することができる。そこで、
図10(b)に示すように、コントローラ400は、温度センサ330によって検出される温度範囲よりも広い温度範囲で温覚がユーザーに提示されるように、提示温度を決定する。例えば、温度センサ330の温度検出範囲が35°C〜40°Cである場合、コントローラ400は、検出された温度を、線形又は非線形の変換処理によって、より広い提示温度範囲の温度に変換し、変換された温度を提示温度とする。提示温度範囲は、例えば、0°から50°Cである。この場合、検出温度は、5°C分の範囲内で変動するのに対して、提示温度は、50°C分の範囲で変動する。したがって、例えば、検出温度における0.1°Cの温度差が、提示温度では1°Cの温度差となり、僅かな検出温度差をユーザーが知覚し易くなる。
【0069】
コントローラ400は、
図10(c)に示すように、温度範囲の大きさ及び検出分解能を変化させずに、温度を変換してもよい。例えば、温度センサ330の温度検出範囲が−50°C〜−10°Cである場合、コントローラ400は、検出された温度にバイアス温度を加算して、0°〜40°の提示温度範囲の温度に変換してもよい。バイアス温度は、例えば、50°Cである。バイアス温度は、負の値であってもよい。このような変換処理により、ユーザーは、直接知覚することが容易ではない温度であっても、温覚として知覚するのが容易となる。
【0070】
図10に示すような変化処理は、提示される感覚が温覚である場合に適用される他、力覚、その他の感覚が提示される場合に行っても良い。これにより、ロボット310に備わったセンサによって検出された物理的特性又は化学的特性をユーザーが直接知覚したときの感覚とは異なる大きさの皮膚感覚を、ユーザーに提示できる。
【0071】
[2.7 異種感覚提示]
ロボット310は、温度センサ330に代えて、又は加えて、光センサ、生化学センサ、匂いセンサ、ガスセンサ、味センサ、pHセンサを備えても良い。コントローラ400は、これらのセンサによって検出された物理的特性値又は化学的特性値を、力覚以外の感覚を提示する機構240によって皮膚感覚として提示することができる。光センサ、生化学センサ、匂いセンサ、ガスセンサ、味センサ、pHセンサ等によって検出される物理的特性値又は化学的特性値は、人が皮膚感覚として知覚するのは不可能又は困難であるが、そのような物理的特性値又は化学的特性値であっても、感覚提示機構240が、皮膚感覚として提示することで、ユーザーは皮膚感覚として知覚できる。これにより、ユーザーは、ロボットを介して接触した物体の情報を、皮膚感覚によって、より多く得ることができる。
【0072】
例えば、ロボット310は、フィンガー部に備わったpHセンサ330によって、フィンガー部が接触した物体のpHを検出することができる。コントローラ400は、
図11に示すように、検出されたpH(検出結果)に基づいて、提示温度を決定し、温覚提示機構240によって、pHの値に応じた温覚を提示させる。これにより、ユーザーは、pHを温覚として知覚することができる。
【0073】
ロボット310が有する複数のフィンガー部2a,2b,2c,2d,2eは、それぞれ異なる種類のセンサを有してもよい。複数の第1装着部510が有する感覚提示機構240は、それぞれ異なる種類の皮膚感覚を提示するものであってもよい。例えば、人差し指に感覚を提示する機構240は温覚を提示し、中指に感覚を提示する機構は触覚を提示ししてもよい。
【0074】
[3.付記]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。実施形態に係る感覚提示装置220は、物理的に実在するロボット310によって検出された感覚のフィードバックのために用いられるだけでなく、仮想空間からの感覚フィードバックに用いられても良い。