【文献】
Intel Corporation,Support of geo-based transmission schemes for V2V communication,3GPP TSG RAN WG1#84 R1-160431,2016年 2月 6日
【文献】
Beijing Xinwei Telecom Techn.,Discussion on enhancement of V2X resource allocation,3GPP TSG RAN WG1#83 R1-157534,2015年11月24日
【文献】
LG Electronics,Discussion on enhancement for PC5 based V2V resource allocation,3GPP TSG RAN WG1#83 R1-157435,2015年11月24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無線リソースを決定することは、前記車両用移動端末の前記決定された位置に関連付けられた無線リソースプール内に定義された無線リソースの中から前記車両用移動端末が無線リソースを選択することを含む、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用移動端末。
前記車両用移動端末には、複数の無線リソースプールが設定されており、前記複数の無線リソースプールは、それぞれ、前記車両用移動端末が位置することができる異なる位置に関連付けられており、前記複数の無線リソースプールの設定は、システム情報として、または車両用移動端末への専用メッセージ内で前記車両用移動端末に送信され、
前記複数の無線リソースプールおよび前記複数の無線リソースプールのそれぞれの中の各無線リソースに関する明示的情報を提供することによって、またはどのように無線リソースが前記複数の無線リソースプールに分割されているかを定義する規則に基づいて、前記複数の無線リソースプールが、前記車両用移動端末に設定されている、
請求項5に記載の車両用移動端末。
前記プロセッサは、無線リソースを決定する際、無線リソース候補が他の移動端末によって使用されているかまたは使用されるかを判断し、前記プロセッサは、前記無線リソース候補が他の移動端末によって使用されているかまたは使用される場合に、これらの無線リソースを決定せずに、異なる無線リソースを決定する、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用移動端末。
前記無線リソースを決定することは、前記車両用移動端末の前記決定された位置に関連付けられた無線リソースプール内に定義された無線リソースの中から前記車両用移動端末が無線リソースを選択することを含み、前記プロセッサは、他の端末によって使用されていないかまたは使用されない無線リソース候補が前記関連付けられた無線リソースプール内で選択可能でない場合に、前記車両用移動端末の位置以外の他の位置に関連付けられた他の無線リソースプールから無線リソースを選択し、該他の位置は、前記車両用移動端末の位置の近傍である、
請求項8に記載の車両用移動端末。
前記複数の小区画と関連付けられた前記無線リソースは、互いに直交しており、また、前記複数の区画および前記複数の小区画は、前記複数の小区画に関連付けられた前記無線リソースによって隣接区画間の干渉が低減される状態になっており、
前記複数の区画を小区画に分割することは、1つの車両用移動端末が各小区画に位置すること、または2つ以上の車両用移動端末が各小区画に位置することを想定している、
請求項10に記載の車両用移動端末。
前記プロセッサは、前記車両用移動端末が無線基地局のカバレッジ内にいるか、カバレッジ外にいるかを判断し、カバレッジ外の場合、前記プロセッサは、前記無線リソースが
前記車両用移動端末の位置に基づいては選択されないと判断する、
請求項1〜12のいずれか一項に記載の車両用移動端末。
前記通信システムの前記エンティティは、前記車両用移動端末が少なくとも前記第2の移動端末との通信のために使用する無線リソースが、前記車両用移動端末の位置に基づいて決定されるか否かを判断し、該判断の結果に関する情報は、前記通信システムにおける前記エンティティによって前記車両用移動端末に提供され、
前記通信システムの前記エンティティは、前記車両用移動端末が位置する前記セルを制御する無線制御エンティティであるか、または、制御ネットワーク内のエンティティである、
請求項2に記載の車両用移動端末。
通信システムにおいて少なくとも第2の移動端末と通信するための無線リソースを車両用移動端末が決定することを支援する、前記通信システムにおける無線基地局であって、
無線リソースが前記車両用移動端末の位置に基づいて決定されるか否かを、少なくとも前記無線基地局のセル内の各車両用移動端末に関する情報に基づいて判断するプロセッサと、
前記車両用移動端末が前記車両用移動端末の位置に基づいて無線リソースを決定するか否かを判断する際に準拠する情報を、前記車両用移動端末に送信する送信部と、を備えた、
無線基地局。
前記送信部が、複数の無線リソースプールに関する情報を車両用移動端末に送信し、かつ、前記複数の無線リソースプールが、それぞれ、前記車両用移動端末が位置することができる異なる位置に関連付けられている結果、前記車両用移動端末は、前記車両用移動端末の位置に関連付けられた無線リソースプール内に定義された無線リソースの中から無線リソースを選択することができ、複数の無線リソースプールに関する前記情報は、システム情報として、または前記車両用移動端末への専用メッセージ内で前記無線基地局によって送信される、
請求項15または16に記載の無線基地局。
前記車両用移動端末によって他の移動端末との通信に使用される無線リソースの要求を前記車両用移動端末から受信するように、また、前記車両用移動端末の位置に関する情報であって、前記車両用移動端末が位置する道路の区画の地理的座標または識別子である情報を受信する受信部を備え、
前記プロセッサは、前記車両用移動端末によって他の移動端末との通信に使用される無線リソースを決定し、
前記送信部は、前記決定された無線リソースに関する情報を前記車両用移動端末に送信する、
請求項15〜17のいずれか一項に記載の無線基地局。
【背景技術】
【0002】
<ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)>
WCDMA(登録商標)無線アクセス技術をベースとする第3世代の移動通信システム(3G)は、世界中で広範な規模で配備されつつある。この技術を機能強化または発展・進化させる上での最初のステップとして、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA:High−Speed Downlink Packet Access)、および高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA:High Speed Uplink Packet Access)とも呼ばれるエンハンストアップリンクが導入され、極めて競争力の高い無線アクセス技術を提供している。
【0003】
ユーザからのますます増大する需要に対応し、新しい無線アクセス技術に対する競争力を確保するために、3GPPは、ロングタームエボリューション(LTE)と称される新しい移動通信システムを導入した。LTEは、今後10年間にわたり、高速のデータおよびメディア伝送ならびに大容量の音声サポートのためのキャリアニーズを満たすように設計されている。高いビットレートを提供する能力は、LTEにおける重要な方策である。
【0004】
進化したUMTS地上無線アクセス(UTRA:UMTS Terrestrial Radio Access)およびUMTS地上無線アクセスネットワーク(UTRAN:UMTS Terrestrial Radio Access Network)と称される、ロングタームエボリューション(LTE)に関する作業項目(WI:Work Item)の仕様が、リリース8(LTEリリース8)として確定された。LTEシステムは、フルIPベースの機能性を低遅延かつ低コストで提供する、パケットベースの効率的な無線アクセスおよび無線アクセスネットワークの代表である。LTEでは、与えられたスペクトルを用いてフレキシブルなシステム配備を達成するために、1.4MHz、3.0MHz、5.0MHz、10.0MHz、15.0MHz、および20.0MHzなどのスケーラブルな複数の送信帯域幅が指定されている。ダウンリンクでは、低いシンボルレートに起因してマルチパス干渉(MPI:Multipath Interference)に対する固有の耐性があること、サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)を使用すること、およびさまざまな送信帯域幅配列と相性が良いことから、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)ベースの無線アクセスが採用された。アップリンクでは、ユーザ機器(UE:User Equipment)の送信電力が限られていることを考慮し、ピークデータレートを向上させるよりも広いエリアカバレッジを提供することが優先されることから、シングルキャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA:Single−Carrier Frequency Division Multiple Access)ベースの無線アクセスが採用された。LTEリリース8/9では、多入力多出力(MIMO:Multiple−Input Multiple−Output)チャネル伝送技術を含んで多くの主要なパケット無線アクセス技術が採用され、高効率の制御シグナリング構造が達成されている。
【0005】
<LTEアーキテクチャ>
図1に、LTEアーキテクチャ全体を示している。E−UTRANは、eNodeBから構成され、ユーザ機器(UE)に向かう、E−UTRAのユーザプレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)プロトコルおよび制御プレーン(RRC)プロトコルの終端を提供している。eNodeB(eNB)は、ユーザプレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能性を含む、物理(PHY)レイヤ、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)レイヤ、無線リンク制御(RLC:Radio Link Control)レイヤ、およびパケットデータ制御プロトコル(PDCP:Packet Data Control Protocol)レイヤをホストする。eNodeB(eNB)は、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)機能性も提供する。eNodeB(eNB)は、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、交渉によるアップリンクサービス品質(QoS:Quality of Service)の実施、セル情報ブロードキャスト、ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化/復号化、ならびにダウンリンク/アップリンクのユーザプレーンパケットヘッダの圧縮/復元を含む、多くの機能を実行する。eNodeBは、X2インタフェースによって相互接続されている。
【0006】
また、複数のeNodeBは、S1インタフェースによってEPC(進化したパケットコア:Evolved Packet Core)に、より具体的には、S1−MMEによってMME(移動管理エンティティ:Mobility Management Entity)に、およびS1−Uによってサービングゲートウェイ(SGW:Serving Gateway)に接続されている。S1インタフェースは、MME/サービングゲートウェイとeNodeBとの間の多対多の関係をサポートする。SGWは、eNodeB間のハンドオーバ時におけるユーザプレーンのモビリティアンカーとして、およびLTEと他の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカー(S4インタフェースを終端させ、2G/3GシステムとPDN GWとの間でトラフィックを中継する)としても機能する一方で、ユーザデータパケットをルーティングして転送する。アイドル状態のユーザ機器に対しては、SGWは、ダウンリンクデータ経路を終端させ、そのユーザ機器のためのダウンリンクデータが到着したときにページングをトリガする。SGWは、ユーザ機器のコンテキスト、例えばIPベアラサービスのパラメータ、またはネットワーク内部ルーティング情報、を管理する、および格納する。SGWは、合法傍受(lawful interception)の場合には、ユーザトラフィックの複製も行う。
【0007】
MMEは、LTEアクセスネットワークのための主要な制御ノードである。MMEは、再送信を含んで、アイドルモードのユーザ機器の追跡およびページング手順の役割を担う。MMEは、ベアラのアクティブ化/非アクティブ化プロセスに関与し、最初のアタッチ時およびコアネットワーク(CN:Core Network)ノードの再配置を伴うLTE内ハンドオーバ時に、ユーザ機器のためにSGWを選択する役割も担う。MMEは、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。非アクセス層(NAS:Non−Access Stratum)シグナリングは、MMEにおいて終端され、MMEは、一時的なIDを生成してユーザ機器に割り当てる役割も担う。MMEは、サービスプロバイダの公衆陸上移動網(PLMN:Public Land Mobile Network)にキャンプオンするためにユーザ機器の承認をチェックし、ユーザ機器のローミング制約を実施する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/完全性保護のためのネットワーク内の終端点であり、セキュリティキーの管理を取り扱う。シグナリングの合法的な傍受もMMEによってサポートされる。MMEは、LTEのアクセスネットワークと2G/3Gのアクセスネットワークとの間のモビリティのための制御プレーン機能に、SGSNからでMMEで終端するS3インタフェースも提供する。MMEは、ユーザ機器をローミングするためのホームHSSに向かうS6aインタフェースも終端させる。
【0008】
<LTEにおけるコンポーネントキャリア構造>
3GPP LTEシステムのダウンリンクコンポーネントキャリアは、時間−周波数領域において、いわゆるサブフレームにさらに分割される。3GPP LTEにおいて、各サブフレームは、
図2に示すように2つのダウンリンクスロットに分割され、第1のダウンリンクスロットは、第1のOFDMシンボル内に制御チャネル領域(PDCCH領域)を含んでいる。各サブフレームは、時間領域内において所与の数のOFDMシンボルで構成され(3GPP LTE(リリース8)では12個または14個のOFDMシンボル)、各OFDMシンボルはコンポーネントキャリアの帯域幅全体に広がる。このように、OFDMシンボルそれぞれは、それぞれのサブキャリア上で送信されるいくつかの変調シンボルで構成される。LTEでは、各スロットにおいて送信される信号は、
【数1】
個のサブキャリアと
【数2】
個のOFDMシンボルのリソースグリッドによって記述される。
【数3】
は、帯域幅内のリソースブロックの数である。
【数4】
は、セルにおいて設定されているダウンリンク送信帯域幅に依存し、
【数5】
を満たすものとし、この場合、
【数6】
および
【数7】
は、それぞれ、現在のバージョンの仕様によってサポートされている最小ダウンリンク帯域幅および最大ダウンリンク帯域幅である。
【数8】
は、1つのリソースブロック内のサブキャリアの数である。通常のサイクリックプレフィックスのサブフレーム構造の場合、
【数9】
および
【数10】
である。
【0009】
例えば3GPPロングタームエボリューション(LTE)において使用されるような、例えばOFDMを使用する、マルチキャリア通信システムを想定すると、スケジューラによって割り当てることができるリソースの最小単位は、1つの「リソースブロック」である。物理リソースブロック(PRB:Physical Resource Block)は、
図2に例示するように、時間領域において連続するOFDMシンボル(例えば7個のOFDMシンボル)、および周波数領域において連続するサブキャリア(例えばコンポーネントキャリアの12個のサブキャリア)として定義される。このように、3GPP LTE(リリース8)では、物理リソースブロックは、リソースエレメントから構成され、時間領域において1つのスロットおよび周波数領域において180kHzに相当する(ダウンリンクリソースグリッドに関するさらなる詳細は、例えば、http:/www.3gpp.orgで入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている、非特許文献1の現在のバージョン13.0.0の6.2節を参照)。
【0010】
1つのサブフレームは、2つのスロットで構成され、したがって、いわゆる「通常の」CP(サイクリックプレフィックス:cyclic prefix)が使用されるときにはサブフレーム内に14個のOFDMシンボルが存在し、いわゆる「拡張」CPが使用されるときにはサブフレーム内に12個のOFDMシンボルが存在する。専門用語を目的として、以下で、サブフレーム全体に広がる同じ連続するサブキャリアと同等の時間−周波数リソースは、「リソースブロックペア」または同意義の「RBペア」もしくは「PRBペア」と呼ばれる。
【0011】
「コンポーネントキャリア」という用語は、周波数領域におけるいくつかのリソースブロックの組合せのことを指す。LTEの将来のリリースでは、「コンポーネントキャリア」という用語はもはや使用されず、その代わりに、その専門用語は「セル」に変更され、ダウンリンクリソースおよびオプションでアップリンクリソースの組合せのことを指す。ダウンリンクリソースのキャリア周波数とアップリンクリソースのキャリア周波数との間のリンク付けは、ダウンリンクリソース上で送信されるシステム情報内で示される。
【0012】
コンポーネントキャリア構造に関する同様の想定は、以降のリリースにも適用される。
【0013】
<より広い帯域幅のサポートのためのLTE−Aにおけるキャリアアグリゲーション>
世界無線通信会議2007(WRC−07)において、IMT−Advancedの周波数スペクトルが決定された。IMT−Advancedのための全体的な周波数スペクトルは決定されたが、実際に利用可能な周波数帯域幅は、それぞれの地域や国によって異なる。しかしながら、利用可能な周波数スペクトルの概要の決定を受けて、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:3rd Generation Partnership Project)において無線インタフェースの標準化が開始された。3GPP TSG RAN #39会合において、「Further Advancements for E−UTRA(LTE−Advanced)」に関する検討項目の記述が承認された。この検討項目は、例えば、IMT−Advancedの要求条件を満たすために、E−UTRAを進化・発展させる上で考慮すべき技術要素をカバーしている。
【0014】
LTEシステムは20MHzしかサポートすることができないが、一方で、LTE−Advancedシステムがサポートすることができる帯域幅は100MHzである。今日、無線スペクトルの不足がワイヤレスネットワークの開発のボトルネックになっており、結果として、LTE−Advancedシステムのために十分広いスペクトル帯域を見つけることが困難である。その結果として、より広い無線スペクトル帯域を獲得するための方法を見つけることは急務であり、可能性のある答えは、キャリアアグリゲーション機能性である。
【0015】
キャリアアグリゲーションでは、最大100MHzのより広い送信帯域幅をサポートするために、2つ以上のコンポーネントキャリアがアグリゲーションされる。LTEシステムにおけるいくつかのセルが、LTE−Advancedシステムにおけるより広い1つのチャネルにアグリゲーションされ、このチャネルは、LTE内においてこれらのセルが異なる周波数帯域にある場合でも、100MHzに対して十分に広い。
【0016】
少なくとも、コンポーネントキャリアの帯域幅が、LTEリリース8/9のセルのサポートされる帯域幅を超えないときには、すべてのコンポーネントキャリアをLTEリリース8/9互換であるように設定することができる。ユーザ機器によってアグリゲーションされるすべてのコンポーネントキャリアが必ずしもLTEリリース8/9互換である必要はなくてもよい。リリース8/9のユーザ機器がコンポーネントキャリアにキャンプオンすることを回避するため、既存のメカニズム(例えばバーリング)を使用し得る。
【0017】
ユーザ機器は、自身の能力に応じて1つまたは複数のコンポーネントキャリア(複数のサービングセルに対応する)上で同時に受信または送信し得る。キャリアアグリゲーションのための受信能力および/または送信能力を備えた、LTE−Aリリース10のユーザ機器は、複数のサービングセル上で同時に受信する、および/または送信することができ、一方で、LTEリリース8/9のユーザ機器は、コンポーネントキャリアの構造がリリース8/9の仕様に従う限り、1つのサービングセル上でしか受信および送信を行うことができない。
【0018】
キャリアアグリゲーションは、連続するコンポーネントキャリアおよび不連続なコンポーネントキャリアの両方についてサポートされ、各コンポーネントキャリアは、(3GPP LTE(リリース8/9)のニューメロロジを使用して)周波数領域において最大110個のリソースブロックに制限される。
【0019】
同じeNodeB(基地局)に由来し、場合によってはアップリンクとダウンリンクとで異なる帯域幅の、異なる数のコンポーネントキャリアをアグリゲーションするように、3GPP LTE−A(リリース10)互換のユーザ機器を設定することが可能である。設定することができるダウンリンクコンポーネントキャリアの数は、UEのダウンリンクアグリゲーション能力に依存する。逆に、設定することができるアップリンクコンポーネントキャリアの数は、UEのアップリンクアグリゲーション能力に依存する。ダウンリンクコンポーネントキャリアよりも多くのアップリンクコンポーネントキャリアを備える移動端末を設定することが現在は不可能な場合がある。一般的なTDD配備では、コンポーネントキャリアの数および各コンポーネントキャリアの帯域幅は、アップリンクとダウンリンクとで同じである。同じeNodeBに由来するコンポーネントキャリアは、同じカバレッジを提供する必要はない。
【0020】
連続的にアグリゲーションされたコンポーネントキャリアの中心周波数の間隔は、300kHzの倍数であるものとする。これは、3GPP LTE(リリース8/9)の100kHzの周波数ラスタとの互換性を保つと同時に、15kHz間隔のサブキャリアの直交性を維持するためである。アグリゲーションのシナリオによっては、連続するコンポーネントキャリアの間に少数の使用されないサブキャリアを挿入することによって、n×300kHzの間隔あけを容易にすることができる。
【0021】
複数のキャリアをアグリゲーションする影響は、MACレイヤにまで及ぶのみである。アップリンクおよびダウンリンクの両方について、アグリゲーションされたコンポーネントキャリア毎に1つのHARQエンティティがMACにおいて要求される。コンポーネントキャリアあたりの最大で1つのトランスポートブロックが存在する(アップリンク用にSU−MIMOがない場合)。トランスポートブロックおよび可能性のあるそれのHARQ再送信は、同じコンポーネントキャリアにマッピングする必要がある。
【0022】
キャリアアグリゲーションが設定されているとき、移動端末はネットワークとの1つのRRC接続のみを有する。RRC接続の確立/再確立時、LTEリリース8/9と同様に、1つのセルが、セキュリティ入力(1つのECGI、1つのPCI、および1つのARFCN)および非アクセス層モビリティ情報(例えばTAI)を提供する。RRC接続の確立/再確立の後、当該のセルに対応するコンポーネントキャリアは、ダウンリンクプライマリセル(PCell:Primary Cell)と称される。接続状態では、ユーザ機器あたり常に唯一のダウンリンクPCell(DL PCell)および唯一のアップリンクPCell(UL PCell)が設定される。設定されたコンポーネントキャリアのセット内で、他のセルはセカンダリセル(SCell:Secondary Cell)と呼ばれ、SCellのキャリアは、ダウンリンクセカンダリコンポーネントキャリア(DL SCC:Downlink Secondary Component Carrier)およびアップリンクセカンダリコンポーネントキャリア(UL SCC:Uplink Secondary Component Carrier)と称される。1つのUEに対して、PCellを含んで最大5つのサービングセルを設定することができる。
【0023】
<MACレイヤ/エンティティ、RRCレイヤ、物理レイヤ>
LTEレイヤ2のユーザプレーン/制御プレーンプロトコルスタックは、4つのサブレイヤRRC、PDCP、RLCおよびMACを含んでいる。媒体アクセス制御(MAC)レイヤは、LTE無線プロトコルスタックのレイヤ2アーキテクチャ内の最下位のサブレイヤであり、例えば非特許文献2の現在のバージョン13.0.0によって規定されている。下位の物理レイヤへの接続は、トランスポートチャネルを経由し、上位のRLCレイヤへの接続は論理チャネルを経由する。そのため、MACレイヤは、論理チャネルとトランスポートチャネルとの間で多重化および多重分離を行い、つまり、送信側のMACレイヤは、論理チャネルを経由して受信したMAC SDUから、トランスポートブロックとして知られているMAC PDUを構築し、受信側のMACレイヤは、トランスポートチャネル経由で受信したMAC PDUからMAC SDUを復元する。
【0024】
MACレイヤは、論理チャネルを経由してRLCレイヤのためのデータ伝送サービス(参照により本明細書に組み込まれている非特許文献2の5.4節および5.3節を参照)を提供し、論理チャネルは、制御データ(例えばRRCシグナリング)を伝える制御論理チャネル、またはユーザプレーンデータを伝えるトラフィック論理チャネルのいずれかである。一方、MACレイヤからのデータは、トランスポートチャネルを経由して物理レイヤと交換され、トランスポートチャネルは、ダウンリンクとアップリンクとに分類される。データは、それがどのようにして無線で送信されるかに応じて、トランスポートチャネルに多重化される。
【0025】
物理レイヤは、エアーインタフェースを介してのデータ情報および制御情報の実際の送信の役割を担い、すなわち、物理レイヤは、送信側のエアーインタフェースを介してMACトランスポートチャネルからのすべての情報を伝える。物理レイヤが実行する重要な機能のいくつかには、符号化および変調、リンクアダプテーション(AMC)、電力制御、セルサーチ(初期同期およびハンドオーバ目的のため)ならびにRRCレイヤのためのその他の計測(LTEシステム内およびシステム間)が含まれる。物理レイヤは、変調方式、符号化率(すなわち変調・符号化方式(MCS:modulation and coding scheme))、物理リソースブロック数などの、送信パラメータに基づいて、送信を実行する。物理レイヤの機能についての詳細情報は、参照により本明細書に組み込まれている、非特許文献3の現在のバージョン13.0.0に記載されている。
【0026】
無線リソース制御(RRC)レイヤは、無線インタフェースにおけるUEとeNBとの間の通信、およびいくつかのセルにまたがって移動するUEのモビリティを制御する。RRCプロトコルは、NAS情報の伝送もサポートする。RRC_IDLE状態にあるUEについて、RRCは、ネットワークからの着信の通知をサポートする。RRCコネクション制御は、ページング、測定設定および測定通知、無線リソース設定、初期セキュリティアクティブ化、およびシグナリング無線ベアラ(SRB:Signalling Radio Bearer)の確立およびユーザデータを運ぶ無線ベアラ(データ無線ベアラ(DRB:Data Radio Bearer))の確立を含んで、RRCコネクションの確立、変更および解放に関するすべての手順をカバーする。
【0027】
無線リンク制御(RLC)サブレイヤは、主にARQ機能性を備え、データのセグメント化および連結をサポートし、すなわちRLCレイヤはRLC SDUをMACレイヤによって示されたサイズにするためにRLC SDUのフレーミングを行う。後ろの2つによって、データレートとは無関係に、プロトコルオーバーヘッドを最小化する。RLCレイヤは、論理チャネルを介してMACレイヤに接続される。各論理チャネルは、異なったタイプのトラフィックを伝送する。RLCレイヤの上位のレイヤは、通常はPDCPレイヤであるが、RRCレイヤである場合もあり、すなわち、論理チャネルBCCH(ブロードキャスト制御チャネル:Broadcast Control Channel)、PCCH(ページング制御チャネル:Paging Control Channel)およびCCCH(共通制御チャネル:Common Control Channel)上で送信されたRRCメッセージは、セキュリティ保護を必要としないため、PDCPレイヤをバイパスして直接RLCレイヤに入る。RLCサブレイヤのメインのサービスおよび機能は、以下のことを含む。
・AM、UMまたはTMデータ伝送をサポートする、より上位のレイヤのPDUの伝送
・ARQを通じた誤り訂正
・TBのサイズに従ったセグメント化
・必要なとき(例えば、無線品質、すなわちサポートされるTBサイズが変化するとき)の再セグメント化
・同じ無線ベアラのためのSDUの連結はFFS(For Further Study)である
・より上位のレイヤのPDUの順番どおりの配信
・重複検出
・プロトコルエラー検出およびリカバリ
・SDUの廃棄
・リセット
RLCレイヤによって提供されるARQ機能性は、後の部分でより詳細に論じる。
【0028】
<LTEのためのアップリンクアクセス方式>
アップリンク送信には、カバレッジを最大にするために、電力効率の良いユーザ機器の送信が必要である。動的帯域割当てを伴うFDMAと組み合わせたシングルキャリア送信が、進化型UTRAアップリンク送信方式として選択されてきた。シングルキャリア送信が好まれる主な理由は、マルチキャリア信号(OFDMA)と比べて低いピーク対平均電力比(PAPR:Peak−to−Average Power Ratio)、ならびに対応する改善された電力アンプの効率および改善されたカバレッジ(所与の端末ピーク電力に対する、より高いデータレート)である。各時間間隔の間、eNodeBは、ユーザデータを送信するための一意の時間/周波数リソースをユーザに割り当て、それによって、セル内直交性を確保する。アップリンクにおける直交アクセスは、セル内干渉をなくすことによってスペクトル効率を高めることを保証する。マルチパス伝搬に起因する干渉は、送信信号へのサイクリックプレフィックスの挿入による助けのもとで、基地局(eNodeB)で処理される。
【0029】
データ送信のために使用される基本的な物理リソースは、1つの時間間隔、例えばサブフレームの間、サイズBWgrantの周波数リソースで構成され、符号化された情報ビットがその周波数リソースにマッピングされる。送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)とも称されるサブフレームは、ユーザデータ送信のための最小の時間間隔であることに留意するべきである。ただし、サブフレームの連結によって、周波数リソースBWgrantを1つのTTIよりも長い期間、ユーザに割り当てることが可能である。
【0030】
<レイヤ1/レイヤ2制御シグナリング>
スケジューリング対象のユーザに、ユーザの割当て状態、トランスポートフォーマット、およびその他の送信関連情報(例えば、HARQ情報、送信電力制御(TPC:Transmit Power Control)コマンド)を知らせるために、L1/L2制御シグナリングがデータと一緒にダウンリンクで送信される。L1/L2制御シグナリングは、ユーザ割当てがサブフレーム単位で変化することができると想定して、サブフレーム内でダウンリンクデータと多重化される。ユーザ割当てをTTI(送信時間間隔:Transmission Time Interval)ベースでも実行し得、その場合、TTI長をサブフレームの倍数とすることができることに留意するべきである。TTI長は、サービスエリア内ですべてのユーザに対して固定とし得るか、異なるユーザに対して異なるものとし得るか、またはユーザ毎に動的なものとさえし得る。一般に、L1/L2制御シグナリングは、TTIあたり1回送信するのみでよい。一般性を損なうことなく、以下では、TTIが1サブフレームであると想定している。
【0031】
L1/L2制御シグナリングは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)上で送信される。PDCCHは、ダウンリンク制御情報(DCI:Downlink Control Information)としてメッセージを伝え、ほとんどの場合、DCIは、移動端末またはUEのグループのためのリソース割当ておよびその他の制御情報を含んでいる。1つのサブフレーム内でいくつかのPDCCHを送信することができる。
【0032】
一般に、アップリンク無線リソースまたはダウンリンク無線リソースを割り当てるためにL1/L2制御シグナリング内で送信される情報(特に、LTE(−A)リリース10)は、以下の項目に分類することができる。
【0033】
−ユーザ識別情報:割り当てる対象のユーザを示す。これは、通常、CRCをユーザ識別情報でマスクすることによってチェックサムに含まれる。
【0034】
−リソース割当情報:ユーザが割り当てられるリソース(例えばリソースブロック(RB:Resource Block))を示す。あるいは、この情報はリソースブロック割当て(RBA:Resource Block Assignment)と称される。ユーザを割り当てられるRBの数は、動的なものとすることができることに留意されたい。
【0035】
−キャリアインジケータ:第1のキャリア上で送信される制御チャネルが、第2のキャリアに関連するリソース、すなわち第2のキャリア上のリソースまたは第2のキャリアに関連するリソースを割り当てる場合に使用される(クロスキャリアスケジューリング:cross carrier scheduling)。
【0036】
−変調・符号化方式:採用される変調方式および符号化率を決定する。
【0037】
−HARQ情報:データパケットまたはその一部の再送信時に特に有用である、新規データインジケータ(NDI:New Data Indicator)および/または冗長バージョン(RV:Redundancy Version)など。
【0038】
−電力制御コマンド:割当て対象の、アップリンクデータまたは制御情報送信の、送信電力を調整する。
【0039】
−基準信号情報:割当てに関連して基準信号の送信または受信に使用される、適用されるサイクリックシフトおよび/または直交カバーコードインデックスなど。
【0040】
−アップリンク割当てインデックスまたはダウンリンク割当てインデックス:割当ての順序を識別するために使用され、TDDシステムにおいて特に有用である。
【0041】
−ホッピング情報:例えば、周波数ダイバーシチを増大させるためにリソースホッピングを適用するかどうか、およびどのようにして適用するかの指示情報。
【0042】
−CSI要求:割り当てられたリソースにおいて、チャネル状態情報の送信をトリガするために使用される。
【0043】
−マルチクラスタ情報:シングルクラスタ(連続したRBのセット)で送信が発生するか、それともマルチクラスタ(少なくとも2つの不連続な、連続したRBのセット)で送信が発生するかを示す、および制御するために使用されるフラグである。マルチクラスタ割当ては、3GPP LTE−(A)リリース10によって導入された。
【0044】
なお上のリストは、すべてを網羅したものではなく、また、使用されるDCI formatに応じて、リストした情報項目すべてが各PDCCH送信の中に存在している必要はないことに留意されたい。
【0045】
ダウンリンク制御情報はいくつかのフォーマットの形で発生し、これらのフォーマットは、全体のサイズ、および上述したフィールドに含まれる情報も異なる。LTEのために現在定義されている異なるDCI formatは、以下のとおりであり、非特許文献4の5.3.3.1節(現在のバージョンv13.0.0がhttp:/www.3gpp.orgで入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている)に詳しく記載されている。例えば、以下のDCI Formatは、アップリンクのためのリソースグラントを伝えるために使用することができる。
【0046】
−Format 0:DCI Format 0は、アップリンク送信モード1または2でシングルアンテナポート送信を使用する、PUSCHのためのリソースグラントの送信のために使用される。
【0047】
−Format 4:DCI Format 4は、アップリンク送信モード2での閉ループ空間多重化送信を使用する、PUSCHのスケジューリングのために使用される。
【0048】
非特許文献4の現在のバージョン13.0.0は、5.4.3節でサイドリンクのための制御情報を定義しており、参照により本明細書に組み込まれている。
【0049】
LTE デバイス間(D2D:Device to Device)近傍サービス(ProSe:Proximity Service)
近傍ベースのアプリケーションおよびサービスは、新たに起こりつつある社会−技術的傾向を表している。特定された領域には、事業者およびユーザにとって関心のある商用サービスおよび治安に関連するサービスが含まれる。LTEにおける近傍サービス(ProSe)能力の導入により、3GPP業界がこの発展する市場に役立つと同時に、連帯してLTEに託されているいくつかの治安コミュニティの緊急ニーズに役立つことを可能にする。
【0050】
デバイス間(D2D)通信は、LTEリリース12によって導入された技術コンポーネントであり、セルラネットワークに対するアンダーレイとしてD2Dがスペクトル効率を高めることを可能にする。例えば、セルラネットワークがLTEである場合、データを伝えるすべての物理チャネルはD2DシグナリングのためにSC−FDMAを使用する。D2D通信では、ユーザ機器は、無線基地局を経由する代わりに、セルラリソースを使用して直接リンクを通じて互いにデータシグナルを送信する。本発明を通して、用語「D2D」、「ProSe」および「サイドリンク」は入替えが可能である。
【0051】
LTEにおけるD2D通信は、ディスカバリ(Discovery)および通信(Communication)の2つの領域に重点を置いている。
【0052】
ProSe(Proximity−based Service)直接ディスカバリ(Direct Discovery)は、ProSe対応UE(ProSe−enabled UE)によって、ProSe対応の他のUEを、PC5インタフェースを介してE−UTRA直接無線シグナルを使用してその近くに発見するために使用される手順として定義されている。
【0053】
D2D通信では、UEは、基地局(BS)を経由する代わりに、セルラリソースを使用して直接リンクを通じて互いにデータシグナルを送信する。D2Dユーザは、BSの制御下にある間、すなわち、少なくともeNBのカバレッジ内にあるときは、直接通信を行う。そのため、D2Dは、セルラリソースを再利用することによってシステムパフォーマンスを改善することができる。
【0054】
D2Dは、カバレッジを提供しているセルのアップリンクLTEスペクトル(FDDの場合)またはアップリンクサブフレーム(TDDの場合、カバレッジの外以外)において動作することが想定されている。さらには、D2D送信/受信は、所与のキャリア上で全二重を使用しない。個々のUEの観点からは、所与のキャリアD2Dシグナル受信およびLTEアップリンク送信は、全二重を使用せず、すなわち、D2Dシグナル受信とLTE UL送信とは同時には不可能である。
【0055】
D2D通信では、1つの特定のUE1が送信の役割を担う(送信ユーザ機器または送信端末)とき、UE1がデータを送信し、別のUE2(受信ユーザ機器)がそれを受信する。UE1とUE2とは、その送信と受信との役割を交換することができる。UE1からの送信は、1または複数の、UE2のようなUEによって受信することができる。
【0056】
<ProSe直接通信レイヤ2リンク>
簡潔に述べると、ProSe直接1対1通信は、2つのUE間にPC5を介したセキュアなレイヤ2リンクを確立することによって実現される。各UEは、UEがレイヤ2リンク上で送信するあらゆるフレームの発信元レイヤ2 IDフィールド内、およびUEがレイヤ2リンク上で受信するあらゆるフレームの宛先レイヤ2 ID内に含まれている、ユニキャスト通信のためのレイヤ2 IDを有する。UEは、ユニキャスト通信のためのレイヤ2 IDが、少なくとも局所的に一意であることを保証する必要がある。そのため、UEは、指定されていないメカニズムを使用して、隣接するUEとのレイヤ2 ID衝突を処理することに備えるべきである(例えば、衝突が検出されたときに、ユニキャスト通信のための新たなレイヤ2 IDを自己割当てする)。ProSe直接通信1対1のためのレイヤ2リンクは、2つのUEのレイヤ2 IDの組合せによって識別される。これは、UEが、同じレイヤ2 IDを使用してProSe直接通信1対1のための複数のレイヤ2リンクに携わることができることを意味する。
【0057】
ProSe直接通信1対1は、参照により本明細書に組み込まれている非特許文献5の現在のバージョンv13.0.0の7.1.2節に詳細に説明されているような、以下の手順から構成される。
・PC5を介したセキュアなレイヤ2リンクの確立。
・IPアドレス/プレフィックス割当て。
・PC5を介したレイヤ2リンクの維持。
・PC5を介したレイヤ2リンクの解放。
【0058】
図3は、PC5インタフェースを介したセキュアなレイヤ2リンクを確立する方法を示している。
【0059】
1.UE−1が、相互認証をトリガするために直接通信要求(Direct Communication Request)メッセージをUE−2に送信する。リンクイニシエータ(UE−1)は、ステップ1を実行するために、ピア(UE−2)のレイヤ2 IDを知る必要がある。一例として、リンクイニシエータは、最初にディスカバリ手順を実行することによって、または、ピアを含むProSe1対多通信に参加することによって、ピアのレイヤ2 IDを学習し得る。
【0060】
2.UE−2が、相互認証のための手順を開始する。認証手順が首尾よく完了すると、PC5を介したセキュアなレイヤ2リンクの確立が完了する。
【0061】
隔離された(非中継)1対1通信に携わるUEは、リンクローカルアドレスも使用し得る。PC5シグナリングプロトコル(Signaling Protocol)は、UEが黙示的なレイヤ2リンク解放を進めることができるように、UEがProSe通信範囲内にないときを検出するために使用されるキープアライブ機能をサポートするものとする。PC5を介したレイヤ2リンク解放は、他方のUEに送信される切断要求(Disconnect Request)メッセージを使用することによって行うことができ、他方のUEも、すべての関連するコンテキストデータを削除する。切断要求メッセージを受信した時点で、他方のUEは、切断応答(Disconnect Response)メッセージで応答し、レイヤ2リンクと関連付けられたすべてのコンテキストデータを削除する。
【0062】
<ProSe直接通信関連識別情報>
非特許文献6の現行バージョン13.2.0が、ProSe直接通信のために使用する以下の識別情報を8.3節に定義している。
・SL−RNTI:ProSe直接通信スケジューリングのために使用される固有の識別情報。
・発信元レイヤ2(Source Layer−2)ID:サイドリンクProSe直接通信におけるデータの送信者を識別する。発信元レイヤ2 IDは、24ビット長であり、受信部におけるRLC UMエンティティおよびPDCPエンティティの識別のためのProSeレイヤ2宛先IDおよびLCIDと一緒に使用される。
・宛先レイヤ2(Destination Layer−2)ID:サイドリンクProSe直接通信におけるデータのターゲットを識別する。宛先レイヤ2 IDは24ビット長であり、MACレイヤにおいて2つのビット列に分割される。
・1つのビット列は宛先レイヤ2 IDのLSB部(8ビット)であり、サイドリンク制御レイヤ1 ID(Sidelink Control Layer−1 ID)として物理レイヤに転送される。これはサイドリンク制御(Sidelink Control)において意図されたデータのターゲットを識別し、物理レイヤにおいてパケットをフィルタリングするために使用される。
・第2のビット列は宛先レイヤ2 IDのMSB部(16ビット)であり、MACヘッダ内で伝えられる。これはMACレイヤにおいてパケットをフィルタリングするために使用される。
【0063】
グループ形成のため、ならびにUE内のソースレイヤ2 ID、宛先レイヤ2 IDおよびサイドリンク制御L1 IDを設定するためには、アクセス層シグナリングは要求されない。これらの識別情報は、より上位のレイヤによって提供されるか、またはより上位のレイヤによって提供される識別情報から得られるかのいずれかである。グループキャストおよびブロードキャストの場合、より上位のレイヤによって提供されるProSe UE IDは、発信元レイヤ2 IDとして直接使用され、より上位のレイヤによって提供されるProSeレイヤ2グループIDは、MACレイヤにおいて宛先レイヤ2 IDとして直接使用される。1対1通信の場合、より上位のレイヤは、発信元レイヤ2 IDおよび宛先レイヤ2 IDを提供する。
【0064】
<近傍サービスのための無線リソース割当て>
送信UEの観点から、近傍サービス対応UE(ProSe対応UE)は、リソース割当てのための2つのモードで動作することができる。
【0065】
モード1は、eNBによってスケジューリングされるリソース割当てのことを指し、UEがeNB(またはリリース10中継ノード)から送信リソースを要求し、eNodeB(またはリリース10中継ノード)は、次いで直接データおよび直接制御情報を送信するためにUEによって使用されるリソースをスケジューリングする(例えばスケジューリング割当て(Scheduling Assignment))。UEは、データを送信するためにRRC_CONNECTEDである必要がある。具体的には、UEはeNBにスケジューリング要求(D−SRまたはランダムアクセス(Random Access))を送信し、通常の方法でバッファ状態通知(BSR:buffer status report)が後に続く(以下の章「D2D通信のための送信手順」も参照)。BSRに基づいて、eNBは、UEがProSe直接通信送信のためのデータを有していると判定することができ、送信のために必要とされるリソースを推定することができる。
【0066】
一方、モード2は、UE自律的リソース選択のことを指し、直接データおよび直接制御情報を送信するために、UE自体が、リソースプールからリソース(時間および周波数)を選択する(すなわちSA)。1つのリソースプールが、例えばSIB18の内容によって、すなわちフィールドcommTxPoolNormalCommonによって定義され、この特定のリソースプールは、セル内でブロードキャストされ、その後、依然としてRRC_Idle状態にあるセル内のすべてのUEにとって共通して利用可能である。実際上、eNBは、前記プール、すなわちSAメッセージおよび直接データの送信のための4つのリソースプールそれぞれ、の最大4つの異なるインスタンスを定義し得る。ただし、リリース12では、たとえ複数のリソースプールを設定されたとしても、UEは、リストに定義された第1のリソースプールを常に使用するものとする。この制約は、リリース13については削除され、すなわち、UEは、1つのSC期間内に、複数の設定されたリソースプール上で送信することができる。UEが送信のためのリソースプールをどのようにして選択するかは、以下にさらに概説する(非特許文献2でさらに規定)。
【0067】
代替として、別のリソースプールを、eNBによって定義し、SIB18において、すなわち、例外的なケースにおいてUEによって使用することができるフィールドcommTxPoolExceptionalを使用することによって、シグナリングすることができる。
【0068】
UEがどのリソース割当てモードを使用することになるかは、eNBによって設定可能である。さらには、UEがD2Dデータ通信のためにどのリソース割当てモードを使用することになるかは、RRC状態、すなわちRRC_IDLEなのかRRC_CONNECTEDなのか、およびUEのカバレッジ状態、すなわちカバレッジ内なのかカバレッジ外なのかにも依存し得る。UEは、サービングセルを有する(すなわちUEがRRC_CONNECTEDであるか、またはRRC_IDLE状態においてセルにキャンプオンしつつある)場合、カバレッジ内と考えられる。
【0069】
リソース割当てモードに関して以下の規則がUEに適用される。
・UEがカバレッジ外である場合、UEはモード2のみを使用することができる。
・UEがカバレッジ内である場合、UEは、eNBがUEをそれに応じて設定していればモード1を使用し得る。
・UEがカバレッジ内である場合、UEは、eNBがUEをそれに応じて設定していればモード2を使用し得る。
・例外的条件が存在しないときには、UEは、eNBによってそうするように設定されている場合に限り、モード1からモード2に、またはその逆に変化し得る。UEがカバレッジ内である場合、UEは、例外的なケースの1つが発生しない限り、eNB設定によって示されたモードのみを使用するものとする。
・UEは、例えばT311またはT301が実行中である間、自身が例外的条件にあるものと見なす。
・例外的なケースが発生したとき、UEは、モード1を使用するように設定されている場合でも、一時的にモード2を使用することが許可される。
【0070】
E−UTRAセルのカバレッジエリア内にある間は、UEは、たとえ当該キャリアのリソースが例えばUICC(汎用ICカード:Universal Integrated Circuit Card)においてあらかじめ設定されている場合でも、当該セルによって割り当てられたリソースにおいてのみ、ULキャリア上でProSe直接通信送信を実行するものとする。
【0071】
RRC_IDLE状態にあるUEに対しては、eNBは次の選択肢の1つを選択し得る。
・eNBは、モード2の送信リソースプールをSIBの中で提供し得る。ProSe直接通信が承認されているUEは、RRC_IDLE状態においてProSe直接通信のためにこれらのリソースを使用する。
・eNBは、自身がD2DをサポートしているがProSe直接通信のためのリソースを提供しないことをSIBの中で示し得る。UEは、ProSe直接通信送信を実行するためにはRRC_CONNECTED状態に入る必要がある。
【0072】
RRC_CONNECTED状態にあるUEについては、以下のとおりである。
・ProSe直接通信送信を実行することが承認されている、RRC_CONNECTED状態にあるUEは、ProSe直接通信送信を実行する必要があるとき、ProSe直接通信送信をしたいということをeNBに示す。
・eNBは、RRC_CONNECTED状態にあるUEがProSe直接通信送信を承認されているかどうかを、MMEから受信したUEコンテキストを使用して確認する。
・eNBは、RRC_CONNECTED状態にあるUEを、専用シグナリングによって、そのUEがRRC_CONNECTED状態である間は制約無しで使用し得るモード2リソース割当て送信リソースプールで設定し得る。あるいは、eNBは、RRC_CONNECTED状態にあるUEを、専用シグナリングによって、そのUEが例外的なケースにおいてのみ使用して、そうでない場合はモード1に依存することが許される、モード2のリソース割当て送信リソースプールで設定し得る。
【0073】
UEがカバレッジ外のときのスケジューリング割当てのためのリソースプールは、以下のように設定することができる。
・受信のために使用されるリソースプールは、あらかじめ設定される。
・送信のために使用されるリソースプールは、あらかじめ設定される。
【0074】
UEがカバレッジ内のときのスケジューリング割当てのためのリソースプールは、以下のように設定することができる。
・受信のために使用されるリソースプールは、RRCを介して、専用シグナリングまたはブロードキャストシグナリング内で、eNBによって設定される。
・モード2リソース割当てが使用される場合、送信のために使用されるリソースプールは、RRCを介してeNBによって設定される。
・モード1リソース割当てが使用される場合、送信のために使用されるSCI(サイドリンク制御情報:Sidelink Control Information)リソースプール(スケジューリング割当て(SA:Scheduling Assignment)リソースプールとも称される)は、UEには知られない。
・モード1リソース割当てが使用される場合、eNBは、サイドリンク制御情報(スケジューリング割当て)送信のために使用する特定のリソースをスケジューリングする。eNBによって割り当てられた特定のリソースは、UEへ提供されているSCIの受信のためのリソースプール内にある。
【0075】
図4は、オーバーレイ(LTE)およびアンダーレイ(D2D)システムのための送信/受信リソースの使用を示している。
【0076】
基本的に、eNodeBは、UEがモード1送信を適用し得るのか、それともモード2送信を適用し得るのかを制御する。UEが、自身がD2D通信を送信(または受信)することができる、自身のリソースを知った時点で、UEは、対応するリソースを、対応する送信/受信のためのみに使用する。例えば、
図4では、D2Dサブフレームは、D2Dシグナルを受信または送信するためのみに使用される。D2DデバイスとしてのUEは、半二重モードで動作するため、いずれの時点においても、D2Dシグナルの送信または受信のいずれかを行うことができる。同様に、
図4に示す別のサブフレームは、LTE(オーバーレイ)送信および/または受信のために使用することができる。
【0077】
<D2D通信のための送信手順>
D2Dデータ通信手順は、リソース割当てモードによって異なる。上記のように、モード1について、eNBは、スケジューリング割当ておよびD2Dデータ通信のためのリソースを、UEからの対応する要求の後に明示的にスケジューリングする。具体的には、UEは、D2D通信は基本的に許可されるがモード2のリソース(すなわちリソースプール)が提供されないことを、eNBによって通知され得、これは、例えば、UEによるD2D通信関心通知(D2D Communication Interest Indication)と、対応する応答であるD2D通信応答(D2D Communication Response)を交換することによって行われ得、対応する例示的なProseCommConfigの情報エレメントはcommTxPoolNormalCommonを含まず、すなわち、送信を含む直接通信を開始したいUEは、個々の送信毎にリソース割当てをE−UTRANに要求しなければならない。このように、こうしたケースでは、UEは、個々の送信毎にリソースを要求しなければならず、以下に、このモード1リソース割当てについて、要求/許可のさまざまなステップを例示的に列挙する。
・ステップ1:UEが、PUCCHを介してeNBにSR(スケジューリング要求:Scheduling Request)を送信する。
・ステップ2:eNBが、C−RNTIによってスクランブルして、PDCCHを介して(UEがBSRを送信するための)ULリソースを許可する。
・ステップ3:UEが、PUSCHを介してバッファの状態を示すD2D BSRを送信する。
・ステップ4:eNBが、D2D−RNTIによってスクランブルして、PDCCHを介して(UEがデータを送るための)D2Dリソースを許可する。
・ステップ5:D2D送信UEが、ステップ4で受信したグラントに従って、SA/D2Dデータを送信する。
【0078】
スケジューリング割当て(SA)は、SCI(サイドリンク制御情報:Sidelink Control Information)とも称され、制御情報、例えば、対応するD2Dデータ送信のための時間−周波数リソースへのポインタ、変調および符号化方式、ならびにグループ宛先ID(Group Destination ID)を含む、コンパクトな(低ペイロードの)メッセージである。SCIは、1つの(ProSe)宛先IDのためのサイドリンクスケジューリング情報を伝送する。SA(SCI)の内容は、基本的には上記のステップ4で受信されたグラントに従う。D2DグラントおよびSAの内容(すなわち、SCIの内容)は、参照により本明細書に組み込まれている非特許文献4の現在のバージョン13.0.0の5.4.3節で定義されており、SCIフォーマット0を具体的に定義している(上記のSCIフォーマット0の内容を参照)。
【0079】
一方、モード2リソース割当てについては、上記のステップ1〜ステップ4は基本的に不要であり、UEは、SAおよびD2Dデータ送信のためのリソースを、eNBによって設定および提供された送信リソースプールから自律的に選択する。
【0080】
図5は、UE−1およびUE−2の2つのUEのためのスケジューリング割当ておよびD2Dデータの送信を例示的に示しており、スケジューリング割当てを送信するためのリソースは周期的であり、D2Dデータ送信のために使用されるリソースは、対応するスケジューリング割当てによって示される。
【0081】
図6は、SC期間すなわちサイドリンク制御期間、としても知られる、1つのSA/データ期間の、モード2、すなわち自律スケジューリング、のためのD2D通信タイミングを示している。
図7は、1つのSA/データ期間の、モード1、すなわちeNBによってスケジューリングされる割当て、のためのD2D通信タイミングを示している。SC期間は、スケジューリング割当ておよびそれに対応するデータの送信から構成される期間である。
図6から分かるように、UEは、SA−offset時間の後に、モード2のためのスケジューリング割当てのための送信プールリソースSA_Mode2_Tx_poolを使用してスケジューリング割当てを送信する。SAの最初の送信の後に、例えば同じSAメッセージの3つの再送信が続く。次いで、UEは、SAリソースプールの最初のサブフレーム(SA_offsetによって与えられる)の後のいくらかの設定されたオフセット(Mode2data_offset)において、D2Dデータ送信、すなわちより詳細には、T−RPTビットマップ/パターンを開始する。MAC PDU(すなわちトランスポートブロック)の1つのD2Dデータ送信は、その1番目の初期送信といくつかの再送信とで構成される。
図6の(および
図7の)説明図については、3つの送信(すなわち、同じMAC PDUの2番目、3番目および4番目の送信)が実行されることが想定されている。モード2 T−RPTビットマップ(送信の時間リソースパターン、T−PRT:time resource pattern of transmission)は基本的に、MAC PDU送信(1番目の送信)およびその再送信(2番目、3番目および4番目の送信)のタイミングを定義する。SAパターンは基本的に、SAの初期送信およびその再送信(2番目、3番目および4番目の送信)のタイミングを定義する。
【0082】
標準において現在規定されているように、例えば、eNBによって送信されたか、またはUE自身によって選択されたかのいずれかの、1つのサイドリンクグラントについて、UEは、複数のトランスポートブロック、MAC PDUを送信することができる(サブフレーム(TTI)毎に1回のみ、すなわち順々に)が、ただし、ただ1つのProSe宛先グループに対してである。また、1つのトランスポートブロックの再送信は、次のトランスポートブロックの1番目の送信が始まる前に終了しなければならず、すなわち、複数のトランスポートブロックの送信のためにサイドリンクグラント毎にただ1つのHARQプロセスが使用される。さらには、UEは、SC期間毎にいくつかのサイドリンクグラントを有して使用することができるが、サイドリンクグラントのそれぞれについて異なるProSe宛先が選択されるべきである。このように、1つのSC期間において、UEは、1つのProSe宛先に1回のみデータを送信することができる。
【0083】
図7から明らかなように、eNBによってスケジューリングされるリソース割当てモード(モード1)については、D2Dデータ送信、すなわちより詳細には、T−RPTパターン/ビットマップは、SAリソースプールでの最後のSA送信繰り返しの後に次のULサブフレームにおいて始まる。
図6について既に説明したように、モード1 T−RPTビットマップ(送信の時間リソースパターン、T−PRT:time resource pattern of transmission)は基本的に、MAC PDU送信(1番目の送信)およびその再送信(2番目、3番目および4番目の送信)のタイミングを定義する。
【0084】
サイドリンクデータ送信手順は、参照により本明細書に組み込まれている、非特許文献2のv13.0.0の5.14節に記載されている。その中に、モード2の自律的リソース選択が詳細に記載されており、単一無線リソースプールでの構成と複数無線リソースプールでの構成とを区別している。非特許文献2の前記の節から以下のステップが取られており、モード2の自律的リソース選択を想定している。
【0085】
SL−SCH(サイドリンク共有チャネル:sidelink shared channel)上で送信するためには、MACエンティティは、少なくとも1つのサイドリンクグラントを有しなければならない。サイドリンクグラントは、以下のように選択される。
【0086】
MACエンティティが、1または複数の、リソースのプールを使用して送信するように、より上位のレイヤによって設定され、現在のSC期間に送信することができるよりも多くのデータがSTCH(サイドリンクトラフィックチャネル:sidelink traffic channel)内で利用可能である場合、選択されるべき各サイドリンクグラントについてMACエンティティは、以下のとおりとする。
・より上位のレイヤによって、単一の、リソースのプールを使用するように設定される場合:
−当該のリソースのプールを使用に選択する。
・さもなければ、より上位のレイヤによって、複数の、リソースのプールを使用するように設定される場合:
−関連付けられた優先度リストが、送信されるべきMAC PDUにおけるサイドリンク論理チャネルのうちで最も優先度の高い優先度を含む、より上位のレイヤによって設定されるリソースのプールから、リソースのプールを使用に選択する。
【0087】
注記:2つ以上の、リソースのプールが、送信されるべきMAC PDUにおいて最も高い優先度のサイドリンク論理チャネルの優先度を含んだ関連付けられた優先度リストを有する場合、これらの、リソースのプールのうちのどの1つを選択するかは、UEの実施にゆだねられる。
・選択されたリソースプールから、SL−SCHおよびサイドリンクグラントのSCIのための、時間および周波数リソースをランダムに選択する。ランダム関数は、許容された選択のそれぞれを等しい確率で選択することができるものであること。
・参照により本明細書に組み込まれている非特許文献3の14.2.1節に従ってSCIの送信および最初のトランスポートブロックの送信が発生するサブフレームのセットを決定するために、選択されたサイドリンクグラントを使用する(このステップは、
図7と関連付けて説明するように、T−RPTおよびSAパターンの選択のことを指す)。
・選択されたサイドリンクグラントを、サイドリンクグラントが選択されたサブフレームの少なくとも4サブフレーム後に始まる最初の利用可能なSC期間の開始で始まるサブフレーム内で発生する、設定されたサイドリンクグラントと見なす。
・設定されたサイドリンクグラントを、対応するSC期間の最後でクリアする。
【0088】
注記:SL−SCH上での再送信は、設定されたサイドリンクグラントがクリアされてしまった後は発生することができない。
【0089】
注記:より上位のレイヤによって、1または複数の、リソースのプールを使用して送信するようにMACエンティティが設定される場合、サイドリンクプロセスの数を考慮して、1つのSC期間内にいくつのサイドリンクグラントを選択するかは、UEの実施にゆだねられる。
【0090】
MACエンティティは、各サブフレームについて以下のとおりとする。
【0091】
−MACエンティティがこのサブフレーム内で発生する設定されたサイドリンクグラントを有している場合
−設定されたサイドリンクグラントがSCIの送信に対応している場合
−物理レイヤに、設定されたサイドリンクグラントに対応するSCIを送信するように命令する。
−さもなければ、設定されたサイドリンクグラントが第1のトランスポートブロックの送信に対応している場合
−このサブフレームのために、設定されたサイドリンクグラントおよび関連付けられたHARQ情報をサイドリンクHARQエンティティに配信する。
【0092】
注記:MACエンティティが、1つのサブフレーム内で発生する複数の設定されたグラントを有している場合、および、単一クラスタSC−FDMの制約に起因してそれらのすべてを処理することができるわけではない場合、それらのどの1つを上記の手順に従って処理するかは、UEの実施にゆだねられる。
【0093】
3GPP技術標準から取られた上記の文章は、さらに明確にすることができる。例えば、時間および周波数リソースをランダムに選択するステップは、どの特定の時間/周波数リソースが選択されるかに関してはランダムであるが、例えば、合計で選択される時間/周波数リソースの量に関してはランダムではない。リソースプールから選択されるリソースの量は、自律的に選択されるべき前記サイドリンクで送信されるべきデータの量に依存する。次いで、送信されるべきデータの量は、ProSe宛先グループを選択する、前のステップ、および、対応する、前記ProSe宛先グループ宛の送信準備ができているデータの量に依存する。サイドリンクLCP手順で後に記載するように、ProSe宛先が最初に選択される。
【0094】
さらには、参照により本明細書に組み込まれている非特許文献2のv13.0.0の5.14.1.2.2節から明らかなように、サイドリンクHARQエンティティに関連付けられたサイドリンクプロセスは、それに応じて送信を生成し、および実行するように、物理レイヤに命令する役割を担う。簡潔に述べると、サイドリンクグラント、および送信すべきサイドリンクデータを決定した後、物理レイヤは、サイドリンクグラントおよび必要な送信パラメータに基づいて、サイドリンクデータが実際に送信されるように注意を払う。
【0095】
上記で論じたのは、D2D通信についての3GPP標準の現在の状態である。ただし、将来のリリースにおいてD2D通信に何らかの変更が導入されるという結果になりそうな、D2D通信のさらなる改善および拡張の方法については、進行中の議論があることに留意すべきである。本発明は、後に記載するように、これら後のリリースにも適用することができるものとする。
【0096】
<ProSeネットワークアーキテクチャおよびProSeエンティティ>
図8は、それぞれのUE AおよびB内の異なるProSeアプリケーション、ならびに、ネットワーク内のProSeアプリケーションサーバおよびProSe機能を含む、非ローミングケースについての高レベルの例示的なアーキテクチャを示している。
図8のアーキテクチャ例は、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献7のv.13.2.0の4.2章「Architectural Reference Model」から取られている。
【0097】
機能エンティティは、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献7の4.4節「Functional Entities」に詳細に提示および説明されている。ProSe機能は、ProSeのために要求されるネットワーク関連動作のために使用される論理機能であり、ProSeの特徴のそれぞれのために異なった役割を果たす。ProSe機能は、3GPPのEPCの一部分であり、近傍サービスに関係する、承認、認証、データ操作などのような、関連するすべてのネットワークサービスを提供する。ProSe直接ディスカバリおよび通信について、UEは、特定のProSe UE識別情報、他の設定情報、および承認をProSe機能からPC3基準点を通じて取得し得る。ネットワークには複数のProSe機能を展開することができるが、説明図を容易にするために、単一のProSe機能を提示している。ProSe機能は、ProSeの特徴に応じた異なる役割を実行する3つの主なサブ機能、すなわち、直接供給機能(DPF:Direct Provision Function)、直接ディスカバリ名管理機能(Direct Discovery Name Management Function)およびEPCレベルディスカバリ機能(EPC−level Discovery Function)から構成されている。DPFは、ProSe直接ディスカバリおよびProSe直接通信を使用するために、必要なパラメータをUEに供給するために使用される。
【0098】
前記文脈で使用される用語「UE」は、例えば以下のProSe機能性をサポートするProSe対応UEのことを指す。
・PC3基準点を通じて、ProSe対応UEとProSe機能との間でのProSe制御情報の交換。
・PC5基準点を通じた他のProSe対応UEのオープンProSe直接ディスカバリのための手順。
・PC5基準点を通じた1対多ProSe直接通信のための手順。
・ProSe UE−ネットワーク中継器(ProSe UE−to−Network Relay)として動作するための手順。リモートUE(Remote UE)は、PC5基準点を通じてProSe UE−ネットワーク中継器と通信する。ProSe UE−ネットワーク中継器は、レイヤ3パケット転送を使用する。
・例えば、UE−ネットワーク中継器検出およびProSe直接ディスカバリのために、PC5基準点を通じてProSe UE間での制御情報の交換。
・PC3基準点を通じて、別のProSe対応UEとProSe機能との間でのProSe制御情報の交換。ProSe UE−ネットワーク中継器のケースでは、リモートUEは、LTE−Uuインタフェースを通じてProSe機能に向けて中継されるべきPC5ユーザプレーンを通じてこの制御情報を送信する。
・パラメータ(例えば、IPアドレス、ProSeレイヤ2グループID、グループセキュリティマテリアル(Group security material)、無線リソースパラメータを含む)の設定。これらのパラメータは、UEにおいてあらかじめ設定することができるか、または、カバレッジ内にある場合には、PC3基準点を通じたシグナリングによってネットワーク内のProSe機能に提供することができる。
【0099】
ProSeアプリケーションサーバは、EPC ProSeユーザID(EPC ProSe User ID)およびProSe機能ID(ProSe Function ID)の格納、ならびにアプリケーションレイヤユーザID(Application Layer User ID)およびEPC ProSeユーザIDのマッピングをサポートする。ProSeアプリケーションサーバ(AS:Application Server)は3GPPの範囲外のエンティティである。UEにおけるProSeアプリケーションは、アプリケーションレイヤ基準点PC1を介してProSe ASと通信する。ProSe ASは、PC2基準点を介して3GPPネットワークに接続されている。
【0100】
<車両通信−V2Xサービス>
自動車業界に対する新たなLTEの特徴の有用性を考慮するための新たな検討項目が3GPPにおいて定められ、近傍サービス(ProSe)およびLTEベースのブロードキャストサービスを含んでいる。このように、ProSe機能性は、V2Xサービスのための良好な基盤を提供するものと見なされている。コネクテッドビークル技術は、安全性、モビリティ、トラフィック効率など、陸上輸送業界における最大の課題のいくつかに取り組むことを目標にしている。
【0101】
V2X通信は、車両から、車両に影響し得る任意のエンティティへ、およびその逆への情報の伝達である。この情報交換は、安全性、モビリティおよび環境のアプリケーションを改善して運転者支援車両安全、速度適応および警告、緊急応答、交通情報、ナビゲーション、交通運行、商用車運行管理および支払い手続きを含むようにするために使用することができる。
【0102】
V2XサービスのためのLTEサポートには、以下のとおり、異なった3つのタイプの使用ケースが含まれる。
・V2V:車両間のLTEベースの通信をカバーする。
・V2P:車両と個人によって持ち運ばれるデバイス(例えば、歩行者、サイクリスト、ドライバまたは旅客によって持ち運ばれるハンドヘルド端末)との間のLTEベースの通信をカバーする。
・V2I:車両と路側機との間のLTEベースの通信をカバーする。
【0103】
これらの3タイプのV2Xは、エンドユーザに向けてよりインテリジェントなサービスを提供するために、「協調的認識」を使用することができる。これは、車両、路側インフラ、および歩行者などのトランスポートエンティティが、それぞれの局所環境についての知識(例えば、近傍の、他の車両またはセンサ装置から受信した情報)を収集して、協調的衝突警告または自動運転などのよりインテリジェントなサービスを提供するために、その知識を処理し、および共有することができる。
【0104】
V2V通信に関しては、E−UTRANは、許可、承認および近傍性基準が満たされたとき、互いの近傍にいるUEが、E−UTRA(N)を使用してV2V関連の情報を交換することを可能にする。近傍性基準は、MNO(移動体通信事業者:Mobile Network Operator)によって設定することができる。ただし、V2VサービスをサポートしているUEは、V2XサービスをサポートするE−UTRANによってサービスされるときまたはサービスされないときに、こうした情報を交換することができる。
【0105】
V2VアプリケーションをサポートしているUEは、アプリケーションレイヤの情報(例えば、V2Vサービスの一部としてその位置、ダイナミクス、および属性)を送信する。V2Vペイロードは、異なる情報内容を収容するためにフレキシブルでなければならず、情報は、MNOによって提供された設定に従って周期的に送信することができる。
【0106】
V2Vは、主にブロードキャストベースであり、V2Vは、別個のUE間のV2V関連のアプリケーション情報の、直接の交換、および/または、V2Vの直接通信範囲が制限されていることから、別個のUE間のV2V関連のアプリケーション情報の、V2Xサービスをサポートしているインフラ、例えばRSU、アプリケーションサーバなどを介しての交換を含んでいる。
【0107】
V2I通信に関しては、V2IアプリケーションをサポートしているUEは、アプリケーションレイヤの情報を路側機に送信し、その路側機は次いでアプリケーションレイヤの情報をV2IアプリケーションをサポートしているUEのグループまたはUEに送信することができる。
【0108】
V2N(Vehicle to Network、eNB/CN)も導入され、一方の通信主体はUEで他方の通信主体はサービングエンティティで、両方ともV2Nアプリケーションをサポートし、LTEネットワークを介して互いに通信する。
【0109】
V2P通信に関しては、E−UTRANは、許可、承認および近傍性基準が満たされたとき、互いの近傍にいるUEが、E−UTRANを使用してV2P関連の情報を交換することを可能にする。近傍性基準は、MNOによって設定することができる。ただし、V2PサービスをサポートしているUEは、V2XサービスをサポートするE−UTRANによってサービスされないときでも、こうした情報を交換することができる。
【0110】
V2PアプリケーションをサポートしているUEは、アプリケーションレイヤの情報を送信する。こうした情報は、V2XサービスをサポートしているUEを有する車両によって(例えば、歩行者への警告)、および/またはV2XサービスをサポートしているUEを有する歩行者によって(例えば、車両への警告)ブロードキャストすることができる。
【0111】
V2Pは、別個のUE(一方は車両用で、他方は歩行者用)間のV2P関連のアプリケーション情報の、直接の交換、および/または、V2Pの直接通信範囲が制限されていることから、別個のUE間のV2P関連のアプリケーション情報の、V2Xサービスをサポートしているインフラ、例えばRSU、アプリケーションサーバなどを介しての交換を含んでいる。
【0112】
この新たな検討項目V2Xのために、3GPPは固有の用語および定義を非特許文献8の現在のバージョン13.0.0で提供しており、本願のために再利用することができる。
【0113】
路側機(RSU:Road Side Unit):V2Iアプリケーションを使用しているUEへ送信し、およびそこから受信することができるV2Iサービスをサポートしているエンティティ。RSUは、eNBまたは据付けのUEに実装することができる。
V2Iサービス:V2Xサービスの1つのタイプであり、1つの通信主体はUEで、他方の通信主体はRSUで、両方共にV2Iアプリケーションを使用する。
V2Nサービス:V2Xサービスの1つのタイプであり、一方の通信主体はUEで他方の通信主体はサービングエンティティで、両方ともV2Nアプリケーションを使用し、LTEネットワークエンティティを介して互いに通信する。
V2Pサービス:V2Xサービスの1つのタイプであり、通信の両方の通信主体は、V2Pアプリケーションを使用しているUEである。
V2Vサービス:V2Xサービスの1つのタイプであり、通信の両方の通信主体は、V2Vアプリケーションを使用しているUEである。
V2Xサービス:3GPPトランスポートを介してV2Vアプリケーションを使用している送信または受信UEに関与する通信サービスの1つのタイプ。V2Xサービスは、通信に関与している他方の通信主体に基づいて、V2Vサービス、V2Iサービス、V2Pサービス、およびV2Nサービスにさらに分けることができる。
【0114】
3GPPは、V2X通信のためのいくつかの潜在的な要件についても合意しており、関連するもののうちのいくつかを以下に示す。
【0115】
[CPR−011]E−UTRA(N)は、1秒・1V2Xエンティティ(例えば、UEおよびRSU)あたり10V2Xメッセージの最大頻度をサポートすることができるものとする。
【0116】
[CPR−015]特定の用途(すなわち、プリクラッシュセンシング)についてのみ、E−UTRA(N)は、V2Vサービスをサポートする2つのUE間でV2Xメッセージを最大遅延20msで送信することができるべきである。
【0117】
[CPR−018]3GPPネットワークは、V2Xサービスをサポートする加入済のUEに対しても、リソース効率の良い方法で、サポートされているいかなる潜在的な精度改善技術(例えば、DGPSおよび/またはOTDOA)も利用可能にするべきである。
【0118】
[CPR−026]3GPPシステムは、サービス条件(例えば、UEの速度、UEの密集度)に応じて送信レートおよびカバレッジエリアを変化させることができるものとする。
【0119】
[CPR−030]E−UTRANは、V2Vサービスをサポートする最大相対速度280km/hのUE間で、V2Xメッセージを送信することができるものとする。
【0120】
車両用通信は、おそらくProSe直接通信に基づく。ただし、通常のリリース12のD2Dリソース割当ては、新たなV2X使用のシナリオには不十分かもしれない。特に、上記に説明したように、ランダム化は、D2D通信において、具体的には、UEが、通信のための無線リソースを、設定された無線リソースプールから自律的かつランダムに選択する、モード2のために使用される基本原理である。D2Dベースの車両用通信は、例えば、(頻繁に、かつ大量のデータを場合によって送信する車両用アプリケーションに起因して)パケットサイズが増大し得、また、都市シナリオなど、密集したUE配置シナリオでは特に、対象のカバレッジ内に多数のUEが存在するため、時間・周波数リソースのコリジョンは、より深刻な問題となり得る。
【0121】
それに応じて、D2Dに基づいた車両用通信のために現在想定されるリソース割当ては、最適ではないかもしれず、新たな使用シナリオに対するさまざまな適合を必要とする。
【発明を実施するための形態】
【0154】
「移動局」または「移動ノード」または「ユーザ端末」または「ユーザ機器」は、通信ネットワーク内の物理エンティティである。1つのノードは、いくつかの機能エンティティを有し得る。機能エンティティとは、所定の一連の機能を、実施、および/または、ノードまたはネットワークの別の機能エンティティに提供する、ソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュールのことを指す。ノードは、それを通じてノードが通信することができる、通信機器または通信媒体にノードをアタッチする、1または複数のインタフェースを有し得る。同様に、ネットワークエンティティは、機能エンティティを、それを通じてネットワークエンティティが別の機能エンティティまたは通信相手ノードと通信し得る、通信機器または通信媒体にアタッチする論理インタフェースを有し得る。
【0155】
特許請求の範囲一式および本願において使用されている用語「無線リソース」は、時間−周波数リソースなどの物理無線リソースのことを指すものと広義に理解されるべきである。
【0156】
本願において使用されている用語「直接通信送信」は、2つのユーザ機器間の直接の、すなわち、無線基地局(例えばeNB)を介さない送信として広義に理解されるべきである。それに応じて、直接通信送信は、「直接サイドリンクコネクション」を通じて実行され、「直接サイドリンクコネクション」は、2つのユーザ機器間で直接的に確立されたコネクションを指して使用される用語である。例えば、3GPPにおいては、専門用語のD2D(Device−to−Device)通信が使用され、またはProSe通信、またはサイドリンク通信が使用されている。用語「直接サイドリンクコネクション」は、背景技術のセクションで記載したPC5インタフェースとして、広義に理解されるべきであり、3GPPの文脈において理解することができる。
【0157】
本願において使用されている用語「ProSe」またはその略されていない形である「Proximity Services」は、背景技術のセクションで例示的に説明するように、LTEシステムにおける近傍ベースの(Proximity−based)アプリケーションおよびサービスの文脈において適用される。「D2D」などの他の専門用語も、近傍サービスのためのDevice−to−Device通信を指して本文脈において使用されている。
【0158】
本願を通して使用されている用語「車両用移動端末」は、背景技術のセクションで説明するように、新たな3GPP検討項目V2X(車両用通信:vehicular communication)の文脈において理解されるべきである。それに応じて、車両用移動端末は、例えば安全性または運転者支援の目的で、車両用通信、すなわち、車両に関係する情報を他のエンティティ(車両、インフラ、歩行者など)に伝えることを実行するために、車両(例えば、乗用車、商用トラック、オートバイなど)に特に実装される移動端末として、広義に理解されるものとする。任意に、車両用移動端末は、地図情報などのナビゲーションシステム(それも自動車に実装されているという条件で)で利用可能な情報にアクセスでき得る。
【0159】
本願を通して使用されている用語「道路」は、幹線道路、自動車道路、小道、街道、ストリート、アベニュを含んで、車両が走行できるいかなる区画の土地もカバーするものとして広義に理解されるべきである。
【0160】
背景技術のセクションで説明したように、3GPPは、LTE支援(LTE−assisted)の車両用通信のための新たな検討項目を導入しており、それは、モード1およびモード2に係るリソース割当てを含む、ProSe手順に基づくものとしている。ただし、ProSeに基づくリソース割当ては、V2X通信のためのすべての要件を満たすために十分ではないかもしれず、したがって、適合される必要があり得る。
【0161】
以下の例示的な実施形態は、上記に説明した問題の1または複数を軽減するために発明家らによって着想されている。
【0162】
さまざまな実施形態の特定の実施態様は、さまざまな実施形態に関係して、以下に説明するように特定の主要な特徴が追加され、3GPP標準によって与えられ、背景技術のセクションにおいて部分的に説明しているように、広い仕様で実施されるべきである。実施形態は、上記の技術背景のセクションに記載の3GPP LTE−A(リリース10/11/12/13)の通信システム(または後のリリース)などの、例えば移動通信システムにおいて有利に使用し得るが、実施形態は、この特定の例示的な通信ネットワークにおいてのそれの使用に限定されるものではないことに留意すべきである。
【0163】
説明は、本開示の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、本開示をよりよく理解するための実施形態の単なる例として解釈されるべきである。当業者は、特許請求の範囲に明確に述べた本開示の一般的な原理は、異なったシナリオに対して、および、本明細書に明示的に記載していない方法で、適用することができるということを分かっているべきである。説明のために、いくつかの想定が行われているが、ただし、それは以下の実施形態の範囲を制限しないものとする。
【0164】
さらには、上述のとおり、以下の実施形態は、3GPP LTE−A(リリース12/13)の環境において実施され得るが、場合によっては将来のリリースの環境においても実施され得る。さまざまな実施形態は、車両用移動端末のための改善されたリソース割当てを主に提供する。そのため、他の機能性(すなわち、さまざまな実施形態によって変化しない機能性)は、技術背景のセクションで説明したのとまったく同じままであり得るか、またはさまざまな実施形態に対していかなる結果ももたらさずに変更され得る。これは、例えば、決定された(サイドリンク)無線リソースの実際の使用すなわち、無線リソースが選択された後、および車両用UEがデータの送信(場合によっては、スケジューリング割当ての送信も含む)を行うためにそれらを使用することに関する他の手順を含む。
【0165】
(第1の実施形態)
以下では、上述の問題を解決するための第1の実施形態を詳細に記載する。第1の実施形態の異なった実施態様およびさまざまな変化形も説明する。
【0166】
例示的に、車両に実装され、本願の背景技術のセクションで説明したD2Dの枠組みに基づいて車両用通信を実行することができる車両用UEが想定されている。車両用UEは、他のUEと通信するものとし、したがって、前記目的のために使用されるべき適切なサイドリンク無線リソースをまず決定する必要があるということがさらに想定されている。第1の実施形態は、決定された無線リソースを使用してその後に通常の方法で他の(車両用)UEと通信することができるように、どのようにして、車両用UEによってこのようなサイドリンク無線リソースを効率よく決定することができるかに重点を置いている。
【0167】
第1の実施形態に係る無線リソース割当ては、D2D通信のために既に定義されたような無線リソース割当てに基づいており、したがって一般に、背景技術のセクションで詳細に説明したように、モード1リソース割当てとモード2リソース割当てとを区別する。ただし、モード1およびモード2リソース割当てとは独立して、第1の実施形態は、以下に説明するように互いに異なる、2つの異なった無線リソース割当てを追加的に区別する。2つの無線リソース割当てのうちの1つは、D2D通信について背景技術のセクションで詳細に説明した共通無線リソース割当てであるとし、それから明らかなように、車両用(UE)の位置は、モード1またはモード2リソース割当て手順においてどの無線リソースが決定されるかに影響しない。一方、第1の実施形態に係る第2の無線リソース割当ても、D2D通信のための無線リソース割当てに基づくが、以下でより詳細に説明するように、無線リソースを決定するときに車両用UEの位置を追加で考慮する。
【0168】
車両用UEは、上述の2つの無線リソースの方法のうちの1つに従って無線リソースを決定するものとし、したがって、自身がどのリソース割当てを使用するかを通知/命令されなければならない。どのリソース割当ての方法を使用するべきかについて車両用UEに通知するこのステップは、コアネットワーク内のeNodeB、MME,またはProSe関連のエンティティなどの、モバイル通信システム内の適切なエンティティによって実行され得る。このエンティティは、どのリソース割当て方法を使用するべきかを決定する役割も担い得、また、UEに、自身がどのリソース割当て方法を使用するかを知らせる役割も担い得る。説明を簡単にするため、以下では、決定し、および車両用UEに通知する役割を担うエンティティはeNodeBであると例示的に想定されている。
【0169】
車両用UEが、この第1の実施形態によって導入される改善されたリソース割当て方法を使用するべきであると想定すると、車両用UEは、自身の位置を決定し、次いで、車両用UEの決定された位置に基づいて無線リソースを決定するものとする。
【0170】
一方、車両用UEが、改善された位置支援によるリソース割当て方法を使用するべきではなく、D2Dについて上記で説明した、通常のリソース割当て方法を使用するべきであると想定すると、無線リソース決定のために車両用UEが自身の位置を決定する必要はない。むしろ、車両用UEは、別のUEとの通信のための適切な無線リソースを、通常の方法でモード1またはモード2に従って決定する。
【0171】
上記で広く示したように、この第1の実施形態で導入された改善された位置支援によるリソース割当て方法は、eNodeBなどの、モバイル通信システム内のエンティティの制御下で選択的に使用されるものとする。それに応じて、車両位置も考慮するリソース割当ては、すべての状況で適用されるわけではなく、十分な利益をもたらすときに適用できるのみである。
【0172】
一般に、リソース割当て過程において車両用UEの位置を追加で考慮することには、以下の利益があることに留意すべきである。リソース割当てのベースとして位置を使用することによって、ネットワークが、トラフィック統計に基づいてV2X通信のために異なった量のリソースを、例えば、よりトラフィック密度が高い位置でのV2X通信のためにはより多いリソースを、およびトラフィックがまばらなエリアでのV2X通信のためにはより少ないリソースを、割り当てることができるようにする。さらには、後に論じる、第1の実施形態の特別な実施態様については、位置、および対応するリソースを有することは、車両用UEが、利用可能なリソースプールの限られた部分のみをセンシングすることを要求する。例えば、最大32個のリソースプールが設定されており、それらのうちの2つのみが車両用UEの位置に属している場合、これら2つのリソースプール内でセンシングを行う必要があるのみである。これは、時間だけでなくバッテリも節約する。
【0173】
一方、車両用UEの位置を決定すること、および場合によってはそれに関する情報を無線リソース割当てのためにeNBに送信することには、車両用UEに自身の位置を繰り返し追跡することを要求する不利益、およびリソース割当てを支援するためにこの位置に関してeNBに知らせるために無線リソースを消費する不利益がある。位置支援によるリソース割当てによってもたらされる利益と不利益とは、バランスを取る必要がある。その結果として、第1の実施形態は、特定の状況に対して、改善された位置支援によるリソース割当て方法を選択的に使用するが、他の方法には使用しない。
【0174】
図10は、第1の実施形態について上記に説明した、車両用UEの動作を例示的に示す、車両用UEについてのシーケンス図である。
【0175】
以下に、さらなる利点を提供し得る、第1の実施形態のより具体的な実施態様を説明する。
【0176】
第1の実施形態の上記の広範な説明は、一方のリソース割当て方法を使用するべきかそれとも他方を使用するべきか、すなわち、車両用UEの位置を追加で考慮するべきか否か、に関して選択的に決定するエンティティ(例えばeNB)に関与する。上記に説明したように、リソース割当てのために車両位置を追加で考慮することによって、特に特定のシナリオにおいて利益をもたらすことができる。それに応じて、eNBは、その決定の基礎を、これらの異なった状況を区別することができるようにする適切な情報に置くことができる。この情報は、例えば、次のうち、すなわち、特定のエリア内の車両数、車両の速度および/または方向、特定のエリア内のトラフィック状況(例えば、トラフィック密度が高いかまたはトラフィックがスムーズに流れているか、トラフィックが渋滞しているかどうか)、特定のエリアのセルトポロジ(例えば、幹線道路、都心、または地方)、トラフィック状況は日内で変化し得るため1日のうちの時間、に関する情報のうちの少なくとも1つを含み得る。第1の実施形態の特定の実施態様については、この決定のために重要であり得る他の情報は、後に詳細に説明するように、どのようにして道路が区画および/または小区画に分割されるかに関する情報を含み得る。それに応じて、eNBは、無線リソースを決定するときに特定の車両用UEが自身の車両位置を使用することとするのか否かに関して決定するとき、道路の、小区画および区画への特定の分割も考慮し得る。
【0177】
どのようにして、こうした決定を行うことができるのかを理解するために、以下の2つの例を提供する。例えば、車両が並んで位置しており、その結果、これらすぐ近くの車両用UEのさまざまな位置を区別することが困難であり得る、密集してゆっくり移動しているトラフィック状況が想定される。前記の場合、リソース割当てのために位置情報を追加で使用することから得ることができる利益は、最小限となり得、したがって、eNBは、特定の領域内の車両用UEが、改善された位置支援によるリソース割当て方法を使用せずに通常のD2Dリソース割当てを使用するものとすると決定し得る。
【0178】
別の例では、車両が中高速で走行し得、車両運転手によって間に距離が維持されていることからさまざまな車両の位置を区別することが容易にできる、スムーズに流れているトラフィック状況が想定される。それに応じて、こうした状況では、さまざまな車両の位置も考慮することによって無線リソース割当てを支援することは有益であり得る。
【0179】
その結果として、eNBは、いずれかの方法でこうした決定をし、次いで、車両用UEがそれに従ってリソース割当てを行うように命令されることを確実にする。
【0180】
一方のリソース割当て方法を使用するべきかそれとも他方を使用するべきかに関する適切な情報をどのようにして車両用UEが提供されるかについて多くの方法を想定することができる。これは、eNodeBによって制御されるセルエリアにも依存する。具体的には、セルエリアは、大きなものまたは小さなものとすることができるため、それらが、位置支援によるリソース割当てを使用するべきか否かに関してeNodeBが同じ決定にいたる類似したトラフィック状況の特定のホモジーニアスなエリアをカバーするということにおいても異なり得る。前記の場合、eNodeBによって自身のセル内において到達可能なすべての車両用UEは、位置支援によるリソース割当てを使用するように、または使用しないように、同じように設定され、一般に、eNodeBは、対応する情報を、自身のセル内におけるブロードキャスト内で提供することができる。
【0181】
一方、eNodeBのセルは、位置支援によるリソース割当てを使用するべきか否かに関して、eNodeBを、自身のセルの異なったエリアを区別するように導く異なった特性を有するいくつかの異なった道路をカバーし得る。それに応じて、eNodeBによって自身のセル内で到達可能な車両用UEの一部のみが、同じように設定され、一方、他は、異なったように設定される。この場合、セルのブロードキャストは適用可能ではあり得ないが、異なった車両用UEは、専用のメッセージによって設定/通知されることができる。
【0182】
第1の実施形態の、可能性のある一実施態様によれば、車両用UEは、2つのリソース割当て方法のいずれかを実施するように明示的に命令され、それは、上記に説明したように、次いで、eNodeBによって自身のセル内でブロードキャストされるシステム情報内で、または特定の車両用UE宛の対応する専用メッセージ内でのいずれかで送信され得る対応するフラグによって行うことができる。フラグは1ビット長とすることができ、2つのビット値のそれぞれは、第1の実施形態で区別される2つのリソース割当て方法のうちのいずれか1つを使用するように車両用UEに明確に命令する。
【0183】
代替的に、または上記に加えて、車両用UEに明示的な命令を提供する代わりに、第1の実施形態の第2の実施態様は、車両用UEが、改善された位置支援によるリソース割当て方法を使用するべきか否かを自身の内部の設定から推定するということに基づく。具体的には、位置支援によるリソース割当て方法を適用するために、車両用UEは、通常、この改善された位置支援によるリソース割当てに関する追加のパラメータを設定される。例えば、以下で詳細に説明するように、車両用UEの位置は、道路が分割される区画および/または小区画に基づいて決定することができる。その場合、車両用UEが特定の区画および/または小区画を特定できるように、車両用UEは道路の区画および/または小区画に関する適切な情報が提供され得る。その結果、車両用UEが、位置の決定に使用するためのこうしたパラメータを設定された場合、車両用UEはこれらのパラメータも活用するものとすること、および、位置支援によるリソース割当て方法を使用するものとすることを決定する。反対に、それまでにこうしたパラメータが設定されていないことを車両用UEが分かる場合、車両用UEは、改善された位置支援によるリソース割当て方法は使用されないものとすると決定し、実際に、車両用UEは、パラメータが欠けているため、区画/小区画の関数として位置を決定することができない。ただしこれは単なる一例であり、2つのリソース割当て方法に関連して、他のパラメータも車両用移動端末に設定され得る。例えば、通常のD2Dリソース割当て方法が使用されるものとする場合、第1の実施形態の実施態様は、車両用通信専用に、特定の、より大きな、無線リソースプールを提供する。その場合、車両用UEが、こうしたより大きな無線リソースプールが設定されていると判断した場合、位置支援によるリソース割当て方法の代わりに通常のD2Dリソース割当て方法を使用することを推定する。これらの無線リソースプールは、レガシーの、例えば、SIB19の共通リソースプール内でのようにシグナリングされ得るか、RRC専用メッセージを使用してRRCコネクテッドUEに専用リソースプールを送信し得る。
【0184】
いずれの場合にも、第1の実施形態のさまざまな実施態様によれば、車両用UEのそれぞれは、いかなるときも、一方のリソース割当て方法を使用するべきかそれとも他方を使用するべきかを知る。
【0185】
第1の実施形態の上記の広範な説明では、車両用UEが、自身の位置に基づいて無線リソースを決定することを、無線リソースがどのようにして実際に決定されるかに関して詳細にすることなく、大まかに説明した。上記に説明したように、第1の実施形態によって区別される両方の無線リソース割当て方法は、例示的に、背景技術のセクションで詳細に説明した共通D2Dリソース割当てに基づき得る。それに応じて、第1の実施形態の実施態様によれば、モード1およびモード2リソース割当ても分化させられ、車両用UEの位置も考慮するように、それぞれに拡張される。
【0186】
モード1リソース割当てによれば、eNBは、自身のセル内でどの無線リソースが(車両用)UEによって使用されるものとするかを制御する。それに応じて、無線リソースを決定する必要があるとき、車両用UEは、(車両用UEが位置している無線セルを制御する)eNodeBに、こうした無線リソースを要求する。詳細には、これは、背景技術のセクションでD2D通信についての現在の3GPPリリースについて例示的に説明するように、後にバッファ状態通知が続くスケジューリング要求をeNodeBに送信する車両用UEによって行われ得る。
【0187】
eNodeBは、この特定の車両用UEには送信すべきデータがあることを、受信したスケジューリング要求およびバッファ状態通知に基づいて学習し、次いで、この車両用UEが他のUEと通信できるようにするために、この車両用UEのためにスケジューリングされるべき特定の無線リソースを決定することができる。第1の実施形態の改善された位置支援によるリソース割当て方法によれば、eNodeBは、(例えば、バッファ状態通知およびスケジューリング要求と一緒に)車両用UEから位置情報を追加で受信し、無線リソースを決定するときに、この車両位置情報も考慮に入れる。具体的には、eNodeBは、自身のエリア内のさまざまな車両用UEおよび通常のUEの位置を知るようになるので、トポロジ、車両の密集度、トラフィック需要、帯域外発射、干渉状況などについての自身の情報を、近くの車両用UE間の干渉が軽減されるようにそれらにリソースをスケジューリングするために、活用することができる。
【0188】
次いで、NodeBから車両用UEへの対応する応答は、車両用UEが他の移動端末との通信のために使用するものとする無線リソースの適切なインジケーションを含む。車両用UEは、対応する応答をeNodeBから受信し、次いで、例えばスケジューリング割当てメッセージおよびデータの送信を含む、車両用通信を、eNodeBによってスケジューリングされたように無線リソース上で通常の方法で行うことができる。
【0189】
ちょうど記載したようにモード1リソース割当て方法については、eNodeBは、車両用UEの位置を提供されると想定されている。これは、さまざまな方法で行われ得、eNodeBに送信される車両用UEの位置の実際の内容にも依存し得る。後により詳細に説明するように、車両用UEの位置は、一般に、地理的座標(例えばGPS)として、または道路を分割できる区画/小区画として表され得る。それに応じて、送信されるデータ量に関しても違いがあり、地理的座標はより多くのデータを必要とし、区画/小区画のIDはおそらくより少ないデータを必要とする。いずれの場合にも、車両用UEの位置は、スケジューリング要求およびバッファ状態通知と一緒にeNodeBに送信され得る。車両用UEの位置に関する情報は、スケジューリング要求およびバッファ状態通知とは別に伝えられ得るか、またはスケジューリング要求が、車両用UEの位置に関する前記情報を伝えるフィールドで拡張され得る。それを行うための可能性のある別の方法は、例えば100ms毎などのように、位置情報が実質的に変化するたびに最新の位置を含む、RRCのSidelinkUEInformationメッセージを使用することである。
【0190】
それに応じて、車両用UEは、モード1に従って、追加で自身の位置に基づいて、無線リソースを決定することができる。このモード1要求は、要求されるV2X/V2Vメッセージ送信のサイズおよび周期性の詳細を含んだSidelinkUEInformationメッセージ、および引き続き、バッファ占有量(Buffer Occupancy)の一切の変化を示すBSR通知などを含む。
【0191】
モード2リソース割当ては、UE自律的リソース選択とも称され、これによれば、UEは、直接サイドリンクコネクションを介して制御情報(SAメッセージ)およびユーザデータを送信することができるように、例えば、利用可能な無線リソースプールから、無線リソースを自力で選択するように適合される。上述のとおり、第1の実施形態は、車両用UEの位置を考慮に入れることができるリソース割当て方法を追加で提供する。これは、車両用UEの可能性のある異なった位置のために異なった無線リソースプールを提供することによって、第1の実施形態において例示的に実施することができる。具体的には、そのとき、複数の無線リソースプールを車両用UEに設定しなければならず、そのそれぞれ1つずつが、車両用UEが位置することができる異なった位置に関連付けられる。それに応じて、車両用UEが無線リソースを決定する必要がある時点において、および自身の位置を決定した後において、車両用UEは、どの無線リソースプールを使用すべきか、すなわち、決定された車両用UEの位置に関連付けられている無線リソースプールをまず決定し、次いで、スケジューリング割当ておよびデータを送信するために、当該の関連付けられた無線リソースプールから適切な無線リソースを選択する。
【0192】
上述の、車両用UE内の複数の無線リソースプールの設定は、eNodeBの制御下にあり得る。それに応じて、eNodeBは、複数の無線リソースプールおよびそれらのそれぞれの、潜在的な車両用UE位置との関連付けに関する必要な情報を車両用UEに提供しなければならない。第1の実施形態の一実施態様によれば、無線リソースプールは、例えば、無線リソースおよび関連付けられた位置を特定する表として、車両用UEに明示的に通知され得る。以下の例示的な表は、前記の点において提示されており、x個の異なった無線リソースプールが定義されていると仮定している。もちろん、パラメータxは、eNodeBの制御下の無線セルのサイズ、eNodeBが自身の無線セルにおいて車両用UEに利用可能にしようとする利用可能な無線リソース、および場合によってはトラフィックのタイプ/速度などを含む他の条件にも応じて変化し得る。
【表1】
【0193】
それに応じて、こうした表は、例えばシステム情報の一部として(eNodeBが自身のセル内のすべての車両用UEを同じように設定したい場合)、または、代替的に/追加的に、特定の車両用UE専用のメッセージ内で、eNodeBによって自身の無線セル内のさまざまな車両用UEに提供され得る。
【0194】
さらなる改善として、PRB数などの共通の値を、各リソースプール毎に同じものを送信する代わりに一度だけ送信することができ得、それによって、eNodeBが車両用UEに送信しなければならないデータの量を削減し得る。
【0195】
eNodeBから車両用UEに、無線リソースプールに関するそれほど多くの情報を提供する代替手段として、第1の実施形態の代替的な実施態様は、車両用UE自体が、無線リソースプールおよび関連付けられた位置を決定することができるものとすることを提供する。これは、リソースの大きなプールを、異なった位置と関連付けられたいくつかの無線リソースプールに分割し得る一式の規則の使用によって行われ得る。例えば、車両用UEは、固定量の無線リソースを、無線リソースのより大きなプールから特定の位置へ順番に割り当て得、それによって、異なった位置のための異なった無線リソースプールを生成し得る。これは、格子の隣の部分が、利用可能なリソースのプール全体からの次の部分を表し、同じように続くように、最もシンプルな形で、グリッドの各部分が、利用可能なリソースのプール全体からの一部分を表す、リソースの物理的な格子のように見えるものとすることができる。
【0196】
第1の実施形態のさらなる実施態様によれば、リソース割当ては、車両用UEに、以下で説明するように、無線リソースのセンシング能力を提供することによってさらに改善される。例示的な用語「センシング能力」は、候補の無線リソース(すなわち、車両用通信のために使用され得る無線リソース)が、他の(車両用)UEによって使用されているか否か、または使用されるか否かを、その後、伴って起きる他の(車両用)UEとのコリジョンを避けるために、可能であれば、これらの「ブロックされた」無線リソースを使用しないために、判断する、車両用UEの能力として広く理解されるものとする。それどころか、車両用UEは、可能であれば、別の(車両用)UEによって既に使用中ではないと決定されている他の無線リソースを使用するものとする。このセンシング能力は、上記で詳細に説明したように、無線リソースを決定するときに、車両用UEによって、モード1およびモード2リソース割当ての両方に、そして車両位置の追加的な考慮に加えて適用することができる。
【0197】
一般に、センシングはさまざまな利益をもたらす。例えば、センシングベースのコリジョン回避メカニズムは、例えば、UEが、自身の送信のために同じリソースを使用することを回避するために、他のUEの制御情報をリードするときに、リソースのコリジョンを低減するのに役立つ。さらには、センシングベースのリソース割当ておよび位置ベースのリソースプール分割には大きな性能向上があり、すなわち、センシングを伴ったリソース選択/割当て方法についてPRR(パケット受信率:Packet Reception Ratio)が大幅に向上する。PRRは基本的に、所与の範囲(例えば100m)内の何パーセントの車両が、所与の車両用UEからの送信されたパケットを受信するかを表す。また、センシングによって、低い帯域内放射につながる、UEによる送信数を低減する。これは、はるかというに近いより良好な性能をもたらし、リソースを節約する。
【0198】
車両用UEがモード2リソース割当て用に設定され、第1の実施形態に従って無線リソース決定のために車両位置を追加で考慮し、したがって、車両用UEは、決定された、車両用UEの位置と関連付けられている無線リソースプールから無線リソースを自律的に選択するものとすると、例示的に想定される。また、車両用UEは、別の(車両用)UEによって使用されているか、または使用される無線リソースを使用しないように、センシングを行うものとする。これは、さまざまな方法で実施され得る。例えば、車両用UEは、自身の位置と関連付けられている適切な無線リソースプールから、候補の一式の無線リソースを選択する。ただし、候補の一式の無線リソースを実際に使用する前に、車両用UEは、これらの無線リソースが別の移動端末によって実際にブロックされているか否かをまず判断するものとする。次いで、無線リソースが別の移動端末によって既に使用されているかまたは使用される場合、車両用UEは、その過程を繰り返し、無線リソースプールから異なった無線リソースを選択し、次いで、その無線リソースは、それらがブロックされているか否かについて再度チェックされる。この過程は、車両用UEが、無線リソースプールから、別の移動端末によってブロックされていない無線リソースを決定するまで継続され得る。一方、車両用UEは、無線リソースプールから候補の一式の無線リソースを実際に選択する前に、無線リソースプールのすべての無線リソースについてセンシングを行い得、次いで、別のUEによって使用されていると決定されているか、または使用される無線リソースを、無線リソースプールから除外/無視し得る。それに応じて、次いで、車両用UEは、無線リソースプールの残ったフリーの無線リソースの中から、通信に使用されるべき無線リソースを選択する。
【0199】
このセンシング能力のさらなる改善は、無線リソースプールのすべての無線リソースが、別の移動端末によって使用されているか、または使用され、その結果、車両用UEが特定の時間、車両用通信の実行をブロックされるという状況を考慮する。これを回避するため、第1の実施形態の一実施態様は、車両用UEが、別の無線リソースプール、すなわち、車両用UE自体の位置に実際に関連付けられているのではなく別の位置に関連付けられている無線リソースプールから無線リソースを選択できることを可能にする。これによって、この、他の無線リソースプールからの無線リソースはブロックされず、車両用UEが前記無線リソースを使用して車両用通信を行うことを可能にするという可能性を高める。上述のとおり、車両用UEは、複数の異なった無線リソースプールを設定され得、また、一実施態様によれば、UEは、無線リソースを選択する別の無線リソースプールをランダムに決定し得る。あるいは、別の無線リソースプールをランダムに選択する代わりに、車両用UEは、車両用UEの実際の位置のすぐ隣の位置と関連付けられている無線リソースプールを使用し得る。一方、車両用UEは、車両用UEの実際の位置から、より遠くにあるか、または遠く離れていさえする位置と関連付けられている別の無線リソースプールを使用し得る。さらに別の代替手段によれば、車両用UEは、あらかじめ決定された優先度割当て方式に基づいて、利用可能な無線リソースプールのそれぞれに、相対的優先度を割り当て得る。次いで、車両用UEは、残った無線リソースプールから、最も高い優先度の無線リソースプールを選択し得る。例えば、相対的優先度は、近くの位置か、または遠く離れた位置と関連付けられた無線リソースプールが高い優先度を割り当てられるように、車両用UEの実際の位置からの距離に基づいて、複数の無線リソースプールに割り当てられ得る。
【0200】
一方、モード1リソース割当てを想定すると、車両用UEは、通信のために車両用UEによって使用されるものとする無線リソースを示すメッセージをeNodeBから受信した後、受信しおよび命令されたこれらの無線リソースに対して、それらを通信のために実際に使用する前に、センシングも行うものとする。同じようにして、車両用UEは、命令された無線リソースが別の(車両用)UEによって使用されているかまたは使用され、したがって、コリジョンを避けるためにそれらを使用しないという結論に到達し得る。それどころか、車両用UEは、次いで、eNodeBからリソースを再度要求し得るか、またはeNodeBから無線リソースを再度要求しなければならないことにより被る遅延を避けるために、(例えば、自身の位置に関連付けられた)適切な無線リソースプールから、無線リソースを自律的に選択することに進み得る。
【0201】
車両用UEは、無線リソースが使用されているかまたは使用されることを、少なくとも2つの異なった方法で判断することができる。第1の実施態様によれば、車両用UEは、候補のリソースの、対応するリソースエレメント(RE)、例えばPRB上の受信信号強度(例えば、RSSI、すなわち受信信号強度表示)を測定する。受信信号強度は、これらの無線リソースが別の移動端末によって既に使用されているかどうかに関するインジケーションである。それに応じて、測定された受信信号強度を適切な閾値に対して比較することによって、車両用UEは、別のUEによって既に使用されており、したがって車両用UEにとってはブロックされていると見なさなければならない無線リソースを特定し得る。さらには、車両用UEは、候補のリソースについて受信信号強度を測定し続け得、その結果、他のUEが候補のリソースの使用をやめる時を判断し得るか、または、それらの無線リソースについて受信信号強度を実際に測定し続ける必要無しに、これらの無線リソースが(例えば、以前から無線リソースをモニタリングすることから統計的に判断されるか、または対応するRRCシグナリングを介してネットワークによって命令された)特定期間ブロックされることを単純に想定する。
【0202】
第2の実施態様によれば、車両用UEは、どの無線リソースがデータを送信するために使用されるかを示す、他の(車両用)UEによって送信されるスケジューリング割当てメッセージをモニタし得る。それに応じて、このように、車両用UEは、どの無線リソースが他の移動端末によって使用されるかを学習する。さらには、SAメッセージも、無線リソースが繰り返して使用される期間を示し得、したがって、車両用UEが、将来においてブロックされる無線リソースを判断することができるようにし得る。
【0203】
無線リソースがブロックされているか否かを車両用UEがどのようにして判断するのかに関するこれらの2つの異なった実施態様は、同時にまたは互いに別々に、またはそれらの1つのみを、車両用UEによって使用し得る。
【0204】
一般に、無線リソースを実際に使用する前に車両用UEによってセンシングする過程を追加で含めることは、無線リソースのコリジョンが起こる可能性が高いシナリオにおいて特に有利である。ここまでには論じなかったが、可能性のある車両位置が、どれほど正確に互いに区別されるかに依存して、特定の位置に、1つの車両用UEのみが存在し得るか、または1つよりも大幅に多くの車両用UEが存在し得る。例えば、無線リソースプールが、いくつかの車両用UEが同時に位置することができる特定の位置(エリア)に関連付けられており、その結果、いくつかの車両用UEが同時に、または同時期に、この無線リソースプールから無線リソースを選択することができ、それによって同じ無線リソースを選択する可能性、および、コリジョンをもたらす可能性を高めることを想定する。車両用UEにおいてこのセンシング能力を実施することによって、これらのコリジョンの一部は回避され、それによって、車両用通信における性能を高め、再送信を回避する。
【0205】
前に説明した広範な実施形態によれば、車両用UEが自身の位置を決定し、(モード1またはモード2無線リソース割当てのいずれかを使用して)無線リソースを決定するためにそれを使用するということが想定されていた。以下に説明するように、第1の実施形態のいくつかの実施態様では、どのようにして車両用UEの位置を効率的に表すことができるかに重点を置いている。
【0206】
可能性のある1つの方法によれば、車両用UEの位置は、地理的座標として表現され得、これは例えばGPS衛星に基づく既知の方法で得ることができる。地理的座標は、例えば10進形式の度で、または度分秒形式での経緯度の値を、少なくとも含む。この場合、車両用UEは、自身の地理的座標を決定し、次いで、必要な無線リソースを決定するときに、これらの地理的座標を考慮に入れる。例えば、モード1リソース割当てについては、車両用UEは、これらの地理的座標をeNodeBに送信し、次いで、eNodeBは、適切な無線リソースを選択するため、およびスケジューリングされた無線リソースを伴った対応するメッセージを車両用UEに返信するためにそれらを使用する。モード2リソース割当てについては、UEは、決定された自身の位置を、異なった無線リソースプールと関連付けられた地理的座標と比較し、次いで、車両の地理的座標に最も近い地理的座標と関連付けられている無線リソースプールを選択する。
【0207】
第1の実施形態の別の実施態様によれば、車両位置は、完全に異なって、すなわち、道路が分割される区画/小区画の関数として表される。これは、道路の区画および小区画への例示的な分割を示す、
図9を参照しつつ説明する。これらの図のそれぞれは、例示的に4車線道路に基づいており、4車線はすべて同じ方向に向かうトラフィックを運ぶことになっている。これらの図に示すように、どのようにして道路の一部を異なる区画および小区画に分割できるかに関して多くの可能性がある。
図9については、各区画は、道路の車線のすべてをカバーすると例示的に想定されているが、そうでなくてもよい。さらには、同じ一続きの道路を異なった数の区画に分割することができ、そのとき、異なった区画はそれらの長さが異なる。次いで、これらの区画の小区画への細分化も、多くの異なった方法で行うことができる。例えば、
図9(A)および
図9(B)では、図で示されているように16個の異なった小区画が提供されることが例示的に想定されている。一方、
図9(C)によれば、小区画は1車線のみをカバーすることになっているが、区画と同じ長さであり、結果としてこのようにより少ない小区画になる。
【0208】
区画および小区画がどのようにしてセットアップされるかは、それもまたどの無線リソース割当て方法を使用するべきかを決定する役割を担うエンティティ(例えば、eNodeB、MME,またはProSe関連エンティティ)などの、移動通信システム内の適切なエンティティによって決定され得る。区画および小区画の長さおよび幅は、このエンティティによって決定され得、このエンティティは、前記の点において異なったパラメータを考慮し得る。例示的に想定される
図9のシナリオでは、区画の幅は、道路の幅と等しく、一方、小区画の幅は、車線の幅(例えば4m)と等しい。小区画の長さは、道路上を走行している車両の速度、結果としての、車両速度の関数としての車両間距離、および小区画当たり1つの車両のみか、それとも小区画当たりいくつかの車両が想定されることになるのかにも依存し得る。例えば、小区画当たり乗用車1台だけがあるべき場合には、同じ小区画内に1台の車両だけが位置していることを確実にするために、同じ車線内の車両間の距離約97m(2.5秒×140km/h、幹線道路のシナリオについてTS 36.885の表A.1.2−1を参照)を、小区画の長さとして使用することができる。これらは、フリーウェイのケースにおける車両の絶対速度についてのデータ例である。最も速く移動するトラフィックシナリオを表しており、明らかに、この場合に(例えば車両の運転手にとっての)応答時間が最小であるため、フリーウェイのケースが選択されている。したがって、フリーウェイのケースにおいてクリティカルなメッセージを他の車両に送信するために、フリーウェイのケースにおいて、要求される最も速いレイテンシを満たすことができれば、別のケースでもおそらく可能であり得る。
【0209】
一方、区画の長さは、TS 22.885の表A.1で与えられる、要求される車両用通信の有効距離に基づいて決定され得る。例えば、幹線道路(アウトバーン)の場合、要求される有効距離は320mである。さらには、隣接する2つの区画の間で干渉が軽減されることを確実にするために、要求される有効距離の2倍、すなわち640mが、区画の長さとして使用されるものとすることが例示的に想定される。こうした場合、640mの区画長を想定すると、および小区画の長さが約97mであると想定すると、例示的な分割は、区画の長さを、それぞれが91mの長さの7つの小区画に分割し得る。
【0210】
あるいは、UEが、例えば100msに1つの送信のみを行うことになっているということを考慮して、残りの99msの間もUEのために小区画の全リソースを占有することは効率的ではないかもしれないというように、より長い小区画を提供することも実現可能である。前述の場合、小区画の長さを増やすことによって、1つの小区画内に2つ以上の車両用UEを有することが可能である。これを
図9(C)に例示的に示しており、区画と同じ長さの小区画がある。それに応じて、モード2リソース割当てを例示的に想定すると、小区画は、依然として無線リソースプールに関連付けられ、当該の小区画内に位置する車両用UEは、車両用通信を行うために、当該の小区画に関連付けられた同じ無線リソースプールから無線リソースをランダムに選択する。いくつかのUEが、同じ無線リソースプールから無線リソースを選択しようとしており、そのためコリジョンを引き起こし得ることから、これもまた、上述の、追加のセンシングも適用することが特に有利なシナリオであり、コリジョンは、無線リソースがフリーであるかまたはフリーになるかを、それらを実際に使用する前に車両用UEにまず判断させることによって回避することができる。
【0211】
上記で例示的に説明したように、このようにして、道路は、特定の長さおよび幅の区画および小区画に分割され得る。さらには、各区画は、少なくとも特定のエリアについて、
図9の(A)、(B)および(C)のそれぞれに示すように、同じように小区画に分割されるべきである。別の言い方をすれば、道路は、このようにして、次いで小区画に同じように細分化される、引き続くさまざまな区画に分割される。
【0212】
次いで、小区画のそれぞれは、特定の車両用UEの無線リソースを、車両用UEの位置(すなわち区画/小区画)も考慮に入れることによって決定することができるように、(異なった)無線リソースと関連付けられ得る。例えば、モード2リソース割当てを想定するとき、各小区画は、異なった無線リソースプールと関連付けることができる。例示的な関連付けを以下の表に示しており、無線リソースプールが車両位置とより一般的に関連付けられている、前に論じた表と類似している。
【表2】
【0213】
上記の表から明らかなように、各区画が、その後同じ無線リソースプールに等しく関連付けられる小区画に同じように分割されることを考慮すると、車両用UEが、自身がいる小区画を決定することで十分である。このように、車両用UEは、(例えば、場合によっては、異なった無線リソースプールをさらに区別するために)、区画も使用するが、これは、実際に、上記の想定に必ずしも必要ではない。
【0214】
各区画の小区画に分配されるべき、複数の無線リソースプール内の無線リソースは、それらの間の干渉が軽減されるように選択され得る。それに応じて、隣接する小区画に位置し、したがって、当該の小区画に関連付けられたそれぞれのリソースを使用する車両用UEは、同時に通信するとき、干渉を引き起こさないはずである。
【0215】
上述の、各道路を覆う区画および小区画の格子に基づいて、車両用UEは、自身がどの区画/小区画にいるのかを、次いで無線リソースプールから無線リソースを自律的に選択するときに、自身に関するこの情報を使用するため(すなわちモード2)か、またはこの情報を、次いで、その後この情報に基づいて無線リソースを決定することができるeNodeBに提供する(モード1)ためかの、いずれかのために決定する。
【0216】
それに応じて、車両用UEは、自身の地理的位置を、次いで当該の地理的位置に対応する区画/小区画を特定するために、決定することから開始する。そのため、車両用UEは、どのようにして道路が区画および小区画に厳密に分割されるのかについて知る必要があり、例えば、区画のサイズ、および、各区画が分割されるさまざまな小区画の数およびサイズを知る必要がある。さらには、車両用UEは、自身が走行している特定の道路について格子(すなわち区画/小区画)が正確にどこで始まるのかも知る必要があり得る。この情報は、例えば、道路の始点および/または終点を特定する特定の地理的座標によって与えられる境界の形で提供することができる。その結果、道路は、すべての車両用UEおよびeNodeBもが、区画および小区画がどこに位置し、どこで始まってどこで終わるかについて同じ理解を持つように、区画および小区画に明確に分割されるものとする。
【0217】
また、車両用UEは、格子ならびに対応する区画および小区画を、道路がカーブしているときでもなお、区画および小区画が道路に一致するように適合させるものとする。
【0218】
車両用UEは、車両のナビゲーションシステムに接続され得、したがって、道路の境界、およびどのようにして道路が区画および/または小区画に分割されているかを判断するのに車両用UEを支援する、地図データにアクセスすることができ得るということに、さらに留意するべきである。
【0219】
さらなる例示的な実施態様によれば、車両のナビゲーションシステムから入手可能な地図情報に基づいて、車両用UEは、道路の始点/終点、道路の端の座標、各方向の車線数などについて少なくともアクセスでき/知識を有しているべきである。これに加えて、車両用UEは、自身の区画/小区画を計算するために以下の機能を適用することができる。以下について、UEは、10進形式の度(DD:Decimal Degree)、またはDMS値のいずれかを使用することができる(https://en.wikipedia.org/wiki/Decimal_degrees)。
【0220】
区画/小区画の長さおよび幅についての各「単位」は、ブロードキャストメッセージ内で、シグナリングすることができ、例えば、1.1132mを表す0°00’0.036”である。ネットワークは、追加的に道路の境界情報に基づいて、x’単位の緯度/y’単位の経度が1つの区画/小区画を構成することをシグナリングすることができる。
【0221】
第1の実施形態の上記の実施態様は、車両用UEがeNodeBのカバレッジ内であることを暗示的に想定している。ただし、車両用UEは、eNodeBのカバレッジ外であるとすることもでき、なおも車両用通信を行うことができるものとする。それに応じて、第1の実施形態のさらなる実施態様は、このことを、カバレッジ外の車両用UEは、無線リソースを決定するときに自身の車両位置を追加で考慮せずに通常のD2Dリソース割当て方法を使用するものと規定することによって考慮に入れている。例えば、特定の車両用UEがカバレッジ外であるエリアには、そもそも多くの車両がないはずであり、コリジョンの可能性を減少させるので、車両位置を追加で考慮することからの利益を最小限にすることを特に考慮に入れると、ランダムな無線リソース選択は、十分信頼できるべきである。
【0222】
(第2の実施形態)
以下に、第1の実施形態によって解決されるもの、すなわち、車両用通信のための無線リソース割当てを改善するための詳細な記載の初めで説明したものと同じ問題に対処する第2の実施形態を表す。第2の実施形態は、多くの点で第1の実施形態と類似しており、第1の実施形態への参照が頻繁に用いられる。
【0223】
第1の実施形態について上記に説明したように、中心的な特徴は、第1の実施形態が、車両用UEの位置を、追加で考慮に入れることができる、追加的な、改善された、リソース割当て方法を提供するとうことであった。さらには、この位置支援によるリソース割当てに対する、さらなる、任意の、改善として、第1の実施形態は、別のUEによって使用されているかまたは使用される無線リソース上でのコリジョンを回避するために、車両用UEが、割り当てられた無線リソースを実際に使用する前に、それらについてセンシングを行うことができるようにした。
【0224】
第2の実施形態によれば、追加的な、改善された、リソース割当て方法の中心的な特徴は、車両用UEの位置によってリソース割当てを支援する特徴は任意のままではあるものの、車両用UEの追加的なセンシング能力である。
【0225】
より詳細には、第2の実施形態に係る無線リソース割当ても、D2D通信のために既に定義されている無線リソース割当てに基づき、したがって、背景技術のセクションで説明した、モード1およびモード2リソース割当てを許容している。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態は、車両用UEが、決定された無線リソースに対して、それらを実際に使用する前にセンシングを行う点で異なっている、2つの異なったリソース割当てを追加で区別する。
【0226】
第1の実施形態について詳細に説明したように、センシング能力という用語は、候補の無線リソースが、他のUEによって使用されているか否か、または使用されるか否かを、判断する、車両用UEの能力として広く理解されるものとする。次いで、これらのブロックされた無線リソースは、伴って起きるこれらの他のUEとのコリジョンを回避するために、可能であれば、使用されないものとする。このセンシング能力は、車両用UEによってモード1およびモード2リソース割当ての両方に適用することができる。
【0227】
具体的には、車両用UEはモード2リソース割当て用に設定され、UEは、適切な無線リソースプールから無線リソースを自律的に選択することが、例示的に想定される。また、車両用UEは、別のUEによって使用されているかまたは使用される無線リソースを使用しないように、センシングを行うものとする。第1の実施形態において説明したように、車両用UEは、適切な無線リソースプールから候補の一式の無線リソースをまず選択し得、次いで、これらの選択された候補の一式の無線リソースが別の移動端末によって実際に使用されているか否かを判断し得る。無線リソースがブロックされている場合には、車両用UEは、無線リソースプールから他のリソースを選択するものとし、これらの無線リソースが使用するのにフリーであることを確実にするために、センシング手順を再度行うものとする。一方、車両用UEは、無線リソースプールから候補の一式の無線リソースを実際に選択する前に、別の移動端末によって使用されているかまたは使用される無線リソースを除外/無視するために、無線リソースプールのすべての無線リソースに対してセンシングを行い得る。結果として、次いで、車両用UEは、無線リソースプールの残っているフリーの無線リソースの中から無線リソースを選択する。
【0228】
無線リソースプールのすべての無線リソースが別の移動端末によって使用されているかまたは使用される状況のために、センシング手順に対するさらなる改善を、以下に表している。第1の実施形態について既に説明したのと同じように、車両用UEは、フリーの無線リソースがない場合、別の無線リソースプールから無線リソースを選択することができるものとする。他のこの無線リソースプールは依然として、ネットワークによってV2X通信の使用のために設定された多くのリソースプールの中にあり得る。1つのリソースプールのみが設定されている場合、または設定された最後のリソースも完全にブロックされていることが判明した場合、この車両用UEは、単にウエイトして、ある特定時間後に再試行しなければならない。
【0229】
一方、第2の実施形態は、モード1リソース割当てにも適用することができ、車両用UEは、スケジューリング要求、および場合によってはバッファ状態通知をeNodeBに送信することによって、eNodeBから無線リソースを要求しなければならない。それに応えて、eNodeBは、適切な無線リソースを決定し、車両用UEに、使用すべき無線リソースについての対応するインジケーションを提供する。第2の実施形態によれば、車両用UEは、eNodeBによって割り当てられた無線リソースが、別の(車両用)UEによって使用されているかどうか、または使用されるかどうかを判断し、ブロックが存在している場合には、コリジョンを回避するために、それらを使用しない。それどころか、次いで、車両用UEは、eNodeBからさらなる無線リソースをを再度要求し得るか、またはeNodeBから無線リソースを再度要求しなければならないことにより被る遅延を回避するために、適切な無線リソースプールから無線リソースを自律的に選択することに進み得る(すなわちモード2)。
【0230】
第1の実施形態について詳細に説明したように、無線リソースが別のUEによってブロックされるかどうかを車両用UEが判断できる、可能性のある方法が少なくとも2つあり、第1の実施形態の対応する一節を参照する。手短に述べると、車両用UEが、受信信号強度を測定し得、それを閾値と比較し得、それによって、次いで、受信信号強度が閾値よりも大きい場合には、無線リソースが既に使用されていると判断する。代替的に、または上記に加えて、車両用UEが、他の車両用UEによって送信されるスケジューリング割当てメッセージをモニタし得、それよって、どの無線リソースが他のUEによって使用され、したがって、車両用UEによって使用されることをブロックされるのかに関する情報を収集する。
【0231】
無線リソース割当てのためにセンシング手順を追加で含めることは、無線リソースのコリジョンが起こる可能性が高いシナリオにおいて特に有利である。これは、例えば、交通渋滞においてなど、多くの車両用UEが並んで位置している状況において、無線リソースプールは比較的小さいが、多くの車両用UEによって使用されている場合であり得る。
【0232】
車両用UEのセンシング能力を詳細に説明した上で、第2の実施形態は、選択的方法でセンシング能力を活用するものとする。第1の実施形態においてと同じように、コアネットワーク内のeNodeB、MME、またはProSe関連のエンティティなどの、移動通信システムのエンティティは、通常のD2Dリソース割当て方法を使用するべきかどうか、または第2の実施形態で導入された、改善されたセンシング支援によるリソース割当て方法を使用するべきかどうかを決定することができる。役割を担うエンティティは、説明を容易にするためeNodeBと想定されているが、さまざまな情報に基づいて決定を行うことができる。例えば、eNodeBは、自身のセルの特定のエリアのトポロジ(例えば幹線道路か、都心か、地方か、など)、およびその特定のエリアにおける車両の数および速度を考慮に入れることができる。さらには、センシング支援によるリソース割当てを使用するべきか、それともセンシング支援無しを使用するべきかは、時間にも依存し得、例えば、ピーク時には通常はトラフィックが密集する一方で、別の時間にはトラフィック状況が異なる。
【0233】
その結果、eNodeBは、一方のリソース割当て方法を使用するべきかそれとも他方を使用するべきかを、すなわち、コリジョンを回避するために追加のセンシングの能力を使用するべきかそれとも使用しないべきかを、選択的に決定する。それに従って、車両用UEは、どのリソース割当て方法を使用するべきかを自身が推定し得る情報を提供されるべきである。第1の実施形態について既に説明したように、これは、eNodeBが、自身のセル内のすべての車両用UEについて同じ決定をするか否かにも依存して、さまざまな方法で行われ得る。前記の点において、明示的な情報(例えばフラグ)を使用することができ、eNodeBの無線セル内でブロードキャストされるか、または専用のメッセージ内で特定の車両用UEに送信される。代替的に、または上記に加えて、車両用UEに明示的な命令を提供する代わりに、車両用UEが、どのリソース割当て方法を使用するべきかを内部パラメータから得ることも可能であり得る。具体的には、センシングを行うために、UEが、受信信号強度の比較のための閾値、またはUEがSAメッセージをモニタするもとする周期性などの、特定のパラメータを供給されることが必要であり得る。
【0234】
任意に、SAメッセージ自体は、リソースの、意図された使用の期間、例えば、本明細書において「busy−ness」期間と称される、その後の数TTIまたは制御/データサイクル、などについての情報を含み得る。この点において、個々の候補のSAメッセージ(PSCCH)が受信され、および復号化され、車両用移動端末は、来る制御/データサイクルにおける何らかの将来の「busy−ness」をこれらが示しているかどうかをチェックすることができる。個々の候補のSAが現在送信されていない場合、車両用UEは、制御(SA)および対応するデータリソースを「フリー」であると想定することができる。SAメッセージ内の「busy−ness」は、車両用UEが、対応する制御/データリソース上で送信し続けようとする、対応するbusy−nessの期間も示し得る。最も単純な形では、それは「busy−ness」期間を1サイクルまたは何か他の「固定」数のサイクルとして示すブール値となる。
【0235】
いずれの場合にも、第2の実施形態のさまざまな実施態様によれば、車両用UEのそれぞれは、2つのリソース割当て方法の一方を使用するべきかそれとも他方を使用するべきか、すなわち、追加でセンシングを適用するべきか否かをいつでも知ることができるものとする。
【0236】
さらには、第2の実施形態は、センシング能力に加えて、車両用UEの位置で無線リソース割当てを支援することによって強化もし得る。第1の実施形態について詳細に説明したように、車両用UEは、自身の位置を決定し得、他の移動端末との通信のために無線リソースを決定する過程において前記位置を使用し得る。それに応じて、第2の実施形態の特定の実施態様では、センシング能力および第1の実施形態について説明した位置支援によるリソース割当てを結合している。繰り返しを避けるため、どのようにして車両用UEの位置をUEによって(単なる地理的座標として、または道路の小区画の関数としてのいずれかで)決定することができるのか、モード1またはモード2のいずれかにおいて無線リソースを決定するときにどのようにして車両用UEの位置を使用することができるのか、どのようにして車両用UEの位置を地理的座標として、または道路の区画/小区画の関数として表すことができるのか、どのようにして道路を区画/小区画に分割することができるのか、モード1リソース割当てについてどのようにして車両用UEの位置をeNodeBに送信することができるのかなどに関する第1の実施形態のさまざまな異なった実施態様を詳細に扱う第1の実施形態の特定の一節を参照する。
【0237】
<ハードウェアおよびソフトウェアによる本開示の実施>
別の例示的な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアと協働するソフトウェアを使用する、上記のさまざまな実施形態の実施態様に関連する。この関連で、ユーザ端末(移動端末)が提供される。ユーザ端末は、これらの方法に適切に関与する、受信部、送信部、プロセッサなどの、対応するエンティティを含んで、本明細書に記載されている方法を実行するように適合されている。
【0238】
さまざまな実施形態は、コンピューティングデバイス(プロセッサ)を使用して実施または実行され得るものとさらに認識される。コンピューティングデバイスまたはプロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)、またはその他のプログラマブルロジックデバイスなどであってもよい。さまざまな実施形態は、これらのデバイスの組合せによって実行または具現化されてもよい。具体的には、上記の実施形態のそれぞれの記載において使用される各機能ブロックは、集積回路としてLSIによって実現することができる。これらの機能ブロックは、チップとして個別に形成してもよく、または、機能ブロックの一部またはすべてを含むように1つのチップを形成してもよい。これらのチップは、自身に結合されているデータ入出力部を含んでもよい。ここで、LSIは、集積度の違いに応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIとも称され得る。ただし、集積回路を実施する技術は、LSIに限定されず、専用回路または汎用プロセッサを使用することによって実現してもよい。また、LSIの製造後にプログラムすることができるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ:Field Programmable Gate Array)、またはLSI内部に配置されている回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブルプロセッサを使用してもよい。
【0239】
さらには、さまざまな実施形態は、ソフトウェアモジュールによって実施してもよく、これらのソフトウェアモジュールは、プロセッサによって実行されるか、または、ハードウェアにおいて直接実行される。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装との組合せも可能であってよい。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、例えば、RAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD−ROM、DVDなどに格納し得る。複数の異なる実施形態の個々の特徴は、個々に、または任意の組合せにおいて、別の実施形態の主題となり得ることにさらに留意されたい。
【0240】
具体的な実施形態に示した本開示に対してさまざまな変更および/または修正を行い得ることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点において例示的であって、制限しようとするものではないとみなされるべきである。