(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709145
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】高電圧電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 9/04 20060101AFI20200601BHJP
H02M 3/07 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
H02M9/04 Z
H02M3/07
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-207828(P2016-207828)
(22)【出願日】2016年10月24日
(65)【公開番号】特開2018-74624(P2018-74624A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 均
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝典
【審査官】
佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−024127(JP,U)
【文献】
実開昭62−061193(JP,U)
【文献】
特開平08−110364(JP,A)
【文献】
実開昭53−162333(JP,U)
【文献】
特公昭37−011744(JP,B1)
【文献】
米国特許第04412967(US,A)
【文献】
特開平01−114918(JP,A)
【文献】
特開2016−015831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 9/04
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の電源ユニットからなる高電圧電源装置であって、
前記電源ユニットは、
負荷に供給するための出力電圧を発生させる電圧発生回路と、
前記電圧発生回路を囲むように設けられた電界緩和電極と、
を備え、
前記電界緩和電極は、少なくともその一部分が前記電圧発生回路を構成する一部の回路素子で構成され、
前記電圧発生回路は、
負荷短絡時の電流増加を抑制する限流インダクタと、
前記限流インダクタに並列接続され、前記負荷短絡時に前記限流インダクタに流れる電流を還流させる、ダイオードおよび抵抗器からなる還流回路と、
を備え、
前記一部の回路素子は、前記限流インダクタを含むことを特徴とする高電圧電源装置。
【請求項2】
前記一部の回路素子は、前記抵抗器をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の高電圧電源装置。
【請求項3】
前記電圧発生回路は、前記限流インダクタおよび前記還流回路を備えた半導体マルクス回路であり、
前記半導体マルクス回路は、
高電位側入力端子、低電位側入力端子、高電位側出力端子および低電位側出力端子と、
前記高電位側入力端子−前記高電位側出力端子間に介装された充電スイッチと、
前記低電位側入力端子−前記低電位側出力端子間に介装された、主スイッチ、主コンデンサおよび前記限流インダクタからなる直列回路と、
前記直列回路に並列接続された整流器と、を備え、
前記充電スイッチと前記主コンデンサと前記限流インダクタと前記整流器とが直列接続されており、前記充電スイッチがオン状態のときに前記主コンデンサが充電され、前記主スイッチがオン状態のときに前記主コンデンサが放電してパルス電圧を発生させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の高電圧電源装置。
【請求項4】
前記一部の回路素子は、前記電圧発生回路の外周部に当該電圧発生回路を包囲するように環状に形成され、前記一部の回路素子により前記電界緩和電極のすべてが構成されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高電圧電源装置。
【請求項5】
直列接続された複数の電源ユニットからなる高電圧電源装置であって、
前記電源ユニットは、
負荷に供給するための出力電圧を発生させる電圧発生回路と、
前記電圧発生回路を囲むように設けられた電界緩和電極と、
を備え、
前記電界緩和電極は、少なくともその一部分が前記電圧発生回路を構成する一部の回路素子で構成され、
前記電界緩和電極は、電界の集中を緩和するための電極部材を有するとともに、複数の角部を有する環状に形成されており、
前記電極部材は、前記角部に設けられており、
前記一部の回路素子は、前記角部同士を連結する辺部に設けられている
ことを特徴とする高電圧電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧電源装置に関し、特に、電界緩和電極を備えた高電圧電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高電圧電源装置は、高電圧を発生させる電圧発生回路と、電界の集中を緩和して絶縁破壊を防ぐ手段としての電界緩和電極とを備える(例えば、特許文献1参照)。電界緩和電極としては、例えば、金属フープ等の専用の導電性材料が使用される。このため、従来の高電圧電源装置では、電界緩和電極の寸法および質量が大きくなり、その結果、装置全体が大型化してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−283299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、装置全体の大型化を抑制することが可能な高電圧電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る高電圧電源装置は、
直列接続された複数の電源ユニットからなる高電圧電源装置であって、
前記電源ユニットは、
負荷に供給するための出力電圧を発生させる電圧発生回路と、
前記電圧発生回路を囲むように設けられた電界緩和電極と、
を備え、
前記電界緩和電極は、少なくともその一部分が前記電圧発生回路を構成する一部の回路素子で構成され
、
前記電圧発生回路は、
負荷短絡時の電流増加を抑制する限流インダクタと、
前記限流インダクタに並列接続され、前記負荷短絡時に前記限流インダクタに流れる電流を還流させる、ダイオードおよび抵抗器からなる還流回路と、
を備え、
前記一部の回路素子は、前記限流インダクタを含むことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、電圧発生回路を構成する回路素子によって電界緩和電極の少なくとも一部が構成されるので、電界緩和電極の材料を削減してその寸法および質量を小さくすることができ、その結果、装置全体の大型化を抑制することができる。
さらに、この構成によれば、限流インダクタによって電界緩和電極の少なくとも一部が構成されるので、少なくとも限流インダクタの分は電界緩和電極の材料を削減することができ、装置全体の大型化を抑制することができる。
【0009】
上記高電圧電源装置では、
前記一部の回路素子は、前記抵抗器をさらに含む
ように構成することができる。
【0010】
この構成によれば、限流インダクタおよび抵抗器によって電界緩和電極の少なくとも一部が構成されるので、少なくとも限流インダクタおよび抵抗器の分は電界緩和電極の電極部材を削減することができ、装置全体の大型化を抑制することができる。
【0011】
上記高電圧電源装置では、
前記電圧発生回路は、前記限流インダクタおよび前記還流回路を備えた半導体マルクス回路であり、
前記半導体マルクス回路は、
高電位側入力端子、低電位側入力端子、高電位側出力端子および低電位側出力端子と、
前記高電位側入力端子−前記高電位側出力端子間に介装された充電スイッチと、
前記低電位側入力端子−前記低電位側出力端子間に介装された、主スイッチ、主コンデンサおよび前記限流インダクタからなる直列回路と、
前記直列回路に並列接続された整流器と、を備え、
前記充電スイッチと前記主コンデンサと前記限流インダクタと前記整流器とが直列接続されており、前記充電スイッチがオン状態のときに前記主コンデンサが充電され、前記主スイッチがオン状態のときに前記主コンデンサが放電してパルス電圧を発生させる
ように構成することができる。
【0012】
上記高電圧電源装置では、例えば、
前記一部の回路素子は、前記電圧発生回路の外周部に当該電圧発生回路を包囲するように環状に形成され、前記一部の回路素子により前記電界緩和電極のすべてが構成されていてもよい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の他の実施形態に係る高電圧電源装置は、
直列接続された複数の電源ユニットからなる高電圧電源装置であって、
前記電源ユニットは、
負荷に供給するための出力電圧を発生させる電圧発生回路と、
前記電圧発生回路を囲むように設けられた電界緩和電極と、
を備え、
前記電界緩和電極は、少なくともその一部分が前記電圧発生回路を構成する一部の回路素子で構成され、
前記電界緩和電極は、電界の集中を緩和するための電極部材を有するとともに、複数の角部を有する環状に形成されており、
前記電極部材は、前記角部に設けられており、
前記一部の回路素子は、前記角部同士を連結する辺部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置全体の大型化を抑制することが可能な高電圧電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の高電圧電源装置を構成する電源ユニットの斜視図である。
【
図2】本発明における電圧発生回路の回路図である。
【
図3】本発明における電界緩和電極の分解斜視図である。
【
図4】本発明における電圧発生回路の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る高電圧電源装置の実施形態について説明する。
【0017】
本実施形態に係る高電圧電源装置は、
図1に示す電源ユニット100を、コネクタ11、12を介して多段(本実施形態では、2段)に積み上げたものであり、各電源ユニット100の出力電圧を加算して出力する。
【0018】
電源ユニット100は、電圧発生回路、筐体1、電界緩和電極2を備える。電圧発生回路は、当該電圧発生回路を構成する大部分の回路素子が筐体1の内部に収容され、当該電圧発生回路を構成する一部の回路素子が筐体1の外部に配置されて電界緩和電極2の一部を構成する。電界緩和電極2は、筐体1を囲むように環状に形成されている。
【0019】
筐体1は、例えば、絶縁性樹脂により直方体形状に形成されている。筐体1の上面には、4つのコネクタ11が設けられている。筐体1の下面には、4つのコネクタ12が設けられている。筐体1の側面には、電界緩和電極2を固定するための固定具(図示略)が設けられている。
【0020】
図2に示すように、本実施形態の電圧発生回路は、直列接続された2つの半導体マルクス回路3(3−1、3−2)からなる。なお、本実施形態では、1つの電源ユニット100が、1つの半導体マルクス回路3を備える。
【0021】
半導体マルクス回路3は、高電位側入力端子T1、低電位側入力端子T2、高電位側出力端子T1’および低電位側出力端子T2’を備えた4端子回路である。高電位側入力端子T1および低電位側入力端子T2は、例えば、コネクタ12に接続され、高電位側出力端子T1’および低電位側出力端子T2’は、例えば、コネクタ11に接続される。上記したように、コネクタ11、12はそれぞれ4つ設けられている。これらコネクタ11、12は電気的な接続のほかに機械的な支持も兼ねており、電気的な1つの入出力端子が2つに分岐され、コネクタ11、12に接続されている。
【0022】
半導体マルクス回路3は、充電スイッチQcと、主スイッチQmと、主コンデンサCmと、限流インダクタLrと、整流器Dcと、還流回路30と、電源回路31と、駆動回路32、33と、制御回路(図示略)とを備える。
【0023】
充電スイッチQcは、例えばFETからなる。充電スイッチQcの電流路の一端は、高電位側入力端子T1に接続されている。充電スイッチQcの電流路の他端は、高電位側出力端子T1’に接続されるとともに、主コンデンサCmおよび限流インダクタLrを介して低電位側出力端子T2’にも接続されている。充電スイッチQcの制御端子(例えば、FETのゲート)には、充電スイッチQcのオン/オフ動作を制御するための駆動回路32が接続されている。
【0024】
主スイッチQm、主コンデンサCmおよび限流インダクタLrは、互いに直列接続され、低電位側入力端子T2−低電位側出力端子T2’間に介装されている。主スイッチQmは、例えばトランジスタからなり、電流路の一端が低電位側入力端子T2に接続され、電流路の他端が高電位側出力端子T1’に接続されるとともに、主コンデンサCmおよび限流インダクタLrを介して低電位側出力端子T2’にも接続されている。主スイッチQmの制御端子(例えば、トランジスタのベース)には、主スイッチQmのオン/オフ動作を制御するための駆動回路33が接続されている。
【0025】
整流器Dcは、主スイッチQm、主コンデンサCmおよび限流インダクタLrからなる直列回路に並列接続されている。整流器Dcは、例えばダイオードからなり、アノードが低電位側出力端子T2’に接続され、カソードが低電位側入力端子T2に接続されている。整流器Dcは、充電スイッチQc、主コンデンサCmおよび限流インダクタLrに直列接続され、主コンデンサCmの充電経路を形成する。
【0026】
電源回路31は、高電位側入力端子T1−低電位側入力端子T2間に接続されている。電源回路31は、例えばDC/DCコンバータからなり、高電位側入力端子T1−低電位側入力端子T2間に印加された直流電圧に基づいて、駆動回路32、33の電源電圧を生成する。
【0027】
制御回路(図示略)は、駆動回路32、33に制御信号(電流信号または電圧信号)を出力する。駆動回路32、33は、例えば、制御信号が入力されている間は制御対象のスイッチをオン状態にする。なお、制御回路は、駆動回路32、33と一体的に構成されていてもよいし(駆動回路32、33が制御回路の機能を備えていてもよい)、半導体マルクス回路3の構成に含めなくてもよい。
【0028】
限流インダクタLrは、負荷4の短絡時における電流増加を抑制するためのもので、一端が主コンデンサCmに接続され、他端が低電位側出力端子T2’に接続されている。限流インダクタLrには、還流回路30が並列接続されている。
【0029】
還流回路30は、直列接続されたダイオードDrおよび抵抗器Rrからなる。還流回路30は、負荷4の短絡時に限流インダクタLrに流れる電流を還流させ、電磁エネルギーを吸収するものである。
【0030】
図3に、電界緩和電極2の分解斜視図を示す。電界緩和電極2は、4つの角部を有する環状(矩形環状)に形成されており、4つの円筒型インダクタ(本発明の「回路素子」に相当)21と、4つの金属エルボ(本発明の「電極部材」に相当)22とで構成されている。金属エルボ22は、電界が集中する角部に設けられており、円筒型インダクタ21は、角部同士を連結する辺部に設けられている。
【0031】
円筒型インダクタ21は、円筒型の絶縁体または磁性体に導体巻線を巻回してなるインダクタであり、半導体マルクス回路3の限流インダクタLrに相当する。すなわち、半導体マルクス回路3は、限流インダクタLrが電界緩和電極2の一部を構成し、限流インダクタLr以外の回路素子が筐体1に収容される。
【0032】
金属エルボ22は、電界を効果的に緩和するため、外周面が滑らかな曲面形状に形成されている。また、金属エルボ22は、内周面にスリットを有するので、円筒型インダクタ21の端部からの磁界に対して誘導電流が流れるのを抑制することができる。
【0033】
結局、本実施形態に係る高電圧電源装置によれば、半導体マルクス回路3を構成する限流インダクタLr(円筒型インダクタ21)によって電界緩和電極2の辺部が構成されるので、電界緩和電極2の電極部材(金属エルボ22)を削減してその寸法および質量を小さくすることができ、その結果、装置全体の大型化を抑制することができる。
【0034】
次に、本実施形態に係る電圧発生回路(
図2の半導体マルクス回路3)の動作について説明する。
【0035】
図4(A)に、半導体マルクス回路3の充電ステップ時における電流経路を示し、
図4(B)に、半導体マルクス回路3のパルス出力ステップ時における電流経路を示し、
図4(C)に、負荷4の短絡時における電流経路を示す。
【0036】
充電ステップは、半導体マルクス回路3(3−1、3−2)の主コンデンサCmを充電するステップであり、予備充電ステップと本充電ステップとを含む。なお、
図4(A)は、本充電ステップ時における電流経路を示している。
【0037】
予備充電ステップでは、まず、可変直流電源5の直流電圧を比較的低い第1の電圧(例えば、数百〜千[V]の直流電圧)に設定して、当該第1の電圧で半導体マルクス回路3−1の電源回路31を充電する。充電された電源回路31は、直流の電源電圧を生成し、当該電源電圧を駆動回路32、33に出力して駆動回路32、33を制御可能な状態にし、充電スイッチQcをオン状態にする。このとき、主スイッチQmはオフ状態になっている。
【0038】
半導体マルクス回路3−1の充電スイッチQcがオン状態になると、半導体マルクス回路3−2の電源回路31に第1の電圧が供給され、電源回路31が充電される。半導体マルクス回路3−2では、充電された電源回路31が電源電圧を生成して駆動回路32、33に出力して駆動回路32、33を制御可能な状態にし、充電スイッチQcをオン状態にする。半導体マルクス回路3−2の充電スイッチQcがオン状態になった時点で、予備充電ステップから本充電ステップに移行する。
【0039】
本充電ステップでは、可変直流電源5の直流電圧を第1の電圧よりも大きい第2の電圧(例えば、数[kV]の直流電圧)に設定して、第2の電圧で半導体マルクス回路3−1、3−2の主コンデンサCmを出力パルスに必要な充電電圧まで充電する。本充電ステップでは、各スイッチは、予備充電ステップと同じ状態に保たれている。
【0040】
図4(A)に示すように、本充電ステップでは、主コンデンサCmが充電スイッチQc、限流インダクタLrおよび整流器Dcを介して充電され、主コンデンサCmの電圧が負極性になる。主コンデンサCmが出力パルスに必要な充電電圧まで充電されると、パルス出力ステップに移行する。
【0041】
パルス出力ステップでは、半導体マルクス回路3−1、3−2の主スイッチQmをオン状態にすることで、半導体マルクス回路3−1、3−2の主コンデンサCmを放電させる。
図4(B)に示すように、主コンデンサCmの放電電流は、主スイッチQmを介してGNDに流れる。その結果、負荷4に対して、負極性のパルス出力が行われる。
【0042】
負荷4の短絡時は、半導体マルクス回路3−1、3−2の充電スイッチQcおよび主スイッチQmがオフ状態になる。そのため、
図4(C)に示すように、限流インダクタLrに流れる電流が、ダイオードDrおよび抵抗器Rrからなる還流回路30に還流され、還流回路30で電流による電磁エネルギーが吸収される。
【0043】
以上、本発明に係る高電圧電源装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0044】
[変形例]
上記実施形態では、半導体マルクス回路3を構成する限流インダクタLr(円筒型インダクタ21)によって電界緩和電極2の辺部を構成したが、本発明では、半導体マルクス回路3を構成する任意の回路素子によって、電界緩和電極2の少なくとも一部を構成することができる。例えば、限流インダクタLrと還流回路30の抵抗器Rrとによって電界緩和電極2の辺部を構成することができる。抵抗器Rrは、例えば、円筒型の絶縁体に抵抗線を巻回して形成することができる。
【0045】
電界緩和電極2は、環状(例えば、矩形環状、円環状、または多角形環状)に形成されることが好ましいが、筐体1の形状に応じて適宜その形状を変更することができる。なお、本発明における「環状」とは、切れ目のない完全な環状だけでなく、切れ目のある略環状も含む。
【0046】
電界緩和電極2は、円筒型インダクタ21(回路素子)と金属エルボ22(電極部材)とで構成されているが、すべてが回路素子で構成されていてもよい。例えば、限流インダクタLrに相当するインダクタを環状に構成し、当該インダクタを、当該インダクタを除く電圧発生回路の外周部に当該電圧発生回路を包囲するように(上記実施形態では、筺体1の外周部に)配置してもよい。
【0047】
筐体1は、電圧発生回路の少なくとも一部を収容することができるのであれば、形状、大きさ、材質等を適宜変更することができる。また、筺体1に替えて、電圧発生回路を基板、枠、その他の筒状、棒状、殻状の構成要素に取り付けてもよい。
【0048】
上記実施形態では、2段の半導体マルクス回路3で電圧発生回路を構成しているが、半導体マルクス回路3の数は3段以上でもよい。また、負荷4に供給するための電圧を発生させることができるのであれば、半導体マルクス回路3以外の回路で電圧発生回路を構成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 筐体
2 電界緩和電極
3 半導体マルクス回路
4 負荷
5 可変直流電源
11、12 コネクタ
21 円筒型インダクタ
22 金属エルボ
30 還流回路
31 電源回路
32、33 駆動回路
100 電源ユニット