(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移し替え制御部は、前記準備トレイに対して前記作業トレイを重ねる際、前記複数のアームが、前記準備トレイを水平方向に対して傾斜した状態で前記作業トレイを重ねるように、前記複数のアームを制御する請求項1又は2に記載の薬液充填システム。
前記移し替え制御部は、複数のアームのうち一のアームが前記準備トレイを把持し、他のアームが前記作業トレイを把持し、前記準備トレイから前記作業トレイへ前記複数のバイアルを移し替えるように前記一のアーム及び前記他のアームを制御する請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬液充填システム。
前記作業トレイに載置された前記複数のバイアル内に前記ディスペンサから前記薬液を吐出し順に充填するように、前記ノズル組立体を操作するとともに前記作業トレイを移動させるように前記複数のアームを制御するディスペンサ制御部を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬液充填システム。
前記ノズル組立体は、水平方向に延びるノズル本体と、前記ノズル本体に対して屈曲して水平方向に延びるノズル先端部とを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬液充填システム。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の実施形態(以下、本実施形態という)に係る薬液充填システムを示す外観正面図である。本実施形態においては、薬液充填システムの一例として、セルボックス内にロボットが配置される自動作業セルについて説明する。なお、以下の説明においては、
図1に示すロボット10の姿勢を基本姿勢と称し、基本姿勢のロボット10を正面から見て左方向をX軸の正方向、基本姿勢のロボット10を正面から見て背面方向をY軸の正方向、鉛直方向の上方をZ軸の正方向と定義する。
【0027】
本実施形態に係る薬液充填システム1は、作業中のコンタミネーション(汚染)を回避するために作業器具や作業対象に滅菌処理を施すことを要する生命工学や医薬品化学などの分野において用いられ、ほぼ無菌状態が保たれた領域で、バイアルに対する薬液の充填をロボット10に自動で行わせるものである。以下の説明において、作業器具とは、作業装置の一部として用いられるものをいう。また、作業対象とは、作業において加工等の操作を加えられるものであって、作業の結果得られる成果物の原料やその一部となるものをいう。
【0028】
薬液充填システム1は、ロボット10と、作業ブース20と、収容ブース30とを有する。作業ブース20内は、ほぼ無菌状態が保たれるようになっている。また、作業ブース20には、種々の作業器具、作業対象が配置され、ロボット10によって作業が行われる作業スペース21(
図2参照)が設けられている。
【0029】
ロボット10は、作業ブース20内に配置される。ロボット10は、いわゆる多関節ロボットであり、胴体110と、胴体110に設けられる右アーム120及び左アーム130を有する。また、右アーム120には、開閉する一対の爪121(121a、121b)が設けられ、左アーム130には、開閉する一対の爪131(131a、131b)が設けられる。なお、
図1においては、ロボット10が、右アーム120の爪121で後述の準備トレイ200を把持し、左アーム130の爪131で後述の作業トレイ300を把持した状態を示している。
【0030】
ロボット10は、胴体110及びアーム120、130を駆動することで、作業器具、作業対象などへアクセスし、爪121、131で挟んだり、ひっかけたり等することによりそれらを把持したり操作したりする。
【0031】
収容ブース30は、基本姿勢にあるロボット10から見て右アーム120側に設けられ、各作業器具及び作業対象を収容可能である。なお、収容ブース30の配置箇所、数は
図1に示すものに限られるものではなく、基本姿勢にあるロボット10の背面側にさらに収容ブースが1又は複数設けられていてもよい。
【0032】
収容ブース30は、作業ブース20に対して開閉扉(不図示)により遮断可能に接続されるとともに、外部空間Gに対して開閉扉(不図示)により遮断可能に接続されている。なお、収容ブース30と作業ブース20とを遮断する開閉扉については、ロボット10がアーム120、130を用いて開閉されるようにしてもよいし、他の自動設備等により自動的に開閉されるようにしてもよい。
【0033】
本実施形態においては、収容ブース30を密閉した状態で、収容する作業器具及び作業対象に対して滅菌処理が施される。外部空間Gから収容ブース30内へ運ばれてきた各作業器具、作業対象は、人の手や外気に触れているため、そのまま用いるとコンタミネーション(汚染)のおそれがあるためである。収容ブース30には、熱乾滅菌器やオートクレーブ、ケミクレーブ、紫外線/放射線滅菌器等の適宜の滅菌器が取り付けられていてよい。収容ブース30が複数設けられている場合には、同一の滅菌器が取り付けられてもよいし、互いに異なる形式の滅菌器を取り付けておき、収容ブース30を収容したい内容物に応じて使い分けるようにしてもよい。また、例えば、抗がん剤等、人体に有害な物質を取り扱う作業を行う場合、有害物質が外部へ漏れないように、収容ブース30には、ブース内を減圧する排気装置を取り付けるとよい。
【0034】
図2は、本実施形態に係る薬液充填システムの物理的なシステム構成を示すブロック図である。薬液充填システム1は、ロボット10と、ブース(作業ブース20及び収容ブース30)と、コントローラ40とを有する。ロボット10は、右アーム120及び左アーム130により、作業ブース20及び収容ブース30にアクセス可能である。
【0035】
コントローラ40は、予めロボット10の動作プログラムを記憶するプログラム記憶部41を有する。そして、ユーザによる外部機器50の操作や、外部機器50からの信号により、I/O(Input/Output)42を介して、コントローラ40がプログラム記憶部41に記憶された動作プログラムを実行する。
【0036】
図3は、本実施形態に係る薬液充填システムの機能的なシステム構成を示すブロック図である。薬液充填システム1は、ロボット10と、ロボット10を制御する上述のコントローラ40を有する。コントローラ40は、搬送制御部45、移し替え制御部46、ディスペンサ制御部47、着脱制御部48、及びかしめ制御部49を含む作業制御部44を有する。作業制御部44は、ロボット10が作業器具を用いてバイアル100等の作業対象に対して作業を行うように、ロボット10を制御する。なお、これら作業制御部44は、本実施形態では、コントローラ40が実行する動作プログラムにより、ソフトウェアとして実現されており、必ずしも物理的に区別し得る態様として設けられることを要しない。
【0037】
搬送制御部45は、ロボット10が作業器具と作業対象を作業ブース20と収容ブース30間で搬送するように、ロボット10を制御する。移し替え制御部46は、ロボット10が準備トレイ200から作業トレイ300へバイアル100を移し替えるようにロボット10を制御する。ディスペンサ制御部47は、作業トレイ300に載置されたバイアル100内に、ディスペンサ400(
図10参照)を用いて薬液を充填するようにロボット10を制御する。着脱制御部48は、爪121に着脱爪125(
図6等参照)を着脱するようにロボット10を制御する。かしめ制御部49は、かしめ装置500(
図11参照)を用いてバイアル100に対してアルミキャップ160をかしめるようにロボット10を制御する。なお、これら各制御部によるロボット10の制御の詳細については後述する。
【0038】
ここで、
図1及び
図4Aを参照して準備トレイについて説明し、
図1及び
図5Bを参照して作業トレイについて説明する。
図4Aは、複数のバイアルが準備トレイに載置された状態を示し、
図5Bは、複数のバイアルが作業トレイに載置された状態を示している。
【0039】
準備トレイ200は、バイアル100に対して行う作業の準備段階において、バイアル100が開口を鉛直方向の下向きにして載置される台である。開口が鉛直方向の下向きの状態でバイアル100が準備トレイ200に載置されるため、作業の準備段階において、開口から塵埃が入り込むことが抑制される。また、作業トレイ300は、バイアル100に対する作業中において、バイアル100が開口を鉛直方向の上向きにして載置される台である。以下の説明において、バイアル100を載置した状態における、各トレイの鉛直方向の下方側の面を下面とする。
【0040】
なお、本実施形態においては、一例として、
図4A等に示すように、一の方向(X軸に沿う方向)に4つのバイアル100を載置可能であり、他の方向(Y軸に沿う方向)に3つのバイアル100を載置可能な準備トレイ200及び作業トレイ300を示すが、各列に載置可能なバイアル100数はこれに限られるものではなく、複数のバイアル100が載置される構成であればよい。
【0041】
図4Aに示すように、準備トレイ200は、載置板210と、バイアル100を保持する保持板220と、被把持部230とを有する。載置板210は、下面から延びる支持足211と、バイアル100が挿通される複数の挿通孔212を有する。保持板220は、載置板210に対して延びる支持足221と、バイアル100の瓶首が挿通される挿通孔222を有する。挿通孔222の径がバイアル100の胴体の径よりも小さいため、バイアル100は、保持板220に当接して保持される。
【0042】
準備トレイ200の被把持部230は、載置板210の下面に設けられ、アーム120、130の爪121、131に挟まれて把持されて持ち上げて空中で移動される。なお、ここでの移動とは、後述するように反転も含むものであるから、被把持部230は、その姿勢がいかなるものであっても、爪121、131から容易に脱落することがないような形状とされる。例えば、図示のように、握りの端部に拡幅された柄頭が設けられた形状とするとよい。
図1は、ロボット10が、右アーム120の爪121により被把持部230を把持し、準備トレイ200を持ち上げて空中で移動する様子を示している。
【0043】
図5Bに示すように、作業トレイ300は、載置板310と、被把持部330とを有する。載置板310は、下面から延びる支持足311と、バイアル100の底部が嵌る複数の穴312を有する。
【0044】
作業トレイ300の被把持部330は、載置板310の下面に設けられ、アーム120、130の爪121、131に把持されて持ち上げて空中で移動される。なお、ここでの移動とは、後述するように反転も含むものである。被把持部330の形状については、準備トレイ200の被把持部230と同様である。
図1は、ロボット10が、左アーム130の爪131により被把持部330を把持し、作業トレイ300を持ち上げて空中で移動する様子を示している。
【0045】
なお、被把持部230、330は、
図4、
図5に示す位置に設けられるものに限られるものではなく、アーム120、130の爪121、131に把持され、持ち上げて空中で移動されるものであれば、準備トレイ200、作業トレイ300の他の位置に設けられてもよいし、その数も一に限られるものではなく、各トレイに複数設けられてもよい。
【0046】
次に、
図6を参照して、本実施形態の着脱爪125について説明する。複数のバイアル100に対して蓋(ゴム栓150、アルミキャップ160(
図11参照)等)を装着するために、爪121によりゴム栓等を一つずつ把持し、バイアル100の開口へ搬送するという動作を繰り返し行う場合、作業時間が長時間となる。そこで、本実施形態に係る薬液充填システム1は、作業時間を短縮するため、複数の蓋をまとめて把持、搬送することを可能にするよう、爪121の先端部に着脱可能な着脱爪125を有する。
図6は、右アーム120の爪121a、121bに装着された着脱爪125a、125bによりゴム栓150を3つまとめて把持しようとする様子を示している。なお、本実施形態においては、右アーム120の爪121に着脱可能な着脱爪125について説明するが、左アーム130の爪131に着脱可能な着脱爪をさらに有してもよい。
【0047】
図6に示すように、右アーム120は、開閉する一対の爪121a、121bを有する。爪121a、121bは、互いに対向する側の側面にそれぞれ溝121a1、121b1を有しており、爪121a、121bは、この溝121a1、121b1にバイアル100等を嵌めることにより把持する。また、着脱爪125a、125bは、互いに対向する側の側面にそれぞれ複数の溝125a1、125b1を有している。
【0048】
爪121a、121bが互いに開いた状態で、着脱爪125a、125bも互いに開いた状態となり、爪121a、121bが互いに閉じた状態で、着脱爪125a、125bも互いに閉じた状態となる。まず、
図6に示すように、着脱爪125a、125bを、互いに開いた状態で、溝125a1と溝125b1の間に、複数のゴム栓150を挟む位置に配置する。その後、爪121a、121bを互いに閉じる方向(
図6中の矢印方向)に移動することで、着脱爪125a、125bにより複数のゴム栓150をまとめて把持する。
【0049】
図6においては、ゴム栓等を3つまとめて把持できる着脱爪125a、125bを示すため、溝125a1、125b1の数も3つとしたが、これに限られるものではなく、まとめて把持するゴム栓等の数に応じて溝125a1、125b1の数を増減させてもよい。
【0050】
次に、
図7A〜
図7C、
図8A〜
図8Cを参照して、着脱爪125の装着について説明する。
図7に示すように、爪121aの先端面には、Y軸方向に沿って延びる装着穴127が形成され、装着穴127の内周面には溝127aが形成されている。一方、着脱爪125aは、Y軸方向に沿って延びて爪121aの装着穴127に挿通される装着部126を有し、装着部126には突出部126aが設けられている。突出部126aは、外部から働く押圧力により装着部126内に押し込められ、外部から働く押圧力が解除されると装着部126の側面から突出するように設けられている。例えば、突出部126aの突出方向の末端部にばね等の弾性部材が設けられ、その弾性部材の弾性力により突出部126aが装着部126の側面から突出するような構成となっている。
【0051】
図7A、
図8Aは、着脱爪125aの装着前の様子を示している。着脱爪125aの爪121aへの装着は、まず、着脱爪125aを作業スペース21上に固定し、固定された着脱爪125aの装着部126が、爪121aの装着穴127が挿通されるように右アーム120をY軸の負方向に移動することにより行う。
【0052】
ここで、本実施形態においては、作業スペース21には、Z軸の正方向に突起した、固定部としての突起部21aがY軸方向に並んで2つ設けられている。一方、着脱爪125aには、Z軸に沿って貫通した孔125a2が2つ設けられている。2つの突起部21aが2つの孔125a2にそれぞれ嵌るように、着脱爪125aを作業スペース21上に配置することにより、着脱爪125aは作業スペース21上においてY軸方向(第1の方向)に関する移動が規制される。
【0053】
図7Bは、着脱爪125aの装着部126が、爪121aの装着穴127に挿通される途中の様子を示している。右アーム120をY軸の負方向に移動することで着脱爪125aの装着部126が爪121aの装着穴127に挿通される途中において、突出部126aが爪121aの先端面に到達すると、突出部126aは爪121aの先端面から押圧力を受け、装着部126内に押し込められる。さらに、右アーム120をY軸の負方向に移動する際、
図7Bに示すように、突出部126aは、装着穴127の内周面から押圧力を受け、装着部126内に押し込められた状態を維持する。
【0054】
図7C、
図8Bは、着脱爪125aの装着が完了した様子を示している。
図7Cに示すように、着脱爪125aの装着部126が、爪121aの装着穴127の奥まで挿通された状態において、突出部126aは溝127aに到達し、装着穴127の内周面から受ける押圧力が解除され、装着部126の側面から突出し、溝127aに嵌る。このように、突出部126aが溝127aに嵌ることにより、爪121aに対する着脱爪125aの装着が完了する。
【0055】
その後、
図8Cに示すように、着脱爪125aの孔125a2が、作業スペース21の突起部21aから外れるように、右アーム120をZ軸の正方向(第2の方向)に移動する。着脱爪125aの孔125a2が、作業スペース21の突起部21aから外れることにより、右アーム120を動作することで着脱爪125aを作業ブース20内の空中で動かすことが可能となる。着脱爪125aを爪121aに装着した状態で右アーム120を作業ブース20内の空中で動かしても、突出部126aが溝127aの内周面にひっかかるため、着脱爪125aが爪121aから離脱することはない。
【0056】
次に、
図7、
図9を参照して、着脱爪125aの取り外しについて説明する。まず、右アーム120を動作することで、
図9Aに示すように、着脱爪125aを作業スペース21の突起部21aの上方に位置させる。そして、
図9Bに示すように、着脱爪125aの孔125a2に作業スペース21の突起部21aに嵌るように、着脱爪125aをZ軸の負方向(第2の方向)に移動し、作業スペース21上に置く。この状態において、着脱爪125aは、Y軸方向(第1の方向)の移動が規制される。そして、
図9Cに示すように、右アーム120をY軸方向の正方向に移動する。この際、突出部126aは、溝127aの内周面から押圧力を受けて装着部126内に押し込められ、さらに装着穴127の内周面から押圧力を受け、装着部126内に押し込められた状態を維持する(
図7B参照)。さらに、右アーム120をY軸の正方向に移動することで、爪121aから着脱爪125aが取り外され、突出部126aは、装着穴127の内周面から受ける押圧力が解除され、装着部126の側面から突出した状態となる(
図7A参照)。
【0057】
なお、突出部126aは、装着する際において爪121aの先端面に完全に引っ掛かって装着できない状態になることを回避するように、また、取り外す際において溝127の内周面に完全に引っ掛かって取り外しできない状態になることを回避するように、突出方向に向けてなだらかに径が小さくなる半球状の先端を持つ円柱形状の部材とした。
【0058】
なお、爪121aに着脱爪125aを装着するための機構は、本実施形態で説明したものに限られるものではない。例えば、着脱爪125aが装着穴を有し、爪121aが装着穴に挿通される装着部を有する構成でもよい。
【0059】
また、着脱爪125aを固定する固定部については、本実施形態で説明した突起部21aに限られるものではなく、着脱爪125aを第1の方向に関し固定し、第1の方向と直交する第2の方向に移動可能とするものであればよい。例えば、着脱爪125aがZ軸方向に沿って延びる突起部を有し、作業スペース21にその突起部が嵌る固定部としての穴が設けられてもよい。また、固定部は、作業スペース21に設けられるものに限られるものではなく、作業ブース20内の他のスペースに設けられていてもよいし、固定部が設けられた別部材としてのトレイなどを作業スペース21に別途取り付けるような構成であってもよい。
【0060】
次に、
図1、
図10を参照して、本実施形態のディスペンサについて説明する。ディスペンサ400は、薬液を収容する本体410と、本体410に取り付けられ、外部操作に応じて本体410に収容される薬液を計量吐出するノズル組立体420と、ノズル組立体420に取り付けられ、外部操作を受け付ける円板形状の操作受付部430と、本体410に固定される枠体440とを有する。
【0061】
ノズル組立体420の上部に取りつけられる操作受付部430は上下移動可能に構成され、下方向に移動されることにより、本体410に収容される薬液が計量吐出される構成となっている。ノズル組立体420は、Y軸の正方向に延びるノズル本体421と、Z軸の負方向に延びるノズル先端部422とを有する。このノズル先端部422から薬液が吐出される。
【0062】
本実施形態においては、ロボット10が、右アーム120の動作により、操作受付部430を操作する。操作受付部430は、円板形状であるためいずれの方向からも爪121により把持可能である。
【0063】
さらに、ディスペンサ400により複数のバイアル100内へ薬液を順に充填していく動作について説明する。ロボット10が左アーム130により複数のバイアル100が載置された作業トレイ300を把持し、バイアル100の開口が、ディスペンサ400のノズル先端部422の直下に位置するように、作業トレイ300を移動する。そして、ロボット10が右アーム120の爪121によりディスペンサ400の操作受付部430を把持し操作することにより、本体410に収容される薬液を計量吐出し、バイアル100内に薬液を充填する。なお、
図10においては、ロボット10のアーム120、130についての図示は省略する。
【0064】
さらに、ロボット10の左アーム130が、薬液が充填されていないバイアル100の開口がディスペンサ400のノズル先端部422の直下に位置するように、作業トレイ300を移動する。そして、右アーム120により操作受付部430を操作し、バイアル100内に薬液を充填する。以上の動作を、作業トレイ300に載置されるバイアル100全てに対して順に行う。なお、隣り合うバイアル100に対して順に薬液を充填するよう、左アーム130により作業トレイ300を移動させることにより、複数のバイアル100に対して効率よく短時間で薬液の充填を行うことができる。
【0065】
なお、本実施形態においては、ディスペンサ400は、作業開始前においては、収容ブース30に収容されている。ロボット10が、爪121及び爪131により枠体440を把持して搬送することにより作業スペース21に設置される。
【0066】
図1、
図11を参照して、本実施形態のかしめ装置について説明する。かしめ装置500は、締め付け部510と、締め付け部510を動作させるレバー520を有する。締め付け部510は、バイアル100の開口を塞ぐように装着されたアルミキャップ160をバイアル100に対して締め付け固定する。
【0067】
かしめ装置500により、複数のバイアル100に対してアルミキャップ160を順にかしめる動作について説明する。ロボット10が左アーム130によりアルミキャップ160が装着されたバイアル100が複数載置された作業トレイ300を把持し、アルミキャップ160がかしめ装置500の締め付け部510の直下に位置するように、作業トレイ300を移動する。そして、ロボット10が右アーム120によりかしめ装置500のレバー520を操作することにより、アルミキャップ160をバイアル100に対して締め付け固定する。
【0068】
さらに、ロボット10の左アーム130が、アルミキャップ160の締め付けが行われていないバイアル100が、かしめ装置500の締め付け部510の直下に位置するように、作業トレイ300を移動する。そして、右アーム120により、レバー520を操作し、アルミキャップ160をバイアル100に対して締め付ける。以上の動作を、作業トレイ300に載置されるバイアル100全てに対して順に行う。なお、隣り合うバイアル100に対して順に締め付けを行うように作業トレイ300を左アーム130により移動させることにより、複数のバイアル100に対して効率よく短時間でアルミキャップ160のバイアル100に対する締め付けを行うことができる。
【0069】
次に、
図12〜
図19を参照して、本実施形態における薬液が充填されたバイアルを複数得る作業の一例を具体的に説明する。本実施形態においては、作業対象として、バイアル100、ゴム栓150、及びアルミキャップ160を用いる。また、作業器具として、準備トレイ200、作業トレイ300、ディスペンサ400、かしめ装置500、ゴム栓トレイ(不図示)、アルミキャップトレイ(不図示)及び着脱爪125a、125bを用いる。
【0070】
ロボット10により自動で行われる作業に先立ち、まず、人の手又は他の設備等によって、作業対象、作業器具の準備を行う。具体的には、収容ブース30内に、複数のバイアル100が載置された準備トレイ200、空の作業トレイ300、薬液が収容されたディスペンサ400、かしめ装置500、複数のゴム栓150が載置されたゴム栓トレイ、複数のアルミキャップ160が載置されたアルミキャップトレイ、及び着脱爪125a、125bを収容する。なお、バイアル100は、開口が鉛直方向の下方(Z軸の負方向)を向いて、載置板210の挿通孔212及び保持板220の挿通孔222に挿通されて、保持板220に保持された状態で、準備トレイ200に複数載置されている(
図4Aに図示する準備トレイ200及びバイアル100を参照)。
【0071】
次に、収容ブース30に収容される作業対象と作業器具に対して、滅菌処理を施す。なお、全ての作業対象と作業器具に対して滅菌処理を施してもよいし、収容される作業器具及び作業対象の用途、種類によっては、滅菌処理を施さないものがあってもよい。
【0072】
図12は、本実施形態のロボットの制御を説明するフローチャートである。上述した作業開始前における作業対象、作業器具の準備、及び滅菌処理が終了した後、ロボット10が各作業器具を用いてバイアル100に対して作業を行うように、作業制御部44がロボット10を制御する。
【0073】
ステップS1にて、収容ブース30に収容される作業対象、作業器具を作業スペース21に搬送するように、搬送制御部45がロボット10を制御する。具体的には、ロボット10が以下のような動作を行う。まず、ロボット10がアーム120、130を用いて収容ブース30と作業ブース20とを遮断する開閉扉(不図示)を開ける。そして、ロボット10が、収容ブース30に収容される各作業対象、作業器具を、アーム120、130の爪121、131により把持し、作業スペース21へと搬送する。各作業対象、作業器具の作業スペース21への搬送が完了すると、収容ブース30と作業ブース20とを遮断するように、ロボット10が開閉扉を閉める。なお、着脱爪125aに関しては、作業スペース21に形成される突起部21aに着脱爪125aの孔125a2が嵌るように、作業スペース21に配置される。着脱爪125bに関しても同様である。
【0074】
ステップS2にて、ロボット10が準備トレイ200から作業トレイ300へ、複数のバイアル100をまとめて移し替えるように、移し替え制御部46がロボット10を制御する。ここで、
図4、
図5、
図13を参照して、このステップについての詳細を説明する。
図13は、移し替え制御部による移し替え制御の詳細を説明するフローチャートである。
【0075】
ステップS21にて、ロボット10が、右アーム120の爪121で準備トレイ200の被把持部230を把持して持ち上げ、左アーム130の爪131で作業トレイ300の被把持部330を把持して持ち上げる。
【0076】
ステップS22にて、準備トレイ200に対して作業トレイ300を重ねる。具体的には、複数のバイアル100の底部が、作業トレイ300の載置板310の穴312にそれぞれ嵌るように、準備トレイ200に対して作業トレイ300を重ねる(
図4B参照)。なお、
図4Bに示すように、ここでの重ねるという意味は、準備トレイ200と作業トレイ300を物理的に接触させることを意味するものではなく、互いに対向するように配置することを意味する。
【0077】
ステップS23にて、重ねた準備トレイ200と作業トレイ300の上下を反転させるように、移し替え制御部46が右アーム120と左アーム130を制御する(
図5A参照)。このステップにより、バイアル100の開口は鉛直方向の上方(Z軸の正方向)に向いた状態で作業トレイ300に載置される。
【0078】
ステップS24にて、準備トレイ200を作業トレイ300から離れる方向へと移動させるように、移し替え制御部46が右アーム120を制御する(
図5B参照)。以上のようなステップにより、準備トレイ200から作業トレイ300へ複数のバイアル100を移し替える移し替え制御が終了する。
【0079】
図14は、移し替え制御部による移し替え制御の変形例を説明する図である。本変形例においても、まず、右アーム120の爪121aで準備トレイ200の被把持部230を把持して持ち上げ、左アーム130の爪131aで作業トレイ300の被把持部330を把持して持ち上げる。
【0080】
載置板210の挿通孔212、保持板220の挿通孔222は、バイアル100に対してクリアランスを持った大きさで形成されているため、準備トレイ200を水平にした状態でバイアル100をそれら挿通孔に挿通すると、バイアル100のそれら挿通孔に対する位置が各バイアルで疎らになってしまう。そこで、準備トレイ200に対して作業トレイ300を重ねる際、
図14に示すように、準備トレイ200が水平方向(X軸方向)に対して傾斜した状態となるように、移し替え制御部46が右アーム120を制御する。準備トレイ200が水平方向に対して傾斜した状態となることにより、複数のバイアル100の全ては、挿通孔212の内周面と最大幅Cの隙間(
図14参照)を有するように一方に偏った状態で、準備トレイ200に載置されることとなる。
【0081】
その状態で、準備トレイ200に対して作業トレイ300を重ねるように、移し替え制御部46が左アーム130を制御する。準備トレイ200に載置される複数のバイアル100の位置が整理されているため、バイアル100の底部に作業トレイ300の穴312を嵌めることが容易となり、準備トレイ200と作業トレイ300を反転させる際に、バイアル100が作業トレイ300から離脱して落下してしまう等の作業エラーが生じにくくなる。
【0082】
さらに
図12に戻って説明を続ける。ステップS3にて、ディスペンサ400に収容される薬液をバイアル100内に充填するように、ディスペンサ制御部47がロボット10を制御する。
図10、
図15を参照して、このステップの詳細を説明する。
図15は、ディスペンサ制御部による薬液充填制御の詳細を説明するフローチャートである。
【0083】
ステップS31にて、作業トレイ300に載置されるバイアル100の一つがディスペンサ400のノズル先端部422の直下に配置されるようにアーム130を移動する(
図10参照)。
【0084】
ステップS32にて、右アーム120でディスペンサ400のノズル組立体420を操作し、バイアル100内に薬液を充填する。具体的には、右アーム120の爪121でディスペンサ400の操作受付部430を把持し、操作受付部430をZ軸の負方向に移動することにより、ディスペンサ400に収容される薬液をノズル先端部422から計量吐出させ、バイアル100の開口からバイアル100内に薬液を充填する。
【0085】
作業トレイ300に載置されるバイアル100の全てに薬液の充填が完了していない場合(S33のNO)、ステップS31にて、薬液が充填されていないバイアル100の開口がノズル先端部422の直下に配置されるように左アーム130が作業トレイ300を移動する。そして、S32にて、右アーム120でディスペンサ400を操作し、バイアル100内に薬液を充填する。
【0086】
作業トレイ300に載置されるバイアル100の全てに薬液の充填が完了した場合(S33のYES)、ディスペンサ制御部47によるバイアル100内に薬液を充填する薬液充填制御を終了する。
【0087】
図16は、本実施形態の変形例に係るディスペンサによるバイアル内への薬液の充填について説明する図であって、複数のバイアルが載置される作業トレイとディスペンサを上方から見た図である。本変形例に係るディスペンサ400は、Y軸の正方向に延びるノズル本体421と、ノズル本体421に対して屈曲してX軸の正方向に延びるノズル先端部425を有する。なお、ノズル先端部425は、ノズル本体421と一体に構成されるものであってもよいし、
図10で示したノズル先端部422に対して着脱可能に設けられる構成であってもよい。
【0088】
図16に示すように、ノズル先端部425がノズル本体421に対して屈曲して設けられるため、作業トレイ300をY軸方向に沿って移動することにより、Y軸方向に沿って配置される複数のバイアル100に対して順に薬液を充填する場合、ノズル本体421がバイアル100の開口の直上を通過しない。そのため、バイアル100内の汚染を抑制することができる。
【0089】
具体的には、まず、Y軸方向に沿って、ある列に配置されるバイアル100に対して順に薬液を充填し、その後、作業トレイ300をY軸の正方向に移動することで、一旦作業トレイ300をノズル本体421の直下から回避する。そして、作業トレイ300をX軸方向に移動し、前に薬液が順に充填された列とは異なる列に配置されるバイアル100に対して順に薬液を充填するように、Y軸に沿って作業トレイ300を移動させる。このような動作を繰り返し行うことにより、いずれのバイアル100の開口の直上にもノズル本体421を通過させることなく、作業トレイ300に載置される全てのバイアル100内に薬液を充填することができる。
【0090】
さらに
図12に戻って説明を続ける。S4にて、右アーム120の爪121a、121bに着脱爪125a、125bをそれぞれ装着するように、着脱制御部48が右アーム120を制御する。
図7、
図8、
図17を参照して、このステップの詳細を説明する。
図17は、着脱制御部による装着制御の詳細を説明するフローチャートである。上述したように、着脱爪125aは、作業スペース21の突起部21aが着脱爪125aの孔125a2に嵌るように、作業スペース21に配置されている。
【0091】
S41にて、爪121の装着穴127に、着脱爪125aの装着部126が嵌るように右アーム120が移動する。具体的には、爪121の装着穴127に、着脱爪125aの装着部126が嵌るように、右アーム120をY軸の負方向に移動する(
図8A参照)。そして、装着部126の突出部126aが装着穴127の溝127aに嵌る位置まで、装着部126を装着穴127に挿通する(
図7C、
図8B参照)。
【0092】
ステップS42にて、突起部21aから着脱爪125aの孔125a2が外れるように右アーム120をZ軸の正方向に移動する(
図8C参照)。以上のようなステップにより、着脱爪125aを爪121aに装着する装着制御が終了する。
【0093】
なお、着脱爪125bの装着に関しては、着脱爪125aの装着制御と同様の制御を別途行ってもよいが、爪121aの装着穴127に着脱爪125aの装着部126を挿通する際に同時に、爪121bの装着穴に着脱爪125bの装着部が挿通されるように、着脱爪125bを作業スペース21に配置することで、着脱爪125aの装着と合わせて着脱爪125bを装着することができ、着脱爪の装着に要する時間を短縮できる。
【0094】
さらに
図12に戻って説明を続ける。S5にて、ゴム栓150及びアルミキャップ160を薬液が充填された複数のバイアル100のそれぞれに装着する。具体的には、まず、右アーム120の爪121に装着された着脱爪125a、125bにより、3つのゴム栓150をまとめて把持する(
図6参照)。そして、作業トレイ300に載置された3つのバイアル100の各開口の直上に、それら3つのゴム栓150が位置するように、右アーム120を移動する。そして、爪121aと121bを互いに離間するように移動することで、着脱爪125aと着脱爪125bを離間させ、ゴム栓150の把持を解除し、3つのゴム栓150が3つのバイアル100それぞれの開口を閉じるようにバイアル100に装着される。さらに、着脱爪125a、着脱爪125bにより、ゴム栓150をバイアル100に対して押し込むことにより、ゴム栓150をバイアル100の開口に圧入する。
【0095】
同様に、アルミキャップに関しても、右アーム120の爪121a、121bに装着された着脱爪125a、125bにより、3つまとめて把持する。そして、ゴム栓150が圧入された複数のバイアル100にそれぞれ装着されるように、右アーム120を移動する。
【0096】
さらに
図12に戻って説明を続ける。S6にて、かしめ装置500を用いてアルミキャップ160をバイアル100に対してかしめるように、かしめ制御部49がロボット10を制御する。
図11、
図18を参照して、このステップの詳細を説明する。
図18は、かしめ制御部によるかしめ制御の詳細について説明するフローチャートである。
【0097】
S61にて、作業トレイ300に載置されてアルミキャップ160が装着されたバイアル100の一つがかしめ装置500の締め付け部510の直下に配置されるように、作業トレイ300を把持する左アーム130を移動する(
図11参照)。
【0098】
S62にて、右アーム120でかしめ装置500のレバー520を操作し、アルミキャップ160をバイアル100に対してかしめる。具体的には、右アーム120でレバー520を押すことにより、アルミキャップをバイアル100に対して締め付けるように締め付け部510を動作させる。
【0099】
作業トレイ300に載置されるバイアル100の全てにアルミキャップ160のかしめ作業が完了していない場合(S63のNO)、ステップS61にて、アルミキャップ160がかしめられていないバイアル100が締め付け部510の直下に配置されるように左アーム130を移動する。そして、S62にて、右アーム120でレバー520を操作し、アルミキャップ160をバイアル100に対してかしめる。
【0100】
作業トレイ300に載置されるバイアル100の全てにアルミキャップ160のかしめ作業が完了した場合(S63のYES)、かしめ制御部49によるかしめ制御が終了する。なお、複数のバイアル100に対するかしめ作業の効率化を図るため、まず、Y軸方向に沿って配置される3つのバイアル100に対して順にアルミキャップをかしめて、さらに他の列の3つのバイアル100に対して順にアルミキャップをかしめるという動作を繰り返すとよい。
【0101】
さらに
図12に戻って説明を続ける。S7にて、右アーム120の爪121a、121bから着脱爪125a、125bをそれぞれ取り外すように、着脱制御部48が右アーム120を移動する。
図9、
図19を参照して、このステップの詳細を説明する。
図19は、着脱制御部による取り外し制御の詳細について説明するフローチャートである。
【0102】
S71にて、着脱爪125aの孔125a2が作業スペース21の突起部21aに嵌まるように、右アーム120をZ軸の負方向に移動する(
図9A、
図9B参照)。S72にて、着脱爪125aの装着部126を爪121aの装着穴127から引く抜くように、右アーム120をY軸の正方向に移動する(
図9C参照)。以上のようなステップにより、着脱爪125aを爪121aから取り外す取り外し制御が終了する。
【0103】
さらに、
図12のステップS8にて、作業スペース21に配置される作業対象、作業器具を収容ブース30へ搬送するように、搬送制御部45がロボット10を制御する。以上説明したような各制御を行うことにより本実施形態における薬液が充填されたバイアル100を複数得る作業が終了する。
【0104】
本実施形態に係る薬液充填システム1は、複数のアームを用いてバイアル100に対して作業を行うため、作業効率がよく、少量多品種の生産に向いている。特に、一のアームにより作業対象としての複数のバイアル100を載置する作業トレイ300の被把持部330を把持して空中で移動し、他のアームにより作業器具の操作を行うことができるため、効率よく作業を自動で行うことができる。さらに、複数のバイアル100に対してまとめて各作業を行う構成を採用するため、複数のバイアル100の一つ一つを順にアームにより把持して作業を行う場合と比較して、作業効率が向上し、作業時間を大幅に短縮することができる。具体的には、移し替え制御部46により、準備トレイ200に載置された複数のバイアル100をまとめて作業トレイ300に移し替える移し替え制御を含むため、作業時間を短縮できる。また、ディスペンサ制御部47により、複数のバイアル100を作業トレイ300に載置したまま、薬液を順に充填する薬液充填制御を含むため、作業時間を短縮できる。また、かしめ制御部49により、複数のバイアル100を作業トレイ300に載置したまま、複数のバイアル100に順にアルミキャップ160をかしめるかしめ制御を含むため、作業時間を短縮できる。さらに、着脱爪125a、125bが複数のゴム栓150、アルミキャップ160をまとめて把持して、まとめて複数のバイアル100に装着する構成を採用するため、作業時間を短縮できる。
【0105】
なお、本発明においては、使用する作業対象、作業器具は本実施形態で説明したものに限られるものではなく、作業の内容に応じて種々の作業対象、作業器具を用いることができる。例えば、本実施形態においては、容器の一例としてバイアル100について説明したが、これに限られるものではなく、液体が充填され、作業の結果得られる成果物の原料やその一部となるものであれば他の容器であってもよい。また、容器に対する薬液の計量吐出については、シリンジ、ピペット等を用いて行ってもよい。また、本発明のトレイは、本実施形態で説明した準備トレイ200、作業トレイ300に限定されるものではなく、複数の容器を載置し、アームの爪により把持されて持ち上げて空中で移動される被把持部が設けられるトレイであればよい。
【0106】
なお、ロボット10による作業は、収容ブース30内に準備した全ての作業器具を用いて行う必要はなく、作業対象又は作業の内容に依存した作業器具を用いて行えばよい。そのため、予め多種の作業器具を収容ブース30にストックしておくことで、様々な作業に対応することができる。なお、本実施形態においては、ディスペンサ400、かしめ装置500等の作業器具について、収容ブース30と作業ブース20間で搬送可能なものについて説明したが、作業ブース20の作業スペース21に固定されるものを用いてもよい。
【0107】
なお、本発明の適用範囲は、本実施形態で説明する生命工学や医薬品化学の分野に限られるものではなく、ロボットにより作業を自動で行わせるものであれば、他の分野に用いられるロボットシステムであってもよい。