(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709249
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】少なくとも1つの三次元的な物体を付加的に製造するための装置
(51)【国際特許分類】
B22F 3/16 20060101AFI20200601BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20200601BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20200601BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20200601BHJP
B29C 64/371 20170101ALI20200601BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20200601BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20200601BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
B22F3/16
B22F3/105
B29C64/153
B29C64/268
B29C64/371
B33Y30/00
B33Y10/00
B28B1/30
【請求項の数】23
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-115173(P2018-115173)
(22)【出願日】2018年6月18日
(65)【公開番号】特開2019-127649(P2019-127649A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2018年6月18日
(31)【優先権主張番号】18153280.5
(32)【優先日】2018年1月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・シュタムベルガー
【審査官】
河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−052778(JP,A)
【文献】
特開2017−159617(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2818305(EP,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102015112918(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/16
B22F 3/105
B29C 64/153
B29C 64/205−64/223
B29C 64/393
B33Y 10/00
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエネルギービーム(4)によって凝固化され得る造形材料(3)の層の連続的で層ごとの選択的な照射及び凝固化によって少なくとも1つの三次元的な物体(2)を付加的に製造するための装置(1)であって、
−内部で、凝固化されていない粒子造形材料を受け取り得るか、又は凝固化されていない粒子造形材料を受け取るプロセスガス流が前記装置(1)の動作中に発生されるプロセスチャンバ(7)と、
−該プロセスチャンバ(7)のプロセスガス流入口(9a)及び/又はプロセスガス流出口(9b)と連通する、プロセスガス流のための少なくとも1つの流れ通路要素(15)を含む流れ通路構造部(16)と、
前記流れ通路要素(15)内で前記プロセスガス流の音響的又は光学的な流れ特性を検出する検出要素(23)と、
−前記流れ特性に基づき、該少なくとも1つの流れ通路要素(15)を流通する前記プロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するように構成された粒子分離装置(18)と
を含んでいる、前記装置。
【請求項2】
前記粒子分離装置(18)が、少なくとも1つの渦電流分離装置として構成されているか、又は少なくとも1つの渦電流分離装置を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
フィルタ装置(10)を更に含んでおり、これにより、前記流れ通路要素(15)が前記プロセスチャンバ(7)の前記プロセスガス流出口(9b)と前記フィルタ装置(10)のプロセスガス流入口(10a)の間で延びていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記粒子分離装置(18)が、前記流れ通路要素(15)の自由に露出した外壁部に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記流れ通路要素(15)が、前記粒子分離装置(18)の配置領域において長方形状又は台形状の断面を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記流れ通路要素(15)が、前記粒子分離装置(18)の配置領域において分岐されており、これにより、第1の流れ通路要素分岐部(15a)が前記プロセスチャンバ(7)の前記プロセスガス流入口(9a)及び/又は前記プロセスガス流出口(9b)へ向けて延び、第2の流れ通路要素分岐部(15b)が、前記粒子分離装置(18)によって前記プロセスガス流から分離された凝固化されていない粒子造形材料を処理するように構成された処理装置(21)へ向けて延びていることを特徴とする請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の流れ通路要素分岐部(15b)が、分離された凝固化されていない粒子造形材料をリサイクルするように構成された造形材料リサイクル装置へ向けて、及び/又は前記粒子分離装置による分離中に磁化された、凝固化されていない粒子造形材料を消磁するように構成された消磁装置へ向けて延びていることを特徴とする請求項2に従属する請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の流れ通路要素分岐部(15b)が、少なくとも部分的に、地面へ配向されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセスガス流における前記凝固化されていない粒子造形材料の濃度を検出するとともに、前記プロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の検出された濃度を表す検出情報を生成するように構成された検出装置(22)を更に含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記検出情報に基づき前記粒子分離装置(18)の動作を制御するように構成された制御ユニット(24)を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置(1)のための粒子分離装置(18)であって、該粒子分離装置(18)が前記装置(1)の少なくとも1つの流れ通路要素(15)を流通するプロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するよう構成されていることを特徴とする粒子分離装置。
【請求項12】
三次元的な物体(2)を付加的に製造するための請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置の前記プロセスチャンバ(7)のプロセスガス流入口(9a)及び/又はプロセスガス流出口(9b)と連通する少なくとも1つの流れ通路要素(15)を流通するプロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するための方法であって、前記流れ通路要素(15)を流通する前記プロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するために請求項11に記載の粒子分離装置(18)が用いられることを特徴とする方法。
【請求項13】
少なくとも1つのエネルギービーム(4)によって凝固化され得る造形材料(3)の層の連続的で層ごとの選択的な照射及び凝固化によって少なくとも1つの三次元的な物体(2)を付加的に製造するための装置(1)であって、
内部で、凝固化されていない粒子造形材料を受け取り得るか、又は凝固化されていない粒子造形材料を受け取るプロセスガス流が前記装置(1)の動作中に発生されるプロセスチャンバ(7)と、
該プロセスチャンバ(7)のプロセスガス流入口(9a)及び/又はプロセスガス流出口(9b)と連通する、プロセスガス流のための少なくとも1つの流れ通路要素(15)を含む流れ通路構造部(16)と、
該少なくとも1つの流れ通路要素(15)を流通する前記プロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するように構成された粒子分離装置(18)とを含み、
前記粒子分離装置(18)が、少なくとも1つの渦電流分離装置として構成されているか、又は少なくとも1つの渦電流分離装置を含んでいることを特徴とする前記装置。
【請求項14】
フィルタ装置(10)を更に含んでおり、これにより、前記流れ通路要素(15)が前記プロセスチャンバ(7)の前記プロセスガス流出口(9b)と前記フィルタ装置(10)のプロセスガス流入口(10a)の間で延びていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記粒子分離装置(18)が、前記流れ通路要素(15)の自由に露出した外壁部に配置されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記流れ通路要素(15)が、前記粒子分離装置(18)の配置領域において長方形状又は台形状の断面を有していることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記流れ通路要素(15)が、前記粒子分離装置(18)の配置領域において分岐されており、これにより、第1の流れ通路要素分岐部(15a)が前記プロセスチャンバ(7)の前記プロセスガス流入口(9a)及び/又は前記プロセスガス流出口(9b)へ向けて延び、第2の流れ通路要素分岐部(15b)が、前記粒子分離装置(18)によって前記プロセスガス流から分離された凝固化されていない粒子造形材料を処理するように構成された処理装置(21)へ向けて延びていることを特徴とする請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
前記第2の流れ通路要素分岐部(15b)が、分離された凝固化されていない粒子造形材料をリサイクルするように構成された造形材料リサイクル装置へ向けて、及び/又は前記粒子分離装置による分離中に磁化された、凝固化されていない粒子造形材料を消磁するように構成された消磁装置へ向けて延びていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第2の流れ通路要素分岐部(15b)が、少なくとも部分的に、地面へ配向されていることを特徴とする請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
前記プロセスガス流における前記凝固化されていない粒子造形材料の濃度を検出するとともに、前記プロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の検出された濃度を表す検出情報を生成するように構成された検出装置(22)を更に含む請求項13〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記検出情報に基づき前記粒子分離装置(18)の動作を制御するように構成された制御ユニット(24)を更に含むことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
請求項13〜21のいずれか1項に記載の装置(1)のための粒子分離装置(18)であって、該粒子分離装置(18)が前記装置(1)の少なくとも1つの流れ通路要素(15)を流通するプロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するよう構成されていることを特徴とする粒子分離装置。
【請求項23】
三次元的な物体(2)を付加的に製造するための請求項13〜21のいずれか1項に記載の装置の前記プロセスチャンバ(7)のプロセスガス流入口(9a)及び/又はプロセスガス流出口(9b)と連通する少なくとも1つの流れ通路要素(15)を流通するプロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するための方法であって、前記流れ通路要素(15)を流通する前記プロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するために請求項22に記載の粒子分離装置(18)が用いられることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのエネルギービームによって凝固化され得る造形材料の層の連続的で層ごとの選択的な照射及び凝固化によって少なくとも1つの三次元的な物体を付加的に製造するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各装置は、付加的な製造の分野から知られているとともに、エネルギービームによって凝固化され得る造形材料の層の特徴的で連続的な層ごとの選択的な照射及び凝固化を実行するように構成されている。各装置のよく知られた例は、選択的電子ビーム溶融装置及び選択的レーザ溶融装置である。
【0003】
各装置のプロセスチャンバを流通するプロセスガス流を発生させることは知られており、これにより、プロセスガス流は、各装置の動作中に発生する凝固化されていない粒子造形材料、例えば煙霧粒子又は煙粒子を受け取る。
【0004】
プロセスチャンバのプロセスガス流出口を介してプロセスチャンバを出ると、各凝固化されていない粒子造形材料を受け取った各プロセスガス流は、典型的には装置のフィルタ装置へ向けて流れる。フィルタ装置のプロセスガス流入口を介してフィルタ装置へ入ると、凝固化されていない粒子造形材料は、フィルタ装置のフィルタ効率を損なう残留物をフィルタ要素に形成し得る。これにより、各フィルタ要素の頻繁な交換が必要となる。フィルタ要素の交換には、装置を動作させることができない保守点検間隔が必要となる。
【0005】
各凝固化されていない粒子造形材料を各プロセスガス流からより良好に除去することが可能な原理を開発することが一般的に望ましい。
【0006】
特に、装置を動作させることができない、フィルタ要素の交換のための各保守点検間隔の要求を回避又は削減するために、各凝固化されていない粒子造形材料を各プロセスガス流からより良好に除去することが可能な原理を開発することが特に望ましい。
【0007】
したがって、特に、装置を動作させることができない、フィルタ要素の交換のために、特に各保守点検間隔の要求を回避又は削減することで、上述の欠点を克服するアプローチを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ、本発明の課題は、各凝固化されていない粒子造形材料を各プロセスガス流からより良好に除去することが可能な、三次元的な物体を付加的に製造するための装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1による、少なくとも1つの三次元的な物体を付加的に製造するための装置によって達成される。請求項1に従属する各請求項は、請求項1による装置の可能な実施例に関するものである。
【0010】
ここで説明する装置(以下「装置」という。)は、エネルギービームによって凝固化され得る造形材料の層の連続的で層ごとの選択的な照射及び凝固化によって少なくとも1つの三次元的な物体、例えば技術的な構成要素を付加的に製造するための装置である。造形材料は、例えば金属粉体、セラミック粉体又はポリマー粉体のうち少なくともいずれかを含むことが可能である。エネルギービームは、例えば電子ビーム又はレーザビームであり得る。装置は、例えば、選択的レーザ焼結装置、選択的レーザ溶融装置又は選択的電子ビーム溶融装置であり得る。さらに、装置が例えばバインダ噴射装置、特に金属バインダ噴射装置であることも考えられる。
【0011】
装置は、内部で造形材料の連続的で層ごとの選択的な照射及び凝固化がなされる少なくとも1つのプロセスチャンバを含んでいる。典型的には、プロセスチャンバは、それぞれ内部空間又は体積を画成する多数のプロセスチャンバ壁要素を含んでいる。典型的には、プロセスチャンバは、例えば(新たな)造形材料を供給する配量モジュールの形態の造形材料供給領域と、例えば造形材料層の実際の選択的な照射及び凝固が行われる造形モジュールの形態の造形領域と、例えば凝固化されていない粒子造形材料が受け入れられるオーバーフローモジュールの形態の造形材料受け入れ領域とを含んでいる。
【0012】
装置の動作中には、凝固化されていない粒子造形材料を受け取ることができるか、又は受け取ったプロセスガス流がプロセスチャンバにおいて発生される。プロセスチャンバを流通する間、すなわち少なくとも1つのプロセスチャンバ入口と少なくとも1つのプロセスチャンバ出口の間で、プロセスガス流は凝固化されていない粒子造形材料を受け取り、その結果、各凝固化されていない粒子造形材料がプロセスガス流を介してプロセスチャンバから除去される。それぞれ凝固化されていない粒子造形材料は、装置の動作中に装置のプロセスチャンバにおいて発生される煙霧粒子及び/又は煙粒子を含み得る。さらに、それぞれ凝固化されていない粒子造形材料は、造形材料受け入れ領域からの造形材料粒子も含み得る。それゆえ、プロセスガス流は、装置の動作中に装置のプロセスチャンバにおいて発生される煙霧粒子及び/又は煙粒子と、造形材料受け入れ領域からの造形材料粒子を受け取ることができる。換言すれば、プロセスガス流は、異なる割合(fraction)の凝固化されていない粒子造形材料を受け取ることができ、典型的には、各割合は、特性粒子サイズ範囲の凝固化されていない粒子造形材料を含んでいる。
【0013】
上述したように、典型的には、プロセスガス流は、プロセスチャンバの少なくとも1つのプロセスガス流入口においてプロセスチャンバへ入り、プロセスチャンバの少なくとも1つのプロセスチャンバ出口においてプロセスチャンバから出る。したがって、典型的には、プロセスガス流は、プロセスチャンバの少なくとも1つのプロセスガス流入口とプロセスチャンバの少なくとも1つのプロセスチャンバ出口の間を流れる。典型的には、プロセスチャンバの少なくとも1つのプロセスガス流入口及びプロセスチャンバの少なくとも1つのプロセスチャンバ出口は、プロセスチャンバの反対側に設けられている。
【0014】
装置は、その動作中に動作可能であるか、動作される多数の機能装置及び/又は構造装置を含んでいる。各機能装置及び/又は構造装置は、多数の機能ユニット及び/又は構造ユニットを含むことが可能である。
【0015】
例示的な機能装置及び/又は構造装置は、各プロセスガス流のための少なくとも1つの流れ通路要素を含む流れ通路構造部である。 ホース、チューブ又はパイプとして形成され得るか、又はホース、チューブ又はパイプを含み得る少なくとも1つの流れ通路要素は、プロセスチャンバの少なくとも1つのプロセスガス流入口及び/又はプロセスチャンバの少なくとも1つのプロセスチャンバ出口と連通し、すなわちこれらと結合されている。典型的には、各流れ通路要素は、プロセスチャンバを出たプロセスガス流が流通し得る流れ通路を画成する中空壁部分を含んでいる。
【0016】
さらに、例示的な機能装置及び/又は構造装置は、造形材料塗布装置、例えば、装置の造形平面において選択的に照射及び凝固化されるべき造形材料の層を塗布するように構成された再コーティング装置、少なくとも1つのエネルギービームによって造形材料の層の一部を選択的に照射するように、またそれによって凝固化させるように構成された照射装置、流れ発生装置、例えば装置の動作中にプロセスチャンバを流通する各プロセスガス流を発生させるように構成された吹込み装置及び/又は吸込み装置、特に圧送装置、並びに凝固化されていない粒子造形材料をプロセスガス流からフィルタするように構成されたフィルタ装置である。フィルタ装置は、多数の(アクティブな)フィルタ要素を含むことができる。後述するように、フィルタ装置は、特に、プロセスガス流から煙霧粒子及び/又は煙粒子をフィルタするように、すなわち比較的小さな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合をフィルタするように構成ることが可能である。
【0017】
プロセスチャンバとフィルタ装置は、流れ通路構造部の少なくとも1つの流れ通路要素を介して結合されることが可能である。したがって、装置は、プロセスチャンバとフィルタ装置の間、すなわちプロセスチャンバの少なくとも1つのプロセスガス流出口とフィルタ装置の少なくとも1つのプロセスガス流入口の間で延びる例えばホース状、チューブ状及び/又はパイプ状の少なくとも1つの流れ通路要素を含む流れ通路構造部を含むことができる。
【0018】
装置は、少なくとも1つの流れ通路要素を流通するプロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するように構成された少なくとも1つの粒子分離装置を更に含んでいる。粒子分離装置は、特に、造形材料受け入れ領域からの各造形材料粒子をプロセスガス流から分離するように構成されている。したがって、粒子分離装置は、特に、造形材料受け入れ領域からの各造形材料粒子のような比較的大きな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合をプロセスガス流から分離するように構成されている。
【0019】
一般的に、各粒子分離装置を設けることで、各凝固化されていない粒子造形材料を各プロセスガス流からより良好に除去することが可能である。さらに、(オプションの)フィルタ装置とは別の、したがってフィルタ装置とは混同されない(別の)粒子分離装置を設けることで、フィルタ装置によってフィルタされるべき凝固化されていない粒子造形材料の量を削減することができる。フィルタ装置によってフィルタされるべき凝固化されていない粒子造形材料の量が削減され得るため、フィルタ装置のフィルタ要素を交換する要求も同様に削減され得る。それゆえ、装置を動作させることができない、特にフィルタ要素の交換のための各保守点検間隔の要求がそれぞれ回避又は削減される。
【0020】
粒子分離装置は、特に、プロセスガス流において流れる凝固化されていない粒子造形材料へ作用する偏向力を発生させるように構成されており、該偏向力が、凝固化されていない粒子造形材料を流れ通路要素の内壁部分へ向けて偏向させることが可能である。したがって、粒子分離装置は、プロセスガス流において流れる凝固化されていない粒子造形材料、特にプロセスガス流において流れ、造形材料受け入れ領域からの造形材料粒子のような比較的大きな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合の運動に影響を与えるように構成されている。凝固化されていない粒子造形材料、特にプロセスガス流において流れ、造形材料受け入れ領域からの造形材料粒子のような比較的大きな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合を流れ通路要素の内壁部分へ向けて偏向させることによって、したがって流れ通路要素の内壁部分に凝固化されていない粒子造形材料を「配置」又は集約することによって、凝固化されていない粒子造形材料をプロセスガス流から容易に分離することができる。
【0021】
粒子分離装置は、少なくとも1つの渦電流分離装置として構成されることができるか、又は少なくとも1つの渦電流分離装置を含むことが可能である。それゆえ、偏向力は、渦電流分離装置の磁気要素と(誘電性の)凝固化されていない粒子造形材料の間の磁気的な相互作用に基づき発生され得る。一般的に知られているように、各渦電流分離装置は、多数の磁気要素、例えば回転軸線周りに回転可能に支持された永久磁石を含んでいる。磁気要素が回転軸線周りに回転することで、渦電流、したがって(誘電性の)凝固化されていない粒子造形材料における磁場を誘導する回転磁場が生成される。したがって、凝固化されていない粒子造形材料は、反発する磁力によって分離されることが可能である。
【0022】
粒子分離装置は、流れ通路要素の外側、特に自由に露出した外壁部に取り付けられることができる。それ自体として、粒子分離装置は、流れ通路要素の外側、特に自由に露出した外壁部に取り付けられることができる。さらに、粒子分離装置の他の取付場所も同様に考えられる。粒子分離装置のそれぞれ配置及び取付は、一般的に、流れ通路要素を流通する間に凝固化されていない粒子造形材料に各偏向力が作用し得るように選択される。いずれの場合でも、粒子分離装置を流れ通路の内部に配置する必要はない。
【0023】
上述のことから明らかなように、すなわち特に粒子分離装置が各偏向力を発生させるために構成されているという事実と、粒子分離装置が外側、特に流れ通路要素の自由に露出された外壁部分に配置され得るという事実とから明らかなように、粒子分離装置は、流れ通路要素を流通するプロセスガス流の流れ特性に(ネガティブな)影響を与えるものではない。それゆえ、特に、凝固化されていない粒子造形材料をプロセスガス流から分離することはプロセスガス流の圧力損失につながらず、プロセスガス流を動作/維持することにとって有利である。
【0024】
流れ通路要素は、粒子分離装置の配置領域において特別な断面幾何形状を有することができる。流れ通路要素のこの特別な断面幾何形状は、各偏向力が凝固化されていない粒子造形材料へ高い効率で作用することができるように選択されることが可能である。それ自体として、流れ通路要素は、粒子分離装置の配置領域において、例えば長方形状又は台形状の断面幾何形状を有することができる。流れ通路要素の断面幾何形状の具体的な寸法は、典型的には、粒子分離装置の寸法を考慮して選択され、粒子分離装置の例示的な実施例については、渦電流分離装置として形成されているか、又は渦電流分離装置を含んでおり、流れ通路要素の断面形状の寸法、すなわち、特に幅は、渦電流分離装置の磁気要素を備えた回転軸線の長さに適合されることができる。
【0025】
プロセスガス流からの凝固化されていない粒子造形材料の分離を容易にするために、流れ通路要素は、粒子分離装置の配置領域において分岐されることができ、これにより、第1の流れ通路要素分岐部がプロセスチャンバのプロセスガス流入口及び/又はプロセスガス流出口、特に(場合によっては設けられる)フィルタ装置のプロセスガス流入口へ向けて延び、第2の流れ通路要素分岐部は、粒子分離装置によってプロセスガス流から分離された凝固化されていない粒子造形材料を処理するように設定された処理装置へ向けて延びている。第2の流れ通路要素分岐部は、ある傾斜角において流れ通路要素の分岐していない部分から外方へ延びることが可能である。凝固化されていない粒子造形材料をプロセスガス流から分離することが重力によってサポートされ得るように、第2の流れ通路要素分岐部を少なくとも部分的に地面へ向けることが可能である。
【0026】
各処理装置は、分離された凝固化されていない粒子造形材料をリサイクルするように構成された造形材料リサイクル装置、特に装置の造形材料リサイクル装置及び/又は粒子分離装置による分離中に磁化された、分離された凝固化されていない粒子造形材料を消磁するように構成された消磁装置、特に装置の消磁装置として形成されることができるか、又はこれらを含むことができる。したがって、第2の流れ通路要素分岐部は、分離された凝固化されていない粒子造形材料をリサイクルするように構成された造形材料リサイクル装置、特に装置の造形材料リサイクル装置へ向けて、及び/又は粒子分離装置による分離中に磁化された、分離された凝固化されていない粒子造形材料を消磁するように構成された消磁装置、特に装置の消磁装置へ向けて延びることが可能である。
【0027】
装置は、特に流れ通路要素を流通する場合にプロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の濃度を検出するとともに、プロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の検出された濃度を表す検出情報を生成するように構成された検出装置を更に含むことができる。検出装置は、特に、プロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の各割合の濃度を検出するように構成されることができ、したがって、検出装置は、装置1の動作中に装置のプロセスチャンバにおいて発生する煙霧粒子及び/又は煙粒子のような比較的小さな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合の濃度と、プロセスガス流からの、造形材料受け入れ領域からの造形材料粒子のような比較的大きな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合の濃度とを別々に検出するように構成されることができる。
【0028】
検出装置は、例えば流れ通路要素を備えた多数の検出要素を含むことが可能である。各検出要素は、様々な濃度に依存するプロセスガス流の特性、例えば流れ特性の音響的又は光学的な検出を可能とする音響的な、又は光学的な検出要素として形成されることができ、すなわち、プロセスガス流の各特性、例えば流れ特性は、プロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料又はプロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の各割合の濃度についての情報をそれぞれ導出することを可能とするプロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の異なる濃度について異なり得る。
【0029】
装置は、検出情報に基づき粒子分離装置の動作を制御するように構成される、ハードウェア及び/又はソフトウェアにより具現化される制御ユニットを更に含むことができる。したがって、特定の濃度、すなわち特にプロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の特定の割合の特に最大又は最小の閾値濃度に達した場合にのみ粒子分離装置が(完全に)動作され得るため、粒子分離装置の動作は、非常に効率的に制御されることができる。
【0030】
本発明は、更に上述のような装置のための粒子分離装置に関するものでもある。粒子分離装置は、特に、プロセスガス流において流れる凝固化されていない粒子造形材料へ作用する偏向力を発生させるように構成されており、この偏向力が、凝固化されていない粒子造形材料を流れ通路要素の内壁部分へ向けて偏向させることが可能である。粒子分離装置は、特に、少なくとも1つの渦電流分離装置として構成されることができるか、又は少なくとも1つの渦電流分離装置を含むことが可能である。装置に関する全ての注釈は、粒子分離装置にも当てはまる。
【0031】
本発明は、三次元的な物体を付加的に製造するための装置、特にここで説明される装置のプロセスチャンバのプロセスガス流入口及び/又はプロセスガス流出口と連通する少なくとも1つの流れ通路要素を流通するプロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するための方法であって、流れ通路要素を流通するプロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するためにここで説明される粒子分離装置が用いられる方法に関するものでもある。装置に関する全ての注釈は、方法にも当てはまる。
【0032】
本発明の例示的な実施例を図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】例示的な実施例による、三次元的な物体を付加的に製造するための装置の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1には、例示的な実施例により、連続的で層ごとの選択的な照射と、これに伴う、少なくとも1つのエネルギービーム4を用いて凝固化され得る例えば金属粉体である粉体造形材料3の層の凝固化とによって、三次元的な物体2、例えば技術的な構成要素を付加的に製造するための装置1の例示的な実施例の原理的な図が示されている。エネルギービーム4は、例えば電子ビーム又はレーザビームであり得る。したがって、装置1は、例えば選択的な電子ビーム溶融装置又は選択的なレーザ溶融装置として具現化されることが可能である。
【0035】
装置1は、プロセスチャンバ7を含んでいる。
図1から明らかであるように、プロセスチャンバ7は、例えば(新たな)造形材料3を供給する配量モジュール11の形態の造形材料供給領域SRと、例えば造形材料層の実際の選択的な照射及び凝固が行われる造形モジュール12の形態の造形領域BRと、例えば凝固化されていない粒子造形材料が受け入れられるオーバーフローモジュール13の形態の造形材料受け入れ領域RRとを含むことができる。
【0036】
装置1は、その動作中に動作可能であるか、動作される多数の機能装置及び/又は構造装置を含んでいる。各機能装置及び/又は構造装置は、多数の機能ユニットを含むことが可能である。機能装置及び/又は構造装置並びに装置のそれぞれの動作は、(中央)制御装置(不図示)によって制御される。
【0037】
装置1の例示的な機能装置及び/又は構造装置は、造形材料塗布装置5、例えばコーティング装置、照射装置6、流れ発生装置8及びフィルタ装置10(オプション)である。
【0038】
造形材料塗布装置5は、装置1のプロセスチャンバ7の造形平面Eにおいて造形材料3の層を塗布するように構成されており、層は、物体2の付加的な構築中に選択的に照射及び凝固化される。双方向矢印P1で示されているように、造形材料塗布装置5は、装置1のプロセスチャンバ7内で可動に支持されている。
【0039】
照射装置6は、物体2の付加的な構築中に少なくとも1つのエネルギービーム4によって造形材料3の層の一部を選択的に照射し、凝固化させるように構成されている。照射装置6は、少なくとも1つのエネルギービーム4を発生させるように構成されたビーム発生ユニット(不図示)と、装置1の造形平面E内における異なる位置へエネルギービーム4を反射させるように構成されたビーム反射ユニット(不図示)、例えばスキャナとを含むことができる。
【0040】
流れ発生装置8は、矢印P2によって示されているように装置1のプロセスチャンバ7を流通するプロセスガス流を発生させるように適合されている。プロセスガス流は、不活性ガス流であり得る。プロセスチャンバ7、すなわちプロセスチャンバ7の(プロセスチャンバ7の第1の(側)壁7aに設けられた)プロセスガス流入口9aとプロセスチャンバ7の(プロセスチャンバ7の第1の壁部7aとは反対のプロセスチャンバ7の第2の(側)壁7bに設けられた)プロセスガス流出口9bの間を流通する間に、プロセスガス流は凝固化されていない粒子造形材料を受け取り、その結果、それぞれ凝固化されていない粒子造形材料がプロセスガス流を介してプロセスチャンバ7から除去される。
【0041】
それぞれ凝固化されていない粒子造形材料は、装置1の動作中に装置1のプロセスチャンバ7において発生される煙霧粒子及び/又は煙粒子を含み得る。さらに、それぞれ凝固化されていない粒子造形材料は、造形材料受け入れ領域RRからの造形材料粒子も含み得る。それゆえ、プロセスガス流は、装置1の動作中に装置1のプロセスチャンバ7において発生される煙霧粒子及び/又は煙粒子と、造形材料受け入れ領域RRからの造形材料粒子を受け取ることができる。換言すれば、プロセスガス流は、異なる割合(fraction)の凝固化されていない粒子造形材料を受け取ることができ、典型的には、各割合は、特性粒子サイズ範囲の凝固化されていない粒子造形材料を含んでいる。
【0042】
(オプションの)フィルタ装置10は、プロセスガス流からの凝固化されていない粒子造形材料をフィルタするように構成されている。フィルタ装置10は、多数の(アクティブな)フィルタ要素14を含んでいる。フィルタ装置10は、特に、プロセスガス流から煙霧粒子及び/又は煙粒子をフィルタするように、すなわち比較的小さな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合をフィルタするように構成されている。
【0043】
プロセスチャンバ7とフィルタ装置10は、例えば流れ通路構造部16のホース状、チューブ状及び/又はパイプ状の流れ通路要素15を介して結合されている。したがって、装置は、プロセスチャンバ7とフィルタ装置10の間、すなわちプロセスチャンバ7のプロセスガス流出口9bとフィルタ装置10のプロセスガス流入口10aの間で延びる例えばホース状、チューブ状及び/又はパイプ状の流れ通路要素15を含む流れ通路構造部16を含んでいる。流れ通路要素15は、一般的に、プロセスチャンバ7のプロセスガス流入口9a及び/又はプロセスガス流出口9bと連通、すなわち結合されている。
【0044】
流れ通路要素15は、プロセスチャンバ7を出たプロセスガス流が流通し得る流れ通路17を画成する中空壁部分を含んでいる。
【0045】
とりわけ、装置1は、流れ通路要素15を流通するプロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するように構成された粒子分離装置18を更に含んでいる。粒子分離装置18は、特に、造形材料受け入れ領域RRからの各造形材料粒子をプロセスガス流から分離するように構成されている。したがって、粒子分離装置18は、特に、造形材料受け入れ領域RRからの各造形材料粒子のような比較的大きな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合をプロセスガス流から分離するように構成されている。
【0046】
したがって、フィルタ装置10とは別の、したがってフィルタ装置とは混同されない別の粒子分離装置18を設けることで、フィルタ装置10によってフィルタされるべき凝固化されていない粒子造形材料の量が削減される。フィルタ装置10によってフィルタされるべき凝固化されていない粒子造形材料の量が削減されるため、フィルタ装置10のフィルタ要素14を交換する要求も同様に削減される。それゆえ、装置1を動作させることができない、特にフィルタ要素14の交換のための保守点検間隔の要求がそれぞれ回避又は削減される。
【0047】
粒子分離装置18は、この粒子分離装置18に沿ったプロセスガス流において流れる凝固化されていない粒子造形材料へ作用する、矢印Fで示された偏向力を発生させるように構成されており、この偏向力は、凝固化されていない粒子造形材料を流れ通路要素15の内壁部分へ向けて偏向させることが可能なものである。したがって、粒子分離装置18は、この粒子分離装置18に沿ったプロセスガス流において流れる凝固化されていない粒子造形材料、特にプロセスガス流において流れ、造形材料受け入れ領域RRからの造形材料粒子のような比較的大きな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合の運動に影響を与えるように構成されている。凝固化されていない粒子造形材料、特にプロセスガス流において流れ、造形材料受け入れ領域RRからの造形材料粒子のような比較的大きな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合を流れ通路要素15の内壁部分へ向けて偏向させることによって、したがって流れ通路要素15の内壁部分に凝固化されていない粒子造形材料を「配置」又は集約することによって、凝固化されていない粒子造形材料をプロセスガス流から容易に分離することができる。
【0048】
粒子分離装置18は、少なくとも1つの渦電流分離装置として構成されることができるか、又は少なくとも1つの渦電流分離装置を含むことが可能である。それゆえ、偏向力は、渦電流分離装置の磁気要素19(
図2参照)と(誘電性の)凝固化されていない粒子造形材料の間の磁気的な相互作用に基づき発生され得る。各渦電流分離装置は、多数の磁気要素19、例えば回転軸線20周りに回転可能に支持された永久磁石を有するハウジング構造部25を含んでいる。磁気要素19が回転軸線20周りに回転することで、渦電流、したがって(誘電性の)凝固化されていない粒子造形材料における磁場を誘導する回転磁場が生成される。したがって、凝固化されていない粒子造形材料は、反発する磁力によって分離されることが可能である。
【0049】
図から明らかであるように、粒子分離装置18は、流れ通路要素15の外側、特に自由に露出した外壁部に配置されることができる。粒子分離装置18は、流れ通路要素15の外側、特に自由に露出した外壁部に取り付けられることができる。粒子分離装置18のそれぞれ配置及び取付は、一般的に、粒子分離装置18に沿って流れるプロセスガスを流す凝固化されていない粒子造形材料に各偏向力が作用するように選択される。
【0050】
上述のことから明らかなように、すなわち特に粒子分離装置18が各偏向力を発生させるために構成されているという事実と、粒子分離装置18が外側、特に流れ通路要素15の自由に露出された外壁部分に配置され得るという事実とから明らかなように、粒子分離装置は、流れ通路要素15を流通するプロセスガス流の流れ特性に影響を与えるものではない。それゆえ、特に、凝固化されていない粒子造形材料をプロセスガス流から分離することはプロセスガス流の圧力損失につながらず、プロセスガス流を動作/維持することにとって有利である。
【0051】
図1の細部Aの原理的な拡大断面図を示す
図2から明らかであるように、流れ通路要素15は、粒子分離装置18の配置領域において特別な断面幾何形状を有することが可能である。長方形状又は台形状の断面幾何形状であり得る、例えば流れ通路要素15のこの特別な断面幾何形状は、各偏向力が凝固化されていない粒子造形材料へ高い効率で作用することができるように選択されている。流れ通路要素15の断面幾何形状の具体的な寸法は、典型的には、粒子分離装置18の寸法を考慮して選択され、粒子分離装置18の例示的な実施例については、渦電流分離装置として形成されているか、又は渦電流分離装置を含んでおり、流れ通路要素15の断面形状の寸法、すなわち、特に幅は、渦電流分離装置の磁気要素19を備えた回転軸線20の長さに適合されることができる(
図2参照)。
【0052】
図1から明らかであるように、流れ通路要素15は、粒子分離装置18の配置領域において分岐されることができ、これにより、第1の流れ通路要素分岐部15aがプロセスチャンバ7のプロセスガス流入口9a及び/又はプロセスガス流出口9b、特にフィルタ装置10のプロセスガス流入口10aへ向けて延び、第2の流れ通路要素分岐部15bは、粒子分離装置18によってプロセスガス流から分離された凝固化されていない粒子造形材料を処理するように設定された処理装置21へ向けて延びている。第2の流れ通路要素分岐部15bは、ある傾斜角αにおいて流れ通路要素15の分岐していない部分から外方へ延びることが可能である。凝固化されていない粒子造形材料をプロセスガス流から分離することが重力によってサポートされ得るように、第2の流れ通路要素分岐部15bを地面へ向けることが可能である。
【0053】
各処理装置21は、分離された凝固化されていない粒子造形材料をリサイクルするように構成された造形材料リサイクル装置、特に装置1の造形材料リサイクル装置及び/又は粒子分離装置18による分離中に磁化された、分離された凝固化されていない粒子造形材料を消磁するように構成された消磁装置、特に装置1の消磁装置として形成されることができるか、又はこれらを含むことができる。したがって、第2の流れ通路要素分岐部15bは、分離された凝固化されていない粒子造形材料をリサイクルするように構成された造形材料リサイクル装置へ向けて、及び/又は粒子分離装置による分離中に磁化された、分離された凝固化されていない粒子造形材料を消磁するように構成された消磁装置へ向けて延びることができる。
【0054】
装置1は、特に流れ通路要素15を流通する場合にプロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の濃度を検出するとともに、プロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の検出された濃度を表す検出情報を生成するように構成されたオプションの検出装置22を更に含むことができる。検出装置22は、特に、プロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の各割合の濃度を検出するように構成されることができ、したがって、検出装置22は、装置1の動作中に装置1のプロセスチャンバ7において発生する煙霧粒子及び/又は煙粒子のような比較的小さな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合の濃度と、プロセスガス流からの、造形材料受け入れ領域RRからの造形材料粒子のような比較的大きな粒子サイズを有する凝固化されていない粒子造形材料の各割合の濃度とを別々に検出するように構成されることができる。
【0055】
検出装置22は、例えば流れ通路要素15を備えた多数の検出要素23を含むことが可能である。各検出要素23は、様々な濃度に依存するプロセスガス流の特性、例えば流れ特性の音響的又は光学的な検出を可能とする音響的な、又は光学的な検出要素として形成されることができ、すなわち、プロセスガス流の各特性、例えば流れ特性は、プロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料又はプロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の各割合の濃度についての情報をそれぞれ導出することを可能とするプロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の異なる濃度について異なり得る。
【0056】
装置は、検出情報に基づき粒子分離装置18の動作を制御するように構成される、ハードウェア及び/又はソフトウェアにより具現化される制御ユニット24を更に含むことができる。したがって、特定の濃度、すなわち例えば特にプロセスガス流における凝固化されていない粒子造形材料の特定の割合の特に最大又は最小の閾値濃度に達した場合にのみ粒子分離装置18が(完全に)動作され得るため、粒子分離装置18の動作は、非常に効率的に制御されることができる。
【0057】
装置1により、装置1のプロセスチャンバ7のプロセスガス流入口9a及び/又はプロセスガス流出口9bと連通する少なくとも1つの流れ通路要素15を流通するプロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するための方法を実行することができ、流れ通路要素15を流通するプロセスガス流から凝固化されていない粒子造形材料を分離するために粒子分離装置18が用いられる。