(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
床面近くに傾動手段を設けて、座を任意の方向へ傾動可能とした椅子において、該傾動手段は、コイルドウェーブスプリングをバネ押えとバネ受けで挟み、バネ押えが傾動可能に中心を取付ボルトで締結され、座が所定角度傾斜すると当接する凸円錐形の係止部材が該コイルドウェーブスプリングの内側で該バネ押えまたはバネ受けに固設されたものであり、座は、ガスシリンダを内装した脚柱の上端に固設し、該脚柱の下端は該バネ押えに固設されたことを特徴とする傾動可能なスツール。
床面近くに傾動手段を設けて、座を任意の方向へ傾動可能とした椅子において、該傾動手段は、コイルドウェーブスプリングをバネ押えとバネ受けで挟み、バネ押えが傾動可能に中心が取付ボルトで締結され、座が所定角度傾斜すると当接する凸円錐形の係止部材が該コイルドウェーブスプリングの内側で該バネ押えまたはバネ受けに固設されたものであり、座は、固定長さの脚柱の上端または寸胴鍋状の支持体の上端に固設され、該脚柱または支持体の下端は該バネ押えに固設され、該バネ受けの裏面には回動部材が設けられたことを特徴とする傾動可能なスツール。
前記寸胴鍋状の支持体の上端に設ける座を脱着可能として、該支持体の中を物品の収納スペースとし、または、座を支持体の上端に固設して支持体の側面に複数の開口部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の傾動可能なスツール。
床面近くに傾動手段を設けて、座を任意の方向へ傾動可能とした椅子であって、該傾動手段は、コイルドウェーブスプリングをバネ押えとバネ受けで挟み、バネ押えが傾動可能に中心が取付ボルトで締結され、座が所定角度傾斜すると当接する凸円錐形の係止部材が該コイルドウェーブスプリングの内側で該バネ押えまたはバネ受けに固設されたものであり、上端に肘掛けが設けられ、座の下方から座の両側へ凹字状に形成された支持体を設け、または、背もたれと一体の座の下部に支持台を固設し、該支持体または支持台の下端は該バネ押えに固設され、該バネ受けはベース上に回動部材を介して取り付けられたことを特徴とする傾動可能なラウンジチェア。
前記バネ押えとバネ受けの間に座が傾斜すると付勢する弾性部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の傾動可能なスツールまたはラウンジチェア。
前記コイルドウェーブスプリングの外側へ同心円状に、高さの異なる複数個の係止凸部を四方に形成した係止リングを回動可能に設け、前記バネ押えの裏面に該係止凸部に当接するストッパを四方に固設し、該係止リングには回転させるためのレバーを付設し、座の傾動限度を変更できるようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の傾動可能なスツールまたはラウンジチェア。
座の傾動限度を変えるため前記係止リングを回動させるとき、係止凸部が簡便に所定の位置に移動されるように、前記係止リングの外周に係合溝と複数個の係止穴を設けるとともに、該外周の外側にバネで該係止穴へ嵌合する係止部材を設け、前記係止リングを回動させたとき、該係止部材が係止穴へ嵌合して位置決めされる位置決め手段を設けたことを特徴とする請求項6に記載の傾動可能なスツールまたはラウンジチェア。
前記コイルドウェーブスプリングの傾動に対する強さを変更するため、前記バネ抑えの上面中央または前記バネ受けの裏面中央に固設されたナットにねじ込まれた取付ボルトの先端に回動レバーを付設し、バネ押えとバネ受けとの距離を変更できるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の傾動可能なスツールまたはラウンジチェア。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の揺動可能なスツールは、支柱を第1と第2の揺動リンクで支持した状態でスツールの台座である基台部分に接続したことにより、弾性部材に対して着座した人の体重が直接加わらないので、弾性部材の反発力を低く抑えることができ、また、揺動動作自体をスムーズにできる。
しかしながら、特許文献1の傾動機構は、第1と第2のリンクでユニバーサルとし、コイルスプリングを6個配置しているので、傾動する方向によって傾動の感じが異なり、構造が複雑で、部品数も多く、高価なものとなっている。また、傾動する限度角は、変えることができないので、人によっては傾きすぎて危険を感じる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、簡素でコンパクトな構造で任意の方向へ傾動できる、また、傾きの限度を着座者が簡便に変更できる傾動可能なスツールまたはラウンジチェアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の傾動可能なスツールは、次のように構成した。すなわち、床面近くに傾動手段を設けて、座を任意の方向へ傾動可能とした椅子において、該傾動手段は、コイルドウェーブスプリングをバネ押えとバネ受けで挟み、バネ押えが傾動可能に中心を取付ボルトで締結され、座が所定角度傾斜すると当接する凸円錐形の係止部材が該コイルドウェーブスプリングの内側で該バネ押えまたはバネ受けに固設されたものであり、座は、ガスシリンダを内装した脚柱の上端に固設し、該脚柱の下端は該バネ押えに固設されたことを特徴としている。
【0008】
このスツールは、上下に伸縮できるようにガスシリンダを備えている。高さは任意であるが、高いものに適している。なお、ガスシリンダは、回動自在であるが、座に方向性を備えた場合は、回転自動復帰の機構を備えたものとしてもよい。
【0009】
傾動手段は、コイルドウェーブスプリングをバネ押えとバネ受けで挟み、バネ押えが傾動できるように中心を取付ボルトで締結する。そして、バネ押えが所定角度傾斜するとそれ以上傾斜しないように当接する係止部材を該バネ押えまたはバネ受けに設ける。
バネ受けは、床面に載置されるベース上に固設され、バネ押えは脚柱の下端に固設している。
コイルドウェーブスプリングは、JSMA(日本バネ工業会の規格)SB009に規定されているもので、帯状のばね鋼をコイル状に巻き回すとともに、ばね鋼の長さ方向に連続する波型を形成した圧縮型コイルばねである。
【0010】
なお、コイルドウェーブスプリングのみでは、付勢力が不足したり、フィーリングが思わしくない場合は、請求項5に記載のように、バネ押えとバネ受けの間に座が傾斜すると付勢する弾性部材を設けるとよい。弾性部材としては、硬質ゴムやコイルばねを使用できる。
座の傾動に伴ってコイルドウェーブスプリングが撓んでバネ押えが傾くように取付けボルトには球面部材を設けるとともにバネ押えまたはバネ受けには該球面部材に嵌合する凹球面部を設ける。
この凹球面部は、バネ押え近くまたはバネ受け近くのいずれかに設ける。バネ押え近くに設けた場合はバネ押えが傾動しても取付ボルトは傾動しないが、バネ受け近くに設けた場合は取付ボルトが傾動する。
【0011】
請求項2の発明の傾動可能なスツールは、床面近くに傾動手段を設けて、座を任意の方向へ傾動可能とした椅子において、該傾動手段は、コイルドウェーブスプリングをバネ押えとバネ受けで挟み、バネ押えが傾動可能に中心が取付ボルトで締結され、座が所定角度傾斜すると当接する凸円錐形の係止部材が該コイルドウェーブスプリングの内側で該バネ押えまたはバネ受けに固設されたものであり、座は、固定長さの脚柱の上端または寸胴鍋状の支持体の上端に固設され、該脚柱または支持体の下端は該バネ押えに固設され、該バネ受けの裏面には回動部材が設けられたことを特徴としている。
【0012】
このスツールは、座の高さが一定であるスツールであり、傾動手段はベースに回動部材を介して設けている。高さが500mm以上のものの場合は、脚柱の上端に座を固設し、下端は上記と同様の傾動手段のバネ押えに固設する。
座の高さが低い場合は、寸胴鍋状の支持体の上端に座を固設し、該支持体の下端を該バネ押えに固設し、該バネ受けは回動部材を介してベースに固設する。
なお、回動部材はコイルドウェーブスプリングの中心を中心としてバネ受けが回動可能に設けられるもので、特に限定しないが、スラストベアリングを使用するのが望ましい。
これは、スツールでは、着座者が傾動させるだけでなく回転も同時に行われるのが一般的なので、コイルドウェーブスプリングへ回転力を負荷させない意味もある。
【0013】
支持体を寸胴鍋状とした場合は、支持体の中を物品の収納スペースとして使用できる。収納スペースとして使用するには請求項3に記載のように、支持体の上端の座を脱着可能にするか、座を支持体の上端に固設して支持体の側面に複数の開口部を設ける構造とするとよい。
なお、支持体は寸胴鍋状、すなわち、座の外周の径の円筒形のものに限定するものではなく、下方に漸次大きくしたものや中央部を絞ったものなども含まれる。また、デザイン上の観点から凹凸を形成してもよい。
【0014】
請求項4の発明は、一人でくつろいで座る椅子であるラウンジチェアであり、床面近くに傾動手段を設けて、座を任意の方向へ傾動可能としたものである。傾動手段は、上記の発明と同様に、コイルドウェーブスプリングをバネ押えとバネ受けで挟み、バネ押えが傾動可能に中心が取付ボルトで締結され、座が所定角度傾斜すると当接する凸円錐形の係止部材が該コイルドウェーブスプリングの内側で該バネ押えまたはバネ受けに固設されたものであり、上端に肘掛けが固設された支持体を座の下方から座の両側へ凹字状に形成し、該支持体の下端を該バネ押えに固設する。あるいは、背もたれと一体の座の下部に支持台を固設し、該支持台の下端を該バネ押えに固設する。そして、該バネ受けはベース上に回動部材を介して取り付けている。このラウンジチェアは、いずれの方向へも傾動でき回転させることもできる。
【0015】
座が傾動できる限度は、丸椅子のように前後左右の方向性がない場合は、一定の角度でよいが、ラウンジチェアのように背もたれがあるような場合は、係止部材の円錐状の形状を変えて背側の傾動限度角を前および左右より小さくしてもよい。
また、座の傾動限度角は、体格や年齢、性別などで異なり、着座者によって変えたい場合がある。この場合は、上記傾動手段の係止部材が当接したときの角度を最大として、これより小さくした複数の傾動限度角を、着座者が適宜選定できるようにして設けるとよい。
【0016】
これは、請求項6に記載のように、コイルドウェーブスプリングの外側へ同心円状に、高さの異なる複数個の係止凸部を四方に形成した係止リングを回動可能に設け、前記バネ押えの裏面に該係止凸部に当接するストッパを四方に固設し、該係止リングには回転させるためのレバーを付設し、座の傾動限度を切換えできるようにするのがよい。なお、係止リングの回動手段は、案内部材に係止リングをガイドさせて回動させるなど種々の構造が考えられ特に限定しない。
【0017】
傾動限度角は、2〜4種でよい。
ここで、「複数個の係止凸部を四方に」という意味は、円を十字状に四分割し、各エリアに高さの異なる係止凸部をワンセットずつ設けることをいう。これにより、座をいずれの方向へ傾けても傾斜限度角になると、バネ押えのストッパが同じ高さの係止凸部に当接する。
傾動限度角を切換える場合は、所望の限度角の係止凸部がバネ押えのストッパの真下に位置するように係止リングを回動させる必要がある。
これを簡便に行うには、請求項7に記載のように、係止リングの外周に係合溝と複数個の係止穴を設けるとともに、該外周の外側にバネで該係止穴へ嵌合する係止部材を設け、座の傾動限度角を変えるため前記係止リングを回動させたとき、該係止部材が係止穴へ嵌合し、係止リングが位置決めされる位置決め手段を設けるのが望ましい。
【0018】
また、座の傾動に対する反力の程度も、座り心地に影響する。この点については、コイルドウェーブスプリングの取付状態、すなわち、バネ押えとバネ受けとの間隔を変えることで調整できる。この調整は、請求項8に記載のように、バネ抑えの上面中央またはバネ受けの裏面中央に固設されたナットにねじ込まれた取付ボルトの先端に回動レバーを付設し、バネ押えとバネ受けとの距離を変更できるようにすればよい。なお、傾動手段の取付けボルトが頭部を上にしている場合は、バネ受けの下方で調整することになるので、ベースの中央を底上げし、作業を容易にするためのスペースを設けるとよい。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明の傾動可能なスツールは、床面近くに設ける傾動手段がコイルドウェーブスプリングをバネ押えとバネ受けで挟み、中心を取付ボルトで傾動可能に締結され、座が所定角度傾斜すると当接する係止部材が該バネ押えに設けられたものであり、座は、ガスシリンダを内装した脚柱の上端に固設され、該脚柱の下端は該バネ押えに固設されたものとしたので、従来のようなトラニオンやユニバーサル機構を設ける必要がなくコンパクトな構造にできる。しかも、いずれの方向にも同じ力で傾動するので、フィーリングが極めてよい。
【0020】
また、請求項2の発明は、床面近くに設ける傾動手段を請求項1の発明と同じくし、昇降装置を備えず座の高さは一定で、脚柱の上端に座が固設され、脚柱の下端は該バネ押えに固設され、該バネ受けは回動部材を介してベースに固設しているので、コイルドウェーブスプリングに回転力が負荷されず耐久性に優れている。また、寸胴鍋状の支持体の上端に座を固設した場合は支持体内を収納スペースとして利用できる。
【0021】
また、請求項4の発明は、床面近くに設ける傾動手段を請求項2の発明と同じくし、座の下方に設けた支持台または支持体の下端は該バネ押えに固設され、該バネ受けはベース上に回動部材を介して取り付けられているので、いずれの方向へも傾動させることができ、回転も自在であるので、従来にはないラウンジチェアとなった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】請求項1の発明の傾動可能なスツールの実施の形態を示す全体正面断面図である。
【
図3】同、座の傾斜限度角切換手段を付設した断面図で、座が3度傾斜した状態を示す。
【
図5】同、傾動手段および傾斜角切換手段の分解斜視図である。
【
図6】同、コイルドウェーブスプリングの傾動に対するこわさの調整手段の説明図である。
【
図7】同、別の傾動可能なスツールの実施の形態を示す全体断面図である。
【
図8】同、傾動手段の別の実施の形態を示す全体断面図である。
【
図9】同、弾性部材を追加した傾動手段の実施の形態を示す断面図である。
【
図10】同、請求項2の発明の傾動可能なスツールの実施の形態を示す全体断面図である。
【
図11】同、請求項2の発明の別の傾動可能なスツールの実施の形態を示す全体断面図である。
【
図12】同、傾動手段および回動部材の詳細を示す詳細図である。
【
図13】同、座部を傾動させたときの傾動手段の状態を示す断面図である。
【
図14】同、請求項2の発明の別の傾動可能なスツールの例を示す斜視図である。
【
図15】同、請求項4の発明のラウンジチェアの実施の形態を示す斜視図である。
【
図16】同、請求項4の発明の別のラウンジチェアの実施の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の傾動可能なスツールの実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、請求項1の発明のスツールの全体を示す正面断面図であり、
図2は
図1のA部拡大図である。
図3は傾斜角度切換手段を設けた実施の形態を示す断面図、
図4は
図3のB−B視図である。また、
図5は傾動手段、傾斜角切換手段およびコイルドウェーブスプリングの傾動に対するこわさの調整手段の分解斜視図である。
図6は、コイルドウェーブスプリングの傾動に対するこわさの調整を行うための手段の説明図である。
【0024】
このスツールは、ガスシリンダ4を内装した脚柱2の上端に座部1が回動自在に取り付けられ、下端は、傾動手段10を介してベース8に取り付けられている。座部1の下部に設けたレバー6を操作することによりガスシリンダ4が作動し、座は昇降する。なお、ガスシリンダ4は上下2個の上カバー3a、下カバー3bで覆われている。また、スツールの全高は、ここでは、840mmで上下動のストロークは260mmとしている。
【0025】
傾動手段10は、バネ押え11とバネ受け12でコイルドウェーブスプリング13を上下から挟んでその中央を取付ボルト16で締結している。そして、コイルドウェーブスプリング13の内側には、バネ受け12にボルト14cで取り付けられた上面が円錐状の係止部材14と、その上部に対向してバネ押え11にボルト15aで取り付けられた下面が平坦な当接部材15が設けられている。
【0026】
係止部材14および当接部材15は円盤状で外周部はコイルドウェーブスプリング13のバネ案内となっており、中央部に穴が開けられ、取付けボルト16が下方から嵌挿されバネ抑え11に固設された固設ナット11bに締結されている。取付けボルト16は下端側を頭部とし、首部には球面部材17が設けられ、係止部材14には球面部材17が嵌合する凹球面部14aが形成されている。
図2において、18は回り止めのためのナットである。
【0027】
傾動手段10は、このように構成されているので、着座者がいずれかの方向へ体重をかけて傾けると、コイルドウェーブスプリング13が撓み、脚柱2が傾動し、バネ押え11が傾く。このとき、取付ボルト16の球面部材17が係止部材14の凹球面部14aに嵌合し、取付けボルト16が傾く。そして、座部1が所定の角度(ここでは、8度としている)傾くと、係止部材14の円錐状の上面が平坦な当接部材15の下面に当接し、それ以上は傾動しない。
【0028】
傾動の程度は、転倒の虞などから、所定の角度に制限する必要があるが、この実施の形態では、傾動最大角度を8度とし、このとき、係止部材14が当接部材15に当接するようにしている。
この傾動角度は、着座者によっても個人差があるので、
図1および
図2では記載されていないが、着座者が調整できる傾動角として6度と4.5度と、3度に切換えられる傾動角切換手段20を備えた実施例を次に説明する。
【0029】
この傾動角切換手段20は、
図3〜
図5に示すように、コイルドウェーブスプリング13の外側に同心円状に設けた係止リング21と、その外周に配置されたリングガイド25と、傾動限度角を切換える切換器26と、バネ押え11の裏面に固設したストッパ11cとから構成されている。
【0030】
係止リング21は、外周にガイド溝22が設けられ、リングガイド25に設けた係止材25aに係合して回動自在に設けられている。そして、係止リング21にはこれを手動で回動させるためのレバー23が付設されている。
また、係止リング21の上面には、傾動制限角度がここでは、3度、6度のときに、ストッパ11cと当接する高さの異なる係止凸部21a、21bと、8度以上(ここでは10度としている)でストッパ11cに当接する係止凸部21cが4分の1円毎に円周4箇所に設けられている。なお、ここで係止凸部21cを選択したときは、傾斜角度が8度になると係止部材14が当接部材15に当接してそれ以上傾斜しない。
【0031】
リングガイド25は、円弧状で、係止リング21の外周の2箇所に配置され、ガイド溝22に係合する係止材25aを備えている。
切換器26は、係止リング21を回動させて所望の傾動限度角の係止凸部がストッパ11cの真下に位置するように位置決めするもので、リングガイド25と同様の形状をしており、バネとボールからなるストッパ26aを備えている。
ストッパ26aは、係止リング21に設けた溝と係止穴からなる位置決めガイド24と係合し、所定の位置にくるとストッパ26aのボールが位置決めガイド24の係止穴に嵌合して係止リング21の位置を保持する。
【0032】
傾動角切換手段20は、このように構成されているので、着座者は、一度いずれかの方向へ身体を倒して座1を傾動させ、バネ押え11のストッパ11cが係止したときの傾動限度角が適当でない場合は、レバー23を操作して切換えることができる。
レバー23を操作して係止リング21を回動させると、ストッパ11cと対向する係止凸部21a〜21cの位置が変わり、ストッパ26aが位置決めガイド24に係合して、所定の位置(ストッパ11cの真下)にくるとロックされる。その傾動角度が適当でない場合は、さらに係止リング21を回動させて傾動限度角を切換えることができる。
【0033】
次に、座を傾動させるに必要な力(傾動こわさ)の調整を行うバネこわさ調整手段30について説明する。なお、
図6は、これの説明図で、見やすくするため、上記の傾動角切換手段20は省略している。
このバネこわさ調整手段30は、コイルドウェーブスプリング13を挟持しているバネ押え11とバネ受け12間の距離を変えるものであり、バネ押え11の上面中央に固設された固設ナット11bにねじ込まれている取付ボルト16を緩締することにより行っている。
【0034】
すなわち、
図6において、バネこわさ調整手段30は、取付ボルト16の上端にはウォームホィール31が付設され、これにウォーム軸33に固設されたウォームギア34が噛み合っている。そして、ウォーム軸33にはスパナ35が嵌合する六角穴が設けられている。
ウォームホィール31,ウォーム軸33、ウォームギア34は、ギアケース32に装着され(
図5参照)、外側は、バネ押え11に固設されたブラケット7およびそれに外嵌された下カバー3bに覆われているので、六角棒スパナ35が挿入できるように、ブラケット7および下カバー3bには開口7a、3cが設けられている。
【0035】
バネこわさ調整手段30はこのように構成されているので、スパナ35でウォーム軸33を回動させることにより取付ボルト16が回動し、バネ押え11を上下させることができる。バネ押え11が下がるとコイルドウェーブスプリング13の傾動に対するこわさが増加し、傾動し難くなる。逆に、バネ押え11が上がると傾動に対するこわさが弱くなり、傾動し易くなる。
【0036】
次に、高さが変えられる傾動可能なスツールの別の実施の形態について
図7に基いて説明する。
図7に示すスツールは、上記の実施の形態と外観が異なるだけで、構成部品は同様である。すなわち、座部40にはガスシリンダ43の上端が固設され、下端はベース8に取り付けられた上記説明した傾動手段10に連結されている。
ガスシリンダ43の上端部には伸縮させるためのレバー44が設けられ、側面を上カバー41と一段小径の下カバー42で覆われている。なお、このスツールの大きさは、ここでは、全高は400mm、ストロークは55mmとしている。
【0037】
上記の実施の形態で説明した傾動角切換手段20およびコイルドウェーブスプリング13の傾動に対するこわさの調整手段30は、上記と同じく設けられているが、構成は同じであるので説明は省略する。
なお、上カバー41は、座部40の傾動に伴って傾動するが、下カバー42は傾動しない。それでも、下カバー42の径が大きいので、レバー23や六角棒スパナ35を挿入する開口42aは、下カバー42の近くまで延出させている。
【0038】
次に、傾動手段10の別の実施の形態について
図8および
図9に基いて説明する。
図8は傾動手段10Aの正面断面図を示すもので、バネ押え11とバネ受け12でコイルドウェーブスプリング13を挟んでその中央を取付ボルト16で締結している。そして、コイルドウェーブスプリング13の内側には、バネ受け12にボルト15aで取り付けられた上面が平坦な当接部材15と、その上部に対向してバネ押え11にボルト14cで取り付けられた下面が円錐状に形成された係止部材14が設けられている。
【0039】
係止部材14および当接部材15は円盤状で外周部はコイルドウェーブスプリング13のバネ案内となっており、中央部に穴が開けられ、取付けボルト16が頭部を上にして嵌挿され固設ナット8bに締結されている。取付けボルト16の首部には球面部材17が設けられ係止部材14にはこれが嵌合する凹球面部14aが形成されている。
図8において、16aはカラーで、バネ押え11とバネ受け12との間の距離を一定にするためのもので、上記コイルドウェーブスプリング13の傾動に対するこわさの調整手段30を設ける場合は取り除く。
【0040】
傾動手段10Aは上記の傾動手段10とは、取付けボルト16が頭部を上にしている点で相違している。なお、ここでは、省略するが、傾動角切換手段20およびバネのこわさ調整手段30については上記と同じく設けることができる。
傾動手段10Aは、着座者が座をいずれかの方向へ傾けると、それにともなって脚柱2が傾動し、これに固設されているバネ押え11が傾く。このとき、係止部材14がバネ押え11に伴って傾動し凹球面部14aが取付ボルト16の球面部材17と嵌合して動き、取付けボルト16は傾動しない。そして、バネ押え11が所定の角度(ここでは8度)傾くと、係止部材14の下面が当接部材15に当接し、それ以上は傾動しない。
【0041】
図9は、傾動手段10の別の実施の形態を示す正面断面図である。
この傾動手段10Bは、傾動手段10Aに弾性部材13aを追加したものである。
すなわち、バネ受け12上の当接部材15と上方の係止部材14の間に円筒状の合成ゴム製の弾性部材13aが設けられ、当接部材15にはこれを保持するためのリング状のバネ用溝15bが形成され、対抗する係止部材14にも同様のバネ用溝14dが設けられている。
傾動手段10Bはこのように構成されているので、適宜な弾性部材13aを使用することにより支持バネ力や傾動に対するフィーリングを向上させることができる。
【0042】
次に、請求項2の発明の実施の形態を
図10〜
図14に基いて説明する。
図10は、座の高さが一定で高い傾動可能なスツールの全体を示す正面断面図であり、
図11は座の低いスツールの実施の形態を示す正面断面図である。また、
図12は、傾動手段10Cの拡大図で、
図13は座部50、55を傾動させたときの傾動手段10Cの状態を示す断面図である。
【0043】
図10に示すスツールは、脚柱51の上面に座50が固設され、脚柱51の下部には、上記実施の形態と同じ傾動手段10Cが設けられ、置台52に回動部材19を介して取り付けられている。座の高さは昇降できないが、回動部材19により回転自在である。
図11に示すスツールは寸胴鍋状の支持体56の上端に座部55が固設され、該支持体56の下部には傾動手段10Cが設けられ、置台57に回動部材19を介して取り付けられている。座の高さは低く昇降しない。また、支持体56の内部は、空洞であり、座部55は支持体56に脱着可能に取り付けられている。
【0044】
傾動手段10Cは、
図12に示すように、バネ押え11とバネ受け12でコイルドウェーブスプリング13を挟み、その中央を取付ボルト16で締結している。そして、コイルドウェーブスプリング13の内側には、バネ受け12にボルト12bで取り付けられた上面が平坦な当接部材15と、その上部に対向してバネ押え11にボルト14cで取り付けられた下面が円錐状に形成された係止部材14が設けられている。
【0045】
係止部材14および当接部材15は円盤状で中央部に穴が開けられ、取付けボルト16が頭部を上にして嵌挿されベース8の裏面の固設ナット8bに締結されている。
取付けボルト16の首部には球面部材17が設けられ、係止部材14に嵌合する凹球面部14aが形成されている。そして、バネ受け12の裏面にはスラストベアリング19が設けられている。なお、
図12において、15cは敷板、16aはカラー、18はナットである。
【0046】
傾動手段10Cは、このように構成されているので、着座者が座部50をいずれかの方向へ体重をかけて傾けると、コイルドウェーブスプリング13が撓み、脚柱51およびバネ押え11が傾く。このとき、係止部材14も共に傾き、凹球面部14aが取付ボルト16の球面部材17に嵌合して係止部材14が動き、取付けボルト16は垂直のままで傾かない。
そして、座部50が所定の角度(ここでは、8度としている)傾くと、係止部材14の円錐状の上面が平坦な当接部材15の下面に当接し、それ以上は傾動しない。
図13は、座部50を傾動させたときの傾動手段10Cの状態を示している。
また、座部50に回転する力がかかった場合は、この力はバネ押え11からコイルドウェーブスプリング13の上端に伝達されるが、スラストベアリング19によって回動し、コイルドウェーブスプリング13が捩じられることはない。
なお、
図11における傾動手段10Cは、
図10の場合と同じであるので説明は省略する。
【0047】
図14に示すスツールは、
図11と同様、支持体61の上面に座60が固設され、支持体61の下部には、上記実施の形態と同様の傾動手段10Cが設けられ、ベース62に回動部材19を介して取り付けられている。
支持体61は座60からやや膨らみを持った曲面に形成され、内部は、空洞で物品の収納ができ、開口部61aが複数個設けられている。
傾動手段10Cは上記と同じであるので、説明は省略する。
【0048】
次に、請求項4の発明の実施の形態について
図15および
図16に基づいて説明する。
図15のラウンジチェアは、背もたれに傾斜のある1人掛けのゆったりして使用されるもので、背もたれ71aと一体の座部71が支持体72に固設され、該支持体72はベース73に固設された置台74に傾動手段10Cを介して取り付けられている。
支持体72は、ラウンジチェア70の正面から見て座部71の下方から座部71の両側へ凹字状に形成され、上端には肘掛け72aが設けられている。
傾動手段10Cは、上記
図11に示したものと同じであるので、説明は省略する。
【0049】
図16は、ラウンジチェアの別の実施の形態を示すもので、
図16(a)のラウンジチェア80は、背もたれ81aと一体の座部81の下部に支持台83が固設され、傾動手段10Cを介してベース8に取り付けられている。傾動手段10Cは上記11図に示すもので、スラストベアリング19も付設されている。なお、82は肘掛けである。
また、
図16(b)のラウンジチェア90は、背もたれと一体の座部91の下部に支持台93が固設され、傾動手段10Cを介してベース8に取り付けられている。傾動手段10Cは上記11図に示すもので、スラストベアリング19も付設されている。
【0050】
ラウンジチェア70、80,90は、このように構成されているので、着座者が座部71、81,91に座っていずれかの方向へ体重を移すと、それに伴って傾動する。そして、所定の角度(8度)まで傾くと、係止部材14の円錐状の上面が平坦な当接部材15の下面に当接し、それ以上は傾動しない。なお、スラストベアリング19によっていずれの方向へも回転させることができる。
この実施の形態では、傾動角切換手段20およびバネこわさ調整手段30は設けていないが、上記と同様に設けることができる。