特許第6709595号(P6709595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大阪タイユーの特許一覧

<>
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000002
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000003
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000004
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000005
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000006
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000007
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000008
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000009
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000010
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000011
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000012
  • 特許6709595-荷役用ターンテーブル 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709595
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】荷役用ターンテーブル
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/80 20060101AFI20200608BHJP
【FI】
   B65G47/80 A
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-175522(P2015-175522)
(22)【出願日】2015年9月7日
(65)【公開番号】特開2016-56023(P2016-56023A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2018年5月9日
(31)【優先権主張番号】特願2014-181246(P2014-181246)
(32)【優先日】2014年9月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591099773
【氏名又は名称】株式会社大阪タイユー
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田林 義一
(72)【発明者】
【氏名】中谷 吉伯
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3033144(JP,U)
【文献】 実開平04−072921(JP,U)
【文献】 実開昭63−076723(JP,U)
【文献】 実開昭60−137830(JP,U)
【文献】 特開平03−079517(JP,A)
【文献】 実開昭48−063468(JP,U)
【文献】 実開平04−100120(JP,U)
【文献】 実開昭56−051794(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0187395(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に回転自在に天板を支持してなる荷役用ターンテーブルであって、
前記基台は、天板へ向けて傾斜し、且つ、天板を一周する斜面を具え、
前記基台には、前記天板の回転を阻止するストッパー機構を具備しており、
前記ストッパー機構は、
前記基台に起伏可能に配置されたストッパー部材と、
前記斜面に形成され、前記ストッパー部材の通過可能な切欠きであって、前記ストッパー部材を外側に倒した状態で前記ストッパー部材が前記斜面からはみ出ない切欠きと、
前記天板の周面に形成され、前記ストッパー部材を内側に倒した状態で前記ストッパー部材が前記天板からはみ出ない切欠きと、
を含んでおり、
前記ストッパー部材を前記斜面の前記切欠きを通って外側に倒した状態から起こして前記天板の前記切欠きに嵌めることで前記天板を前記基台に回転不能に固定する、
ことを特徴とする、荷役用ターンテーブル。
【請求項2】
前記ストッパー部材を前記天板の前記切欠きに嵌めたときに、前記ストッパー部材の落ち込みを防止する当たりが前記基台に装着されている、
請求項1に記載の荷役用ターンテーブル。
【請求項3】
前記斜面の勾配は、10°〜15°である、
請求項1又は請求項2に記載の荷役用ターンテーブル。
【請求項4】
前記基台には、前記天板の回転中心と同心に複数列のスラストベアリングを配置している、
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の荷役用ターンテーブル。
【請求項5】
前記スラストベアリングは、鋼球を転動自在に支持する枠を連結してなるリテーナを複数連結して構成される、
請求項に記載の荷役用ターンテーブル。
【請求項6】
前記基台には、前記天板の回転中心と同心円上に複数の保持孔が開設された環状の保持孔列が1又は複数列形成された保持プレートが配置されており、
前記各保持孔には、鋼球が転動自在に支持され、前記鋼球は、前記天板を回転可能に支持している、
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の荷役用ターンテーブル。
【請求項7】
前記保持プレートは、前記基台及び前記天板に対して回動自在に支持されている、
請求項に記載の荷役用ターンテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役用パレットを載置する荷役用ターンテーブルに関するものであり、より具体的には、パレットトラックや自走式パレットトラック等の乗り上げが可能な荷役用ターンテーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基台上に回転可能に天板を配置し、天板を回転させることで天板に載置された荷役用パレットの向きを変えることのできる荷役用ターンテーブルが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
荷役用ターンテーブルに積み荷を搭載した荷役用パレットを載置や搬出するには、パレットトラックや自走式パレットトラック等(以下、総称して「パレットトラック」)が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−34518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天板への荷役用パレットの載置や搬出の作業性を高めるために、天板にパレットトラックを乗り上げることが望まれる。
【0006】
しかしながら、荷役用ターンテーブルは低円柱状であるため、その段差をパレットトラックで乗り上げることは困難である。
【0007】
また、荷役用ターンテーブルが低円柱状であるが故、載置の際に荷役用パレット、パレットトラックのフォークやロードホイールが、荷役用ターンテーブルの側面に当たって荷崩れしてしまうことがある。
【0008】
さらには、荷役用ターンテーブルから荷役用パレットを搬出する場合も、その段差によって荷崩れしてしまうことがある。
【0009】
本発明の目的は、パレットトラックの乗り上げを許容し、荷役用パレットの載置や搬出作業性を高めることのできる荷役用ターンテーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る荷役用ターンテーブルは、
基台に回転自在に天板を支持してなる荷役用ターンテーブルであって、
前記基台は、天板へ向けて傾斜し、且つ、天板を一周する斜面を具える。
【0011】
前記斜面の勾配は、10°〜15°とすることが好適である。
【0012】
前記基台には、前記天板の回転中心と同心に複数列のスラストベアリングを配置することが好適である。
【0013】
前記スラストベアリングは、鋼球を転動自在に支持する枠を連結してなるリテーナを複数連結して構成することが望ましい。
【0014】
また、スラストベアリングに代えて、
前記基台には、前記天板の回転中心と同心円上に複数の保持孔が開設された環状の保持孔列が1又は複数列形成された保持プレートが配置されており、
前記各保持孔には、鋼球が転動自在に支持され、前記鋼球は、前記天板を回転可能に支持する構成としてもよい。
【0015】
前記基台には、前記天板の回転を阻止するストッパー機構を具備することが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の荷役用ターンテーブルによれば、天板に向けて傾斜し、天板を一周する斜面を基台に設けたことで、何れの方向からでもパレットトラックを乗り上げることができ、荷役用パレットの天板への載置や搬出の作業性を可及的に高めることができる。
【0017】
また、天板を複数列のスラストベアリングで支持したことにより、使用される鋼球の数を増やすことができ、各鋼球に加わる荷重を分散できる。その結果、小径の鋼球を採用できるから、荷役用ターンテーブルの薄型化を達成できる。
【0018】
さらに、スラストベアリングに代えて、保持プレートに形成された保持孔に鋼球を配置した構成であっても、保持孔列に設けられる保持孔の数や、保持孔列の数を調整することで、鋼球の数を増やすことができるから、各鋼球に加わる荷重を分散できる。その結果、小径の鋼球を採用できるから、荷役用ターンテーブルの薄型化を達成できる。加えて、天板を取り外して保持孔から鋼球を取り出すことで、簡単に鋼球の交換を行なうことができるから、メンテナンス性にもすぐれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る荷役用ターンテーブルの平面図である。
図2図2は、図1のII−IIに沿って破断した断面図である。
図3図3は、図2の要部拡大図である。
図4図4は、回転支持機構の拡大断面図である。
図5図5は、荷役用ターンテーブルの天板を取り外した状態を示す平面図である。
図6図6は、スラストベアリング近傍の拡大図である。
図7図7は、図1のVII−VIIに沿って破断した断面図である。
図8図8は、ストッパー機構を拡大して示す斜視図である。
図9図9は、荷役用ターンテーブルにパレットトラックを用いて荷役用パレットを載置する状態を示す説明図である。
図10図10は、スラストベアリングに代えて、保持プレートに鋼球を配置した荷役用ターンテーブルの天板を取り外した状態を示す平面図である。
図11図11は、保持プレートに4列の保持孔列を形成した荷役用ターンテーブルの拡大断面図である。
図12図12は、図11の丸囲み部XIの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る荷役用ターンテーブル10の一実施形態について図面を参照しながら説明を行なう。
【0021】
<第1実施形態>
図1乃至図3に示すように、本発明の一実施形態に係る荷役用ターンテーブル10は、概略構成として、床面に載置される基台20と、基台20に同心に回転可能に支持された円盤状の天板30を含んでいる。そして、本発明では、基台20に天板30へ向けて傾斜し、且つ、天板30を一周する斜面25を形成している。
【0022】
天板30は、上面が荷役用パレットの載置面となる円盤状の金属板等の板体を採用できる。天板30の上面には、載置された荷役用パレットの滑り止めの加工、たとえば凹凸の形成やラバーの装着を行なうことができる。
【0023】
天板30には、後述する回転支持機構40が配備される貫通孔32が中心に開設されている。また、同様に後述するストッパー機構50のストッパー部材51が嵌まるコ字状の切欠き31が周縁の一箇所又は複数箇所に形成されている。
【0024】
基台20は、図1乃至図3に示すように、天板30よりも直径の大きい円盤状の基板21と、基板21の外周から天板30に向けて傾斜し、天板30を一周する環状の斜面25とを有する。斜面25は、内周側が高くなるように形成され、たとえば、基板21に溶接等によって装着することができる。
【0025】
斜面25は、基板21を床面に載置したときに、外周側端部が床面と略当接し、その内周側の先端が、天板30の上面と同じ高さ又は天板30の上面よりも少し低い高さとなっている。これらの段差を小さくすることでスムーズにパレットトラックの乗り上げを行なうことができるが、荷役用パレットを天板30に載置したときに、荷役用パレットの底面が斜面に当たると天板30のスムーズな回転が妨げられるから、斜面25の内周側先端は天板30よりも数ミリ程度低く構成することが好適である。
【0026】
斜面25の勾配は、パレットトラックの乗り上げを容易にするために床面に対して最大で20°までとすることが好適である。一方、斜面25の勾配が小さくなるとパレットトラックの乗り上げは容易になるが、斜面25の外径も大きくなってしまい、荷役用ターンテーブル10が大型化してしまう。従って、5°以上とすることが好適である。より望ましい斜面25の勾配は、床面に対して10°〜15°である。
【0027】
上述のとおり、斜面25は、基板21に溶接等により装着されるが、荷役用パレットを搭載したパレットトラックが乗ったときに、その積み荷の重量等が加わって斜面25が変形してしまうことを防止するため、図3等に示すように、基板21と斜面25との間に押さえ部材26を配置しておくことが望ましい。押さえ部材26は、たとえば、金属製の丸棒を環状に屈曲し、基板21に溶接等することで装着することができる。
【0028】
基台20と天板30は、回転支持機構40によって連繋され、基台20に対して天板30が回転自在となっている。
【0029】
回転支持機構40として、本実施形態では、図4に示すように、天板30の基台20に対する回転中心を定める軸受機構41と、天板30の基台20に対する回転をスムーズに行なうために基台20と天板30との間に環状に配置されたスラストベアリング60としている。もちろん、これらに限定されるものでない。
【0030】
軸受機構41は、図4に示すように、天板側の軸受部材42と、基台側の軸受部材42aから構成することができる。天板側の軸受部材42は、天板30の中心に開設された貫通孔32の周縁に下面から下方に延びる筒体43と、筒体43の下端から内向きに突設された内フランジ44を具える。筒体43は、天板30に溶接等によって装着されている。また、基台側の軸受部材42aは、基板21の中央に溶接で配置され、天板側の軸受部材42の内フランジ44が回転自在に嵌まる筒状のセンターピン47と、フランジブッシュ45を介して内フランジ44の内径よりも外径の大きい鍔49を有するセットボルト48を具える。
【0031】
そして、天板側の軸受部材42の内フランジ44に、フランジブッシュ45を装着してセンターピン47に嵌めた後、セットボルト48をセンターピン47にネジ止めすることで、鍔49が内フランジ44、すなわち天板30の分離を防止する。天板30の回転をスムーズに行なうために、内フランジ44とセンターピン47及び鍔49の間にはフランジブッシュ45を装着している。図4中、符号46は、スラストワッシャーである。
【0032】
スラストベアリング60は、基板21と天板30との間に配置することができる。図5は、荷役用ターンテーブル10から天板30を取り外した状態を示している。基板21には、図に示すように、天板30の回転中心と同心に1又は複数列のスラストベアリング60が環状に配置されている。図示の実施形態では、スラストベアリング60,60は2列である。スラストベアリング60には、複数の鋼球61を転動自在に配置している。
【0033】
図6は、外周側に配置されたスラストベアリング60を拡大したものである。図6に示すように、実施形態では、鋼球61は、環状の枠64を複数連結したリテーナ63に収容されている。リテーナ63は、樹脂又は薄板金属等の可撓性材料から作製され、枠64に鋼球61を転動自在に支持する。そして、リテーナ63は、基板21に二重環状に形成されたリブ22,22間に収容される。リテーナ63は可撓性を有するから、リブ22,22の屈曲形状に沿って配置することができる。
【0034】
図示の実施形態では、リテーナ63は、5個の枠64を連結して1単位としている。リテーナ63の一端側の枠64には係止用凹部65が形成されており、他端側の枠64に先端が拡径した係止用凸部66が形成されている。そして、隣り合うリテーナ63,63どうしの係止用凹部65と係止用凸部66を嵌め合わせることで、リテーナ63,63どうしを連結して、長さ調整を行なうことができる。
【0035】
リテーナ63が、リブ幅方向に動かないように、図6及び図7に示す如くリテーナ63の一端、図示では係止用凹部側に、リブ22,22の内面と当接するステー67,67を左右に張り出している。
【0036】
リテーナ63は、二重環状のリブ22,22間に夫々必要長さとなるように連結、切断して挿入することができる。リテーナ63は、ステー67,67を形成したことで、リブ22,22への特段のガイドや振れ止めは不要であり、その組立てを容易にすることができる。
【0037】
本実施形態では、スラストベアリング60を複数列、具体的には2列配置している。これにより、1列の場合に比して天板30の弛みや変形を防止できる。また、複数列のスラストベアリング60を配置する構成とすることにより、配置できる鋼球61の数を増やすことができる。従って、各鋼球61が天板30及び天板30に載置された積み荷と荷役用パレットから受ける荷重を分散できる。これにより、小径の鋼球61を採用でき、荷役用ターンテーブル10の薄型化を達成できる。
【0038】
基板21にはさらに、最外周のスラストベアリング60の列よりも外側に防塵用のブラシ28を環状に配置している。ブラシ28は、両面テープ等により基板21に装着することができ、ブラシ28の先端は天板30の下面と当接するようにしている。これにより、基板21と天板30との間に粉塵等が混入することを防止でき、スラストベアリング60の鋼球61の転がりを良好な状態で維持することができる。
【0039】
また、基台20には、天板30の回転が不要な場合や運搬等の際に、天板30の回転を阻止して天板30を固定するストッパー機構50が設けられている。ストッパー機構50は、たとえば、図7及び図8に示すように、矩形の金属板等からなるストッパー部材51を基板21へ起伏可能に配置し、天板30の周面に形成された切欠き31に嵌めることで天板30を基台20に回転不能に固定し、他方、ストッパー部材51を天板30の切欠き31から外すことで天板30を基台20に対して回転自在とする構成を例示できる。もちろん、上記構成に限定されるものではない。
【0040】
図示のストッパー機構50について、より詳細に説明すると、ストッパー部材51は、ストッパー部材51を貫通し、揺動自在に支持する軸部52に装着されている。軸部52は、両端をストッパー部材51よりも幅広の間隔で基板21にネジ止めされた固定板53,53に溶接等により斜面25の内周側下方に配置されている。斜面25には、図に示すように、ストッパー部材51の揺動移行路と対応する位置にストッパー部材51の通過可能な切欠き23が形成されており、ストッパー部材51は、この切欠き23を通って外側に倒した状態から天板側に起こすことができる。また、固定板53,53の内周側には、ストッパー部材51の落ち込みを防止する当たり54が基板21に装着されている。
【0041】
上記構成の荷役用ターンテーブル10は、基板21に押さえ部材26と斜面25、リブ22,22、スラストベアリング60、ブラシ28、基台側のセンターピン47、ストッパー機構50等を装着した後、天板側軸受部材42の装着された天板30を内フランジ44が、フランジブッシュ45を介してセンターピン47に嵌るように取り付け、セットボルト48をネジ止め等することで組み立てることができる。
【0042】
組み立てられた荷役用ターンテーブル10は、ストッパー部材51を外周側に倒した状態で、天板30は、軸受機構41を中心として回転可能となる。天板30は、スラストベアリング60に下方から支持されているから、スムーズに回転させることができる。
【0043】
図9は、本発明の荷役用ターンテーブル10に、パレットトラック70を接近させている状態を示している。パレットトラック70は、フォーク71の先端にロードホイール72、後端にステアリングホイール73を有しており、積み荷81の搭載された荷役用パレット80にフォーク71を差し込んで移動可能となっている。
【0044】
然して、図9の矢印B方向にパレットトラック70を接近させると、ロードホイール72は、容易に斜面25を上がり、天板30に乗り上げることができる。この状態で、フォーク71を下げることで、荷役用パレット80を天板30上に載せることができる。
【0045】
本発明では、天板30の全周に斜面25が形成されているから、何れの方向からでも向きを気にすることなくパレットトラック70を接近させることができ、天板30に荷役用パレット80を載置することができる。
【0046】
天板30に載置された荷役用パレット80を搬出するには、パレットトラック70の接近方向に荷役用パレット80のフォーク差込孔が向くように天板30を回転させる。そして、パレットトラック70を荷役用パレット80に接近させると、ロードホイール72が斜面25を上がり、フォーク71が荷役用パレット80に差し込まれる。この状態で、フォーク71を上昇させて、パレットトラック70を前進又は後退させることで、荷役用パレット80を搬出することができる。
【0047】
なお、天板30の回転が不要な場合、または、運搬等で天板30を基台20に回転不能とする場合には、図7及び図8に示すように、ストッパー部材51が外周側に倒れた状態から、基板21の切欠き23と天板30の切欠き31を位置合わせし、図中、矢印Aで示すように、ストッパー部材51を起こして、内周側に倒すことで、ストッパー部材51が天板30の切欠き31に嵌まるから、天板30が基台20に対して回転不能に固定される。なお、基板21には当たり54が設けられているから、ストッパー部材51は、切欠き31を通過して落ち込んでしまうことはない。天板30を回転自在にするためには、上記とは逆の操作を行なえばよい。
【0048】
本発明の荷役用ターンテーブル10によれば、荷役用ターンテーブル10の全周に斜面25が形成されているから、荷役用パレット80を天板30に載置する場合に、パレットトラック70の接近方向を気にする必要がないので、作業性を可及的に高めることができる。さらには、載置や搬出作業の際に、パレットトラック70のロードホイール72は、スムーズに斜面25を上がるから、積み荷等への衝撃も少なく、また、作業負荷も小さくできる。
【0049】
また、斜面25を基台20に装着している。これは、回転可能な天板30に斜面を形成した場合、パレットトラック70のロードホイール72が斜面を上がっている途中で、ロードホイール72に押されて斜面が天板30と一体に回転し、ロードホイール72が斜面を転がり落ちてしまうことを防止するためである。
【0050】
加えて、本発明の荷役用ターンテーブル10は、スラストベアリング60を複数列とすることで鋼球61の小径化を達成できる。この結果、荷役用ターンテーブル10の薄型化、すなわち、天板30を低くすることができるから、斜面25の勾配を緩くすることができ、パレットトラック70の乗り上げも容易になる。
【0051】
また、荷役用ターンテーブル10を薄型化できることで、ロードホイール72が天板30に乗り上げた状態でも、フォーク71の傾きを小さくできるから、フォーク71の先端と荷役用パレット80のフォーク差込孔上面が干渉してしまうことも防止できる。
【0052】
さらに、薄型化により荷役用パレット80やフォーク71が荷役用ターンテーブル10へ衝突することも低減でき、荷崩れ等を抑えることができる。これらによって、荷役用ターンテーブル10への荷役用パレット80の載置や搬出の作業性を可及的に高めることができる。
【0053】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、スラストベアリング60で鋼球61を支持しているが、図10及び図11に示すように、基台20に保持プレート90を装着し、保持プレート90に鋼球61を配置した環状の保持孔列91を具える構成とすることもできる。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図10は、保持プレート90に2列の保持孔列91、図11は、4列の保持孔列91の実施形態である。
【0054】
図示の保持プレート90は円盤状であり、天板30の回転中心と同心上に図10では2列、図11では4列の保持孔列91が形成されている。保持プレート90は、基台20及び天板30に対して回動自在に配置している。具体的には、本実施形態では、図11の丸囲み部XIの拡大図である図12に示すように、保持プレート90は、回転中心に皿形のブッシュ94を具え、ブッシュ94を基台20のセンターピン47に回動自在に嵌めている。
【0055】
保持プレート90の各保持孔列91は、鋼球61を転動自在に支持する保持孔92が複数開設されている。保持孔92には、鋼球61を転動し易くするために、図11に示すように筒状のリテーナ93を配置し、グリス等を塗布することが好適である。なお、リテーナ93の下端は、保持プレート90から突出しており、保持プレート90が回転したときに、基板21上を摺動する。
【0056】
各保持孔92又は保持孔92に配置されたリテーナ93には、夫々鋼球61が配置される。そして、第1実施形態と同様に天板30を装着することで、荷役用ターンテーブル10が組み立てられる。
【0057】
然して、天板30に回転方向の力を作用させると、回転する天板30に当接している鋼球61が従動回転し、基板21上を転動する。鋼球61は、リテーナ93を介して保持プレート90に支持されているから、鋼球61の転動によって、保持プレート90は、基板21と平行な面内で回転することになる。これにより、天板30は、基台20に対してスムーズに回転させることができる。
【0058】
上記構成の荷役用ターンテーブル10も、薄型化を達成することができ、第1実施形態と同様の作用、効果を具備する。さらに、本実施形態の荷役用ターンテーブル10は、保持孔列91の列数や、形成される保持孔92の数を適宜調整できる。また、予め保持プレート90に複数の保持孔92が開設された複数列の保持孔列91を形成しておき、荷役用ターンテーブル10の耐荷重や用途等に応じて、挿入する鋼球61の数を調整することもできる。具体的には、4列の保持孔列91を形成しておき、2列の保持孔列91の保持孔92に鋼球61を挿入する等の調整が可能である。
【0059】
また、天板30を取り外すことで、保持孔92から鋼球61を容易に取り出すことができるから、鋼球61の摩耗や錆び、或いは、グリス塗布等の際に、簡単に鋼球の交換や取外し、装着等を行なうことができ、メンテナンス性にもすぐれる。
【実施例】
【0060】
一実施例として、下記寸法の耐荷重1000kgの荷役用ターンテーブル10を作製した。
<基台20>
・基板21:直径1208mm、厚さ6mm
・斜面25:外径1257mm、内径1110mm、勾配14°、床面から内周側先端までの高さ23mm
・スラストベアリング60:
鋼球61:直径15.9mm
内周側のスラストベアリング60:平均径(中心径)582mm、リテーナ(鋼球数5個を13個)、使用鋼球数65個
外周側のスラストベアリング60:平均径(中心径)931mm、リテーナ(鋼球数5個を20個、鋼球数4個を1個)、使用鋼球数104個
<天板30>
直径1100mm、厚さ6mm
【0061】
作製された荷役用ターンテーブル10の基板21の底面から天板30の上面までの高さは28mmに薄型化できた。
【0062】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
10 荷役用ターンテーブル
20 基台
21 基板
25 斜面
30 天板
40 回転支持機構
41 軸受機構
50 ストッパー機構
60 スラストベアリング
61 鋼球
70 パレットトラック
80 荷役用パレット
90 保持プレート
91 保持孔列
92 保持孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12