(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、高い誘電率を有しながらも信頼性が改善された液晶組成物及びこれを含む液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による液晶組成物は、下記一般式PI−1〜下記一般式PI−4で表わされる極性液晶化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【0008】
【化1】
【0009】
好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、n、n1、n2のそれぞれは、1〜3のうちのいずれか一つである。
【0010】
また、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、A、A1及びA2は、それぞれ独立して、
【0011】
【化2】
【0012】
のうちのいずれか一つである。
【0013】
更に、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、L
1〜L
8は、それぞれ独立して、−H、−F、−Cl、−OCF
3、−CF
3、−CH
2F、及び−CHF
2のうちのいずれか一つである。
【0014】
更にまた、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、Z、Z1、Z2は、それぞれ独立して、単一結合、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CH
2CH
2−、−C
2F
4−、−CH
2−CF
2−、−CF
2CH
2−、−(CH
2)
Z−(zは、1〜3の自然数である)、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CF−、−CF=CH−、−C=C−、及び−CH=CHCH
2O−のうちのいずれか一つである。
【0015】
更にまた、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、Rは、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基のうちのいずれか一つである。
【0016】
更にまた、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4で表わされる化合物は、全体の液晶組成物において、1wt%〜10wt%の含量を有する。
【0017】
更にまた、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4で表わされる極性液晶化合物の誘電率異方性(Δε)は、10〜30である。
【0018】
更にまた、好ましくは、前記液晶組成物は、下記一般式A−1〜下記一般式A−8で表わされるアルケニル系液晶化合物のうちの少なくとも一つを更に含む。
【0019】
【化3】
【0020】
更にまた、好ましくは、前記一般式A−1〜前記一般式A−8において、X、Yは、それぞれ独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基のうちのいずれか一つである。
【0021】
更にまた、好ましくは、前記液晶組成物は、下記一般式N−1〜下記一般式N−5で表わされる中性化合物のうちの少なくとも一つを更に含む。
【0022】
【化4】
【0023】
更にまた、好ましくは、前記一般式N−1〜前記一般式N−5において、X、Yは、それぞれ独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基のうちのいずれか一つである。
【0024】
更にまた、好ましくは、前記液晶組成物は、下記一般式P−1〜下記一般式P−11で表わされる極性化合物のうちの少なくとも一つを更に含む。
【0025】
【化5】
【0026】
更にまた、好ましくは、前記一般式P−1〜前記一般式P−11において、
Xは、それぞれ独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基のうちのいずれか一つである。
【0027】
更にまた、好ましくは、前記液晶組成物の誘電率異方性は、5〜20である。
【0028】
本発明の一実施形態による液晶表示装置は、第1の基板と、前記第1の基板と向かい合う第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配設される液晶層と、を備え、前記液晶層は、下記一般式PI−1〜下記一般式PI−4で表わされる極性液晶化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【0029】
【化6】
【0030】
好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、n、n1、n2のそれぞれは、1〜3のうちのいずれか一つである。
【0031】
また、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、A、A1及びA2は、それぞれ独立して、
【0032】
【化7】
【0033】
のうちのいずれか一つである。
【0034】
更に、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、L
1〜L
8は、それぞれ独立して、−H、−F、−Cl、−OCF
3、−CF
3、−CH
2F、及び−CHF
2のうちのいずれか一つである。
【0035】
更にまた、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、Z、Z1、Z2は、それぞれ独立して、単一結合、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CH
2CH
2−、−C
2F
4−、−CH
2−CF
2−、−CF
2CH
2−、−(CH
2)
Z−(zは、1〜3の自然数である)、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CF−、−CF=CH−、−C=C−、及び−CH=CHCH
2O−のうちのいずれか一つである。
【0036】
更にまた、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、Rは、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、及び1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基のうちのいずれか一つである。
【0037】
更にまた、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4で表わされる化合物は、全体の液晶組成物において、1wt%〜10wt%の含量を有する。
【0038】
更にまた、好ましくは、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4で表わされる極性液晶化合物の誘電率異方性(Δε)は、10〜30である。
【0039】
更にまた、好ましくは、前記液晶層は、下記一般式A−1〜下記一般式A−8で表わされるアルケニル系液晶化合物のうちの少なくとも一つを更に含む。
【0040】
【化8】
【0041】
更にまた、好ましくは、前記一般式A−1〜前記一般式A−8において、X、Yは、それぞれ独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基のうちのいずれか一つである。
【0042】
更にまた、好ましくは、前記液晶層は、下記一般式N−1〜下記一般式N−5で表わされる中性化合物のうちの少なくとも一つを更に含む。
【0043】
【化9】
【0044】
更にまた、好ましくは、前記一般式N−1〜前記一般式N−5において、X、Yは、それぞれ独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基のうちのいずれか一つである。
【0045】
更にまた、好ましくは、前記液晶層は、下記一般式P−1〜下記一般式P−11で表わされる極性化合物のうちの少なくとも一つを更に含む。
【0046】
【化10】
【0047】
更にまた、好ましくは、前記一般式P−1〜前記一般式P−11において、
Xは、それぞれ独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基のうちのいずれか一つである。
【0048】
更にまた、好ましくは、前記液晶層に含まれている液晶組成物の誘電率異方性は、5〜20である。
【発明の効果】
【0049】
本発明の一実施形態によれば、新規な正の極性を有する液晶組成物を用いて液晶表示装置を形成することにより、低電圧特性及び信頼性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、本発明は、ここで説明する実施形態に限定されるものではなく、他の形態に具現化可能である。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示された内容を徹底且つ完全たるものにし、且つ、当業者に本発明の思想を十分に伝えるために提供されるものである。
【0052】
図中、様々な層及び領域の厚さは、明確性を図るために誇張されている。明細書全体に亘って同じ構成部分に対しては同じ図面符号を付する。また、層、膜、領域、板などの構成部分が他の構成部分の「上」にあるとした場合、それは、他の構成部分の「真上」にある場合だけではなく、これらの間に更に他の構成部分がある場合も含む。明細書全体に亘って同一又は類似の構成要素に対しては同じ図面符号を付する。
【0053】
本発明の一実施形態による液晶組成物は、下記一般式PI−1〜下記一般式PI−4で表わされる極性液晶化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【0055】
前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、n、n1、n2のそれぞれは、1〜3のうちのいずれか一つである。
【0056】
前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、A、A1及びA2は、それぞれ独立して、
【0059】
前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、L
1〜L
8は、それぞれ独立して、−H、−F、−Cl、−OCF
3、−CF
3、−CH
2F、及び−CHF
2のうちのいずれか一つである。
【0060】
前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、Z、Z1、Z2は、それぞれ独立して、単一結合、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CH
2CH
2−、−C
2F
4−、−CH
2−CF
2−、−CF
2CH
2−、−(CH
2)
Z−(zは、1〜3の自然数である)、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CF−、−CF=CH−、−C=C−、及び−CH=CHCH
2O−のうちのいずれか一つである。
【0061】
前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4において、Rは、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基及び1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基のうちのいずれか一つである。
【0062】
本発明の実施形態において、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4で表わされる極性液晶化合物の誘電率異方性(Δε)は、10〜30であることが好ましい。
【0063】
具体的に、前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4で表わされる化合物は、下記一般式1〜下記一般式6で表わされる化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【0065】
前記一般式1の屈折率(Δn)は、約0.08であり、誘電率異方性(Δε)は、約15.4である。前記一般式2の屈折率(Δn)は、約0.09であり、誘電率異方性(Δε)は、約16.0である。前記一般式3の屈折率(Δn)は、約0.13であり、誘電率異方性(Δε)は、約16である。前記一般式4の屈折率(Δn)は、約0.16であり、誘電率異方性(Δε)は、約16.8である。前記一般式5の屈折率(Δn)は、約0.15であり、誘電率異方性(Δε)は、約14.4である。前記一般式6の屈折率(Δn)は、約0.17であり、誘電率異方性(Δε)は、約15.5である。
【0066】
前記一般式1〜前記一般式6は、それぞれ下記合成例1〜6に従い形成される。しかしながら、このような実施形態に何ら限定されるものではなく、前記一般式1〜前記一般式6は、様々な合成例により形成可能であるということはいうまでもない。
【0068】
前記合成例1−6に示すDASTは、N,N−ジエチルアミノ硫黄トリフルオリドである。本発明の実施形態において、DASTは、カルボニルから脱酸素的にフッ素置換を行うための試薬として使用可能である。本発明は、これに限定されるものではなく、DASTの代わりに、カルボニルをフッ素置換するために、DAST DeoxoFluor、TFEDMA(N,N−ジメチル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルアミン)、固体においてより安定的なXtalFluor−E及びXtalFluor−M、FluoLeadなどが使用可能である。
【0069】
前記一般式PI−1〜前記一般式PI−4で表わされる化合物は、全体の液晶組成物の総含量に対して約1〜10wt%含まれる。
【0070】
本発明の実施形態による液晶組成物は、下記一般式A−1〜下記一般式A−8で表わされるアルケニル系液晶化合物のうちの少なくとも一つを更に含む。
【0072】
前記一般式A−1〜前記一般式A−8において、X、Yは、それぞれ独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基のうちのいずれか一つである。このとき、全体の液晶組成物において、一般式A−1の化合物は10〜45wt%の含量を、一般式A−2の化合物は3〜15wt%の含量を、一般式A−3の化合物は2〜15wt%の含量を、一般式A−4の化合物は5〜10wt%の含量を、一般式A−5の化合物は2〜8wt%の含量を、一般式A−6の化合物は5〜22wt%の含量を、一般式A−7の化合物は2〜10wt%の含量を、一般式A−8の化合物は2〜15wt%の含量を有する。
【0073】
アルケニル系液晶化合物は、本発明の一実施形態による液晶組成物において低粘度中性液晶であり、他の液晶化合物に比べて低い粘度特性を有するため、高速応答特性を示す。
【0074】
本発明の実施形態による液晶組成物は、下記一般式N−1〜下記一般式N−5で表わされる中性化合物のうちの少なくとも一つを更に含む。
【0076】
前記一般式N−1〜前記一般式N−5において、X、Yは、それぞれ独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基のうちのいずれか一つである。このとき、全体の液晶組成物を基準として、一般式N−1の化合物は1〜5wt%の含量を、一般式N−2の化合物は5〜15wt%の含量を、一般式N−3の化合物は5〜20wt%の含量を、一般式N−4の化合物は0.5〜5wt%の含量を、一般式N−5の化合物は2〜7wt%の含量を有する。
【0077】
本発明の実施形態による液晶組成物は、下記一般式P−1〜下記一般式P−11で表わされる極性化合物のうちの少なくとも一つを更に含む。
【0079】
前記一般式P−1〜前記一般式P−11において、
Xは、それぞれ独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基のうちのいずれか一つである。このとき、一般式P−1の化合物は5〜10wt%の含量を、一般式P−2の化合物は5〜15wt%の含量を、一般式P−3の化合物は1〜5wt%の含量を、一般式P−4の化合物は5〜15wt%の含量を、一般式P−5の化合物は0.5〜5wt%の含量を、一般式P−6の化合物は2〜15wt%の含量を、一般式P−7の化合物は2〜7wt%の含量を、一般式P−8の化合物は5〜20wt%の含量を、一般式P−9の化合物は2〜15wt%の含量を、一般式P−10の化合物は5〜10wt%の含量を、一般式P−11の化合物は3〜10wt%の含量を有する。
【0080】
本発明の実施形態による液晶組成物の誘電率異方性(Δε)は、5〜20であることが好ましい。
【0081】
本発明の実施形態による液晶組成物は、酸化防止剤を更に含む。酸化防止剤は、後述する本発明の一実施形態による液晶表示装置の光特性を阻害しないつつも、液晶表示装置の製造工程中やそれ以降に発生するアルケニル系液晶化合物又はアルコキシ系化合物の酸化を防ぐ。すなわち、酸化防止剤は、光、熱、及び開始剤によるアルケニル系及びアルコキシ系液晶化合物の一次的な酸化を防ぐ。
【0082】
本発明の実施形態による酸化防止剤は、アルキル化モノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、トコフェロール、ヒドロキシ化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、O−、N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロネート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、リン酸ベンジル、アシルアミノフェノール、1価又は多価アルコール、1価又は多価アルコールとβ−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸のエステル、1価又は多価アルコールとβ−(5−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロピオン酸のエステル、1価又は多価アルコールとβ−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸のエステル、1価又は多価アルコールと3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステル、β−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、アスコルビン酸、及びアミン酸化防止剤よりなる群から選ばれる少なくともいずれか一種である。
【0083】
以下、上述した液晶組成物を含む液晶表示装置について説明する。
【0084】
図1は、本発明の一実施形態による液晶表示装置を示す平面図である。
図2は、
図1の切取線II−IIに沿って切り取った断面図である。
【0085】
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施形態による液晶表示装置は、相対向する下部表示板100及び上部表示板200と、下部表示板100と上部表示板200の間に配設される液晶層3とを備える。
まず、下部表示板100について説明する。
【0086】
透明ガラス製又はプラスチック製の第1の基板110の上にゲート線121を有するゲート導電体が形成されている。
【0087】
ゲート線121は、ゲート電極124及び他の層又は外部駆動回路との接続のための広い先端部(図示せず)を備える。ゲート線121は、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金などアルミニウム系金属、銀(Ag)や銀合金など銀系金属、銅(Cu)や銅合金など銅系金属、モリブデン(Mo)やモリブデン合金などモリブデン系金属、クロム(Cr)、タンタル(Ta)及びチタン(Ti)などにより製作される。しかしながら、ゲート線121は、物理的な性質が異なる少なくとも2つの導電膜を有する多重膜構造であってもよい。
【0088】
ゲート線121の上には、ケイ素窒化物(SiNx)又はケイ素酸化物(SiOx)などからなるゲート絶縁膜140が形成されている。ゲート絶縁膜140は、物理的な性質が異なる少なくとも2つの絶縁層を有する多層膜構造であってもよい。
【0089】
ゲート絶縁膜140の上には、非晶質ケイ素又は多結晶ケイ素により形成される半導体層154が配設される。半導体層154は、酸化物半導体により形成される。
【0090】
半導体層154の上には、オーミックコンタクト部材163、165が形成されている。オーミックコンタクト部材163、165は、リンなどのn型不純物が高濃度でドープされているn
+水素化非晶質ケイ素などの物質により形成されるか、あるいは、シリサイドにより形成される。オーミックコンタクト部材163、165は、対をなして半導体層154の上に配置される。半導体層154が酸化物半導体である場合、オーミックコンタクト部材163、165は省略可能である。
【0091】
オーミックコンタクト部材163、165及びゲート絶縁膜140の上には、ソース電極173付きデータ線171及びドレイン電極175付きデータ導電体が形成されている。
【0092】
データ線171は、他の層又は外部駆動回路との接続のための広い先端部(図示せず)を備える。データ線171はデータ信号を送信し、主として縦方向に伸びてゲート線121と交差する。
【0093】
このとき、データ線171は、液晶表示装置の高い透過率を得るために折れ曲がった折曲部を有し、折曲部は、画素領域の中間領域において遭遇してV字状を呈する。
【0094】
ソース電極173はデータ線171の一部であり、データ線171と同じ線の上に配置される。ドレイン電極175は、ソース電極173と平行に伸びるように形成されている。このため、ドレイン電極175は、データ線171の一部と平行である。
【0095】
ゲート電極124と、ソース電極173及びドレイン電極175は、半導体層154とともに一つの薄膜トランジスター(thin film transistor;TFT)をなし、薄膜トランジスターのチャンネルは、ソース電極173とドレイン電極175との間の半導体層154の部分に形成される。
【0096】
本発明の実施形態による液晶表示装置は、データ線171と同じ線の上に配設されるソース電極173と、データ線171と平行に伸びるドレイン電極175と、を備えることにより、データ導電体が占める面積を広げなくても薄膜トランジスターの幅を広げることができ、これにより、液晶表示装置の開口率が高くなる。
【0097】
データ線171及びドレイン電極175は、モリブデン、クロム、タンタル及びチタンなどの耐火性金属又はこれらの合金により形成されることが好ましく、耐火性金属膜(図示せず)及び低抵抗導電膜(図示せず)を有する多重膜構造である。多重膜構造の例としては、クロム又はモリブデン(合金)下部膜及びアルミニウム(合金)上部膜の二重膜、モリブデン(合金)下部膜と、アルミニウム(合金)中間膜及びモリブデン(合金)上部膜の三重膜が挙げられる。
【0098】
データ導電体171、173、175と、ゲート絶縁膜140及び半導体154の露出された部分の上には、第1の保護膜180aが配置されている。第1の保護膜180aは、有機絶縁物質又は無機絶縁物質などにより形成される。
【0099】
第1の保護膜180aの上には、第2の保護膜180bが形成されている。第2の保護膜180bは、有機絶縁物により形成される。
【0100】
第2の保護膜180bは、カラーフィルターである。第2の保護膜180bがカラーフィルターである場合、第2の保護膜180bは基本色のうちのいずれか一つを固有に表示し、基本色の例としては、赤色、緑色、青色などの三原色又は黄色、青緑色、紫紅色などが挙げられる。図示はしないが、カラーフィルターは、基本色に加えて、基本色の混合色又は白色を表示するカラーフィルターを更に備える。第2の保護膜180bがカラーフィルターである場合には、後述する上部表示板200におけるカラーフィルター230は省略可能である。本発明の実施形態の変形例によれば、第2の保護膜180bは有機絶縁物質により形成され、第1の保護膜180aと第2の保護膜180bとの間にカラーフィルター(図示せず)を形成する。
【0101】
第2の保護膜180bの上には共通電極270が配設される。共通電極270は面状であり、基板110の全面の上に単一板状に形成されており、ドレイン電極175の周りに対応する領域に配置されている開口部138を有する。すなわち、共通電極270は平面板状を呈する。
【0102】
隣の画素に配設される共通電極270は互いに連結されて、前記共通電極270には表示領域の外部から供給される所定の大きさの共通電圧が印加される。
【0103】
共通電極270の上には絶縁膜180cが配設される。絶縁膜180cは、有機絶縁物質又は無機絶縁物質などにより形成される。
【0104】
絶縁膜180cの上には画素電極191が配設される。画素電極191は、データ線171の折曲部と略平行な曲線縁を有する。画素電極191は複数の切欠部91を有し、隣の切欠部91の間に配設される複数の枝電極192を備える。
【0105】
画素電極191は第1の電場生成電極又は第1の電極であり、共通電極270は第2の電場生成電極又は第2の電極である。画素電極191及び共通電極270は、フリンジフィールドなどを形成する。
【0106】
第1の保護膜180aと、第2の保護膜180b及び絶縁膜180cには、ドレイン電極175を露出させる第1のコンタクト孔185が形成されている。画素電極191はコンタクト孔185を介してドレイン電極175と電気的に接続されて該画素電極191にドレイン電極175から電圧が印加される。
【0107】
画素電極191及び絶縁層180cの上には、第1の配向膜11が形成されている。第1の配向膜11は水平配向膜であり、所定の方向にラビングされている。第1の配向膜11は光配向膜である。
【0109】
上部表示板200には、透明ガラス製又はプラスチック製の第2の基板210と、遮光部材220と、複数のカラーフィルター230及びオーバーコート膜250が形成されている。カラーフィルター230の間に遮光部材200が配設され、第2の基板210とオーバーコート膜250との間にカラーフィルター230及び遮光部材200が配設される。
【0110】
遮光部材220はブラックマトリックスとも呼ばれ、光漏れを防ぐ。
【0111】
下部表示板100の第2の保護膜180bがカラーフィルターである場合、又は下部表示板100にカラーフィルターを形成した場合に、上部表示板200のカラーフィルター230は省略可能である。なお、上部表示板200の遮光部材220もまた下部表示板100に形成される。
【0112】
オーバーコート膜250は有機絶縁物により形成され、カラーフィルター230が露出されることを防いで平坦面を提供する。オーバーコート膜250は省略可能である。
【0113】
オーバーコート膜250と液晶層3との間に第2の配向膜21が形成されている。第2の配向膜21は、上述した第1の配向膜11と同じ物質により形成される。
【0114】
下部表示板100と上部表示板200との間には、液晶層3が介在されている。本発明の実施形態において、液晶層3は、正の誘電率異方性を有する液晶物質を含み、具体的に、上述した液晶組成物に関する内容が適用される。
【0115】
液晶層3の液晶物質は、その長軸方向が表示板100、200に平行に配列される。
【0116】
画素電極191にはドレイン電極175からデータ電圧が印加され、共通電極270には表示領域の外部に配置されている共通電圧印加部から所定の大きさの共通電圧が印加される。
【0117】
電場生成電極である画素電極191及び共通電極270は、電場を生成することにより、両電場生成電極191、270の上に配設される液晶層3の液晶は電場の方向に対して垂直又は平行な方向に回転する。このようにして決定された液晶分子の回転方向に応じて液晶層を通過する光の偏光が異なってくる。
【0118】
このように、一枚の表示板100の上に2つの電場生成電極191、270を形成することにより、液晶表示装置の透過率が上がり、広視野角が得られる。
【0119】
図示の実施形態による液晶表示装置によれば、共通電極270が面状の平面状を有し、画素電極191が複数の枝電極を有するが、本発明の他の実施形態による液晶表示装置によれば、画素電極191が面状の平面状を有し、共通電極270が複数の枝電極を有してもよい。
【0120】
本発明は、2つの電場生成電極が第1の基板110の上に絶縁層を間に挟んで重なり合い、絶縁層の下に形成されている第1の電場生成電極が面状の平面状を有し、絶縁層の上に形成されている第2の電場生成電極が複数の枝電極を有するあらゆる他の場合に適用可能である。
【0121】
表示板100、200の外側面にはそれぞれ偏光子(図示せず)が設けられるが、前記偏光子の透過軸は直交し、これらのうちの一方の透過軸は、ゲート線121に対して平行であることが好ましい。反射型液晶表示装置の場合には2つの偏光子のうちのいずれか一方が省略可能である。
【0122】
以下、本発明の一実施形態による液晶組成物及びこの物性について説明する。下記表1は比較例1を示し、下記表2は実施例1を示し、下記表3は比較例2を示し、下記表4は実施例2を示し、下記表5は基準例を示す。
【0124】
上記表において、X、Yは、それぞれ独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基のうちのいずれか一つを含む。比較例1は、本発明の一実施形態による液晶化合物のうち、一般式PI−1〜一般式PI−4で表わされる化合物を含んでおらず、且つ、一般式A−1、一般式A−2、一般式A−5、一般式N−3、一般式P−7、一般式P−8、一般式P−11で表わされる化合物を含む。このような比較例1に対する物性の評価を行ったところ、屈折率(Δn)は約0.12〜0.14であり、誘電率異方性(Δε)は約4.9〜5.1であり、回転粘度(γ1)は約55〜65である。
【0126】
実施例1は、本発明の一実施形態による液晶組成物のうち、一般式2、一般式4及び一般式7で表わされる化合物を含む。
【0127】
これに対して物性の評価を行ったところ、屈折率(Δn)は約0.127であり、誘電率異方性(Δε)は約5.5であり、回転粘度(γ1)は約59である。このような物性は、比較例1に含まれる、一般式N−3で表わされるテルフェニル系液晶化合物のうちの一部が省略されても、従来より用いられてきた液晶組成物に求められる物性を満たすことを示す。
【0129】
前記表において、X、Yは、互いに独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基のうちのいずれか一つを含む。比較例2は、本発明の一実施形態による液晶化合物のうち、一般式PI−1〜一般式PI−4で表わされる化合物を含んでおらず、且つ、一般式A−1、一般式A−6、一般式A−8、一般式P−8、一般式P−9、一般式P−10、一般式P−11で表わされる化合物を含む。このような比較例2に対する物性の評価を行ったところ、屈折率(Δn)は約0.13〜0.15であり、誘電率異方性(Δε)は約17.8〜18.2であり、回転粘度(γ1)は約90〜100である。
【0131】
実施例2は、実施例1と同様に、本発明の一実施形態による液晶組成物のうち、一般式2、一般式4及び一般式6で表わされる化合物を含む。但し、ここに混合されるアルケニル系液晶化合物、中性化合物及び極性化合物に相違点がある。
【0132】
これに対して物性の評価を行ったところ、屈折率(Δn)は約0.138であり、誘電率異方性(Δε)は約17.8であり、回転粘度(γ1)は約90である。実施例2は、一般式P−8で表わされるテルフェニル系液晶化合物を含んでいない液晶組成物であり、このような液晶化合物を含む液晶組成物もまた、液晶表示装置に求められる物性を有することが確認された。
【0133】
図3は、本発明の一実施形態による液晶組成物を用いた液晶表示装置の電圧保全率による信頼性の改善効果を示すグラフである。
図3において、基準例は、下記表1に示す従来の量産液晶組成物を用いて製造した液晶表示装置である。
【0135】
比較例1は、一般式P−8の化合物に該当する下記一般式P−8aを従来の量産液晶組成物に15wt%で追加したものであり、比較例2は、一般式P−8の化合物に該当する下記一般式P−8bを従来の量産液晶組成物に15wt%で追加したものである。実施例1は、一般式2の化合物を従来の量産液晶組成物に15wt%で追加したものであり、実施例2は、一般式4の化合物を従来の量産液晶組成物に15wt%で追加したものであり、実施例3は、一般式6の化合物を従来の量産液晶組成物に15wt%で追加したものである。換言すると、実施例1、2、3は、従来の量産液晶組成物に、テルフェニル系液晶化合物の代わりに、正の極性を有するポリフルオロ化インダン系の化合物を追加したものである。
【0137】
図3を参照すると、比較例1、2は、テルフェニル系液晶化合物を追加することにより、基準例に比べて電圧保全率が低減されることが確認される。テルフェニル系液晶化合物は、一般に、応答速度の改善のための低いセルギャップにおいて屈折率を高める役割を果たすが、信頼性を低下させるという問題があった。
【0138】
本発明の一実施形態によれば、高誘電率を有するポリフルオロ化インダン系の液晶化合物を含むことから、低電圧特性を示し、テルフェニル系液晶化合物の一部に取って代わる新規な量の極性液晶化合物を含むことから、信頼性を改善することができる。
【0139】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれらに限定されるものではなく、下記の特許請求の範囲において定義している基本概念を用いた当業者の色々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属するものである。