(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は、理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を主体として、模式的に示している。
【0011】
(実施の形態1)
図1〜
図4は、本発明の実施の形態1における電動車いす100において、結合バーの係合解除位置及び係合位置での概要側面図及び正面図である。
【0012】
本実施の形態1の電動車いす100は、
図1に示すように、少なくとも、車いす本体の一例としてのメインフレーム101と、左右一対の駆動輪102と、電動モータ103と、バッテリ104と、着座姿勢保持部材201と、環境センサ144と、走行制御情報取得部230と、車いす制御部209とを備えて構成している。
【0013】
メインフレーム101には、少なくとも、左右一対の駆動輪102がそれぞれ個別に正逆回転可能に取り付けられている。より具体的には、
図1に示すように、メインフレーム101の後部には左右一対の駆動輪102が回転可能に取り付けられ、前部には、操舵輪として左右一対の補助輪112が回転自在にかつ旋回自在に取り付けられている。
【0014】
メインフレーム101内には、駆動輪102を正逆駆動するための電動モータ103と電動モータ103を駆動するためのバッテリ104と、電動モータ103を駆動制御するためのモータ制御部221を備えている。
【0015】
また、メインフレーム101の上方には椅子支持機構105が支持されている。
【0016】
椅子支持機構105は、使用者の臀部及び大腿部を支える着座シート106を支持するシートフレーム107と、使用者の背部を支える背もたれ部108を支持するシートバックフレーム109と、使用者の足部を支えるフットレスト110を支持するフットレストフレーム111とで構成され、使用者222が着座する座席152を構成している。
【0017】
着座シート106には、圧力センサなどで構成される着座センサ214が内蔵されており、使用者222の電動車いす100への搭乗を確認するため、使用者222が着座シート106に着座したことを着座センサ214で検出できるようにしている。着座センサ214での検出情報は車いす制御部209に出力される。
【0018】
図1及び
図2に示すように、シートバックフレーム109の下端から斜め上方でかつ前方に向かって起立した左右一対のアームレスト支柱141sをそれぞれ介して、左右一対のアームレスト141L,141Rがシートフレーム107の両側に設けられる。左右一対のアームレスト141L,141Rのうちの一方のアームレスト(例えば
図2では右側のアームレスト141R)の前端部付近には、コントローラケース142が内蔵されている。このコントローラケース142の上面には、使用者が電動車椅子100の進行方向及び進行速度を制御可能な例えばジョイスティックレバー143が傾動可能に直立状態で設けられると共に、バッテリ104の残量又は走行可能時間等を表示する表示部219も設けられる。
【0019】
図3及び
図4は、電動車いす100を正面から見た図である。
図3及び
図4に示すように左右のアームレスト141の前端部同士は、四角柱状の棒状の結合バー201により、左右のアームレスト141L,141Rの前端部同士を繋いで、使用者222が座席152に着座したときに使用者222を座席152に保持(使用者222の着座姿勢を保持)するように結合されている。よって、結合バー201は着座姿勢保持部材の一例として機能する。結合バー201は、
図4及び
図6Aに示すように、左右のアームレスト141のいずれか一方のアームレスト(例えば
図2では右側のアームレスト141R)の前端部に回転可能に回転軸215aを支持して、その回転軸215aを回動支点として、電動車いす100の正面側から見て時計方向及び反時計方向にそれぞれ正逆回転できる。
【0020】
また、
図3、
図4、
図5A、及び図5Bに示すように、他方のアームレスト(例えば
図2では左側のアームレスト141L)の前端部には、結合バー201の先端を受けて支持する係合凹部223を有している。この係合凹部223には、結合バー係合検出部218の一例として、検出光発射部218aと受光部218bとを配置して、検出光発射部218aと受光部218bとの間に結合バー201の先端が入り込んで、検出光発射部218aから受光部218bへのレーザ光などの検出光を遮断すると、結合バー201が係合位置Bに位置したと検出する一方、検出光発射部218aから受光部218bへの検出光が受光されると、結合バー201が係合位置以外の位置に位置していると、結合バー係合検出部218で検出できるようにしている。
【0021】
回転軸215aには、
図6Aに示すように、エンコーダなどの結合バー回転位置検出部216を連結して、結合バー201の回転位置を検出している。よって、
図3及び
図6Aに示すように、係合解除状態と係合状態とを、結合バー回転位置検出部216で検出できるようにしている。ここで、係合解除状態とは、結合バー201が上下方向に起立した係合解除位置(開位置又は退避位置の一例)Aに位置している状態である。係合状態とは、
図4に示すように、係合解除位置Aから90度回転して結合バー201が横方向に位置し、左右のアームレスト141L,141Rの前端部同士をつないで、結合バー係合検出部218で結合バー201が係合位置(閉位置又は着座姿勢保持位置の一例)Bに位置している状態である。
【0022】
また、
図6Aに示すように、回転軸215aに結合バーロック機構217を連結して、車いす制御部209での制御の下に、結合バーロック機構217で、例えば、回転軸215aに連結した歯車に係止爪を係止させるなどして回転を阻止するロック状態と、係止を解除して自由に回転可能とするロック解除状態とに動作させることができる。よって、例えば、着座センサ214で着座を検出していないときでかつ結合バー回転位置検出部216により結合バー201が係合解除位置Aに位置していると検出されると、結合バーロック機構217により結合バー201をロックして、使用者222が結合バー201を不用意に回転させないようにすることができる。例えば、使用者222が座席152に着座していないとき(着座センサ214で着座を検出しないとき)、係合解除位置Aの結合バー201を回転させて、係合位置Bに係合させることができないようにしている。一方、着座センサ214で着座を検出すると、結合バーロック機構217による結合バー201のロックを解除して、使用者222が結合バー201を回転可能とする。
【0023】
なお、ここでは、結合バー201が手動で回転する場合について説明したが、
図6Bに示すように、一方のアームレスト(例えば
図2では右側のアームレスト141R)内に、回転軸215aに連結して、結合バー回転装置の一例としてモータ215bを配置して、モータ215bの正逆回転駆動により、結合バー201を自動的に正逆回転させるようにしてもよい。
【0024】
また、結合バー201の中央部の前面には、2つの機能を有する環境センサ144が配置されている。
【0025】
環境センサ144の1つ目の機能は、電動車いす100の走行時に、電動車いす100の、少なくとも進行方向の前側と両側との周辺物体を検出するためにレーザを照射して周囲との距離を計測する。すなわち、環境センサ144は、
図7に示すように、電動車いす100の走行時に、赤外レーザ光により、電動車いす100の進行方向の前側及び両側の半円状のフィールド(検出領域145)を、例えば、0.36度などの細かいピッチで約240度スキャンし、その反射光が観察されるまでの時間に基づいて環境センサ144から周囲の物体までの距離を検出して、環境情報を取得する。
図7は、環境センサ144の検出領域145を示している。ただし、
図7において、一部切欠きの円形の実線は、結合バー201が係合位置Bに位置したときの環境センサ144の一部切欠かれた縦長の円柱状の検出領域145Bの平面形状を示している。長方形の一点鎖線は、結合バー201が係合解除位置Aに位置したときの環境センサ144の横長の円柱状の検出領域145Aの平面形状を示している。なお、
図3の長方形の一点鎖線は、結合バー201が係合解除位置Aに位置したときの環境センサ144の横長の円柱状の検出領域145Aの正面形状を示している。
図4の長方形の一点鎖線は、結合バー201が係合位置Bに位置したときの環境センサ144の一部切欠かれた縦長の円柱状の検出領域145Bの正面形状を示している。環境センサ144から得られる環境情報としては、例えば、走行前の電動車いす100の周辺の壁などの位置情報を取得して、後述するように電動車いす100の現在位置を推定するとき、事前に登録されていない人又は物などの障害物を検出し、障害物を回避するための走行動作情報を生成するときなどに用いることができる。
【0026】
環境センサ144の2つ目の機能は、電動車いす100の走行前に、電動車いす100の傍に立つ使用者222に対して、検出領域145内で赤外レーザ光により、例えば、0.36度などの細かいピッチで約240度スキャンし、その反射光が観察されるまでの時間に基づいて使用者222までの距離を検出して、使用者222の身体情報を取得する。身体情報の一例としては、使用者222の顔情報又は身体形状又は指紋情報又は手の静脈情報などの生体情報などが例示できる。身体情報は、後述するように使用者の概略特定、又は個人認証などに使用することができる。使用者222は、例えば電動車いす100の前側に立つなどして、搭乗時に環境センサ144の検出領域145内に位置する。このため、例えば、一対のアームレスト141L,141Rの前端部のいずれか一方に、走行準備開始スイッチ213を配置して、走行準備開始スイッチ213を押してオンにした後でないと、電動車いす100が走行できないようにして、使用者222が電動車いす100の前側に自然に立つように工夫することができる。
【0027】
環境センサ144の配置位置は、結合バー201の中央部の前面に限定されるものではなく、結合バー201の端部でもよいし、一対のアームレスト141L,141Rのうちのいずれか一方のアームレストの前端部でもよい。環境センサ144の個数も1個に限られるものではない。
【0028】
走行制御情報取得部230は、少なくとも複数の使用者222の身体情報と電動車いす最大速度などの走行制御情報との関係情報に基づき、車いす走行前に、環境センサ144で取得した身体情報から電動車いす最大速度などの走行制御情報を取得する。身体情報と電動車いす最大速度などの走行制御情報との関係情報は、例えば、後述するデータベース部210に保存されており、複数の使用者222でそれぞれ異なる最大速度などの走行制御情報を複数の使用者222に対応付けることができる。取得した走行制御情報は、走行制御情報取得部230から車いす制御部209に出力される。
【0029】
より詳しくは、電動車いす100は、
図8に示すように、さらに、データベース部210を備えるとともに、走行制御情報取得部230をマッチング部211と走行制御情報決定部212とで構成することができる。
【0030】
データベース部210には、環境センサ144により取得された使用者毎の顔情報又は身体形状情報などの身体情報と、それぞれの使用者222の危険時(急停止時など)の異なる対応能力を示す反応時間などの認知特性情報、又は、急発進及び急停止時の身体負荷耐性を示す骨密度、腹筋力、又は背筋力などの身体特性情報とが、互いに対応付けられた状態で事前に保存されている。すなわち、使用者毎に、身体情報と、認知特性情報又は身体特性情報とが対応付けられている。認知特性情報又は身体特性情報は、急停止時などにおいて使用者222の適応能力を示す情報である。一例としては、使用者毎に、身体情報と、認知特性情報と、身体特性情報とが対応付けられている。データベース部210は、電動車いす100に備えるものに限らず、電動車いす100とは別に、携帯電子機器又はサーバーに備えるようにしてもよい。データベース部210は携帯電子機器などとクラウド連携することができ、使用者毎に割り当てられたID及びパスワードにより、スマートフォンなどの携帯電子機器からデータベース部210にアクセスして、入力及び修正を行うことができるようにすることができる。また、後述する表示部219にタッチパネルなどの入力部を備えて、入力部を用いてデータベース部210にアクセスして、前記した情報の入力及び修正を行うことができるようにしてもよい。
【0031】
走行制御情報取得部230は、データベース部210に事前に保存された身体情報と走行制御情報との関係情報に基づいて、少なくとも身体情報から走行制御情報を取得する。
【0032】
一例として、走行制御情報取得部230をマッチング部211と走行制御情報決定部212とで構成する場合には、まず、マッチング部211が、環境センサ144で取得された身体情報と、記憶部の一例としてのデータベース部210に予め保存された身体情報とのマッチングを行い、マッチングした身体情報に対応付けられた使用者222の認知特性情報又は/及び身体特性情報を取得して、使用者の概略特定又は個人認証を行う。マッチング動作は、取得された身体情報と保存された身体情報との一致を判定して使用者の概略特定又は個人認証を行うものであり、例えば、身体形状同士の場合には、身体形状の頭部、胴体部、脚部の比率、パターンマッチングによる湾曲線などの一致度合い(例えば70%以上一致しているか)などにより判定することができる。マッチング部211は、マッチング動作を通じて取得した認知特性情報又は/及び身体特性情報を、走行制御情報決定部212に出力する。
【0033】
次いで、走行制御情報決定部212が、マッチング部211で取得した認知特性情報又は/及び身体特性情報から、最大速度などの走行制御情報を取得して、車いす制御部209に出力する。走行制御情報決定部212は、一例として、認知特性情報又は/及び身体特性情報と最大速度などの走行制御情報とが対応付けられた関係情報に基づき、取得した認知特性情報又は/及び身体特性情報から最大速度などの走行制御情報を決定する。この関係情報は、データベース部210に予め保存されていてもよいし、走行制御情報取得部230に、テーブル形式などで関係情報が記憶されている記憶部を有していてもよい。テーブル形式の代わりに、演算式を有していて、演算式を用いる演算で関係情報を求めても良い。認知特性情報又は/及び身体特性情報と対応付ける走行制御情報は、電動車いす最大速度に限られるものではなく、電動車いす100の最大加速度、最大減速度、又は/及び停止距離などの電動車いす100の走行動作を制御する走行制御情報、言い換えれば、制御パラメータの値と関係付けられていても良い。走行制御情報決定部212で取得した走行制御情報は、車いす制御部209に出力される。このようにして、走行制御情報取得部230は、身体情報から走行制御情報を決定(取得)することができる。
【0034】
車いす制御部209は、走行制御情報取得部230で取得した走行制御情報に基づいて、電動車いす100を走行制御する。車いす制御部209は、例えば、走行制御情報が最大速度の場合には、その最大速度以内の速度で電動車いす100が走行するように、電動モータ103の駆動(例えば回転数又は回転速度など)を制御して、使用者222の身体情報に合わせて電動車いす100の走行動作を変化させる。
【0035】
より詳しくは、電動車いす100は、
図8に示すように、車いす制御部209に加えて、さらに、現在位置取得部231と、走行動作生成部220とを備えることができる。
【0036】
現在位置取得部231は、環境センサ144で取得した環境情報と、電動車いす100の走行前にデータベース部210に事前に保存されかつ電動車いす100が自律的に走行する経路の近傍に存在する壁などの環境情報とを比較してマッチングさせることで、電動車いす100の現在位置を推定して取得する。また、現在位置取得部231では、環境センサ144で取得した環境情報と、データベース部210に事前に保存されかつ自律的に走行する経路の環境情報とを比較し、登録されていない人又は物などの障害物を検出する。現在位置取得部231は、現在位置取得部231で検出した情報を走行動作生成部220に出力する。
【0037】
走行動作生成部220は、現在位置取得部231で検出した情報を基に、取得した現在位置から目的地までの、障害物を回避する走行経路を含む走行動作を生成する。生成した走行動作は、モータ制御部221に出力されて、モータ制御部221により電動モータ103を駆動制御する。走行経路は、例えば、電動車いす100が特定の商業施設などで使用する場合、事前に、走行エリアの地図情報を基に複数の走行経路を生成してデータベース部210などに事前に保存しておき、現在位置と目的地とに応じて複数の走行経路のうちから最適な走行経路を選択して使用して、走行動作を生成するようにしてもよい。
【0038】
よって、電動車いす100は、走行制御情報取得部230において身体情報から取得された制御情報(例えば最大速度など)を考慮して、走行制御情報取得部230から車いす制御部209(モータ制御部221)に電動モータ103の回転数又は回転速度などの指令を送る。例えば、身体情報に基づき使用者222が若年健常者であると特定された場合には、一般に認知特性情報又は身体特性情報の能力は高いと考えられるため、走行制御情報の例として、基準となる値より、最大速度を速く(例えば、6km/h)、最大加速度を大きく、最大減速度を大きく、停止距離を短くすることで、急な加減速により移動効率を最大化した電動車いす100での移動を実現することができる。一方、身体情報に基づき使用者222が認知症などにより判断機能が低下し、身体が弱くなっている高齢者であると特定された場合には、一般に認知特性情報又は身体特性情報の能力は低いと考えられるため、走行制御情報の例として、基準となる値より、最大速度を遅く(例えば、2km/h)、最大加速度を小さく、最大減速度を小さく、停止距離を長くすることで、安全性及び身体への負荷を最小限にした移動を実現することができる。
【0039】
前記したように、身体情報に基づき個人の概略特定又は個人認証を行い、身体情報から電動車いす100の走行制御情報を取得して、当該走行制御情報に基づいて電動車いす100を走行制御することで、使用者222に合わせた電動車いす100を提供できるようになる。
【0040】
ここで、電動車いす100の操作は、例えば、手動操作モード及び自動走行モードで構成することができる。
【0041】
手動操作モードでは、使用者222がジョイスティック143を傾動操作することで、車いす制御部209を介して電動モータ103を正逆駆動して、意図する方向へ電動車いす100を移動させることができる。ただし、手動操作モードにおいても、身体情報に基づいて取得した走行制御情報により、例えば走行制御情報が最大速度である場合には、その最大速度内で走行することができ、最大速度を越えるような指示がジョイスティック143から入力されても無視するようにしている。
【0042】
自動走行モードでは、走行動作生成部220が、データベース部210などに事前に登録された目的地に対して、データベース部210などに事前に登録された走行エリアの地図情報を利用して、現在位置取得部231で取得した現在位置情報と環境センサ144により得られる環境情報とを基にして、走行動作を生成し、生成した走行動作に基づいて、モータ制御部221で障害物を回避しながら目的地まで、電動車いす100を自動的に走行させることができる。このとき、使用者222がジョイスティック143を操作した場合には、ジョイスティック143による移動方向入力も加味して移動方向を決定する。この自動走行モードを用いることで、使用者222がジョイスティック143を操作することができないような重度障害者などであっても、目的地まで走行することができる。また、使用者222がジョイスティック143の操作が可能な人であっても、自動走行モードとすれば、障害物を自動的に検出及び回避しながら、目的地まで到達することができるので、より簡単かつ安全に走行することができる。
【0043】
次に、本発明の実施形態にかかる電動車いす100における動作ステップを
図9に示す。
【0044】
まず、使用者222が環境センサ144の検出領域145内に入り、環境センサ144により、個人を概略特定又は個人認証するための身体情報を取得する(ステップS01A)。
【0045】
次いで、環境センサ144で得られた身体情報を基に、走行制御情報取得部230(具体的にはマッチング部211)においてデータベース部210を参照して、使用者222の認知特性情報又は/及び身体特性情報を取得する(ステップS01B)。
【0046】
次いで、走行制御情報取得部230(具体的には走行制御情報決定部212)において、取得した使用者222の認知特性情報又は/及び身体特性情報を基に、電動車いす100の走行動作に関する走行制御情報を取得する(ステップS01C)。
【0047】
次いで、使用者222は、電動車いす100に搭乗して着座シート106に着座したか否かを、着座センサ214がONとなるか否かで確認する(ステップS02)。使用者222が電動車いす100に搭乗したかを判定するための着座センサ214は、電動車いす100のシートフレーム107に備えられている。
【0048】
次いで、着座センサ214がONとなったのち、結合バー201で左右のアームレスト141L,141Rを結合する(ステップS02)。このとき、着座シート106に内蔵された着座センサ214により使用者222の搭乗を確認したのちでなければ、結合バーロック機構217のロック動作により、結合バー回転位置検出部216により係合解除位置Aにあると検出された結合バー201は、係合解除位置Aから回転しないようにしている。また、着座センサ214がONを検出したのち、左右のアームレスト141L,141Rが完全に結合するまで、すなわち、結合バー201が回転してその先端が係合凹部223に係合されて係合位置Bとなりかつ結合バー係合検出部218で係合状態が検出されるまでは、電動車いす100を走行できないようにする。前記着座センサ214と結合バー係合検出部218との2点の検出確認をすることで、電動車いす100の動作の安全性を確保する。
【0049】
次いで、使用者222は、ジョイスティック143により走行モードを手動操作モード又は自動走行モードを選択して車いす制御部209に入力し、選択されたモードをジョイスティック143の表示部219に表示して確認する(ステップS04)。
【0050】
次いで、選択されたモードに応じて、使用者222のジョイスティック操作もしくは走行制御情報取得部230と車いす制御部209となどによる自律移動により、目的地まで走行する(ステップS05)。
【0051】
次いで、電動車いす100が目的地に到着した後、使用者222は、結合バー201の結合を外して結合バー係合検出部218で係合状態、結合バー201を係合位置Bから係合解除位置Aまで回転させる。これにより、結合バー201が係合状態以外の状態に位置していると、結合バー係合検出部218で検出し、かつ、結合バー回転位置検出部216で結合バー201が係合解除位置Aに位置したことを検出する(ステップS06)。
【0052】
最後に、使用者222は、電動車いす100から降車することにより、着座センサ214がOFFを検出する(ステップS07)。
【0053】
前記実施形態によれば、電動車いす走行時に車いす本体101の周辺の環境情報を検出する環境センサ144により、電動車いす走行前に使用者222の身体情報を取得して、身体情報と電動車いす最大速度などの走行制御情報との関係情報に基づき、取得した身体情報から電動車いす最大速度などの走行制御情報を取得し、取得した走行制御情報、例えば電動車いす最大速度以内で車いす制御部209により電動車いす100の走行動作を制御することができる。この結果、使用者222にカスタマイズされた自律移動が可能な電動車いす100を提供することができる。
【0054】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、着座姿勢保持部材の例としては、棒状の剛体の結合バー201に限られるものではなく、
図10に示すように、座席152での使用者222の着座姿勢を保持できればよいので、シートベルト201gのような柔軟部材でもよい。このシートベルト201gのバックルのような部分に環境センサ144を取り付けて、前方を検出できるように配置するか、又は、一対のアームレストの前端部に環境センサ144を取り付けてもよい。
【0055】
また、例えば、電動車いす100は、結合バー201が係合解除位置Aに位置しているとき、
図11Aに示すように、搭乗時に、第1回転機構240で、結合バー201の長手方向軸201c周りにすなわちシート側に回転する構成にしてもよい。この第1回転機構240は、右のアームレスト141Rの前端部に、結合バー201の長手軸201c周りに、係合解除位置Aにある結合バー201を回転自在に支持する第1支持部242と、第1支持部242で支持されかつ係合解除位置Aにある結合バー201を結合バー201の長手軸201c周りに回転させるモータなどの第1回転駆動装置241とで構成されている。
【0056】
これにより、環境センサ144による使用者222の個人の概略特定又は個人認証はステップS01A〜S01Cにおいて行っているが、これらの動作を、使用者222が電動車いす100に搭乗後(座席152に着座したのち)のステップS02の後に実施することができ、使用者222の手間を省くことができる。
【0057】
なお、環境センサ144は、
図11Bに示すように、使用者222が電動車いす100に搭乗して結合バー201を係合位置Bに係合させた後に、第2回転機構245で、結合バー201の長手方向軸201c周りにすなわち使用者側に回転する構成に電動車いす100をしてもよい。この第2回転機構245は、左右のアームレスト141L,141Rのそれぞれの前端部に、結合バー201の長手軸201c周りに、係合位置Bにある結合バー201を回転自在に支持する第2支持部246と、第2支持部246で支持されかつ係合位置Bにある結合バー201を結合バー201の長手軸201c周りに回転させるモータなどの第2回転駆動装置247とで構成されている。
【0058】
これにより、環境センサ144による個人認証はステップS01A〜S01Cにおいて行っていたが、個人認証を使用者が電動車いす100に搭乗後(座席152に着座したのち)(ステップS02)、結合バー201を結合して係合位置Bに位置したステップS03の後に実施することができ、使用者222の手間を省くことができる。
【0059】
なお、環境センサ144として、距離画像センサのうちのTOFセンサを用いてもよい。この場合、レーザセンサを用いる場合と比較し、電動車いす100のコストを低下させることができる。
【0060】
なお、環境センサ144としてステレオカメラを用いてもよい。この場合、奥行き情報に加え、色情報なども取得できるため、使用者222又は障害物について、より詳細な情報を取得し、精度の高い個人認識又は的確な障害物回避を実現することができる。
【0061】
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。