(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乾燥用ガス噴出ノズルから乾燥空間に噴出される乾燥用ガスの流量Sと、熱風噴出管から乾燥空間に噴出される乾燥用ガスの流量Tの流量比(S:T)は、85:5〜45:45であることを特徴とする請求項1または2記載の乾燥装置。
【背景技術】
【0002】
従来の乾燥装置には、乾燥用ガスを高速で噴出して被乾燥物に衝突させ、被乾燥物を乾燥させるガス噴出型の乾燥装置がある。このようなガス噴出型の乾燥装置においては、被乾燥物に乾燥用ガスを垂直に高速で衝突させることで、熱伝達を向上させることができる。乾燥用ガスとしては、例えば、高温のガスが使用される。
【0003】
ガス噴出型の乾燥装置では、乾燥用ガスを噴出する複数の噴出ノズルを備える。この噴出ノズルは、例えば、筒状の吹き出しダクトの側壁に複数の噴出孔を形成することで構成される。
【0004】
このような従来のガス噴出型の乾燥装置において、乾燥用ガスは、流量が調整された後、吹き出しダクト内の広い空間に導入される。そして、吹き出しダクト内の広い空間に導入された乾燥用ガスは、噴出ノズルから被乾燥物に向かって噴出される。
【0005】
ここで、乾燥装置には、搬送回転軸中心に回転する回転板上に設置された被乾燥物に乾燥用ガスを吹き付けて、被乾燥物を乾燥する回転式乾燥装置がある。
【0006】
図9は、従来の回転式の乾燥装置300の概要を一部断面として示した図である。
図10は、
図9のX−X断面を示す図である。
【0007】
図9に示すように、乾燥装置300は、燃焼室310と、燃焼室310から排出された乾燥用ガスによって被乾燥物Wを乾燥させる乾燥室330とを備える。この乾燥装置300は、燃焼室310で生成した燃焼ガスを乾燥室330に導入し、乾燥室330に導入した燃焼ガスの一部を燃焼室310に戻す循環式の乾燥装置である。
【0008】
乾燥室330は、筒状のケーシング331を備え、
図10に示すように、上下方向に複数段設置されている。ケーシング331は、乾燥室330の外郭を構成する。このケーシング331は、鉛直方向に延設される。各乾燥室330において、ケーシング331内に乾燥空間332を備える。
【0009】
ケーシング331には、
図9に示すように、被乾燥物Wを乾燥室330内の所定の位置に配置したり、被乾燥物Wを乾燥室330内から取り出したりするための搬出搬入口334が形成されている。また、ケーシング331には、搬出搬入口334を開閉するためのスライド扉335が設けられている。
【0010】
このスライド扉335を開いて、搬出搬入口334を介して、乾燥後の被乾燥物Wを乾燥室330内から取り出したり、乾燥すべく被乾燥物Wを乾燥室330内に配置する。
【0011】
また、ケーシング331には、燃焼室310に循環させる乾燥室330内の乾燥用ガスを吸引する戻り管336が接続されている。
【0012】
乾燥室330は、さらに、搬送装置340と、ガス噴出部350とを備える。
【0013】
搬送装置340は、乾燥処理される被乾燥物Wをガス噴出部350の周囲を回転搬送する。搬送装置340は、被乾燥物Wが配置される回転板341、この回転板341を回転駆動する駆動機構(図示しない)を備える。
【0014】
回転板341は、ガス噴出部350とケーシング331との間をガス噴出部350の周方向に、例えば、
図9の断面において、時計回りに回転可能に構成されている。これによって、回転板341上に配置された被乾燥物Wは、ガス噴出部350の周囲を回転搬送される。
【0015】
ガス噴出部350は、
図9および
図10に示すように、外筒351と、内筒352と、区画板353と、乾燥用ガス噴出ノズル354とを備える。
【0016】
外筒351は、ケーシング331の内側に設けられ、ケーシング331と外筒351とによって二重管構造が形成される。外筒351内には、内筒352が設けられ、外筒351と内筒352とによって二重管構造が形成される。内筒352には、開口355が形成されている。
【0017】
外筒351および内筒352の上端は、ケーシング331の蓋部材333で閉塞されている。蓋部材333には、内筒352内に連通するように、導入配管380が接続されている。
【0018】
区画板353は、
図10に示すように、外筒351と内筒352との間を軸方向に区画する。そして、内筒352、区画板353および外筒351によって囲まれた環状の空間356を構成する。
【0019】
乾燥用ガス噴出ノズル354は、外筒351の外周面351aから搬送路側に突出している。また、乾燥用ガス噴出ノズル354は、外筒351の外周面351aの周方向に所定の間隔をあけて配置されている。乾燥用ガス噴出ノズル354は、
図9に示すように、外筒351の所定の周方向範囲内に配置されている。
【0020】
上記した乾燥装置300において、バーナ311における燃焼が開始すると、循環ファン381の吸引によって、バーナ311内の乾燥用ガス(燃焼ガス)が導入配管380内に吸引される。導入配管380内に吸引された乾燥用ガスは、乾燥室330の内筒352内に導入される。
【0021】
内筒352内に導入された乾燥用ガスは、開口355を介して空間356に広がり、乾燥用ガス噴出ノズル354から乾燥空間332に噴出される。なお、導入配管380内に吸引された乾燥用ガスの一部は、分岐管382を介して大気中に排出される。
【0022】
乾燥用ガス噴出ノズル354から噴出された乾燥用ガスは、回転搬送される被乾燥物Wを加熱するとともに、乾燥空間332に広がる。その際、乾燥用ガスの一部は、戻り管336を通り燃焼室310に導かれる。
【0023】
乾燥された被乾燥物Wは、スライド扉335を開いて外部に取り出される。そして、乾燥された被乾燥物Wが取り出された後、未乾燥の被乾燥物Wが回転板341上に配置される。その間、スライド扉335は開かれた状態である。
【0024】
このような乾燥装置300において、被乾燥物Wを均一かつ適切に乾燥するため、乾燥空間332内の乾燥用ガスの温度を均一に維持することが図られている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の乾燥装置10の概要を一部断面として示した図である。
図2は、
図1のA−A断面を示す図である。
【0035】
図1に示すように、乾燥装置10は、燃焼室20と、燃焼室20から排出された乾燥用ガスによって被乾燥物Wを乾燥させる乾燥室50とを備える。この乾燥装置10は、燃焼室20で生成した燃焼ガスを乾燥室50に導入し、乾燥室50に導入した燃焼ガスの一部を燃焼室20に戻す循環式の乾燥装置である。
【0036】
燃焼室20は、内部空間を有する筐体である。燃焼室20の一端20aには、バーナ30が備えられている。バーナ30は、燃料を供給する燃料供給系統31、空気を供給する空気供給系統32を備える。なお、ここでは、空気供給系統32に吸気ファン32aが備えられた一例を示している。
【0037】
バーナ30において、燃料供給系統31から供給された燃料と空気供給系統32から供給された空気を燃焼させることで生成した燃焼ガスが、燃焼室20の内部に広がる。この燃焼ガスは、被乾燥物Wを乾燥させる乾燥用ガスとして機能する。
【0038】
燃焼室20の他端20bには、内部の燃焼ガスを排出するための出口開口(図示しない)を有する。また、燃焼室20内の他端20b側には、例えば、
図1に示すように、断面に亘ってフィルタ21が設けられている。このフィルタ21は、出口開口に向かって流れる燃焼ガス中の異物を除去する。
【0039】
乾燥室50は、燃焼室20から排出された乾燥用ガスによって被乾燥物Wを乾燥させる。また、乾燥室50では、被乾燥物Wを回転搬送させて乾燥させる。
【0040】
図1に示すように、乾燥室50は、筒状のケーシング51内に、上下方向(鉛直方向)に複数段設置されている。ケーシング51は、例えば、乾燥室50の外郭を構成する。このケーシング51は、鉛直方向に延設される。各乾燥室50において、ケーシング51内に乾燥空間53を備える。
【0041】
ケーシング51は、
図1に示すように、ケーシング51の中心軸方向に垂直な断面(以下、水平断面という)が、例えば、円形に形成される。なお、ケーシング51の水平断面の形状は、円形に限らず、多角形であってもよい。また、ケーシング51の中心軸方向は、鉛直方向である。
【0042】
ケーシング51には、
図1に示すように、被乾燥物Wを乾燥室50内の所定の位置に配置したり、被乾燥物Wを乾燥室50内から取り出したりするための搬出搬入口54が形成されている。搬出搬入口54は、例えば、乾燥室50におけるケーシング51の高さ方向(鉛直方向)の中央に形成されている。
【0043】
また、ケーシング51には、搬出搬入口54を開閉するためのスライド扉55が設けられている。スライド扉55は、水平方向にスライド可能に構成されている。このスライド扉55を開いて、搬出搬入口54を介して、乾燥後の被乾燥物Wを乾燥室50内から取り出したり、乾燥すべく被乾燥物Wを乾燥室50内に配置する。
【0044】
なお、搬出搬入口54およびスライド扉55は、各段の乾燥室50ごとに設けられている。
【0045】
乾燥室50は、さらに、搬送装置60と、ガス噴出部70とを備える。また、乾燥室50は、導入管100と、戻り管101と、熱風噴出管102と連結されている。
【0046】
搬送装置60は、乾燥処理される被乾燥物Wをガス噴出部70の周囲を回転搬送する。搬送装置60は、被乾燥物Wが配置される回転板61、この回転板61を回転駆動する駆動機構(図示しない)を備える。
【0047】
各段の回転板61は、
図2に示すように、上下方向(鉛直方向)に一定の間隔をあけて互いに平行に固定されている。なお、上下の回転板61は、図示しない支持部材によって互いに平行に固定されている。そして、最下段の回転板61が、例えば、駆動機構である駆動モータ(図示しない)などの動力によって回転されると、それに伴って、各段の回転板61も同時に回転する。
【0048】
回転板61は、ガス噴出部70とケーシング51との間をガス噴出部70の周方向に、例えば、時計回りに回転可能に構成されている。これによって、回転板61上に配置された被乾燥物Wは、ガス噴出部70の周囲を回転搬送される。
【0049】
なお、上下方向に配置された回転板61間、およびケーシング51とガス噴出部70との間によって囲まれた環状の空間は、搬送路を構成する空間であり、乾燥空間53として機能する。乾燥空間53は、搬送装置60によって移動される被乾燥物Wを乾燥する領域である。
【0050】
この乾燥空間53において、スライド扉55が開かれた状態においても、乾燥空間53全体が均一な温度に維持されることが好ましい。また、乾燥空間53において、スライド扉55が開かれた状態においても、少なくとも、被乾燥物Wに十分な熱量を与える乾燥用ガス噴出ノズル74が備えられた領域において均一な温度が維持されることが好ましい。
【0051】
ガス噴出部70は、
図1および
図2に示すように、外筒71と、内筒72と、区画板73と、乾燥用ガス噴出ノズル74とを備える。
【0052】
外筒71は、被乾燥物Wの搬送方向に沿う外周面71aを有する円筒状ケーシングである。外筒71は、ケーシング51の内側にケーシング51の中心軸方向に沿って延設されている。ケーシング51と外筒71とによって二重管構造が形成される。
【0053】
なお、ケーシング51と外筒71との間の間隙は、周方向に均一である。また、ケーシング51と外筒71は、同心上に中心軸を有する。
【0054】
外筒71内には、内筒72が設けられている。内筒72は、円筒体で構成され、外筒71の内側にケーシング51の中心軸方向に沿って延設されている。外筒71と内筒72とによって二重管構造が形成される。
【0055】
なお、内筒72と外筒71との間の間隙は、周方向に均一である。また、内筒72と外筒71は、同心上に中心軸を有する。
【0056】
すなわち、ケーシング51と、外筒71と、内筒72とによって、三重管構造が形成される。また、ケーシング51、外筒71、内筒72は、同心上に中心軸を有する。そのため、以下において、これらの中心軸方向を単に軸方向という。なお、軸方向は、鉛直方向である。
【0057】
外筒71および内筒72の上端は、ケーシング51の蓋部材52で閉塞されている。蓋部材52には、内筒72内に連通するように、後述する導入管100が接続されている。換言すると、この導入管100は、後述する第2の空間76内に乾燥用ガスを導入するように、蓋部材52に接続されている。
【0058】
内筒72は、外筒71の内部空間を被乾燥物Wの搬送路側(回転板61側)の第1の空間75と搬送路側とは異なる側の第2の空間76とに区画している。すなわち、第1の空間75は、外筒71と内筒72との間に形成される環状の空間である。第2の空間76は、内筒72内の空間である。
【0059】
内筒72には、第1の空間75と第2の空間76とを連通させる複数の開口77が形成されている。この開口77は、軸方向に複数形成されている。なお、開口77は、上下方向に複数設置された各乾燥室50に応じて形成されている。すなわち、一つの乾燥室50に対して、一つの開口77が形成される。
【0060】
第2の空間76に導入された乾燥用ガスは、この開口77を介して第1の空間75に流入する。
【0061】
区画板73は、環状の平板状部材で構成される。区画板73は、
図2に示すように、外筒71と内筒72との間の第1の空間75を軸方向に区画する。例えば、区画板73は、外筒71と内筒72との間に水平に接続される。そして、区画板73によって区画された第1の空間75は、個別空間78を構成する。
【0062】
すなわち、個別空間78は、内筒72、区画板73および外筒71によって囲まれた環状の空間である。
【0063】
例えば、内筒72に形成された開口77のそれぞれに対して個別空間78が構成されている。換言すると、一つの開口77に対して一つの個別空間78が構成されている。開口77は、例えば、開口77を通過した乾燥用ガスを個別空間78内に均一に拡張することができる位置に形成される。例えば、開口77は、例えば、内筒72の軸方向中央に形成される。
【0064】
ここで、各個別空間78に導入される乾燥用ガスの流量を一定にするため、例えば、開度調整部80を備えてもよい。
図1および
図2には、この開度調整部80を備えた構成が例示されている。
【0065】
開度調整部80は、内筒72の開口77の開度を調整し、第2の空間76から個別空間78に流入する乾燥用ガスの流量を調整する。開度調整部80は、例えば、
図1および
図2に示すように、スライド部材81と、支持部材82とを備える。
【0066】
スライド部材81は、例えば、内筒72の外周面72aに沿って湾曲した板状部材で構成される。このスライド部材81は、開口77よりも大きな寸法に構成されている。そのため、スライド部材81は、開口77を閉鎖することも可能である。
【0067】
支持部材82は、スライド部材81を摺動可能に支持する。支持部材82は、例えば、内筒72の外周面72aに沿って水平に設けられる。すなわち、支持部材82は、外周面72aに沿って湾曲して水平に設けられる。
【0068】
支持部材82は、スライド部材81を上方および下方から支持するレール状の部材で構成される。すなわち、支持部材82は、開口77の上方位置および下方位置に一組の湾曲した棒状湾曲部材を備えることで構成される。
【0069】
そして、スライド部材81を周方向にスライドさせて、開口77の開度を調整することができる。
【0070】
例えば、開度調整部80を備える場合、各開口77の開度は、各個別空間78に流入する乾燥用ガスの流量が均一になるように調整される。
【0071】
乾燥用ガス噴出ノズル74は、外筒71の外周面71aから搬送路側に突出して設けられている。乾燥用ガス噴出ノズル74は、個別空間78に連通し、個別空間78内の乾燥用ガスを乾燥空間53(搬送路側)に噴出する。また、乾燥用ガス噴出ノズル74は、外筒71の外周面71aの周方向に所定の間隔をあけて配置されている。
【0072】
ここで、乾燥用ガス噴出ノズル74は、
図1に示すように、外筒71の所定の周方向範囲内に配置されている。乾燥用ガス噴出ノズル74は、例えば、搬出搬入口54に対向する位置よりも搬送回転方向(
図1の実線矢印)の下流側から配置される。なお、搬送回転方向は、搬送回転軸中心Oを中心として回転板61(被乾燥物W)を回転させる方向である。
【0073】
具体的には、例えば、
図1に示すように、搬送回転軸中心Oと搬出搬入口54の周方向の中心とを結ぶ仮想直線をLとし、搬送回転方向の最も上流側に配置される乾燥用ガス噴出ノズル74の上流側の側端と搬送回転軸中心Oとを結ぶ仮想直線をMとする。仮想直線Lから搬送回転方向(
図1において時計回り方向)に仮想直線Mまでのなす角度をaとする。
【0074】
この場合、仮想直線Lと仮想直線Mとのなす角度aは、35度以上であることが好ましい。
【0075】
すなわち、外筒71の外周面71aにおいて、仮想直線Lと交わる位置から搬送回転方向に角度aとなる位置に、搬送回転方向の最も上流側に配置される乾燥用ガス噴出ノズル74の上流側の側端が位置する。
【0076】
この角度aを45度以上とすることで、スライド扉55が開いた状態のときに、搬送回転方向の最も上流側に配置される乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出された乾燥用ガスが、搬出搬入口54から外部に直接流出することを防止できる。
【0077】
ここで、角度aは、90度以下であることが好ましい。角度aが90度を超えると、仮想直線Lから搬送回転方向に向かって、乾燥用ガス噴出ノズル74が備えられない範囲が広くなる。そのため、乾燥空間53を1周する間に被乾燥物Wを適切に乾燥することができなくなる。また、角度aは、35度以上60度以下であることがより好ましい。
【0078】
また、搬送回転方向の最も下流側に配置される乾燥用ガス噴出ノズル74の下流側の側端と搬送回転軸中心Oとを結ぶ仮想直線をNとする。前述した仮想直線Mから搬送回転方向に仮想直線Nまでのなす角をbとする。
【0079】
この場合、仮想直線Mと仮想直線Nとのなす角度bは、135度以上270度以下であることが好ましい。この角度bの範囲内に、乾燥用ガス噴出ノズル74が配置される。
【0080】
この範囲に乾燥用ガス噴出ノズル74を配置することで、被乾燥物Wに対して乾燥に必要な熱量を十分に供給できる。また、この範囲に乾燥用ガス噴出ノズル74を配置することで、乾燥空間53内における、被乾燥物Wに乾燥用ガスを吹き付けて加熱する加熱ゾーンにおける温度を適切な温度、かつ均一に維持できる。さらに、加熱ゾーン以外の乾燥空間53の温度を適切な温度に維持しつつ、温度の均一化が図れる。
【0081】
ここで、上記した加熱ゾーン、および加熱ゾーンから熱風噴出管102が設けられた領域までの乾燥空間53における温度は、乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出される乾燥用ガスの温度との差が、例えば15℃の範囲内に維持されていることが好ましい。
【0082】
なお、角度bは、例えば、被乾燥物Wの熱容量、一つの乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出される乾燥用ガスの流量や流速、乾燥空間53を1周する時間などに基づいて設定される。
【0083】
ここで、前述した内筒72の開口77は、乾燥用ガス噴出ノズル74が配置される所定の周方向範囲を除いた範囲の外筒71の内周面に対向する位置に形成される。
【0084】
図1に示す乾燥室50の断面において、内筒72の開口77は、例えば、仮想直線Mと仮想直線Nとがなす角度において、角度bとは異なる側の角度cの範囲内の内筒72に形成される。
【0085】
なお、開口77の搬送回転方向の上流側の端部および開口77の搬送回転方向の下流側の端部は、上記した角度cの範囲内に位置する。
【0086】
例えば、内筒72の開口77は、周方向に配置された乾燥用ガス噴出ノズル74のうち、中央に位置する乾燥用ガス噴出ノズル74の中心軸から搬送回転軸中心Oを中心に搬送回転方向に180度ずれた外筒71の内周面に対向する位置に形成されることが好ましい。この場合、例えば、開口77の周方向長さの中心が上記した180度ずれた内周面に対向する位置となるように、開口77が形成される。
【0087】
これによって、第2の空間76から開口77を介して個別空間78に流入した乾燥用ガスは、直接、乾燥用ガス噴出ノズル74に流入することはない。
【0088】
すなわち、開口77を介して個別空間78に流入した乾燥用ガスは、外筒71の内周面に衝突して周方向に広がる。この際、外筒71の内周面に衝突した乾燥用ガスは、
図1の破線矢印で示すように、搬送回転方向および搬送回転方向の逆方向へ広がる。
【0089】
これによって、個別空間78内全体に広がる乾燥用ガスの流れが形成され、個別空間78内に乾燥用ガスが均一に広がる。
【0090】
また、
図2に示すように、乾燥用ガス噴出ノズル74は、例えば、軸方向に所定の間隔をあけて複数段配置されている。また、それぞれの段の乾燥用ガス噴出ノズル74は、上記したように、外筒71の外周面71aの周方向に所定の間隔をあけて配置されている。なお、乾燥用ガス噴出ノズル74を備える軸方向の段数は、特に限定されるものではなく、適宜設定される。
【0091】
ここで、乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出された乾燥用ガスと、被乾燥物Wとの熱伝達を向上させるために、例えば、乾燥用ガス噴出ノズル74は、被乾燥物Wが搬送される方向に対して垂直となるように配置されることが好ましい。すなわち、乾燥用ガス噴出ノズル74は、噴出する乾燥用ガスが搬送される被乾燥物Wに対して垂直に衝突するように配置されることが好ましい。
【0092】
そのため、例えば、
図1に示す乾燥室50の断面において、乾燥用ガス噴出ノズル74は、その中心軸が搬送回転軸中心Oから放射状に延びる線上に位置するように配置される。
【0093】
ここで、乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出される乾燥用ガスの流れは、熱伝達率を向上させるために、噴出後外側に広がりにくく高速で被乾燥物Wに衝突する噴流であることが好ましい。そこで、乾燥用ガス噴出ノズル74は、このような噴流を形成しやすい、例えば、筒状管などで構成される。筒状管としては、例えば、筒状管の中心軸に垂直な断面形状が矩形の管や、筒状管の中心軸に垂直な断面形状が円形の管などが使用される。
【0094】
前述したように、蓋部材52には、内筒72内に連通するように導入管100の一端が接続されている。
【0095】
導入管100の他端は、燃焼室20の出口開口(図示しない)に連結されている。導入管100には、導入管100を介して燃焼室20からガス噴出部70の内筒72内に乾燥用ガスを導入し、かつ後述する戻り管101を介して乾燥室50から燃焼室20に乾燥用ガスを戻すために、循環ファン110が介在している。
【0096】
循環ファン110においては、例えば、ファンモータ111を制御してファン回転数を調整することで、ガス噴出部70に供給される乾燥用ガスの流量が調整される。これによって、乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出される乾燥用ガスの速度(流量)が調整される。循環ファン110は、例えば、シロッコファンやターボファンなどで構成される。
【0097】
導入管100は、循環ファン110の出口よりも下流側で分岐し、分岐管105を構成している。この分岐管105は、後述する熱風噴出管102に連結されている。分岐管105への分岐部よりも下流側で、導入管100は、さらに分岐して分岐管103を構成している。
【0098】
この分岐管103は、導入管100を流れる乾燥用ガスの一部を大気中に排出する。分岐管103には、排気する乾燥用ガスの流量を調整するための流量調整部104が備えられている。この流量調整部104は、例えば、ダンパなどで構成される。なお、ダンパの開度は、例えば、一定の流量の乾燥用ガスが大気中に排出されるように調整されている。
【0099】
次に、戻り管101のケーシング51との連結位置について説明する。
【0100】
戻り管101は、乾燥室50の乾燥空間53と、燃焼室20とを連通している。戻り管101の一端は、
図1に示すように、乾燥室50の乾燥空間53と連通するようにケーシング51に連結されている。戻り管101は、例えば、乾燥室50におけるケーシング51の高さ方向(鉛直方向)の中央に形成されている。なお、戻り管101は、各乾燥室50にそれぞれ設けられている。
【0101】
図1に示すように、戻り管101の他端側は、戻り管101から分岐し、分岐管106を構成している。分岐管106の一方の端部は、例えば、大気開放されている。この分岐管106は、戻り管101を介して乾燥室50から燃焼室20に戻る乾燥用ガスに、大気(空気)を導入するための配管である。すなわち、分岐管106の大気開放側の端部から大気を吸い込み、戻り管101に導入する。
【0102】
分岐管106には、戻り管101に導入する空気の流量を調整するための流量調整部107が備えられている。この流量調整部107は、例えば、ダンパなどで構成される。なお、ダンパの開度は、例えば、一定の流量の空気が戻り管101に導入されるように調整されている。
【0103】
戻り管101の他端は、燃焼室20の側壁に連結されている。戻り管101の他端が連結される側壁位置は、例えば、
図1に示すように、燃焼室20の一端20a側から他端20b側へ向かう方向において、フィルタ21とバーナ30との間となるように設定される。これによって、戻り管101を通って燃焼室20内に循環された乾燥用ガスは、再び燃焼室20から導入管100に導入される際、フィルタ21を通る。これによって、循環された乾燥用ガス中の異物が除去される。
【0104】
ここで、
図1に示すように、ケーシング51との連結位置における戻り管101の周方向の中心と、搬送回転軸中心Oとを結ぶ仮想直線をP1とする。前述した仮想直線Lから搬送回転方向とは逆方向(以下、搬送回転逆方向という。)に仮想直線P1までのなす角をd1とする。なお、搬送回転逆方向は、
図1において、反時計回り方向である。
【0105】
この場合、仮想直線Lと仮想直線P1とのなす角度d1は、45度以上225度以下、または315度以上360度未満であることが好ましい。すなわち、ケーシング51との連結位置における戻り管101の周方向の中心は、搬出搬入口54の周方向の中心から、搬送回転逆方向に、45度以上225度以下の範囲内、または315度以上360度よりも小さい範囲内に位置する。
【0106】
なお、角度d1が360度に近いときには、搬出搬入口54の位置との関係や、製作上および機能上の観点から、戻り管101のケーシング51との連結位置は設定される。すなわち、角度d1が360度に近いときには、搬出搬入口54にける機能を損なわない範囲および構成上可能な範囲で、戻り管101は、搬出搬入口54にできるだけ近い位置に連結される。
【0107】
角度d1を上記した範囲とすることで、スライド扉55が開いている状態でも、乾燥空間53の温度を適切な温度、かつ均一に維持できる。スライド扉55が開いている状態でも、例えば、戻り管101における吸引によって、搬出搬入口54から外部の空気が乾燥空間53に流入することを抑制できる。また、スライド扉55が開いている状態において、搬出搬入口54から外部の空気が乾燥空間53に流入しても、空気の温度分布への影響が抑制され、乾燥空間53の温度を適切な温度、かつ均一に維持できる。
【0108】
ここで、搬出搬入口54から乾燥空間53に流入した空気がケーシング51の内周面に沿って戻り管101に直接吸引され燃焼室20に導かれると、燃焼室20内の乾燥用ガスの温度が低下する。この場合、燃焼室20内の乾燥用ガスの温度を一定に維持するために、バーナ30の出力を上げる。そのため、燃料消費量が増加する。
【0109】
しかしながら、角度d1が45度以上225度以下の範囲では、搬出搬入口54から乾燥空間53に流入した空気がケーシング51の内周面に沿って戻り管101に直接吸引されることが抑制できる。そのため、燃焼室20に戻される乾燥用ガスによって燃焼室20内の乾燥用ガスの温度が低下することを抑制できる。これによって、バーナ30における燃料消費量の増加が抑えられる。
【0110】
ここで、角度d1は、90度以上135度以下であることがより好ましい。この場合、戻り管101の吸引によって搬出搬入口54から乾燥空間53に引き込まれる外部の空気の流量をより抑制することができる。
【0111】
戻り管101は、例えば、筒状管などで構成される。筒状管としては、例えば、筒状管の中心軸に垂直な断面形状が矩形の管や、筒状管の中心軸に垂直な断面形状が円形の管などが使用される。
【0112】
次に、熱風噴出管102のケーシング51との連結位置について説明する。
【0113】
熱風噴出管102は、ケーシング51側から乾燥空間53に乾燥用ガスを噴出する。熱風噴出管102は、
図1に示すように、乾燥室50の乾燥空間53と連通するようにケーシング51に連結されている。熱風噴出管102は、例えば、乾燥室50におけるケーシング51の軸方向の中央に形成されている。なお、熱風噴出管102は、各乾燥室50にそれぞれ設けられている。
【0114】
熱風噴出管102には、導入管100から分岐された分岐管105が連結されている。分岐管105には、乾燥空間53に噴出する乾燥用ガスの流量を調整するための流量調整部108が備えられている。
【0115】
なお、分岐管105は、分岐管103よりも循環ファン110側で分岐されているが、分岐管103が分岐される分岐点よりも下流側(ガス噴出部70側)で分岐されてもよい。
【0116】
なお、ケーシング51に連結される熱風噴出管102は、一つであっても、2つ以上であってもよい。熱風噴出管102を2つ以上備える場合、熱風噴出管102は、例えば、軸方向に等間隔に配置される。
【0117】
熱風噴出管102を2つ以上備える場合、例えば、分岐管105の下流端が各熱風噴出管102に対応して分岐し、この分岐管が各熱風噴出管102にそれぞれ連結される。また、熱風噴出管102を2つ以上備える場合、分岐管105の下流端にバッファ空間を構成するバッファ部を設け、このバッファ部に各熱風噴出管102の上流端部を連結してもよい。
【0118】
ここで、
図1に示すように、ケーシング51との連結位置における熱風噴出管102の周方向の中心と、搬送回転軸中心Oとを結ぶ仮想直線をQ1とする。前述した仮想直線Lから搬送回転逆方向に仮想直線Q1までのなす角度をe1とする。
【0119】
この場合、仮想直線Lと仮想直線Q1とのなす角度e1は、0度より大きく、50度以下であることが好ましい。すなわち、ケーシング51との連結位置における熱風噴出管102の周方向の中心は、搬出搬入口54の周方向の中心から、搬送回転逆方向に、0度より大きく50度以下の範囲内に位置する。
【0120】
なお、角度e1が0度に近いときには、搬出搬入口54の位置との関係や、製作上および機能上の観点から、熱風噴出管102のケーシング51との連結位置は設定される。すなわち、角度e1が0度に近いときには、搬出搬入口54にける機能を損なわない範囲および構成上可能な範囲で、熱風噴出管102は、搬出搬入口54にできるだけ近い位置に連結される。
【0121】
また、熱風噴出管102のケーシング51との連結位置は、戻り管101のケーシング51との連結位置と重ならないように設定される。
【0122】
角度e1を上記した範囲とすることで、スライド扉55が開いている状態において、搬出搬入口54から外部の空気が乾燥空間53に流入した場合でも、熱風噴出管102から乾燥用ガスを噴出することで、熱風噴出管102が設けられた位置よりも搬送回転逆方向への空気の流入を防止することができる。ここで、角度e1は、25度以上45度以下であることがより好ましい。
【0123】
上記したように、熱風噴出管102における乾燥用ガスの噴出位置よりも搬送回転逆方向への外部の空気の流入を防止するため、熱風噴出管102から噴出される乾燥用ガスの流れは、例えば、噴出後外側に広がりにくい高速の噴流であることが好ましい。
【0124】
そこで、熱風噴出管102は、このような噴流を形成しやすい、例えば、筒状管などで構成される。筒状管としては、例えば、筒状管の中心軸に垂直な断面形状が矩形の管や、筒状管の中心軸に垂直な断面形状が円形の管などが使用される。
【0125】
次に、乾燥装置10の作用について説明する。
【0126】
乾燥装置10の運転開始時において、吸気ファン32a、循環ファン110が駆動される。
【0127】
バーナ30における燃焼が開始すると、循環ファン110の吸引によって、バーナ30内の乾燥用ガス(燃焼ガス)が導入管100内に吸引される。導入管100内に吸引された乾燥用ガスは、乾燥室50のガス噴出部70に導入される。
【0128】
ここで、導入管100内に吸引された乾燥用ガスの一部は、分岐管105を通り、熱風噴出管102に導かれる。また、導入管100内に吸引された乾燥用ガスの他の一部は、分岐管103を介して大気中に排出される。
【0129】
導入管100を通り第2の空間76に導入された乾燥用ガスは、第2の空間76内に広がる。そして、第2の空間76内に広がった乾燥用ガスは、内筒72の開口77から各個別空間78内に流入する。この際、各個別空間78内に流入する乾燥用ガスの流量は、例えば、開度調整部80によって均一になるように調整されている。
【0130】
個別空間78内に流入した乾燥用ガスは、
図1の破線矢印で示すように、外筒71の内周面に衝突して、搬送回転方向および搬送回転逆方向へ均一に広がる。そして、個別空間78内に広がった乾燥用ガスは、乾燥用ガス噴出ノズル74から乾燥空間53に噴出される。
【0131】
この際、個別空間78内における乾燥用ガスの圧力は、ほぼ均一になる。そして、各乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出される乾燥用ガスの流速は、ほぼ等しくなる。
【0132】
乾燥空間53に噴出された乾燥用ガスは、回転板61上に配置され回転搬送される被乾燥物Wに衝突する。各乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出された乾燥用ガスの流速は、ほぼ均一であるため、被乾燥物Wを均等に加熱することができる。
【0133】
ここで、各乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出された乾燥用ガスは、環状の乾燥空間53に広がる。これによって、乾燥空間53の温度の均一化が図れる。
【0134】
燃焼室20内の乾燥用ガスが循環ファン110によって吸引されるため、燃焼室20内の圧力は、乾燥室50の乾燥空間53の圧力よりも低くなる。そのため、乾燥空間53の乾燥用ガスは、戻り管101を通り燃焼室20に導かれる。
【0135】
この際、分岐管106の大気開放側の端部からも空気が吸引される。そして、分岐管106を介して、所定量の空気が戻り管101に導入され、燃焼室20に導かれる。
【0136】
戻り管101を介して燃焼室20に導入された乾燥用ガスおよび空気は、バーナ30における燃焼によって生成した燃焼ガスと混合し、導入管100内に吸引され、乾燥室50のガス噴出部70に導入される。
【0137】
このように、燃焼室20において生成された乾燥用ガスの一部は、乾燥室50を経て燃焼室20に循環される。
【0138】
ここで、分岐管106を介して導入される空気の流量は、分岐管103を介して大気中に排出される燃焼ガスの流量と同じである。
【0139】
このように分岐管106から大気を導入し、分岐管103から乾燥用ガスの一部を排出するのは、乾燥用ガスの循環系統内における揮発性有機化合物(VOC)の濃度の増加を抑制するためである。これによって、爆発などの事故を防止できる。なお、揮発性有機化合物は、例えば、塗料などに含まれる。
【0140】
ここで、ケーシング51に連結された戻り管101の一端から乾燥空間53の乾燥用ガスの一部が吸引される。例えば、スライド扉55が開いている状態でも、仮想直線Lから搬送回転逆方向に角度d1の範囲に仮想直線P1が位置するように戻り管101を備えることで、戻り管101の吸引による外部の空気の乾燥空間53への流入が抑制される。
【0141】
一方、導入管100から分岐した分岐管105を流れる乾燥用ガスは、熱風噴出管102に導かれる。熱風噴出管102に導かれた乾燥用ガスは、ケーシング51側から外筒71側に向かって噴出される。熱風噴出管102から噴出される乾燥用ガスは、例えば、仮想直線Q1に沿う方向に噴出される。
【0142】
熱風噴出管102から噴出された乾燥用ガスによって、例えば、仮想直線Q1に沿う方向に乾燥用ガスの流れが形成される。この仮想直線Q1に沿う流れによって、例えば、スライド扉55が開いている状態において、搬出搬入口54から外部の空気が乾燥空間53に流入したときでも、この仮想直線Q1に沿う流れよりも搬送回転逆方向へ空気が流入するのを防止できる。すなわち、熱風噴出管102から噴出された乾燥用ガスは、搬出搬入口54から流入した外部の空気が乾燥空間53へ広がるのを防止する外部空気拡散防止機能を備える。
【0143】
ここで、乾燥用ガス噴出ノズル74から乾燥空間53に噴出される乾燥用ガスの流量Sと、熱風噴出管102から乾燥空間53に噴出される乾燥用ガスの流量T1の流量比(S:T1)は、85:5〜45:45であることが好ましい。なお、流量Sは、各乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出される乾燥用ガスの流量を合計した流量である。
【0144】
流量Sは、流量T1以上になるように設定される。そして、流量比S:T1のSとT1の値を加算すると90となる場合において、Sの比率が85から減った分、T1の比率が増加する。例えば、Sの比率が85から60に減ると、T1の比率は5から30に増加する。
【0145】
流量Sと流量T1を上記した流量比の範囲に設定することで、乾燥空間53の温度を適切な温度に維持できるとともに、乾燥空間53を温度分布の少ない均一な温度状態に維持できる。なお、流量比S:T1は、85:5〜70:20であることがより好ましい。
【0146】
上記したように、第1の実施の形態の乾燥装置10によれば、熱風噴出管102を備え、戻り管101、熱風噴出管102をケーシング51の所定範囲の位置に備えることで、スライド扉55が開いている状態でも、搬出搬入口54から外部の空気が乾燥空間53に流入することを抑制できる。これによって、乾燥空間53の温度を適切な温度に維持できるとともに、乾燥空間53を温度分布の少ない均一な温度状態に維持できる。
【0147】
また、戻り管101、熱風噴出管102をケーシング51の所定範囲の位置に備えることで、スライド扉55が開いている状態において、搬出搬入口54から外部の空気が乾燥空間53に流入しても、空気が及ぼす温度分布への影響は小さく、乾燥空間53の温度を適切な温度、かつ均一に維持できる。
【0148】
また、乾燥用ガス噴出ノズル74を外筒71の所定範囲の位置に備えることで、スライド扉55が開いた状態のときに、搬送回転方向の最も上流側に配置される乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出された乾燥用ガスが、搬出搬入口54から外部に直接流出することを防止できる。これによって、乾燥用ガスのエネルギを被乾燥物Wの乾燥に有効に利用できる。また、乾燥空間53の温度を適切な温度に維持することにも寄与する。
【0149】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態の乾燥装置11の概要を模式的に示した図である。なお、第1の実施の形態の乾燥装置10の構成と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
【0150】
第2の実施の形態の乾燥装置11では、第1の実施の形態における外部空気拡散防止機能を備える熱風噴出管102の代わりに、他の機能を備える熱風噴出管120を備えている。また、第2の実施の形態の乾燥装置11では、戻り管101のケーシング51との連結位置も第1の実施の形態における戻り管101のケーシング51との連結位置と異なる。
【0151】
ここでは、他の機能を備える熱風噴出管120の構成および戻り管101のケーシング51との連結位置について主に説明する。
【0152】
なお、第1の実施の形態で
図2に示した断面構成は、この断面に相当する第2の実施の形態における乾燥装置11の断面構成と同じである。
【0153】
図3に示すように、乾燥室50は、導入管100、戻り管101と、熱風噴出管120と連結されている。
【0154】
まず、戻り管101のケーシング51との連結位置について説明する。
【0155】
戻り管101は、乾燥室50の乾燥空間53と、燃焼室20とを連通している。戻り管101の一端は、
図3に示すように、乾燥室50の乾燥空間53と連通するようにケーシング51に連結されている。戻り管101は、例えば、乾燥室50におけるケーシング51の軸方向の中央に形成されている。なお、戻り管101は、各乾燥室50にそれぞれ設けられている。
【0156】
ここで、
図3に示すように、ケーシング51との連結位置における戻り管101の周方向の中心と、搬送回転軸中心Oとを結ぶ仮想直線をP2とする。前述した仮想直線Lから搬送回転逆方向(
図3において反時計回り方向)に仮想直線P2までのなす角度をd2とする。
【0157】
仮想直線Lと仮想直線P2とのなす角度d2は、45度以上225度未満、または315度以上360度未満であることが好ましい。すなわち、ケーシング51との連結位置における戻り管101の周方向の中心は、搬出搬入口54の周方向の中心から、搬送回転逆方向に、45度以上で225度よりも小さい範囲内、または315度以上で360度よりも小さい範囲内に位置する。
【0158】
なお、角度d2が360度に近いときには、搬出搬入口54の位置との関係や、製作上および機能上の観点から、戻り管101のケーシング51との連結位置は設定される。すなわち、角度d2が360度に近いときには、搬出搬入口54にける機能を損なわない範囲および構成上可能な範囲で、戻り管101は、搬出搬入口54にできるだけ近い位置に連結される。
【0159】
角度d2を上記した範囲とすることで、スライド扉55が開いている状態でも、乾燥空間53の温度を適切な温度、かつ均一に維持できる。スライド扉55が開いている状態でも、例えば、戻り管101における吸引によって、搬出搬入口54から外部の空気が乾燥空間53に流入することを抑制できる。また、スライド扉55が開いている状態において、搬出搬入口54から外部の空気が乾燥空間53に流入しても、空気が及ぼす温度分布への影響は小さく、乾燥空間53の温度を適切な温度、かつ均一に維持できる。
【0160】
ここで、角度d2は、45度以上135度以下であることがより好ましい。また、角度d2は、45度以上90度以下であることがさらに好ましい。これらの場合、戻り管101の吸引によって搬出搬入口54から乾燥空間53に引き込まれる外部の空気の流量をより抑制することができる。
【0161】
また、前述したように、搬出搬入口54から乾燥空間53に流入した空気がケーシング51の内周面に沿って戻り管101に直接吸引され燃焼室20に導かれると、燃焼室20内の乾燥用ガスの温度が低下する。この場合、燃焼室20内の乾燥用ガスの温度を一定に維持するために、バーナ30の出力を上げる。そのため、燃料消費量が増加する。
【0162】
しかしながら、角度d2が45度以上135度以下の範囲では、搬出搬入口54から乾燥空間53に流入した空気がケーシング51の内周面に沿って戻り管101に直接吸引されることが抑制できる。そのため、燃焼室20に戻される乾燥用ガスによって燃焼室20内の乾燥用ガスの温度が低下することを抑制できる。これによって、バーナ30における燃料消費量の増加が抑えられる。
【0163】
なお、戻り管101の形状は、前述したとおりである。
【0164】
次に、熱風噴出管120のケーシング51との連結位置について説明する。
【0165】
図3に示すように、乾燥装置11における乾燥室50のケーシング51には、熱風噴出管120が連結されている。熱風噴出管120は、例えば、乾燥室50におけるケーシング51の軸方向の中央に形成されている。なお、熱風噴出管120は、各乾燥室50にそれぞれ設けられている。
【0166】
熱風噴出管120は、ケーシング51側から乾燥空間53に乾燥用ガスを噴出する。熱風噴出管120には、導入管100から分岐された分岐管130が連結されている。分岐管130には、乾燥空間53に噴出する乾燥用ガスの流量を調整するための流量調整部131が備えられている。
【0167】
なお、分岐管130は、分岐管103よりも循環ファン110側で分岐されているが、分岐管103が分岐される分岐点よりも下流側(ガス噴出部70側)で分岐されてもよい。
【0168】
なお、ケーシング51に連結される熱風噴出管120は、一つであっても、2つ以上であってもよい。熱風噴出管120を2つ以上備える場合、熱風噴出管120は、例えば、軸方向に等間隔に配置される。
【0169】
熱風噴出管120を2つ以上備える場合、例えば、分岐管130の下流端が各熱風噴出管120に対応して分岐し、この分岐管が各熱風噴出管120にそれぞれ連結される。また、熱風噴出管120を2つ以上備える場合、分岐管130の下流端にバッファ空間を構成するバッファ部を設け、このバッファ部に各熱風噴出管120の上流端部を連結してもよい。
【0170】
ここでの熱風噴出管120から噴出された乾燥用ガスは、後に詳しく説明するが、乾燥空間53における乾燥用ガスの温度分布を均一にする機能を備える。
【0171】
ここで、熱風噴出管120は、周方向に亘って設けられるケーシング51のうちの、乾燥用ガス噴出ノズル74に対向する範囲内に連結される。ケーシング51との連結位置における熱風噴出管120の周方向の中心と、搬送回転軸中心Oとを結ぶ仮想直線をQ2とする。この場合、仮想直線Q2は、仮想直線Mから搬送回転方向に仮想直線Nまでの範囲に位置する。
【0172】
なお、仮想直線Mおよび仮想直線Nは、第1の実施の形態で説明したとおりである。
【0173】
ケーシング51との連結位置における熱風噴出管120の周方向の中心は、例えば、周方向に配置された乾燥用ガス噴出ノズル74のうち、中央に位置する乾燥用ガス噴出ノズル74の中心軸に対向する位置から、搬送回転方向に45度および搬送回転逆方向に45度の範囲に位置することがより好ましい。
【0174】
また、熱風噴出管120のケーシング51との連結位置は、戻り管101のケーシング51との連結位置と重ならないように設定される。
【0175】
熱風噴出管120を上記した範囲に配置することで、乾燥空間53内における、被乾燥物Wに乾燥用ガスを吹き付けて加熱する加熱ゾーンにおける温度を適切な温度、かつ均一に維持できる。さらに、加熱ゾーン以外の乾燥空間53の温度を適切な温度に維持しつつ、温度の均一化が図れる。
【0176】
ここで、上記した加熱ゾーンおよび加熱ゾーン以外の乾燥空間53における温度は、乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出される乾燥用ガスの温度との差が、例えば15℃の範囲内に維持されていることが好ましい。
【0177】
なお、熱風噴出管120は、第1の実施の形態の熱風噴出管102と同様に、例えば、筒状管などで構成される。筒状管としては、例えば、筒状管の中心軸に垂直な断面形状が矩形の管や、筒状管の中心軸に垂直な断面形状が円形の管などが使用される。
【0178】
次に、乾燥装置11の作用について説明する。なお、乾燥装置10の作用と同一の作用は、説明を省略または簡略する。
【0179】
乾燥装置10の運転開始時において、吸気ファン32a、循環ファン110が駆動される。前述したように、導入管100を通り第2の空間76から個別空間78内に流入した乾燥用ガスは、乾燥用ガス噴出ノズル74から乾燥空間53に噴出される。
【0180】
乾燥空間53に噴出された乾燥用ガスは、回転板61上に配置され回転搬送される被乾燥物Wに衝突する。各乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出された乾燥用ガスの流速は、ほぼ均一であるため、被乾燥物Wを均等に加熱することができる。
【0181】
ここで、各乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出された乾燥用ガスは、環状の乾燥空間53に広がる。
【0182】
燃焼室20内の乾燥用ガスが循環ファン110によって吸引されるため、乾燥空間53の乾燥用ガスは、戻り管101を通り燃焼室20に導かれる。この際、分岐管106の大気開放側の端部からも空気が吸引される。
【0183】
戻り管101を介して燃焼室20に導入された乾燥用ガスおよび空気は、バーナ30における燃焼によって生成した燃焼ガスと混合し、導入管100内に吸引され、乾燥室50のガス噴出部70に導入される。
【0184】
このように、燃焼室20において生成された乾燥用ガスの一部は、乾燥室50を経て燃焼室20に循環される。
【0185】
ここで、ケーシング51に連結された戻り管101の一端から乾燥空間53の乾燥用ガスの一部の一部が吸引される。例えば、スライド扉55が開いている状態でも、仮想直線Lから搬送回転逆方向に角度d2の範囲に仮想直線P2が位置するように戻り管101を備えることで、戻り管101の吸引による外部の空気の乾燥空間53への流入が抑制される。
【0186】
一方、導入管100から分岐した分岐管130を流れる乾燥用ガスは、熱風噴出管120に導かれる。熱風噴出管120に導かれた乾燥用ガスは、ケーシング51側から外筒71側に向かって噴出される。熱風噴出管120から噴出される乾燥用ガスは、例えば、仮想直線Q2に沿う方向に噴出される。
【0187】
ここで、乾燥空間53において、熱風噴出管120から噴出された乾燥用ガスと、この熱風噴出管120に対向する乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出された乾燥用ガスとで対向噴流を形成する。搬送される被乾燥物W間では、双方からの噴流が直接衝突する。また、被乾燥物Wが介在する場合には、被乾燥物Wを介して双方からの噴流が衝突する。
【0188】
なお、乾燥空間53内における、乾燥用ガスを吹き付けて被乾燥物Wを加熱する領域は、前述した加熱ゾーンである。
【0189】
このように噴流どうしが衝突することで、乾燥空間53における乾燥用ガスの流れ場が乱される。それによって、乾燥空間53における温度分布の均一化が図られる。
【0190】
なお、乾燥用ガス噴出ノズル74が備えられた、被乾燥物Wに十分な熱量を与える領域では、上記したように、乾燥空間53における温度分布の均一化が図られる。そのため、被乾燥物Wを適切に乾燥することができる。さらに、熱風噴出管120から乾燥用ガスを噴出することで、乾燥空間53全体における温度分布の均一化を図ることができる。
【0191】
このように、熱風噴出管120から噴出された乾燥用ガスは、乾燥空間53における温度分布を均一にする機能を備える。
【0192】
ここで、乾燥用ガス噴出ノズル74から乾燥空間53に噴出される乾燥用ガスの流量Sと、熱風噴出管120から乾燥空間53に噴出される乾燥用ガスの流量T2の流量比(S:T2)は、85:5〜45:45であることが好ましい。なお、流量Sは、各乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出される乾燥用ガスの流量を合計した流量である。
【0193】
流量Sは、流量T2以上になるように設定される。そして、流量比S:T2のSとT2の値を加算すると90となる場合において、Sの比率が85から減った分、T2の比率が増加する。例えば、Sの比率が85から60に減ると、T2の比率は5から30に増加する。
【0194】
流量Sと流量T2を上記した流量比の範囲に設定することで、乾燥空間53の温度を適切な温度に維持できるとともに、乾燥空間53を温度分布の少ない均一な温度状態に維持できる。なお、流量比S:T2は、85:5〜70:20であることがより好ましい。
【0195】
上記したように、第2の実施の形態の乾燥装置11によれば、戻り管101をケーシング51の所定範囲の位置に備えることで、スライド扉55が開いている状態でも、搬出搬入口54から外部の空気が乾燥空間53に流入することを抑制できる。
【0196】
また、熱風噴出管120を備え、戻り管101、熱風噴出管120をケーシング51の所定範囲の位置に備えることで、スライド扉55が開いている状態でも、乾燥空間53における温度分布の均一化を図ることができる。
【0197】
これによって、乾燥空間53の温度を適切な温度に維持できるとともに、乾燥空間53を温度分布の少ない均一な温度状態に維持できる。
【0198】
また、乾燥用ガス噴出ノズル74を外筒71の所定範囲の位置に備えることで、スライド扉55が開いた状態のときに、搬送回転方向の最も上流側に配置される乾燥用ガス噴出ノズル74から噴出された乾燥用ガスが、搬出搬入口54から外部に直接流出することを防止できる。これによって、乾燥用ガスのエネルギを被乾燥物Wの乾燥に有効に利用できる。また、乾燥空間53の温度を適切な温度に維持することにも寄与する。
【0199】
なお、上記した実施の形態では、バーナ30において発生した燃焼ガスを乾燥用ガスとして使用した一例を示したが、乾燥用ガスは他の手段で発生させてもよい。例えば、乾燥用ガスとして、電気炉などで加熱された空気を使用してもよい。
【0200】
(乾燥空間53における乾燥用ガスの温度分布の評価)
次に、乾燥空間53における乾燥用ガスの温度分布を評価する。ここでは、搬出搬入口54から流入した外部の空気が乾燥空間53へ広がるのを防止する機能(外部空気拡散防止機能)を有する熱風噴出管102を備える乾燥室50と、乾燥空間53における温度分布を均一にする機能(温度分布均一化機能)を有する熱風噴出管120を備える乾燥室50について、乾燥空間53における乾燥用ガスの温度分布を評価する。
【0201】
なお、温度分布は、数値解析によって算出した。また、数値解析では、スライド扉55が開かれた状態、すなわち搬出搬入口54が外部に開口された状態における乾燥空間53の乾燥用ガスの温度分布を解析した。
【0202】
熱風噴出管102を備える乾燥室50の解析モデル(解析モデルA)と、熱風噴出管120を備える乾燥室50の解析モデル(解析モデルB)について説明する。
【0203】
(解析モデルA)
図4は、解析モデルAの構成を模式的に簡素化して示した図である。
図5は、外筒71に備えられた乾燥用ガス噴出ノズル74を正面から見たときの平面図である。
【0204】
図4に示す解析モデルAにおいて、ケーシング51の内径は3000mm、外筒71の外径は1200mmである。乾燥室50における乾燥空間53の高さ(軸方向の高さ)は500mmである。
【0205】
搬出搬入口54の周方向の開口幅は700mm、搬出搬入口54の開口高さ(軸方向開口高さ)は400mmである。また、搬出搬入口54は、乾燥室50におけるケーシング51の高さ方向(軸方向)の中央に形成されている。
【0206】
仮想直線Lと仮想直線Mとのなす角度aは36度である。仮想直線Mと仮想直線Nとのなす角度bは180度である。そして、乾燥用ガス噴出ノズル74については、
図5に示すように、軸方向(鉛直方向)に5個の乾燥用ガス噴出ノズル74を等間隔に備える列と、軸方向に4個の乾燥用ガス噴出ノズル74を備える列が周方向に交互に設けられている。周方向の列間のピッチUは、等間隔である。
【0207】
4個の乾燥用ガス噴出ノズル74を備える列において、各乾燥用ガス噴出ノズル74は、周方向に見たときに、5個の乾燥用ガス噴出ノズル74を備える列における乾燥用ガス噴出ノズル74間に配置されている。すなわち、乾燥用ガス噴出ノズル74の配列は、周方向に千鳥配列となっている。
【0208】
乾燥用ガス噴出ノズル74は、内径が27.8mmの円管であり、外筒71の外周面71aから100mm突出している。そして、外筒71の外周面71aには、115個の乾燥用ガス噴出ノズル74が配置されている。
【0209】
仮想直線Lと仮想直線Q1とのなす角度e1は40度である。熱風噴出管102は、中心軸に垂直な断面形状が正方形の管であり、熱風噴出管102の出口における内寸は、幅200mm、高さ200mmの正方形である。
【0210】
戻り管101は、中心軸に垂直な断面形状が矩形の管であり、戻り管101の出口における内寸は、幅600mm、高さ300mmの長方形である。
【0211】
なお、熱風噴出管102および戻り管101において、高さは、鉛直方向の長さである。また、熱風噴出管102および戻り管101は、乾燥室50におけるケーシング51の軸方向(鉛直方向)の中央に結合されている。
【0212】
ここでは、戻り管101のケーシング51との周方向における連結位置を変化させて温度分布を評価した。仮想直線Lと仮想直線P1とのなす角度d1を90度、135度、180度、225度、270度、315度に変化させ、それぞれについて温度分布を評価した。
【0213】
ここで、乾燥用ガス噴出ノズル74から乾燥空間53に噴出される乾燥用ガスの流量Sと、熱風噴出管102から乾燥空間53に噴出される乾燥用ガスの流量T1の流量比(S:T1)を85:5とした。また、流量Sと流量T1を合計した総流量を90m
3/分とした。乾燥用ガス噴出ノズル74および熱風噴出管102から乾燥空間53に噴出される乾燥用ガスの温度を170℃とした。
【0214】
乾燥空間53における乾燥用ガスの温度分布は、
図4に示す評価位置F1〜F16における温度に基づいて評価した。ここで、評価位置F1〜F16は、搬送回転軸中心Oを中心として、直径が2100mmの円周上に等間隔に位置している。なお、換言すると、評価位置F1〜F16は、ケーシング51の内周面と外筒71の外周面71aとの間の中央となる円周上に等間隔に位置している。
【0215】
また、評価位置F1〜F16の乾燥空間53における高さ(軸方向の高さ)は、250mmである。すなわち、評価位置F1〜F16は、乾燥室50における乾燥空間53の高さ(軸方向の高さ)の中央に位置している。
【0216】
ここで、評価位置F1は、
図4に示す断面において、仮想直線L上に位置する。評価位置F1から搬送回転方向に、評価位置F2、評価位置F3の順に評価位置F16まで設定さている。
【0217】
図6は、解析モデルAにおける乾燥空間53における乾燥用ガスの温度分布の評価結果を示す図である。
図6において、横軸には評価位置が示され、縦軸には乾燥用ガスの温度が示されている。
【0218】
図6に示すように、角度d1が90度、135度、180度、225度、315度の場合、乾燥空間53における乾燥用ガス噴出ノズル74が備えられた領域(F3〜F10)では、温度分布の少ない均一な温度状態が得られている。なお、F3〜F10の領域は、前述した加熱ゾーンに相当する。
【0219】
角度d1が315度の場合、搬出搬入口54から乾燥空間53に流入した少量の空気がケーシング51の内周面に沿って戻り管101に直接吸引されているが、均一な温度分布が得られている。
【0220】
また、角度d1が90度、135度の場合、乾燥用ガス噴出ノズル74が備えられた領域以外のF11〜F15の領域においても、温度分布の少ない均一な温度状態が得られている。
【0221】
なお、ここでは示していないが、流量比(S:T1)を45:45とした場合においても、上記した流量比(S:T1)が85:5としたときの結果と同様の結果が得られた。
【0222】
(解析モデルB)
図7は、解析モデルBの構成を模式的に簡素化して示した図である。解析モデルBにおいて、ケーシング51の内径、外筒71の外径は、解析モデルAのそれらと同じである。また、搬出搬入口54のサイズや位置は、解析モデルAのそれらと同じである。
【0223】
仮想直線Lと仮想直線Mとのなす角度a、仮想直線Mと仮想直線Nとのなす角度b、乾燥用ガス噴出ノズル74の形状や配置構成は、解析モデルAのそれらと同じである。
【0224】
仮想直線Q2は、仮想直線Lから搬送回転方向に180度進んだ位置に設けられている。すなわち、ケーシング51との連結位置における熱風噴出管120の周方向の中心は、搬出搬入口54の周方向の中心から搬送回転方向に180度進んだ位置に設けられている。
【0225】
戻り管101の形状は、解析モデルAの戻り管101の形状と同じである。また、熱風噴出管120の形状は、解析モデルAの熱風噴出管102の形状と同じである。
【0226】
戻り管101および熱風噴出管120のケーシング51の高さ方向(軸方向)の結合位置は、解析モデルAの戻り管101および熱風噴出管102のそれらとそれぞれ同じである。
【0227】
ここでは、戻り管101のケーシング51との周方向における連結位置を変化させて温度分布を評価した。仮想直線Lと仮想直線P2とのなす角度d2を45度、90度、135度、225度、270度、315度に変化させ、それぞれについて温度分布を評価した。
【0228】
ここで、乾燥用ガス噴出ノズル74から乾燥空間53に噴出される乾燥用ガスの流量Sと、熱風噴出管120から乾燥空間53に噴出される乾燥用ガスの流量T2の流量比(S:T2)を85:5とした。また、流量Sと流量T2を合計した総流量を90m
3/分とした。乾燥用ガス噴出ノズル74および熱風噴出管120から乾燥空間53に噴出される乾燥用ガスの温度を170℃とした。
【0229】
なお、
図7に示す評価位置F1〜F16は、
図4に示す評価位置F1〜F16と同じである。
【0230】
図8は、解析モデルBにおける乾燥空間53における乾燥用ガスの温度分布の評価結果を示す図である。
図8において、横軸には評価位置が示され、縦軸には乾燥用ガスの温度が示されている。
【0231】
図8に示すように、角度d2が45度、90度、135度、315度の場合、乾燥空間53における乾燥用ガス噴出ノズル74が備えられた領域(F3〜F10)では、温度分布の少ない均一な温度状態が得られている。
【0232】
角度d2が315度の場合、搬出搬入口54から乾燥空間53に流入した少量の空気がケーシング51の内周面に沿って戻り管101に直接吸引されているが、均一な温度分布が得られている。
【0233】
また、角度d2が45度、90度、135度の場合、乾燥用ガス噴出ノズル74が備えられた領域以外のF11〜F16の領域においても、温度分布の少ない均一な温度状態が得られている。この中でも、角度d2が45度、90度の場合、より均一な温度分布が得られている。
【0234】
なお、ここでは示していないが、流量比(S:T1)を45:45とした場合においても、上記した流量比(S:T1)が85:5としたときの結果と同様の結果が得られた。
【0235】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。