特許第6709211号(P6709211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6709211ワークピースを静電クランプするためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709211
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】ワークピースを静電クランプするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20200601BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20200601BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H02N13/00 D
   H01L21/265 603D
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-513626(P2017-513626)
(86)(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公表番号】特表2017-535937(P2017-535937A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】US2015050691
(87)【国際公開番号】WO2016044594
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年9月6日
(31)【優先権主張番号】62/052,834
(32)【優先日】2014年9月19日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイア,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】グエン,タン
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−527923(JP,A)
【文献】 特開2014−107382(JP,A)
【文献】 特開2000−156399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/265
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電クランプにワークピースをクランプするための方法であって、
上記静電クランプの表面に第1のワークピースを配置する工程と、
上記静電クランプに第1のクランプパラメータのセットを印加し、第1のクランプ力によって上記静電クランプの上記表面に上記第1のワークピースをクランプする工程と、
上記静電クランプに対する上記第1のクランプパラメータのセットの印加に伴い、上記静電クランプに対する上記ワークピースのクランプの程度を判定する工程と、
上記静電クランプに対する上記第1のクランプパラメータのセットの印加を中止する工程と、
上記静電クランプに対する上記第1のクランプパラメータのセットの印加を中止した後に、上記静電クランプに第2のクランプパラメータのセットを印加する工程と、
上記静電クランプに対する上記第2のクランプパラメータのセットの印加に伴い、上記静電クランプに対する上記ワークピースのクランプの程度を判定する工程と、
上記静電クランプに対する上記第2のクランプパラメータのセットの印加に伴って判定された上記静電クランプに対する上記ワークピースのクランプの上記程度が、クランプ閾値よりも小さい場合、または、当該クランプ閾値にほぼ等しい場合に、上記静電クランプに対する上記第2のクランプパラメータのセットの印加に伴って、上記静電クランプの上記表面から上記ワークピースを取り外す工程と、
上記静電クランプの上記表面から上記ワークピースを取り外した後に、上記静電クランプに対する上記第2のクランプパラメータのセットの印加を中止する工程と、を含んでおり、
上記第1のクランプパラメータのセットは、第1の周波数における第1のAC電圧を含んでおり、
上記第2のクランプパラメータのセットは、第2の周波数における第2のAC電圧を含んでおり、
上記第1のAC電圧は、上記第2のAC電圧に比べて約1桁のオーダで高く、
上記第1の周波数は、上記第2の周波数に比べて約1桁のオーダで低く、
上記第1のAC電圧は、600〜1200ボルトであり、上記第1の周波数は、1〜5ヘルツであり、上記第2のAC電圧は、50〜200ボルトであり、上記第2の周波数は、80〜120ヘルツであることを特徴とする方法。
【請求項2】
上記静電クランプの上記表面に第2のワークピースを配置する工程と、
上記静電クランプに上記第1のクランプパラメータのセットを印加し、上記第1のクランプ力によって上記静電クランプの上記表面に上記第2のワークピースをクランプする工程と、をさらに含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記静電クランプと上記ワークピースとの間にバックサイドガスを供給する工程をさらに含んでおり、
上記バックサイドガスは、上記静電クランプに対する上記第2のクランプパラメータのセットの印加に伴って、上記静電クランプに対する上記第2のクランプパラメータのセットの印加に伴って判定された上記静電クランプに対する上記ワークピースのクランプの上記程度を概ね低減させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プロセスレシピに基づいて、上記静電クランプに対する上記第1のクランプパラメータのセットの印加が中止されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ワークピースを静電的にクランプするためのシステムであって、
静電クランプと、
上記静電クランプと動作的に接続された電源と、
上記静電クランプに対して、第1のクランプパラメータのセットおよび第2のクランプパラメータのセットを選択的に印加し、第1のクランプ力および第2のクランプ力のそれぞれによって、上記静電クランプの表面に上記ワークピースをクランプさせる制御器と、を備えており、
上記制御器は、上記静電クランプに対する上記ワークピースのクランプの程度をさらに判定し、
上記第1のクランプパラメータのセットおよび上記第2のクランプパラメータのセットの選択的な印加は、少なくとも部分的に、上記静電クランプに対する上記ワークピースのクランプの上記程度に基づいており、
上記制御器は、上記第2のクランプ力が非ゼロである場合に、
上記静電クランプから上記ワークピースが取り外されることに伴って、上記静電クランプに対して上記第2のクランプパラメータのセットをさらに印加し、
上記第1のクランプパラメータのセットは、第1の周波数における第1のAC電圧を含んでおり、
上記第2のクランプパラメータのセットは、第2の周波数における第2のAC電圧を含んでおり、
上記第1のAC電圧は、上記第2のAC電圧に比べて約1桁のオーダで高く、
上記第1の周波数は、上記第2の周波数に比べて約1桁のオーダで低く、
上記第1のAC電圧は、600〜1200ボルトであり、上記第1の周波数は、1〜5ヘルツであり、上記第2のAC電圧は、50〜200ボルトであり、上記第2の周波数は、80〜120ヘルツであることを特徴とするシステム。
【請求項6】
上記静電クランプに対する上記ワークピースのクランプの上記程度は、
(i)上記静電クランプに対する上記第1のクランプパラメータのセットの印加と、
(ii)上記静電クランプに対する上記第2のクランプパラメータのセットの印加と、の両方に伴って判定されることを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項7】
上記静電クランプと上記ワークピースとの間にバックサイドガスを供給するバックサイドガス源をさらに備えており、
上記バックサイドガスは、上記静電クランプに対する上記第2のクランプパラメータのセットの印加に伴って、上記静電クランプに対する上記ワークピースのクランプの上記程度を概ね低減させることを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項8】
静電クランプにワークピースをクランプするための方法であって、
第1の所望のクランプ状態に基づいて、クランプ周波数を有するクランプ電圧を上記静電クランプに印加し、第1のクランプ力によって上記ワークピースを当該静電クランプにクランプする工程と、
第2の所望のクランプ状態に少なくとも部分的に基づいて、上記クランプ電圧および上記クランプ周波数を変更する工程と、を含んでおり、
上記第2の所望のクランプ状態は、上記ワークピースと上記静電クランプとの間に生じる第2のクランプ力に関連しており、
上記第2のクランプ力は、非ゼロであり、かつ、上記静電クランプからの上記ワークピースの取り外しに関連しており、
上記クランプ電圧を上記静電クランプに印加する工程は、
第1の周波数における第1のAC電圧を上記静電クランプに印加する工程を含んでおり、
上記クランプ電圧および上記クランプ周波数を変更する工程は、
第2の周波数における第2のAC電圧を上記静電クランプに印加する工程を含んでおり、
上記第1のAC電圧は、上記第2のAC電圧に比べて約1桁のオーダで高く、
上記第1の周波数は、上記第2の周波数に比べて約1桁のオーダで低く、
上記第1のAC電圧は、600〜1200ボルトであり、上記第1の周波数は、1〜5ヘルツであり、上記第2のAC電圧は、50〜200ボルトであり、上記第2の周波数は、80〜120ヘルツであることを特徴とする方法。
【請求項9】
上記第1のクランプ力は、上記第2のクランプ力に比べて約1桁のオーダで大きいことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
上記クランプ電圧および上記クランプ周波数を変更する工程は、
上記クランプ電圧を1桁のオーダで減少させ、かつ、上記クランプ周波数を1桁のオーダで増加させる工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
上記ワークピースが上記静電クランプ上に存在していることを検出する工程と、
上記ワークピースが上記静電クランプ上に存在しなくなった場合に、当該静電クランプに対する上記クランプ電圧の印加を停止する工程と、をさらに含んでいることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項12】
上記静電クランプに対する上記ワークピースのクランプの程度は、
(i)上記静電クランプに対する、上記第1の周波数における上記第1のAC電圧の印加と、
(ii)上記静電クランプに対する、上記第2の周波数における上記第2のAC電圧の印加と、の両方に伴って判定されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本願は、「ワークピースを静電クランプするためのシステムおよび方法」(SYSTEM AND METHOD FOR ELECTROSTATIC CLAMPING OF WORKPIECES)というタイトルが付された米国仮出願No.62/052,834(2014年9月19日出願)の利益を主張する。当該出願の全体の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔分野〕
本発明は、一般的に静電クランプシステムに関し、より具体的には、静電的にクランプされたワークピースを速やかに解放するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
〔背景〕
静電クランプまたは静電チャック(ESCs)は、プラズマまたは真空を用いた半導体処理(例:イオン注入、エッチング、化学蒸着(CVD)等)の時間中に、ワークピースまたは基板をクランプするために、半導体産業において盛んに利用されている。ESCsの静電クランプ能力は、ワークピースの温度制御と同様に、半導体基板またはウェハ(例:シリコンウェハ)の処理に特に有用であることが示されている。例えば、標準的なESCは、導電性の電極の上部に配置された誘電層を備えている。半導体ウェハは、ESCの表面に配置される(例えば、当該ウェハは誘電層の表面に配置される)。半導体処理(例:イオン注入)の時間中、クランプ電圧は一般的にはウェハと電極との間に印加される。ウェハは、静電気力によってESCの表面に対してクランプされる。
【0004】
大多数の静電クランプは、時間的に交互に「固着」(sticking)する挙動を示す。これにより、ESCは給電されていないにも関わらず、ワークピースはESCの表面に保持される。一般的には、ESCの表面へのワークピースの固着は、ESCの電極への給電が解除された後に、電気的なアースへの迅速な経路を見出すことができず、ESCとワークピースとの間の界面に残留する静電荷に起因している。一般的には、残留電荷の性質、量、および分布は、制御できない。電荷を保持する現象も制御できず、かつ十分に理解されていないためである。
【0005】
上記の保持現象は、特定のクランプおよびクランプされているワークピースのロットに応じて変化しうるのと同様に、日ごと、あるいは時間ごとに変化しうる。上記の固着の挙動は、システム全体のワークピースのスループットに影響を与えるため、問題となる。
【0006】
従って、装置、システム、および方法の分野において、ワークピースのスループットの向上およびワークピースの破損の低減とともに、ESCに対するワークピースの残留的なクランプを緩和することが要求される。
【0007】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本開示の様々な態様に基づく、ESCを用いた例示的な真空システムのブロック図である。
【0008】
図2は、さらに別の態様に基づく、ESCからのワークピースのクランプ解除時間を低減するための方法のフローを示す。
【0009】
図3は、別の態様に基づく、ワークピースの移動期間における例示的なクランプ電圧を示すグラフである。
【0010】
図4は、別の態様に基づく、例示的な制御システムを示すブロック図である。
【0011】
〔詳細な説明〕
本開示は、静電クランプからのワークピースのクランプ解除時間を低減するためのシステム、装置、および方法を全般的に対象としている。以降、本発明は、図面を参照して説明される。ここで、同様の参照番号は、同様の部材を一貫して参照するために用いられてよい。様々な態様についての説明は単なる例示であると理解されるべきであり、限定を意図したものと解釈されるべきではない。以下の記載では、説明のために、様々な具体的な詳細が、本発明に対する十分な理解を与えるために開示されている。但し、本発明はこれらの具体的な詳細がなくとも実施されてよいことは、当業者によって明白であろう。さらに、本発明の範囲は、添付の図面を参照して以下に説明される実施形態または実施例に限定されることは意図されていない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【0012】
また、図面は本開示の実施形態の様々な態様の例を与えるために提供されている。このため、図面は単に概略的なものと理解されてよい。特に、図面に示された各部材は必ずしもスケール通りに描かれているわけではない。また、図面における様々な部材の位置は、各実施形態に対する明確な理解をもたらすために選択されたものである。このため、当該位置は、本発明の実施形態に係る実装における、様々な部材の実際の相対的な位置関係を必ずしも示しているわけではないと解釈されるべきである。さらに、本明細書における様々な実施形態および実施例の構成は、特に明記されない限り、互いに組み合わせられてもよい。
【0013】
また、以降の説明において、図面または明細書に示された機能ブロック、デバイス、部品、回路、部材、またはその他の物理的または機能的なユニット間における任意の直接的な接続または連結は、間接的な接続または連結によって実現されてもよいと理解されるべきである。さらに、図面における機能ブロックまたはユニットは、ある実施形態では、個別の構成または回路として実装されてよい。あるいは、当該機能ブロックまたはユニットは、別の実施形態では、全体的または部分的に、共通の構成または回路として実現されてもよい。例えば、複数の機能ブロックは、共通のプロセッサ(例:単独のプロセッサ)上で動作するソフトウェアとして実装されてよい。さらに、以下の記載において、有線によるものとして説明されている任意の接続は、特に明記されない限り、無線通信として実現されてもよい。
【0014】
本開示の一態様において、図1は、例示的な真空システム100を示している。真空システム100において、本発明の様々な態様が実現されてよい。本実施例における真空システム100は、イオン注入システム101を備えている。但し、様々なタイプの真空システム(例:プラズマ処理システムまたは他の半導体処理システム)が考慮されてもよい。イオン注入システム101は、例えばターミナル102、ビームラインアセンブリ104、およびエンドステーション106を備えている。一般的に、ターミナル102内のイオン源108は、ドーパントガスを複数のイオンへとイオン化させてイオンビーム112を形成するために、電源110に接続されている。本実施例におけるイオンビーム112は、ビームステアリング装置114を貫通して、開口116から出射されてエンドステーション106に向かうように方向付けられている。エンドステーション106において、イオンビーム112は、ワークピース118(例:シリコンウェハ等の半導体、ディスプレイパネル等)に衝突する。ワークピース118は、静電クランプ120(ESC)に選択的にクランプされる、または、取り付けられる。注入されたイオンは、ワークピース118の格子に埋め込まれると、当該ワークピースの物理的な特性および/または化学的な特性を変化させる。このため、イオン注入は、材料科学の研究における様々な応用のみならず、半導体デバイスの製造または金属の最終加工においても使用されている。
【0015】
ESC120は、例えば、適切な電源122(例:3相電源)に接続された交流(AC)クランプ(例:3相ESC)を備えている。電源122は、例えば、ESC120に供給されるAC電力124の電流、電圧、および周波数を制御できるように構成されている、または動作可能である。これにより、ESCの表面126に対してワークピース118を選択的にクランプできる。一例として、制御器128がさらに設けられている。当該制御器は、電源122および/または真空システム100の様々な他の態様を制御できるように動作可能である。
【0016】
本開示において、図2は、ESCに対するワークピースのクランプまたはクランプ解除のための例示的な方法200を示す。本明細書おける例示的な方法は、一連の動作またはイベントして説明されている。但し、本発明は、図示されたこれらの動作またはイベントの順序に限定されないと理解されるべきであることを留意されたい。例えば、一部のステップは、異なる順序で実行されてもよい。あるいは、一部のステップは、本明細書には図示または記載されていない、本発明に基づく他のステップと共に実行されてもよい。また、本発明に係る方法を実施するために、図示されていないステップが必要とされてもよい。さらに、当該方法は、本明細書において図示または説明されたシステムと同様に、本明細書において図示されていない他のシステムにも関連して実施されてもよい。
【0017】
図2の方法は、動作202から開始される。動作202では、第1のワークピースが、ESCの表面に配置される。動作204では、第1のクランプパラメータのセットが、ESCに印加される。これにより、第1のクランプ力によって、第1のワークピースをESCの表面にクランプできる。第1のクランプパラメータのセットは、例えば、第1の周波数において1つまたは複数の電極に印加される第1の交流(AC)電圧を含んでいる。例えば、第1のAC電圧の3相が、ESCの3つの電極に印加されてよい。さらに、動作204が実行された後に、動作206において、ワークピースの処理(例:イオン注入プロセス)が実行されてよい。
【0018】
動作208において、ESCに対するワークピークのクランプの程度が判定される。例えば、1つまたは複数のクランプ力、および、ESCに対するワークピースの位置が、動作208において判定される。ある例において、動作208は、他の動作に伴って実行されてもよい。あるいは、動作208は、方法200の開始から終了まで、連続的に実行されてもよい。例えば、動作208は、動作206におけるワークピースの処理に伴って実行されてよい。別の例において、ESCに対するワークピースのクランプの程度は、少なくとも、(i)ESCに対する第1のクランプパラメータのセットの印加、および、(ii)ESCに対する第2のクランプパラメータのセットの印加の両方に伴って、判定されてよい。ある例において、動作208におけるESCに対するワークピースのクランプの程度の判定は、図1の制御器128によって行われてもよい。あるいは、動作208においてESCに対するワークピースのクランプの程度を判定する工程は、ESC120に関係する個別の制御器(不図示)から、クランプ状態を受信する工程を含んでいてもよい。
【0019】
図2の動作210において、ESCに対する第1のクランプパラメータのセットの印加が中止される。そして、動作212において、第2のクランプパラメータのセットが、ESCに印加される。例えば、動作210において、ワークピースを処理するためのプロセスレシピに基づいて、ESCに対する第1のクランプパラメータのセットの印加が中止されてよい。動作212において印加される第2のクランプパラメータのセットは、例えば、第2の周波数における第2のAC電圧を含んでいる。ある例において、第1のAC電圧は、第2の電圧に比べて約1桁のオーダで高い。別の例において、第1の周波数は、第2の周波数に比べて約1桁のオーダで低い。例えば、第1のAC電圧は約600〜1200ボルトのオーダであってよく、第1の周波数は約1〜5ヘルツのオーダであってよい。さらに、第2のAC電圧は約50〜200ボルトのオーダであってよく、第2の周波数は約80〜120ヘルツのオーダであってよい。
【0020】
動作214において、ESCに対するワークピースのクランプの程度が、クランプ閾値よりも小さい場合、または、当該クランプ閾値にほぼ等しい場合に、ESCに対する上2のクランプパラメータのセットの印加に伴って、ESCの表面からワークピースが取り外される。クランプ閾値は、例えば、ワークピースとESCとの間に生じる力の閾値を含んでいてもよい。(例えばロボットまたは他の取り外し機構によって)ESCからワークピースを物理的に取り外すことによって、ワークピースとESCとの間に生じる力に打ち勝つことができる。ESCの表面からワークピースが取り外された場合、ワークピースまたはESCに悪影響は生じない。一例として、バックサイドガスが、バックサイドガス源から、ESCとワークピースとの間に供給されてよい。バックサイドガスは、ESCに対する第2のクランプパラメータのセットの印加に伴って、ESCに対するワークピースのクランプの程度を概ね低減させる。例えば、通常の場合にバックサイドガスが周囲に流出することを許容するバックサイドガスのベントは、ブロック可能であってよい。これにより、バックサイドガス(例:約10torrの圧力、または約10torrより低い圧力)が、ESCからのワークピースの取り外しを補助できる。
【0021】
動作216において、ESCの表面からのワークピースの取り外しに伴って(または取り外しの後に)、ESCに対する第2のクランプパラメータのセットの印加が中止される。方法200は、付加的なワークピースに対して繰り返し実行されてもよい。一例として、動作216においてESCに対する第2のクランプパラメータのセットの印加が中止されると、ESCの表面に第2のワークピースが配置されることに先立ち、動作218においてESC上の残留電荷を消散させることができる。別の例として、残留電荷がESC上に存在していたとしても、(例えば動作218に伴って)第2のワークピースがESCの表面に配置されてもよい。
【0022】
図3は、図1の例示的な真空システム100を全般的に参照しての、本開示の別の方法の例を示す。図1のESC120は、例えば、図3の電圧波形302(例:「ボックスカー」(boxcar)パターン)を供給できるように、制御器128によって制御されてよい。当該電圧波形302は、100Hzまでの周波数において、極性が交互に変化する1100Vまでの電圧である。図1のESC120は、例えば、AC電力の3つの経路を使用する。各経路または相は、互いに位相が120°遅れている。各経路または相は、図3の電圧波形302をそれぞれ供給できるように制御されている。このため、クランプ状態は、電圧波形302に関する電圧および周波数によって概ね規定される。クランプ状態は、(例えば、波形302の分析によって導出された)キャパシタンスモニタ波形304によって監視されてよい。当該キャパシタンスモニタ波形304は、図1のESC120とワークピース118との間のキャパシタンスに関連している。
【0023】
現時点において、電圧の減少に伴って、および/または周波数の増加に伴って、クランプ力が減少すると理解されている。クランプ電圧が低い値(例:10〜100V)に設定され、かつ、周波数が高い値(例:100Hz)に設定された場合、所望の処理に伴う十分なクランプ力によって、ワークピース118を図1のESC120に十分にクランプさせることは難しいであろう。しかしながら、このような設定(例:10V,100Hz)において、ワークピースのクランプ解除状態が再現可能である。このため、例えば、図1のESC120は、ワークピースの処理に伴って、ワークピース118をESC120にクランプさせるための第1のクランプパラメータのセットを供給できるように、制御器128によって制御されてもよい。この点は、第2のクランプパラメータのセットについても同様である。第2のクランプパラメータのセットの低い電圧/高い周波数は、「制御された」(controlled)クランプ解除状態を生じさせる。当該制御されたクランプ解除状態では、ワークピース118は極めて小さいクランプ力によってクランプされている。固着性(例:ESC120からワークピースを完全に取り外すために要する時間)は、ワークピースが取り外されることを待機している時間において、増加したキャパシタンスと関係している。この期間においては、残留電荷の影響が無視できず、当該状況を改善するために何らかの対応を行ってもよい。
【0024】
図1の制御器128を使用することによって、ESC120の動作のための設定を、(i)処理のための所望のクランプを提供する設定(例:第1のクランプパラメータのセット)から、(ii)クランプが弱いものの、なお幾分のクランプ力を提供する設定(例:例:第2のクランプパラメータのセット)へと変更することができるので、有益である。例えば、従来のイオン注入のコースにおいて、電圧および周波数はそれぞれ、900Vおよび2Hzに設定されてもよい。
【0025】
従来では、イオン注入の終了時には、ESC120およびワークピース118は、安全かつ水平な「ホーム」(home)ポジションに配置される。そして、従来では、ESCにおける電圧および周波数の設定は、ESCからワークピースを取り外すために0にセットされる。しかしながら、このような従来のシステムにおいて、ある程度の未知の残留電荷がESC120とワークピース118との間に存在している可能性がある。このため、ESCに対するワークピースの「固着」が制御できない場合があった。
【0026】
そこで、本開示では、ESCに印加される電圧および周波数は、第1のクランプパラメータのセット(例:「高V/低F」(High V / Low F)状態)から、第2のクランプパラメータのセット(例:「低V/高F」(Low V / High F)状態)に変更可能である。これにより、残留電荷に関わらず、ESC120からワークピース118を効果的に取り外すことが可能となる。ワークピース118がESC120から取り外された後、制御器128は、クランプ状態をイオン注入のためのクランプ状態(例:第1のクランプパラメータのセット)に戻すようにセットするように構成されていてもよい。その結果、クランプ状態の変更が迅速に実行され、ワークピースの高いスループットを維持できる。
【0027】
図3に示される例において、強いクランプ期間306では、第1のクランプパラメータのセットがESCに印加される。本実施例では、強いクランプ期間306と同じ時間に、イオン注入が行われる。強いクランプ期間306では、1のクランプパラメータのセットが900V/2Hzにセットされる。イオン注入の終了時には、例えば、ワークピースの取り外しのために準備されたホームポジションにESCを配置されるための指令が、制御器によって発せられる。イオン注入の終了時点の付近において、例えば第1の移動期間308が設けられる。第1の移動期間308では、クランプ周波数の増加の後に、またはクランプ周波数の増加と共に、クランプ電圧が低減される。第1の移動領域308において、ワークピースとESCとの間のクランプは、強いクランプから弱いクランプへと変化する。
【0028】
弱いクランプ期間310では、クランプ周波数を増加させつつ、クランプ電圧が低い電圧へと制御される(例:概ね900V/2Hzから100V/100Hz)。弱いクランプ期間310(例えば、第2のクランプパラメータのセットがESCに印加されている期間)と同じ時間に、ワークピースがESCから取り外されてよい。本実施例では、強いクランプ期間306から弱いクランプ期間310への変化に要する時間は、ワークピースの取り扱いにおける「クリティカルパス」(critical path)には存在していないことに留意されたい。このため、第1の移動期間308が存在していることによって、当該変化を高い信頼性で制御できる。例えば、第1の移動期間308は省略されてもよい。この場合には、強いクランプ期間306の直後に弱いクランプ期間310が存在してよい。
【0029】
第1の移動期間308および/または弱いクランプ期間310と同じ時間において、例えば図1の制御器128は、クランプ解除されたESC120のアナログ的なキャパシタンスの挙動を評価するように構成されてもよい。例えば、制御器128が、通常の「固着」がほとんどない状態でワークピースがクランプ解除されていると判定した場合に、ワークピークに対して従来のクランプ解除が行われてよい。しかしながら、制御器128が、ワークピースおよびESCが固着性を示していると判定した場合には、弱いクランプ期間310と同じ時間において、第2のクランプパラメータのセット(例:低V/高F)が印加されてよい。これにより、ESCからのワークピースの取り外し、および、ESCへのワークピースの再配置に有益な、制御された低クランプ力状態を生じさせることができる。別の例において、第2のクランプパラメータのセットは、各ワークピースの取り外しのために印加されてよい。
【0030】
制御器118は、例えば、第2のクランプパラメータのセットの設定に伴って(例:弱いクランプ期間310と同じ時間に)、ESCおよびワークピースを移動させるように指令を発してもよい。ワークピースがESCから取り外された後、別のワークピースがESC上に配置されてもよく、強いクランプ期間306が再び設けられてもよい。第2の移動期間312は、弱いクランプ期間310と強いクランプ期間306との間の移行部に存在していてよい。第2の移動期間312では、弱いクランプ期間310の高い周波数を維持しつつ、クランプ電圧を増加させる。他の例(例:クランプ電圧およびクランプ周波数の一方または両方を変化させる)が考慮されてもよい。例えば、ゼロクランプ期間314が設けられてもよい。ゼロクランプ期間314では、後続する処理に先立って、ESC120に別のワークピース118を配置することに伴い、クランプ電圧およびクランプ周波数がいずれも0に設定される。
【0031】
このように、上述の方法は、ESC120において、制御されていない「固着」の挙動を排除することを目的として、再現可能な非常に弱いクランプ状態を作り出すために、制御器128の設定を調整できる。
【0032】
別の態様において、上述の方法は、1つまたは複数の汎用コンピュータまたはプロセッサ搭載システムにおいて、コンピュータプログラムコードを用いて実装されてもよい。図4に示されるように、別の実施形態に基づくプロセッサ搭載システム400のブロック図が提供されている。プロセッサ搭載システム400は、汎用コンピュータプラットフォームであり、本明細書において述べた処理を実行するために用いられてよい。プロセッサ搭載システム400は、処理ユニット402を備えていてよい。処理ユニット402は、例えば、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、ラップトップコンピュータ、または特定の用途に応じてカスタマイズされた専用ユニットであってもよい。プロセッサ搭載システム400には、ディスプレイ418と1つまたは複数の入力/出力デバイス420(例:マウス、キーボード、またはプリンタ)が設けられてよい。処理ユニット402は、中央演算処理装置(CPU)404、メモリ406、マスストレージデバイス408、ビデオアダプタ412、およびバス410に接続されたI/Oインターフェース414を備えていてよい。
【0033】
バス410は、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺装置バス、またはビデオバスを含む、1つまたは複数の任意のタイプの様々なバスアークテクチャであってよい。CPU304は、任意のタイプの電子的なデータプロセッサを含んでいてよい。メモリ305は、任意のタイプのシステムメモリ(例:静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、または読み出し専用メモリ(ROM))を含んでいてよい。
【0034】
マスストレージデバイス408は、任意のタイプのストレージデバイスを含んでいてよい。マスストレージデバイス408は、データ、プログラム、および他の情報を格納するとともに、バス410を介して当該データ、プログラム、および他の情報をアクセス可能とするように構成されている。マスストレージデバイス308は、例えば、1つまたは複数のハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、および光ディスクドライブを含んでいてよい。
【0035】
ビデオアダプタ412およびI/Oインターフェース414は、外部の入出力デバイスを処理ユニット402に接続するためのインターフェースを提供する。入出力デバイスの例は、ビデオアダプタ412に接続されたディスプレイ418、および、I/Oインターフェース414に接続されたI/Oデバイス420(例:マウス、キーボード、およびプリンタ等)を含む。他のデバイスが、処理ユニット402に接続されてもよい。付加的または少数のインファーフェースカードが使用されてもよい。例えば、シリアルインターフェースカード(不図示)が、プリンタへのシリアルインターフェースを提供するために使用されてよい。処理ユニット402は、ネットワークインターフェース416を含んでいてもよい。ネットワークインターフェース416は、有線および/または無線によって、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)に接続されてよい。
【0036】
プロセッサ搭載システム400は、他の部品を備えていてもよいことに留意されたい。例えば、プロセッサ搭載システム400は、電源、ケーブル、マザーボード、取り外し可能なストレージ媒体、およびケース等を備えていてもよい。これらの他の部品は、図示はされていないが、プロセッサ搭載システム400の一部であるとみなされる。
【0037】
本開示の実施形態は、例えばCPU404によって実行されるプログラムコードによって、プロセッサ搭載システム400に実装されてよい。上述の各実施形態に応じた様々な方法は、プログラムコードによって実装されてよい。従って、本明細書では明示的な説明を省略する。
【0038】
さらに、図1のモジュールおよびデバイス、ならびに、図2および図3の方法は、1つまたは複数の図4のプロセッサ搭載システム400によって実現されてよい。異なるモジュールおよびデバイス間の通信は、どのようにモジュールが実装されているかに応じて変化しうる。各モジュールが1つのプロセッサ搭載システム400において実現されている場合、CPU404により様々なステップに対するプログラムコードが実行されている時間において、データはメモリ406またはマスストレージデバイス408に保存されてよい。各ステップが実行されている時間において、CPU404がバス410を介してメモリ406またはマスストレージデバイス408にアクセスすることにより、データが供給されてよい。
【0039】
各モジュールが複数の異なるプロセッサ搭載システム400において実現されている場合、または、データが別のストレージシステム(例:個別のデータベース)から供給される場合には、I/Oインターフェース414またはネットワークインターフェース416を介して、システム400間においてデータが供給されてよい。同様に、デバイスまたはステージによって供給されたデータは、I/Oインターフェース414またはネットワークインターフェース416を介して、1つまたは複数のプロセッサ搭載システム300に入力されてよい。当業者であれば、様々な実施形態の範囲において考慮されるシステムおよび方法の実装における他の変形例または改良を容易に理解できるであろう。
【0040】
本発明は特定の実施形態に関して図示および説明されているが、上述の各実施形態は、本発明の一部の実施形態を実装するための例としてのみの役割を担っていることに留意されたい。本発明の適用例は、これらの実施形態に限定されない。上述の部材(アセンブリ、デバイス、および回路等)によって実現される様々な機能に関して、これらの部材を説明するために使用される用語(「手段」(means)への言及を含む)は、特に明示されない限り、説明された部材の特定の機能を実現する任意の部材(つまり、機能的に等価である部材)に対応するものであると意図されている。このことは、例え当該任意の部材が、本明細書において、本発明の例示的な実施形態として説明された機能を実現する開示された構造と、構造的に等価でない場合にも当てはまる。さらに、本発明の特定の構成は、複数の実施形態のうちの1つの実施形態のみに関して開示されている。但し、任意の応用例または特定の応用例について、望ましくかつ有益である場合には、このような構成は、他の実施形態の1つまたは複数の構成と組み合わせられてもよい。従って、本発明は上述の実施形態に限定されない。本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本開示の様々な態様に基づく、ESCを用いた例示的な真空システムのブロック図である。
図2】さらに別の態様に基づく、ESCからのワークピースのクランプ解除時間を低減するための方法のフローを示す。
図3】別の態様に基づく、ワークピースの移動期間における例示的なクランプ電圧を示すグラフである。
図4】別の態様に基づく、例示的な制御システムを示すブロック図である。
図1
図2
図3
図4