特許第6709721号(P6709721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709721
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】カーテンウォール
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/90 20060101AFI20200608BHJP
【FI】
   E04B2/90
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-220928(P2016-220928)
(22)【出願日】2016年11月11日
(65)【公開番号】特開2018-76751(P2018-76751A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 玲子
(72)【発明者】
【氏名】宮本 佳奈
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−155505(JP,U)
【文献】 実公昭58−020786(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/88 − 2/96
E06B 7/12 − 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の横枠材及び左右の縦枠材によって構成した枠体を備え、互いに並設される枠体の相互間に室外側から1次シール及び2次シールを順次設けるとともに、これら枠体、1次シール及び2次シールによって囲まれる空間を室外の空気に連通させたカーテンウォールにおいて、
前記上下の横枠材及び前記左右の縦枠材にそれぞれ互いに内部が連通し、かつ前記1次シールよりも室外側に突出した部分を有する中空状の主体部を設け、上方の横枠材において前記1次シールと前記2次シールとの間に位置する部位に前記主体部の内部に連通する水抜き孔を形成し、かつ下方の横枠材において前記1次シールよりも室外側に突出した部位に前記主体部の内部に連通する排水孔を設けたことを特徴とするカーテンウォール。
【請求項2】
前記上下の横枠材及び前記左右の縦枠材は、互いに同一の断面形状を有するように構成したものであり、互いの端部を留め継ぎすることによって前記枠体を構成したことを特徴とする請求項1に記載のカーテンウォール。
【請求項3】
前記上下の横枠材及び前記左右の縦枠材は、前記主体部とは別個の中空状を成し、内部に連結ブロックが挿入されるブロック挿入部を有したことを特徴とする請求項2に記載のカーテンウォール。
【請求項4】
前記下方の横枠材は、前記1次シールと前記2次シールとの間に位置する部位に前記主体部の内部に連通する通気孔を有したものであり、前記縦枠材から前記排水孔の開口端までの距離が、前記縦枠材から前記通気孔の開口端までの距離よりも短くなるように前記排水孔及び前記通気孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテンウォールでは、互いに並設される枠体の相互間に1次シール及び2次シールを設け、これら枠体、1次シール及び2次シールによって囲まれる空間(以下、等圧空間という)を室外の空気に連通させることによって室内側への雨水等の水の浸入を防止するようにしている。すなわち、上述の等圧空間を室外の空気に連通させることで両者の気圧差を常時ゼロとし、気圧差に起因して室内側に水が浸入する事態を防止している。1次シール及び2次シールは、それぞれ隣設するカーテンウォールの枠体間にシール材を介在させることによって構成されている。1次シールを通過して等圧空間に浸入した雨水等の水は、等圧空間を室外の空気に連通させる通気孔を通じて室外側に排出されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−199716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のカーテンウォールにあっては、上述の通気孔が等圧空間への水の浸入通路ともなり得る。このため、例えば風雨が激しい状況等、水抜き孔から等圧空間へ水が浸入した状態で外気圧が上昇すると、等圧空間の気圧も上昇し、等圧空間の水が2次シールを越えて室内側に浸入する事態が生じ得る。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、室内側への水の浸入をより確実に防止することのできるカーテンウォールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るカーテンウォールは、上下の横枠材及び左右の縦枠材によって構成した枠体を備え、互いに並設される枠体の相互間に室外側から1次シール及び2次シールを順次設けるとともに、これら枠体、1次シール及び2次シールによって囲まれる空間を室外の空気に連通させたカーテンウォールにおいて、前記上下の横枠材及び前記左右の縦枠材にそれぞれ互いに内部が連通し、かつ前記1次シールよりも室外側に突出した部分を有する中空状の主体部を設け、上方の横枠材において前記1次シールと前記2次シールとの間に位置する部位に前記主体部の内部に連通する水抜き孔を形成し、かつ下方の横枠材において前記1次シールよりも室外側に突出した部位に前記主体部の内部に連通する排水孔を設けたことを特徴とする。
【0007】
この発明では、枠体、1次シール及び2次シールによって囲まれる空間(以下、等圧空間という)に浸入した水は、上方の横枠材に形成した水抜き孔を通じて主体部の内部に導入され、縦枠材の主体部を介して下方の横枠材の主体部に到達した後、主体部の排水孔を通じて外部に排出されることになる。しかも、主体部の排水孔が等圧空間に対して直接開口していないため、排水孔から外部の水が容易に浸入する事態を招来することはない。これらの結果、等圧空間に浸入した水を効率良く外部に排出することが可能となり、室内側への水の浸入をより確実に防止することができる。
【0008】
また本発明は、上述したカーテンウォールにおいて、前記上下の横枠材及び前記左右の縦枠材は、互いに同一の断面形状を有するように構成したものであり、互いの端部を留め継ぎすることによって前記枠体を構成したことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、枠材の数が1つとなるため、部品管理が容易となり、製造コストの低減にも寄与する。さらに、四周が同一の断面形状を有した枠材となるため、排水通路となる中空状の主体部を容易に、かつ確実に連通することができるようになる。
【0010】
また本発明は、上述したカーテンウォールにおいて、前記上下の横枠材及び前記左右の縦枠材は、前記主体部とは別個の中空状を成し、内部に連結ブロックが挿入されるブロック挿入部を有したことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、連結ブロックを適用することにより横枠材及び縦枠材をより強固に接続することができ、枠材の相互接続部から中空状の主体部を通過する水が漏れる事態を招来するおそれがない。しかも、ブロック挿入部と主体部とを別個に構成しているため、連結ブロックが水の流通を妨げることもない。
【0012】
また本発明は、上述したカーテンウォールにおいて、前記下方の横枠材は、前記1次シールと前記2次シールとの間に位置する部位に前記主体部の内部に連通する通気孔を有したものであり、前記縦枠材から前記排水孔の開口端までの距離が、前記縦枠材から前記通気孔の開口端までの距離よりも短くなるように前記排水孔及び前記通気孔が設けられていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、縦枠材の主体部を通過した水が再び等圧空間に浸入する事態を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、枠体、1次シール及び2次シールによって囲まれる等圧空間に対して水を外部に排出する排水孔が直接開口していないため、排水孔から外部の水が浸入する事態を招来することはなく、等圧空間に浸入した水を効率良く外部に排出することが可能となり、室内側への水の浸入をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、建築物に適用した本発明の実施の形態であるカーテンウォールを室内側から見た図である。
図2図2は、図1に示した建築物の要部縦断面側面図である。
図3図3は、図1に示した建築物の要部横断面平面図である。
図4図4は、図1に示した建築物に適用するカーテンウォールの要部を示す拡大縦断面側面図である。
図5図5は、図1に示した建築物に適用するカーテンウォールの横枠材と縦枠材との接合部を示す縦断面正面図である。
図6図6は、図1に示した建築物に適用するカーテンウォールの枠体を模式的に示す一部破断斜視図である。
図7図7は、図1に示した建築物に適用するカーテンウォールの要部を示す拡大縦断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るカーテンウォールの好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1図3は、本発明の実施の形態であるカーテンウォールを適用した建築物の要部を示したものである。ここで例示する建築物は、同一の構成を有した複数のカーテンウォール1を縦横に並設することによって外壁を構成したものである。外壁を構成する個々のカーテンウォール1は、枠体1Aの内部に面材1Bを備えている。
【0017】
枠体1Aは、上下の横枠材10A,10B及び左右の縦枠材10C,10Dによって構成した矩形状を成すものである。本実施の形態では、上下の横枠材10A,10B及び左右の縦枠材10C,10Dとして、互いに同一の断面形状を有するものを適用し、互いの間を留め継ぎすることによって枠体1Aを構成するようにしている。すなわち、この枠体1Aでは、横枠材10A,10Bの両端部及び縦枠材10C,10Dの両端部がそれぞれ45°の傾斜面10eをもつように構成してあり、互いに傾斜面10eを対向させた状態で相互に接合してある。横枠材10A,10B及び縦枠材10C,10Dは、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手方向の全長にわたって一様な断面形状を有するように構成してある。以下、図1図7を適宜参照しながら枠体1Aの構成を中心に本発明の特徴部分について詳述する。なお、上述したように、本実施の形態では、上下の横枠材10A,10B及び左右の縦枠材10C,10Dとして同一の断面形状を有したものを適用している。従って、以下では横枠材10A,10Bと縦枠材10C,10Dとで共通する構成を説明する際には単に「枠材10」と総称し、それぞれに同一の符号を付すこととする。また説明の便宜上、以下においては見込み方向及び見付け方向等の用語を用いる。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、カーテンウォール1の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については、見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、横枠材10A,10Bのように水平に沿った部材の場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向であり、縦枠材10C,10Dのように上下に沿った部材の場合、見込み方向に直交した水平に沿う方向である。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0018】
枠材10は、1つの主体部11と、2つのブロック挿入部12,13とを有している。主体部11は、見付け方向に沿った寸法に対して見込み方向に沿った寸法が大きく設定された中空の直方体状を成す部分である。本実施の形態のブロック挿入部12,13は、見付け方向に沿った寸法及び見込み方向に沿った寸法が互いに等しい中空の直方体状を成す部分であり、主体部11の室内側に位置する縁部及び室外側に位置する縁部にそれぞれ一体に設けてある。ブロック挿入部12,13の見付け方向に沿った寸法は、主体部11よりも大きく設定してある。枠材10において枠体1Aの内周側となる部分は、主体部11と両側のブロック挿入部12,13とで単一の平面10aとなるように構成してある。枠材10において枠体1Aの外周側となる部分は、主体部11に対して両縁部のブロック挿入部12,13がそれぞれ突出した状態となっている。
【0019】
これら主体部11及びブロック挿入部12,13は、横枠材10A,10B及び縦枠材10C,10Dを留め継ぎすることにより、それぞれが互いに隙間無く連通され、枠体1Aの内部に3つの独立した中空部11a,12a,13aを構成することになる。このうち、ブロック挿入部12,13によって構成される2つの中空部12a,13aには、それぞれの四隅部にL字状を成す連結ブロック30が挿入され、さらに外周側の見込み面から連結ブロック30に連結ネジ31が螺合される。これにより、横枠材10A,10Bと縦枠材10C,10Dとの間の接合強度が向上するとともに、横枠材10A,10Bの傾斜面10eと縦枠材10C,10Dの傾斜面10eとの接合精度も向上することになる。
【0020】
枠材10において室外側に配置されるブロック挿入部12には、押縁装着部14が設けてある。押縁装着部14は、ブロック挿入部12の室外に臨む見付け面12bにおいて枠体1Aの外周側に位置する部分から室外側に向けて延在したヒレ状部分である。この押縁装着部14には、ブロック挿入部12との間に面材1Bを挟持するための押縁15が装着されている。本実施の形態では、上方の横枠材10Aと下方の横枠材10Bとの間の高さとなる位置に左右の縦枠材10C,10Dの間を連結するように無目枠材10Fが配設してあり、無目枠材10Fの上方側と下方側とで互いに形態が異なる面材1Bを保持するようにしている。図示の例では、無目枠材10Fよりも上方となる部位に面材1Bとして単層ガラスが配設してあり、無目枠材10Fよりも下方となる部位に面材1Bとして複層ガラスが配設してある。なお、押縁15については、必ずしも留め継ぎする必要はない。
【0021】
一方、枠体1Aの外周側となる主体部11の見込み面11bには、室外側に位置する部位及び室内側に位置する部位にそれぞれシール材保持溝16,17が設けてある。シール材保持溝16,17は、枠材10の長手方向に沿って延在する直線状の凹所であり、互いの間に隙間を確保するとともに、ブロック挿入部12,13との間にそれぞれ隙間を確保した位置に配設してある。本実施の形態では、主体部11の見込み面から一対の溝構成ヒレ部16a,16a、17a,17aを突出することにより、溝構成ヒレ部16a,16aの相互間及び溝構成ヒレ部17a,17aの相互間にそれぞれシール材保持溝16,17が構成してある。
【0022】
これらのシール材保持溝16,17は、横枠材10A,10B及び縦枠材10C,10Dを留め継ぎした場合に互いに端部が連結されて一繋がりとなる。このうち、室外側のシール材保持溝16には、無端状の1次シール材41が装着してあり、室内側のシール材保持溝17には、無端状の2次シール材42が装着してある。本実施の形態では、1次シール材41としてシール基部41aから外周側に向けて接触ヒレ部41bが突出した定形のものを適用し、2次シール材42としてシール基部42aの外周部にチューブ状の圧接部42bを有した定形のものを適用している。図からも明らかなように、2次シール材42の圧接部42bは、1次シール材41の接触ヒレ部41bよりも厚肉に構成してある。
【0023】
こうしたカーテンウォール1では、建築物の外壁を構成すべく縦横に並設すると、1次シール材41の接触ヒレ部41bが相互に接触することによって隣設する枠体1Aとの間に1次シール41Aが構成されるとともに、2次シール材42の圧接部42bが相互に圧接されることによって隣設する枠体1Aとの間に2次シール42Aが構成され、枠体1Aの相互間において1次シール41A及び2次シール42Aによって密閉状の空間(以下、等圧空間10Gという)が構成される。なお、1次シール41Aにおける接触ヒレ部41bの相互接触力よりも2次シール42Aにおける圧接部42bの相互圧接力が大きいのはいうまでもない。1次シール41Aよりも室外側となる部分は、室外の空気に連通され、2次シール42Aよりも室内側となる部分は、室内の空気に連通された状態となる。
【0024】
上述の枠材10によって枠体1Aを構成した状態においては、上方の横枠材10Aに水抜き孔10hが形成され、下方の横枠材10Bに通気孔10j及び排水孔10kが形成される。水抜き孔10hは、上方の横枠材10Aにおいて1次シール41Aと2次シール42Aとの間となる部位に設けた開口であり、主体部11の中空部11aに連通するように形成してある。本実施の形態では、横枠材10Aの長手方向に沿って長孔となる同一形状の水抜き孔10hが横枠材10Aの長手方向に沿った3カ所に設けてある。通気孔10jは、下方の横枠材10Bにおいて1次シール41Aと2次シール42Aとの間となる部位に設けた開口であり、主体部11の中空部11aに連通するように形成してある。本実施の形態では、横枠材10Bの長手方向に沿って長孔となる同一形状の通気孔10jが横枠材10Bの2カ所に設けてある。排水孔10kは、下方の横枠材10Bにおいて1次シール材41よりも室外側となる部位に設けた開口であり、主体部11の中空部11aに連通するように形成してある。この排水孔10kは、横枠材10Bの中空部11aから水を排出するように機能するばかりでなく、中空部11a及び通気孔10jを介して等圧空間10Gを室外の空気に連通させる通気用の孔としても機能するものである。本実施の形態では、横枠材10Bの長手方向に沿って長孔となる同一形状の排水孔10kが横枠材10Bの2カ所に設けてある。図からも明らかなように、通気孔10jは、横枠材10Bの中央部分に配設してあり、排水孔10kは、横枠材10Bの両端となる部分に配設してある。すなわち、一方の縦枠材10Cに近接した排水孔10kは、一方の縦枠材10Cから開口端までの距離d1が、一方の縦枠材10Cから通気孔10jの開口端までの距離d2よりも短くなるように設定してある。同様に、他方の縦枠材10Dに近接した排水孔10kは、他方の縦枠材10Dから開口端までの距離d1が、他方の縦枠材10Dから通気孔10jの開口端までの距離d2よりも短くなるように設定してある。特に、本実施の形態では、排水孔10kと通気孔10jとの間に横枠材10Bの長手方向に沿った隙間d3が確保してある。
【0025】
上記のように構成したカーテンウォール1では、枠体1Aとの相互間において1次シール材41と2次シール材42との間に構成される等圧空間10Gが、下方の横枠材10Bに形成した排水孔10k及び通気孔10jによって常時室外の空気に連通され、この等圧空間10Gと室外の空気との気圧差が常時ゼロとなる。従って、例えば室外の気圧が上昇すれば、等圧空間10Gの気圧もその分だけ上昇することになり、気圧差に起因して室外から雨水等の水が等圧空間10Gに浸入する事態を防止することができる。
【0026】
さらに、上述のカーテンウォール1では、上方の横枠材10Aに水抜き孔10hが設けてあるため、1次シール41Aを通過して室外から等圧空間10Gに雨水等の水が浸入したとしても、外部に排出され、等圧空間10Gに滞留するおそれがない。すなわち、等圧空間10Gに浸入して上方の横枠材10Aの上面に到達した水は、まず水抜き孔10hを通じて主体部11の中空部11aに導入される(図6及び図7中の矢印W1)。主体部11の中空部11aに導入された水は、その後、縦枠材10C,10Dの中空部11aに沿って下方に案内され、下方の横枠材10Bの中空部11aに到達する(図6及び図7中の矢印W2)。横枠材10Bの中空部11aに到達した水は、主体部11に設けた排水孔10kを通じて外部に排出されることになる(図6及び図7中の矢印W3)。このとき、上述したように、それぞれの縦枠材10C,10Dに対して通気孔10jよりも排水孔10kが近接して配置されているため、縦枠材10C,10Dの中空部11aを通過した水が、通気孔10jを介して再び等圧空間10Gに至る事態を招来するおそれはない。
【0027】
しかも、上述の排水孔10kは、等圧空間10Gに直接開口するものではなく、等圧空間10Gに開口する通気孔10jとの間にも隙間d3を確保した位置に設けてある。従って、室外からの水が排水孔10kから通気孔10jを経て等圧空間10Gに浸入する事態はほとんど生じることはなく、等圧空間10Gの水を外部に排出することができるようになる。これらの結果、上述のカーテンウォール1によれば、室外から雨水等の水が1次シール41Aを通過して等圧空間10Gに浸入したとしても、内部に滞留することなく排水孔10kを介して室外に排出されることになり、2次シール42Aを通過して水が室内側への浸入する事態をより確実に防止することが可能となる。
【0028】
なお、上述した実施の形態では、横枠材10A,10B及び縦枠材10C,10Dとして互いに同一の断面形状を有するものを適用しているため、枠材としては1種類のみとなり、部品管理が容易になるとともに、製造コストの低減にも寄与することが可能となる。しかしながら、本発明は、上下の横枠材及び左右の縦枠材にそれぞれ互いに内部が連通する中空状の主体部が設けられていれば十分であり、必ずしも断面形状が同一のものを適用する必要はない。また、同一の断面形状を有する枠材を適用する場合に上述した実施の形態では、主体部11とは別個の中空状を成すブロック挿入部12,13を有したものを例示し、さらにブロック挿入部12,13に連結ブロック30を挿入することによって枠材の端部を互いに連結するようにしているが、枠材には必ずしもブロック挿入部12,13を設ける必要もない。なお、無目枠材10Fを備えたカーテンウォール1を例示しているが、必ずしも無目枠材を備えている必要はない。
【0029】
さらに、上述した実施の形態では、水抜き孔10h、通気孔10j及び排水孔10kとしていずれも枠材の長手方向に沿った長孔状のものを例示しているが、水抜き孔10h、通気孔10j及び排水孔10kの形状は必ずしもこれに限定されない。また、水抜き孔10h、通気孔10j及び排水孔10kを設ける個数についても実施の形態に限定されない。但し、1次シール及び2次シールの間の空間を等圧空間とするには、通気孔の総開口面積と排水孔の総開口面積とを互いに一致させる必要がある。
【符号の説明】
【0030】
1 カーテンウォール、1A 枠体、10 枠材、10A,10B 横枠材、10C,10D 縦枠材、10G 等圧空間、10h 水抜き孔、10j 通気孔、10k 排水孔、11 主体部、11a 中空部、12,13 ブロック挿入部、30 連結ブロック、41A 1次シール、42A 2次シール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7