(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709110
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】表面保護カバー用原反、表面保護カバー用原反の製造方法、物品の表面保護方法、表面が保護された物品
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20200601BHJP
C09J 7/20 20180101ALI20200601BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20200601BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20200601BHJP
B32B 3/08 20060101ALI20200601BHJP
B65D 65/14 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/20
C09J201/00
B32B27/00 M
B32B3/08
B65D65/14
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-109977(P2016-109977)
(22)【出願日】2016年6月1日
(65)【公開番号】特開2017-19999(P2017-19999A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2019年2月4日
(31)【優先権主張番号】特願2015-137961(P2015-137961)
(32)【優先日】2015年7月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安田 匡弘
【審査官】
田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−205467(JP,A)
【文献】
特開昭54−085236(JP,A)
【文献】
特開平10−265747(JP,A)
【文献】
特開平10−017066(JP,A)
【文献】
特開平02−107684(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3174978(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 1/00−43/00
B65D 65/00−65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと粘着剤層とからなる表面保護カバー用原反であって、
前記粘着剤層が前記基材フィルムの一方の面の幅方向概略中央部に設けられていることを特徴とする建築用材料、家具またはOA機器の表面を被覆する表面保護カバー用原反。
【請求項2】
前記粘着剤層が、前記表面保護カバー用原反の長さ方向に連続していることを特徴とする請求項1に記載の建築用材料、家具またはOA機器の表面を被覆する表面保護カバー用原反。
【請求項3】
前記建築用材料が外装材、内装材、柱材及び床材のいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の建築用材料の表面を被覆する表面保護カバー用原反。
【請求項4】
前記建築用材料が窯業系サイディングであることを特徴とする請求項3記載の建築用材料の表面を被覆する表面保護カバー用原反。
【請求項5】
前記家具がテーブルまたは作業台であることを特徴とする請求項1または2記載の家具の表面を被覆する表面保護カバー用原反。
【請求項6】
前記OA機器がテレビまたはパソコンであることを特徴とする請求項1または2記載のOA機器の表面を被覆する表面保護カバー用原反。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装材、内装材、柱材、床材等の建築用材料、テーブルや作業台等の家具、テレビやパソコン等のOA機器等、各種物品の表面を保護する表面保護カバーに関する。詳しくは、表面保護カバー用原反、表面保護カバー用原反の製造方法、物品の表面保護方法および表面が保護された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
戸建て住宅等の外装材として用いられる窯業系サイディングは、工場内で成型され、所定の寸法に切断された後、トラック等で建築現場に運ばれ、施工される。切断後、施工されるまでの間、サイディングは集積され、その表面を保護するために角底袋が被せられているが、集積されたサイディングは大きい(980mm×3080mm×600mm前後)為、角底袋を被せる作業を一人で行うことは難しかった。またトラック等で輸送する際に、運転者等は角底袋が被せられたサイディング集積物の上をしばしば歩行するが、角底袋がずれて滑ることがあった。
【0003】
特許文献1は、パレット上の積載物の上部を被覆するカバーに関する発明である。該カバーは、平面状天井部と、この平面状天井部に連結した側壁部と、側壁部に取り付けらえた係止部材とからなる。係止部材の係止を解除するとカバーがフラットな形状になる為、カバーを被保護物に被せる作業(以下、被覆作業と称する)は角底袋より簡単であるが、被保護物が大きい場合は、やはり一人で被覆作業を行うことは困難であった。またカバーが被せられた被保護物上を人が歩行すると滑りやすいという問題は、何ら改善されていない。
【0004】
特許文献2は、金属板や塗装鋼板、樹脂板、ガラス板等の表面を二次加工中および輸送や保管時において傷の発生、あるいは埃附着から保護するための表面保護フィルムに関する発明である。該表面保護フィルムは、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムとその片面に設けられた粘着剤から成る。該表面保護フィルムは、粘着剤により被保護物に貼着されるため、保護フィルムが被せられた被保護物上を人が歩行しても、表面保護フィルムがずれにくく、歩行者は滑りにくい。
しかしながら該表面保護フィルムは片面全域に粘着剤を備えるため、被保護物が大きい場合、一人で被覆作業を行うと、被覆作業時に粘着剤によってフィルム同士が貼着して皺くちゃになることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−81270号公報
【特許文献2】特開平2−107684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、表面保護カバーが被せられた被保護物上を人が歩行しても滑りにくく、被保護物が大きくても一人で被覆作業を行い得る表面保護カバーの提供である。詳しくは、該表面保護カバー用原反ならびに該原反の製造方法、該原反を用いた物品の表面保護方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、カバーが被せられた被保護物上を人が歩行しても滑りにくくするためには、少なくとも被保護物の天面において、表面保護カバーが被保護物に貼合していることが望ましいことを見出した。更に、基材フィルムの一方の面(片面)全域に粘着剤層を設けるのではなく、(1)基材フィルムの一方の面の幅方向概略中央部分に粘着剤層を設ける、もしくは(2)基材フィルムを扁平に折り畳まれたチューブ状とし、扁平に折り畳まれることにより区分される基材フィルムの二つの外面のうち、一方の外面に粘着剤層を形成することにより、被保護物が大きい場合であっても、被覆作業時にフィルム同士が貼着して皺くちゃになることが防止されることを見出し、本発明に至った。
【0008】
即ち、本発明によると上記課題を解決するための手段として、基材フィルムと粘着剤層とからなる表面保護カバー用原反であって、前記粘着剤層が前記基材フィルムの一方の面の幅方向概略中央部に設けられていることを特徴とする表面保護カバー用原反が提供される。
また、基材フィルムと粘着剤層とからなる表面保護カバー用原反であって、前記基材フィルムは扁平に折り畳まれたチューブ状であり、扁平に折り畳まれることにより区分される基材フィルムの二つの外面のうち、一方の外面に粘着剤層が形成されていることを特徴とする表面保護カバー用原反が提供される。
また、扁平に折り畳まれることにより区分される基材フィルムの二つの外面のうち、粘着剤層が形成されていない外面に、表面保護カバー用原反の長さ方向に延在する切断手段が設けられていることを特徴とする前記表面保護カバー用原反が提供される。
また、扁平に折り畳まれることにより区分される基材フィルムの二つの外面のうち、粘着剤層が形成されていない外面に、表面保護カバー用原反の長さ方向に延在する切れ目を有することを特徴とする前記表面保護カバー用原反が提供される。
また、前記基材フィルムが、側面にガゼット部を備えることを特徴とする前記表面保護カバー用原反が提供される。
また、前記粘着剤層が、前記表面保護カバー用原反の長さ方向に連続していることを特徴とする前記表面保護カバー用原反が提供される。
【0009】
併せて、前記表面保護カバー用原反の製造方法であって、インフレーション押出成形法にてチューブ状の基材フィルムを製造する工程と、該チューブ状の基材フィルムを扁平に折り畳む工程と、扁平に折り畳まれたチューブ状基材フィルムの一方の外面に粘着剤層を設ける工程と、を備えることを特徴とする表面保護カバー用原反の製造方法が提供される。
また、前記表面保護カバー用原反を用いた物品の表面保護方法であって、前記表面保護カバー用原反の粘着剤層を物品の天面に貼着する工程と、前記表面保護カバー用原反を幅方向に切断する工程と、を備えることを特徴とする物品の表面保護方法が提供される。
また、更に、表面保護カバーの裾部をストレッチフィルムで固定する工程を備えることを特徴とする前記物品の表面保護方法が提供される。
更に、前記表面保護方法によって、表面が保護されたことを特徴とする物品が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の表面保護カバー用原反は、(1)基材フィルムの幅方向の概略中央部分に粘着剤層が形成されており、もしくは(2)基材フィルムが扁平に折り畳まれたチューブ状であり、扁平に折り畳まれることにより区分される基材フィルムの二つの外面のうち、一方の外面に粘着剤層が形成されており、表面保護カバーを被保護物の天面に貼合することができるため、カバーを被せられた被保護物上を人が歩行しても滑りにくい。また、粘着剤層が基材フィルムの全面に形成されていない為、一人で被覆作業を行っても、フィルム同士が貼着して皺くちゃになることがない。
また本発明の表面保護カバー用原反が、(2)基材フィルムが扁平に折り畳まれたチューブ状であり、扁平に折り畳まれることにより区分される基材フィルムの二つの外面のうち、一方の外面に粘着剤層が形成されたものであれば、表面保護カバー用原反の幅が、表面保護カバー幅よりも非常に狭くなる。よってハンドリング性に優れたものとなる。
本発明の表面保護カバー用原反の製造方法によると、インフレーション押出成形法による製膜工程に粘着剤層を設ける工程を加え、必要に応じチューブ状のフィルムをシート状に切り開く工程あるいは切断手段等を設ける工程を加えるだけで、極めて簡単に前述した表面保護カバー用原反を得ることができる。またインフレーション押出成形法によって得られるチューブ状の基材フィルムを、フィルム状に切り開いて粘着剤層を設けるのではなく、扁平に折り畳んで粘着剤層を設けるため、粘着剤層を設ける為の設備をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の表面保護カバー用原反の第一の実施形態を示した概略斜視図である。
【
図2】本発明の表面保護カバー用原反の製造方法の、製膜工程(a)、ピンチング工程(b)、粘着剤層形成工程(c)、開環工程(d)を表す概略図である。
【
図3】本発明の表面保護カバー用原反の製造工程の、開環工程(d−1)、(d−2)を表す概略図である
【
図4】本発明の表面保護方法を表す概略図(A)(B)である。
【
図5】本発明の表面保護方法を表す概略図(A)(B)(C)である。
【
図6】本発明の表面保護カバー用原反の第二の実施形態を示した概略斜視図である。
【
図7】本発明の表面保護方法を表す概略図(A)(B)(C)である。
【
図8】本発明の表面保護方法を表す概略図(A)(B)(C)である。
【
図9】本発明の表面保護カバー用原反の第三の実施形態を示した概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の表面保護カバー用原反は、基材フィルムと粘着剤層とからなる。
【0013】
本発明の基材フィルムの原材料は特に限定されるものではないが、後述するインフレーション押出成形法にて基材フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のα−オレフィンホモポリマー、エチレンとα−オレフィンの共重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等を使用することができる。これらの中でも、価格、製膜性、強度等を考慮すると、エチレンとα−オレフィンの共重合体が好ましい。尚、熱可塑性樹脂は、必要に応じ、ブレンドして使用することもできる。また本発明の基材フィルムは、上述した樹脂から成る単層フィルムであってもよいが、多層フィルムであってもよい。
【0014】
本発明の表面保護カバーに用いられる粘着剤層の原材料は特に限定されるものでなく、ホットメルト系粘着剤、アクリル系粘着剤等、従来公知の粘着剤を使用することができる。粘着剤層は、表面保護カバー使用中には該カバーが被保護物から剥がれ落ちず、使用後には該カバーを糊残りなく剥離できる程度の粘着力であることが望ましい。このような粘着力は、粘着剤の種類や塗布量、塗布面積を調整することにより達成できる。
【0015】
[表面保護カバー用原反(第一実施形態)]
図1は、本発明の表面保護カバー用原反10の第一の実施の形態を示した概略斜視図である。該基材フィルム11は、ロール巻にされた表面保護カバー用原反10の繰り出しを容易にするために、滑剤を含むことができる。また基材フィルム11を多層フィルムとし、粘着剤層が形成されていない表面層に滑剤を添加することもできる。
【0016】
第一の実施形態において粘着剤層12は、基材フィルム11の一方の面の幅方向概略中央部に設けられている。これは粘着剤層12を、被保護物の天面に貼着することを想定している為である。粘着剤層12が、基材フィルム11の左右どちらか偏った位置に在ると、該粘着剤層12を被保護物の天面に貼着した際に、基材フィルム11が被保護物を左右対称に保護できない可能性が高い。また該粘着剤層12は、表面保護カバー用原反の長さ方向に連続していることが望ましい。粘着剤層12が連続していると、表面保護カバー用原反の長さ方向で、粘着力が変化し難い。
【0017】
粘着剤層12の幅αは被保護物の天面の幅に合わせて決定すればよいが、基材フィルムの幅βの1/2以下であることが望ましく、幅βの1/4以上であることが望ましい。特に幅αは、βの1/2よりも若干(数cm程度)狭いことが望ましい。粘着剤層12の幅αが基材フィルムの幅βの1/2を大きく超えると、被覆作業時にフィルム同士が貼り付いて皺くちゃになる恐れがある。また幅αが幅βの1/4未満であると、表面保護カバーが被保護物に確実に貼着されず、カバーが被せられた被保護物上を歩行する際に滑りやすくなる。また幅αが幅βの1/2以下であると、後述する製造方法、即ちチューブ状の基材フィルムを扁平に折り畳んだ状態で粘着剤層を設ける製造方法が可能となる。
【0018】
本発明の表面保護カバー用原反の製造方法は、インフレーション押出成形法にてチューブ状の基材フィルムを製造する工程(以下、製膜工程と略称する)と、該チューブ状の基材フィルムを扁平に折り畳む工程(以下、ピンチング工程と略称する)と、扁平に折り畳まれたチューブ状基材フィルムの一方の外面に粘着剤層を設ける工程(以下、粘着剤層形成工程と略称する)とを備える。
図1に示す表面保護カバー用原反を得るためには、更にチューブ状基材フィルムを、フィルム長さ方向に切断しシート状に成形する工程(以下、開環工程と略称する)を要する。
【0019】
図2は、本発明の表面保護カバー用原反の製造工程の、製膜工程(a)、ピンチング工程(b)、粘着剤層形成工程(c)、開環工程(d)を表す概略図である。
図2に示すピンチング工程(b)では、チューブ状の基材フィルムをピンチロール23にて扁平に折り畳んでいる。基材フィルムにガゼットを設ける場合は、フィルムをピンチロール23に導入する前に、三角板等に沿わせる等してガゼットを形成すればよい。
また
図2に示す粘着剤層形成工程(c)では、グラビアコーター24によって、粘着剤層を扁平に折り畳まれたチューブ状基材フィルムの一方の外面に塗工しているが、その塗工方法はグラビアコーターに限定されるものではなく、スプレーコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、フローティングナイフコーター、キスロールコーター、インバーテッドナイフコーター、エアナイフコーター、ダイレクトロールコーター、プレードコーター等、公知の塗工方法を用いることができる。
図2に示す開環工程(d)では、カッター25にて、扁平に折り畳まれたチューブ状フィルムの上側のフィルムのみ切り開いている。
尚、製膜工程(a)及びピンチング工程(b)と、粘着剤形成工程(c)、開環工程(d)は一貫した製造ラインで行ってもよく、製膜工程(a)及びピンチング工程(b)を連続した製造ラインで行った後、一旦基材フィルムを巻取り、別の製造ラインで粘着剤形成工程(c)や開環工程(d)を行っても良い。
【0020】
図3は、開環工程の一実施形態を表す説明図(d−1)と、別の実施形態を表す説明図(d−2)である。(d−1)に示す基材フィルム31aは、チューブ状の基材フィルムがそのまま扁平に折り畳まれ、その一方の外面に粘着剤層32aが形成されているが、粘着剤層32aが形成されていない外面の中央部分を切り開くことにより、本実施形態の表面保護カバー用原反30aとなる。(d−2)に示す基材フィルム31bは、チューブ状の基材フィルムが、側面にガゼットが形成され、扁平に折り畳まれてなる。該チューブ状の基材フィルム31bも、粘着剤層が形成されていない外面の中央部分を切り開くことにより、本実施形態の表面保護カバー用原反30bとなる。
尚、被保護物が高さのある物品の場合、(d−2)に示す、側面にガゼットのあるチューブ状の基材フィルムから形成された表面保護カバー用原反30bを用いることが望ましい。(d−2)に示す表面保護カバー用原反30aは、粘着剤層32bの幅に対して、基材フィルム31bの幅が広く、高さのある物品であっても裾の方まで覆うことができる。
【0021】
図4は、第一実施形態の表面保護カバー用原反を用いた物品の表面保護方法の一実施の形態を表す説明図(A)(B)である。本実施形態の表面保護方法では、まず表面保護カバー用原反40の粘着剤層を、被保護物(物品)44の天面に貼着する(
図4(A))。次いで、表面保護カバー用原反40を必要な長さだけ繰り出し、幅方向に切断し(
図4(B))、物品の表面保護が完了する。尚、本発明は被保護物が水平な天面を持つ物品である場合に、その効果を特に発揮する。
【0022】
図5は、被保護物54の底面を除くすべての面を表面保護カバー50で被覆(保護)する方法である。まず、表面保護カバー用原反50の先端を被保護物54の側面下部に貼着し、次いでカバー用原反50を繰り出しながら、被保護物の側面、天面に貼着していく(
図5(A))。初めに表面保護カバー用原反を貼着した面と向かい合う面まで、表面保護カバー用原反50で覆った段階で、表面保護カバー用原反50を幅方向に切断する(
図5(B))。この状態で、物品の表面保護を完了してもよいが、
図5に示す実施形態では、更に表面保護カバー55の裾部55Aがバタつくことを防止するために、裾部55A周辺にストレッチフィルムSを巻きつけ、該裾部55Aを固定している(
図5(C))。
【0023】
[表面保護カバー用原反(第二実施形態)]
図6は、基材フィルム61がチューブ状である表面保護カバー用原反60の概略斜視図である。基材フィルム61は、扁平に折り畳まれたチューブ状であり、扁平に折り畳まれることにより区分される基材フィルム61の二つの外面61A、61Bのうち、一方の外面61Aに粘着剤層62が形成され、他方の外面61Bに切れ目61Cが形成されている。
【0024】
チューブ状の基材フィルム61は、扁平に折り畳まれた状態で長期間保存されると、内面(チューブの内側となる面)同士が疑似接着する恐れがある。内面同士が疑似接着すると、カバー用原反を切断して表面保護カバーとする際に、フィルムが開きにくくなる。このような現象を防止するためには、基材フィルム61に滑剤を添加するとよい。滑剤の添加は、基材フィルム61全体に行ってもよいが、滑剤の量を減らすために、基材フィルム61を多層フィルムとし最内層(チューブの内側となる層)にのみに添加してもよい。
【0025】
また粘着剤層62の幅α’は、表面保護カバーが被保護物に確実に貼着するために、基材フィルム61が扁平に折りたたまれることにより区分される二つの外層61A、61Bの幅と同程度、或いはそれよりも若干(数cm程度)狭いことが望ましい。粘着剤層62の幅α’が狭すぎると、表面保護カバーが被包装物に確実に貼着されず、カバーが被せられた被保護物上を歩行する際に滑りやすくなる。
【0026】
第二実施形態の表面保護カバー用原反は、例えばインフレーション押出成形法にてチューブ状の基材フィルムを製造し、得られたチューブ状の基材フィルムを扁平に折り畳み、更に扁平に折り畳まれたチューブ状基材フィルムの一方の外面に粘着剤層を設け、該粘着剤層が設けられていない方の外面に切れ目を入れ、これを芯材に巻き取ることによって得ることができる。
【0027】
図7は、第二実施形態の表面保護カバー用原反を用いた物品の表面保護方法の一実施の形態を表す説明図(A)(B)(C)である。まず表面保護カバー用原反70の先端を被保護物74の側面下部に貼着し、次いでカバー用原反70を繰り出しながら被保護物74の側面、天面に貼着していく(
図7(A))。被保護物74全体を覆うに足りるだけカバー用原反70を繰り出した後、該原反70を幅方向に切断する(
図7(B))。最後に裾部75A周辺にストレッチフィルムSを巻き付け、裾部75Aを固定する(図(C))。
【0028】
図8は、
図6に記す表面保護カバー用原反60の切れ目61Cを、切断手段(ミシン目)81Dに変更した表面保護カバー用原反80を用いて、被保護物84を保護する方法を示した概略図である。該保護方法では、まず表面保護カバー用原反80の粘着剤層を、被保護物(物品)84の天面に貼着する(
図8(A))。次いで、表面保護カバー用原反80を必要な長さだけ繰り出し、幅方向に切断し(
図8(B))、更にチューブ状基材フィルム81の切断手段81Dを切り開き、被保護物84を表面保護カバー85で覆い(
図8(C))、物品の表面保護が完了する。該表面保護方法によると、粘着剤層を被保護物84の天面に貼着する際(
図8(A)(B))に基材フィルムがチューブ状であるため、基材フィルムの裾部がもたつくことなく、貼着作業が非常に簡単である。
尚、
図8に示す表面保護方法では、被保護物84の二つの側面が表面保護カバー85で覆われていないが、
図7に示す保護方法と同様に、初めに表面保護カバー用原反80の先端を被保護物84の側面下部に貼着し、該側面と対向する側面下部まで表面保護カバー用原反80を繰り出すことにより、被保護物84全面を表面保護カバー85で覆うこともできる。
【0029】
[表面保護カバー用原反(第三実施形態)]
表面保護カバー用原反の第三の実施形態を
図9に記す。第三実施形態の表面保護カバー用原反90は、側面91E、91Fにガゼットが形成されている。該原反90は、インフレーション押出成形法にてチューブ状の基材フィルムを製造し、これを扁平に折り畳む際に三角板等に沿わせる等して、基材フィルム91にガゼットを形成することにより得ることができる。基材フィルム91が、扁平に折り畳まれ、更にガゼットが形成されたチューブ状のフィルムであると、表面保護カバー用原反90の幅を非常に狭く(表面保護カバーの1/4程度の幅に)することができる。該表面保護カバー用原反90は、非常にコンパクトである為、一人でも容易に展張作業を行うことができる。
【0030】
本発明の表面保護カバー用原反は、扁平に折り畳まれたチューブ状の基材フィルムの、粘着剤層が形成されていない方の外面に、表面保護カバー用原反の長さ方向に延在する切断手段を備えることができる。
図9に示す表面保護カバー用原反90は、一方の外面91Aに粘着剤層92が形成され、他方の外面91Bに切断手段91Dが形成されている。
図9に示す切断手段91Dは、基材フィルム91が部分的に切断された、所謂ミシン目状のものでもよく、基材フィルム91に切り込みが入った、所謂ハーフカット加工によるものでもよい。尚、切断手段91Dに代えて、基材フィルム91が完全に切断された切れ目が形成されていてもよい。
【0031】
本発明の表面保護カバー用原反は、一定間隔毎に、フィルムの幅方向にも切断手段を有することができる。
図9に示す表面保護カバー用原反は、フィルムの幅方向にも切断手段91Gを有する。被保護物が一定長である場合は、予め表面保護カバー用原反90に幅方向の切断手段91Gを設けておくことが望ましい。切断手段91D、91Gが予め設けられていると、被覆作業中に鋏やカッターといった刃物を使用する必要がなくなる。切断手段91Gは、ミシン目状のものあるいはハーフカット加工によるものであることが望ましい。
【0032】
第三実施形態の表面保護カバー用原反は、例えばインフレーション押出成形法にてチューブ状の基材フィルムを製造し、得られたチューブ状の基材フィルムを側面(両サイド)にガゼットを形成しながら扁平に折り畳み、更に扁平に折り畳まれたチューブ状基材フィルムの一方の外面に粘着剤層を設け、更に切断手段を形成し、これを芯材に巻き取ることによって得ることができる。尚、切断手段は、基材フィルムに粘着剤層を設ける前に、形成しても良い。また切断手段に代えて切れ目を形成することもできる。
【0033】
第三実施形態の表面保護カバー用原反を用いて物品の表面を保護する場合は、第二実施形態の表面保護カバー用原反と同様に行うことができる。すなわちチューブ状の基材フィルムの片面に形成された粘着剤層を、被保護物に貼着し、基材フィルムを必要な長さだけ繰り出し、幅方向に切断した後、チューブ状のフィルムを切り開いて、フィルム状の表面保護カバーとすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上、本明細書では、被保護物が窯業系サイディングの集積材である場合を中心に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、食品加工所のテーブル表面を保護する際にも用いることができる。本発明を食品加工所のテーブルを保護する際に用いると、加工作業中に表面保護カバーがテーブルからずれ落ちることがなく、加工作業後には表面保護カバーを汚れごと廃棄することが可能となる。
【符号の説明】
【0035】
10、30a、30b、40、50、60、70、80、90 表面保護カバー用原反
11、31a、31b、61、91 基材フィルム
12、32a、32b、62、92 粘着剤層
23 ピンチロール
24 グラビアコーター
25 カッター
44、54、74、84 被保護物
45、55、75、85 表面保護カバー
55A、75A 裾部
61A、61B、91A、91B 外面
61C 切れ目
81D、91D、91G 切断手段
91E、91F 側面
S ストレッチフィルム