(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のメモリデバイスであり、前記ゲートは、前記多層電荷蓄積層を覆う阻止誘電体と、前記阻止誘電体の層を覆う金属ゲート層とを更に備える、メモリデバイス。
請求項1に記載のメモリデバイスであり、前記第2の酸窒化物層は、前記第2の酸窒化物層内のトラップ数を増加させるように選択された濃度の炭素を更に含む、メモリデバイス。
請求項15に記載のメモリデバイスであり、前記多層電荷蓄積層は、前記第1の酸窒化物層を前記第2の酸窒化物層から分離する酸化物反トンネル層を更に備える、メモリデバイス。
請求項17に記載のメモリデバイスであり、前記多層電荷蓄積層は前記第1の酸窒化物層を前記第2の酸窒化物層から分離する酸化物反トンネル層を更に備える、メモリデバイス。
請求項14に記載のメモリデバイスであり、前記第2の酸窒化物層は前記第2の酸窒化物層内のトラップ数を増加させるように選択された濃度の炭素を更に含む、メモリデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、一般に多層電荷蓄積層を含むシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコンゲート構造を備えるデバイス及びその製造方法を対象とする。このゲート構造及び製造方法はメモリトランジスタ等のメモリデバイスのメモリ層を形成するのに特に有用である。
【0013】
以下の記載において、本開示の十分な理解をもたらすために、説明の目的で、多くの特定の細部について述べる。しかしながら、本発明の構造及び方法はこれらの特定の細部の記載がなくても実施できることは当業者に明らかである。更に、本開示の理解を不必要に不明瞭にしないように、周知の構造及び技術は詳細に示さないでブロック線図の形で示している。
【0014】
本明細書において、「一つの実施形態」又は「一実施形態」とは、実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。したがって本明細書の様々な箇所で「一実施形態」と呼ぶものは、必ずしもすべて同じ実施形態を指すものではない。更に本明細書で使用される「結合する」とは、一つ以上の介在要素によって直接接続すること及び間接的に接続することの両方を意味する。
【0015】
簡単に説明すると、本方法は、異なる濃度の酸素、窒素及び/又はシリコンを有するシリコン酸窒化物(Si
2N
2O)等の多層酸窒化物層を含む多層電荷蓄積層を形成するステップを含む。これらの酸窒化物層は、従来のONO構造内の窒化物又は酸窒化物より高い温度で形成され、各層は異なるプロセスガス混合物及び/又は異なる流量を用いて形成される。一般に、これらの酸酸化物層は少なくとも上部酸窒化物層及び底部酸窒化物層を含む。特定の実施形態においては、これらの層の化学量論的組成は、下部又は底部酸窒化物層が高い酸素及びシリコン含量を有するように且つ上部酸窒化物層が高いシリコン及び高い窒素濃度及び低い酸素濃度を有し酸素リーン、シリコンリッチ窒化物又は酸窒化物を生成するように調整又は選択される。シリコンリッチ及び酸素リッチな底部酸窒化物層は、デバイス速度又は初期(寿命初期)のプログラミング電圧と消去電圧の差を低下することなく蓄積電荷の損失を低減する。シリコンリッチ、酸素リーンな上部酸窒化物層はメモリデバイスのプログラミング電圧と消去電圧の差を増大し、それによりデバイス速度を向上し、デバイス保持性能を増大し、デバイスの動作寿命を延長する。いくつかの実施形態においては、シリコンリッチ、酸素リーンな上部酸窒化物層は層内のトラップ数を増大するように選択された濃度の炭素を更に含むことができる。
【0016】
オプションとして、ドライ又はウェット酸化によるシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコンゲート構造のトンネル又は第1の酸化物層の形成後におけるその第1の酸化物層上への酸窒化物層の形成を容易にするために、上部酸窒化物層と底部酸窒化物層の厚さの比を選択することができる。
【0017】
本発明の種々の実施形態によるシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造及びその製造方法について
図2−4を参照して以下に詳細に説明する。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態による、多層電荷蓄積層を含むシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコンゲート構造を有する半導体メモリデバイス200の一部分の断面を示すブロック線図である。
図2を参照するに、メモリデバイス200は、基板又はシリコン基板208上のシリコン層の表面206上に形成された、多層電荷蓄積層204を含むシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコンゲート積層体202を備える。更に、デバイス200は、ゲート積層体202にアライメントされ且つゲートチャネル領域212で分離されたソース及びドレイン領域又は構造等の1つ以上の拡散領域210を含む。一般に、シリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコンゲート構造202は、多層電荷蓄積層204上に形成され該層と接触するシリコン含有ゲート層、例えばポリシリコン又はポリゲート層214及びシリコン層又は基板208の一部分を含む。ポリゲート層214は多層電荷蓄積層204によってシリコン層又は基板208から分離され、電気的に絶縁される。シリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造は、ゲート積層体202をチャネル領域212から分離又は電気的に絶縁する薄い下部酸化物層又はトンネル酸化物層216、上部又は阻止酸化物層218及び多層電荷蓄積層204を含む。上述され、
図2に示されるように、多層電荷蓄積層204は上部酸窒化物層220A及び底部酸窒化物層220Bなどの少なくとも2つの酸窒化物層を含む。
【0019】
基板208は、シリコン、シリコン−ゲルマニウム、シリコン・オン・インシュレータ又はシステム・オン・サファイヤ基板等の既知のシリコンベース半導体材料を含むことができる。代わりに、基板208は砒化ガリウム、ゲルマニウム、窒化ガリウム又は燐化アルミニウム等の非シリコンベースの半導体材料上に形成されたシリコン層を含むことができる。特定の実施形態においては、基板208はドープ又はアンドープシリコン基板とする。
【0020】
シリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造の下部酸化物層又はトンネル酸化物層216は一般的には約15Å(オングストローム)〜約22Å、いくつかの実施形態においては約18Åの二酸化シリコン(SiO
2)の比較的薄い層を含む。トンネル酸化物層216は任意の適切な手段によって形成又は堆積することができ、例えば熱的に成長させる、又は化学気相成長(CVD)を用いて堆積することができる。一般に、トンネル酸化物層は酸素雰囲気中で熱酸化を用いて形成または成長される。一実施形態においては、そのプロセスはドライ酸化法を使用し、この方法では基板208を堆積又は処理チャンバ内に置き、約700℃〜約850℃の温度に加熱し、完成トンネル酸化物層216の所望の厚さに基づいて選択される所定の期間に亘って酸素に暴露する。別の実施形態においては、トンネル酸化物層は、ISSG(In-Situ Stream Generation)チャンバ内において、少なくとも1000℃の温度で酸素(O
2)と水素(H
2)の反応を用いてラジカル酸化により基板上に成長される。模範的な処理時間は約10〜100分である。酸化は大気圧又は低圧力で実行できる。
【0021】
上述したように、多層電荷蓄積層は一般にシリコン、酸素及び窒素の異なる組成を有する少なくとも2つの酸窒化物層を含み、約70Å〜150Å(特定の実施形態では100Å)の総合厚さを有することができる。一実施形態においては、酸窒化物層は、シラン(SiH
4)、クロロシラン(SiH
3Cl)、ジクロロシラン又はDCS(SiH
2Cl
2)、テトラクロロシラン(SiCl
4)又はビスターシャルブチル アミンシラン(BTBAS)等のシリコン源、窒素(N
2)、アンモニア(NH
3)、三酸化窒素(NO
3)又は亜酸化窒素(N
2O)等の窒素源、及び酸素(O
2)又はN
2Oなどの酸素含有ガスを用いて低圧CVDプロセスで形成又は堆積される。代わりに、水素が重水素で置換されたガスを使用することもでき、例えばNH
3の代りに重水素化されたアンモニア(ND
3)を使用することができる。水素を重水素と置換すると、シリコン−酸化物界面におけるSiダングリングボンドが不活性化され、よってデバイスのNBTI(Negative Bias Temperature Instability)寿命が増大する。
【0022】
例えば、下部又は底部酸窒化物層220Bは、基板208を堆積チャンバ内に置き、約2.5分〜約20分の期間に亘ってチャンバを約5ミリトル(mT)〜約500mTの圧力に維持するとともに、基板を約700℃〜約850℃(特定の実施形態においては少なくとも約760℃)の温度に維持しながら、N
2O,NH
3及びDCSを含むプロセスガスを導入することによって、トンネル酸化物層216の上に堆積することができる。特に、プロセスガスは、約8:1〜1:8の比で混合されたN
20及びNH
3の第1のガス混合物及び約7:1〜1:7の比で混合されたDCS及びNH
3の第2のガス混合物を含むことができ、約5〜200立方センチメートル毎分(sccm)の流量で導入することができる。これらの条件で生成又は堆積された酸窒化物層はシリコンリッチ、酸素リッチな底部酸窒化物層220Bをもたらすことが確かめられ、この底部酸窒化物層はプログラミング後及び消去後の電荷損失レートを減少し、保持状態における電圧シフトを小さくする。
【0023】
上部酸窒化物層220Aは、N
2O,NH
3及びDCSを含むプロセスガスを使用し、約5mT〜約500mTのチャンバ圧力及び約700℃〜約850℃(特定の実施形態においては少なくとも約760℃)の温度で、約2.5分〜約20分の期間に亘るCVDプロセスによって底部酸窒化物層220B上に堆積することができる。特に、プロセスガスは、約8:1〜1:8の比で混合されたN
20及びNH
3の第1のガス混合物及び約7:1〜1:7の比で混合されたDCS及びNH
3の第2のガス混合物を含むことができ、約5〜20sccmの流量で導入することができる。これらの条件で生成又は堆積された酸窒化物層はシリコンリッチ、窒素リッチ及び酸素リーンな上部酸窒化物層220Aをもたらすことが確かめられ、この上部酸窒化物層は、シリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造を用いて製造されるメモリの電荷損失レートに妥協することなく、速度の向上及びプログラミング電圧及び消去電圧の初期差の増大をもたらし、よってデバイスの動作寿命の延長をもたらす。
【0024】
いくつかの実施形態においては、シリコンリッチ、窒素リッチ及び酸素リーンな上部酸窒化物層220Aは、層内のトラップ数を増大するように選択された濃度の炭素を含有させるために、約7:1〜1:7の比で混合されたBTBAS及びアンモニア(NH
3)を含むプロセスガスを用いてCVDで底部酸窒化物層220B上に堆積させることができる。第2の酸窒化物層内の選択された濃度の炭素は約5%〜約15%の炭素濃度を含むことができる。
【0025】
特定の実施形態においては、上部窒化物層220Aは底部酸窒化物層20Bの形成に使用した同じツール内において、実質的に堆積チャンバの真空を破ることなく連続的に堆積される。特定の実施形態においては、上部酸窒化物層220Aは、下部酸窒化物層220Bの堆積中に加熱される基板208の温度を殆ど変更することなく連続的に堆積される。一実施形態においては、上部酸窒化物層220Aは、シリコンリッチ、窒素リッチ及び酸素リーンな上部酸窒化物220Aが生成されるように、DCS/NH
3ガス混合物に対してN
20/NH
3ガス混合物の流量を減少させて所望の比のガス混合物を供給することによって、底部酸窒化物層220Aの堆積の直後に連続的に堆積される。
【0026】
所定の実施形態においては、ゲート積層体202の形成後に、別の酸化物又は酸化物層(これらの図には示されていない)が基板208上の異なる領域又はデバイス内に蒸気酸化によって形成される。この実施形態においては、シリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造の上部酸窒化物層220A及び上部又は阻止酸化物層218は蒸気酸化処理中に蒸気アニールするのが有益である。特に、蒸気アニールは阻止酸化物層218の品質を改善し、阻止酸化物層218の上面の近く及び底部酸窒化物層220Aの上面の近くに形成されるトラップの数を低減する結果、さもなければ発生し得る阻止酸化物層を横切る電界(電荷キャリアの逆流を生じ、電荷蓄積層のデータ又は電荷保持性能に悪影響を与える)を低減もしくはほぼ除去することができる。
【0027】
底部酸窒化物層220Bの適切な厚さは、約10Å〜約80Åであり、底部酸窒化物層及び上部酸窒化物層の厚さの比は約1:6〜6:1であり、特定の実施形態においては少なくとも約1:4であることが確かめられた。
【0028】
シリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造の上部又は阻止酸化物層218は、約30Å〜約70Å、特定の実施形態においては約45Åの比較的厚いSiO
2層を含む。上部又は阻止酸化物層218は、任意の適切な手段、例えば熱成長又はCVDを用いて成長又は堆積することができる。一実施形態においては、上部又は阻止酸化物層218はCVDプロセスを用いて堆積された高温酸化物(HTO)である。一般に、この堆積プロセスは、堆積チャンバ内において、基板208を約650℃〜約850℃の温度に維持しながら、約50mT〜約1000mTの圧力で、約10分〜約120分の期間に亘って、シラン、クロロシラン又はジクロロシラン等のシリコン源及びO
2又はN
2O等の酸素含有ガスに暴露するステップを含む。
【0029】
特定の実施形態においては、上部又は阻止酸化物層218は酸窒化物層220A,220Bの形成に使用した同じツール内で連続的に堆積される。特定の実施形態においては、酸窒化物層220A,220B及び上部又は阻止酸化物層218は、トンネル酸化物層216の成長に使用した同じツール内で形成又は堆積される。適切なツールは、例えばカリフォルニア州スコッツバレーのAVIZAテクノロジー社から入手し得るONO、AVPである。
【0030】
一実施形態によるシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン積層体を形成又は製造する方法を
図3の流れ図を参照して以下に説明する。
【0031】
図3を参照するに、本方法は、シリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコンゲート積層体202のトンネル酸化物層216のような第1の酸化物層を基板208の表面上のシリコン含有層の上に形成することから始まる(300)。次に、酸窒化物を含む多層電荷蓄積層204の第1又は底部酸窒化物層220Bが第1の酸化物層の表面上に形成される(302)。上述したように、この第1又は底部酸窒化物層220Bは、シリコンリッチ及び酸素リッチな酸窒化物層が得られるように調整された比及び流量でN
2O/NH
3及びDCS/NH
3ガス混合物を含むプロセスガスを用いてCVDによって形成又は堆積することができる。次に、多層電荷蓄積層204の第2又は上部酸窒化物層220Aが第1又は底部酸窒化物層220Bの表面上に形成される(304)。第2又は上部酸窒化物層220Aは第1又は底部酸窒化物層220Bと異なる酸素、窒素及び/又はシリコンの化学量論的組成を有する。特に、上述したように、第2又は上部酸窒化物層220Aは、シリコンリッチ、酸素リーンな酸窒化物層が得られるように調整された比及び流量でDCS/NH
3及びN
2O/NH
3ガス混合物を含むプロセスガスを用いてCVDによって形成又は堆積することができる。最後に、シリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造の上部又は阻止酸化物層218が多層電荷蓄積層の第2の層の表面上に形成される(306)。上述したように、この上部又は阻止酸化物層218は任意の適切な手段によって形成又は堆積できるが、いくつかの実施形態においてはCVDプロセスで堆積される。一実施形態においては、上部又は阻止酸化物層218はHTOCVDプロセスで堆積される高温酸化物である。代わりに、上部又は阻止酸化物層218は熱的に成長させることもできる。しかし、この実施形態においては、上部酸窒化物層220Aは、その酸窒化物の一部分が上部又は阻止酸化物層218の熱成長プロセス中に有効に消費又は酸化されるので、その厚さを調整もしくは増大することができる。
【0032】
オプションとして、本方法は、シリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン積層体又は構造を形成するために上部又は阻止酸化物層218の表面上にシリコン含有層を形成又は堆積するステップを更に含むことができる(308)。このシリコン含有層は、トランジスタ又はデバイス200の制御又はポリゲート層214を形成するために、例えばCVDプロセスにより堆積されたポリシリコン層とすることができる。
【0033】
ここで、
図4を参照して本発明の一つの実施形態に従って形成されたメモリ層を用いてなるメモリデバイスのデータ保持性能と従来のメモリ層を用いてなるメモリデバイスのデータ保持性能との比較を行う。特に、
図4は、従来のONO構造及び本発明の多層酸窒化物層を有するシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造を用いる電気的に消去可能でプログラム可能なリードオンリメモリ(EEPROM)内のメモリデバイスのデバイス寿命中のプログラミング時中のしきい値電圧(VTP)及び消去時のしきい値電圧(VTE)の変化を示す。この図のためのデータ収集において、両デバイスを85℃の周囲温度で100Kサイクルに亘り予め循環動作させた。
【0034】
図4を参照するに、グラフ又は線402は、初期書き込み(プログラム又は消去)後にメモリをリフレッシュしない単一の酸窒化物層を有する従来のONO構造を用いたEEPROMに対するVTPの経時変化を示す。線402上の実際のデータ点は白丸で示され、この線の残部はEEPROMの規定の寿命の終り(EOL)までのVTPの外挿値を示す。グラフ又は線404は、従来のONO構造を用いたEEPROMに対するVTEの経時変化を示す。線404上の実際のデータ点は黒丸で示され、この線の残部はEEPROMの規定のEOLまでのVTEの外挿値を示す。一般に、EOLにおけるEEPROMのVTE及びVTP間の規定の差は、プログラム状態と消去状態との差を識別又は検知可能にするために0.5V以上である。この図から明らかなように、従来のONO構造を用いたEEPROMは、20年の規定のEOLにおいて約0.35VのVTE及びVTP間の差を有する。従って、従来のONO構造を用いたEEPROMは、上記の条件の下で動作すると、少なくとも約17年で規定の操作寿命を満たさなくなる。
【0035】
これに対し、多層酸窒化物層を有するシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造を用いたEEPROMのVTP及びVTEの経時変化はそれぞれ線406及び408で示され、規定のEOLにおいて少なくとも約1.96VのVTE及びVTP間の差を示す。従って、本発明の一つの実施形態によるシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造を用いたEEPROMは20年の規定の動作寿命を満たし上回る。特に、グラフ又は線406は本開示の一つの実施形態によるシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造を用いたEEPROMのVTPの経時変化を示す。線406上の実際のデータ点は白四角で示され、この線の残部は規定のEOLまでのVTPの外挿値を示す。グラフ又は線408は、EEPROMに対するVTEの経時変化を示し、線408上の実際のデータ点は黒四角で示され、この線の残部はEOLまでのVTEの外挿値を示す。
【0036】
次に、別の実施形態による半導体デバイスの形成又は製造方法を
図5を参照して説明する。
【0037】
図5を参照するに、本方法は、トンネル酸化物層216を基板上に形成することから始まる(500)。次に、多層電荷蓄積層204の酸素リッチな第1又は底部酸窒化物層220Bがトンネル酸化物層216の表面上に形成される(502)。上述したように、この酸素リッチな第1又は底部酸窒化物層220Bは、約5:1〜15:1の範囲の比で混合されたジクロロシラン(SiH
2Cl
2)/アンモニア(NH
3)混合物及び約2:1〜4:1の範囲の比で混合された亜酸化窒素(N
2O)/NH
3混合物を含むプロセスガスをシリコンリッチ及び酸素リッチでほぼトラップのない酸窒化物層が得られるように調整された流量で用いて、CVDによって形成又は堆積することができる。即ち、第1又は底部酸窒化物層220Bの化学量論的組成は多層電荷蓄積層の保持性能を増大するように選択された高濃度の酸素を含み、第2又上部酸窒化物層220Aにトラップされる電荷と及び基板208との間の障壁として作用する。第1又は底部酸窒化物層220B内の選択された酸素濃度は約15%〜約40%の酸素濃度であり、特定の実施形態においては約35%である。
【0038】
次に、酸素リーンな第2又は上部酸窒化物層220Aが第1又は低部酸窒化物層220Bの表面上に形成される(504)。第2又は上部酸窒化物層220Aは第1酸窒化物層とは異なる酸素、窒素及び/又はシリコンの化学量論的組成を有する。特に、上述したように、第2又は上部酸窒化物層220Aは、約5%以下の酸素濃度を有するトラップ密度の高い酸窒化物層を得るために、約1:6〜1:8の範囲の比で混合されたN
2O/NH
3混合物及び約1.5:1〜3:1の範囲の比で混合されたSiH
2Cl
2/NH
3混合物を含むプロセスガスを用いて、CVDによって形成又は堆積することができる。こうして、第2又は上部酸窒化物層220Aは第1又は底部酸窒化物層220Bの1000倍以上の電荷トラップ密度を含むものとなる。
【0039】
最後に、上部又は阻止酸化物層218が多層電荷蓄積層204の第2又は上部酸窒化物層220A上に形成される。上述したように、この上部又は阻止酸化物層218は、第2又は上部酸窒化物層220Aの一部分の酸化によって第2又は上部酸窒化物層220Aの所定の厚さへの肉薄化が生じるように形成することができる。最後に、
図4につき述べたように、多層電荷蓄積層204の保持性能の向上によって、プログラム電圧(VTP)及び消去電圧(VTE)間の規定の差における半導体デバイスの寿命の終り(EOL)が20年以上に延長する。
【0040】
他の態様においては、本発明の多層電荷蓄積層はプログラムされた状態における電荷蓄積層内の蓄積電荷により発生される電界と反対方向の電界を発生するように設計されたバンドギャップエネルギーを有し、その結果プログラム電圧及び/又は消去電圧に影響を与えることなくデータ保持性能が向上する。シリコン基板602内のチャネル、トンネル酸化物層604、均質な窒化物又は酸窒化物電界蓄積層606、阻止酸化物層608及びポリシリコン制御ゲート610を含むプログラムされた従来のデバイスのエネルギーバンド図が
図6に示されている。
図6を参照するに、電荷蓄積層606の中心近くに位置するトラップされた多数の電荷はトンネル酸化物層604からトラップされた電荷に向かう大きな電界を発生し、この電界は蓄積電荷の損失を生じ得る点に注意されたい。
【0041】
これに対し、本開示の多層電荷蓄積層を含むメモリ装置においては、多層電荷蓄積層に生じるバンドギャップエネルギーは蓄積電荷により発生される電界と反対の内向き(電荷蓄積層からトンネル酸化物に向う方向)の電界を発生し、電荷保持性能を高める。多層電荷蓄積層706を含むプログラムされてないメモリデバイスが
図7Aに示されている。このデバイスは、シリコン基板702内のチャネル、トンネル酸化物層704、酸素リーンな酸窒化物層706A、酸素リッチな底部酸窒化物層706B、阻止酸化物層708及びポリシリコン制御ゲート710を含む。
図7Aを参照するに、酸素リーンな上部酸窒化物層706A内のトラップサイトは、プログラムされたデバイスにおいてトラップされた電荷により発生される電界と反対の方向の電界を発生する。プログラムされた状態において得られる多層電荷蓄積層706を含むデバイスのバンドギャップ図は
図7Aに示されている。
<実装及び代替手段>
【0042】
他の態様において、本開示は、基板の表面上に形成されるチャネルの2つ以上の面を覆う電荷トラップ領域を含む、マルチゲートの又はマルチゲート表面のメモリデバイスに向けられたものであり、また当該メモリデバイスを製造する方法に向けられたものである。マルチゲートデバイスは、平面状デバイスも非平面状デバイスも含む。(図示しない)平面状マルチゲートデバイスは一般に、多数の第1の層が堆積されて、後に形成されるチャネルの下に第1のゲートを形成し、多数の第2の層がその上に堆積されて、第2のゲートを形成する、ダブルゲート型平面状デバイスを含む。非平面状マルチゲートデバイスは一般に、基板の表面の上に形成される水平又は垂直チャネルを含み、3つ以上の面上でゲートによって取り囲まれる。
【0043】
図8Aは、電荷トラップ領域を含む非平面状マルチゲートメモリデバイスの一実施形態を示す。
図8Aを参照すると、一般にfinFETと呼ばれる、メモリデバイス800は、基板806の表面804上を覆う半導体材料の薄い膜または層から形成され、メモリデバイスのソース808とドレイン810とを接続する、チャネル802を含む。チャネル802は3つの面で、デバイスのゲート812を形成するフィンによって囲まれる。(ソースからドレインへの方向で測定される)ゲート812の厚さは、デバイスの有効チャネル長を決定する。
【0044】
本開示に従って、
図8Aの非平面型マルチゲートメモリデバイス800は、分離した電荷トラップ領域を含むことができる。
図8Bは、
図8Aの非平面状メモリデバイスの一部の断面図であり、基板806、チャネル802、及び多層電荷蓄積層814を示すゲート812の一部を含む。ゲート812は更に、隆起したチャネル802を覆うトンネル酸化物層816と、阻止誘電体818と、阻止層を覆いメモリデバイス800の制御ゲートを形成する金属ゲート層820とを含む。ある実施形態では、ドープされたポリシリコンを金属の代わりに堆積して、ポリシリコンのゲート層を設けることができる。チャネル802及びゲート812を、基板806上に直接形成することができ、又は、当該基板上に形成される、埋設された酸化物層等の、絶縁層若しくは誘電体層822上に直接形成することができる。
【0045】
図8Bを参照すると、多層電荷蓄積層814は、トンネル酸化物層816に更に近い窒化物を含む、少なくとも1層の、下部又は最下部電荷トラップ層824を含む。そして多層電荷蓄積層814は、当該下部電荷トラップ層を覆う、上部又は最上部電荷トラップ層826を含む。一般的に、上部電荷トラップ層826は、シリコンリッチ、酸素リーンな窒化物層を含み、多数の電荷トラップ層に区分される大部分の電荷トラップを含み、その一方で、最下部電荷トラップ層824は、酸素リッチな窒化物又はシリコン酸窒化物を含み、最上部電荷トラップ層に対して酸素リッチとして最下部電荷トラップ層824内の電荷トラップの数を低減させている。酸素リッチとは、最下部電荷トラップ層824中の酸素濃度を約15〜約40%とするのに対して、最上部電荷トラップ層826中の酸素濃度を約5%未満とすることを意味する。
【0046】
ある実施形態では、阻止誘電体818は、HTO等の酸化物も含み、ONNO構造を提供する。チャネル802及びチャネル802の上を覆うONNO構造を、シリコン基板806上に直接形成し、ドープされたポリシリコンゲート層820で覆い、SONNOS構造を提供することができる。
【0047】
例えば
図8Bに示されるような、ある実施形態では、多層電荷蓄積層814は、酸化物等の誘電体を含む、少なくとも1層の薄い中間層又は反トンネル層828を更に含み、最上部電荷トラップ826を最下部電荷トラップ層824から分離する。反トンネル層828は、プログラムしている間に上部窒化物層826の境界で蓄積する、トンネル層から最下部窒化物層824への電子電荷の確率を、実質的に低減し、
図1及び
図6に示される構造に対する漏れ電流よりも少ない漏れ電流をもたらす。
【0048】
上述した実施形態と同様に、最下部電荷トラップ層824及び最上部電荷トラップ層826のいずれか又は両方は、シリコン窒化物又はシリコン酸窒化物を含むことができ、例えばシリコンリッチ及び酸素リッチな酸窒化物層が得られるように比及び流量が調整されたN
2O/NH
3及びDCS/NH
3ガスの混合物を含むCVDプロセスによって、形成されることができる。多層電荷蓄積構造の第2の窒化物層はその後、中間酸化層上に形成される。最上部電荷トラップ層826は、最下部電荷トラップ層824と異なる酸素、窒素及び/又はシリコンの化学量論的組成を有し、シリコンリッチ及び酸素リーンな最上部窒化物層が得られるように比及び流量が調整されたDCS/NH
3及びN
2O/NH
3ガスの混合物を含むプロセスガスを用いるCVDプロセスによって形成又は堆積されることもできる。
【0049】
酸化物を含む中間又は反トンネル層828を含む実施形態において、ラジカル酸化を用いて、最下部酸窒化物を選んだ深さまで酸化させることによって反トンネル層を形成することができる。例えば、1000−1100℃の温度でシングルウェハーツールを用いて、又は800−900℃でバッチ反応器ツールを用いて、ラジカル酸化を行うことができる。水素及び酸素ガスの混合物を、300−500トルの圧力でバッチプロセスに対して、又は10−15トルでシングル蒸発ツールを用いて、1−2分間シングルウェハーツールを用いて、又は30分−1時間バッチプロセスを用いて、使用することができる。
【0050】
最後に、酸化物を含む阻止誘電体818を含む実施形態において、当該酸化物を適切な手段によって形成又は堆積することができる。ある実施形態では、阻止誘電体818の酸化物は、HTO CVDプロセスで堆積された高温酸化物である。あるいは、阻止誘電体818又は阻止酸化物層を熱的に成長させることができるが、この実施形態では、阻止酸化物層を熱的に成長させるプロセスの間、最上部窒化物のいくつかを有効に消費又は酸化するため、最上部窒化物の厚さを調整又は増加できることが理解されるであろう。第3の選択肢は、最上部窒化物を、ラジカル酸化を用いて選択された深さまで酸化させることである。
【0051】
最下部電荷トラップ層824の厚さを、約30Åから約80Åまで(ある許容される変動、たとえば±10Aで)適切に形成することができる。ラジカル酸化により最下部電荷トラップ層824の約5−20Åを消費して反トンネル層828を形成することができる。最上部電荷トラップ層826の適切な厚さを、少なくとも30Åとすることができる。ある実施形態では、最上部電荷トラップ層826の厚さを最大で130Åとすることができ、ラジカル酸化により最上部電荷トラップ層826の30−70Åを消費して阻止誘電体818を形成することができる。ある実施形態では、最下部電荷トラップ層824と最上部電荷トラップ層826との間の厚さの比を約1:1とすることができるが、他の比も可能である。
【0052】
他の実施形態では、最上部電荷トラップ層826及び阻止誘電体818のいずれか又は両方は、高誘電率誘電体を含むことができる。適切な高誘電率誘電体は、HfSiON、HfSiO又はHfO等の材料をベースにしたハフニウムと、ZrSiON、ZrSiO又はZrO等の材料をベースにしたジルコニウムと、Y
2O
3等の材料をベースにしたイットリウムとを含むことができる。
【0053】
図9A及び9Bに示される、他の実施形態では、メモリデバイスは、基板の表面を覆う半導体材料の薄膜から形成され、メモリデバイスのソースとドレインとを接続するナノワイヤチャネルを含むことができる。ナノワイヤチャネルとは、結晶シリコン材料の薄いストリップに形成される伝導チャネルという意味であり、当該伝導チャネルは約10ナノメートル(nm)以下の最大断面寸法を有し、より好ましくは6nm未満の最大断面寸法を有する。任意に、当該チャネルの長軸線に対して、結晶方位<100>の表面を有するように、当該チャネルを形成することができる。
【0054】
図9Aを参照すると、メモリデバイス900は、基板906の表面上に又は表面を覆う、半導体材料の薄膜又は薄層から形成される水平ナノワイヤチャネル902を含む。ナノワイヤチャネル902は、メモリデバイスのソース908とドレイン910とを接続する。図示される実施形態では、当該デバイスは、デバイスのゲート912がナノワイヤチャネル902の全側面を取り囲む、全周ゲート(GAA)構造を有する。(ソースからドレインへの方向で計測される)ゲート912の厚さは、デバイスの有効チャネル長を決定する。
【0055】
本開示に従って、
図9Aの非平面状マルチゲートメモリデバイス900は、分離した電荷トラップ領域を含むことができる。
図9Bは、
図9Aの非平面状メモリデバイスの一部の断面図であり、基板906、ナノワイヤチャネル902、及び、分離した電荷トラップ領域を示すゲート912の一部を含む。
図9Bを参照すると、ゲート912は、ナノワイヤチャネル902を覆うトンネル酸化物層914と、分離した電荷トラップ領域と、阻止誘電体916と、阻止層を覆いメモリデバイス900の制御ゲートを形成するゲート層918とを含む。ゲート層918は、金属又はドープされたポリシリコンを含むことができる。多層電荷蓄積層は、トンネル酸化物層914により近い、窒化物を含む、少なくとも1層の内側電荷トラップ層920と、当該内側電荷トラップ層を覆う外側電荷トラップ層922とを備える。一般に、外側電荷トラップ層922は、シリコンリッチ、酸素リーンな窒化物層を含み、複数の電荷トラップ層に区分される大部分の電荷トラップを含み、その一方で、内側電荷トラップ層920は、酸素リッチな窒化物又はシリコン酸窒化物を含み、外側電荷トラップ層に対して酸素リッチとして内側電荷トラップ層920内の電荷トラップ数を低減させている。
【0056】
例えば図示されるような、ある実施形態では、多層電荷蓄積層は、酸化物等の誘電体を含む、少なくとも1層の薄い、中間層又は反トンネル層924を更に含み、外側電荷トラップ922を内側電荷トラップ層920から分離する。反トンネル層924は、プログラムしている間に外側電荷トラップ922の境界で蓄積する、トンネル層から内側電荷トラップ層920への電子電荷の確率を実質的に低減し、より少ない漏れ電流をもたらす。
【0057】
上述した実施形態と同様に、内側電荷トラップ層920及び外側電荷トラップ層922のいずれか又は両方は、シリコン窒化物又はシリコン酸窒化物を含むことができ、例えばシリコンリッチ及び酸素リッチな酸窒化物層が得られるように比及び流量が調整されたN
2O/NH
3及びDCS/NH
3ガスの混合物を含むCVDプロセスによって、形成されることができる。多層電荷蓄積構造の第2の窒化物層はその後、中間酸化層上に形成される。外側電荷トラップ層922は、内側電荷トラップ層920と異なる酸素、窒素及び/又はシリコンの化学量論的組成を有し、シリコンリッチ及び酸素リーンな最上部窒化物層が得られるように比及び流量が調整されたDCS/NH
3及びN
2O/NH
3ガスの混合物を含むプロセスガスを用いるCVDプロセスによって形成又は堆積されることもできる。
【0058】
酸化物を含む中間又は反トンネル層924を含む実施形態において、ラジカル酸化を用いて、内側電荷トラップ層920を選んだ深さまで酸化させることによって反トンネル層を形成することができる。例えば、1000−1100℃の温度でシングルウェハーツールを用いて、又は800−900℃でバッチ反応器ツールを用いて、ラジカル酸化を行うことができる。水素及び酸素ガスの混合物を、300−500トルの圧力でバッチプロセスに対して、又は10−15トルでシングル蒸発ツールを用いて、1−2分間シングルウェハーツールを用いて、又は30分−1時間バッチプロセスを用いて、使用することができる。
【0059】
最後に、阻止誘電体916が酸化物を含む実施形態において、当該酸化物を適切な手段によって形成又は堆積することができる。ある実施形態では、阻止誘電体916の酸化物は、HTO CVDプロセスで堆積された高温酸化物である。あるいは、阻止誘電体916又は阻止酸化物層を熱的に成長させることができるが、この実施形態では、阻止酸化物層を熱的に成長させるプロセスの間、最上部窒化物のいくつかを有効に消費又は酸化するため、外側電荷トラップ層922の厚さを調整又は増加する必要があることが理解されるであろう。
【0060】
内側電荷トラップ層920の厚さを、約30Åから約80Åまで(ある許容される変動、たとえば±10Aで)適切に形成することができる。ラジカル酸化により内側電荷トラップ層920の約5−20Åを消費して反トンネル層924を形成することができる。外側電荷トラップ層922の適切な厚さを、少なくとも30Åとすることができる。ある実施形態では、外側電荷トラップ層922の厚さを最大で120Åとすることができ、ラジカル酸化により外側電荷トラップ層922の30−70Åを消費して阻止誘電体916を形成することができる。ある実施形態では、内側電荷トラップ層920と外側電荷トラップ層922との間の厚さの比を約1:1とすることができるが、他の比も可能である。
【0061】
他の実施形態では、外側電荷トラップ層922及び阻止誘電体916のいずれか又は両方は、高誘電率誘電体を含むことができる。適切な高誘電率誘電体は、HfSiON、HfSiO又はHfO等の材料をベースにしたハフニウムと、ZrSiON、ZrSiO又はZrO等の材料をベースにしたジルコニウムと、Y
2O
3等の材料をベースにしたイットリウムとを含むことができる。
【0062】
他の実施形態では、メモリデバイスは、基板上の多数の導電層、半導体層の上に突出し又はこれらの層から突出する、半導体材料に形成され又はこの半導体材料から形成される、垂直ナノワイヤチャネルを含む非平面状デバイスであり又はこの非平面状デバイスを含む。
図10Aに切断図で示す、この実施形態のあるバージョンでは、メモリデバイス1000は、デバイスのソース1004及びドレイン1006を接続する半導体材料の円筒に形成される垂直ナノワイヤチャネル1002を含む。チャネル1002は、トンネル酸化物層1008、多層電荷蓄積層1110、阻止層1012、及び当該阻止層を覆いメモリデバイス1000の制御ゲートを形成するゲート層1014に取り囲まれている。チャネル1002は、半導体材料の十分堅固な円柱の外側層に、環状の領域を含むことができ、又は誘電体の充填材の円柱上に形成される環状層を含むことができる。上述した水平ナノワイヤと同様に、チャネル1002は、ポリシリコン又は再結晶ポリシリコンを含んで、単結晶チャネルを形成することができる。チャネル1002が結晶性シリコンを含む場合には、任意に、当該チャネルの長軸線に対して結晶方位<100>の表面を有するように、チャネルを形成することができる。
【0063】
図10Bに示すような、ある実施形態では、多層電荷蓄積層1010を、少なくとも、トンネル酸化物層1008に最も近い第1又は内側電荷トラップ層1016と、第2又は外側電荷トラップ層1018とを含む、多層電荷蓄積層とすることができる。任意に、中間の酸化物層又は反トンネル層1020によって、当該第1及び第2電荷トラップ層を分離させることができる。
【0064】
上述した実施形態と同様に、第1電荷トラップ層1016及び第2電荷トラップ層1018のいずれか又は両方は、シリコン窒化物又はシリコン酸窒化物を含むことができ、例えばシリコンリッチ及び酸素リッチな酸窒化物層が得られるように比及び流量が調整されたN
2O/NH
3及びDCS/NH
3のガス混合物を含むCVDプロセスによって、形成されることができる。
【0065】
最後に、第2電荷トラップ層1018及び阻止層1012のいずれか又は両方は、HfSiON、HfSiO、HfO、ZrSiON、ZrSiO、ZrO又はY
2O
3等の、高誘電率誘電体を含むことができる。
【0066】
第1電荷トラップ層1016の厚さを、約30Åから約80Åまで(許容される変動、たとえば±10Aで)適切に形成することができる。ラジカル酸化により第1電荷トラップ層1016の約5−20Åを消費して反トンネル層1020を形成することができる。第2電荷トラップ層1018の適切な厚さを少なくとも30Åとすることができ、阻止誘電体1012の適切な厚さを約30−70Åとすることができる。
【0067】
図10Aのメモリデバイス1000を、ゲート最初のスキーム又はゲート最後のスキームのいずれか一方を用いて製造することができる。
図11A−Fは、
図10Aの非平面状マルチゲートデバイスを製造するためのゲート最初のスキームを示す。
図12A−Fは、
図10Aの非平面状マルチゲートデバイスを製造するためのゲート最後のスキームを示す。
【0068】
図11Aを参照すると、ゲート最初のスキームにおいて、阻止酸化物等の、第1又は下部誘電体層1102を、ソース又はドレイン等の、基板1106内の第1のドープされた拡散領域1104上に形成する。ゲート層1108を第1誘電体層1102上に堆積してデバイスの制御ゲートを形成し、第2又は上部誘電体層1110をその上に形成する。上述した実施形態と同様に、第1及び第2誘電体層1102、1110を、CVD若しくはラジカル酸化によって堆積することができ、又は、下層又は下部基板の一部の酸化によって形成することができる。ゲート層1108は、CVDによって堆積された、金属又はドープされたポリシリコンを含むことができる。一般に、ゲート層1108の厚さは約40Å−50Åであり、第1及び第2誘電体層1102、1110の厚さは約20Å−80Åである。
【0069】
図11Bを参照して、上を覆うゲート層1108並びに第1及び第2誘電体層1102、1110を貫通して基板1106内の拡散領域1104へ達する第1開口部1112をエッチングして形成する。次に、トンネル酸化物層1114、多層電荷蓄積層1116及び阻止誘電体1118を含む層を開口部に連続的に堆積し、上部誘電体層1110の表面を平坦化して、
図11Cに示す中間構造を産出する。
【0070】
当然のことながら、図示はしないが、上述した実施形態において、多層電荷蓄積層1116は、トンネル酸化物層1114に最も近い少なくとも1層の下部又は最下部電荷トラップ層と、当該最下部電荷トラップ層を覆う上部又は最上部電荷トラップ層と、を含む多層電荷蓄積層を含むことができる。一般に、最上部電荷トラップ層は、シリコンリッチ、酸素リーンな窒化物層を含み、複数の電荷トラップ層に区分される大部分の電荷トラップを含み、その一方で、最下部電荷トラップ層は、酸素リッチな窒化物又はシリコン酸窒化物を含み、最下部電荷トラップ層を最上部電荷トラップに対して酸素リッチとして最下部電荷トラップ内の電荷トラップの数を低減させている。ある実施形態では、多層電荷蓄積層1116は、酸化物等の誘電体を含む、少なくとも1層の薄い、中間層又は反トンネル層を更に含み、最上部電荷トラップを最下部電荷トラップ層から分離する。
【0071】
次に、トンネル酸化物層1114、多層電荷蓄積層1116及び阻止誘電体1118を貫通する第2又はチャネル開口部1120を、異方的にエッチングして形成する(
図11D)。
図11Eを参照して、チャネル開口部に半導体材料1112を堆積して、開口部内に垂直チャネル1124を形成する。垂直チャネル1124は、半導体材料の十分に堅固な円柱の外側層に、環状領域を含むことができ、又は、
図11Eに示すように、垂直チャネル1124は、誘電体の充填材1126の円柱を取り囲む、別個の層状半導体材料1122を含むことができる。
【0072】
図11Fを参照して、上部誘電体層1110の表面を平坦化する。そしてソース又はドレイン等の、第2のドープされた拡散領域1130をその中に形成した、半導体材料1128の層を上部誘電体層の上に堆積して、図示のデバイスを形成する。
【0073】
図12を参照して、ゲート最後のスキームにおいて、酸化物等の誘電体層1202を基板1206表面の犠牲層1204上に形成し、誘電体及び犠牲層を貫通する開口部をエッチングで形成し、垂直チャネル1208を当該開口部内に形成する。上述した実施形態と同様に、垂直チャネル1208は、多結晶シリコン若しくは単結晶シリコン等の半導体材料1210の十分に堅固な円柱の外側層に環状領域を含むことができ、又は、(図示はしないが)垂直チャネル1208は、誘電体の充填材の円柱を取り囲む、別個の層状半導体材料を含むことができる。誘電体層1202は、酸化シリコン等の任意の適切な誘電材料を含むことができ、メモリデバイス1000の、続いて形成されるゲート層を、ゲート層上を覆う電気的に活性な層又は他のメモリデバイスから、電気的に絶縁することができる。犠牲層1204は、誘電体層1202、基板1206及び垂直チャネル1208の材料に対して高い選択性を有する、エッチング又は除去可能な任意の適切な材料を含むことができる。
【0074】
図12Bを参照して、誘電体層及び犠牲層1202、1204を貫通し基板1206に達する第2開口部1212をエッチングして形成し、犠牲層1204をエッチング又は除去する。犠牲層1204は、誘電体層1202、基板1206及び垂直チャネル1208の材料に対して高い選択性を有する、エッチング又は除去可能な任意の適切な材料を含むことができる。ある実施形態では、犠牲層1204は緩衝酸化物エッチング(buffered oxide etch、BOE etch)によって除去可能な二酸化ケイ素を含む。
【0075】
図12C及び12Dを参照して、トンネル酸化物層1214、多層電荷蓄積層1216及び阻止誘電体1218の層を順に開口部に堆積し、誘電体層1202の表面を平坦化して
図12C及び12Dに示す中間構造を産出する。
図12Dに示すような、ある実施形態では、多層電荷蓄積層1216を、少なくとも、トンネル酸化物層1214に最も近い第1又は内側電荷トラップ層1216aと第2又は外側電荷トラップ層1216bと、を含む多層電荷蓄積層とすることができる。任意に、第1及び第2電荷トラップ層を、中間酸化物又は反トンネル層1220によって分離することができる。
【0076】
次に、ゲート層1222を第2開口部1212内へ堆積し、上部誘電体層1202の表面を平坦化して、
図12Eに示す中間構造を産出する。上述した実施形態と同様に、ゲート層1222は、堆積した金属又はドープされたポリシリコンを含むことができる。最後に、ゲート層1222を貫通する開口部1224をエッチングで形成して、単独のメモリデバイス1226の制御ゲートを形成する。
【0077】
本明細書に記載された電荷保持デバイスの実施形態を論理回路に用いて、マシンメモリとして機能させることができる。当業者は、記載された構造を具現化できる様々なロジックの実装が存在し、好ましい手段はプロセスが展開される事情によって変化することを理解できる。例えば、実装者が速度及び精度を最重要と決定した場合には、実装者はハードウェア手段及び/又はファームウェア手段を選ぶことができ、あるいは、柔軟性を最重要と決定した場合には、実装者はソフトウェア実装だけを選ぶことができ、又は、更に代案として、実装者はハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの組み合わせを選ぶことができる。従って、本明細書に記載されるデバイスを用いる多数の手段が存在し、利用される任意の手段は、変化しうる、当該手段を用いる事情及び実装者の特定の関心事項(例えば速度、柔軟性又は予測可能性)によって決まる選択物であるから、これらの手段のいずれも、他の手段より本質的に優れるものではない。当業者は、実施形態の光学的態様が、光学的に配向されるハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアを含むことを認識することができる。
【0078】
多層電荷蓄積層は2つの酸窒化物層、即ち最上部及び最下部層を有するものとして図示し説明したが、本発明はこれに限定されず、任意の数の酸窒化物層を含み、それらの一部又はすべてが酸素、窒素及び/又はシリコンの異なる化学量論的組成を有するものとすることができる。特に、それぞれ異なる化学量論的組成を有する5つの酸窒化物層を有する多層電荷蓄積層を製造し、試験した。しかしながら、当業者に明らかなように、一般には所望の結果を達成するのにできるだけ少数の層を使用し、より簡単でよりロバストなプロセスを提供するのが好ましい。更に、できるだけ少数の層を使用すると、少数の層の化学量論的組成及び寸法の制御がより簡単になるので、歩留まりも更に高くなる。
【0079】
更に、シリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造はメモリデバイスのシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコンスタックの一部分として図示し説明したが、本発明はこの構造及びその製造に限定されず、このシリコン−酸化物−酸窒化物−酸化物−シリコン構造は、本発明の範囲から逸脱することなく、電荷蓄積又は絶縁層又は積層を必要とする任意の半導体技術又は任意のデバイス、例えばスプリットゲートフラッシュメモリ、TaNOSスタック、IT(トランジスタ)SNOS型セル、2TSONOS型セル、3T SNOS型セル、局所化2ビットセル、マルチレベルプログラミングセル、及び/又は9T若しくは12T不揮発性半導体メモリ(NVSM)等に又はこれとともに使用することができる。
【0080】
前述の詳細な説明では、ブロック図、フローチャート及び/又は実施例により、デバイス及び/又はプロセスの様々な実施形態を説明した。そのようなブロック図、フローチャート及び/又は実施例は、1つ以上の機能及び/又は動作を含む限りでは、そのようなブロック図、フローチャート又は実施例内の、各機能及び/又は動作を、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの事実上任意の組み合わせによって、単独に及び/又は共同で実装することができることを、当業者は周知として理解できる。
【0081】
本明細書で説明した構造の実施形態を、特定用途向け集積回路(ASICs)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGAs)、中央演算処理装置(CPUs)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSPs)又は他の統合された構成で用いることができる。しかしながら当業者は、データに対するデジタル情報及び/又は1つ以上のコンピュータを実行させるプログラム(例えば1つ以上のコンピュータシステム上で動作する1つ以上のプログラム、1つ以上のプロセッサ上で動作する1つ以上のプログラム、1つ以上のマイクロプロセッサ上で動作する1つ以上のプログラム)、ファームウェア又はこれらの事実上任意の組み合わせを記憶することを目的として、本明細書に記載された実施形態のいくつかの態様を、全体として又は一部として、専用のメモリ回路で同等に実装することができることを認識することができる。
【0082】
一般的な意味で、当業者は、本明細書に記載された様々な構造を、単独に及び/又は共同で、広範囲の電気回路によって具体化できることを認識することができる。本明細書で用いる「電気回路」は、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムにより設定される汎用コンピュータ・デバイス(例えば、コンピュータプログラムにより設定され、本明細書に記載されるプロセス及び/又はデバイスを少なくとも部分的に実行する汎用コンピュータ、又は、コンピュータプログラムにより設定され、本明細書に記載されるプロセス及び/又はデバイスを少なくとも部分的に実行するマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリデバイスを形成する(例えばランダムアクセスメモリを形成する)電気回路、及び/又は、(モデム、通信スイッチ又は光電気装置等の)通信機器を形成する電気回路を含むが、これらに限定されない。
【0083】
当業者は、本明細書に記載したようなデバイス及び/又はプロセスを説明することが、通常、当業者の技術の範囲内であることを認識することができ、従って標準の技術的手法を用いてそのような説明したデバイス及び/又はプロセスをより大きなシステムに組み込むことが当業者の技術の範囲内であることを認識することができる。すなわち、本明細書に記載されたデバイス及び/又はプロセスの少なくとも一部を、過度の量の実験を行うことなく、ネットワーク処理システムに組み込むことができる。