特許第6709073号(P6709073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トップの特許一覧

<>
  • 特許6709073-医療用コネクタ 図000002
  • 特許6709073-医療用コネクタ 図000003
  • 特許6709073-医療用コネクタ 図000004
  • 特許6709073-医療用コネクタ 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709073
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】医療用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   A61M39/10 120
   A61M39/10 110
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-36437(P2016-36437)
(22)【出願日】2016年2月26日
(65)【公開番号】特開2017-148444(P2017-148444A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲柳▼ 翔
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−117479(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2712652(EP,A2)
【文献】 特開2005−304582(JP,A)
【文献】 実開昭52−83294(JP,U)
【文献】 特開2009−6164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下流側の輸液管の先端部に設けられ、連結部と、該連結部の外周側に一体に配設され、内周面に雌ねじ部が設けられたロック部とを備える雄コネクタと、上流側の輸液管の先端部に設けられ、外周面がテーパー形状の中空円筒部と、該中空円筒部の外周面の円周方向に沿って設けられた環状突起部とを有するコネクタ本体とを分離自在に接続する医療用コネクタであって、
前記医療用コネクタは、変形可能な合成樹脂からなり、前記雄コネクタ側に突出する中空円筒部と、コネクタ本体側に突出する接続部とを備えており、該中空円筒部と該接続部とは連通するとともに一体的に形成され、
前記医療用コネクタの中空円筒部は、前記雄コネクタの連結部の外周面に沿う形状の内周面と、該医療用コネクタの中空円筒部の外周面に前記雄コネクタの雌ねじ部に螺合される突起部とを備え、
前記接続部は、内周面に円周方向に沿って設けられ、前記コネクタ本体の環状突起部に係合される環状凹部と、該環状凹部の該コネクタ本体が挿入される側に設けられた環状凸部と、シリコーンオイル層とを備え、該環状凸部は軸方向の両側に傾斜面を備え、前記コネクタ本体の中空円筒部の基端まで外嵌されることを特徴とする医療用コネクタ。
【請求項2】
下流側の輸液管の先端部に設けられ、中空円筒部と、該中空円筒部の外周面に突起部とを備える雌コネクタと、上流側の輸液管の先端部に設けられ、外周面がテーパー形状の中空円筒部と、該中空円筒部の外周面の円周方向に沿って設けられた環状突起部とを有するコネクタ本体とを分離自在に接続する医療用コネクタであって、
前記医療用コネクタは、変形可能な合成樹脂からなり、前記雌コネクタ側に突出する連結部と、コネクタ本体側に突出する接続部とを備えており、連結部と接続部とは連通するとともに一体的に形成され、
前記医療用コネクタの連結部の外周面には、該連結部と一体に配設され、内周面に雌ねじ部が設けられたロック部が形成されており、
前記接続部は、内周面に円周方向に沿って設けられ、前記コネクタ本体の環状突起部に係合される環状凹部と、該環状凹部の該コネクタ本体が挿入される側に設けられた環状凸部と、シリコーンオイル層とを備え、該環状凸部は軸方向の両側に傾斜面を備え、前記コネクタ本体の中空円筒部の基端まで回転自在に外嵌されることを特徴とする医療用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液装置の上流側の輸液管と下流側の輸液管とを分離自在に接続する医療用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用輸液装置として、薬液等が収容された容器に接続された輸液管から、患者の血管に穿刺された留置針を介して、血管内に薬液等を供給する輸液装置が用いられている。前記輸液装置では、前記留置針を抜去し再穿刺することなく前記薬液等を交換するために、該留置針に接続されている下流側の輸液管と、前記薬液等が収容された容器に接続された上流側の輸液管とを分離自在に接続する医療用コネクタが用いられている。
【0003】
前記医療用コネクタは、雄コネクタと雌コネクタとからなり、該雄コネクタは、例えば、外周面がルアーテーパーとなっている連結部と、連結部の外周側に配設されたロック部とを備える二重同芯円筒状となっており、ロック部の内周面には雌ねじ部が設けられている。また、前記雌コネクタは、例えば、内周面がルアーテーパーとなっており、該連結管に外嵌される中空円筒部と、該中空円筒部の外周面に設けられ、該雄コネクタの前記ロック部に設けられた前記雌ねじ部に螺合される突起部とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記医療用コネクタによれば、前記雄コネクタの前記ロック部の内周面に形成された雌ねじ部に、前記雌コネクタの突起部を合わせて該雄コネクタを回転させると、回転に従って前記連結部が前記雌コネクタの中空部に挿入され、前記ルアーテーパーにより液密に接続される。また、前記雌コネクタの突起部が、前記雄コネクタの前記ロック部の内周面に形成された雌ねじ部に螺合されることにより、該雌コネクタと該雄コネクタとが接続された状態で固定される。
【0005】
前記医療用コネクタは、例えば、雄コネクタが上流側の輸液管に接続され、雌コネクタが下流側の輸液管に接続される。一方、近年、コネクタの誤接続防止のため、経腸栄養ラインで用いられるコネクタに関して、雄コネクタが下流側の輸液管に接続され、雌コネクタが上流側の輸液管に接続されるという新たな国際規格の制定が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−100347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記医療用コネクタでは、下流側の輸液管に接続された雄コネクタを回転させる構成とすると、操作しにくい上、該輸液管に接続されている留置針が同時に回転することとなり、特に患者が新生児や小児であるときに皮膚の損傷を招く虞があるという不都合がある。
【0008】
一方、上流側の輸液管に設けられている雌コネクタを回転させれば患者の皮膚の損傷は防ぐことができるが、上流側の輸液管が捻れて潰れたり、捻れを解消しようとして雌コネクタと雄コネクタとの接続が緩み、輸液が不安定になる虞があるという不都合がある。
【0009】
そこで、本発明は、かかる不都合を解消して、患者の皮膚の損傷や輸液管の捻れを招くことなく、安定に輸液を行うことができる医療用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明の医療用コネクタは、連結管と、該連結管の外周側に一体に配設され、内周面に雌ねじ部が設けられたロック部とを備える雄コネクタと、該雄コネクタの該連結管の外周面に沿う形状の内周面を備え、該連結管に外嵌される中空円筒部と、該中空円筒部の外周面に設けられ、該雄コネクタの該ロック部に設けられた該雌ねじ部に螺合される突起部とを備える雌コネクタとからなる医療用コネクタであって、該雄コネクタ又は該雌コネクタと一体的に形成され、該連結管又は該中空円筒部に連通し、輸液管の先端部に設けられたコネクタ本体に接続される中空円筒の接続部を備え、該接続部は、該コネクタ本体の外周面に沿う形状の内周面を備え、該コネクタ本体に対して回転自在に外嵌されることを特徴とする。
【0011】
本発明の医療用コネクタは、雄コネクタと雌コネクタとからなる。ここで、前記雄コネクタは、連結管と、該連結管の外周側に一体に配設されたロック部とを備え、該ロック部は内周面に雌ねじ部が設けられている。
【0012】
また、前記雌コネクタは、前記雄コネクタの前記連結管に外嵌される前記中空円筒部と、該中空円筒部の外周面に設けられた突起部とを備えている。前記中空円筒部は、前記雄コネクタの前記連結管の外周面に沿う形状の内周面を備え、前記突起部は、該雄コネクタのロック部に設けられた雌ねじ部に螺合される。
【0013】
本発明の医療用コネクタによれば、前記雄コネクタのロック部の内周面に形成された雌ねじ部に、前記雌コネクタの突起部を合わせて回転させると、回転に従って該雄コネクタの連結部が該雌コネクタの中空円筒部に挿入され、該雌コネクタと該雄コネクタとが接続された状態で固定される。
【0014】
また、本発明の医療用コネクタは、前記雄コネクタ又は前記雌コネクタと一体に形成された前記接続部を備えており、該接続部は、前記コネクタ本体の外周面に沿う形状の内周面を備え、該コネクタ本体に対して回転自在に外嵌されている。従って、本発明の医療用コネクタによれば、前記雄コネクタ又は前記雌コネクタを前記コネクタ本体に対して独立に回転させることができ、患者の皮膚が損傷したり輸液管が捻れたりすることを防止して、安定に輸液を行うことができる。
【0015】
前記接続部は、前記雄コネクタ又は前記雌コネクタのいずれか一方と一体に形成されていてもよく、該雄コネクタと該雌コネクタとのそれぞれと一体に形成されていてもよい。
【0016】
また、本発明の医療用コネクタにおいて、前記接続部は、前記内周面に円周方向に沿って設けられ、前記コネクタ本体の外周面に円周方向に沿って設けられた環状突起部に係合される環状凹部と、該環状凹部の該コネクタ本体が挿入される側に設けられた環状凸部とを備え、該環状凸部は軸方向の両側に傾斜面を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の医療用コネクタにおいて、前記接続部は、前記内周面に備えられた前記環状凹部を、前記コネクタ本体の外周面に円周方向に沿って設けられた前記環状突起部に係合させることにより、該コネクタ本体から脱落することなく、該コネクタ本体に対して円滑に回転させることができる。このとき、前記環状突起部は、前記接続部の前記内周面に備えられた前記環状凸部により抜け止めされるので、該接続部が前記コネクタ本体から脱落することを確実に防止することができる。
【0018】
また、本発明の医療用コネクタにおいて、前記接続部は、前記内周面に備えられた前記環状凹部の軸方向の両側に傾斜面を備えるので、容易に成形することができる。
【0019】
また、本発明の医療用コネクタにおいて、前記接続部は、内周面がルアーテーパー形状となっていることが好ましい。本発明の医療用コネクタは、前記接続部の内周面がルアーテーパー形状となっていることにより、前記コネクタ本体の外周面がルアーテーパー形状となっているときには、該接続部と該コネクタ本体とを容易且つ確実に嵌合することができる。
【0020】
また、本発明の医療用コネクタにおいて、前記接続部は、内周面にシリコーンオイル層を備えることが好ましい。本発明の医療用コネクタは、前記接続部の内周面にシリコーンオイル層を備えることにより、前記コネクタ本体に対して容易に回転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の態様の医療用コネクタの構成を示す模式的断面図。
図2】本発明の第1の態様の医療用コネクタにおいて雌コネクタを雄コネクタと接続した状態を示す模式的断面図。
図3】本発明の第2の態様の医療用コネクタの構成を示す模式的断面図。
図4】本発明の第2の態様の医療用コネクタにおいて雄コネクタを雌コネクタと接続した状態を示す模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0023】
まず、図1及び図2を参照して本実施形態の第1の態様の医療用コネクタ1について説明する。
【0024】
図1に示すように、医療用コネクタ1は、下流側の輸液管2aに設けられた雄コネクタ3と、上流側の輸液管2bに設けられたコネクタ本体4に接続される雌コネクタ5とからなる。下流側の輸液管2aは、患者の血管内に穿刺される留置針(図示せず)に接続され、留置針と反対側の端部に、雄コネクタ3が設けられている。一方、上流側の輸液管2bは、医療用輸液装置において薬液等の容器(図示せず)に接続され、容器と反対側の端部に、雌コネクタ5に接続されるコネクタ本体4が設けられている。
【0025】
医療用コネクタ1は、雌コネクタ5がコネクタ本体4に接続された状態で、雄コネクタ3が雌コネクタ5と接続されることにより、輸液管2a,2bを接続する。
【0026】
雄コネクタ3は、留置針側の端部に下流側の輸液管2aが接続される一方、雌コネクタ5側の端部は、中空円筒状でルアーテーパー形状の外周面を備える連結部31と、連結部31の外周側に設けられたロック部32とからなる二重同芯円筒状となっている。連結部31とロック部32とは留置針側で接続されており、ロック部32の内周面には雌ねじ部33が形成されている。
【0027】
コネクタ本体4は、容器側の端部に上流側の輸液管2bが接続される一方、雌コネクタ5側の端部は中空円筒部41となっており、中空円筒部41の外周面はルアーテーパー形状となっている。また、中空円筒部41の外周面の中程には、円周方向に沿って全周に亘って形成された環状突部42が設けられている。環状突部42は、中空円筒部41の外周面の雌コネクタ5側から輸液管2b側に向かって次第に隆起するスロープ部43と、スロープ部43の輸液管2b側端部に設けられ、中空円筒部41の軸方向と直交する壁部44とを備えている。
【0028】
雌コネクタ5は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の変形可能な合成樹脂からなり、雄コネクタ3側に突出する中空円筒部51と、コネクタ本体4側に突出する接続部52とを備えており、中空円筒部51と接続部52とは一体的に形成されている。
【0029】
中空円筒部51は、雄コネクタ3の連結部31の外周面に沿うルアーテーパー形状の内周面53を備え、内周面53により連結部31に外嵌されるようになっている。また、中空円筒部51は、外周面の先端に雄コネクタ3のロック部32の内周面に形成された雌ねじ部33に螺合される突起部54を備えている。突起部54は雌ねじ部33に螺合できればよく、中空円筒部51の外周面の全周に亘って形成されていてもよく、間欠的に、例えば図1に示すように直径方向に対向する2ヶ所に1つずつ形成されて対を形成していてもよい。
【0030】
一方、接続部52は、コネクタ本体4の外周面に沿うルアーテーパー形状の内周面55を備え、内周面55によりコネクタ本体4に外嵌されるようになっており、内周面55は中空円筒部51の内周面53に連通している。また、内周面55は、コネクタ本体4の環状突部42の外形に沿う形状の環状凹部56と、環状凹部56の中空円筒部51と反対側に設けられた環状凸部57とを備え、環状凸部57は軸方向の両側に傾斜面57a,57bを備えている。
【0031】
次に、図2を参照して、本実施形態の医療用コネクタ1の使用方法について説明する。
【0032】
医療用コネクタ1を使用するときには、まず、雌コネクタ5の接続部52をコネクタ本体4の中空円筒部41に外嵌する。このとき、コネクタ本体4の中空円筒部41には外周面に環状突部42が形成されているが、雌コネクタ5は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の変形可能な合成樹脂からなるので、環状突部42のスロープ部43により外周方向に拡径される。
【0033】
そして、接続部52の環状凹部56に環状突部42が収容されることにより、雌コネクタ5がコネクタ本体4に接続される。このとき、コネクタ本体4は環状突部42の壁部44が、雌コネクタ5の環状凹部56に係合し、環状凸部57により抜け止めされるので、雌コネクタ5がコネクタ本体4から脱落することを確実に防止することができる。
【0034】
また、雌コネクタ5は、接続部52の内周面55が、ルアーテーパーによりコネクタ本体4の中空円筒部41の外周面に密着することにより、コネクタ本体4に対して液密に接続されている。しかし、雌コネクタ5は、環状凹部56がコネクタ本体4の環状突部42に係合しているだけで、接着剤等を用いずに接続されているので、コネクタ本体4に対して回転自在となっている。
【0035】
このとき、雌コネクタ5は、接続部52の内周面55に図示しないシリコーンオイル層を備えていてもよく、該シリコーンオイル層によりコネクタ本体4に対して容易に回転することができる。前記シリコーンオイル層は、例えば、コネクタ本体4の中空円筒部41の外周面に塗布することにより設けてもよく、接続部52の内周面55に直接塗布してもよい。
【0036】
次に、雌コネクタ5の中空円筒部51を雄コネクタ3の連結部31に外嵌する。このときには、中空円筒部51の外周面の先端に形成されている突起部54を、雄コネクタ3のロック部32の内周面に形成されている雌ねじ部33に合わせて、雌コネクタ5を回転させる。
【0037】
雌コネクタ5は、上述のようにコネクタ本体4に対して回転自在とされているので、輸液管2bに捻れを発生させることなく、突起部54により雄コネクタ3の雌ねじ部33に螺着することができる。これに伴って、中空円筒部51が雄コネクタ3の連結部31に外嵌され、中空円筒部51の内周面53がルアーテーパーにより雄コネクタ3の連結部31の外周面に密着し、雌コネクタ5は雄コネクタ3に液密に接続される。
【0038】
雌コネクタ5は、上流側の輸液管2bに設けられているので扱い易く、雌コネクタ5を回転させても下流側の輸液管2aは回転されることがないので、患者の皮膚の損傷を防止することができる。
【0039】
尚、本実施形態では、雌コネクタ5の内周面53、雄コネクタ3の連結部31の外周面、接続部52の内周面55、コネクタ本体4の中空円筒部41の外周面をそれぞれルアーテーパー形状としているが、液密に接続できる形状であればルアーテーパー形状以外の形状であってもよい。
【0040】
次に、図3及び図4を参照して本実施形態の第2の態様の医療用コネクタ11について説明する。
【0041】
図3に示すように、医療用コネクタ11は、下流側の輸液管2aに設けられた雌コネクタ6と、上流側の輸液管2bに設けられたコネクタ本体4に接続される雄コネクタ7とからなる。輸液管2a,2b及びコネクタ本体4の構成は、図1及び図2に示す第1の態様の医療用コネクタ1と同一であるので、同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】
医療用コネクタ11は、雄コネクタ7がコネクタ本体4に接続された状態で、雌コネクタ6が雄コネクタ7と接続されることにより、輸液管2a,2bを接続する。
【0043】
雌コネクタ6は、留置針側の端部に下流側の輸液管2aが接続される一方、雄コネクタ7側の端部に中空円筒部61を備えている。中空円筒部61は、ルアーテーパー形状の内周面62を備え、外周面の先端に突起部63を備えている。
【0044】
雄コネクタ7は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の変形可能な合成樹脂からなり、雌コネクタ6側に突出し、雌コネクタ6の中空円筒部61に嵌合される連結部71と、コネクタ本体4側に突出する接続部72とを備えており、連結部71と接続部72とは一体的に形成されている。
【0045】
連結部71は、中空円筒状でルアーテーパー形状の外周面を備え、連結部71の外周側に設けられたロック部73と二重同芯円筒状体を形成している。連結部71とロック部73とは接続部72側で接続されており、ロック部73の内周面には雌コネクタ6の突起部63が螺合される雌ねじ部74が形成されている。
【0046】
一方、接続部72は、コネクタ本体4の外周面に沿うルアーテーパー形状の内周面75を備え、内周面75によりコネクタ本体4に外嵌されるようになっており、内周面75は連結部71の内周面に連通している。また、内周面75は、コネクタ本体4の環状突部42の外形に沿う形状の環状凹部76と、環状凹部76の連結部71と反対側に設けられた環状凸部77とを備え、環状凸部77は軸方向の両側に傾斜面77a,77bを備えている。
【0047】
次に、図4を参照して、本実施形態の医療用コネクタ11の使用方法について説明する。
【0048】
医療用コネクタ11を使用するときには、まず、雄コネクタ7の接続部72をコネクタ本体4の中空円筒部41に外嵌する。このとき、コネクタ本体4の中空円筒部41には外周面に環状突部42が形成されているが、雄コネクタ7は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の変形可能な合成樹脂からなるので、環状突部42のスロープ部43により外周方向に拡径される。
【0049】
そして、接続部72の環状凹部76に環状突部42が収容されることにより、雄コネクタ7がコネクタ本体4に接続される。このとき、コネクタ本体4は環状突部42の壁部44が、雄コネクタ7の環状凹部76に係合し、環状凸部77により抜け止めされるので、雄コネクタ7がコネクタ本体4から脱落することを確実に防止することができる。
【0050】
また、雄コネクタ7は、接続部72の内周面75が、ルアーテーパーによりコネクタ本体4の中空円筒部41の外周面に密着することにより、コネクタ本体4に対して液密に接続されている。しかし、雄コネクタ7は、環状凹部76がコネクタ本体4の環状突部42に係合しているだけで、接着剤等を用いずに接続されているので、コネクタ本体4に対して回転自在となっている。
【0051】
このとき、雄コネクタ7は、接続部72の内周面75に図示しないシリコーンオイル層を備えていてもよく、該シリコーンオイル層によりコネクタ本体4に対して容易に回転することができる。前記シリコーンオイル層は、例えば、コネクタ本体4の中空円筒部41の外周面に塗布することにより設けてもよく、接続部72の内周面75に直接塗布してもよい。
【0052】
次に、雌コネクタ6の中空円筒部61を雄コネクタ7の連結部71に外嵌する。このときには、中空円筒部61の外周面の先端に形成されている突起部63を、雄コネクタ7のロック部73の内周面に形成されている雌ねじ部74に合わせて、雄コネクタ7を回転させる。ここで、突起部63は雌ねじ部74に螺合できればよく、中空円筒部61の外周面の全周に亘って形成されていてもよく、間欠的に、例えば図3に示すように直径方向に対向する2ヶ所に1つずつ形成されて対を形成していてもよい。
【0053】
雄コネクタ7は、上述のようにコネクタ本体4に対して回転自在とされているので、輸液管2bに捻れを発生させることなく、雌ねじ部74を雌コネクタ6の突起部63に螺着することができる。これに伴って、連結部71が雌コネクタ6の中空円筒部61に内嵌され、雄コネクタ7の連結部71の外周面がルアーテーパーにより中空円筒部61の内周面62に密着し、雄コネクタ7は雌コネクタ6に液密に接続される。
【0054】
雄コネクタ7は、上流側の輸液管2bに設けられているので扱い易く、雄コネクタ7を回転させても下流側の輸液管2aは回転されることがないので、患者の皮膚の損傷を防止することができる。
【0055】
尚、本実施形態では、雌コネクタ6の内周面62、雄コネクタ7の連結部71の外周面、接続部の内周面75、コネクタ本体4の中空円筒部41の外周面をそれぞれルアーテーパー形状としているが、液密に接続できる形状であればルアーテーパー形状以外の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…医療用コネクタ、 2a…下流側の輸液管、 2b…上流側の輸液管、 3,7…雄コネクタ、 4…コネクタ本体、 5,6…雌コネクタ、 31,71…連結部、 32,73…ロック部、 33,74…雌ねじ部、 42…環状突部、 51,61…中空円筒部、 52,72…接続部、 54,63…突起部、 56,76…環状凹部、 57,77…環状凸部、 77a,77b,77a,77b…傾斜部。
図1
図2
図3
図4