(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709735
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】ゴム排出パッドを含む化粧品
(51)【国際特許分類】
A45D 34/00 20060101AFI20200608BHJP
A45D 37/00 20060101ALI20200608BHJP
A45D 33/34 20060101ALN20200608BHJP
【FI】
A45D34/00 510Z
A45D37/00
!A45D33/34 E
!A45D33/34 A
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-557134(P2016-557134)
(86)(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公表番号】特表2017-507749(P2017-507749A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】KR2015002577
(87)【国際公開番号】WO2015142033
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0030903
(32)【優先日】2014年3月17日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0036768
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ジョン ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジ, ヒェ ラン
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−161436(JP,A)
【文献】
特開2013−180549(JP,A)
【文献】
韓国登録実用新案第20−0437581(KR,Y1)
【文献】
特表2015−512932(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0116194(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D34/00−34/06
A45D33/34
A45D37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出穴を有するゴム材質のゴム排出パッドを含み、前記排出穴から化粧料組成物を排出する、化粧品であって、
前記化粧品は、前記化粧料組成物を収容する容器と塗布具とを有し、
前記ゴム排出パッドは、前記化粧料組成物を外部に対して密閉しており、
前記化粧料組成物は、液状の化粧料組成物であり、
前記化粧料組成物は、前記塗布具を用いて取り出され、
前記ゴム材質は、NBR(acrylonitrile−butadiene rubber)、フッ素系NBR、水素化NBR、シリコンゴムおよびNBR−シリコン複合ゴムからなる群から選択される一つ以上である、
化粧品。
【請求項2】
前記排出穴の大きさは、0.005〜2.5mmである、請求項1に記載の化粧品。
【請求項3】
前記排出穴の個数は、単位面積1cm2当たり1〜50個である、請求項1に記載の化粧品。
【請求項4】
前記排出穴は、レーザー打ち抜き穴である、請求項1に記載の化粧品。
【請求項5】
前記ゴム排出パッドは、円形または多角形の形態である、請求項1に記載の化粧品。
【請求項6】
前記ゴム排出パッドの単位面積1cm2に上下方向に力を加えるときの伸び率が、1%〜500%である、請求項1に記載の化粧品。
【請求項7】
前記ゴム排出パッドは、ショアA硬度(shore A hardness)が10A以上で且つショアD硬度が75D以下である、請求項1に記載の化粧品。
【請求項8】
前記ゴム排出パッドは、厚さ0.05〜2mmである、請求項1に記載の化粧品。
【請求項9】
前記ゴム排出パッドの引張強度は、20kg/cm2以上である、請求項1に記載の化粧品。
【請求項10】
前記ゴム排出パッドを取り囲む枠体をさらに含む、請求項1に記載の化粧品。
【請求項11】
前記化粧料組成物は、3,000〜100,000cpsの粘度を有するものである、請求項1に記載の化粧品。
【請求項12】
前記化粧品は、液状、クリーム状、半固状、固状、またはパウダー状の化粧料組成物をさらに含むものである、請求項1に記載の化粧品。
【請求項13】
前記化粧料組成物は、スキンローション、スキンソプナー、スキントナー、アストリンゼント、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、エッセンス、モイスチャークリーム、ピグメント含有ファウンデーション、メーキャップベース、アイメーキャップ、およびブラッシャーからなる群から選択される一つ以上を含む、請求項1に記載の化粧品。
【請求項14】
前記化粧品は、パクト、ジャー(Jar)、エアレス、ブロー、チューブ、またはビン(Bottle)の形態である、請求項1に記載の化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム排出パッドを含む化粧品に係り、より詳しくは、排出穴を有するゴム排出パッドであって、内容物の排出量の調節が可能なゴム排出パッドを含む化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパクト製品の場合、大半はパウダー状の内容物を圧着して作製されたプレスパクト剤形や、パウダーまたはケーキ剤形の油分散あるいは油化剤形パクトであった。プレス剤形でないパウダー粉体状の内容物をそのまま使用するルースパウダーまたはケーキ剤形の場合、内容物を調節して使用できるようにする網構造(スクリーン網)の中間構造物を有する。このような網構造の大半は、網目の大きさが3〜5mm以上である。パフに内容物が一定量付くようにするための網構造物であるため、3〜5mm以上の大きさを有する必要がある。
【0003】
また、液状の内容物を一定量ずつ排出する液状パクト製品がある。一定量を排出する従来の製品は、エアレス構造で一つの排出穴(hole)を有し、排出量が0.1〜0.4gでバルク状に排出される。さらに、エアレスパクト構造の特徴上、充填量の限界があり且つ残量が多いため使用期間が短い。このようなバルク状の排出と短い使用期間は化粧効果や便宜性の面で消費者の不満を惹起させる。
【0004】
そこで、内容物を含有する化粧料において分散排出にて化粧効果を向上させ、且つ内容物を最大限最後まで使い切れるようにするゴム排出パッド構造物の製品を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−220117号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10−2013−0116194号公報
【特許文献3】韓国実用新案第20−0437581号公報
【特許文献4】米国特許第5865194号明細書
【特許文献5】韓国実用新案第20−0239113号公報
【特許文献6】韓国特許第10−1157218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したような問題点を解決するために、本発明は、排出穴を有するゴム排出パッドによって内容物の排出程度を適切に調節可能であり、且つ、容器の底にある内容物までの使用が容易であるため残量を最小化することができるゴム排出パッドを含む化粧品を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記したような目的を解決するために、本発明は、放射状に分布した排出穴を有するゴム材質のゴム排出パッドを含み、前記排出穴から内容物を排出する化粧品を提供する。
【0008】
本発明の一実施例において、前記ゴムは、NBR(acrylonitrile−butadiene rubber)、フッ素系NBR、水素化NBR、シリコンゴム、NBR−シリコン複合ゴム、SBR(styrene butadien rubber)、CR(polychloroprene rubber)、IIR(isoprene−isobutylene rubber)、BR(butadiene rubber)、IR(isoprene rubber)、EPR(ethylene propylene rubber)、EPDMゴム(ethylene propylene diene monomer)、熱可塑性弾性体、多硫化ゴム(polysulfide rubber)、フルオロゴム、ウレタンゴム、ポリエステル、ポリエーテル、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリル、およびオレフィンからなる群から選択される一つ以上であってよい。
【0009】
本発明の一実施例において、前記ゴムは、NBR(acrylonitrile−butadiene rubber)、フッ素系NBR、水素化NBR、シリコンゴム、およびNBR−シリコン複合ゴムからなる群から選択される一つ以上であってよい。
【0010】
本発明の一実施例において、前記排出穴の大きさは0.005〜2.5mmであってよい。
【0011】
本発明の一実施例において、前記排出穴の個数は、単位面積1cm
2当たり1〜50個であってよい。
【0012】
本発明の一実施例において、前記排出穴はレーザー打ち抜きされてなるものであってよい。
【0013】
本発明の一実施例において、前記ゴム排出パッドは、円形または多角形の形態であってよい。
【0014】
本発明の一実施例において、前記ゴム排出パッドの単位面積1cm
2に上下方向に力を加えるときの伸び率が1%〜500%であってよい。
【0015】
本発明の一実施例において、前記ゴム排出パッドは、ショアA硬度(shore A hardness)が10A以上で且つショアD硬度が75D以下であってよい。
【0016】
本発明の一実施例において、前記ゴム排出パッドは、厚さ0.05〜2mmであってよい。
【0017】
本発明の一実施例において、前記ゴム排出パッドの引張強度は20kg/cm
2以上であってよい。
【0018】
本発明の一実施例において、前記ゴム排出パッドを取り囲む枠体をさらに含んでいてよい。
【0019】
本発明の一実施例において、前記の内容物は、3,000〜100,000cpsの粘度を有するものであってよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の化粧品によれば、内容物の使用時に内容物の排出程度を適切に調節可能であり、ゴム排出パッドの表面の微細放射状排出穴が分散排出機能を有し、ゴム排出パッドの弾性によって容器の底にある内容物までの使用が容易であるため残量を最小化することができ、且つゴム排出パッドで内容物が覆われていて内容物が流出することなく携帯が可能であると共に、使用の際に外気や汚染物質との接触が遮断されているため、常時新しい製品を使用するような使い心地を持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施例に係る化粧品であるゴム排出パッドを含むパクト容器の模式図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る化粧品のゴム排出パッド(同一の排出穴大きさを有する、円形ではない全体として線状の排出穴を有するゴム排出パッド)を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る化粧品のゴム排出パッド(外側から内側にいくほど排出穴大きさが大きくなるゴム排出パッド)を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る化粧品のゴム排出パッド(円形の排出穴が放射状に分布したゴム排出パッド)を示す模式図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る化粧品のゴム排出パッド(円形の排出穴が放射状に分布したゴム排出パッドの別例)を示す模式図である。
【
図6】一般のパクト(ケーキタイプ、比較例1)の外観写真である。
【
図7】スクリーン網を含むパクト(比較例2)の外観写真である。
【
図8】エアレスパクト(比較例3)の外観写真である。
【
図9】ゴム排出パッドを含むパクト(実施例1)の外観写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするための、本発明の好適な実施例に関して詳細に説明することにする。
【0023】
本発明は、放射状に分布した排出穴を有するゴム材質のゴム排出パッドを含み、前記排出穴から内容物を排出する化粧品を提供する。
【0024】
本発明において化粧品とは、内容物(「化粧料組成物」または「化粧料」ともいう)を収容するための容器自体だけを意味していてよく、または内容物の収容のための容器および内容物を共に含んでいる状態を意味していてよい。
【0025】
本発明において前記ゴムは、常温(20〜30℃)でゴム弾性(rubber elasticity)を示す弾性ゴムであれば特に限定されるものではないが、NBR(acrylonitrile−butadiene rubber)、フッ素系NBR、水素化NBR、シリコンゴム、NBR−シリコン複合ゴム、SBR(styrene butadien rubber)、CR(polychloroprene rubber)、IIR(isoprene−isobutylene rubber)、BR(butadiene rubber)、IR(isoprene rubber)、EPR(ethylene propylene rubber)、EPDMゴム(ethylene propylene diene monomer)、熱可塑性弾性体(thermoplastic elastomer)、多硫化ゴム(polysulfide rubber)、フルオロゴム、ウレタンゴム、ポリエステル、ポリエーテル、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリル、およびオレフィンからなる群から選択される一つ以上であってよい。
【0026】
好ましくは、前記ゴムは、NBR(acrylonitrile−butadiene rubber)、フッ素系NBR、水素化NBR、シリコンゴム、およびNBR−シリコン複合ゴムからなる群から選択される一つ以上であってよい。
【0027】
前記シリコンゴムは、弾性や耐候性に優れ、特に高温で強度や伸び率の変化が少ない。
【0028】
前記フッ素系NBRは、耐熱性と耐薬品性という特徴を有するゴムであり、前記NBR−シリコン複合ゴムは、耐油性の高いNBRと耐候性の高いシリコンの複合ゴムである。
【0029】
前記水素化NBR(「H−NBR」ともいう)は、耐油性の強いコムであって汎用的に使用されてきていたNBRに特別な水素添加過程を施して生成され、NBRの特性を保ちながら耐熱性が向上しており、耐候性、耐オゾン性、耐摩耗性が改善されたゴムである。乾式ポリウレタン、湿式ポリウレタンゴムは弾性に富み、耐摩耗性、耐老化性、耐油性を有する。
【0030】
前記スチレン−ブタジエンゴム(SBR)は、耐老化性、耐熱性、耐摩耗性に優れる。
【0031】
前記ポリクロロプレンゴム(CR)は、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、耐油性が良く且つ耐薬品性、難塑性に優れる。
【0032】
前記IIR(isoprene−isobutylene rubber)は、反発弾性は小さいが、衝撃吸収が非常に大きく、耐化学性、耐候性、耐熱性、耐オゾン性に優れる。
【0033】
前記ブタジエンゴム(BR)は、弾性が大きく且つ内部発熱が低いため、耐寒性および耐老化性に優れる。
【0034】
前記EPDMゴム(ethylene propylene diene monomer)は、耐候性、耐オゾン性、耐熱性、低温特性に優れ、且つ耐水蒸気性、耐化学薬品性に優れると共に、温度、湿気に対する耐久性が良い。
【0035】
前記熱可塑性弾性体(thermoplastic elastomer)は、例えばPP/EPDM(Polypropylene/Ethylene Propylene Diene Monomer)、ポリアミドなどであってよい。
【0036】
前記多硫化ゴムは、耐油性・耐老化性・耐オゾン性に優れる。
【0037】
前記ウレタンゴムは、湿式ポリウレタンまたは乾式ポリウレタンであってよい。
【0038】
前記ポリエステルは、PLA、PHB、PCLなどの生分解性樹脂を含む脂肪族ポリエステル、およびPET、PBT、PENを含む芳香族ポリエステルゴムであってよい。
【0039】
前記クロロスルホン化ポリエチレンゴムは、耐候性、耐オゾン性、耐化学薬品性に非常に優れる。
【0040】
前記アクリルゴム(AR)は、耐熱性、耐油性、耐候性、耐オゾン性に非常に優れる。
【0041】
本発明において前記ゴム排出パッドに形成された排出穴は特に限定されるものではないが、レーザー打ち抜きによって形成されたものであってよい。レーザー打ち抜きによって微細穴が形成される。
【0042】
また、本発明において前記ゴム排出パッドに形成された排出穴は、ゴム排出パッドの中心から縁方向に放射状に分布することが好ましい。
【0043】
本発明において前記排出穴の大きさは、0.005〜2.5mm、好ましくは、0.01〜2.5mm、より好ましくは、0.5〜1.0mmであってよい。本発明において排出穴の大きさとは、排出穴の大きさ乃至長さを意味する。排出穴の大きさが0.005mmより小さいと、内容物の排出が少ないことから排出が円滑に行なわれなくなり、2.5mmより大きいと、内容物の排出量が非常に多くなることから化粧塗布具(パフまたはブラシ)での分散排出の機能が劣り、化粧効果が劣化する。したがって、内容物がゴム排出パッドの排出穴から排出されるため、前記の大きさの範囲内の排出穴を有してはじめて適正な量の内容物調節機能を持つようになる。
【0044】
本発明において前記排出穴の個数は、単位面積1cm
2当たり1〜50個、好ましくは3〜50個、より好ましくは5〜30個であってよい。単位面積1cm
2当たりの排出穴の個数が1個未満であると排出量が少なくなり過ぎ、50個を超過すると排出量が多くなり過ぎ且つ破裂強度(Bursting Strength)に影響を及ぼす。
【0045】
本発明に係る排出穴が形成されたゴム排出パッドを
図2乃至
図5に示した。
図2は、同一の排出穴大きさを有する、円形ではない全体として線状の排出穴を有するゴム排出パッドの一実施例を示し、
図3は、ゴム排出パッドの外側から内側にいくほど排出穴大きさが大きくなるゴム排出パッドの一実施例を示す。図面上、排出口は線状であるが、円形や線などの何らかの形状に限定されるものではない。また、
図4は、円形の排出穴が放射状に分布したゴム排出パッドの一実施例を示し、
図5は、円形の排出穴が放射状に分布したゴム排出パッドのまた他の一実施例を示す。
【0046】
本発明において前記ゴム排出パッドは、円形または三角形、四角形、五角形などの辺を有する多角形の形態であってもよいが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、容器の形状に応じて変わり得る。
【0047】
また、前記ゴム排出パッドの単位面積1cm
2に上下方向に力を加えるときの伸び率が1〜500%、好ましくは200〜500%であってよい。伸び率が1%未満であると柔軟性に劣ることで使い心地が悪くなり、500%を超過すると過度に柔軟になって排出穴の大きさに影響を与え得る。
【0048】
本発明において前記ゴム排出パッドは、ショアA硬度(shore A hardness)が10A以上で且つショアD硬度が75D以下であってよい。具体的に、ショアA硬度が10〜100Aで且つショアD硬度が10〜75Dであることが好ましい。
【0049】
本発明において硬度の測定はA型テュメータ(円周)で実施し、実験法はASTM D2240に従う。ショアA硬度が10A未満であると軟質であって弾性力に劣り、ショアD硬度が75Dを超過すると硬質であって弾性力に劣り、適正量の内容物を塗布具で取るのに適しない。本発明において硬度とは、その物体を他の物体で押し付けたときに該物体の変形に対する抵抗力の大きさとして規定する。物体の硬度測定方法としては、ビッカース硬度、ブリネル硬度、ロックウェル硬度、ショア硬度などがあるが、本発明ではショア(Shore)硬度測定法を用い、ショア表記の数字のうち前の数字が高いほど硬いことを意味する。ショアタイプは、測定インデンター(indentor)に応じて、A、B、C、D、D0、0、00、000、Mに分類される。測定原理は、多様な形態のインデンターを物体に突き刺した後に飛び上がる程度を硬度の数値で示すことである。ショアAはインデンターの先がちびていてソフトな材質の測定に使用され、ショアDはインデンターの先が鋭いためハードな材質の測定に使用される。
【0050】
本発明に係る化粧品において、内容物塗布副材料である塗布具(例えば、パフまたはブラシ)でゴム排出パッドを押し付ける力は約300g・f〜1.5Kg・fである。通常、軽くゴム排出パッドをパフにて押し付ける力が約300〜600g・fであり、少し強く押し付ける場合、約1〜1.5Kg・fとなる。
【0051】
本発明において前記ゴム排出パッドは、厚さ0.05〜2mm、好ましくは0.5〜1mmであってよい。厚さが0.05mm未満であると薄すぎてゴム物性が劣化し、また2mm超過であると厚すぎて容器の締結力が低減する。
【0052】
本発明において前記ゴム排出パッドの引張強度は、20kg/cm
2以上、好ましくは20〜100kg/cm
2、より好ましくは50〜90kg/cm
2であってよい。引張強度が20kg/cm
2未満であるとパッドとしての使用には弱すぎる。
【0053】
本発明において前記ゴム排出パッドは、ゴム排出パッドを取り囲む枠体をさらに含んでいてよい。
【0054】
本発明に係る化粧品は、ゴム排出パッドの排出穴から内容物を排出するため、排出穴の大きさで排出量の調節が可能である。本発明に係る化粧品は、塗布具を排出穴から排出された内容物に接触させて内容物を取り、内容物が付いた塗布具を皮膚に当てて擦って使用する。
【0055】
本発明において前記内容物は、3,000〜100,000cpsの粘度を有するものであってよく、好ましくは8,000〜25,000cpsの粘度を有するものであってよい。粘度において範囲が非常に広いため多様な内容物を用いることができるという特徴を有する。前記内容物の粘度は粘度測定機器で測定することができ、例えば、本明細書において粘度は、LVDVII+PROまたはRVDV III ULTRA、スピンドルNO.29、速度5RPMまたは12RPMで測定した数値であるが、必ずもこれに制限されるものではない。
【0056】
本発明において収容される内容物は特に限定されないか、例えば、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンゼント、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ピグメント含有ファウンデーション、メーキャップベース、アイメーキャップ、およびブラッシャーからなる群から選択される一つ以上を含むものであってよく、前記剤形の紫外線遮断剤(サンブロック)であってよい。
【0057】
また、本発明の内容物は、液状、クリーム状、半固状、固状、またはパウダー状であってよい。
【0058】
また、前記液状内容物は、水分散型、油分散型、油中水(W/O)型、または水中油(O/W)型であってよい。
【0059】
本発明において用いられるゴム排出パッドは、下記のような特徴を有するものである。1)耐化学性、耐薬品性:化学的物質または薬品(アルコール類、オイル類など)に反応して膨潤、浸食、形態変形、色素溶出などがない。2)内容物相溶性:化粧料によって膨潤、形態変形、色素溶出、溶解、化粧料沈着などが生じない。3)耐摩耗性:パフやブラシなどのアプリケータによる摩擦によって浸食や永久変形にならない。4)耐毒性:重金属やフタレートのような環境有害物質の含有がない。
【0060】
本発明に係る化粧品は、ゴム排出パッドを含む容器であって、内容物を後で収容できるようにしたものであってよい。
【0061】
または、本発明に係る化粧品は、ゴム排出パッドが装着された容器内に、具体的に、ゴム排出パッドの下方に内容物を共に含んでいる状態のものであってよい。
【0062】
本発明に係る化粧品は、パクト、ジャー(Jar)、エアレス、ブロー、チューブ、ビン(Bottle)等の形態のものであってよいが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0063】
本発明に係る化粧品は、内容物をゴム排出パッドの排出穴の大きさで適正量制御し、弾性を持っていて内容物の残量を最大限使い切ることができるようにする。また、ゴム排出パッドの排出穴以外は外部から密閉されており、製品の使用の際に常時新しい製品を使うような使い心地を与えることができる。
【0064】
以下の実施例を通じて本発明をより詳細に説明することにする。なお、実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【0065】
[実施例1]
本発明に係るゴム排出パッドは、H−NBR(水素化ニトリルゴム)からなり、厚さ0.5mmの円形パッドであり、下記の表1のイメージのように中心から縁へと分布した放射状分布の排出穴を有し、この排出穴は20個/単位面積1cm
2、穴の大きさは0.7mmである。
【0066】
本発明に係るゴム排出パッドを適用したパクトと、使用性が類似の製品である一般のパクトケーキタイプ、スクリーン網を含むパクト、エアレスパクトを比較して、ペイオフ分散性および使用後の残量を測定し、その結果を下記の表1に表した。ペイオフ分散性は、化粧塗布具としてのパフを内容物に押し付けて内容物を取ったときにパフに内容物が均一に分散した具合を測定して求める。使用後の残量は、化粧塗布具としてのパフで内容物を最大限取った後に容器に残っている内容物の量を測定し、内容物の充填量に対する比率を計算して求める。
【0067】
比較例1は、ASKER硬度Dタイプにて測定して硬度60のケーキタイプの試料であり、比較例2は、SunRheo meter CR−200Dにてアダプタ径10cmで測定して硬度250のケーキタイプの試料である。比較例3と実施例1の粘度は、Brookfield Viscometer Model DV−II+、29スピンドルにて測定した。
【0068】
【表1】
表1に見られるように、ゴム排出パッドを適用した場合、内容物を取るときにパフに取られる内容物の分散性が最も高く、使用後の残量もまた比較例1、2、3と比較して低減することを確認することができる。
【0069】
パフで内容物を取るとき、比較例1、2および3では内容物が塊り状に取られてペイオフ分散性が低く、且つ肌への塗布時に塊り状に塗られ、均一に塗るためには付随的な時間が必要となる。これに対し、本発明に係るゴム排出パッド(H−NBR)を含むパクトの場合は、ペイオフ分散性が高く、且つ塗布時に塊り状になることなく均一に塗布が可能である。使用後の残量に関して、一般のパクトタイプ、スクリーン網を含むパクト、およびエアレスパクトの場合、残量が30%または60%であって、一般のパクトタイプとスクリーン網を含むパクトの場合、容器の隅の部分に内容物が残留し、隅に残留している内容物までをも使い切るのが不便であり、エアレスパクトの場合、構造の特性上、一定量が構造内部に残量として残るようになる。これに対し、本発明に係るゴム排出パッド(H−NBR)を含むパクトの場合、ゴムのテンションで容器の隅の残量を取りやすいことから残量が少ない。
【0070】
[実施例2]
ゴム排出パッドの材質として、シリコンゴム、フッ素系NBRゴム、NBR−シリコン複合ゴム、H−NBRゴム、湿式ポリウレタンゴム、乾式ポリウレタンゴム、多硫化ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(ハイパロンゴム(CSM))、およびアクリルゴム(AR)を用いて各材質(各実施例1〜14)の復元力および膨潤(swelling)変形率を比較した。復元力は、ゴム排出パッドを容器に装着しシートの中央を径4cm円形の塗布具(または、アプリケータ(applicatior))にて1cm深さで10秒間押し付けた後に本来の形に復元するのにかかる時間を測定して求めた。また、膨潤変形率は、化粧料に対してゴムパッドが膨張して変形することを意味し、化粧料20gに各材質のゴムパッドを浸し、55℃で一定期間放置後の重さ変化を測定して求めた。その結果を下記表2および表3に表した。
【0072】
【表3】
前記ゴム排出パッドの材質のうちのシリコンゴム、フッ素系NBRゴム、NBR−シリコン複合ゴム、H−NBRゴムは、復元力に優れており、容器内側の内容物を最大限残さずに多く使うことができるようにすることで、残量を低減することができる。また、シリコンゴム、フッ素系NBRゴム、NBR−シリコン複合ゴム、H−NBRゴムは、膨潤変形率もまた良好であることを確認することができる。したがって、シリコンゴム、フッ素系NBRゴム、NBR−シリコン複合ゴム、H−NBRゴムを適用した場合が排出調節機能や残量低減効果を得る上でより好適であることを確認することができる。