特許第6709732号(P6709732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6709732TiNゲートを備えた高k/金属ゲートCMOSトランジスタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709732
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】TiNゲートを備えた高k/金属ゲートCMOSトランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8238 20060101AFI20200608BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20200608BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20200608BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20200608BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20200608BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   H01L27/092 D
   H01L21/28 301R
   H01L29/50 M
   H01L29/78 301C
   H01L29/78 301G
【請求項の数】17
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-544064(P2016-544064)
(86)(22)【出願日】2014年12月31日
(65)【公表番号】特表2017-504205(P2017-504205A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】US2014073032
(87)【国際公開番号】WO2015103412
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2017年12月27日
(31)【優先権主張番号】61/922,498
(32)【優先日】2013年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/567,507
(32)【優先日】2014年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】新実 寛明
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ケイ カークパトリック
【審査官】 綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−021200(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0108366(US,A1)
【文献】 特開2012−099517(JP,A)
【文献】 特開2007−088238(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0082332(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0127336(US,A1)
【文献】 特開2009−267180(JP,A)
【文献】 特開2013−239706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28
H01L 21/336
H01L 21/8238
H01L 27/092
H01L 29/417
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路を形成するプロセスであって、
PMOSトランジスタエリアとNMOSトランジスタエリアとの両方において厚いTiN層を形成することと、
前記厚いTiN層を酸素内でアニールすることと、
アニールした後に、前記NMOSトランジスタエリアにおいて前記厚いTiN層を取り除くことと、
前記NMOSトランジスタエリアにおいて前記厚いTiN層を取り除いた後に、前記PMOSトランジスタエリアと前記NMOSトランジスタエリアとの両方において薄いTiN層を形成することであって、前記薄いTiN層が、前記厚いTiN層より薄く、そして低減された酸素濃度を有する、前記薄いTiN層を形成することと、
を含む、プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスであって、
厚いTiN金属ゲート材料としての前記厚いTiN層が8nmより大きい厚みを有し、薄いTiN金属としての前記薄いTiN層が1〜3nmの厚みを有する、プロセス。
【請求項3】
請求項1に記載のプロセスであって、
厚いTiN金属ゲート材料としての前記厚いTiN層が10nmの厚みを有し、薄いTiN金属としての前記薄いTiN層が2nmの厚みを有する、プロセス。
【請求項4】
請求項1に記載のプロセスであって、
ドープされたポリシリコンを前記薄いTiN層上に堆積することと、
前記ドープされたポリシリコン上にトランジスタゲートパターンを形成することであって前記トランジスタゲートパターンがPMOSトランジスタゲートパターンNMOSトランジスタゲートパターン含む、前記トランジスタゲートパターンを形成することと、
PMOSトランジスタのゲートを形成するために、前記ドープされたポリシリコンと前記薄いTiN層と前記厚いTiN層とをエッチングすることと、
NMOSトランジスタのゲートを形成するために、前記ポリシリコンと前記薄いTiN層とをエッチングすることと、
を更に含む、プロセス。
【請求項5】
請求項1に記載のプロセスであって、
前記厚いTiN層を形成する前に、前記NMOSトランジスタエリアにおいてNMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチを形成するために前記NMOSトランジスタエリアからポリシリコンゲートを取り除き、前記PMOSトランジスタエリアにおいてPMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチを形成するために前記PMOSトランジスタエリアからポリシリコンゲートを取り除くこと、
を更に含む、プロセス。
【請求項6】
請求項1に記載のプロセスであって、
前記厚いTiN層を形成する前に、前記PMOSトランジスタエリアと前記NMOSトランジスタエリアとの両方において第1の高k誘電体を堆積することと、
前記薄いTiN層を形成する前に、前記NMOSトランジスタエリアから前記第1の高k誘電体を取り除き、前記NMOSトランジスタエリアと前記PMOSトランジスタエリアとにおいて第2の高k誘電体を堆積することと、
前記薄いTiN層を形成した後に、前記PMOSトランジスタエリアから前記薄いTiN層を取り除き、前記PMOSトランジスタエリアから前記第2の高k誘電体を取り除くことと、
前記PMOSトランジスタエリアと前記NMOSトランジスタエリアとにおいてドープされたポリシリコンを堆積することと、
前記ドープされたポリシリコン上にトランジスタゲートパターンを形成することであって前記トランジスタゲートパターンがPMOSトランジスタゲートパターンNMOSトランジスタゲートパターン含む、前記トランジスタゲートパターンを形成することと、
前記PMOSトランジスタのゲートを形成するように、前記ポリシリコンと前記厚いTiN層とをエッチングすることと、
前記NMOSトランジスタのゲートを形成するように、前記ポリシリコンと前記薄いTiN層とをエッチングすることと、
を更に含む、プロセス。
【請求項7】
請求項6に記載のプロセスであって、
前記第1及び第2の高k誘電体が1.2nmのHfOxであり、前記厚いTiNが10nmの厚みを有し、前記薄いTiNが2nmの厚みを有する、プロセス。
【請求項8】
請求項1に記載のプロセスであって、
前記厚いTiN層を形成する前に、前記NMOSトランジスタエリアにおいてNMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチを形成するために前記NMOSトランジスタエリアからポリシリコンゲートを取り除き、前記PMOSトランジスタエリアにおいてPMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチを形成するために前記PMOSトランジスタエリアからポリシリコンゲートを取り除き、前記PMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチ内と前記NMOSトランジスタエリアとにおいて第1の高k誘電体を堆積することと、
前記薄いTiN層を形成する前に、前記NMOSトランジスタエリアから前記第1の高k誘電体を取り除き、前記PMOSトランジスタエリア上と前記NMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチ内とに第2の高k誘電体を堆積することと、
前記薄いTiN層を形成した後に、前記PMOSトランジスタエリアから前記薄いTiN層を取り除き、前記PMOSトランジスタエリアから前記第2の高k誘電体を取り除くことと、
を更に含む、プロセス。
【請求項9】
請求項8に記載のプロセスであって、
前記第1及び第2の高k誘電体が1.2nmのHfOxであり、前記厚いTiNが10nmの厚みを有し、前記薄いTiNが2nmの厚みを有する、プロセス。
【請求項10】
リプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備える集積回路を形成するプロセスであって、
部分的に処理された集積回路を提供することであって、前記部分的に処理された集積回路が、第1のゲート誘電体上の第1のポリシリコンゲートを備えるPMOSトランジスタと、第2のゲート誘電体上の第2のポリシリコンゲートを備えるNMOSトランジスタとを備え、前記NMOSトランジスタと前記PMOSトランジスタとに重なるプレメタル誘電体を備え、前記プレメタル誘電体が前記第1及び第2のポリシリコンゲートの頂部表面を露出させて平坦化される、前記部分的に処理された集積回路を提供することと、
PMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチとNMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチとを形成するために前記第1及び第2のゲート誘電体から前記第1及び第2のポリシリコンゲートを取り除くようにエッチングすることと、
前記PMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチと前記NMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチ内に第1の高k誘電体を堆積することと、
前記PMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチと前記NMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチ内の前記第1の高k誘電体上に少なくとも8nmのPMOS TiN金属ゲート材料を堆積することと、
前記PMOS TiN金属ゲート材料を酸素内でアニールすることと、
前記NMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチの上に開口を備えるNMOS金属ゲートパターンを形成することと、
下にある誘電体から前記PMOS TiN金属ゲート材料を取り除くために前記NMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチから前記PMOS TiN金属ゲート材料をエッチングすることと、
前記NMOS金属ゲートパターンを取り除くことと、
前記NMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチ内に第2の高k誘電体を堆積することと、
前記第2の高k誘電体上に、低減された酸素濃度を有するNMOS TiN金属ゲート材料を1nm〜3nm堆積することと、
前記PMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチをオーバーフィルし、前記NMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチをオーバーフィルするために、前記NMOS TiN金属ゲート材料の上で充填材金属を堆積することと、
前記プレメタル誘電体の表面から、前記オーバーフィルと、前記PMOS TiN金属ゲート材料と前記NMOS TiN金属ゲート材料との一部とを取り除くために、前記充填材金属と、前記PMOS TiN金属ゲート材料と前記NMOS TiN金属ゲート材料とを研磨することと、
を含む、プロセス。
【請求項11】
請求項10に記載のプロセスであって、
前記プロセスが高kラストプロセスであり、前記下にある誘電体が前記第2のゲート誘電体であり、
前記プロセスが、
前記第1の高k誘電体を堆積する前に、前記PMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチの上に開口を備える第1のPMOSトランジスタフォトレジストパターンを形成し、前記PMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチから前記第1のゲート誘電体をエッチングし、前記第1のゲート誘電体をエッチングした後に、前記第1のPMOSトランジスタフォトレジストパターンを剥がすことと、
第2の高k誘電体を堆積する前に、前記NMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチから前記第2のゲート誘電体をエッチングすることと、
前記充填材金属を堆積する前に、前記PMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチの上に開口を備える前記集積回路上の第2のPMOSトランジスタフォトレジストパターンを形成することと、
前記NMOS TiN金属ゲート材料をエッチングすることと、
前記第2の高k誘電体をエッチングすることと、
前記充填材金属を堆積する前に前記第2のPMOSトランジスタフォトレジストパターンを取り除くことと、
を更に含む、プロセス。
【請求項12】
請求項10に記載のプロセスであって、
前記PMOS TiN金属ゲート材料をエッチングすることが、NHOHとHとを加えた希釈SClにおけるウェットエッチングである、プロセス。
【請求項13】
請求項10に記載のプロセスであって、
前記第1及び第2の高k誘電体が1.2nmのHfOxであり、前記PMOS TiN金属ゲート材料が10nmの厚みであり、前記NMOS TiN金属ゲート材料が2nmの厚みである、プロセス。
【請求項14】
金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備える集積回路を形成するプロセスであって、
部分的に処理された集積回路を提供することであって、前記部分的に処理された集積回路が、PMOS金属ゲートトランジスタが形成されるべき場所に第1の犠牲誘電体を備える第1の領域を、NMOS金属ゲートトランジスタが形成されるべき場所に第2の犠牲誘電体を備える第2の領域から分離するシャロートレンチアイソレーションを備える、前記部分的に処理された集積回路を提供することと、
前記PMOS金属ゲートトランジスタが形成されるべき場所に第1の高k誘電体を堆積することと、
前記第1の高k誘電体上に少なくとも8nmのPMOS TiN金属ゲート材料を堆積することと、
前記PMOS TiN金属ゲート材料を酸素内でアニールすることと、
前記NMOS金属ゲートトランジスタが形成されるべき場所に開口を備えるNMOS金属ゲートパターンを、前記PMOS TiN金属ゲート材料上に形成することと、
前記PMOS TiN金属ゲート材料を、下にある誘電体から取り除くためにエッチングすることと、
前記NMOS金属ゲートトランジスタが形成されるべき場所に第2の高k誘電体を堆積することと、
前記PMOS TiN金属ゲート材料と比較して低減された酸素濃度を備えるNMOS TiN金属ゲート材料を1nm〜3nm堆積することと、
前記NMOS TiN金属ゲート材料の上にポリシリコンを堆積することと、
前記NMOS金属ゲートトランジスタのゲートと前記PMOS金属ゲートトランジスタのゲートが形成されるべき場所にレジストジオメトリを有するトランジスタゲートパターンを、前記ポリシリコン上に形成することと、
前記PMOS金属ゲートトランジスタゲートを形成するように、前記ポリシリコンと前記PMOS TiN金属ゲート材料とをエッチングすることと、
前記NMOS金属ゲートトランジスタゲートを形成するように、前記ポリシリコンと前記NMOS TiN金属ゲート材料とをエッチングすることと、
を含む、プロセス。
【請求項15】
請求項14に記載のプロセスであって、
前記プロセスが高kラストプロセスであり、前記下にある誘電体が前記第2の犠牲誘電体であり、
前記プロセスが、
前記第1の高k誘電体を堆積する前に、前記PMOS金属ゲートトランジスタが形成されるべき場所に開口を備える第1のPMOSトランジスタフォトレジストパターンを前記集積回路上に形成し、前記第1の犠牲誘電体をエッチングし、前記第1のPMOSトランジスタフォトレジストパターンを剥がすことと、
前記第2の高k誘電体を堆積する前に、前記第2の犠牲誘電体をエッチングして取り除くことと、
前記ポリシリコンを堆積する前に、前記PMOS金属ゲートトランジスタが形成されるべき場所に開口を備える第2のPMOSトランジスタフォトレジストパターンを前記集積回路上に形成し、前記NMOS TiN金属ゲート材料をエッチングし、前記第2の高k誘電体をエッチングし、前記第2のPMOSトランジスタフォトレジストパターンを取り除くことと、
を更に含む、プロセス。
【請求項16】
請求項14に記載のプロセスであって、
前記PMOS TiN金属ゲート材料をエッチングすることが、NHOHとHとを加えた希釈SClにおけるウェットエッチングである、プロセス。
【請求項17】
請求項14に記載のプロセスであって、
前記第1及び第2の高k誘電体が1.2nmのHfOxであり、前記PMOS TiN金属ゲート材料が10nmの厚みであり、前記NMOS TiN金属ゲート材料が2nmの厚みである、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、概して集積回路に関し、特に、高誘電率ゲート誘電体及び金属ゲートトランジスタを備えた集積回路に関連する。
【0002】
最近まで、集積回路は、主として、ポリシリコンゲート及び二酸化シリコン又は窒化された二酸化シリコンゲート誘電体を備えたトランジスタを用いていた。
【0003】
高誘電率(高k)誘電体及び金属ゲートを備えた相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタが、短チャネル効果に対処するため及び高度にスケーリングされたトランジスタの性能を改善するために28nm以下までスケーリングされた技術として導入された。高k誘電体は、ゲート誘電体インタフェース近辺のポリシリコン粒子におけるキャリアの枯渇に起因するゲート誘電体厚みの明らかな増大を回避することによってトランジスタチャネルの改善された容量性制御を提供する。
【0004】
高k/金属ゲートトランジスタに関する大きな課題は、最良トランジスタ性能のための最適な仕事関数を達成することである。pチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタのためのゲートの仕事関数は約4.8eVより大きいことが好ましく、nチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタのための仕事関数は約4.3eV未満であることが好ましい。
【0005】
従来の高k/金属ゲート製造における処理は、NMOS及びPMOSトランジスタでの異なる仕事関数を達成するために、複雑かつ高価となり得る。例えば、NMOSトランジスタは、PMOSトランジスタとは異なるゲート金属を有し得、及び又は、異なる高kゲート誘電体を有し得る。
【0006】
高k/金属ゲートトランジスタを形成するために、主に4つの異なるプロセスフローがある。即ち、高kラスト(last)リプレースメントゲート、高kファースト(first)リプレースメントゲート、高kラストゲートファースト及び高kファーストゲートラストである。リプレースメントゲートトランジスタフローでは、従来のポリシリコンゲートトランジスタがまず形成され、その後、ポリシリコンゲートが取り除かれ、金属ゲートで置き換えられる。ゲートファーストプロセスフローでは、従来のポリシリコンゲートトランジスタと同様であるが金属ゲートを備えて、金属ゲートトランジスタが形成される。高kラストプロセスフローでは、二酸化シリコン誘電体が、まず形成され、後に取り除かれ、金属ゲートを堆積する前に高k誘電体で置き換えられる。高kファーストプロセスフローでは、高k誘電体がまず堆積され、ゲート材料が高k誘電体から剥離され、金属ゲートで置き換えられる。高kラストプロセスフローは高kファーストプロセスフローより複雑である。高kラストプロセスフローは、一層多くのマスキング工程を必要とするが、高k誘電体を劣化させ得る化学薬品への高k誘電体の曝露を回避する。リプレースメントゲートプロセスフローは、ゲートファーストプロセスフローより複雑であるが、トランジスタの仕事関数の設定において一層の柔軟性を提供する。
【発明の概要】
【0007】
記載される例において、集積回路が、4.85eVより大きい仕事関数を有する厚いTiN金属ゲートを備えて、及び4.25eV未満の仕事関数を有する薄いTiN金属ゲートを備えて形成される。集積回路が、4.85eVより大きい仕事関数を有するリプレースメントゲートPMOS TiN金属ゲートトランジスタを備えて、及び4.25eV未満の仕事関数を有するリプレースメントゲートNMOS TiN金属ゲートトランジスタを備えて形成される。集積回路が、4.85eVより大きい仕事関数を有するゲートファーストPMOS TiN金属ゲートトランジスタを備えて、及び4.25eV未満の仕事関数を有するゲートファーストNMOS TiN金属ゲートトランジスタを備えて形成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図1B】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図1C】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図1D】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図1E】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図1F】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図1G】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図1H】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図1I】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図1J】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図1K】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図1L】例示の実施例に従って形成される、高kラストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
【0009】
図2A】例示の実施例に従って形成される、高kファーストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図2B】例示の実施例に従って形成される、高kファーストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図2C】例示の実施例に従って形成される、高kファーストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図2D】例示の実施例に従って形成される、高kファーストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図2E】例示の実施例に従って形成される、高kファーストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図2F】例示の実施例に従って形成される、高kファーストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図2G】例示の実施例に従って形成される、高kファーストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図2H】例示の実施例に従って形成される、高kファーストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図2I】例示の実施例に従って形成される、高kファーストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図2J】例示の実施例に従って形成される、高kファーストリプレースメント金属ゲートCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
【0010】
図3A】例示の実施例に従って形成される、高kラスト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図3B】例示の実施例に従って形成される、高kラスト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図3C】例示の実施例に従って形成される、高kラスト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図3D】例示の実施例に従って形成される、高kラスト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図3E】例示の実施例に従って形成される、高kラスト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図3F】例示の実施例に従って形成される、高kラスト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図3G】例示の実施例に従って形成される、高kラスト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図3H】例示の実施例に従って形成される、高kラスト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
【0011】
図4A】例示の実施例に従って形成される、高kファースト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図4B】例示の実施例に従って形成される、高kファースト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図4C】例示の実施例に従って形成される、高kファースト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図4D】例示の実施例に従って形成される、高kファースト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図4E】例示の実施例に従って形成される、高kファースト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
図4F】例示の実施例に従って形成される、高kファースト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを備えた集積回路の製造における工程の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
3パターン実施例リプレースメントゲートプロセスに従って形成される、高kラスト金属ゲートCMOSトランジスタを図1Lに示す。PMOSトランジスタ170が、高k誘電体144及びPMOS TiNゲート146を有する。PMOS TiN金属ゲート146の厚み及び酸素含有量は、約4.85eVより大きい仕事関数を与えるために適切である(例えば最適化されている)。NMOSトランジスタ172は、高k誘電体154及びNMOS TiNゲート156を有する。NMOS TiN金属ゲートの厚み及び酸素含有量は、約4.25eV未満の仕事関数を与えるために適切である。タングステン又はアルミニウムなどの充填金属160及び166が、トレンチを充填するためにリプレースメントゲートトレンチ内のNMOS及びPMOS TiNゲート上に堆積される。オーバーフィルはその後、化学機械研磨(CMP)平坦化を用いて取り除かれる。
【0013】
一実施例の3パターン高kラストリプレースメント金属ゲートトランジスタの形成における主な工程を図1A図1Lに図示する。この3パターン高kラストリプレースメント金属ゲートプロセスフローにおいて、3つのフォトレジストパターニング工程が用いられる。
【0014】
図1Aにおいて、部分的に処理された集積回路がp型基板100上に形成される。シャロートレンチアイソレーション(STI)誘電体ジオメトリ102が、集積回路上のトランジスタ及び他のデバイスを電気的に隔離する。集積回路基板100上に、約10nm〜40nmの範囲の厚みの犠牲二酸化シリコンフィルム106が成長される。PMOSトランジスタ170が形成されるべき領域にnウェル104が形成される。NMOSトランジスタ172が、集積回路基板100のp型基板領域に形成される。
【0015】
図1Bを参照すると、犠牲二酸化シリコンフィルム106上にポリシリコンゲート材料110が堆積される。ポリシリコンゲート材料110上に、トランジスタゲートフォトレジストパターン112が形成される。
【0016】
図1Cにおける断面は、ゲート120及び122がエッチングされ、ゲートエクステンション拡散126及び130が形成され、誘電体側壁124が形成され、ディープソース及びドレイン拡散128及び132が形成された後が示される。ソース及びドレイン上のシリサイド形成及びトランジスタの応力増進などの他の処理工程は、明確にするため省略している。幾つかの誘電体層(応力誘電体、ギャップ充填誘電体、及び他の堆積された誘電体など)を含み得るプレメタル誘電体(PMD)134が、その後、少なくともトランジスタゲート120及び122の高さである厚みまで堆積される。
【0017】
図1Dに示すように、高kラストリプレースメントゲート金属ゲートプロセスにおいて、PMD誘電体134が平坦化されて、ポリシリコントランジスタゲート120及び122の頂部を露出させる。
【0018】
図1Eにおいて、ポリシリコンリプレースメントゲート120及び122がポリシリコンウェットエッチングにより取り除かれる。NMOS172リプレースメントゲートトランジスタトレンチの底部において二酸化シリコン誘電体106を保護するため、及びPMOS170リプレースメントゲートトランジスタトレンチの底部においてシリコン誘電体106を露出させるために、第1のPMOSリプレースメントゲートパターン140が形成される。
【0019】
図1Fを参照すると、二酸化シリコン誘電体106がPMOS170トランジスタトレンチから取り除かれ、第1のPMOSリプレースメントゲートパターン140が取り除かれる。HfO、HfSiO、又はHfSiONなどの高kゲート誘電体144が、PMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチ170内に堆積され、PMOS TiN金属ゲートフィルム146が高kゲート誘電体144上に堆積される。高kゲート誘電体144フィルムは、原子層堆積(ALD)を用いて典型的に約1〜4nmの厚みを有して堆積される。PMOS TiN金属ゲートフィルム146は、約8nmより大きい厚みを有して堆積される。高k誘電体エッチングのためのエッチストップとして用いられるTaNフィルム148が、約2nm又はそれ以上の厚みを有してTiN146上に堆積される。例示の集積回路において、高k誘電体は1.2nmのHfOであり、PMOS TiNフィルム146は10nmであり、TaNフィルム148は2nmである。
【0020】
PMOS TiN金属ゲート146がその後、4.85eVを上回る仕事関数を提供するために、米国特許番号第8,643,113号(これは、参照により本願に組み込まれる)に記載されるように酸素内でアニーリングされる。
【0021】
PMOSトランジスタ170の上のPMOS TiNゲートを保護するように、及びTaN148及びTiN146がNMOSエリア172から取り除かれ得るように、NMOS172リプレースメントゲートトランジスタフォトレジストパターン150が形成される。
【0022】
図1Gに示すように、TaNフィルム148、PMOS TiNゲート材料146、及び高kゲート誘電体144は、NMOS172リプレースメントゲートトランジスタトレンチから取り除かれる。二酸化シリコン誘電体106フィルムも取り除かれる。
【0023】
HfO、HfSiO、又はHfSiONなどのNMOS高k誘電体154がその後、図1Hに示すようにNMOSリプレースメントゲートトランジスタトレンチ内に堆積される。少なくとも一つの例において、高k誘電体は、約1nm〜4nmの厚みまで堆積される。約1nm〜3nmの範囲の厚みを有するNMOS TiN金属ゲート材料156が、高k誘電体154上に堆積される。例示の一実施例において、高k誘電体は、約1.2nmの厚みのHfOであり、原子層堆積(ALD)を用いて堆積される。米国特許番号第8,643,113号に記載されるように、NMOS TiN金属ゲート材料156における酸素含有量は、約4.25eV未満の仕事関数を提供するために高kゲート誘電体154の頂部表面の1ナノメートル内で約1×1013原子/cm未満である。例示の一実施例において、2nmのNMOS TiN金属ゲート材料156が、ALDを用いて堆積される。
【0024】
図1Iにおいて、CVD−W(化学気相成長タングステン)フィルム160がNMOS TiNゲート材料156上に堆積され、第2のPMOSリプレースメントゲートトランジスタパターン162がCVD−Wフィルム160上に、NMOSリプレースメントゲートトランジスタ172の上のCVD−Wフィルム160を保護するように、及びCVD−Wフィルム160、NMOS TiNゲート材料156、及びNMOS高k誘電体154がPMOS170リプレースメントゲートトランジスタ領域からエッチングされ得るように、形成される。
【0025】
図1Jは、PMOS170リプレースメントゲートトランジスタ領域から、CVD−Wフィルム160、薄いNMOS TiNゲート材料156、及びNMOS高kゲート誘電体154がエッチングされた後の集積回路を示す。TaNフィルム148は、高k誘電体154のためのエッチストップとして働く。PMOS170リプレースメントゲートトランジスタ領域からNMOSトランジスタ172の高kゲート誘電体154が取り除かれた後、TaNエッチストップフィルム148は、エッチングにより取り除かれ得る。NMOSトランジスタ172のTiN金属ゲート材料156とPMOSトランジスタ170のTiN金属ゲート材料146との間でキャパシタが形成することを防ぐために、NMOS172のトランジスタ高kゲート誘電体154が取り除かれる。
【0026】
図1Kに示すように、PMOS170及びNMOS172リプレースメントゲートトランジスタトレンチを完全に充填するために、付加的なCVD−W166が堆積される。代替としてアルミニウム金属が用いられてもよい。
【0027】
CVD−Wオーバーフィル及び金属ゲート材料はその後、図1Lに示すCMPを用いてリプレースメントゲートトランジスタトレンチ170及び172間のPMD誘電体134の表面から取り除かれる。リプレースメントゲートPMOS170トランジスタは、約4.85eVを上回る仕事関数を有する厚い酸素処理されたTiN金属ゲートを有する。リプレースメントゲートNMOS172トランジスタは、約4.25eV未満の仕事関数を有する薄い脱酸素処理されたNMOS TiN金属ゲートを有する。
【0028】
付加的なPMD誘電体が集積回路上に堆積され得、トランジスタゲートに及びディープソース及びドレイン拡散にそれらを相互接続の第1の層に電気的に接続するためにコンタクトが形成され得る。誘電体の付加的な層及び一層多くのレベルの相互接続が、集積回路を完成するために形成され得る。
【0029】
本実施例の3パターン高kラストリプレースメント金属ゲートプロセスの一つの利点は、PMOS及びNMOS高k誘電体が、PMOS及びNMOS TiN金属ゲートが堆積される直前に堆積されることである。TiN金属ゲート堆積前に層が化学的に剥離されることに起因する高k誘電体の劣化がない。また、NMOSのための高k誘電体は、PMOSのための高k誘電体とは異なる処理工程を用いて堆積され、そのため、所望とされる場合、NMOS及びPMOSトランジスタに対して異なる高k誘電体が用いられ得る。
【0030】
1パターン実施例リプレースメントゲートプロセスに従って形成される、高kファースト金属ゲートCMOSトランジスタを図2Jに示す。PMOSトランジスタ174は、高k誘電体144及びPMOS TiNゲート146を有する。PMOS TiN金属ゲート146の厚み及び酸素含有量は、約4.85eVより大きい仕事関数を与えるために適切である。NMOSトランジスタ176は、高k誘電体108及びNMOS TiNゲート156を有する。NMOS TiN金属ゲートの厚み及び酸素含有量は、約4.25eV未満の仕事関数を与えるために適切である。タングステン又はアルミニウムなどの金属166が、リプレースメントゲートトレンチ内のNMOS及びPMOS TiNゲート上に堆積され、平坦化される。
【0031】
一実施例の1フォトレジストパターンプロセスを用いる一実施例の1パターン高kファーストリプレースメント金属ゲートCMOSプロセスフローにおける主な工程を図2A図2Jに図示する。この実施例プロセスは、前に説明した3フォトレジストパターン実施例プロセスよりも実装するのが安価であるという利点を有する。
【0032】
図2Aにおいて、部分的に処理された集積回路がp型基板100上に形成される。シャロートレンチアイソレーション(STI)誘電体ジオメトリ102が、集積回路上のトランジスタ及び他のデバイスを電気的に隔離する。PMOSトランジスタ174が形成されるべき領域にnウェル104が形成される。NMOSトランジスタ176が、集積回路基板100のp型領域に形成される。
【0033】
高k誘電体フィルム108が集積回路基板上に堆積される。高k誘電体は典型的に、約1〜4nmの厚みの、HfO、HfSiO、又はHfSiONなどの材料である。例示の一実施例の1パターン高kファースト金属リプレースメントゲートプロセスにおいて、高k誘電体は、ALDを用いて約1.2nmの厚みを有して堆積されたHfOである。
【0034】
図2Bを参照すると、高k誘電体フィルム108上にポリシリコンゲート材料110が堆積される。ポリシリコンゲート材料110上にトランジスタゲートパターン112が形成される。
【0035】
図2Cにおける断面は、ゲート120及び122がエッチングされ、ゲートエクステンション拡散126及び130が形成され、誘電体側壁124が形成され、ディープソース及びドレイン拡散128及び132が形成された後が示されている。ソース及びドレイン上のシリサイド形成やトランジスタチャネルの応力増進などの他の処理工程は、明確にするため省略している。その後、幾つかの誘電体層(応力誘電体、ギャップ充填誘電体、及び他の堆積された誘電体など)を含み得るプレメタル誘電体(PMD)134が、少なくともトランジスタゲート120及び122の高さである厚みまで堆積される。
【0036】
図2Dに図示するように、PMD誘電体は、トランジスタの上のポリシリコンリプレースメントゲート120及び122の頂部を露出させるように平坦化される。
【0037】
図2Eに示すように、ポリシリコンリプレースメントゲート120及び122はその後取り除かれて、リプレースメントゲートトランジスタトレンチ174及び176の底部において高k誘電体108が露出される。
【0038】
図2Fを参照すると、PMOS TiN金属ゲートフィルム146が、高kゲート誘電体108上に堆積される。PMOS TiN金属ゲートフィルム146は約8nmより大きい厚みを有して堆積される。例示の集積回路において、PMOS TiN金属ゲートフィルムは約10nmである。
【0039】
PMOS TiN金属ゲートはその後、4.85eVを上回る仕事関数を提供するために、米国特許番号第8,643,113号に記載されるように酸素内でアニーリングされる。
【0040】
NMOSリプレースメントゲート174のフォトレジストパターン150が、PMOSトランジスタ174の上のPMOS TiNゲート146を保護するように、及び、NMOSリプレースメントゲートトランジスタエリア176からのPMOS TiNゲート146の除去を可能にし得るように形成される。
【0041】
図2Gに示すように、PMOS TiN金属ゲート材料146は、NMOS176リプレースメントゲートトランジスタエリアから取り除かれる。高kゲート誘電体108を損傷させないように、NMOSトランジスタ176領域における高kゲート誘電体108からPMOS TiN金属ゲート材料146を取り除くために高度に選択性のエッチングが用いられる。例示の一実施例において、希釈SC1及びNHOH及びHを含むウェットエッチングが、高k誘電体108からTiN146を取り除くために用いられる。
【0042】
図2Hにおいて、薄いNMOS TiN金属ゲート材料156が、NMOS176リプレースメントゲートトランジスタトレンチにおける高k誘電体108上に堆積される。米国特許番号第8,643,113号に記載されるように、NMOS TiN金属ゲート材料156における酸素含有量は、約4.25eV未満の仕事関数を提供するために高kゲート誘電体108の頂部表面の1ナノメートル内で約1×1013原子/cm未満である。例示の一実施例において、2nmのNMOS TiN金属ゲート材料156がALDを用いて堆積される。
【0043】
図2Iに示すように、PMOS174及びNMOS176リプレースメントゲートトランジスタトレンチを完全に充填するためにCVD−W166が堆積される。代替としてアルミニウム金属が用いられてもよい。
【0044】
集積回路の表面はその後、NMOS176及びPMOS174リプレースメントゲート間のPMD134の表面からCVD−W166オーバーフィル及び金属ゲート材料146及び156を取り除くために、図2Jに示すようにCMPを用いて平坦化される。高kファーストリプレースメントゲートPMOS174トランジスタは、約4.85eVより大きい仕事関数を有する厚い酸素処理されたTiN金属ゲート146を有する。高kファーストリプレースメントゲートNMOS176トランジスタは、約4.25eV未満の仕事関数を有する薄い脱酸素処理されたNMOS TiN金属ゲート156を有する。
【0045】
集積回路上に付加的なPMD誘電体が堆積され得、ディープソース及びドレイン拡散に及びトランジスタゲートに、それらを相互接続の第1の層に電気的に接続するためにコンタクトが形成され得る。誘電体の付加的な層及びより多くのレベルの相互接続が、集積回路を完成させるために形成され得る。
【0046】
3パターン実施例プロセスに従って形成される、高kラスト金属ゲートファーストCMOSトランジスタを図3Hに示す。PMOSトランジスタ180は、高k誘電体144及びTiNゲート146を有する。PMOS TiN金属ゲート146の厚み及び酸素含有量は、約4.85eVより大きい仕事関数を与えるために適切である。NMOSトランジスタ182は、高k誘電体154及びTiNゲート156を有する。TiN NMOS金属ゲート156の厚み及び酸素含有量は、約4.25eV未満の仕事関数を与えるために適切である。ドープされたポリシリコンが、PMOS及びNMOS TiN金属ゲート146及び156上に堆積され、その後、パターニング及びエッチングされて、本実施例の高kラストゲートファーストNMOS及びPMOS金属ゲートトランジスタ180及び182のゲート120及び122が形成される。
【0047】
高kラスト金属ゲートファーストトランジスタを形成する本実施例の3パターンプロセス主な工程を図3A図3Hに図示する。
【0048】
図3Aにおいて、部分的に処理された集積回路がp型基板100上に形成される。シャロートレンチアイソレーション(STI)誘電体ジオメトリ102が、集積回路上のトランジスタ及び他のデバイスを電気的に隔離する。約10nm〜40nmの範囲の犠牲二酸化シリコンフィルム106が、集積回路基板100上に成長される。通常の方式でp型基板100をカウンタードーピングすることによってPMOSトランジスタ180が形成されるべき領域にnウェル104が形成される。NMOSトランジスタ182が、p型基板100に形成され得る。
【0049】
図3Bに示すように、第1のPMOSトランジスタフォトレジストパターン140が、犠牲二酸化シリコン層106上に、NMOSトランジスタエリア182において、それを保護するために及びそれがPMOSトランジスタエリア180から取り除かれ得るように形成される。
【0050】
図3Cを参照すると、犠牲二酸化シリコン誘電体106がPMOS180トランジスタエリアから取り除かれ、第1のPMOSトランジスタフォトレジストパターン140が取り除かれる。PMOS高kゲート誘電体144がその後堆積され、PMOS高kゲート誘電体144上にPMOS TiN金属ゲートフィルム146が堆積される。例示の集積回路において、高kゲート誘電体144フィルムは、原子層堆積(ALD)を用いて約1.2nmの厚みを有して堆積されるHfOである。TiN金属ゲートフィルム146は、約8nmより大きい厚みを有して堆積される。高k誘電体エッチングのためのエッチストップとして用いられるTaNフィルム148が、TiN146上に約2nm又はそれ以上の厚みまで堆積される。例示の集積回路において、PMOS TiNフィルムは10nmであり、TaNフィルムは2nmである。
【0051】
PMOS TiN金属ゲート材料146はその後、4.85eVを上回る仕事関数を提供するために、米国特許番号第8,643,113号に記載されるように酸素内でアニーリングされる。
【0052】
PMOS TiN金属ゲート材料146が、NMOS金属ゲートトランジスタ182エリアから取り除かれ得るように、及びPMOS金属ゲートトランジスタエリア180からPMOS金属ゲートトランジスタエリア180から取り除かれることからそれを保護するように、NMOSトランジスタフォトレジストパターン150がPMOS TiN金属ゲート146上に形成される。
【0053】
図3Dは、TaNエッチストップ材料148がエッチングされ、PMOS TiN金属ゲート材料146がエッチングされる、PMOS高kゲート誘電体144がエッチングされ、犠牲二酸化シリコンフィルム106がNMOS金属ゲートトランジスタ182エリアからエッチングされた後の集積回路を示す。
【0054】
NMOS高k誘電体154がその後、図3Eに示すように集積回路上に堆積される。NMOS高k誘電体154上に薄いNMOS TiN金属ゲート材料156が堆積される。例示の一実施例において、NMOS高k誘電体154は、約1.2nmの厚みのHfOであり、原子層堆積(ALD)を用いて堆積される。薄いNMOS TiN金属ゲート材料156もALDを用いて約2nmの厚みまで堆積される。米国特許番号第8,643,113号に記載されるように、薄いNMOS TiN金属ゲート材料156は、約4.25eV未満の仕事関数を提供するために高kゲート誘電体154の頂部表面の1ナノメートル内で約1×1013原子/cm未満の酸素含有量で堆積される。
【0055】
薄いNMOS TiN金属ゲート156材料及びNMOS高kゲート誘電体材料154が、PMOSトランジスタ180領域におけるPMOS TiN金属ゲート146からエッチングされ得るように、第2のPMOSトランジスタフォトレジストパターン162が、薄いNMOS TiN金属ゲート156上に形成される。フォトレジスト162は、NMOSトランジスタ182領域から取り除かれることからNMOS TiN金属ゲート156を保護する。
【0056】
図3Fは、PMOSトランジスタエリア180から薄いTiNゲートフィルム156及びNMOSトランジスタ182の高kゲート誘電体154がエッチングされた後の集積回路を示す。TaNフィルム148は、高k誘電体154エッチングのためのエッチストップとして働く。NMOSトランジスタ182の高kゲート誘電体154が取り除かれた後、TaNエッチストップフィルム148がエッチングにより取り除かれ得る。NMOSトランジスタ182の高kゲート誘電体154は、NMOSトランジスタ182のTiN金属ゲートフィルム156とPMOSトランジスタ180のTiN金属ゲートフィルム146との間のキャパシタ形成を防ぐために取り除かれる。
【0057】
図3Gに示すように、PMOS180及びNMOS182TiN金属ゲート上にポリシリコンゲート材料110が堆積される。ポリシリコンゲート材料110上にトランジスタゲートフォトレジストパターン112が形成される。
【0058】
図3Hにおける断面は、ゲート120及び122がエッチングされた後が示されている。ポリシリコン110及び厚いPMOS TiNゲート材料146はエッチングされて、PMOSトランジスタ180のゲート120が形成される。ポリシリコン110及び薄いNMOS TiNゲート材料156はエッチングされて、NMOSトランジスタ182のゲート122が形成される。
【0059】
ゲートエッチングの後、ゲートエクステンション拡散126及び130が形成され、誘電体側壁124が形成され、ディープソース及びドレイン拡散128及び132が形成される。ソース及びドレイン及びゲートシリサイド化及びトランジスタチャネル応力増進などの他の処理工程は、明確にするため省略している。幾つかの誘電体層(応力誘電体、ギャップ充填誘電体、及び他の堆積された誘電体など)を含み得るプレメタル誘電体(PMD)134がその後、NMOS182及びPMOS180トランジスタの上に堆積される。
【0060】
PMD誘電体134はCMPを用いて平坦化され得、ディープソース及びドレイン拡散128及び132に及びトランジスタゲート120及び122に、それらを相互接続の第1の層に電気的に接続するためにコンタクトが形成され得る。集積回路を完成するために、誘電体の付加的な層及び相互接続の付加的なレベルが形成され得る。
【0061】
本実施例の3パターン高kラスト金属ゲートファーストプロセスの一つの利点は、PMOS及びNMOS TiN金属ゲートが堆積される直前にPMOS及びNMOS高k誘電体が堆積されることである。TiN金属ゲート堆積前に層が表面から化学的に剥離されることに起因する高k誘電体の劣化がない。また、NMOSのための高k誘電体が、PMOSのための高k誘電体とは異なる処理工程を用いて堆積され、そのため、所望とされる場合、NMOS及びPMOSトランジスタに対して異なる高k誘電体が用いられ得る。
【0062】
1パターン実施例プロセスに従って形成された高kファーストゲートファーストCMOSトランジスタを図4Fに示す。PMOSトランジスタ184は、高k誘電体108及びPMOS TiN金属ゲート146を有する。PMOS TiN金属ゲート材料146の厚み及び酸素含有量は、約4.85eVより大きい仕事関数を与えるために適切である。NMOSトランジスタ186は、高k誘電体108及びNMOS TiN金属ゲート156を有する。TiN NMOS金属ゲート材料156の厚み及び酸素含有量は、約4.25eV未満の仕事関数を与えるために適切である。ドープされたポリシリコンが、TiN金属ゲート上に堆積され、その後、パターニング及びエッチングされて、本実施例の高kファースト金属ゲートファーストPMOS及びNMOSトランジスタ184及び186のゲート120及び122が形成される。
【0063】
一実施例の1パターン高kファースト金属ゲートファーストプロセスのための主な工程が図4A図4Hに図示される。この実施例の高kファースト金属ゲートファースト1パターンプロセスは、本実施例の高kラスト金属ゲートファースト3パターンプロセスよりコスト効率がよい。
【0064】
図4Aにおいて、部分的に処理された集積回路がp型基板100上に形成される。シャロートレンチアイソレーション(STI)誘電体ジオメトリ102が、集積回路上のトランジスタ及び他のデバイスを電気的に隔離する。通常の方式でp型基板100をカウンタードーピングすることによってPMOSトランジスタ184が形成される領域に、nウェル104が形成される。NMOSトランジスタ186がp型基板100に形成され得る。
【0065】
典型的に約1nm〜4nmの範囲の厚みを有する高k誘電体フィルム108が、集積回路基板100上に堆積される。例示の一実施例の高kファースト金属ゲートファーストプロセスにおいて、高k誘電体は、ALDを用いて約1.2nmの厚みを備えて堆積されるHfO誘電体フィルムである。
【0066】
図4Bを参照すると、厚いPMOS TiN金属ゲート材料146が、高k誘電体フィルム108上に堆積される。PMOS TiN金属ゲート材料146は、約8nmより大きい厚みを有して堆積される。例示の集積回路において、PMOS TiN金属ゲート材料は、ALDを用いて約10nmの厚みまで堆積される。
【0067】
PMOS TiN金属ゲートはその後、4.85eVを上回る仕事関数を提供するために、米国特許番号第8,643,113号に記載されるように酸素内でアニーリングされる。
【0068】
NMOSトランジスタ186のフォトレジストパターン150が、PMOSトランジスタエリア184の上のPMOS TiN金属ゲート材料146を保護するように、及びに、それがNMOSエリア186から取り除かれ得るように形成される。
【0069】
図4Cに示すように、PMOS TiN金属ゲート材料146は、NMOS184トランジスタエリアから取り除かれる。高kゲート誘電体108を損傷させないように、NMOSトランジスタ186領域における高kゲート誘電体108からPMOS TiN金属ゲート材料146を取り除くために、高度に選択性のエッチングが用いられる。例示の一実施例において、希釈されたSC1、NHOH、及びHを含むウェットエッチャントが、PMOS TiN金属ゲート材料146をエッチングするために用いられる。
【0070】
薄いNMOS TiN金属ゲート材料156が、NMOS186トランジスタエリアにおける高k誘電体108上に堆積される。薄いNMOS TiN金属ゲート材料156は、約1nm〜3nmの範囲の厚みを有して堆積され得る。例示の一実施例において、約2nmのNMOS TiN金属ゲート材料156が、ALDを用いて堆積される。米国特許番号第8,643,113号に記載されるように、薄いNMOS TiN金属ゲート材料156は、約4.25eV未満の仕事関数を提供するために高kゲート誘電体108の頂部表面の1ナノメートル内で約1×1013原子/cm未満の酸素含有量を備えて堆積される。
【0071】
図4Eに示すように、PMOS184及びNMOS186TiN金属ゲート材料146及び156上に、ポリシリコンゲート材料110が堆積される。ポリシリコンゲート材料110上に、トランジスタゲートフォトレジストパターン112が形成される。
【0072】
図4Fにおける断面は、ゲート120及び122がエッチングされた後の集積回路を示す。ポリシリコン110及びNMOS TiN金属ゲート材料156及びPMOS TiN金属ゲート材料146がエッチングされて、PMOS高k金属ゲートトランジスタ184のゲート120が形成される。ポリシリコン110及びNMOS TiN金属ゲート材料156がエッチングされて、NMOS高k金属ゲートトランジスタ186のゲート122が形成される。
【0073】
ゲートエッチング後、ゲートエクステンション拡散126及び130が形成され、誘電体側壁124が形成され、ディープソース及びドレイン拡散128及び132が形成される。ソース及びドレイン及びゲートシリサイド化及びトランジスタチャネルの応力増進などの他の処理工程は、明確にするため省略している。幾つかの誘電体層(応力誘電体、ギャップ充填誘電体、及び他の堆積された誘電体など)を含み得るプレメタル誘電体(PMD)134がその後、高kファースト金属ゲートファーストトランジスタ184及び186の上に堆積される。
【0074】
PMD誘電体134はCMPを用いて平坦化され得、ディープソース及びドレイン拡散128及び132に及びトランジスタゲート120及び122にそれらを相互接続の第1の層に電気的に接続するためにコンタクトが形成され得る。集積回路を完成させるために、誘電体の付加的な層及び一層多くのレベルの相互接続が形成され得る。
【0075】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、多くの他の実施例が可能である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F