特許第6709162号(P6709162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709162
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】喫煙品フィルタ
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20200601BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   A24D1/02
   A24D3/04
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-551174(P2016-551174)
(86)(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公表番号】特表2017-508451(P2017-508451A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2015051861
(87)【国際公開番号】WO2015121077
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2018年1月15日
(31)【優先権主張番号】14154699.4
(32)【優先日】2014年2月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】パーソンズ,ローリー
(72)【発明者】
【氏名】ローリンズ,スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】マクリア,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ミクロクリン,デイビッド
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/124378(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0145612(US,A1)
【文献】 特開平02−058585(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0108142(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/068081(WO,A1)
【文献】 特開2010−107708(JP,A)
【文献】 特開2003−029637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00 − 3/18
G01N 21/75 − 21/83
D06P 1/00 − 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙品用のフィルタ(3)であって、
前記フィルタは、フィルタ材料(3c)と、液体を収容し該フィルタを通過する煙を変化させる少なくとも1つのユーザー活性化部(5)と、を備え、前記フィルタ材料は、該フィルタ材料(3c)の少なくとも一部を包囲する少なくとも1つの包装材(7,10)に包装されており、該少なくとも1つの包装材の一表面上にはインジケータ材料(8)が設けられ、該インジケータ材料は(8)は前記ユーザー活性化部(5)が活性化された際に該ユーザー活性化部(5)から放出された液体に濡れることで活性化され、該ユーザー活性化部(5)による液体放出から0.001から5秒以内に、該少なくとも1つの包装材における活性化を視覚的に表示し、
前記インジケータ材料が可溶性固体染料である、フィルタ。
【請求項2】
前記活性化の視覚的な表示は、前記ユーザー活性化部(5)による液体放出から1秒に満たない時間内に行われる、請求項1に記載のフィルタ(3)。
【請求項3】
前記インジケータ材料(8)は、実質的に透過性の包装材(7,10b)の一表面に設けられている、請求項1または2に記載のフィルタ(3)。
【請求項4】
前記フィルタをタバコ棒(2)に装着するための第2の包装材(4)をさらに備え、該第2の包装材(4)は活性化された前記インジケータ材料(8)を目視可能とするための少なくとも1つの可視化領域(9)を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルタ(3)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの可視化領域は、前記第2の包装材(4)の切抜部(9)、又は該第2の包装材(4)の少なくとも1つの透明部(9)を含む、請求項4に記載のフィルタ(3)。
【請求項6】
前記第2の包装材(4)は、インジケータ材料(8)が活性化された際に前記液体が該第2の包装材(4)の前記可視化領域以外の部分に到達することを防止する保護被覆を含む、請求項4または5に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記インジケータ材料(8)は前記第2の包装材(4)の内表面上に設けられている、請求項から6のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項8】
液体を放出する前記ユーザー活性化部(5)はフレーバー放出手段である、請求項1から7のいずれか1項に記載のフィルタ(3)。
【請求項9】
液体を放出する前記ユーザー活性化部(5)は易破壊性カプセル又は弁の形態をとる、請求項1から8のいずれか1項に記載のフィルタ(3)。
【請求項10】
前記フィルタ材料は、さらに少なくとも1つの実質的に非透過性の包装材に包囲されている、請求項1から9のいずれか1項に記載のフィルタ(3)。
【請求項11】
前記実質的に透過性の包装材は、前記被覆付きプラグラップの非被覆部分として形成されている、請求項に記載のフィルタ(3)。
【請求項12】
前記フィルタ材料は、さらに少なくとも1つの実質的に非透過性の包装材に包囲されており、前記実質的に透過性の包装材は、前記フィルタ材料と前記実質的に非透過性の包装材との間に位置する無被覆プラグラップである、請求項又は11に記載のフィルタ(3)。
【請求項13】
前記インジケータ材料(8)は、前記少なくとも1つの包装材中に設けられた親油性固体染料である、請求項1から12のいずれか1項に記載のフィルタ(3)。
【請求項14】
前記インジケータ材料(8)は、前記少なくとも1つの包装材中に設けられた親水性固体染料である、請求項1から13のいずれか1項に記載のフィルタ(3)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載のフィルタ(3)を含む喫煙品(1,11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は喫煙品用のフィルタに関する。本発明は特に、ユーザーに吸入される前の煙が通過する喫煙品フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
言うまでも無く、喫煙品フィルタは広く知られたものである。また、1つ又は複数のユーザー活性化部を含むフィルタ付き喫煙品を提供することも、比較的よく知られている。
【0003】
このユーザー活性化部は、喫煙中に煙を変化させてみたくなった時にユーザー自身に活性化させることを意図したものである。この部材は例えば、喫煙中の煙にフレーバーを加える為にユーザーが潰して使う易破壊性カプセルとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012−156704号
【特許文献2】国際公開第2013−068081号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような喫煙品はユーザーらの間で知られる存在になりつつも、煙に所望の効果を加えるに十分な活性化がユーザー活性化部に対して行われたか否かがユーザーに解りにくい、という問題がある。インジケータ機構も若干提案されているが、いずれも活性化に化学反応や毛管現象を要し、製造するには機構が複雑で、かつコストが掛かる等の問題点がある。
【0006】
本発明は、ユーザー活性化部を有する既存の喫煙品に付随するこれら問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、喫煙品用のフィルタであって、該フィルタはフィルタ材料と、該フィルタを通過する煙を変化させる少なくとも1つの液体入りユーザー活性化部とを備え、上記フィルタ材料は、該フィルタ材料の少なくとも一部を包囲する少なくとも1つの包装材に包装されており、該少なくとも1つの包装材の一表面上にはインジケータ材料が設けられ、該インジケータ材料は上記ユーザー活性化部が活性化された際に該ユーザー活性化部から放出された液体に上記包装材が濡れることで活性化され、該ユーザー活性化部による液体放出から0.001から5秒以内、好ましくは1秒に満たない時間内に、該少なくとも1つの包装材における活性化を視覚的に表示し、前記インジケータ材料が可溶性固体染料である、フィルタが提供される。
【0008】
本発明のフィルタは、可溶性固体染料等のインジケータ材料を包装材の構造内又はその表面上に設け、これを液体と直接接触して活性化できるようにすることで、比較的簡単且つ安価に製造可能とされたものであり(基本的なフィルタ構造は変更不要)、これにより従来技術に付随する問題点を上手く解決することができる。また、この機構により、表示の精度やスピードも大幅に改善される。実際、本発明のフィルタを用いると、例えば易破壊性カプセルからなるユーザー活性化部の活性化の表示はほぼ瞬時に発生し、実際、液体が多孔性フィルタ材料中のユーザー活性化部から放出された瞬間から包装材に到達する瞬間までの時間は0.001秒台から1秒台である。
【0009】
国際公開第2012−156704号又は国際公開第2013−068081号等の先行技術に見られるインジケータと異なり、本発明のインジケータ機構は吸い上げ効果にも何の化学反応にも頼らず、単に濡れることによる可溶性固体染料の色変化を利用するものである。したがって、当該インジケータは遙かに迅速で、ユーザー活性化部の活性化に直結している。本発明のフィルタのインジケータ機構は、構造が遙かにシンプルで、したがって製造も遙かに容易でコスト効率も高い。
【0010】
上記インジケータ材料は、親油性(油溶性)の固体染料であっても、親水性(水溶性)の固体染料であってもよい。ここで、「染料」の語は一般的な意味に用い、染料、顔料その他の固体着色料を包含し、バインダーとの混合物又は蒸発性の溶液等の状態で吹付けて投射し又は塗布することにより、フィルタの包装材に直接適用されるものである。包装材が濡れると直ちに表示が行われるスピードを確保する上で、本発明で用いられる染料が固体であることは特に重要である。これにより、ユーザー活性化部が破れるとそこから放出された液体に固体染料が濡れることによりインジケータ材料が直接的に活性化され、これにより表示はほぼ瞬時となり、従来公知のインジケータに比べて優位となる。上記のようなインジケータ部は、このフィルタにおけるインジケータ機構の一例である。
【0011】
上記インジケータ材料は、実質的に透過性を有する包装材(即ち、フィルタプラグラップ)の内表面又は外表面に設けることができる。本発明において「透過性を有する包装材」の語は、液体と空気の双方に対して透過性を示す材料を指すものとする。
【0012】
実質的に透過性を有する上記包装材は、例えば、非透過性の被覆付きプラグラップの外部に形成することができる。ここで、非透過性の被覆付きプラグラップは、ユーザー活性化部を含むフィルタ材料の部分を包囲する少なくとも1つの非被覆部分を有する。実質的に非透過性の上記プラグラップはまた、機械的な穿孔等によって局所的に透過性を付与されていてもよい。
【0013】
変形例として、実質的に透過性を有する上記包装材は、上記フィルタ材料と第2の非透過性プラグラップとの間に配された個別の非被覆プラグラップ又は多孔性プラグラップであってもよい。この場合の多孔性プラグラップは、ユーザー活性化部を含むフィルタのセクション又はセグメントを包囲し、他の(単数または複数の)セクション又は他の(単数または複数の)セグメントは第2の非透過性プラグラップに包囲されている。
【0014】
本発明の好ましい一態様において、少なくとも1つの透過性プラグラップを第1の包装材とし、これにフィルタをタバコ棒に装着するティッピング紙である少なくとも1つの第2の包装材と組み合わせる。ここで、第2の包装材は実質的に透過性を有する上記包装材の少なくとも一部の周囲に設けられ、上記インジケータ材料は該第2の包装材の内表面に設けることができる。この第2の包装材は、活性化されたインジケータ材料を可視化する少なくとも1つの可視化領域を含むことができる。
【0015】
上記ティッピング紙は、フィルタ材料と対面するその内表面に保護被覆を備えていてもよく、これにより、ユーザー活性化部の活性化によってインジケータ材料が濡れた際に、インジケータ材料がティッピング紙の或る領域に(即ち、可視化領域をはみ出して)流出することが制限される。
【0016】
上記ティッピング紙には、例えば切抜部又は透明部等の窓が少なくとも1つ設けられていることが好ましく、これにより、ユーザー活性化部の活性化後のインジケータ材料が目視できる。
【0017】
本発明のさらに他の実施態様において、フィルタ材料を包む少なくとも1つの包装材として、1枚のティッピング紙を用いることもできる。この場合のティッピング紙は1層の第1の層(内層)と少なくとも1層の第2の層(外層)とを含むラミネート型のティッピング紙であってよい。上記内層は少なくとも局部的に透過性を有すると共にかかる透過性を有する部位の上にインジケータ材料が設けられてなり、一方の上記外層は非透過性であって、液体とインジケータ材料とがティッピング紙の外表面、即ちフィルタ側へ流出することを防止する。
【0018】
上記液体入りユーザー活性化部はフレーバー放出手段であってよく、易破壊性カプセル又は弁付きカプセルの形態をとるものであってよい。後者の場合、この弁を操作することにより液体の流れを上手く制御することができる。
【0019】
本発明はまた、上述のフィルタを含む喫煙品も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下、本発明の実施例を下記の添付図面を参照しながら説明する。
図1図1は本発明のフィルタを使用した喫煙品の模式的垂直断面図である。
図2図2図1に示した喫煙品のインジケータ機構の詳細を示す模式的端面図である。
図3図3A及び図3Bは、カプセル/インジケータインターフェースの構造が異なるインジケータ材料を設ける他の方法を示す図である。
図4図4は、本発明にしたがって形成されたフィルタが設けられた喫煙品の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の喫煙品及びフィルタの第1の実施態様を示す図1を参照すると、喫煙品1(一例としてシガレット1)は、タバコ棒2とフィルタ3とを含む。喫煙品1を使用する際は、タバコ棒2の解放遠位端2aに着火し、該タバコ棒2の解放遠位端2aからフィルタ3を通して該フィルタ3の近位端3bへと煙を引き込み、ここでユーザーが煙を吸入する。上記フィルタは、アセテート・トウ等、公知の如何なるフィルタ材料3cから構成されてもよい。
【0022】
一般的にタバコ棒2は包装材6(通常は紙製)に巻かれ、この包装材がタバコ棒2の形状を保ち、煙をフィルタ3へと導く。
【0023】
シガレット1はさらにフィルタを包囲する少なくとも1つの包装材を含む。具体的には、図1に示す様に、少なくとも局所的に空気及び液体を透過させる透過性包装材から成りプラグラップ7の形態をとる第1の包装材が、フィルタ材料3cを包囲する。一方、ティッピング材4の形態をとり一例として非透過性の紙から成る第2の包装材が、フィルタ3とプラグラップ7とを包囲し、且つタバコ棒2の包装材6の上に延在してこれらを接合している。ティッピング材料4は、タバコ棒2の近位接合端2bとフィルタ3の遠位接合端3aとを互いに付き合わせた状態に保ち、喫煙品1の構造を維持すると共に、該喫煙品1の遠位端2aから近位端3bへと煙を正しく誘導する役目を果たす。
【0024】
フィルタ3は、易破壊性又は易破断性の液体入りカプセルで構成可能なユーザー活性化部5を含み、該カプセルがユーザーに破られると中の液体が放出される。このユーザー活性化部は、例えば水性溶液又は油性溶液等の液体を満たしたカプセル様の液体放出装置とすることができる。また、ユーザーによる活性化を受けて液体を放出できるものであれば、ユーザー活性化部5は液流を制御するための弁を備えたカプセル(即ち、弁付きカプセル)や、複数カプセル等の他の形態をとってもよい。
【0025】
上記ユーザー活性化部5に封入される溶液は、煙を調節する成分又は物質をさらに含んでもよく、例えばユーザー活性化部5が活性化された際に煙のフレーバーを調節するフレーバー調節剤を含んでもよい。かかる煙調節成分は、例えばユーザー活性化部に封入される液体の添加剤として用いることができる。
【0026】
ユーザーによるユーザー活性化部5の活性化は、例えば圧縮によりカプセルを圧壊して液体を放出させることで行われるが、捻り動作によっても同様の効果が得られる。活性化を捻り動作により行う場合は、フィルタ3は互いに捻れた位置関係をとり得る2つの部品を備えてよく、ユーザー活性化部5に対してこれを活性化するための捻り力を加える。いずれの場合も、ユーザー活性化部5が活性化されることにより、その中に封入されていた液体が放出される。
【0027】
上記プラグラップ7は、少なくともユーザー活性化部5を含むフィルタ材料の横断面の周囲で実質的に透過性を有する包装材から成ることが好ましい。プラグラップ7は例えば全多孔質且つ透過性の織布又は不織布から作成することができる。或いは、プラグラップ7はその少なくとも一部が透過性となるように局所的に無被覆とされた非透過性の被覆付きプラグラップであってもよく、又は、単にそれに直接、機械的に孔を開けることにより、ユーザー活性化部5から放出された液体に対して局所的な透過性を持たせたものであってもよい。
【0028】
上記プラグラップ7は、ユーザー活性化部5が活性化されたことをユーザーに知らせるインジケータ部の一部を構成する。図2に示す第1の好ましい実施態様において、上記透過性のプラグラップ7の内表面上には、ユーザー活性化部5に封入されていた液体と直に接触してこれに溶解するインジケータ材料8が設けられていてよい。このインジケータ材料8は例えば、油溶性又は水溶性の固体染料、顔料または着色剤であってよく、ユーザー活性化部5に内蔵される溶液の性質に応じて親水性又は疎水性とされる。油溶性染料の代表例としては「ソルベント・レッド195」,「ソルベント・バイオレット13」(CI番号:60725)、スダンIII(CAS番号:85−86−9)、パプリカ(E番号:E160c)、或いはクルクミン(E100)の様に油溶物として入手できる染料が挙げられる。一方、水溶性染料の代表例としては、リボフラビン(E101、ビタミンB2)、サフラン(E164)、又はグリーンS(E142)が挙げられる。固体可溶性染料、顔料又は着色料を用いることにより、本発明のフィルタのインジケータ部を活性化する上で「吸い上げ材料」、即ち毛管現象も、如何なる化学反応も最早不要である。さらに、色素、特に固体色素を用いることで、活性化を表示するスピードが増し、かかる色素を保持するプラグラップ7の表面への呈色は、フィルタ材料内に液体が放出されてから0.001から1秒以内、つまりほぼ瞬時に起こる。
【0029】
フィルタ内に様々な方法でインジケータ材料8を設けた本発明のフィルタの他の実施態様を図3A、3Bに示す。
【0030】
図3Aは、図2を参照しながら前述したフィルタにおいて、インジケータ材料8がプラグラップ7の内表面上に設けられた例を示す。前述した様に、この実施態様ではプラグラップ7のうちインジケータ材料8が付着されている部分が透過性とされており、この部分とは即ち、何らかの非透過性の皮膜が除去されるか又は穿孔されることでプラグラップに局所的な透過性が付与された部分である。ティッピング紙4は透明なティッピング材料でもよいし、或いは図示の如く、通常のティッピング紙において、プラグラップ7のうちインジケータ材料8を保持する部分の上方に所定の形状の覗き窓9(例えば切抜部)を設けたものでもよい。これにより、ユーザー活性化部5として例えば水又はフレーバー液、或いはその両方を封入した易破断性カプセルが破れると、液体がフィルタ材料3cを通ってインジケータ材料8へと流れ、該インジケータ材料8が溶解してプラグラップ7に浸透してその表面に達し、これがティッピング紙4に設けられた覗き窓9の中に現れる。
【0031】
或いはまた、インジケータ材料8はプラグラップ7の外表面又はティッピング紙4の内表面に設けられてもよい(図示せず)。ティッピング紙4上のインジケータの境界は、例えばティッピング紙上にはコーティングを施し、且つインジケータ材料8を目視するインジケータ領域はコーティングせずに残すことにより、コントロールすることができる。
【0032】
図3Bは、本発明のフィルタ3の別の態様を示す。この第2の態様では、フィルタ3はフィルタ材料3cを包囲する透過性のプラグラップ7と、ラミネート型のティッピング紙10とを含み、該ティッピング紙10は内側の吸収剤である透過性層10bと、外側の非透過性層10aから成る。上記インジケータ材料8は、内側吸収剤層10bの上に設けられている。このラミネート型のティッピング紙10の外側層10aは透明であるか、所定の形の覗き窓9を有するか、或いはその両方でもよい。ここで、ユーザー活性化部5である例えば液体入り易破断性カプセルが破れると、この液体がフィルタ材料3cとプラグラップ7を通って、ラミネート型ティッピング紙10の内側層10b上に設けられたインジケータ材料8と接触する。インジケータ材料8は溶解すると直ちにラミネート型ティッピング紙10の内側層10b上に現れ、該ティッピング紙10の外側層10aに設けられた覗き窓9を通して見える。この別構造において、プラグラップ7は部分的又は全体的に透過性であってよい。ここで注意すべきは、この実施態様に於けるプラグラップ7の使用は全く任意であり、上記ティッピング紙10を単独でフィルタ3用の包装材として用いることもできる。
【0033】
本発明の上述の実施態様に於いて、インジケータ材料8は英国特許第2261152A号に記載の方法にしたがってプラグラップ又はティッピング紙に設けることができる。
【0034】
本発明のフィルタを製造する方法は、例えば第1の工程として、水又はフレーバー液を封入した易破壊性カプセルを等間隔で挿入したアセテート製の通常の長尺フィルタ棒を形成する工程を含む。上記フィルタ棒は、その製造の過程で標準的な非透過性のプラグラップで包囲されている。このプラグラップは被覆付きプラグラップ(典型的には、3.0g/mの用量で塗布された水性コーティング)であり、予め機械加工又はレーザー加工で穿孔されて局所的に透過性が付与されており、その透過性部分は好ましくはフィルタ棒の中に連なって配置されるカプセルの配置間隔と同じ一定間隔で配置されている。好ましくは、フィルタ棒とプラグラップとは、プラグラップの各透過性部分の内側に、フィルタ棒のうち易破壊性カプセルを含有する各領域が収容されるように位置合わせして、装着される。プラグラップでフィルタ棒を包囲する前に、該プラグラップの各透過性部位に於いて、粉末状の固体染料等のインジケータ材料をその内表面又は外表面に設けることが好ましい。この第1の工程は、例えば英国特許第2261152A号等に記載された方法で実施することができ、この場合の固体染料は付着型の添加剤である。
【0035】
続く第2の工程では、長尺のフィルタ棒を個片化し、喫煙品製造用の個々のフィルタプラグとする。第3の工程では、透明又は形状加工された非透過性のティッピング材料を用い、通常の喫煙品の製造方法に従って、該ティッピング材料でフィルタプラグとタバコ棒の端部との双方を包囲する如く、個々のフィルタプラグを各タバコ棒に装着する。ティッピング材料が形状加工されている場合、つまり覗き窓を有している場合、ティッピング紙による包装は、各フィルタプラグ中のプラグラップの透過性部分が各覗き窓に収まるように整列された状態で行われる。
【0036】
図3A又は3Bを参照して説明したフィルタ3を含むシガレット製品11を図4に示す。ユーザーがフィルタのユーザー活性化部(例えばカプセル)を押し潰すと、溶解したインジケータ材料(例えば可溶性色素)がティッピング紙4,10の覗き窓9から目視できる。この例では、カプセルの活性化を2ヶ所以上の場所で表示できる様、フィルタの全周に亘って覗き窓9が設けられている。或いは、フィルタのティッピング紙4,10の窓の形に工夫を凝らし、インジケータ部の活性化により注目され易い記号やロゴ等が視覚化されるようにしてもよい。或いは、覗き窓をカプセルの破壊位置に合致した2ヶ所にのみ設け、活性化する為に押すべき場所をユーザーに知覚させることもできる。さらに覗き窓に替えて、或いはこれに加え、ティッピング紙にも透明部の形で窓を設け、活性化された染料を目視できるようにしてもよい。
【0037】
本発明のフィルタの実質的に透過性を有する包装材は、公知の様々な方法で設けられ得ることが理解されよう。例えば、透過性の包装材は、全体コーティング型又は部分コーティング型の市販のプラグラップ材料の非被覆部分として形成することができる。或いは、穿孔により、市販の全体コーティング型のプラグラップ材料に透過性を付与することもできる。さらに或いは、フィルタ3を個別セグメント構造としてもよく、この中でユーザー活性化部(カプセル)を内蔵する1つ又は複数のセグメントは多孔性又は透過性のプラグラップで個別に包装されており、その他のセグメントは非透過性のプラグラップで個別に包装されており、さらに公知のマルチセグメント式フィルタと同様、全てのセグメントが1層の多孔性プラグラップ、さらにはティッピング紙で包装されている。
【0038】
本発明のフィルタ構成によれば、喫煙体験を調節することができ、且つ、活性化が部材や材料に依存しない様式でシンプル且つ効果的に行われたことをユーザーに実感させ得るユーザー活性化部5を備えたフィルタ3を提供することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4