特許第6709146号(P6709146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709146
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】トンネル防災システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20200601BHJP
   G08B 29/06 20060101ALI20200601BHJP
   H04B 3/46 20150101ALI20200601BHJP
   H04B 3/50 20060101ALI20200601BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20200601BHJP
   E21F 5/00 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   G08B17/00 D
   G08B29/06
   H04B3/46
   H04B3/50
   A62C3/00 J
   E21F5/00
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-210238(P2016-210238)
(22)【出願日】2016年10月27日
(65)【公開番号】特開2018-73023(P2018-73023A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 みのり
(72)【発明者】
【氏名】中尾 滋良
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
【審査官】 玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−24959(JP,A)
【文献】 特開2002−24954(JP,A)
【文献】 特開2001−265452(JP,A)
【文献】 特開平7−209368(JP,A)
【文献】 特開昭63−144265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
A62C 3/00
E21F 5/00
G08B 29/06
H04B 3/46− 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災受信盤からトンネル内に引き出された複数の信号回線毎に接続された火災通報信号を出力する手動通報装置及び検知器を含む複数の端末機器と、
前記防災受信盤に設けられ、前記信号回線により火災信号を受信して火災警報を出力すると共に前記信号回線の断線障害を検出して障害警報を出力する監視制御部と、
前記防災受信盤に設けられ、前記複数の信号回線に流れる電流値を所定周期毎に測定して測定履歴として記憶し、前記測定した電流値が所定の閾値範囲を外れた場合に電流値異常を判定して電流値異常警報を出力し、前記測定された電流値が前記電流値異常を判定する前記所定の閾値範囲内で所定の予兆閾値を超えた場合に電流値異常の予兆を判定して予兆警報を出力する電流監視部と、
を備えたトンネル防災システムに於いて、
前記防災受信盤の前面パネルに、前記複数の信号回線に対応して設けられた複数の回線表示灯と、
前記回線表示灯を、前記火災警報、前記障害警報、前記電流値異常警報又は前記電流値異常の予兆警報に応じて異なる表示状態で作動させる警報表示制御部と、
が設けられたことを特徴とするトンネル防災システム。
【請求項2】
請求項1記載のトンネル防災システムに於いて、前記警報表示制御部は、前記回線表示灯を、前記火災警報、前記障害警報、前記電流値異常警報又は前記電流値異常の予兆警報に応じて異なる周波数で点滅又は明滅させることを特徴とするトンネル防災システム。
【請求項3】
請求項1記載のトンネル防災システムに於いて、前記警報表示制御部は、前記回線表示灯を、前記火災警報、前記障害警報、前記電流値異常警報又は前記電流値異常の予兆警報に応じて異なる表示色で作動させることを特徴とするトンネル防災システム。
【請求項4】
請求項1記載のトンネル防災システムに於いて、前記警報表示制御部は、前記回線表示灯を、前記火災警報、前記障害警報、前記電流値異常警報又は前記電流値異常の予兆警報に応じて異なる点滅パターン又は明滅パターンで作動させることを特徴とするトンネル防災システム。
【請求項5】
請求項1記載のトンネル防災システムに於いて、
更に、前記防災受信盤の筐体内にモニタ装置が配置され、
前記電流監視部は、所定の測定履歴読出し操作を検出した場合に、前記測定履歴を読み出して前記モニタ装置に表示させることを特徴とするトンネル防災システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内に設置した通報装置や検知器等の端末機器を防災受信盤に接続してトンネル内の異常を監視するトンネル防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路等のトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両を守るため、非常用施設が設置されている。
【0003】
このような非常用施設としては、火災の監視と通報のため火災検知器、手動通報装置、非常電話が設けられ、また火災の消火や延焼防止のために消火栓装置が設けられ、更にトンネル躯体やダクト内を火災から防護するために水噴霧ヘッドから消火用水を散水させる水噴霧などが設置され、これらの非常用施設の端末機器を監視制御する防災受信盤を設けることで、トンネル防災システムを構築している。
【0004】
防災受信盤と端末機器で構成するトンネル防災システムは、R型伝送方式とP型直送方式に大別される。R型伝送方式は、伝送回線にアドレスを設定した火災検知器等の端末機器を接続し、伝送制御により端末機器単位に検知と制御を行う個別管理を可能とする。P型直送方式は、端末機器の種別に応じて所定の区画単位に分け、区画単位に引き出した信号回線に同一区画に属する複数の端末機器を接続し、信号回線単位に検知と制御を行う。
【0005】
ところで、P型直送方式のトンネル防災システムにあっては、手動通報装置、消火栓起動装置、ダクト温度検知器等の端末機器は、操作又は検知による信号出力部を無電圧a接点スイッチとして構成し、防災受信盤から引き出された信号回線に無電圧a接点スイッチ接続している。無電圧a接点スイッチは通常監視状態でオフしており、操作や検知動作によりオンして無電圧接点信号を出力する。
【0006】
具体的には、防災受信盤側から信号回線の一方にプルアップ抵抗を介して電源電圧を印加しており、無電圧a接点スイッチがオフした定常監視状態では、信号回線に消費電流は殆ど流れず、防災受信盤から見た信号回線間の電源電圧は略電源電圧に保たれている。無電圧a接点スイッチがオンすると信号回線に電流が流れ、防災受信盤から見た信号回線間の電圧は略零ボルトに低下し、防災受信盤は信号回線の消費電流の増加又は信号回線間の電圧低下を検出して端末機器の操作又は検知を示す受信信号を制御部に出力する。
【0007】
例えば手動通報装置からの火災通報信号であれば、防災受信盤は、火災表示、端末側の応答ランプの点灯制御、手動通報区画表示、消火ポンプ起動信号の出力といった制御動作を行うと共に、遠方監視制御設備、テレビ監視設備、可変式道路情報板設備、トンネル換気設備、照明設備等の外部設備に火災通報信号を送信して所定の対処制御を行わせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−246962号公報
【特許文献2】特開平11−128381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来のP型直送方式のトンネル防災システムにあっては、端末機器を接続している信号回線(外線ケーブル)の経年劣化等により絶縁低下が進み、端末機器を接続している信号回線に通常監視状態で想定される以上の電流が流れ、防災受信盤は端末機器の操作又は検知動作による信号受信と判断して警報動作を行うと共に、遠方監視制御設備、テレビ監視設備、可変式道路情報板設備、トンネル換気設備、照明設備等の他設備を連動し、トンネルを通行止めにすることが度々生じている。
【0010】
この問題を解決するため、防災受信盤とは別の筐体に電流監視装置を設け、無電圧a接点スイッチを設けた端末機器を接続した信号回線に流れる電流を、例えば1日1回というように定周期で測定して記録し、更に、測定した電流が所定の閾値範囲を外れた場合に信号回線の電流値異常を判定して警報するようにしている。
【0011】
ところで、防災受信盤で火災通報信号を受信して火災警報が出力された場合や、信号回線の障害が検出されて障害警報が出力された場合には、その後の調査作業の段階で、火災信号が受信された火災回線や障害が検出された障害回線について、電流監視装置で測定された測定履歴を表示させ、火災回線や障害回線がどのような状態にあったかを調べる場合がある。
【0012】
しかしながら、従来は防災受信盤に対し電流監視装置を別の筐体に設けているため、防災受信盤から火災情報や障害情報等を電流測定装置に送って測定履歴と共に記憶させる伝送機能と処理機能が必要となり、設備構成と処理が複雑になる問題もある。
【0013】
また、従来の防災受信盤にあっては、筐体前面に配置されたグラフィックパネルに、トンネル系統図を配置し、系統図の中に、手動通報装置及び消火栓起動装置に分けて回線表示灯を配列しており、手動通報装置から火災通報信号を受信して火災警報を出力した場合に、手動通報装置に対応した回線表示灯を点灯して火災発生区画を表示させており、また、消火栓起動装置からポンプ起動信号を受信した場合に、消火栓起動装置に対応した回線表示灯を点灯して消火栓が起動された区画を表示させている。
【0014】
また、防災受信盤は信号回線による火災監視以外に信号回線の断線監視を行っており、筐体の前面パネルで断線障害の代表表示を行うようにしている。
【0015】
しかしながら、断線障害が起きている信号回線を調べるには手間と時間がかかり、どの区画の信号回線にトラブルが起きているかを簡単に確認できない問題がある。
【0016】
本発明は、防災受信盤に電流監視装置の機能を一体化して設備構成及び処理を簡略化すると共に、信号回線に対応して設けられている回線表示灯を利用して、火災以外に断線障害、電流値異常又は電流値異常が起きている信号回線を容易に把握して必要な対処を可能とするトンネル防災システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(トンネル防災システム)
本発明は、
防災受信盤からトンネル内に引き出された複数の信号回線毎に接続された火災信号を出力する手動通報装置及び検知器を含む複数の端末機器と、
防災受信盤に設けられ、信号回線により火災信号を受信して火災警報を出力すると共に信号回線の断線障害を検出して障害警報を出力する監視制御部と、
防災受信盤に設けられ、複数の信号回線に流れる電流値を所定周期毎に測定して測定履歴として記憶し、測定した電流値が所定の閾値範囲を外れた場合に電流値異常を判定して電流値異常警報を出力し、測定された電流値が電流値異常を判定する閾値範囲内で所定の予兆閾値を超えた場合に電流値異常の予兆を判定して予兆警報を出力する電流監視部と、
を備えたトンネル防災システムに於いて、
防災受信盤の前面パネルに、複数の信号回線に対応して設けられた複数の回線表示灯と、
回線表示灯を、火災警報、障害警報、電流値異常警報又は電流値異常の予兆警報に応じて異なる表示状態で作動させる警報表示制御部と、
が設けられたことを特徴とする。
【0018】
(点滅周波数による警報識別表示)
警報表示制御部は、回線表示灯を、火災警報、障害警報、電流値異常警報又は電流値異常の予兆警報に応じて異なる周波数で点滅又は明滅させる。
【0019】
(点滅周期による識別表示)
警報表示制御部は、回線表示灯を、火災警報、障害警報、電流値異常警報又は電流値異常の予兆警報に応じて異なる表示色で作動させる。
【0020】
(点滅パターンによる警報識別表示)
警報表示制御部は、回線表示灯を、火災警報、障害警報、電流値異常警報又は電流値異常の予兆警報に応じて異なる点滅パターン又は明滅パターンで作動させる。
【0021】
(モニタ装置による測定履歴の表示)
更に、防災受信盤の筐体内にモニタ装置が配置され、
電流監視部は、所定の測定履歴読出し操作を検出した場合に、測定履歴を読み出してモニタ装置に表示させる。
【発明の効果】
【0022】
(基本的な効果)
本発明は、防災受信盤からトンネル内に引き出された複数の信号回線毎に接続された火災信号を出力する手動通報装置及び検知器を含む複数の端末機器と、防災受信盤に設けられ、信号回線により火災信号を受信して火災警報を出力すると共に信号回線の断線障害を検出して障害警報を出力する監視制御部と、防災受信盤に設けられ、複数の信号回線に流れる電流値を所定周期毎に測定して測定履歴として記憶し、測定した電流値が所定の閾値範囲を外れた場合に電流値異常を判定して電流値異常警報を出力し、測定された電流値が電流値異常を判定する所定の閾値範囲内で所定の予兆閾値を超えた場合に電流値異常の予兆を判定して予兆警報を出力する電流監視部とを備えたトンネル防災システムに於いて、防災受信盤の前面パネルに、複数の信号回線に対応して設けられた複数の回線表示灯と、回線表示灯を、火災警報、障害警報、電流値異常警報又は電流値異常の予兆警報に応じて異なる表示状態で作動させる警報表示制御部とが設けられたため、防災受信盤から火災警報、障害警報、電流値異常警報又は電流値異常の予兆警報が出された場合に、前面パネルに設けている複数の回線表示灯の中で作動している回線表示灯の表示状態を見ることで、どの区画の端末機器に対する信号回線で、火災に加え、断線障害、電流値異常又は電流値異常の予兆の何れが起きているかを容易に把握することができ、必要な対処を適切に行うことを可能とする。
【0023】
また、防災受信盤と一体に電流監視部が設けられたため、電流監視装置を別筐体に設けていた場合に比べ、設備構成及び処理が簡単となり、設置スペースも低減できる。
【0024】
(点滅周波数による警報識別表示の効果)
また、警報表示制御部は、回線表示灯を、火災警報、障害警報、電流値異常警報又は電流値異常の予兆警報に応じて異なる周波数で点滅又は明滅させるようにしたため、回線表示灯の点滅周波数の相違から火災、断線障害、電流値異常又は電流値異常の予兆の何れが起きているかが容易に把握できる。
【0025】
(点滅周期による識別表示の表示)
また、警報表示制御部は、回線表示灯を、火災警報、障害警報、電流値異常警報又は電流値異常の予兆警報に応じて異なる表示色で作動させるようにしたため、回線表示灯の表示色の相違から火災、断線障害、電流値異常又は電流値異常の予兆の何れが起きているかが容易に把握できる。
【0026】
(点滅パターンによる警報識別表示の効果)
また、警報表示制御部は、回線表示灯を、火災警報、障害警報、電流値異常警報又は電流値異常の予兆警報に応じて異なる点滅パターン又は明滅パターンで作動させるようにしたため、回線表示灯の点滅パターン又は明滅パターン周波数の相違から火災、断線障害、電流値異常又は電流値異常の予兆の何れが起きているかが容易に把握できる。
【0027】
(モニタ装置による測定履歴の表示の効果)
また、防災受信盤の筐体内にモニタ装置が配置され、電流監視部は、所定の測定履歴読出し操作を検出した場合に、測定履歴を読み出してモニタ装置に表示させるようにしたため、前面パネルの回線表示灯の表示により、電流値異常や電流値異常の予兆が起きている信号回線の状況を詳細に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】トンネル防災システムの概要を示した説明図
図2】防災受信盤の外観を示した説明図
図3】防災受信盤のパネル扉を開いてモニタ装置を見る状態を示した説明図
図4図2のグラフィックパネルを取り出して示した説明図
図5図2の表示パネルを取り出して示した説明図
図6】トンネル防災システムの機能構成の概略を示したブロック図
図7】予兆閾値範囲の設定による電流値異常の予兆判定を示したグラフ図
図8】平均電流との差による電流値異常の予兆判定を示したグラフ図
図9】前回測定の電流値との差による電流値異常の予兆判定を示したグラフ図
図10】警報種別に応じて点滅又は明滅の周波数を変える回線表示灯の動作状態を示したタイムチャート
図11】警報種別に応じて点滅又は明滅のパターンを変える回線表示灯の動作状態を示したタイムチャート
図12】定周期測定による測定履歴を表示したモニタ装置の測定記録画面を示した説明図
図13】絞込み条件の設定により抽出された測定履歴が表示されるモニタ装置の測定記録絞込み画面を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0029】
[トンネル防災システムの概要]
図1はトンネル防災システムの概要を示した説明図である。図1に示すように、自動車専用道路のトンネルとして、上り線トンネル1aと下り線トンネル1bが構築され、上り線トンネル1aと下り線トンネル1bは避難連絡坑2でつながっている。
【0030】
上り線トンネル1aと下り線トンネル1bの内部には、トンネル長手方向の監視員通路の壁面に沿って例えば50メートル間隔で消火栓装置18が設置されている。
【0031】
消火栓装置18は消火栓扉内にノズル付きホースを収納しており、火災時には消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出し、消火栓弁開閉レバーを開操作すると消火用水が放水され、また、消火栓弁開閉検出スイッチ14がオンして消火ポンプを起動させる。
【0032】
また、消火栓装置18には通報装置扉を設けており、通報装置扉には手動通報装置(発信機)16が設けられている。このように消火栓装置18には、消火栓弁開閉検出スイッチ14、及び手動通報装置16が端末機器として設けられており、それぞれ接点手段として機能する無電圧a接点スイッチのオンにより、消火栓起動信号及び火災通報信号が出力される。
【0033】
なお、消火栓装置18には消防隊が使用するポンプ起動スイッチが設けられているが、消火栓弁開閉検出スイッチ14と同じポンプ起動信号を出力するシステム的には同一のスイッチであることから、以下、消火栓弁開閉検出スイッチ(ポンプ起動スイッチを含む)14として説明する。また、手動通報装置16は、消火栓装置18以外に、非常電話ボックス内にも設置しているが、以下の説明では、消火栓装置18に設けた手動通報装置を代表として説明する。
【0034】
トンネル非常設備として、消火栓装置18以外に、火災検知器、自動弁装置、ダクト内温度検知器等が設けられているが、図示を省略している。
【0035】
火災検知器はトンネル長手方向の壁面に沿って例えば25メートル又は50メートル間隔で設置され、左右25メートル又は50メートルとなる両側に監視エリアを設定し、火災による炎を検出して火災発報する。
【0036】
自動弁装置は水噴霧設備を構成しており、作動用電動弁の遠隔開制御により主弁を開駆動し、トンネル壁面の上部の長手方向に設置した複数の水噴霧ヘッドから消火用水を放水してトンネル躯体を火災から防護する。
【0037】
ダクト内温度検知器は、トンネル長手方向の監視員通路の内部の配管やケーブルを敷設したダクトに配置されており、ケーブル火災等によるダクト内の温度上昇を検出し、接点手段として機能する無電圧a接点スイッチのオンにより温度検知信号を出力する。
【0038】
上り線トンネル1a及び下り線トンネル1bの監視センター等には防災受信盤10が設置されている。防災受信盤10には、上り線トンネル1a及び下り線トンネル1bの防災監視機能に加え、端末機器を接続したP型の信号回線の電流を監視する電流監視機能が設けられている。
【0039】
防災受信盤10からは上り線トンネル1aと下り線トンネル1bの内に、トンネル長手方向に分割した所定の区画毎にP型の信号回線12−11〜12−26,12−21〜12−26が引き出され、例えば4台の消火栓装置19で1区画を形成し、区画単位に設けられた複数の消火栓弁開閉検出スイッチ14及び手動通報装置16が接続されている。
【0040】
なお、ダクト内に設置されたダクト内温度検出器に対しても、同様にP型の信号回線が区画単位に引き出され、区画単位に設けられた複数のダクト内オンと検知器が接続されているが、図示を省略している。また、信号回線12−11〜12−26は、区別する必要がない場合は、信号回線12という場合がある。
【0041】
P型の信号回線12は信号線とコモン線で構成され、消火栓装置18の消火栓弁開閉検出スイッチ14、手動通報装置16及びダクト内温度検知器の各々に設けた無電圧a接点スイッチを接続した場合は、それぞれの操作又は検知動作により無電圧a接点スイッチをオンして回線電流を流すことで、消火栓起動信号、火災通報信号、温度検知信号を防災受信盤10に送るようにしている。
【0042】
またトンネルの非常用施設としては、消火栓装置18、火災検知器及び自動弁装置以外に、消火ポンプ設備20、ダクト用の冷却ポンプ設備22、IG子局設備24、換気設備28、警報表示板設備30、ラジオ再放送設備32、テレビ監視設備34及び照明設備36等が設けられており、IG子局設備24をデータ伝送回線で接続する点を除き、それ以外の設備はP型信号回線により防災受信盤10に個別に接続されている。ここで、IG子局設備24は、防災受信盤10と外部に設けた上位設備である遠方監視制御設備26とをネットワーク25を経由して結ぶ通信設備である。
【0043】
換気設備28は、トンネル内の天井側に設置しているジェットファンの運転による高い吹き出し風速によってトンネル内の空気にエネルギーを与えて、トンネル長手方向に空気の流れを起こす設備である。
【0044】
また、警報表示板設備30は、トンネル内の利用者に対して、トンネル内の異常を、電光表示板に表示して知らせる設備である。ラジオ再放送設備32は、トンネル内で運転者等が道路管理者からの情報を受信できるようにするための設備である。テレビ監視設備34は、火災の規模や位置を確認したり、水噴霧設備の作動、避難誘導を行う場合のトンネル内の状況を把握するための設備である。照明設備36はトンネル内の照明機器を駆動して管理する設備である。
【0045】
[防災受信盤]
図2は防災受信盤の外観を示した説明図であり、図2(A)に正面を示し、図2(B)に側面を示す。図3は防災受信盤のパネル扉を開いてモニタ装置を見る状態を示した説明図である。
【0046】
(前面パネルと筐体内のモニタ装置)
図2に示すように、防災受信盤10は、前後に開放された箱形の筐体61の前面に、ハンドル操作により開閉自在なパネル扉62が設けられ、また、筐体61の裏面にも、バンドル操作により開閉自在な裏扉63が設けられている。
【0047】
パネル扉62の表側には、トンネル系統図に回線表示灯が配置されたグラフィックパネル44、複数の代表灯が配列された表示パネル55、及び各種の操作スイッチと電話機が配置された操作パネル52が設けられる。
【0048】
筐体61の内部には、タッチパネル付きの液晶ディスプレイを用いたモニタ装置46が配置されている。図3に示すように、防災受信盤10のパネル扉62を開くと、筐体61内に支持枠68に配置されているモニタ装置46が現れ、モニタ装置46の画面に信号回線の電流値測定結果や判定結果を含む電流値の測定履歴を表示させることができる。
【0049】
(グラフィックパネル)
図4図2のグラフィックパネルを取り出して示した説明図である。図4に示すように、グラフィックパネル44の中央上部には火災代表灯100が設けられ、その下のトンネル名に続いて、トンネル系統図として、上り線トンネル系統図102aと下り線トンネル系統図102bが描かれている。
【0050】
上り線トンネル系統図102aは、消火栓配置部104、手動通報装置配置部106及び消火栓起動装置配置部108の3段に分けられている。消火栓配置部104には、トンネル長手方向に50メートル間隔で配置された例えばの消火栓装置を示すく矩形のシンボルが配列されている。
【0051】
手動通報装置配置部106は、P型の信号回線に対応して6区画に分けられており、各区画には「1〜6」の区画番号(回線番号に対応)か表記され、また、各区画に回線表示灯110が設けられている。消火栓起動装置配置部108も同様に、P型の信号回線に対応して6区画に分けられており、各区画には「1〜6」の区画番号か表記され、また、各区画に回線表示灯112が設けられている。なお、消火栓配置部104、手動通報装置配置部106及び消火栓起動装置配置部108は下り線トンネル系統図102bについても同様になる。
【0052】
グラフィックパネル44に設けられた回線表示灯110,112は、対応する信号回線の火災、断線障害、電流値異常、又は、電流値異常の予兆が判定された場合に、判定内容が分かるように、異なった表示状態で表示される。
【0053】
(表示パネル)
図5図2の表示パネルを取り出して示した説明図である。図5に示すように、表示パネル50には、防災監視に必要な各種の表示灯が配列されており、防災受信盤10に設けられた断線監視機能に対応して手動通報回線断線灯120と消火栓回線断線点灯124が設けられる。また、防災監視盤10に設けられた電流監視機能に対応して、電流監視装置測定中灯124、電流監視装置故障灯126、手動通報電流値異常灯128、手動通報電流値異常予兆灯130、消火栓電流値異常灯132及び消火栓電流値異常予兆灯134が設けられる。これらの表示灯はそれぞれの事象が判定された場合に、所定の表示色により点灯又は点滅される。
【0054】
[防災受信盤の構成]
図6はトンネル防災システムの機能構成の概略を示したブロック図である。図6に示すように、防災受信盤10は制御部40を備え、制御部40は例えばプログラムの実行により実現される機能であり、ハードウェアとしてはCPU、メモリ、AD変換ポートを含む各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。
【0055】
制御部40に対しては、トンネル内に設置した各種の端末機器をP型の信号回線12により接続したP型伝送部42が設けられ、また、制御部40に対しメインモニタ装置44、モニタ装置46、スピーカ、ブザー、警報表示灯等を備えた警報部48、各種表示灯を備えた表示部50、各種スイッチを備えた操作部52を設け、更に、IG子局設備24、換気設備28、警報表示板設備30、ラジオ再放送設備32、テレビ監視設備34、照明設備36、消火ポンプ設備20及び冷却ポンプ設備22をP型の信号回線により個別に接続したP型伝送部54が設けられている。
【0056】
制御部40にはプログラムの実行により実現される機能として、監視制御部56、電流監視部58及び警報表示制御部60の機能が設けられている。
【0057】
(監視制御部)
監視制御部56はトンネル内に設置した消火栓装置18に設けられた消火栓弁開閉検出スイッチ14と手動通報装置16、火災検知器、ダクト内温度検知器、及び自動弁装置等の端末機器からの検知信号や操作信号に基づき、所定の監視制御を行う。
【0058】
また、監視制御部56は、例えば消火栓装置18に設けた手動通報装置16の操作による火災通報信号(火災信号)を受信した場合、警報部48により主音響鳴動を行うと共に図4に示したグラフィックパネル44の火災代表灯100を点滅して火災代表表示を行い、また、火災通報信号を受信した信号回線に対応した手動通報装置配置部106の回線表示灯110を点灯して手動通報区画表示を行い、また消火栓装置18に応答信号を送信して応答ランプを点灯させる制御を行う。
【0059】
また、監視制御部56は、火災通報信号の受信に続いて、消火栓装置に設けられた消火栓弁開閉レバーの操作に伴う消火栓弁開閉検出スイッチ14のオンによる消火栓起動信号を受信した場合、図4に示したグラフィックパネル44の消火栓起動信号を受信した信号回線に対応した消火栓起動装置配置部108の回線表示灯112を点灯して消火栓起動地区表示を行う。
【0060】
また、監視制御部56は、消火栓装置18に設けられた消火栓弁開閉レバーの開操作により消火栓弁開閉検出スイッチ14のオンで出力された消火栓起動信号を受信した場合、消火ポンプ設備20にポンプ起動信号を送信して起動させる制御を行う。
【0061】
更に、監視制御部56は、火災通報信号の受信に基づく他設備に対する制御として、IG子局設備24を介して遠方監視制御設備26に火災通報信号を送信して警報させる制御、テレビ監視設備34により火災通報区画を表示する制御、警報表示板設備30により手動通報区画の火災通報を表示する制御、換気設備28により手動通報区画を換気する制御、照明設備36により手動通報区画を照明する制御等を行う。
【0062】
また、監視制御部56は、ダクト内温度が上昇してダクト内温度検知器からダクト内温度検知信号を受信した場合、冷却ポンプ設備22にポンプ起動信号を出力し、ダクト内に設置したヘッドから散水してダクト内を冷却する制御を行う。
【0063】
また、監視制御部56は、信号回線12の断線障害を監視しており、手動通報装置16に対する信号回線の断線障害を検出すると、警報部48により障害音響鳴動を行うと共に図5に示した表示パネル50の手動通報回線断線灯120を例えば黄色点灯し、また、消火栓弁開閉検出スイッチ14に対する信号回線12の断線障害を検出すると、警報部48により障害音響鳴動を行うと共に図5に示した表示パネル50の消火栓回線断線灯122を例えば黄色点灯する制御を行う。
【0064】
監視制御部56による信号回線12の断線障害の監視は、信号回線12の終端に終端抵抗を接続して断線監視電流を流しており、断線監視電流が断たれた場合に断線障害を検出する。
【0065】
(電流監視部)
電流監視部58は、消火栓弁開閉検出スイッチ14及び手動通報装置16を含む無電圧a接点スイッチを備えた端末機器を接続した信号回線12の電流値を測定し、測定した電流値が所定の上限値と下限値で決まる閾値範囲を外れた場合に電流値異常を判定し、測定結果を測定履歴として着脱自在なメモリカードを用いたメモリに記憶する制御を行う。
【0066】
電流監視部58による信号回線12の電流値の測定は、例えば、信号回線12に挿入した電流検出抵抗の検出電圧をAD変換して読み込み、ノイズの影響を除去するため、所定時間測定した電流値の平均値を求める。
【0067】
ここで、電流監視部58による電流値測定には、定周期測定、自動測定、手動測定がある。電流監視部58の定周期測定は、所定周期毎、例えば1日1回の周期で全ての信号回線12の電流値を順次測定し、測定した電流値が所定の閾値範囲を外れた場合に電流値異常を判定し、測定結果を測定履歴としてメモリに記憶させる制御を行う。
【0068】
電流監視部58による電流値の自動測定は、モニタ装置46による自動測定操作を検出した場合に、全ての信号回線12に流れる電流値を順次測定し、測定した電流値が所定の閾値範囲を外れた場合に電流値異常を判定し、測定結果をモニタ装置46に画面表示させる制御を行う。
【0069】
電流監視部58による電流値の手動測定は、モニタ装置46による信号回線の選択を含む手動測定操作を検出した場合に、選択された信号回線に流れる電流値を測定し、測定した電流値が所定の閾値範囲を外れた場合に電流値異常を判定し、測定結果をモニタ装置46に画面表示させる制御を行う。
【0070】
また、電流監視部58は、モニタ装置46による測定履歴表示操作を検出した場合、メモリに記憶されている電流値の測定履歴をモニタ装置46に画面表示させる制御を行う。
【0071】
電流監視部58は、定周期測定、自動測定又は手動測定の測定中は、図5に示した表示パネル50の中の電流監視装置測定中灯124を緑色点灯し、また、定周期測定、自動測定又は手動測定により電流値異常が判定された場合、図5に示した表示パネル50の中の手動通報電流値異常灯128又は消火栓電流値異常灯130を黄色点灯させて代表表示させる制御を行う。
【0072】
また、電流監視部58は、モニタ装置46による異常履歴表示操作を検出した場合、メモリに記憶されている電流値の測定履歴から電流値異常が判定されている測定履歴を抽出してモニタ装置46に時系列的に画面表示させる制御を行う。
【0073】
[電流監視部による電流値異常の予兆警報]
防災受信盤10の制御部40に設けられ電流監視部58は、測定された電流値が電流値異常を判定する所定の閾値範囲内で所定の予兆閾値を超えた場合に、電流値異常の予兆を判定して予兆警報を出力させる制御を行う。
【0074】
電流監視部58による電流値異常の予兆警報は、メインモニタ装置44の画面に電流値異常の予兆警報を代表表示させると共にモニタ装置46の画面に電流値異常の予兆警報の詳細情報として、測定結果と共に上り線トンネルか下り線トンネルかを示す系統、予兆警報に対象となった消火栓や手動通報装置等の装置名を表示させる。
【0075】
ここで、電流監視部58による電流値異常の予兆判定は例えば
(1)予兆閾値範囲の設定による電流値異常の予兆判定、
(2)平均電流との差による電流値異常の予兆判定、
(3)前回測定の電流値との差による電流値異常の予兆判定、
があり、何れか1つ又は複数の組み合わせにより電流異常値の予兆を判定して予兆警報を出力させる。
【0076】
(予兆閾値範囲の設定による電流値異常の予兆判定)
図7は予兆閾値範囲の設定による電流値異常の予兆判定を示したグラフ図である。図7は例えば現在日(1日)からそれ以前の18日前までの定周期測定で得られた測定履歴の電流値の日変化を示している。このような電流値の測定履歴に対し、電流値異常を判定するための下限値Ith1と上限値Ith4が設定され、また、電流値異常を判定する閾値範囲Ith1〜Ith4の範囲内に、電流値異常の予兆を判定するための予兆下限値Ith2と予兆上限値Ith3が設定されている。
【0077】
電流監視部58は、図7に示すように、電流値異常を判定する閾値範囲Ith1〜Ith4内に、それより狭い予兆閾値範囲Ith2〜Ith3を設定し、測定された電流値Iiが予兆閾値範囲Ith2〜Ith3を外れた場合、即ち、
Ith2≧Ii>Ith1又はIth4>Ii≧Ith3
となった場合に、電流値異常の予兆を判定して予兆警報を出力させる制御を行う。
【0078】
図7にあっては、現在日(1日目)の定周期測定により測定された電流値Iiは予兆上限Ith3に達しており、このため電流監視部58は測定された電流値について、電流値異常の予兆を判定して予兆警報を出力させる。
【0079】
また、電流監視部58は、定周期測定、自動測定又は手動測定において電流値異常の予兆が判定された場合、図5に示した表示パネル50の中の手動通報電流値異常予兆灯132又は消火栓電流値異常予兆灯134を黄色点灯させて代表表示させる制御を行う。
【0080】
(平均電流との差による電流値異常の予兆判定)
図8は平均電流との差による電流値異常の予兆判定を示したグラフ図である。図8に示すように、電流監視部58は、測定履歴のから過去の平均電流値Iaを求め、現在日(1日目)の定周期測定により測定された電流値Iiが電流値異常を判定する閾値範囲Ith1〜Ith4の範囲内にあることを条件に、測定された電流値Iiと平均電流値Iaとの差ΔIが所定の予兆閾値ΔIthを超えた場合に、電流値異常の予兆を判定して予兆警報を出力させる制御を行う。
【0081】
図6にあっては、現在日(1日目)の定周期測定により測定された電流値Iiと平均電流値Iaとの差ΔIが予兆閾値ΔIth以上となっており、このため電流監視部58は測定された電流値について、電流値異常の予兆を判定して予兆警報を出力させる。
【0082】
(前回測定の電流値との差による電流値異常の予兆判定)
図9は前回測定の電流値との差による電流値異常の予兆判定を示したグラフ図である。図9に示すように、電流監視部58は、現在日(1日目)の定周期測定により測定された電流値Iiが電流値異常を判定する閾値範囲Ith1〜Ith4の範囲内にあることを条件に、前回測定された電流値Ii−1との差ΔIが所定の予兆閾値ΔIthを超えた場合に、電流値異常の予兆を判定して予兆警報を出力させる制御を行う。ここで、電流監視部58により求める今回測定された電流値Iiと前回測定された電流値Ii−1との差ΔIは、電流値の変化率を示しており、これは電流値の変化率が所定の閾値以上となった場合に電流値以上の予兆を判定して警報することを意味する。
【0083】
(警報表示制御部)
図6の防災受信盤10の制御部40に設けられた警報表示制御部60は、図4のグラフィックパネル44に設けられた回線表示灯110,112を、監視制御部56による火災警報と前記障害警報、及び電流監視部58による電流値異常警報と電流値異常の予兆警報に応じて異なる表示状態で作動させる制御を行う。
【0084】
警報表示制御部60による回線表示灯の制御は、
(1)点滅又は明滅の周波数による警報識別表示
(2)表示色による警報識別表示、
(3)点滅又は明滅のパターンによる警報識別表示、
の何れかとする。
【0085】
(点滅又は明滅の周波数による警報識別表示)
図10は警報種別に応じて点滅又は明滅の周波数を変える回線表示灯の動作状態を示したタイムチャートである。
【0086】
図10(A)は火災警報に対する回線表示灯の作動であり、火災通報信号の受信に基づき、回線表示灯を常時点灯としている。
【0087】
図10(B)は断線障害警報に対応した回線表示灯の作動であり、1秒に1回となる1Hzの周波数で点滅又は明滅させる。
【0088】
図10(C)は電流値異常警報に対応した回線表示灯の作動であり、1秒に2回となる2Hzの周波数で点滅又は明滅させる。
【0089】
図10(D)は電流値異常警報に対応した回線表示灯の作動であり、1秒に3回となる3Hzの周波数で点滅又は明滅させる。なお、点滅又は明滅の周波数は一例であり、必要に応じて適宜の識別可能に周波数の組み合わせとしても良い。
【0090】
(表示色による識別表示)
警報表示部60は、回線表示灯を、火災警報で赤色、障害警報で黄色、電流値異常警報で橙及び電流値異常の予兆警報で紫というように、警報の種別に応じて異なる表示色で作動させる制御を行う。なお、表示色の組み合わせは、これ以外に適宜に定めることができる。
【0091】
(点滅又は明滅のパターンによる警報識別表示)
図11は警報種別に応じて点滅又は明滅のパターンを変える回線表示灯の動作状態を示したタイムチャートである。
【0092】
図11(A)は火災警報に対する回線表示灯の作動であり、回線表示灯を長点灯1回と短点灯3回のパターンを繰り返している。
【0093】
図11(B)は断線障害警報に対応した回線表示灯の作動であり、回線表示灯を点灯1回と短点灯1回のパターンを繰り返している。
【0094】
図11(C)は電流値異常警報に対応した回線表示灯の作動であり、回線表示灯を短点灯3回を休止期間を介して繰り返すパターンとしている。
【0095】
図11(D)は電流値異常警報に対応した回線表示灯の作動であり、回線表示灯を
短点灯1回と短点灯2回を休止期間を介して繰り返すパターンとしている。
【0096】
なお、これらのパターンは一例であり、必要に応じて適宜の異なる点滅パターン又は明滅パターンの組み合わせとしても良い。
【0097】
(モニタ装置による測定記録画面の表示)
図12は定周期測定による測定履歴を表示したモニタ装置の測定記録画面を示した説明図であり、電流監視部58により電流値異常の予兆が判定されて予兆警報が出力された場合を例にとって示している。
【0098】
図12に示すように、図5の表示パネル50で例えば手動通報電流値異常灯128及び手動通報電流値異常予兆点灯130が黄色点灯して電流値異常及びその予兆警報の代表表示が行われた場合、図3に示したように、パネル扉62を開いてモニタ装置46で所定の画面操作を行うと、定周期測定により測定して記憶された測定履歴の読み出しにより測定記録画面72が表示される。
【0099】
測定記録画面72の右側には、ページ表示73、ページ切替ボタン74,75、ファイル保存ボタン76及びメモリ取出ボタン77が配置される。
【0100】
ページ切替ボタン74,75を操作することで測定履歴詳細情報79のページ切替えを可能としている。ファイル保存ボタン76は測定結果のメモリ格納を指示する。メモリ取出ボタン77は防災受信盤10から電流値測定情報を記憶したメモリを取り出す場合に操作する。
【0101】
測定記録画面72の画面中央に表示された測定履歴詳細情報79は、前記(1)の予兆閾値範囲の設定による電流値異常の予兆判定を例にとっている。ここで、回線番号002にあっては、測定値が0.75mAであり、予兆上限値0.75mAに達していることから、予兆判定には「NG」の表示により電流値異常の予兆が示されている。
【0102】
また、回線番号004にあっては、測定値が1.25mAであり、異常上限値1.00mAを超えていることから、異常判定には「NG」の表示により電流値異常が示されている。この場合、測定値1.25mAは予兆上限値0.75mAも超えていることから、当然に、予兆判定には「NG」の表示により予兆が示されている。
【0103】
測定記録画面72の下側には、回線選択ボタン78が配置され、回線選択ボタン78を操作すると、図13に示す測定記録絞込み画面80の表示に切り替えられる。
【0104】
図13の測定記録絞込み画面80には、系統選択部81、装置選択部82、区画選択部83、確定ボタン84、解除ボタン85、ページ表示86、ページ切替ボタン87,88、及び閉鎖ボタン89が設けられている。
【0105】
系統選択部81は上り線と下り線から選択する。装置選択部82は、手動通報、消火栓、ダクトから選択する。区画選択部93は区画番号を入力する。
【0106】
測定記録絞込み画面80において、例えば「上り線の手動通報装置における区画01」の測定記録に絞込みたい場合には、図示のように、系統選択部81に「上り線」、装置選択部82に「手動通報」、区画選択部83に「01」を設定し、確定ボタン84を操作すると、対応する絞込み測定記録90が表示される。
【0107】
この状態で解除ボタン85を操作すると、絞込み条件及び絞込み測定記録90がクリアされる。また、閉鎖ボタン89を操作すると、図12の測定記録画面72に戻る。
【0108】
このような測定記録絞込み画面80の機能を利用することで、記憶されている膨大な測定記録の中から、系統、装置、区画の組み合わせた絞込み条件の設定により測定記録を絞り込んで表示させることができ、例えば、電流値異常を起こした適宜の装置の回線劣化状況等の判断を効率良く行うことを可能とする。
【0109】
なお、測定記録の絞込み条件としては、系統、装置、区画に加え、期間を選択できるようにしても良い。
【0110】
[本発明の変形例]
上記の実施形態では、火災警報、障害警報、電流値異常警報、電流値異常の予兆警報を行っているが、その内の少なくともいずれか三つを識別できればよい。
【0111】
また、本発明は、その目的と利点を損なわない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0112】
1a:上り線トンネル
1b:下り線トンネル
10:防災受信盤
12,12−1〜12−n:信号回線
14:消火栓弁開閉検出スイッチ
16:手動通報装置
18:消火栓装置
20:消火ポンプ設備
22:冷却ポンプ設備
24:IG子局設備
26:遠方監視制御設備
28:換気設備
30:警報表示板設備
32:ラジオ再放送設備
34:テレビ監視設備
36:照明設備
40:制御部
42,54:P型伝送部
44:グラフィックパネル
46:モニタ装置
48:警報部
50:表示パネル
52:操作パネル
56:監視制御部
58:電流監視部
60:警報表示制御部
61:筐体
62:パネル扉
70:モニタ画面
72:測定記録画面
80:測定記録絞込み画面
100:火災代表灯
102a:上り線トンネル系統図
102b:下り線トンネル系統図
104:消火栓配置部
106:手動通報装置配置部
108:消火栓起動装置配置部
110,112:回線表示灯
120:手動通報回線断線灯
122:消火栓回線断線灯
124:電流監視装置測定中灯
126:電流監視装置故障灯
128:手動通報電流値異常灯
130:手動通報電流値異常予兆灯
132:消火栓電流値異常灯
134:消火栓電流値異常予兆灯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13