【文献】
寺田 努、他2名,位置に基づく会話のデータベース化による状況依存情報提示システムの設計と実装,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2011)シンポジウム論文集,一般社団法人情報処理学会,2011年 6月29日,Vol.2011,No.1,p.1580〜1587
【文献】
加藤 祐也、外4名,顔画像検索を用いたリアルタイム人物記憶補助システム,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2014年 3月 6日,第113巻,第493号,p.209−214
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キーワード抽出部が前記会話データから抽出した前記キーワードに前記特定ワードが含まれている場合、前記特定ワードによって特定できる人物を前記対話相手として設定する対話相手設定部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の技術では、対話する人物が特定できる場合には、ユーザは当該人物との会話を円滑にするための情報を取得できるが、対話相手の名前を思い出せないなど、相手の名前を特定できない場合には、ユーザは会話を円滑にするための情報を取得できないという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、対話相手が誰であるか認識できない場合であっても当該対話相手との会話を円滑にすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、一又は複数の人物それぞれの個人情報が記録された記録部と、会話データを通信端末から取得して前記会話データからキーワードを抽出するキーワード抽出部と、前記個人情報を検索し、前記キーワードを含む情報が記録されている人物を抽出する人物抽出部と、抽出した前記人物に関する情報を、前記通信端末に出力する人物情報出力部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0007】
情報処理装置は、例えば、前記キーワードが抽出された前記会話データの会話が、前記個人情報が含む情報の属性のうち、何れの属性に対応するかを特定する属性特定部をさらに備え、前記人物抽出部は、前記個人情報のうち前記会話の属性と一致する情報から前記人物の検索を開始する。
【0008】
情報処理装置は、例えば、前記人物を絞り込むために必要な絞り込み情報を特定する絞り込み情報特定部をさらに備え、前記人物情報出力部は、前記絞り込み情報を前記通信端末に出力する。
【0009】
情報処理装置は、例えば、前記個人情報の属性ごとに個人間の情報のばらつき度合いを算出するばらつき度合い算出部をさらに備え、前記絞り込み情報特定部が特定する情報は、前記ばらつき度合いが大きい属性の情報である。
【0010】
情報処理装置は、例えば、前記絞り込み情報特定部は、前記人物抽出部が抽出した前記人物から会話の対話相手を一意に特定できる情報である特定ワードを算出し、前記人物情報出力部は、前記特定ワードを前記通信端末に出力する。
【0011】
情報処理装置は、例えば、前記キーワード抽出部が前記会話データから抽出した前記キーワードに前記特定ワードが含まれている場合、前記特定ワードによって特定できる人物を前記対話相手として設定する対話相手設定部をさらに備える。
【0012】
前記人物情報出力部は、例えば、前記対話相手設定部が設定した前記対話相手の個人情報を出力する。
【0013】
前記キーワード抽出部は、例えば、前記通信端末から取得した前記通信端末の位置情報又は前記通信端末に記録されているカレンダー情報からさらにキーワードを抽出する。
【0014】
前記人物抽出部は、例えば、前記位置情報又は前記カレンダー情報から抽出したキーワードに対応する情報から先に前記個人情報の検索を開始する。
【0015】
前記個人情報は、例えば、前記個人情報に登録された人物と会話をした日時が記録された会話履歴情報を有し、前記人物情報出力部は、前記会話の日時が古い又は頻度が少ない人物に関する情報を先に前記通信端末に出力する。
【0016】
前記人物情報出力部は、例えば、前記通信端末の表示部に表示させる映像データ又は前記通信端末のスピーカに出力させる音声データを出力する。
【0017】
前記会話データは音声データであり、情報処理装置は、例えば、前記音声データをテキストデータに変換するデータ変換部をさらに備え、前記キーワード抽出部は、前記テキストデータから前記キーワードを抽出する。
【0018】
本発明の第2の態様においては、互いにデータの送受信をする通信端末とサーバとを備える情報処理システムであって、前記通信端末は、会話データが入力される入力部と、前記会話データを前記サーバに送信する第1送信部と、前記サーバからデータを受信する第1受信部と、前記サーバから受信した前記データを出力する出力部と、を備え、前記サーバは、一又は複数の人物それぞれの個人情報が記録された記録部と、前記通信端末から前記会話データを受信する第2受信部と、前記会話データを前記通信端末から取得して前記会話データからキーワードを抽出するキーワード抽出部と、前記個人情報を検索し、前記キーワードを含む情報が記録されている人物を抽出する人物抽出部と、抽出した前記人物に関する情報を出力する人物情報出力部と、前記人物情報出力部が出力した前記情報を前記通信端末に送信する第2送信部と、を備える、情報処理システムを提供する。
【0019】
本発明の第3の態様においては、プロセッサが、会話データを通信端末から取得して前記会話データからキーワードを抽出するステップと、一又は複数の人物それぞれの個人情報が記録された記録部を検索し、前記キーワードを含む情報が記録されている人物を抽出するステップと、抽出した前記人物に関する情報を、前記通信端末に出力するステップと、を実行する情報処理方法を提供する。
【0020】
本発明の第4の態様においては、コンピュータに、会話データを通信端末から取得して前記会話データからキーワードを抽出する機能と、一又は複数の人物それぞれの個人情報が記録された記録部を検索し、前記キーワードを含む情報が記録されている人物を抽出する機能と、抽出した前記人物に関する情報を、前記通信端末に出力する機能と、を実現させるプログラムを提供する。
【0021】
本発明によれば、対話相手が誰であるか認識できない場合であっても、当該対話相手との会話を円滑にすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[情報処理システムの概要]
図1は、実施の形態に係る情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、例えばグラスディスプレイ型の通信端末1とサーバ2とを備える。通信端末1とサーバ2とは、例えば、無線通信により基地局を介してデータの送受信をする。
【0024】
情報処理システムSは、例えば、パーティ会場などで用いられる。パーティ会場では、ふとした偶然で過去に接触したことがある人物と再会することがある。しかしながら、当該人物とユーザとの関係がさほど深くない場合、ユーザは当該人物の名前を思い出せないことがある。
【0025】
通信端末1を装着したユーザは、上記人物との会話データをマイク11から取得してサーバ2に送信する。会話データを受信したサーバ2は、会話データ中に含まれるキーワードに基づいて、サーバ2に一又は複数の人物の個人情報が記録された記録部から上記人物の候補者を抽出し、当該候補者の個人情報を通信端末1に送信する。
【0026】
ユーザは、上記候補者の個人情報を通信端末1の表示部12に表示された情報を見ながら、さらに対話相手と会話を継続することにより、サーバ2に上記候補者を絞るキーワードを抽出させる。サーバ2は、抽出したキーワードを含む個人情報を有する人物を特定し、上記候補者を絞り込む。
【0027】
上記の処理を繰り返すことにより、ユーザは、対話相手を認識できない場合であっても対話相手が誰なのかを特定することができる。ユーザは、例えば、対話相手の名称を含んだ会話データをマイク11に入力することにより、サーバ2に対話相手を設定させる。サーバ2は、設定された対話相手のより詳細な個人情報を通信端末1に送信し、通信端末1の表示部12に表示させる。ユーザは、表示部12に表示された詳細な個人情報を参照しながら、対話相手との会話を円滑にすることができる。以下に、
図2を参照しながら実施の形態に係る情報処理システムSの詳細を説明する。
【0028】
<情報処理システムSの構成>
図2は、情報処理システムSの構成を説明するための図である。上述したとおり、情報処理システムSは、通信端末1とサーバ2とを備える。
【0029】
通信端末1は、マイク11、表示部12及び図示しない受信部を有する。マイク11は、ユーザと対話相手との会話データが入力される。この場合、会話データは音声データである。通信端末1は、マイク11に入力された音声データをサーバ2に送信する。表示部12には、受信部がサーバ2から受信したデータが表示される。
【0030】
サーバ2は、記録部21、制御部22及び通信部23を備える。記録部21は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)を備える。RAMには、例えば、通信端末1から受信した音声データ、当該音声データから抽出されたキーワード、対話相手の候補者などが記録される。ROMには、例えば、制御部22が実行するプログラムが記録されている。HDDには、例えば、一又は複数の人物それぞれの個人情報が記録されている。
【0031】
図3は、個人情報として登録される情報が示された表である。表において、第1列には情報の属性が記され、第2列には各属性がどのような情報を含んでいるかが記されている。個人情報には、例えば、個人の名前、所属、経歴、SNS(Social Networking Service)等のアップデート情報、過去にしたチャットのテキスト情報、ユーザとの共通点、過去にユーザと接触した場所、日時、機会、ユーザと会話をした日時及び頻度などが記録されている。後述するように、制御部22は、個人情報を検索してユーザの会話の相手を特定する。なお、記録部21に記録された個人情報は、情報処理システムSのユーザが直接入力することによって記録されてもよく、サーバ2が登録された人物のSNS等の情報を取得して記録されるようにしてもよい。
【0032】
通信部23は、通信端末1とデータの送受信を行う。通信部23は、通信端末1から音声データを受信する。また、通信部23は、通信端末1に対話相手の候補者の個人情報を送信する。
【0033】
制御部22は、記録部21に記録されたプログラムを実行することによって、データ変換部201、キーワード抽出部202、属性特定部203、人物抽出部204、絞り込み情報特定部205、人物情報出力部206、ばらつき度合い算出部207及び対話相手設定部208として機能する。
【0034】
データ変換部201は、通信端末1から通信部23を介して受信した音声データを、音声認識処理によりテキストデータに変換する。データ変換部201は、上記テキストデータをキーワード抽出部202に送信する。
【0035】
キーワード抽出部202は、通信部23又はデータ変換部201から受信したテキストデータからキーワードを抽出する。キーワード抽出部202は、例えば、形態素解析により会話データから単語を抽出し、予め用意したテーブルを参照して、上記抽出した単語の中から対話相手の候補を選ぶために適したキーワードを抽出する。
【0036】
キーワード抽出部202は、通信端末1から取得した通信端末1の位置情報又は通信端末1に記録されているカレンダー情報からさらにキーワードを抽出してもよい。キーワード抽出部202は、抽出したキーワードを、属性特定部203及び人物抽出部204に送信する。また、キーワード抽出部202は、抽出したキーワードを記録部21に記録する。
【0037】
属性特定部203は、キーワードが抽出された会話データの会話が、上記個人情報が含む情報の属性のうち、何れの属性に対応するかを特定する。例えば、会話データの内容が、「以前お会いしたのはA学会でしたっけ?」という内容であれば、会話データは「以前」及び「学会」という単語を含むため、属性特定部203は、会話が日時及び機会という属性に対応すると特定する。属性特定部203は、会話に対応する属性を人物抽出部204に送信する。
【0038】
人物抽出部204は、個人情報を検索し、上記キーワードを含む情報が記録されている人物を抽出する。人物抽出部204は、個人情報のうち、会話の属性と一致する情報から検索を開始して人物を抽出してもよい。こうすると、サーバ2は、会話の相手を特定する計算コストを節約することができる。
【0039】
また、人物抽出部204は、通信端末1の位置を示す名称又はカレンダー情報から取得したキーワードから先に個人情報を検索してもよい。こうすると、抽出した人物が、ユーザの会話の相手である可能性が高まる。
【0040】
人物抽出部204は、キーワード抽出部202が抽出したキーワードに人物の苗字が含まれる場合、先ず、当該苗字の人物を対話相手の候補者として抽出し、その後に上記候補者の個人情報の中にその他のキーワードが含まれているか否かを検索してもよい。こうすると、サーバ2は計算コストを抑えることができる。
【0041】
人物抽出部204は、既に通信端末1に複数の対話相手の候補者を出力している場合、上記候補者の中から、キーワード抽出部202から取得したキーワードを個人情報に含む人物を抽出する。ユーザは会話を続けることにより、対話相手を特定するためのキーワードを取得し、対話相手の候補者を絞り込むことができる。人物抽出部204は、抽出した人物を絞り込み情報特定部205及び人物情報出力部206に送信する。
【0042】
絞り込み情報特定部205は、人物抽出部204が抽出した対話相手の候補者を絞り込むために必要な絞り込み情報を特定する。以下に
図4を参照しながら、絞り込み情報特定部205が特定する絞り込み情報について説明する。
【0043】
図4は、複数の人物の個人情報が記された表である。人物抽出部204が対話相手の候補者として、麻生G郎、東野T郎及び加藤A作の3名を抽出したとする。絞り込み情報特定部205は、上記3人の個人情報を参照して、対話相手を特定するために必要な情報を特定する。
【0044】
例えば、ユーザが上記3人と出会った機会は、それぞれ、共同研究、OB会、国際会議であるため、対話相手と過去に出会った機会を知ることができれば、対話相手が誰であるかを特定することができる。つまり、「機会」は絞り込み情報となる。一方、上記3人は全員所属がA研究所であるため、「所属」は、対話相手を特定するための情報にはならない。
【0045】
絞り込み情報特定部205は、個人情報のばらつき度合いが大きい属性の情報を絞り込み情報に特定してもよい。ばらつき度合い算出部207は、個人情報の属性ごとに個人間の情報のばらつき度合いを算出する。再度
図4の表を参照しながら、個人情報のばらづき度合いについて説明する。
図4では、麻生G郎、東野T郎、加藤A作それぞれの所属は、全員A研究所であり、同一である。したがって、「所属」という属性の情報はばらついていない。
【0046】
一方、「共通点」という属性の情報を参照すると、一人は「人工知能」であるが、他の二人は「子供二人」である。したがって、「共通点」という属性の情報は、ばらついており、対話相手が人工知能に興味を持っていることを聞き出せれば、ユーザは対話相手が麻生G郎であることを特定できる。
【0047】
また、「機会」という属性の情報を参照すると、それぞれ、「共同研究」、「OB会」、「国際会議」である。したがって、「機会」という属性の情報は「共通点」という属性の情報よりさらにばらついている。それ故、対話相手から過去に出会った際の機会を聞き出せれば、ユーザは対話相手を特定することができる。
【0048】
ばらつき度合い算出部207が算出するばらつき度合いは、例えば、属性に関する情報の種類を、個人情報を比較する人数で除した値である。例えば、「所属」のばらづき度合いは1/3であり、「共通点」のばらづき度合いは2/3であり、「機会」のばらづき度合いは3/3(即ち、1)である。つまり、上記例では、ばらつき度合いをVとすると、0≦V≦1であり、Vが大きいほどばらついている。続いて、絞り込み情報特定部205が特定する特定ワードについて
図4を参照しながら説明する。
【0049】
絞り込み情報特定部205は、人物抽出部204が抽出した人物から会話の対話相手を一意に特定できる情報である特定ワードを算出する。例えば、ばらつき度合いが1である属性の情報は特定ワードである。具体的には、「共同研究」、「OB会」、「国際会議」は、それぞれ、特定ワードである。即ち、特定ワードとは、対話相手から当該ワードを聞き出せれば、対話相手を一意に特定することができるワードのことである。
図4の表には、特定ワード及びばらつき度合いが1である属性のタイトルに下線が引かれている。絞り込み情報特定部205は、算出した特定ワードを記録部21に記録する。
【0050】
人物情報出力部206は、抽出した人物に関する情報を、通信端末1に出力する。人物情報出力部206は、例えば、人物抽出部204から受信した対話相手の候補者、候補者を絞り込むために必要な絞り込み情報及び特定ワードを通信端末1に出力する。
【0051】
人物情報出力部206は、会話の日時が古い又は頻度が少ない人物に関する情報を先に通信端末1に出力してもよい。こうすると、ユーザは記憶が曖昧な人物から先に個人情報を確認することができる。人物情報出力部206は、上記情報を、例えば、通信端末1の表示部に表示する映像データ又は通信端末1のスピーカに出力する音声データとして出力する。
【0052】
対話相手設定部208は、キーワード抽出部202が会話データから抽出したキーワードに上記特定ワードが含まれている場合、当該特定ワードによって特定できる人物をユーザの対話相手として設定する。対話相手設定部208は、ユーザの対話相手として設定した人物を人物情報出力部206に送信する。人物情報出力部206は、対話相手設定部208が設定した対話相手の個人情報を出力する。以下に、
図5及び
図6を参照しながら、上で説明した情報処理システムSの動作例を説明する。
【0053】
[情報処理システムSの動作例1]
図5は、情報処理システムSの動作例を概略的に説明するための図である。
図5には、ユーザが、サーバ2と通信をしているグラスディスプレイを利用して、対話相手を特定しようとしている様子が示されている。
図5の場合は、対話相手が加藤と記された名札を有しているため、ユーザは対話相手の苗字は判別できるが、それ以外の情報についてはわからない。
【0054】
図5では、「どうもお久しぶりです。先日の学会ではお世話になりました。」と対話相手に声をかけられたユーザが、「ああ、加藤さん。お久しぶりです。こちらにも参加されていたんですね。」と答えたことを受けて、上記音声データがサーバ2に送信される。
【0055】
サーバ2において、データ変換部201が上記音声データをテキストデータに変換する。キーワード抽出部202は、例えば、テキストデータから「先日」、「学会」、「加藤」等というキーワードを抽出する。人物抽出部204は、個人情報を参照し、上記キーワードを個人情報に含む人物を対話相手の候補者として抽出する。人物情報出力部206は、人物抽出部204が抽出した人物の情報を、ユーザのグラスディスプレイに表示させ、グラスディスプレイには加藤という苗字を有する人物の個人情報が表示されている。
【0056】
図5に示した例では、加藤という人物が個人情報に複数登録されているため、グラスディスプレイには、複数の加藤という人物についての情報が表示される。
図5の例では、続いて、対話相手の「ええ、A研究所の者は参加しています。」という受け答えに対し、ユーザが「A研究所の方は皆さん来ているんですね。」と答える。この会話を受けて、キーワード抽出部202は、「A研究所」というキーワードを抽出し、人物抽出部204は、複数の加藤という人物の中から所属がA研究所である加藤A作を抽出する。
【0057】
人物抽出部204がただ一人の候補者を抽出した時点で、対話相手設定部208は加藤A作を対話相手として設定する。対話相手設定部208が加藤A作を対話相手として設定すると、人物情報出力部206は、加藤A作に関する個人情報をユーザのグラスディスプレイに出力する。続いて、情報処理システムSの動作例をさらに一つ説明する。
【0058】
[情報処理システムSの動作例2]
図6は、情報処理システムSの動作例を概略的に説明するための図である。
図6に示した例では、
図5に示した例と異なり、ユーザは対話相手の苗字がわからない状態で会話を始める。
【0059】
図6では、「どうもお久しぶりです。先日の学会ではお世話になりました。」と対話相手に声をかけられたことを受けて、人物抽出部204は過去に学会であったことが個人情報に記録されている人物を対話相手の候補者として抽出する。
【0060】
続いて、ユーザが、「ああ、どうも。お会いした学会は確か・・・」と尋ねたことに対し、対話相手が「B学会ですよ。Japan nightは盛り上がりましたね。」と答え、人物抽出部204は、先に抽出した候補者の中から、B学会及びJapan nightに参加した加藤A作を抽出する。
【0061】
人物抽出部204がただ一人の候補者を抽出した時点で、対話相手設定部208は加藤A作を対話相手として設定する。対話相手設定部208が加藤A作を対話相手として設定すると、人物情報出力部206は、加藤A作に関する個人情報をユーザのグラスディスプレイに出力する。続いて、
図7を参照しながら、サーバ2が実行する処理のフローについて説明する。
【0062】
[サーバ2が実行する処理のフロー]
図7は、サーバ2が実行する処理のフローを示すフローチャートである。フローチャートは、サーバ2がユーザと対話相手との会話データを取得する処理から開始する(S71)。続いて、キーワード抽出部202が取得した会話データからキーワードを抽出する(S72)。
【0063】
続いて、属性特定部203がキーワードから会話と個人情報の属性との対応を特定する(S73)。続いて、人物抽出部204が、個人情報を参照して属性特定部203が特定した属性の情報から先にキーワードが個人情報に含まれているか否かを確認し、対話相手の候補者を抽出する(S74)。
【0064】
続いて、絞り込み情報特定部205が、抽出された候補者を絞り込むための絞り込み情報を特定する(S75)。続いて、人物情報出力部206が候補者として抽出した人物に関する情報と候補者を絞り込むための絞り込み情報とを出力する(S76)。
【0065】
対話相手の候補者が一人となり対話相手を特定した場合(S77においてYES)、対話相手設定部208がユーザの対話相手を設定する(S78)。対話相手を特定できていない場合(S77においてNO)、サーバ2はS71から処理を繰り返す。
【0066】
[実施の形態の情報処理システムSが奏する効果]
上述したように、実施の形態の情報処理システムSは、通信端末1とサーバ2とを備え、サーバ2は、一又は複数の人物それぞれの個人情報が記録され、会話データを通信端末1から取得して会話データからキーワードを抽出する。そして、サーバ2は、個人情報を検索し、キーワードを含む情報が記録されている人物を抽出し、抽出した人物に関する情報を、通信端末1に出力する。こうすることによって、情報処理システムSのユーザは、対話相手が誰であるか認識できない場合であっても、当該対話相手を特定して会話を円滑にすることができる。
【0067】
また、サーバ2は、キーワードが抽出された会話データの会話が、個人情報が含む情報の属性のうち、何れの属性に対応するかを特定し、個人情報のうち会話の属性と一致する情報から人物の検索を開始してもよい。こうすると、サーバ2は、ユーザの対話相手の候補者を素早く抽出することができ、計算コストを節約することができる。
【0068】
サーバ2は、人物を絞り込むために必要な絞り込み情報を特定し、絞り込み情報を通信端末1に出力してもよい。こうすると、ユーザはどのような会話をすれば対話相手を特定することができるのかを把握することができ、会話を長く続けなくとも対話相手を特定する情報を入手することができる。
【0069】
サーバ2は、個人情報の属性ごとに個人間の情報のばらつき度合いを算出し、ばらつき度合いが大きい属性の情報を絞り込み情報として特定してもよい。こうすると、情報処理システムSのユーザは、対話相手を特定しやすい情報を把握することが可能となり、対話相手を会話の早い段階で特定することができる。
【0070】
サーバ2は、個人情報を参照して抽出した人物から会話の対話相手を一意に特定できる情報である特定ワードを算出し、上記特定ワードを通信端末1に出力してもよい。こうすうと、ユーザは対話相手からどのようなキーワードを聞き出せば対話相手を特定することができるのかを知ることができ、対話相手を会話の早い段階で特定することができる。
【0071】
サーバ2は、会話データから抽出したキーワードに特定ワードが含まれている場合、特定ワードによって特定できる人物を対話相手として設定してもよい。こうすると、キーワードが抽出されつづけ、対話相手の候補者が揺らぎ続けるのを防ぐことができる。
【0072】
サーバ2は、設定した対話相手の個人情報を出力してもよい。こうすると、サーバ2が複数の候補者の個人情報を通信端末1に出力しないため、サーバ2は対話相手として設定した人物のより詳細な情報を通信端末1に出力することができる。また、ユーザは対話相手を知るだけでなく、対話相手に関する個人情報を確認しながら会話をすることができる。
【0073】
サーバ2は、通信端末1から取得した通信端末1の位置情報又は通信端末1に記録されているカレンダー情報からさらにキーワードを抽出してもよい。こうすると、ユーザが現在位置する場所や参加しているイベントをキーワードに含めることができ、対話相手の候補者として抽出する人物の正確性が高まる。
【0074】
また、サーバ2は、位置情報又はカレンダー情報から抽出したキーワードに対応する情報から先に個人情報の検索を開始してもよい。こうすると、対話相手の候補者としてより可能性が高い人物を会話の早い段階で抽出することができる。
【0075】
個人情報は、個人情報に登録された人物と会話をした日時が記録された会話履歴情報を有し、サーバ2は、会話の日時が古い又は頻度が少ない人物に関する情報を先に通信端末1に出力してもよい。こうすると、ユーザは記憶が不確かな人物に関する情報を参照しやすくなり、対話相手を思い出す可能性が高まる。
【0076】
サーバ2は、通信端末1の表示部に表示させる映像データ又は通信端末1のスピーカに出力させる音声データを出力してもよい。こうすると、ユーザは種々の通信端末1を利用して、対話相手に関する情報を参照することができ、情報処理システムSの利便性が高まる。
【0077】
サーバ2が取得する会話データは音声データであり、サーバ2は音声データをテキストデータに変換し、テキストデータからキーワードを抽出してもよい。こうすると、例えば、ユーザと対話相手とが対面で会話をしている場合であっても、情報処理システムSは、ユーザに対話相手の候補者を通知することができる。
【0078】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0079】
<変形例1>
上記の説明では、ユーザと対話相手との会話の音声データが通信端末1のマイク11に入力され、サーバ2は上記音声データをテキストデータに変換する構成とした。ユーザと対話相手とのコミュニケーションは、音声によるコミュニケーションに限定されない。ユーザと対話相手とのコミュニケーションは、情報処理端末上で行われるテキスト形式でのチャットであってもよい。その場合、サーバ2は、音声データをテキストデータに変換する処理を省くことができる。
【0080】
<変形例2>
通信端末1には、例えば、カメラが備え付けられ、対話相手の顔又は対話相手が身に着けている名札を読み取り、サーバ2に送信してもよい。また、サーバ2は、画像処理部をさらに備え、通信端末1から受信した画像を認識し、画像からキーワード又は人物の名称を抽出してもよい。
【0081】
<変形例3>
上記説明では、人物抽出部204は、キーワードを取得するたびに対話相手の候補者を絞っていくとした。人物抽出部204は、キーワードを取得するたびに対話相手の候補者を入れ替えてもよい。こうすると、人物抽出部204が初めに抽出した人物の中に対話相手が含まれていない場合であっても、ユーザは会話を続けるうちに対話相手に関する情報を参照して対話相手を思い出すことができる。
【0082】
<変形例4>
上記の説明では、キーワード抽出部202は、ユーザが発した言葉と対話相手が発した言葉の双方からキーワードを抽出するとした。その代わり、キーワード抽出部202は、声紋認証をすることにより、予め登録されたユーザの言葉のみからキーワードを抽出するようにしてもよい。このようにすると、ユーザは、候補者を絞り込みたいときに意図的に特定のキーワードを発声することにより、精度よく候補者を絞り込むことができる。