(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709725
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/107 20060101AFI20200608BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
G08B17/107 A
G08B17/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-231912(P2016-231912)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-88202(P2018-88202A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】大矢 泰徳
【審査官】
山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−008084(JP,A)
【文献】
特開平11−167686(JP,A)
【文献】
特開平01−171099(JP,A)
【文献】
特開平02−292695(JP,A)
【文献】
特開2001−236577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
21/17−21/61
G08B 17/00−17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと該本体ケースの上側を覆うカバー部材とからなる筐体の内部に、遮光壁からなるラビリンス構造を含む検煙領域および該検煙領域へ投光する発光素子と前記検煙領域で散乱された光を受光する受光素子を有する暗箱を備えた感知部と、該感知部からの信号に基づいて火災の発生を検出する電子回路が実装された回路基板と、が収納されてなる火災感知器において、
前記本体ケースに、前記回路基板および前記暗箱の基部を収納する収納凹部が形成され、
前記暗箱の基部に、周外方向へ広がる鍔部が形成され、
前記カバー部材に前記感知部が臨む開口部が形成され、該開口部の近傍には、前記暗箱の前記鍔部と接触可能な接触面部が設けられ、
前記収納凹部に前記回路基板および前記暗箱の基部が収納されて、前記本体ケースと前記カバー部材と結合された状態で、前記接触面部が前記鍔部と接触し、かつ前記暗箱の前記鍔部の外周面が前記収納凹部を構成する壁体の内面に接触するように構成されていることを特徴とする火災感知器。
【請求項2】
前記カバー部材の前記接触面部の外側には、前記収納凹部を構成する前記本体ケースの周壁端部が係合する溝部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の火災感知器。
【請求項3】
前記収納凹部を構成する前記壁体は、開口側ほど開口面積が大きくなるように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の火災感知器。
【請求項4】
前記収納凹部を構成する前記本体ケースの底壁に、前記回路基板と電気的に導通される連結金具を取り付けるネジの挿通孔が形成され、
前記回路基板には、前記挿通孔に対応する部位にネジ挿通穴が形成されているとともに、該ネジ挿通穴に対応して雌ネジ部を有する基板端子の取付け部が設けられ、
前記ネジが前記本体ケースの底壁の前記挿通孔から挿入されて先端の雄ネジ部が前記基板端子の前記雌ネジ部に螺合されることで前記回路基板が前記収納凹部内に固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の火災感知器。
【請求項5】
前記基板端子は前記鍔部に接触する位置に設けられ、前記鍔部の前記基板端子と対向する部位には、前記ネジの端部との接触を回避するための凹部が形成され、該凹部の近傍には前記基板端子を囲むように包囲枠が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器における外部からの回路収納部への腐食性ガスの侵入を防止する技術に関し、例えば受光素子を使用した光電式火災感知器(煙感知器)や煙および熱あるいはガスを検出する複合型火災感知器に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災感知器として、発光素子が発した光の散乱光を受光素子で受光することによって煙を感知する光電式煙感知器や、サーミスタのような感熱素子あるいはCOなどの有害ガスを検知するガスセンサをさらに備え、煙および熱あるいはガスを検出する複合型火災感知器が知られている。
煙感知器では、感知器本体内に回路収納部を形成し、その中に煙を検知するための感知器回路を実装したプリント基板を組込んでおり、この回路収納部内に腐食性ガスが侵入すると、プリント基板の実装電子部品や、導電パターン、電子部品と導電パターンとの半田付け部分などが腐食されるおそれがある。
【0003】
そこで、従来、感知器本体内の回路収納部に収納されているプリント基板を腐食性ガスから保護する構造を設けた感知器に関する発明が提案されている(例えば特許文献1、2)。
特許文献1に記載されている感知器は、プリント基板(配線基板)が収納される感知器本体(ベース)とカバーとの接合部にパッキンを介挿することにより腐食性ガスの侵入を防止するようにしている。また、特許文献2に記載されている感知器は、プリント基板が収納されるベース(端子盤)とカバー(検煙部本体)との接合部にスポンジを介挿することにより腐食性ガスの侵入を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−65272号公報
【特許文献2】特開平08−138166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1と特許文献2に記載されている感知器は、いずれもベースとカバーとの接合部にパッキンやスポンジを介挿しているため、腐食性ガスはもちろんのこと水の侵入を防止することができる。しかしながら、パッキンやスポンジは、柔らかく変形し易いため硬い部品に比べて組み付けが面倒であるとともに、感知器本体のベースとカバーを構成する材料であるプラスチックに比べると経年劣化を生じ易いため、交換が必要になる。
特に、特許文献1の感知器は、複数個所にパッキンを介挿する構成であるため、より一層組み付け作業が面倒になるという課題がある。
【0006】
ところで、煙感知器においては、電子部品が実装されているプリント基板は、据付け時に感知部の上方(天井面側)に位置するように取り付けられるため、基板収納部に対する防水性は必須ではなく、腐食性ガスの侵入のみ防止できれば良いことがある。
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、簡単な構成および組み立てで大幅なコストアップを招くことなくプリント基板の収納部への腐食性ガスの侵入を防止することができる火災感知器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、
本体ケースと該本体ケースの上側を覆うカバー部材とからなる筐体の内部に、遮光壁からなるラビリンス構造を含む検煙領域および該検煙領域へ投光する発光素子と前記検煙領域で散乱された光を受光する受光素子を有する暗箱を備えた感知部と、該感知部からの信号に基づいて火災の発生を検出する電子回路が実装された回路基板と、が収納されてなる火災感知器において、
前記本体ケースに、前記回路基板および前記暗箱の基部を収納する収納凹部が形成され、
前記暗箱の基部に、周外方向へ広がる鍔部が形成され、
前記カバー部材に前記感知部が臨む開口部が形成され、該開口部の近傍には、前記暗箱の前記鍔部と接触可能な接触面部が設けられ、
前記収納凹部に前記回路基板および前記暗箱の基部が収納されて、前記本体ケースと前記カバー部材と結合された状態で、前記接触面部が前記鍔部と接触し、かつ前記暗箱の前記鍔部の外周面が前記収納凹部を構成する壁体の内面に接触するように構成したものである。
【0008】
上記のような構成を有する火災感知器によれば、本体ケースの収納凹部に回路基板および暗箱の基部が収納されて本体ケースとカバー部材と結合された状態で、カバー部材の接触面部が暗箱の鍔部と接触し、かつ暗箱の鍔部の外周面が収納凹部を構成する壁体の内面に接触するので、カバー部材側から腐食性ガスが侵入する経路(隙間)が遮断され、簡単な構成で大幅なコストアップを招くことなくプリント基板の収納部への腐食性ガスの侵入を防止することができる。
【0009】
ここで、望ましくは、前記カバー部材の前記接触面部の外側には、前記収納凹部を構成する前記本体ケースの周壁端部が係合する溝部を形成する。
かかる構成によれば、本体ケースとカバー部材との接触面積が大きくなるためガスの侵入経路が長くなり、本体ケースとカバー部材との隙間を通って腐食性ガスがプリント基板の収納部へ侵入するのを有効に防止することができる。
【0010】
また、望ましくは、前記収納凹部を構成する前記壁体は、開口側ほど開口面積が大きくなるように傾斜して形成する。
かかる構成によれば、本体ケースの収納凹部内へ暗箱の基部を収納し易くなるとともに、収納された状態では暗箱の鍔部の外周面が収納凹部を構成する壁体の内面に接触するため、暗箱の鍔部の外周と収納凹部の壁体との隙間を通って腐食性ガスがプリント基板の収納部へ侵入するのを防止することができる。
【0011】
また、望ましくは、前記収納凹部を構成する前記本体ケースの底壁に、前記回路基板と電気的に導通される連結金具を取り付けるネジの挿通孔が形成され、
前記回路基板には、前記挿通孔に対応する部位にネジ挿通穴が形成されているとともに、該ネジ挿通穴に対応して雌ネジ部を有する基板端子の取付け部が設けられ、
前記ネジが前記本体ケースの底壁の前記挿通孔から挿入されて先端の雄ネジ部が前記基板端子の前記雌ネジ部に螺合されることで前記回路基板が前記収納凹部内に固定されているように構成する。
かかる構成によれば、連結金具および回路基板を本体ケースに固定するためのネジを本体ケースの下方側から挿入する構成であるため、感知器カバー側からの腐食性ガスの侵入経路に対する基板収納空間の密閉性を高めることができる。
【0012】
さらに、望ましくは、前記基板端子は前記鍔部に接触する位置に設けられ、前記鍔部の前記基板端子と対向する部位には、前記ネジの端部との接触を回避するための凹部が形成され、該凹部の近傍には前記基板端子を囲むように包囲枠が形成されているように構成する。
かかる構成によれば、基板端子は暗箱の鍔部に接触する位置に設けられているため、基板端子を半田付け等で回路基板に固定する必要がない、また、暗箱の鍔部にはネジの端部との接触を回避するための凹部が形成され、該凹部の近傍に基板端子を囲むように包囲枠が形成されているので、組み立ての際に固定用のネジの端部が暗箱の鍔部に当るのを回避しつつ、固定用のネジと基板端子のネジ穴との隙間を通ってプリント基板の収納部へ侵入するのを防止することができるため、基板収納空間の密閉性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成で大幅なコストアップを招くことなくプリント基板の収納部への腐食性ガスの侵入を防止できる火災感知器を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る火災感知器の一例としての光電式火災感知器の一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】実施形態の光電式火災感知器の内部構成を示す中央断面図である。
【
図3】実施形態の光電式火災感知器を構成する感知器本体と本体カバーとの結合部の気密性を有する構造を示す要部断面拡大図である。
【
図4】
図3に示す感知器本体と本体カバーとの結合部の構造を示す斜視透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を適用した光電式火災感知器(煙感知器)の一実施形態について説明する。
本実施形態の光電式火災感知器(以下、単に感知器と記す)10は、火災に伴い発生した煙を感知可能な感知器であり、建造物の天井面などに設置されて使用されるように構成されている。なお、以下の説明では、感知器10を建造物の天井面に設置した状態で上になる側を下側、下になる側を上側とする。
【0016】
本実施形態の感知器10は、
図1に示すように、感知部を収容するための収容凹部11Aを有し建造物の天井面に取り付けるための円筒状の本体ケース11と、ドーム状をなし前記本体ケース11の上側全体を覆う感知器カバー12とを備え、本体ケース11と感知器カバー12とにより内部に収容空間を有する筐体が形成される。
また、感知器10は、前記本体ケース11の収容凹部11A内に収容され固定される回路基板13と、ラビリンス構造の遮光壁41を有し前記回路基板13に搭載される暗箱基台14と、該暗箱基台14の縁部の内側に係合し載置される円筒状の防虫網15と、該防虫網15を挟んで前記暗箱基台14に係合し暗箱を形成する有底円筒状の暗箱カバー16とを備え、これらの構成部材が、上記筐体内に収納され本体ケース11と感知器カバー12とが結合されることで感知器が構成される。
【0017】
本体ケース11は感知器10の下側筐体壁を構成するもので、本体ケース11の下面には、予め天井面に設置された取付基台(図示省略)と連結し、当該感知器10を天井面に固定するための連結金具17が3個設けられている(
図1ではこのうち1個が見えている)。また、本体ケース11には、収容凹部11A内に収容された回路基板13および暗箱基台14を固定するネジ18が挿通されるネジ挿通孔を有するボス部11bが3個設けられている(
図1ではこのうち1個が見えている)。
【0018】
暗箱基台14には、LED(発光ダイオード)のような発光素子19Aを収納する収納部14aと、フォトダイオードのような受光素子19Bを収納する収納部14bが設けられるとともに、収納部14a,14bの底壁には、発光素子19Aと受光素子19Bのリード端子19aと19bが挿通可能な細孔(図示省略)がそれぞれ形成されており、暗箱基台14の下面より突出した各素子のリード端子の先端が回路基板13を貫通し、フロー半田付け等によって接続される。
【0019】
さらに、暗箱基台14には、回路基板13側(図では下方)へ向かって突出する2本の係止片(フック)14cが設けられ、これらの係止片14cの先端が回路基板13に形成されている係合穴13cに係合することで、暗箱基台14と回路基板13とが一体化されるように構成されている。回路基板13は、上面および下面に火災感知のための電子回路を構成する抵抗や容量、IC(半導体集積回路)などの電子部品が実装されるプリント配線基板により構成され、該基板にはネジ挿通穴13aが3箇所形成されており、連結金具17のネジ穴および本体ケース11の底壁のボス部11bを貫通して回路基板13のネジ挿通穴13aに挿通されたネジ18によって本体ケース11の収容凹部11A内に固定される。
【0020】
なお、受光素子19Bは導電性材料で形成された電磁シールドケース20に収納された状態で収納部14bに挿入されるように構成されている。また、暗箱カバー16には、暗箱基台14の収納部14a,14bに対応して、内側の素子を囲むように形成された遮光壁16a,16bが設けられている。
一方、感知器カバー12には、その中央に、暗箱の上部が突出可能な円形状の開口部12Aが形成されるとともに、該開口部12Aより突出した暗箱カバー16の円板状の蓋部16cの縁部に係合されるヘッドカバー21が設けられ、該ヘッドカバー21と感知器カバー12の上壁との間に、上記開口部12Aに連通する開口が円周方向に沿って複数個形成され、該開口が外部の煙をケース内部に流入可能にする煙流入口22として機能するように構成されている。
【0021】
また、感知器カバー12の中央の上記開口部12Aの縁には、リング状に形成された透明部材からなる光放出部材23が嵌合されるように構成されている。そして、この光放出部材23には、下方へ向かって垂下するように形成された一対の棒状の光ガイド部23aが結合されており、該光ガイド部23aのうち一方の先端(下端)の光入射部(端面)が、回路基板13上に実装される図示しない動作状態報知用の発光ダイオード(LED)と対向するように構成されている。
【0022】
次に、
図2〜
図4を用いて、煙感知部としての暗箱を構成する暗箱基台14と暗箱カバー16とを結合する構造について説明する。このうち、
図2は本体ケース11の収容凹部11A内に回路基板13および暗箱基台14を収納して感知器カバー12を被せた状態を、中心を通る鉛直な面で切断して内部構成を示す中央断面図、
図3は
図2とは異なる位置で切断して本体ケース11と回路基板13との結合構造を示す断面図、
図4は感知器カバー12を外して本体ケース11から回路基板13および暗箱基台14を取り出して暗箱基台14に暗箱カバー16を被せたものを斜め上方から見た要部斜視図である。なお、
図4は
図3に対応する部位を表わしている。
【0023】
図2に示すように、本実施形態の感知器においては、暗箱基台14の下部に周外方向へ広がるように形成された鍔部14Bが設けられている。また、鍔部14Bに対応して、感知器カバー12の中央の開口部12Aの縁には、その上面よりも一段下がった段差部12Bが形成され、この段差部12Bの上側に上記リング状の光放出部材23が嵌合されるとともに、段差部12Bの下面の幅が上記鍔部14Bの幅とほぼ同一となるように設定され、段差部12Bの下面が鍔部14Bとの接触面となるように構成されている。また、感知器カバー12下面の段差部12Bの外側には、本体ケース11の周壁11Bの先端が係合するが係合溝を構成するリブ12bが形成されている。
【0024】
上記のように、本実施形態の感知器においては、暗箱基台14の下部に鍔部14Bが形成されかつ感知器カバー12には下面が鍔部14Bとの接触面となる段差部12Bが形成されているため、リング状の光放出部材23と暗箱基台14の嵌合用のリブ14eとの隙間から矢印Aのように外部から侵入しようとする腐食性ガスの侵入を防止することができる。
また、感知器カバー12下面の段差部12Bの外側には、本体ケース11の周壁11Bの先端が係合するが係合溝を構成するリブ12bが形成されているため、感知器カバー12と本体ケース11との隙間が蛇行するようになり、これによって矢印Bの方向から侵入しようとする腐食性ガスの侵入を防止することができる。
【0025】
さらに、本体ケース11の収容凹部11Aを形成する周壁11Bは、上部の径が下部の径よりも僅かに大きく形成されており、収容凹部11A内へ暗箱基台14を挿入すると、鍔部14Bの外周が収容凹部11Aの内周面に接触して暗箱基台14の下方がほぼ密閉された空間となるように構成されている。これによって、外部から暗箱基台14の下方の空間へ侵入しようとする腐食性ガスの侵入を防止し、基板表面に実装されている電子部品や導電層を腐食性ガスから保護することができる。
【0026】
また、本実施形態の感知器においては、
図3に示すように、感知器10を天井面に固定するための連結金具17および回路基板13を本体ケース11に固定するネジ18を、本体ケース11の下方側から挿入する構成が採用されている。
さらに、連結金具17を回路基板13に電気的に接続可能にするため、ネジ18を導電性金属で形成するとともに、ネジ18が螺合する雌ネジ部を有する基板端子25が、連結金具17およびネジ18と同じ数だけ設けられている。また、回路基板13の基板表面(図では上面)の上記ネジ挿通穴13aの近傍には、図示しないが、基板端子25との電気的接触を図るための導電層が形成され、回路基板13には該導電層と接続された配線パターンが形成されており、連結金具17は、ネジ18−基板端子25−導電層を介して回路基板13の所望の素子もしくは部位と電気的な導通が図られている。
【0027】
また、上記基板端子25は、所定のネジ穴長さを確保しかつ全体の厚みを薄くするため、円環状リブ25a(
図4参照)が設けられ、該円環状リブ25aの内側に雌ネジが形成されている。また、暗箱基台14の鍔部14B下面には、上記ネジ挿通穴13aに対応してネジ先端との接触を回避するための逃がし凹部14dが設けられている。
さらに、暗箱基台14の鍔部14B下面の上記逃がし凹部14dの近傍には、
図4に示すように、逃がし凹部14dを挟んで対向するように一対の円弧状リブ14eが形成されている。また、円弧状リブ14eの外側には、基板端子25の周囲を囲みかつ先端が回路基板13の表面に接触する包囲枠14fが形成されている。本実施形態では、包囲枠14fは、上面視コの字状をなすように形成され、開口している側の端面が本体ケース11の周壁の内面に接触可能に構成されている。
【0028】
連結金具17および回路基板13をネジ18によって本体ケース11に固定する場合、ネジ18を本体ケース11の底壁側からではなく感知器カバー側から挿入する構成も考えられる(例えば特開平5−303697号公報)が、そのような構成にすると、ネジ18の頭部が感知器カバー側を向くようになるので、暗箱基台14の鍔部14Bにネジ挿通孔を設ける必要が生じる。そして、それによって、感知器カバー12側からの腐食性ガスの侵入経路(
図3の矢印A,B)に対する基板収納空間の密閉性が低下することとなるが、本実施形態のように、ネジ18を本体ケース11の底壁側から挿入する構成を採用することで上記侵入経路に対する基板収納空間の密閉性を高めることができる。
【0029】
また、基板端子25は、通常の設計思想であれば回路基板13に半田付けされることとなるが、本実施形態では、
図3に示すように、暗箱基台14の鍔部14B下面に設けられている円弧状リブ14eに接触し抑え込まれる構成となっているため、半田付けが不要である。
さらに、ネジ18の頭部側からネジ18と本体ケース11のボス部11bや基板のネジ挿通穴13aとの隙間を通って腐食性ガスが侵入しようとしても、本実施形態の感知器においては、暗箱基台14の鍔部14B下面に、逃がし凹部14dを囲むように一対の円弧状リブ14eが形成され、さらに該円弧状リブ14eの外側には基板端子25の周囲を囲みかつ先端が回路基板13の表面に接触する包囲枠14fが形成されているため、ガスの侵入を防止することができる。
【0030】
なお、図示しないが、暗箱基台14の回路基板13側(天井面側)において、同じ高さからなる袴状のリブが各細孔を包囲するように形成されており、組み立て時にリブと回路基板13によって回路基板側の各細孔周囲がそれぞれ密閉される構成となっている。また、発光素子19Aと受光素子19Bのリード端子19aと19bは、それぞれ半田メッキされ、回路基板13との接合部もハンダ付けされており、腐食防止措置がなされている。このため、開口部12Aを通過して暗箱内に侵入した腐食ガスが、細孔から収容部11A内へ侵入するのを防止するように構成されている。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の火災感知器においては、暗箱基台14の下部に鍔部14Bが形成されかつ感知器カバー12には下面が鍔部14Bとの接触面となる段差部12Bが形成されているため、外部からの腐食性ガスの侵入を防止することができる。また、連結金具17および回路基板13を本体ケース11に固定するためのネジ18を本体ケース11の下方側から挿入する構成を採用しているため、感知器カバー12側からの腐食性ガスの侵入経路に対する基板収納空間の密閉性を高めることができる。
【0032】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態のものに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、リング状の光放出部材23を設けた火災感知器に適用したものについて説明したが、光放出部材23を設けない形式の火災感知器にも適用することができる。
また、上記実施形態の火災感知器においては、本体ケース11と感知器カバー12とを一体化させるため、感知器カバー12に係止爪(係止手段)12dを設け、本体ケース11に係合部11cを設けているが、逆すなわち本体ケース11に係止爪を設け、感知器カバー12に係合部を設けても良い。
【0033】
また、上記実施形態では、本発明を、発光素子と受光素子を有する煙感知器に適用したものについて説明したが、本発明はそれに限定されず、赤外線を検知する焦電素子、サーミスタのような感熱素子あるいはCOなどの有害ガスを検知するガスセンサ等の素子およびこれらの素子からの信号に基づいて火災を検出する回路を内蔵した火災感知器に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 火災感知器(光電式煙感知器)
11 本体ケース
11A 収容凹部
12 感知器カバー
12B 段差部
13 回路基板
13a ネジ挿通穴
14 暗箱基台
14B 鍔部
14f 包囲枠
16 暗箱カバー
17 連結金具
18 固定用のネジ
19A 発光素子
19B 受光素子
25 基板端子