(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジン(11)に取り付けられ、筒状の接地電極(193)と、前記接地電極の内側に保持されるとともに、前記接地電極よりも先端側へ突出した突出部(192A)を有する筒状の絶縁碍子(192)と、前記絶縁碍子の内側に保持されるとともに前記絶縁碍子から露出した中心電極(191)と、を備える点火プラグ(19)と、
一次コイル(311A)及び二次コイル(311B)を具備し、前記二次コイルにより前記点火プラグに二次電圧を印加する点火コイル(311)と、
前記一次コイルへ一次電流の導通を行わせた後に前記一次電流の遮断を行わせることで、前記絶縁碍子の表面に沿うように沿面放電を発生させる沿面放電制御と、前記沿面放電制御を実施させて以降に、前記一次コイルへ一次電流の導通を行わせることで前記点火プラグに発生している前記沿面放電を停止させ、前記絶縁碍子から離れた位置で放電が生じる気中放電に移行させるために必要な時間としての放電停止期間が経過した後に前記一次電流の遮断を行わせる気中放電移行制御と、を前記エンジンの1燃焼サイクル中に実施させる一次電流制御部(32)と、
を備える点火制御システム。
前記放電停止期間は、前記エンジンの負荷が高いほど、あるいは、前記エンジンの回転速度が高いほど、短く設定される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の点火制御システム。
前記放電停止期間は、前記点火プラグに前記沿面放電が生じることで発生した電荷が、前記接地電極の径方向の内側端部に到達する時間から前記接地電極の径方向の外側端部に到達する時間までの範囲内で設定される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の点火制御システム。
前記放電停止期間は、前記気中放電判定部により前記点火プラグで生じている前記放電が前記気中放電ではないと判定されたことを条件として、現在の前記放電停止期間よりも短く設定される請求項9に記載の点火制御システム。
筒状の接地電極(193)と、前記接地電極の内側に保持されるとともに、前記接地電極よりも先端側へ突出した突出部(192A)を有する筒状の絶縁碍子(192)と、前記絶縁碍子の内側に保持されるとともに前記絶縁碍子から露出した中心電極(191)と、を備える点火プラグ(19)と、一次コイル(311A)及び二次コイル(311B)を具備し、前記二次コイルにより前記点火プラグに二次電圧を印加する点火コイル(311)と、を備えるエンジン(11)に適用される点火制御装置(32)であって、
前記一次コイルへ一次電流の導通を行わせた後に前記一次電流の遮断を行わせることで、前記絶縁碍子の表面に沿うように沿面放電を発生させる沿面放電制御と、前記沿面放電制御を実施させて以降に、前記一次コイルへ一次電流の導通を行わせることで前記点火プラグに発生している前記沿面放電を停止させ、前記絶縁碍子から離れた位置で放電が生じる気中放電に移行させるために必要な時間としての放電停止期間が経過した後に前記一次電流の遮断を行わせる気中放電移行制御と、を前記エンジンの1燃焼サイクル中に実施させる一次電流制御部を備える点火制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、エンジンシステム10は、火花点火式の内燃機関であるエンジン11を備えている。このエンジンシステム10は、エンジン11の運転状態によって、可燃混合気の空燃比を理論空燃比に対してリッチ側又はリーン側に変更制御する。例えば、エンジン11の運転状態が低回転低負荷の運転領域内にある場合には、可燃混合気の空燃比をリーン側に変更制御する。
【0012】
エンジン11の本体部を構成するエンジンブロック11aの内部には、燃焼室11b及びウォータージャケット11cが形成されている。エンジンブロック11aは、ピストン12を往復移動可能に収容するように設けられている。ウォータージャケット11cは、冷却液(冷却水ともいう)が通流可能な空間であって、燃焼室11bの周囲を取り囲むように設けられている。
【0013】
エンジンブロック11aの上部であるシリンダヘッドには、吸気ポート13及び排気ポート14が、燃焼室11bと連通可能に形成されている。また、シリンダヘッドには、吸気ポート13と燃焼室11bとの連通状態を制御するための吸気バルブ15と、排気ポート14と燃焼室11bとの連通状態を制御するための排気バルブ16と、吸気バルブ15及び排気バルブ16を所定のタイミングで開閉動作させるためのバルブ駆動機構17と、が設けられている。
【0014】
吸気ポート13には、吸気マニホールド21aが接続されている。この吸気マニホールド21aには、燃料供給系から高圧燃料が供給される電磁駆動式のインジェクタ18が備わっている。このインジェクタ18は、通電に伴い吸気ポート13へ向かって燃料を噴射するポート噴射式の燃料噴射弁である。
【0015】
吸気マニホールド21aよりも吸気通流方向における上流側には、サージタンク21bが配置されている。排気ポート14には、排気管22が接続されている。
【0016】
EGR(Exhaust Gas Recirculation)通路23は、排気管22とサージタンク21bとを接続することで、排気管22に排出された排出ガスの一部を吸気に導入可能に設けられている(以下、吸気に導入された排出ガスをEGRガスと呼称)。EGR通路23には、EGR制御バルブ24が介装されている。EGR制御バルブ24は、その開度によってEGR率(燃焼室11b内に吸入される燃焼前のガスにおけるEGRガスの混入割合)を制御可能に設けられている。
【0017】
吸気管21における、サージタンク21bよりも吸気通流方向における上流側には、スロットルバルブ25が介装されている。スロットルバルブ25は、その開度が、DCモータ等のスロットルアクチュエータ26の動作によって制御されるようになっている。また、吸気ポート13の近傍には、スワール流やタンブル流を発生させるための気流制御バルブ27が設けられている。
【0018】
排気管22には、排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化するための三元触媒等の触媒41が設けられ、この触媒41の上流側には排出ガスを検出対象として可燃混合気の空燃比を検出するための空燃比センサ40(リニアA/Fセンサ等)が設けられている。
【0019】
エンジンシステム10は、点火回路ユニット31、電子制御ユニット32等を備えている。
【0020】
点火回路ユニット31は、燃焼室11b内の可燃混合気に点火するための放電火花を点火プラグ19にて発生させるように構成されている。電子制御ユニット32は、いわゆるECU(Electronic Control Unit)であって、クランク角センサ33等の各種センサの出力に基づいて取得したエンジン11の運転状態に応じて、インジェクタ18及び点火回路ユニット31を含む各部の動作を制御するようになっている。
【0021】
点火制御に関しては、電子制御ユニット32は、取得したエンジン11の運転状態に基づいて、点火信号IGtを生成及び出力するようになっている。かかる点火信号IGtは、燃焼室11b内のガスの状態及び必要とされるエンジン11の出力(これらはエンジン11の運転状態に応じて変化する)に応じた、最適な点火時期及び一次電流の通電時間を規定するものである。
【0022】
クランク角センサ33は、エンジン11の所定クランク角毎に(例えば30°CA周期で)矩形状のクランク角信号を出力するためのセンサである。このクランク角センサ33は、エンジンブロック11aに装着されている。冷却水温センサ34は、ウォータージャケット11c内を通流する冷却液の温度である冷却水温を検出(取得)するためのセンサであって、エンジンブロック11aに装着されている。
【0023】
エアフローメータ35は、吸入空気量(吸気管21を通流して燃焼室11b内に導入される吸入空気の質量流量)を検出(取得)するためのセンサである。このエアフローメータ35は、スロットルバルブ25よりも吸気通流方向における上流側にて、吸気管21に装着されている。吸気圧センサ36は、吸気管21内の圧力である吸気圧を検出(取得)するためのセンサであって、サージタンク21bに装着されている。
【0024】
スロットル開度センサ37は、スロットルバルブ25の開度(スロットル開度)に対応する出力を生じるセンサであって、スロットルアクチュエータ26に内蔵されている。アクセルポジションセンサ38は、アクセル操作量に対応する出力を生じるように設けられている。
【0025】
<点火回路ユニット周辺の構成>
図2を参照すると、点火回路ユニット31は、点火コイル311と、IGBT312と、電源部313と、電圧検出回路314と、が設けられている。
【0026】
点火コイル311は、一次コイル311A、二次コイル311B及び鉄心311Cを備えている。一次コイル311Aの第一端は、電源部313に接続されており、一次コイル311Aの第二端は、IGBT312のコレクタ端子に接続されている。そして、IGBT312のエミッタ端子は接地側に接続されている。IGBT312の両端(コレクタ端子とエミッタ端子)には、ダイオード312dが並列に接続されている。
【0027】
また、一次コイル311Aの第二端とIGBT312のコレクタ端子との間には、一次コイル311Aに印加される一次電圧V1を検出する電圧検出回路314が接続されている。電圧検出回路314は、一次コイル311Aに印加される一次電圧V1を検出し、電子制御ユニット32に出力する。したがって、電圧検出回路314は電圧値検出部に該当する。
【0028】
二次コイル311Bの第一端は、ダイオード316を介して、接地側に接続されている。なお、二次コイル311Bの第一端は、ダイオード316を介して一次コイル311Aの第一端側に接続される構成であってもよい。ダイオード316は、接地側から二次コイル311Bにおける第二端側に向かう方向の電流の通流を禁止するとともに、二次電流(放電電流)を点火プラグ19から二次コイル311Bに向かう方向に規定すべく、そのアノードが二次コイル311Bにおける第一端側に接続されている。
【0029】
二次コイル311Bの第二端は、点火回路ユニット31近くに存在する点火プラグ19に接続されている。
【0030】
点火プラグ19について、
図3を用いて概略的に構成を説明する。点火プラグ19は、棒状の中心電極191と、筒状の碍子192(絶縁碍子に該当)と、筒状の接地電極193と、ハウジング194とを備える。接地電極193の内側に保持される碍子192は、中心電極191の外周を覆うように内側に保持することで、中心電極191とハウジング194及び接地電極193との電気絶縁性を確保している。碍子192の基端側は、ハウジング194によって加締め固定されている。碍子192の先端側は、接地電極193よりも先端側へ突出した突出部192Aを形成している。中心電極191は、筒状の碍子192の内側に保持されるとともに、碍子192の突出部192Aよりも先端側へ突出するように配置されており、接地電極193の表面から碍子192に沿って突出した中心電極191の先端に向かって伸びるように沿面グロー放電(以降、沿面放電と呼称)が生じる。
【0031】
電子制御ユニット32は、前述の通り取得したエンジン11の運転状態に基づいて点火信号IGtを生成しており、生成した点火信号IGtをIGBT312のゲート端子へ出力することで、IGBT312に一次コイル311Aへ流れる一次電流I1の導通を行わせる。そして、点火信号IGtをIGBT312のゲート端子に出力してから第一所定時間の経過後に点火信号IGtの出力を停止することで、IGBT312に一次コイル311Aへ流れる一次電流I1を遮断させる(以降、本制御を沿面放電制御と呼称)。これにより、二次コイル311Bに高電圧が誘起し、点火プラグ19の放電電極間(接地電極193と中心電極191との間)で沿面放電が生じる。
【0032】
沿面放電は碍子192の表面に沿うように生じるため、放電の冷却エネルギ損失が大きく、可燃混合気へのエネルギ伝達効率が低下し、可燃混合気の着火性が悪化するおそれがある。したがって、可燃混合気の着火性の悪化を抑制するため、沿面放電から碍子192から離れた位置で放電する気中放電に移行させる必要がある。
【0033】
本実施形態にかかる電子制御ユニット32は、沿面放電から気中放電に移行させる制御として沿面放電制御を実施して以降において、以下の気中放電移行制御を実施する。このため、電子制御ユニット32は一次電流制御部に該当する。
【0034】
沿面放電制御を実施させてから(IGBT312に一次コイル311Aへ流れる一次電流I1を遮断させてから)後に詳述する電荷が十分に生じることが想定される時間としての第二所定時間の経過後に、IGBT312に一次コイル311Aへ一次電流I1の導通を行わせる。これにより、点火プラグ19に発生している沿面放電が停止させられる。そして、放電停止期間の経過後にIGBT312に一次コイル311Aへ流れる一次電流I1を遮断させる。
【0035】
図4(a)に示されるように、点火プラグ19で沿面放電が生じると、空気中に存在する中性分子が電離し、電荷が生じる。
図4(b)に示されるように、生じた電荷は、沿面放電の停止後も存在し、放電停止期間中は燃焼室11b内の気流により碍子192から離れる方向に流されることになる。そして、放電停止期間が経過した後にIGBT312に一次電流I1を遮断させることで、
図4(c)に示されるように、碍子192から離れた位置に存在する電荷を通るように気中放電を生じさせることができる。
【0036】
ところで、放電停止期間が短く設定されている場合、
図5に示されるように、IGBT312に一次コイル311Aへの一次電流I1の導通を行わせてから放電停止期間が経過するまでに、気中放電を生じるために必要な距離を電荷は移動することができず、碍子192周辺に電荷が留まった状態であることが想定される。この場合、沿面放電を再度生じさせることになる。一方で、放電停止期間が長く設定されている場合、
図6に示されるように、IGBT312に一次コイル311Aへの一次電流I1の導通を行わせてから放電停止期間が経過するまでに、電荷が気流に流され碍子192からも接地電極193からも離れることが想定される。この場合、電荷を通るように放電を生じさせることが困難となり、再度沿面放電を生じさせることになるおそれがある。
【0037】
このように、放電停止期間は短くても長くても、沿面放電を気中放電に移行させることができないことが想定される。よって、効率よく気中放電に移行させるためには、電荷が碍子192から適度に離れた位置に流れたときに一次コイル311Aに流れる一次電流I1が遮断されるように放電停止期間を設定する必要がある。放電停止期間中における電荷の移動速度は燃焼室11b内を流れる気体の流速vに依存しており、また、燃焼室11b内を流れる気体の流速vはエンジン11の運転状態によって変動する関係にある。したがって、エンジン11の運転状態から放電停止期間中における電荷の移動速度を把握することができる。このため、本実施形態では、エンジン11の運転状態に応じて放電停止期間を定めたマップを予め電子制御ユニット32に記憶させておき、気中放電移行制御を実施する前にマップを参照して現在のエンジン11の運転状態に応じて放電停止期間を可変に設定する。
【0038】
例えば、エンジン11の負荷が高いほど、燃焼室11b内を流れる気体の流速vは高くなる。エンジン11の回転速度が高い場合も同様で、燃焼室11b内を流れる気体の流速vは高くなる。気体の流速vが高いほど、沿面放電が発生することで生じた電荷が早期に下流に流されることになる。したがって、予め記憶されるマップは、
図7に示されるように、エンジン11の回転速度が高いほど、あるいは、エンジン11の負荷が高いほど、放電停止期間が短くなる関係性を有している。これにより、気体の流速vが高くなるエンジン11の運転状態では、放電停止期間を短く設定することができる。このため、電荷が接地電極193や中心電極191から離れすぎる前にIGBT312によって一次コイル311Aに流れる一次電流I1を遮断させることができ、気中放電の発生確率を向上させることができる。
【0039】
点火プラグ19において沿面放電が発生する位置と、燃焼室11b内の気流方向及び流速との関係によっては、上述の気中放電移行制御を一度実施するのみでは電荷を碍子192から十分に離すことができず、沿面放電を気中放電に移行させることができないおそれがある。このため、本実施形態では沿面放電制御が実施されてから所定の放電制御時間を経過するまで気中放電移行制御を繰り返し実施させる。これにより、電荷を碍子192から十分に離すことができる。ただし、気体の流速vが高くなるエンジン11の運転状態では、早期に沿面放電から気中放電に移行することが想定される。このため、
図8に示されるように、エンジン11の回転速度が高いほど、あるいは、エンジン負荷が高いほど、放電制御時間が短くなる関係性を有しているマップを予め記憶しておく。そして、気中放電移行制御を実施する前に、マップを参照して現在のエンジン11の運転状態に応じて放電停止期間を変更する。
【0040】
気中放電移行制御が実施されてから所定の放電制御時間が経過した場合には、気中放電移行制御を終了させ、IGBT312に一次コイル311Aに流れる一次電流I1を遮断させた状態を継続させる。これにより、点火プラグ19で生じた気中放電を継続して維持させることができる。
【0041】
本実施形態では、電子制御ユニット32により後述する
図9に記載の放電制御を実施する。
図9に示す放電制御は、エンジン運転中に電子制御ユニット32によってエンジン回転数に基づく所定周期で繰り返し実施される。
【0042】
ステップS100では、IGBT312に一次コイル311Aへ流れる一次電流I1を遮断させることで、沿面放電制御を実施させる。ステップS110では、エンジン11の回転速度とエンジン11の負荷を算出する。エンジン11の回転速度は、クランク角センサ33により出力されるクランク角信号を基に算出することができる。エンジン負荷は、例えば、吸気圧センサ36により検出される吸気圧やアクセルポジションセンサ38により検出されるアクセル操作量に基づいて算出することができる。
【0043】
ステップS120では、ステップS110にて算出したエンジン11の回転速度及びエンジン11の負荷に基づいて、マップを参照して放電制御時間を設定する。ステップS130では、ステップS110にて検出したエンジン11の回転速度及びエンジン11の負荷に基づいて、マップを参照して放電停止期間を設定する。
【0044】
ステップS140では、ステップS130にて設定して放電停止期間で気中放電移行制御を実施する。ステップS150では、ステップS100で沿面放電制御を実施させてからステップS120で設定した放電制御時間が経過したか否かを判定する。ステップS100で沿面放電制御を実施させてからステップS120で設定した放電制御時間が経過していないと判定した場合には(S150:NO)、ステップS140に戻る。ステップS100で沿面放電制御を実施させてからステップS120で設定した放電制御時間が経過したと判定した場合には(S150:YES)、ステップS160に進む。ステップS160では、気中放電移行制御を終了させ、IGBT312に一次コイル311Aに流れる一次電流I1を遮断させた状態を継続させる。そして、本制御を終了する。
【0045】
なお、ステップS100の処理は沿面放電制御部による処理に該当し、ステップS140の処理は気中放電制御部による処理に該当する。
【0046】
上記構成により、本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0047】
・沿面放電制御を実施させて以降に、気中放電移行制御を実施させることで、点火プラグ19の構成を変更することなく、沿面放電を効率よく気中放電に移行させることが可能となる。その結果、点火プラグ19で生じる放電の冷却損失を抑制することが可能となる。
【0048】
・放電停止期間を、エンジン11の運転状態に応じて可変に設定されるものとすることで、電荷が碍子192から適度に離れた位置で一次コイル311Aに流れる一次電流I1を遮断することができ、気中放電を効率よく発生させることが可能となる。
【0049】
・エンジン11の運転状態に応じて放電停止期間を定めたマップを予め備えておくことで、マップを参照することでエンジン11の運転状態に応じて放電停止期間を変更することができ、制御の簡便化を図ることが可能となる。
【0050】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。ちなみに、以下の別例の構成を、上記実施形態の構成に対して、個別に適用してもよく、また、任意に組み合わせて適用してもよい。
【0051】
・上記実施形態に係る点火プラグ19は、接地電極193と、ハウジング194とが別体で構成されていた。このことについて、接地電極193と、ハウジング194とを一体に構成してもよい。
【0052】
上記実施形態に係る点火プラグ19に備わる中心電極191は、接地電極193よりも先端側へ突出した突出部192Aを有する筒状の碍子192と、碍子192の内側に保持されると共に、突出部192Aの先端よりも先端側へ突出していた。このことについて、碍子192表面での沿面放電が開始される構造であればよく、例えば、中心電極191は、碍子192の先端部と同じ端面で露出していたり、碍子192の先端面から内側に入っている位置で露出していたりしてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、エンジン11の運転状態に応じて放電停止期間を可変に設定していた。このことについて、放電停止期間は固定値であってもよい。
【0054】
・上記実施形態では、エンジン11の運転状態に応じて放電停止期間を定めたマップを予め電子制御ユニット32に記憶させていた。このことについて、必ずしもマップを予め記憶させる必要はない。この場合、例えば、エンジン11の運転状態について基準状態を予め定めるとともに、基準状態における放電停止期間を予め定めておく。そして、基準状態のときよりも気体の流速vが高くなるエンジン11の運転状態では、基準状態時に設定される放電停止期間を短く設定し、基準状態のときよりも気体の流速vが低くなるエンジン11の運転状態では、基準状態時に設定される放電停止期間を長く設定する。
【0055】
放電制御時間も同様に、基準状態における放電制御時間を予め定めておく。そして、基準状態のときよりも気体の流速vが高くなるエンジン11の運転状態では、基準状態時に設定される放電制御時間を短く設定し、基準状態のときよりも気体の流速vが低くなるエンジン11の運転状態では、基準状態時に設定される放電制御時間を長く設定する。
【0056】
・上記実施形態では、放電停止期間を、エンジン11の運転状態に応じて可変に設定していた。このことについて、燃焼室11b内の気体の流速vを検出する流速検出センサ50(例えば、エアフローメータに類似するセンサで検出可能)を備えるエンジン11に本点火回路ユニット31が適用される場合、流速検出センサ50により検出される気体の流速vに応じて、放電停止期間を変更しても良い。流速検出センサ50により検出される気体の流速vから電荷の移動速度を精度高く推測することができるので、電荷が碍子192から適度に離れた位置で一次コイル311Aに流れる一次電流I1が遮断されるよう放電停止期間をより好適に設定することができ、気中放電を効率よく発生させることが可能となる。なお、流速検出センサ50は、流速検出部に該当する。
【0057】
気体の流速vに応じた具体的な放電停止期間の変更方法は、次の通りである。気体の流速vが高い状態では、沿面放電が発生することで生じた電荷が早期に下流に流されることになるため、
図10上図に示されるように、気体の流速vが高いほど放電停止期間が短く設定される。これにより、電荷が接地電極193や中心電極191から離れすぎる前に一次コイル311Aに流れる一次電流I1を遮断することができる。ひいては、気中放電の発生確率を向上させることができる。
【0058】
なお、放電停止期間を、気体の流速vに応じて可変に設定する一方で、気体の流速vが高い状態では早期に沿面放電から気中放電に移行することが想定されるため、
図10下図に示されるように、気体の流速vが高いほど放電制御時間を短く設定することが好適である。
【0059】
本別例では、流速検出センサ50に燃焼室11b内の可燃混合気の流速vを検出させていた。このことについて、必ずしも流速検出センサ50を備えている必要はなく、例えば放電を維持するために必要な1次コイル311Aの一次電圧或いは二次コイル311Bの二次電圧、または二次コイル311Bに流れる二次電流を検出し、検出した一次電圧、二次電圧、または二次電流の変化態様から燃焼室11b内を流れる可燃混合気の流速vを推定してもよい。なお、可燃混合気の流速vの推定方法は従来の推定方法に基づくため、具体的な説明を省く。
↑(記載内容が分からない為、削除したく考えております。若杉)
【0060】
・上記実施形態では、放電停止期間を、エンジン11の運転状態に応じて可変に設定していた。このことについて、放電停止期間を、点火プラグ19に沿面放電が生じることで発生した電荷が、接地電極193の径方向の内側端部に到達する時間から接地電極193の径方向の外側端部に到達する時間までの範囲内となるように設定してもよい。
【0061】
以降、
図11を参照して説明する。沿面放電が発生することで生じた電荷が、碍子192から接地電極193の径方向の内側端部までの領域(以降、領域Sと呼称)内に存在する期間内に、IGBT312に一次コイル311Aへ流れる一次電流I1を遮断させると、電荷が点火プラグ19に近いために沿面放電を再度生じさせる可能性が高い。一方で、沿面放電が発生することで生じた電荷が、接地電極193の径方向の内側端部から接地電極193の径方向の外側端部までの領域(以降、領域Lと呼称)内に存在する期間内に、IGBT312に一次コイル311Aへ流れる一次電流I1を遮断させると、気中放電を生じさせる可能性が高い。また、沿面放電が発生することで生じた電荷が、接地電極193の径方向の外側端部よりも離れた位置に存在する期間内に、IGBT312に一次コイル311Aへ流れる一次電流I1を遮断させると、電荷が点火プラグ19の放電電極間内に存在しないために気中放電を実施させることができず、沿面放電を再度生じさせる可能性が高い。
【0062】
以上より、放電停止期間は、点火プラグ19に沿面放電が生じることで発生した電荷が領域L内に存在する期間内で設定される。これにより、気中放電の発生確率を向上させることができる。
【0063】
点火プラグ19に沿面放電が生じることで発生した電荷が、接地電極193の径方向の内側端部に到達する時間、及び、接地電極193の径方向の外側端部に到達する時間の算出方法は次の通りである。なお、本別例に係る点火制御システムは、流速検出センサ50を備えるエンジン11に搭載されているものと想定して説明する。
【0064】
接地電極193の内径R2から碍子192の径R3を引いた差は、碍子192から接地電極193の径方向の内側端部までの径R2−R3に該当する。よって、径R2−R3を流速検出センサ50により検出される燃焼室11b内を流れる気体の流速vで割ることで、碍子192周辺に存在する電荷が碍子192から離れる方向に移動し、接地電極193の径方向の内側端部に到達する時間を算出することができる。一方で、接地電極193の外径R1から碍子192の径R3を引いた差は、碍子192から接地電極193の径方向の外側端部までの径R1−R3に該当する。よって、径R1−R3を流速検出センサ50により検出される燃焼室11b内を流れる気体の流速vで割ることで、碍子192周辺に存在する電荷が碍子192から離れる方向に移動し、接地電極193の径方向の外側端部に到達する時間を算出することができる。
【0065】
したがって、点火プラグ19に沿面放電が生じることで発生した電荷が領域L内に存在する期間は、接地電極193の内径R2から碍子192の径R3を引いた差を流速検出センサ50により検出される燃焼室11b内を流れる気体の流速vで割った値から、接地電極193の外径R1から碍子192の径R3を引いた差を流速検出センサ50により検出される燃焼室11b内を流れる気体の流速vで割った値までの範囲に該当する。放電停止期間を該当の範囲内に設定することで、碍子192付近に存在する電荷が領域L内に存在する期間中に一次コイル311Aに流れる一次電流I1を遮断することができ、気中放電の発生確率を向上させることができる。
【0066】
・上記実施形態では、気中放電移行制御は、沿面放電制御が実施されてから所定の放電制御時間を経過するまで繰り返し実施されていた。このことについて、必ずしも所定の放電制御時間を設ける必要はなく、気中放電移行制御を一度のみ実施させる構成としてもよい。
【0067】
[1]上記実施形態では、気中放電移行制御は、沿面放電制御が実施されてから所定の放電制御時間を経過するまで繰り返し実施されていた。このことについて、所定の放電制御時間を設ける代わりに、電子制御ユニット32は点火プラグ19で生じている放電が気中放電であるか否かを判定する後述の気中放電判定処理を実施する構成としてもよい。なお、本別例に係る電子制御ユニット32は、気中放電判定部に該当する。
【0068】
本構成において、点火プラグ19で生じている放電が気中放電ではないと判定された場合、電荷はまだ碍子192近くに存在しており、それゆえに沿面放電が生じていると推測されるため、気中放電移行制御が繰り返される。これにより、電荷を下流方向に移動させることができ、幾度目かの気中放電移行制御が実施された際に気中放電可能領域内の電荷が増加し、気中放電を発生させることが可能となる。点火プラグ19で生じている放電が気中放電であると判定された場合には、その気中放電を維持するべく、以降の気中放電移行制御が終了され、IGBT312により一次コイル311Aへ流れる一次電流I1の遮断が継続される。これにより、気中放電を長く維持することができ、可燃混合気の着火性を向上させることが可能となる。
【0069】
なお、本別例に係る気中放電判定処理は、気中放電移行制御を実施してから、1燃焼サイクル中における圧縮行程期間中に点火プラグ19に放電を実施させるべき放電期間が経過するまで実施される。よって、気中放電移行制御の実施以降に、点火プラグ19に生じた放電が気中放電であると判定することなく放電期間が経過した場合には、気中放電移行制御が終了され、それに伴って気中放電判定処理が終了される。なお、放電期間は、1燃焼サイクル中に点火プラグ19に放電を生じさせる期間を指し、放電制御時間は、気中放電移行制御を実施させる時間を指すため、多くの場合、放電制御時間は放電期間内に含まれることになる。
【0070】
気中放電判定処理を具体的に説明する。気中放電時の放電火花の長さは、沿面放電時の放電火花の長さよりも長くなる。このため、IGBT312に一次電流I1の遮断を行わせることで点火プラグ19にて沿面放電が開始した後において、放電を維持するために必要な一次電圧V1は沿面放電よりも気中放電の方が大きくなる。つまり、IGBT312により一次電流I1の遮断が行われることで生じる一次電圧V1の最初の最大ピーク後において、放電を維持するために必要な一次電圧V1は沿面放電よりも気中放電の方が大きくなる。このため、IGBT312により一次電流I1の遮断が行われてから判定時間が経過するまでの間に、最初に生じる最大ピークを除く一次電圧V1が、沿面放電を維持するために必要な一次電圧V1よりも大きく設定された閾値よりも大きくなったことを条件として、点火プラグ19で生じている放電は気中放電であると判定することが可能となる。なお、本別例において判定時間は上述の第二所定時間よりも長く設定されるが、それに限定されるものではなく、例えば判定時間が第二所定時間と同程度の長さに設定されてもよい。
【0071】
図12は、
図9のフローチャートの一部を変容したものである。すなわち、
図9におけるステップS150を削除し、その代わりに、新規にステップS250と、ステップS254と、ステップS258と、が追加される。
【0072】
ステップS140に該当するステップS240を実施した後、ステップS250に進む。ステップS250では、電圧検出回路314により検出された一次コイル311Aに印加される一次電圧V1を取得する。そして、ステップS254では、IGBT312により一次電流I1の遮断が行われてから判定時間が経過するまでの間に、最初に生じる最大ピークを除く一次電圧V1が閾値よりも大きくなったか否かを判定する。IGBT312により一次電流I1の遮断が行われてから判定時間が経過するまでの間に、最初に生じる最大ピークを除く一次電圧V1が閾値よりも大きくなったと判定した場合には(S254:YES)、ステップS160に該当するステップS260に進む。IGBT312により一次電流I1の遮断が行われてから判定時間が経過するまでの間に、最初に生じる最大ピークを除く一次電圧V1が閾値よりも大きくならなかったと判定した場合には(S254:NO)、ステップS258に進む。
【0073】
ステップS258では、上述の放電期間を経過したか否かを判定する。放電期間を経過したと判定した場合には(S258:YES)、ステップS160に該当するステップS260に進む。放電期間を経過していないと判定した場合には(S258:NO)、ステップS240に進む。
【0074】
それ以外のステップについて、
図12の各ステップS200,210,220,及び230の処理は、それぞれ、
図9の各ステップS100,110,120,及び130の処理と同一である。したがって、ステップS200の処理は沿面放電制御部による処理に該当し、ステップS240の処理は気中放電制御部による処理に該当する。
【0075】
次に、
図13を参照して、本別例にかかる放電制御の態様を説明する。
【0076】
図13において、「IGt」はIGBT312のゲート端子へ点火信号IGtが出力されたか否かをハイ/ローで表すものである。「V1」は、一次コイル311Aに印加される一次電圧V1の値を表している。また「V2」は、点火プラグ19に印加される二次電圧V2の値を表している。
【0077】
電子制御ユニット32により、IGBT312のゲート端子に点火信号IGtが送信される(時間t1参照)。これにより、IGBT312は閉状態となり、一次電流I1が一次コイル311Aへ流れる。そして、第一所定時間の経過後に電子制御ユニット32によるIGBT312のゲート端子への点火信号IGtの出力が停止される(時間t2参照)。これにより、IGBT312は開状態となり、一次コイル311Aへ流れる一次電流I1の導通が遮断され、二次コイル311Bに二次電圧V2が誘起する。このとき点火プラグ19に生じる放電は沿面放電であると想定されるため、この期間(時間t2−t3参照)は気中放電判定処理を実施しない。
【0078】
IGBT312が開状態となることで一次コイル311Aへ流れる一次電流I1の導通が遮断されてから第二所定期間の経過後に、IGBT312のゲート端子への点火信号IGtの出力が再開される(時間t3参照)。これにより、IGBT312は閉状態となり、一次コイル311Aへの一次電流I1の導通が行われ、点火プラグ19にて生じている放電が停止される。そして、放電停止期間が経過した後、IGBT312のゲート端子への点火信号IGtの出力が停止されることで、IGBT312は開状態となり、二次コイル311Bに二次電圧V2が誘起して、点火プラグ19に再度放電が生じる(時間t4参照)。
【0079】
この際、IGBT312により一次電流I1の遮断が行われてから判定時間が経過するまでの間(時間t4−t5参照)に、最初に生じる最大ピークを除く一次電圧V1が閾値よりも大きくなったか否かの気中放電判定処理が実施される。
図13に記載の例では、IGBT312により一次電流I1の遮断が行われてから判定時間が経過するまでの間に、最初に生じる最大ピークを除く一次電圧V1が閾値よりも大きくなったために、点火プラグ19で生じた放電は気中放電であると判定され、以降の気中放電移行制御が終了され、IGBT312に開状態を継続させる。これにより、気中放電が継続して生じることになる。
【0080】
例えば、
図14に示されるように、燃焼室11bを流れる気体の気流の上流側に沿面放電が生じた場合を想定する。この場合、一度の気中放電移行制御を実施するのみでは、電荷を碍子192から十分に離すことができず、沿面放電を気中放電に移行させることができないおそれがある。よって、このような状況では、気中放電移行制御が繰り返される。このとき、電荷は気流に乗って下流に流され、それに伴って流される電荷の位置に応じて沿面放電が発生する位置もまた下流側へと変化する。その後、電荷は碍子192から離れ、点火プラグ19で生じる放電が気中放電となる。このように、燃焼室11bを流れる気体の上流側に沿面放電が生じた場合には、燃焼室11bを流れる気体の気流の下流側で沿面放電が生じた場合と比較して、気中放電に移行するまでに時間がかかることが予想される。したがって、上記実施形態のように放電制御時間を設けた場合には、気中放電移行制御を実施させてから放電制御時間が経過するまでの間に、気中放電に移行できないおそれがある。
【0081】
この点、本別例では、気中放電移行制御が実施されるたびに、点火プラグ19で生じた放電が気中放電であるか否かの気中放電判定処理が実施されるため、気中放電が生じたと判定されるまで気中放電移行制御を繰り返し実施することができる。したがって、本別例に係る点火制御システムでは、気体が流れる方向に依存する事無く、点火プラグ19で生じた沿面放電を気中放電に移行させることができる。
【0082】
なお、上記実施形態に係る放電制御の態様は、
図13に記載のタイムチャートに含まれる。より詳細には、時間t4−時間t5区間で実施される気中放電判定処理が省かれた内容が上記実施形態に係る放電制御の態様となる。
【0083】
[1]で実施される気中放電判定処理は、沿面放電制御を実施することで点火プラグ19に生じた放電が沿面放電である可能性が高いために、判定の対象としていなかった。このことについて、沿面放電制御を実施することで点火プラグ19に生じた放電を対象に気中放電判定処理を実施してもよい。この場合、IGBT312に一次コイル311Aへ流れる一次電流I1を遮断させてから第二所定時間の経過後に、IGBT312に一次コイル311Aへ一次電流I1の導通を行わせることはなく、あくまで気中放電判定処理の判定結果に基づく制御を実施する。具体的には、沿面放電制御を実施した際に、IGBT312により一次電流I1の遮断が行われてから判定時間が経過するまでの間に、最初に生じる最大ピークを除く一次電圧V1が閾値よりも大きくならなかったと判定した場合には、気中放電移行制御を実施する。一方で、沿面放電制御を実施した際に、IGBT312により一次電流I1の遮断が行われてから判定時間が経過するまでの間に、最初に生じる最大ピークを除く一次電圧V1が閾値よりも大きくなったと判定した場合には、気中放電移行制御を実施せず、IGBT312に開状態を継続させる。
【0084】
[1]では、一次電圧V1に基づいて気中放電判定処理を実施していた。このことについて、一次電圧V1の代わりに二次電圧V2に基づいて気中放電判定処理を実施してもよい。具体的には、電圧検出回路314を、二次コイル311Bに印加される二次電圧V2を検出する構成とする。そして、IGBT312により一次電流I1の遮断が行われてから判定時間が経過するまでの間に、最初に生じる最大ピークを除く二次電圧V2の絶対値が、沿面放電を維持するために必要な二次電圧V2よりも大きく設定された閾値よりも大きくなったことを条件として、点火プラグ19で生じた放電が気中放電であると判定してもよい。
【0085】
[1]に記載の気中放電判定処理では、IGBT312により一次電流I1の遮断が行われてから判定時間が経過するまでの間に、最初に生じる最大ピークを除く一次電圧V1が閾値よりも大きくなったか否かを判定していた。このことについて、例えば、IGBT312により一次電流I1の遮断が行われてから判定時間が経過するまでの間、最初に生じる最大ピークを除く一次電圧V1の単位時間あたりの上昇量が所定量よりも大きい状態を継続したか否かを判定する構成としてもよい。
【0086】
[1]の別例に適用可能な別例を記載する。点火プラグ19で生じている放電が気中放電ではないと判定される場合とは、電荷がまだ碍子192近くに存在している状況以外にも、電荷が接地電極193の径方向の外側端部よりも外側に移動した状況も考えられる。後者の場合、放電停止期間を変更する事無く、気中放電移行制御を繰り返し実施しても、沿面放電が発生することで生成された電荷はそのたび接地電極193の径方向の外側端部よりも外側に移動することになり、気中放電を実施できないおそれがある。これに備え、放電停止期間は、点火プラグ19で生じている放電が気中放電ではないと判定されたことを条件として、現在の放電停止期間よりも短く設定される構成としてもよい。
【0087】
図15は、
図12のフローチャートの一部を変容したものである。すなわち、
図12におけるステップS258に該当するステップS358の判定処理にてNO判定だった場合に進むステップとして、新規にステップS359が追加される。
【0088】
ステップS359では、ステップS230に該当するステップS330で設定された放電停止期間を、補正期間だけ短縮した放電停止期間に設定し直して、ステップS240に該当するステップS340に戻る。
【0089】
それ以外のステップについて、
図15の各ステップS300,310,320,350,354,及び360の処理は、それぞれ、
図12の各ステップS200,210,220,250,254,及び260の処理と同一である。したがって、ステップS300の処理は沿面放電制御部による処理に該当し、ステップS340の処理は気中放電制御部による処理に該当する。
【0090】
これにより、沿面放電が発生することで生成された電荷が接地電極193の径方向の外側端部に到達するよりも前に、一次コイル311Aに流れる一次電流I1を遮断することができるようになり、気中放電の発生確率を向上させることができる。