(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レールが前記スライド式ハッチカバー上に配置されると共に前記走行部が前記レール上に走行自在に配置され、かつ、前記シュート本体部が前記ハッチ口内に挿入されたとき、前記脚は前記ハッチ口内に挿入されるように前記シュート本体部に配設される
請求項6に記載の船積み用雨除け装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、大型の船舶に対応するのは困難であると共に、設置費用が高いという課題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の装置は、多数の機器にて構成されており、制御が複雑で高価であると共に、シップローダにも多くの改造を施さねばならず、改造費用が高いという課題がある。
【0008】
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、大型の船舶にも対応できる安価な船積み用雨除け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一の態様によれば、
船倉の上部開口を開閉するスライド式ハッチカバー上に配置されるレールと、
前記レールに走行自在に設けられ、前記スライド式ハッチカバーが開いて形成されるハッチ口の一部を覆うと共に、シップローダからの荷を前記船倉内に供給する船上シュートと、
前記ハッチ口の他の部分を覆う蓋部材とを備え、
前記蓋部材は、前記船上シュートの走行方向の前後にそれぞれ配置されると共に、前記船上シュートの走行に応じて伸縮するように構成された
ことを特徴とする船積み用雨除け装置が提供される。
【0010】
好ましくは、前記蓋部材は、前記レールに走行自在に設けられるとよい。
【0011】
好ましくは、前記蓋部材は、蛇腹状に形成されるとよい。
【0012】
好ましくは、前記蓋部材は、前記船上シュートに固定される一端と、前記ハッチ口の端部近傍の前記レールに固定される他端とを有するとよい。
【0013】
好ましくは、前記レールは、複数のレール片を長手方向に複数連結して構成され、前記蓋部材の他端は、前記ハッチ口の端部近傍の前記レールに着脱可能に固定されるとよい。
【0014】
好ましくは、前記船上シュートには、前記蓋部材を縮めた状態で保持する留め具が設けられるとよい。
【0015】
好ましくは、前記留め具は、前記レールに固定されるレール固定部を備えるとよい。
【0016】
好ましくは、前記レールが、左右の前記スライド式ハッチカバー上にそれぞれ配置され、左右の前記レールが梁フレームを介して連結されるとよい。
【0017】
好ましくは、左右の前記レール間には、前記船倉内への落下を防ぐためのネットが設けられるとよい。
【0018】
好ましくは、前記レールには、前記ハッチ口への水の浸入を止めるためのガード部材が、前記レールの長手方向に沿って、かつ、前記レールより上方に突出して設けられとよい。
【0019】
好ましくは、前記レールと前記スライド式ハッチカバーとの間には、弾性を有する止水材が、前記スライド式ハッチカバーに当接するように介在されるとよい。
【0020】
好ましくは、前記蓋部材の他端には、前記ハッチ口への雨水浸入を防止するための端部シートが配設されるとよい。
【0021】
好ましくは、前記レールは、長さが異なる複数種類のレール片を長手方向に複数連結して構成されるとよい。
【0022】
好ましくは、前記船上シュート及び前記蓋部材のいずれか一方又は両方には、荷の状況を目視するための窓が設けられるとよい。
【0023】
好ましくは、前記船上シュートは、前記レール上を走行する走行部と、前記走行部に上下方向に貫通して設けられるシュート本体部とを備え、前記シュート本体部は、前記走行部より下方に延出され、前記走行部及び前記蓋部材には、前記シュート本体部より下方に延出する脚が設けられるとよい。
【0024】
好ましくは、前記レールが前記スライド式ハッチカバー上に配置されると共に前記走行部が前記レール上に走行自在に配置され、かつ、前記シュート本体部が前記ハッチ口内に挿入されたとき、前記脚は前記ハッチ口内に挿入されるように前記シュート本体部に配設されるとよい。
【0025】
本開示によれば、大型の船舶にも対応できる安価な船積み用雨除け装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
図1は、シップローダ、船舶及び本実施の形態に係る船積み用雨除け装置の概略正面図である。
図2は、船舶にセットされた船積み用雨除け装置を斜め上方から視た概略斜視図である。
図3は、蓋部材の正面図である。なお、説明の便宜上、本実施の形態においては、スライド式ハッチカバーの開閉方向を左右方向とし、この左右方向に対して直角かつ水平な方向を前後方向とする。
【0028】
まず、シップローダ及び船舶について説明する。
【0029】
図1に示すように、シップローダ1は、岸壁2上に敷設されたレール3上を走行する走行部4と、走行部4に旋回自在に設けられた旋回部5と、旋回部5に俯仰自在に設けられたブーム6と、ブーム6の先端に吊下して設けられ穀物等の荷を船倉7内に供給するためのシュート部8とを備える。ブーム6には、岸壁2からの荷をシュート部8に移送するためのコンベア(図示せず)が設けられる。なお、荷は穀物に限るものではない。荷は、雨に濡れることが好ましくない他のバラ物であってもよい。
【0030】
また、シップローダ1には、後述するレールユニット30(
図10参照)及びシュートユニット58(
図12参照)等を昇降自在に吊り上げる荷揚げ装置18が設けられる。荷揚げ装置18は、ホイストで構成され、シップローダ1のブーム6に設けられる。
【0031】
船舶9は、貨物船である。船舶9は、上部開口10を有する船倉7と、上部開口10を開閉するスライド式ハッチカバー11とを備える。スライド式ハッチカバー11は、船舶9の左右両側に対向して一対設けられると共に、それぞれ左右方向(船幅方向)にスライド自在に設けられる。すなわち、スライド式ハッチカバー11は、左右両開き式であり、対向端12を互いに突き合わせることで上部開口10を閉じ、対向端12を互いに離間させることで上部開口10を開く。また、スライド式ハッチカバー11は、任意の間隔で上部開口10を開けるように形成される。以後、スライド式ハッチカバー11が開いて形成される開口をハッチ口13という。なお、スライド式ハッチカバー11は、船舶9の前後方向にスライド自在に設けられてもよい。
【0032】
次に、本実施の形態に係る船積み用雨除け装置について説明する。
【0033】
図1、
図2及び
図3に示すように、船積み用雨除け装置20は、スライド式ハッチカバー11上に配置されるレール19と、レール19に走行自在に設けられハッチ口13の一部を覆う船上シュート22と、ハッチ口13の他の部分を覆う蓋部材23とを備える。
【0034】
レール19は、左右のスライド式ハッチカバー11上に平行に、かつ、前後方向に延びて配置される。また、レール19は、ハッチ口13の前後方向の寸法より短いレール片21を、長手方向(前後方向)に複数連結して構成される。レール19の長さは、レール片21を所定数(例えば5本)連結したときハッチ口13の前後長さと概ね同じ長さとなるように設定される。なお、レール19は連結構造でなくともよい。この場合、1本のレール片21によりレール19が構成され、レール片21の長さは、ハッチ口13の長さと概ね同じに設定されるとよい。
【0035】
図4に示すように、レール片21は、それぞれ断面矩形枠状に形成されると共に、上面に長手方向に延びるスリット21aを有する。スリット21aは、レール片21の幅方向の中央に形成される。
【0036】
また、各レール片21には、ハッチ口13への水の浸入を止めるためのガード部材24がレール片21の長手方向に沿い、かつ、全長に亘って設けられる。ガード部材24は、L字鋼で構成され、水平方向に延びる水平部24aと、水平部24aのハッチ口13側の端で直角に起立される起立部24bとを備える。水平部24aは、レール片21の底面に重ねて固定される。水平部24aの底面には、スライド式ハッチカバー11上に載る止水材25が長手方向に沿って、かつ、重ねて固定される。止水材25は、弾性を有するゴムで構成され、緩衝材としても機能する。止水材25は、スライド式ハッチカバー11上に載ったとき、スライド式ハッチカバー11の凹凸に倣って変形してその凹凸を吸収する。止水材25は断面矩形状に形成される。止水材25の左右方向(幅方向)の寸法は、水平部24aと概ね同じに設定される。レール片21、ガード部材24及び止水材25の前後方向の長さは、同じに設定される。なお、ガード部材24は、起立部24bのみで構成されてもよい。この場合、ガード部材24はレール片21の側面に固定されるとよい。そして、止水材25はレール片21の底面に固定されるとよい。またさらに、止水材25は、ガード部材24及びレール片21に固定されなくともよい。すなわち、レール片21とスライド式ハッチカバー11との間には、止水材25が、スライド式ハッチカバー11に当接するように介在されるとよい。
【0037】
また、
図10及び
図11に示すように、レール片21の一端部には、レール片21同士を連結させるための雄連結具26が設けられ、他端部には、雄連結具26と係脱自在に連結される雌連結具27が設けられる。雄連結具26は、レール片21の一端部の左右両側に設けられ、レール片21の一端から延出される延出部26aと、延出部26aの先端部に設けられ下方に延びる連結ピン26bとを備える。雌連結具27は、レール片21の他端部の左右両側に設けられる受部27aと、受部27aに上下に延びて設けられ、連結ピン26bを挿入させる挿入穴27bとを備える。受部27aは水平な板状に形成されると共に、上下二段に形成される。
【0038】
図3及び
図10に示すように、左右のレール片21は、ガード部材24及び梁フレーム28を介して連結される。梁フレーム28は、ガード部材24の起立部24bからレール片21間の中央側に向けて延びる上段部28aと、これら上段部28aの先端から下方に延びる下延部28bと、これら下延部28b間に形成され水平方向に延びる下段部28cとを備える。上段部28aの基端は、ガード部材24の起立部24bに接続される。下延部28b及び下段部28cは、レール片21がスライド式ハッチカバー11上に配置されたときスライド式ハッチカバー11間に位置される。そして特に、左右の下延部28bの間隔は、ハッチ口13が予め決められた所定の間隔Xで開かれたとき、左右の下延部28bがスライド式ハッチカバー11の対向端12に近接されるように設定される。このように、下延部28b及び下段部28cがスライド式ハッチカバー11間に位置され、かつ、左右の下延部28bがスライド式ハッチカバー11の対向端12に近接されることにより、レール片21の左右方向の位置を規制することができる。このため、例えばレール片21が風などによって左右方向の力を受けた場合であっても、レール片21が左右方向にずれ動くことを防止又は抑制することができる。
【0039】
また、梁フレーム28は、左右のガード部材24に前後方向に間隔を隔てて複数設けられる。前後に離間された梁フレーム28には、船倉7内への落下を防ぐためのネット29が張設される。なお、ネット29は、左右のガード部材24に張設されてもよく、左右のレール片21に張設されてもよい。すなわち、ネット29は、レール片21間に設けられればいずれの部材間に張設されてもよい。
【0040】
このように、左右のレール片21を梁フレーム28を介して連結することではしご状のレールユニット30が構成される。このため、岸壁2及び船上間でレール片21を効率よく移送でき、スライド式ハッチカバー11上にレール片21を効率よく配置できる。
【0041】
図2及び
図8に示すように、船上シュート22は、レール片21に走行自在に設けられる走行部31と、シップローダ1からの荷を船倉7内に供給するためのシュート本体部32とを備える。
【0042】
走行部31は、板状に形成される走行基部33と、走行基部33に設けられた複数の固定キャスター34(
図4参照)とを備える。走行基部33は、上面視矩形状に形成される。固定キャスター34は、後述する蓋部材23のものと共通である。固定キャスター34は、走行基部33に固定され下方に延びる脚部35と、脚部35の下端に設けられる軸支部36と、軸支部36に回転自在に設けられる車輪37と、脚部35に設けられる抜け止め38とを備える。脚部35は断面円形のロッド状に形成される。また、脚部35はレール片21のスリット21aに貫通される。軸支部36は、レール片21内に配置され、二股状に形成されている。軸支部36には、車軸39が設けられる。車輪37は、車軸39に回転自在に設けられる。抜け止め38は、スリット21aより幅広の板状に形成され、上方に移動されたときレール片21の天井面21bに干渉するように構成される。これにより、固定キャスター34がスリット21aを通過してレール片21から脱輪することが防止される。
【0043】
図7及び
図8に示すように、シュート本体部32は、走行基部33の前後左右方向の中央に配置される。シュート本体部32は、上下方向に延びる円筒状に形成される。シュート本体部32は、その上部に形成され上方に向かうにつれて拡径されるテーパ管部32aと、テーパ管部32aの下端に接続され鉛直に延びる直管部32bとを備える。テーパ管部32aの上端は、シップローダ1のシュート部8より大径に形成されると共に、後述するカバー部材14の側板部17より小径に形成される。直管部32bは、走行基部33に上下に貫通されると共に、走行基部33に固定される。また、走行基部33より下方の直管部32bは、梁フレーム28に干渉しないような長さを有する。
【0044】
また、
図2に示すように、シップローダ1のシュート部8には、テーパ管部32aを上方から覆うカバー部材14が設けられる。また、カバー部材14は、テーパ管部32aに前後方向の力を加えるときにも用いられる。カバー部材14は、金属で構成される。カバー部材14は、シュート部8の外周から半径方向外側に延びる天板部15と、天板部15の外周端から下方に延びつつ拡径される傾斜板部16と、傾斜板部16の下端から下方に延びる筒状の側板部17とを備える。天板部15は、環状に形成され、天板部15の内周端は、溶接等によりシュート部8の外周に全周に亘って液密に接続される。これにより、シュート部8を伝って流れ落ちる雨水を天板部15で遮ることができ、シュート部8から吐出される荷が濡れることを防止または抑制できる。側板部17は、テーパ管部32aより大径に形成され、テーパ管部32aの外周を覆う。これにより、側板部17は、降雨が風に乗って側方からテーパ管部32a内に回り込むことを防止または抑制できる。そして、側板部17は、シュート部8が前後方向に移動されたとき、テーパ管部32aを内周面で押す。また、傾斜板部16及び側板部17は、側方から人体等が当たったとき、人体等を面で受け止め、人体等を保護する。
【0045】
なお、カバー部材14は、金属以外の比較的硬い素材で構成されてもよい。カバー部材14は、例えばグラスファイバー、強化プラスチック等の構造物用の素材で構成されてもよい。
【0046】
蓋部材23は、蛇腹状に形成され、船上シュート22の前後に配置される。また、蓋部材23は、船上シュート22の走行に応じて伸縮するように構成される。すなわち、船上シュート22が前方に走行したときには、船上シュート22より前方の蓋部材23が前方に縮退し、船上シュート22より後方の蓋部材23が前方に伸長する。船上シュート22が後方に走行したときには、船上シュート22より後方の蓋部材23が後方に縮退し、船上シュート22より後方の蓋部材23が後方に伸長する。また、蓋部材23の前後方向における一端は、船上シュート22に固定される。蓋部材23の前後方向における他端は、ハッチ口13の端部近傍のレール19(
図3参照)に着脱可能に固定される。なお、レール19が連結構造でない場合、蓋部材23の他端はレール19に取り外し出来ないように固定されてもよい。
【0047】
図3及び
図4に示すように、蓋部材23は、前後方向に伸縮可能に形成されたフレーム構造体40と、フレーム構造体40に設けられた止水シート41とを備える。
【0048】
フレーム構造体40は、左右のレール片21に跨がるアーチ状に形成された複数のアーチフレーム42と、これらアーチフレーム42同士を前後方向に近接離間自在に連結する伸縮リンク43とを備える。
【0049】
アーチフレーム42は、断面円形に形成される。これによりアーチフレーム42に接触した止水シート41が傷つくのを防止又は抑制する。
【0050】
また、アーチフレーム42は、左右方向の中央に形成され左右方向に延びる中央フレーム部44と、左右両端部に形成され上下方向に延びる起立フレーム部45と、弧状に形成され中央フレーム部44及び起立フレーム部45を接続する弧状フレーム部46と、伸縮リンク43と結合されるリンク受けフレーム部47とを備える。
【0051】
中央フレーム部44には、止水シート41の裏面が固定される。起立フレーム部45の下端には、上述した固定キャスター34が設けられる。また、起立フレーム部45には、弧状フレーム部46から下方に垂れる止水シート41を外方(ハッチ口13から離間する方向)に案内するガイドフレーム48が設けられる。ガイドフレーム48は、断面円形に形成される。ガイドフレーム48は、起立フレーム部45の上部から外方かつ斜め下方に延びる傾斜ガイド部48aと、傾斜ガイド部48aの下端から鉛直下方に延びる鉛直ガイド部48bとを備える。傾斜ガイド部48aと起立フレーム部45の間には、補強フレーム49が設けられる。鉛直ガイド部48bの下端は、レール片21の下端位置より低い位置に設定され、かつ、スライド式ハッチカバー11に接触しない程度の高さに設定される。鉛直ガイド部48bの下端には、止水シート41が留められる。
【0052】
弧状フレーム部46の外周部には、止水シート41の裏面が当接される。弧状フレーム部46の外周部は弧状に形成されるため、当接される止水シート41が傷むことを防止又は抑制する。
【0053】
リンク受けフレーム部47は、中央フレーム部44の左右方向の中央を境として左右対称に設けられる。具体的には、リンク受けフレーム部47は、左右方向の中央部から左右方向の外側に斜め下方に傾斜しつつ延びるスライドガイド部47aと、中央フレーム部44の左右の端部に設けられ下方に延びてスライドガイド部47aの先端に接続される支持フレーム部47bとを備える。
【0054】
図5及び
図6に示すように、伸縮リンク43は、一対の棒状フレーム50をピン51を介してX字状に結合してなる交差部材52を複数連結して構成される。交差部材52同士の連結は、棒状フレーム50の先端同士をピン51を介して結合することでなされる。また、交差部材52の端部は、スライドガイド部47aに左右方向に移動不能に設けられる固定端部52aと、スライドガイド部47aに左右方向にスライド可能に設けられる可動端部52bとに分類される。固定端部52aは、支持フレーム部47b側に位置され、スライドガイド部47aにピン51を介して回動自在に結合される。また、可動端部52bは、支持フレーム部47bとは反対側に位置され、ピン51を介してスライダ53に回動自在に結合される。スライダ53は、筒状の部材であり、スライドガイド部47aに軸方向スライド自在に設けられる。
【0055】
なお、代替的に、可動端部52bが支持フレーム部47b側に位置され、固定端部52aが支持フレーム部47bとは反対側に位置されてもよい。
【0056】
止水シート41は、柔軟なシートであり、樹脂で構成される。
図4に示すように、止水シート41は各アーチフレーム42の外側に設けられると共に、アーチフレーム42間で伸縮するように変形される。
【0057】
また、
図7、
図8及び
図9に示すように、船上シュート22の前端部及び後端部には、蓋部材23を縮めた状態で保持するための留め具54が設けられる。留め具54は、船上シュート22に前後対称に設けられる。このため、前側の留め具54についてのみ説明し、後側の留め具54については図面に同符号を付し、説明を省略する。また、前側の留め具54を構成する「前延部55b」は、後側の留め具54において「後延部55b」に読み替えるものとする。
【0058】
前側の留め具54は、走行基部33の前端部に設けられ前方に延びる支持ロッド55と、蓋部材23の端部に形成され、支持ロッド55の前端部に着脱自在に取り付けられる係止部56とを備える。
【0059】
支持ロッド55は、走行基部33の上面に左右に離間して一対設けられる。支持ロッド55は、走行基部33の上面に設けられ上方に延びる上延部55aと、上延部55aの上端から屈曲されて前方に延びる前延部55bと、前延部55bの前端に設けられ下方に延びる下延部55cとを備える。上延部55aは、蓋部材23より高い位置まで延びる。前延部55bは、蓋部材23より上方に位置され、縮めた状態の蓋部材23より前方に延びる。下延部55cは、板状に形成され、蓋部材23より上方に位置される。これにより、蓋部材23が伸長された場合であっても蓋部材23が前延部55b及び下延部55cに当接することはない。下延部55cには、係止部56を取り付けるためのボルト61を挿通させるネジ穴(図示せず)が形成される。ネジ穴は前後方向に延びて形成される。
【0060】
係止部56は、左右のレール片21に跨がるアーチ状に形成される。これにより、係止部56は、支持ロッド55の下延部55cに取り付けられたとき、蓋部材23のアーチフレーム42(
図3参照)に干渉して蓋部材23の伸長方向の移動を規制する。
図9に示すように、係止部56は、パイプをアーチ状に屈曲して形成された前後一対のアーチ部56aと、これらアーチ部56aを連結する連結部56bと、アーチ部56aに上方に延出して設けられ支持ロッド55の下延部55cに締結される締結ブラケット部56cとを備える。前後のアーチ部56a間には、図示しない止水用のシートが張設される。これにより、前後のアーチ部56a間に形成される空隙のうち、上部及び左右両側部の空隙が液密に閉じられる。連結部56bは、L字鋼で構成され、アーチ部56aの長手方向の中央部と両端部とに配置される。また特にアーチ部56aの両端部に配置される連結部56bは、レール片21に固定されるレール固定部57を構成する。
【0061】
レール固定部57は、レール片21上に載置されたときスリット21a内に挿入される連結部56bで構成される。具体的には、アーチ部56aの下端面には、断面L字状の連結部56bが重ね合わせて取り付けられる。これにより、連結部56bが下方に突出されることとなり、スリット21a内に挿入可能となる。また、レール固定部57には、ボルト63を螺合させるネジ穴(図示せず)が形成される。そして、レール片21には、ボルト63を挿通させるボルト穴(図示せず)が形成される。このボルト穴にボルト63を挿通させ、レール固定部57のネジ穴にボルト63を螺合させることでレール固定部57がレール片21に前後方向にロックされる。
【0062】
締結ブラケット部56cは、板状に形成され、蓋部材23と当接されるアーチ部56aとは反対側のアーチ部56aに設けられる。締結ブラケット部56cには、ボルト61を挿通させるネジ穴(図示せず)が形成される。ネジ穴は前後方向に延びて形成される。締結ブラケット部56cは、下延部55cにボルト61及びナット62で締結される。なお、締結ブラケット部56cは、蓋部材23と当接されるアーチ部56aに設けられてもよく、連結部56bに設けられてもよい。
【0063】
また、蓋部材23の他端には、ハッチ口13への雨水浸入を防止するための端部シート64が配設される。端部シート64は、止水シート41と同様に柔軟な樹脂で構成される。端部シート64は、蓋部材23の他端に位置されるアーチ部56aに、その上端縁から垂れ下げるように設けられる。また、端部シート64の下端は、スライド式ハッチカバー11の下端よりも下方に到達する。これにより、スライド式ハッチカバー11の側面間に形成されるハッチ口13も塞ぐことができ、ハッチ口13への雨水浸入をより効果的に防止又は抑制できる。
【0064】
このように、船上シュート22に留め具54を設けるため、船上シュート22を岸壁2及び船上間で移送する際には、
図8に示すように蓋部材23を縮退させ、その縮退させた蓋部材23を留め具54で留めることでレールユニット30ごとまとめてユニット化(以下、シュートユニット58)できる。そして、船上シュート22と、蓋部材23と、レールユニット30の一部とを迅速かつ容易に移送できる。
【0065】
なお、留め具54は、船上シュート22に前後対称に設けられなくともよい。例えば、支持ロッド55の左右方向の位置は、前後の留め具54で異なっていてもよい。
【0066】
次に本実施の形態の作用について述べる。
【0067】
船舶9に船積み用雨除け装置20を設置する場合、
図12に示すように、シップローダ1に設けた荷揚げ装置18を用い、岸壁2から船上にシュートユニット58を移送して設置する。このとき、
図3に示すように、スライド式ハッチカバー11は予め所定間隔Xだけ開いた状態にしておき、ハッチ口13を形成しておく。ここで所定間隔Xとは、梁フレーム28の長さL1及び下段部28cの長さL2によって決まる寸法であり、梁フレーム28の長さL2よりも小さく下段部28cの長さL1よりも大きな寸法に設定される。所定間隔Xは、例えば2mである。また、
図13に示すように、シュートユニット58は、ハッチ口13の前後方向(長手方向)の中央に位置されると共に、左右のレール片21がそれぞれスライド式ハッチカバー11上に位置されるように船上にセットする。
【0068】
この後、
図14に示すように、荷揚げ装置18を用いて岸壁2から船上に複数のレールユニット30を移送し、これらレールユニット30をシュートユニット58の前後のハッチ口13に設置する。このとき、隣り合うレールユニット30の雌連結具27(
図11参照)と雄連結具26を互いに結合させる。具体的には、雄連結具26の連結ピン26bを雌連結具27の挿入穴27bに挿入させることで雌連結具27と雄連結具26を結合させる。これにより、前後に隣り合うレール片21同士が位置合わせされた状態で固定される。
【0069】
この後、下延部55c及び締結ブラケット部56cからボルト61及びナット62を取り外すと共に、レール固定部57のネジ穴からボルト63を取り外す。そして、レール片21及び支持ロッド55から係止部56を取り外し、
図15に示すように、船上シュート22の前後に位置される蓋部材23をそれぞれ伸長させる。このとき、支持ロッド55の前延部55b、後延部55b及び下延部55cは、蓋部材23より上方に位置される。このため、蓋部材23を伸長させるとき、支持ロッド55が蓋部材23に干渉することはない。蓋部材23がハッチ口13の前後の端部近傍まで伸長されたら、ハッチ口13の前後の端部近傍のレール片21に蓋部材23の係止部56をボルト63で固定させる。これにより、ハッチ口13が船上シュート22と蓋部材23とによって全長に亘って塞がれる。そして、シュート本体部32の部分を除き、降雨が浸入することはない。なお、シュート本体部32には、その上端開口を必要に応じて塞ぐ蓋(図示せず)を設けてもよい。
【0070】
この後、
図16に示すように、シュート本体部32内にシップローダ1のシュート部8を挿入させる。シュート本体部32内にシップローダ1のシュート部8が挿入された後、シュート本体部32の上方及び側方は、カバー部材14によって覆われる。これにより、シュート本体部32内に降雨が浸入することも防止または抑制される。
【0071】
シップローダ1のシュート部8からシュート本体部32内に投入された荷Bは、落下防止用のネット29を通過して船倉7内に投入される。
【0072】
次に、シュート部8をシュート本体部32に挿入したまま、シップローダ1を適宜前後方向に走行させて荷Bの投入位置を前後方向に移動させる。例えば、
図17及び
図18に示すように、シップローダ1のシュート部8が前方に移動された場合、シュート本体部32はカバー部材14から前方への力を受ける。これにより、船上シュート22はレール片21に沿って前方に走行する。そして、船上シュート22より前方の蓋部材23は縮退され、船上シュート22より後方の蓋部材23は伸長される。このため、船上シュート22が前方に移動されてもハッチ口13が開放されることはなく、船倉7内に降雨が入ることが防止又は抑制される。
【0073】
また、船上シュート22が前後に走行されることにより、船倉7内に荷Bを前後方向に分散させて積み込むことができる。これにより、船倉7内に荷Bを高い充足率で積み込むことができる。なお、図中の一点鎖線は、船上シュート22を後方に走行させたときの後端位置である。船上シュート22が走行可能な範囲は、蓋部材23を伸縮させたときの最長長さ及び最短長さによって決まる。
【0074】
以降、各船倉7毎に上述の作業を繰り返す。
【0075】
このように、船積み用雨除け装置20が、レール19と、レール19上に走行自在に設けられる船上シュート22と、蓋部材23とを備え、蓋部材23が船上シュート22の前後にそれぞれ配置されると共に、船上シュート22の走行に応じて伸縮するように構成される。このため、簡易な構造で安価にハッチ口13を塞ぐことができ、大型の船舶9であっても容易に対応できる。そして、船上シュート22を前後方向に走行させつつ荷Bを積み込むことで船倉7内に荷Bを高い充足率で積み込みことができる。
【0076】
蓋部材23は、レール19に走行自在に設けられる。このため、蓋部材23を安定して伸縮させることができる。
【0077】
蓋部材23は、蛇腹状に形成される。このため、蓋部材23を簡易な構造にでき、安定して伸縮させることができる。
【0078】
蓋部材23は、船上シュート22に固定される一端と、ハッチ口13の端部近傍のレール19に固定される他端とを有する。このため、蓋部材23を簡易な構造で船上シュート22の走行に応じて伸縮するものにできる。また、蓋部材23の他端をレール19に固定しつつ、蓋部材23の一端を船上シュート22の移動に応じて円滑に伸縮方向に移動できる。
【0079】
ちなみに、蓋部材23の他端を船体に固定することが考えられる。しかし、船体に対する加工が必要となり、本実施の形態より構造が複雑化する。また、蓋部材23の他端を、重錘等の別部材に固定することが考えられる。しかし、本実施の形態より船上に移送すべき部品の点数が増え、構造が複雑化する。本実施の形態のように、蓋部材23の他端をレール片21に固定させることにより、簡単な構造で蓋部材23の他端を固定できる。
【0080】
レール19は、複数のレール片21を長手方向に連結して構成され、蓋部材23の他端は、ハッチ口13の端部近傍のレール19に着脱可能に固定される。このため、レール19の取り扱いを容易にでき、例えば岸壁2から船上にレール19を移送して設置する作業等を簡単にできる。
【0081】
船上シュート22には、蓋部材23を縮めた状態で保持する留め具54が設けられる。このため、船上シュート22と蓋部材23とをコンパクトにまとめることができ、船上シュート22及び蓋部材23を容易に取り扱うことができる。例えば、ハッチ口13に船上シュート22及び蓋部材23を一括して配置することができる。また、使用しないときには、倉庫等に船上シュート22及び蓋部材23を小さな面積で収容できる。
【0082】
留め具54は、レール19に固定されるレール固定部57を備える。このため、船上シュート22及び蓋部材23をレール19と共にコンパクトにまとめることができ、船上シュート22、蓋部材23及びレール19をさらに容易に取り扱うことができる。例えば、ハッチ口13に船上シュート22、蓋部材23及びレール19を配置するとき、船上シュート22及び蓋部材23をレール19上にセットした状態でハッチ口13上に配置できる。また、ハッチ口13上から船上シュート22及び蓋部材23を撤去するときには、レール19から船上シュート22及び蓋部材23を取り外す必要がなく、容易かつ迅速に撤去することができる。
【0083】
左右のレール19が、梁フレーム28を介して連結される。このため、左右のスライド式ハッチカバー11上にレール19を配置するとき、左右のレール19の間隔を一定に保持したまま、レール19を容易に配置できる。
【0084】
左右のレール19間には、船倉7内への落下を防ぐためのネット29が設けられる。このため、スライド式ハッチカバー11上に置かれた物品や作業員等が左右のレール19間に位置されるハッチ口13から船倉7内に落下することを防止又は抑制することができる。
【0085】
レール19には、ハッチ口13への水の浸入を止めるためのガード部材24が、レール19の長手方向に沿って設けられる。このため、ハッチ口13に向かう雨水をガード部材24で止め、船倉7内に雨水等が浸入することを防止又は抑制することができる。
【0086】
レール19とスライド式ハッチカバー11との間には、弾性を有し、スライド式ハッチカバー11の凹凸を吸収する止水材25が介在される。このため、レール19とスライド式ハッチカバー11との間からハッチ口13に向かう雨水を止めることができる。
【0087】
また、蓋部材23の他端には、ハッチ口13への雨水浸入を防止するための端部シート64が配設される。このため、蓋部材23の他端からハッチ口13に向かう雨水を止めることができる。
【0088】
以上、本開示の実施形態を詳細に述べたが、本開示は以下のような他の実施形態も可能である。
【0089】
(1)船上シュート22は、カバー部材14から押されて走行されるものとしたが、これに限るものではない。例えば、船上シュート22は、シュート部8から直接押されるものであってもよい。また、船上シュート22は人手で押すことで走行させるものであってもよい。この場合、シュート本体部32には、手押し用の取っ手(図示せず)が設けられるとよい。またさらに、船上シュート22はモーター等の駆動装置(図示せず)を有し、自力で移動してもよい。
【0090】
(2)蓋部材23は、蛇腹状に形成されるものとしたがこれに限るものではない。蓋部材23は、船上シュート22の走行に応じて伸縮するものであればよい。例えば、
図19に示すように、蓋部材23は、複数の蓋板材59、60を軸方向スライド自在に、かつ、テレスコピック状に連結したものであってもよい。
【0091】
(3)スライド式ハッチカバー11には、様々なサイズのものがあり、スライド式ハッチカバー11の前後方向(スライド式ハッチカバー11の開閉方向に対して直交する方向)の長さも一定でない。このため、レール19は、
図10に示すレール片21と、これとは長さが異なるレール片65(
図20参照)とを組み合わせて構成されてもよい。すなわち、レール19は、長さが異なる複数種類のレール片21、65を長手方向に複数連結して構成されてもよい。この場合、レール片21は、容易に取り扱うことができる上限長さaに設定されるとよく、レール片65はレール片21より短い長さbに設定されるとよい。そして、できるだけ多くのレール片21を使い、不足分を1つ又は複数のレール片65で補うとよい。レール片21、65の連結作業の回数を抑えつつレール19の長さをスライド式ハッチカバー11の前後方向の長さに近づけることができる。また、レール片21、65とは長さが異なる他のレール片(図示せず)がさらに用意されてもよいのは勿論である。使用するレール片をさらに自由に取捨選択でき、レール19の長さをスライド式ハッチカバー11の前後方向の長さにさらに近づけることができる。
【0092】
(4)
図21及び
図22に示すように、船上シュート22の走行部4及び蓋部材23のいずれか一方又は両方には、荷の状況を目視するための窓66、67が設けられてもよい。また、船上シュート22の走行部4及び蓋部材23には、これらを支持するための脚68、69が設けられてもよい。窓66、67及び脚68、69を備えた船積み用雨除け装置(他の実施の形態)について説明する。なお、上述と同様の構成については説明を省略し、同符号を付す。
【0093】
蓋部材23は、前後方向に伸縮可能に形成された複数のフレーム構造体40と、フレーム構造体40間及びフレーム構造体40の前後方向の端部に設けられたフレーム支持部70と、それぞれのフレーム構造体40に設けられた止水シート41とを備える。
【0094】
図23及び
図24に示すように、フレーム支持部70はフレーム構造体40を支持するためのものである。フレーム支持部70は、左右方向に延びるアーチ状に形成された前後一対の支持アーチ部71と、これら支持アーチ部71を接続する左右一対の基部72と、前後の支持アーチ部71を接続する棟部73とを備える。
【0095】
支持アーチ部71は、前後方向に離間して配置される。支持アーチ部71は、アーチフレーム42と概ね同じ形状に形成されると共に、左右方向及び上下方向の外寸を概ね同じに設定される。基部72は、前後方向に延びて形成され、支持アーチ部71の左右両側に配設される。基部72の下端には、固定キャスター34が設けられる。棟部73は、前後方向に延びて形成され支持アーチ部71の左右の中央位置に配設される。
【0096】
また、それぞれの支持アーチ部71には、第1中間フレーム74が設けられる。第1中間フレーム74は、左右方向に延びて形成され、支持アーチ部71の左右の下端部間に設けられる。第1中間フレーム74は、両端を支持アーチ部71に接続される。また、第1中間フレーム74には、第2中間フレーム75が左右方向に離間して一対設けられる。第2中間フレーム75は、前後方向に延びて形成され前後の第1中間フレーム74間に設けられる。第2中間フレーム75は両端を第1中間フレーム74に接続される。
【0097】
また、第2中間フレーム75には、第1脚68が設けられる。第1脚68は、シュートユニット58をスライド式ハッチカバー11上等の船上に載置するためのものである。第1脚68は、第2中間フレーム75から下方に延びると共に、シュート本体部32より下方に延出される。また、第1脚68は、シュートユニット58がハッチ口13上に設置されたとき、ハッチ口13内に挿入されるように配置される。
【0098】
また、本実施の形態において、シュートユニット58が岸壁2及び船上間で移送されるときシュートユニット58と共にユニット化されるレール片21には、梁フレーム28及びネット29は設けられない。また、シュートユニット58の前方及び後方に配置されるレールユニット30の梁フレーム28は、その下段部28cを第1脚68及び後述する第2脚69より下方に位置させるように形成される。これにより、第1脚68及び第2脚69は、梁フレーム28及びネット29に干渉しない。
【0099】
また、前後の支持アーチ部71には、前後の支持アーチ部71間を塞ぐように雨除けシート76が設けられる。雨除けシート76は、撥水加工が施された布、樹脂等の水を通さない材料で構成される。また、雨除けシート76には、第1窓66が設けられる。第1窓66は、船上から船倉7内を覗くためのものであり、ガラス、樹脂等の透明かつ水を透過させない材料で構成される。第1窓66は、フレーム支持部70の左右の側面及び上面に配設される。特にフレーム支持部70の上面に配設される第1窓66は、第2中間フレーム75より左右の中央側に配置されており、第2中間フレーム75によって視界を遮られないようになっている。
【0100】
また、船上シュート22の走行基部33には、第2窓67が設けられる。第2窓67は、シュート本体部32の外周を囲むように走行基部33の複数箇所に配設される。具体的には、第2窓67は、シュート本体部32の斜め右前方、斜め左前方、斜め右後方及び斜め左後方の4カ所に配置される。第2窓67は、ガラス、樹脂等の透明かつ水を透過させない材料で構成される。また、第2窓67の上方には、第2窓67を保護するための保護部材77が設けられる。保護部材77は、エキスパンドメタル、グレーチング等の網状の床材で構成される。なお、第2窓67が強化ガラス、ポリカーボネート等の十分強固な材料で構成される場合、保護部材77は省略されてもよい。また、保護部材77が、強化ガラス、ポリカーボネート等の透明かつ強固な材料で構成されてもよい。
【0101】
また、船上シュート22の走行基部33には、第2脚69が設けられる。第2脚69は、シュートユニット58をスライド式ハッチカバー11上等の船上に載置するためのものである。第2脚69は、板状の走行基部33から下方に延びると共に、シュート本体部32より下方に延出される。そして、第2脚69は、その高さ方向の下端位置を第1脚68の下端位置と同じにするように形成される。また、第2脚69は、シュートユニット58がハッチ口13上に設置されたとき、ハッチ口13内に挿入されるように配置される。
【0102】
図1から
図18に係る実施形態のシュートユニット58では、スライド式ハッチカバー11間にハッチ口13を形成した状態で岸壁2からハッチ口13にシュートユニット58を移送する必要があった。このため、岸壁2からハッチ口13にシュートユニット58を移送している間はハッチ口13が開放されることとなる。また、仮にシュートユニット58をスライド式ハッチカバー11上に仮置きした場合、梁フレーム28が傷む可能性があると共に、シュート本体部32がスライド式ハッチカバー11に当たって傷む可能性があった。
【0103】
そこで、本実施の形態では、走行部4の走行基部33及び蓋部材23に、シュート本体部32より下方に延出する脚68、69を設ける。このため、岸壁2から船上にシュートユニット58を移送するとき、シュートユニット58を一旦スライド式ハッチカバー11上等の船上に仮置きできる。このため、岸壁2から船上にシュートユニット58を移送している最中にスライド式ハッチカバー11を閉じておくことができ、船倉7内の荷が雨水で濡れることをさらに抑制できる。
【0104】
前述の各実施形態の構成は、特に矛盾が無い限り、部分的にまたは全体的に組み合わせることが可能である。本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。