【実施例】
【0017】
本発明に係る電子制御装置10の外観は
図4(b)で示すが、
図1では天地を逆にした。すなわち説明の都合で、
図1ではケース30を上に、カバー40を下に示した。基板14も天地逆に示した。
【0018】
図1に示すように、電子制御装置10は、一端にコネクタ11、12を有すると共に大型電子部品13が実装されている基板14と、コネクタ11、12を突出させた状態で基板14を収納するケース30と、このケース30に被せるカバー40とを備えている。
【0019】
基板14は、切欠き形成した第1U字部15と第2U字部16を有する。
大型電子部品13から延びるピン状の端子17が基板14に半田固定されている。同様にコネクタ11から延びる帯状の端子18が基板14に半田固定され、コネクタ12から延びるピン状の端子19が基板14に半田固定されている。
【0020】
ケース30は、一面が開口(
図1では下面が開口)している箱体である。ケース30は、一対の支持片31、31を一体的に備えている。これらの支持片31、31を用いて車体などに電子制御装置10を固定することができる。
ケース30は、第1U字部15に対応する部位に第1注入口32を有し、第2U字部16に対応する部位に第2注入口33を有する。
【0021】
カバー40は、大型電子部品13を収容する凹部41と、帯状の端子18を収納する凹部42と、ピン状の端子19を収納する凹部43を有する。基板14は、一般にケース30に固定されるが、本例では、ビス44にてカバー40に固定される。
カバー40はケース30に比較して複雑な形状を呈しているため、
図2で補足説明する。
【0022】
図2に示すように、カバー40は、縁にケース30の一部を差し込むことができる溝部45を有すると共に大型電子部品13を収納する凹部41及びその他の凹部42、43を有し、ビス(
図1、符号44)をねじ込む座部46を有する。さらに、カバー40は、コネクタ支持突起47を有する。
【0023】
溝部45は、平面視でコ字状を呈する。好ましくは、溝部45の端部は凹部42、43に各々開放する。更に好ましくは凹部42と凹部43を補助的な溝部48で連通する。
なお、想像線で示す第1注入口32は、溝部45に合致しており、想像線で示す第2注入口33は、大型電子部品13を収容する凹部41に隣接する凹部42に合致している。
【0024】
図1にて、コネクタ11、12側の嵌合部21をコネクタ支持突起47に嵌合しながら、基板14をカバー40に載せ、基板14をビス44で座部46に締結する。
図3(a)に示すように、コネクタ11、12はカバー40から突出している。次に、基板14を被うようにしてカバー40にケース30を被せる。
取付け後の姿は、
図3(b)のようになる。
【0025】
図3(c)は、
図3(b)のc−c線断面図であり、大型電子部品13が凹部41に収納され、帯状の端子18が凹部42に収納され、ピン状の端子19が凹部43に収納されている。
加えて、カバー40に設けた溝部45に、ケース30の一部が入り込んでいる。
【0026】
この状態で、
図3(b)に示す第1注入口32から第1注入器51にて溝部内樹脂モールド用樹脂材料52を適量注入する。溝部内樹脂モールド用樹脂材料52は、
図2の第1注入口32から溝部45に進入し、左右に分流し、溝部45を満たす。余剰分は凹部42や凹部43に流入する。
【0027】
溝部内樹脂モールド用樹脂材料52は、1時間程度で固化して溝部内樹脂モールド53となる。
図3(d)に示すように、溝部45が溝部内樹脂モールド53で満たされ、この溝部内樹脂モールド53がケース30とカバー40とを接着固定する。
【0028】
ケース30にカバー40が溝部内樹脂モールド53のみで接着固定されており、ボルトやナットが不要となる。結果、ボルトやナットを調達するコスト、保管するコスト及び取付けるコストが発生しない。
【0029】
次に、
図3(b)に示す第2注入口33から第2注入器55にて凹部内樹脂モールド用樹脂材料56を適量注入する。凹部内樹脂モールド用樹脂材料56は、
図2の第2注入口33から凹部42に進入し、分流し、凹部41及び凹部43を満たす。
凹部内樹脂モールド用樹脂材料56は、1時間程度で固化して凹部内樹脂モールド57となる。
【0030】
なお、溝部内樹脂モールド用樹脂材料52と凹部内樹脂モールド用樹脂材料56とは、異質樹脂材料であってもよいが同一の樹脂材料の方が推奨される。樹脂材料52、56は、一液タイプ(シリコン系樹脂又はエポキシ系樹脂)であってもよいが二液タイプ(ウレタン系樹脂又はエポキシ系樹脂)の方が推奨される。一液タイプは低温保管が必要であり、粘度が高く流動性に難がある。この点、二液タイプであれば常温保管が可能であり、流動性に富み、細部まで浸透する。
【0031】
図3(d)に示すように、凹部41が凹部内樹脂モールド57で満たされ、この凹部内樹脂モールド57で大型電子部品13の一部又は全部(実施例では下半分)がカバー40に接着固定される。大型電子部品13は重いため、車両の振動の影響を受けやすい。
仮に、
図3(c)に示すように、大型電子部品13がフリーであると、大型電子部品13が比較的大きく振れ、結果、端子17の半田が割れる心配がある。
対して、
図3(d)であれば、大型電子部品13が凹部内樹脂モールド57で支持されているため、振れることはなく、端子17を固定する半田が割れることもない。
【0032】
同様に、凹部42に充填された凹部内樹脂モールド57で帯状の端子18が支持されるため、端子18に係る半田割れは発生しない。さらに同様に、凹部43に充填された凹部内樹脂モールド57でピン状の端子19が支持されるため、端子19に係る半田割れは発生しない。
加えて、凹部内樹脂モールド57は、次の
図4(a)で説明する作用をも発揮する。
【0033】
図4(a)は
図3(d)の4a−4a矢視図である。
図4(a)に示すように、凹部内樹脂モールド57は、コネクタ11、12の背面を満たす。
図1で説明したように、コネクタ11、12は、嵌合部21がコネクタ支持突起47に嵌っているが、嵌合であるため僅かな隙間が発生する。仮に放置するとこの隙間から外部の水や塵がカバー40内に侵入する心配がある。
この心配に対しては、
図4(a)に示す凹部内樹脂モールド57が嵌合部21とコネクタ支持突起47との間の隙間に浸透し、この隙間を塞ぐ。よって、外部の水や塵がカバー40内に侵入する心配はなくなる。
【0034】
図4(b)は、電子制御装置10の斜視図であり、カバー40が上に、ケース30が下になっている。この状態で支持片31を用いて電子制御装置10が車体等にボルト締めされる。
このように取付けられた場合、カバー40は目立つがケース30は目立たない。目立たないケース30に第1注入口(
図1、符号32)及び第2注入口(
図1、符号33)を設けたので、電子制御装置10の外観性が良好になる。
【0035】
尚、
図3(b)にて、第1注入器51と第2注入器55とで同時に樹脂材料52、56を注入することは差し支えない。又は、第1注入器51だけを準備し、第1注入器51で第1注入口32(又は第2注入口33)へ樹脂材料52を注入したのちに、同じ第1注入器51で第2注入口33(又は第1注入口32)へ樹脂材料52を注入してもよい。
【0036】
また、実施例では、電子制御装置10は2つのコネクタ11、12を備えるが、コネクタ11のみ、又は3個以上のコネクタ11、12を備えてもよい。