特許第6709739号(P6709739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709739
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】横バックル付きクランプカラー
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/08 20060101AFI20200608BHJP
   A44B 11/04 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   B65D63/08
   A44B11/04
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-574960(P2016-574960)
(86)(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公表番号】特表2017-518831(P2017-518831A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】FR2015051646
(87)【国際公開番号】WO2015197961
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年5月16日
(31)【優先権主張番号】1455795
(32)【優先日】2014年6月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591085905
【氏名又は名称】エタブリスマン・カイロウ
【氏名又は名称原語表記】ETABLISSEMENTS CAILLAU
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】プレヴォー,ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】リゴレー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ボーヴェ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】エスペレ,クァンタン
【審査官】 内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】 実公第008418(大正12年)(JP,Y1T)
【文献】 米国特許第05007138(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02168103(GB,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01340689(EP,A2)
【文献】 特開昭57−001059(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/024296(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 63/08
A44B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状の金属ストラップと横バックルとを備えるクランプカラーであって、前記横バックルは、前記ストラップの第1端にて保持され、前記第1端の外側で、前記ストラップの第2端が前記第1端にかぶさって挿入され得る挿通路を形成し、このように挿入される前記ストラップの前記第2端は、くぼみ付けられることによって、前記横バックルを構成する少なくとも1つの要素および前記ストラップの前記第1端と連係し、それにより前記クランプカラーの直径が大きくなる方向に移動しないように保持されるように構成され、
前記バックルは2つの類似した、半径方向に突出し前記横バックルの2つの縦側部のそれぞれから伸びる外側タブを担持し、前記外側タブは、頭部を担持する柄部を有するフックの形状を有し、前記頭部の下に凹部(D)が形成され、前記ストラップの前記第2端が前記外側タブの前記柄部の間に挿入されることを可能とし、
前記外側タブのうちの少なくとも1つが内側リブを、当該外側タブの前記柄部と当該外側タブの前記頭部との間の接合部において有し、前記ストラップの前記第2端が前記外側タブの前記柄部の間の、前記柄部と前記横バックルの前記縦側部との接合部の近傍のみに挿入されるようにすることを特徴とするクランプカラー。
【請求項2】
前記フックの前記頭部は、実質的に前記ストラップの長さに沿って伸びる自由エッジを有することを特徴とする請求項1に記載のクランプカラー。
【請求項3】
前記挿通路は、前記バックルの少なくとも1つの外側の壁部分によって規定される拘束区分を含み、前記外側の壁部分は、前記ストラップの前記第1端の外側の面の上方に位置し、前記外側タブは、前記外側の壁部分に対して縦方向にずれていることを特徴とする請求項1または2に記載のクランプカラー。
【請求項4】
前記外側タブは、前記外側の壁部分から切り欠きによって分離されていることを特徴とする請求項3に記載のクランプカラー。
【請求項5】
前記外側の壁部分および前記外側タブは、前記バックルの縦エッジから伸び、前記エッジから横方向に測定される長さが同じであり、前記外側タブは、前記フックの柄部と前記頭部とを分ける縦折りライン(lp)を有することを特徴とする請求項4に記載のクランプカラー。
【請求項6】
前記外側の壁部分は、前記ストラップの前記第1端の外側に位置する自由縦エッジを有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項7】
前記少なくとも1つの外側の壁部分の前記自由縦エッジは、フックを担持することを特徴とする請求項6に記載のクランプカラー。
【請求項8】
前記外側タブは、前記バックルの横エッジの近傍に位置し、前記横エッジは、前記ストラップの前記第2端の自由先端からより遠くに位置する横エッジであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項9】
記2つの外側タブそれぞれ内側リブを、当該外側タブの前記柄部と当該外側タブの前記頭部との間の接合部において有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項10】
前記ストラップの前記第1端は、前記横バックルと連係する側部突出部を有し、前記側部突出部は、前記ストラップの前記第1端が前記横バックルに対して、前記ストラップの前記第1端の自由先端が向く方向と反対の方向へ移動することを防止することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項11】
前記バックルは、少なくとも前記バックルの外側部分において、前記クランプカラーの軸(Ax)に垂直な前記ストラップの中心面(IV−IV)を中心として対称となることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項12】
前記バックルは、前記ストラップの前記第1端の内側の面に対向して配置される内側部分を有し、前記内側部分は、前記ストラップの前記第1端の自由先端が向く方向と反対の方向に向く制止横エッジを有し、前記制止横エッジは、前記第1端に形成される制止後退部を規定する前記ストラップの前記第1端の制止横止め部と連係し、前記ストラップの前記第2端は、前記クランプカラーの直径が大きくなる方向に移動することを防止されるように保持されるくぼみ付け状態において、前記制止後退部において受け止められ、前記制止後退部の保持エッジと当接して連係する保持横止め部を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項13】
前記制止横エッジは、前記バックルの前記内側部分の第1の自由端に位置する自由エッジであり、前記バックルの前記内側部分の前記第1の自由端において、ノッチの、前記ストラップの前記第1端の自由先端が位置する側に形成されることを特徴とする請求項12に記載のクランプカラー。
【請求項14】
前記ストラップの前記第2端をくぼみ付けることによって、横切り込みによって規定される保持後退部が形成され、前記保持止め部は、前記保持後退部の、前記ストラップの前記第1端の自由先端が位置する側に位置する前記切り込みの縁部上に形成されることを特徴とする請求項12または13に記載のクランプカラー。
【請求項15】
前記バックルの前記内側部分は、前記ストラップの前記第1端の前記自由先端側を向く増設制止横エッジを有し、前記増設制止横エッジは、前記第1端に形成される増設制止後退部を規定する前記ストラップの前記第1端の増設制止横止め部と連係することを特徴とする請求項12〜14のいずれか1つに記載のクランプカラー。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1つに記載のクランプカラーを締め付けるための締め付け具であって、前記クランプカラーの前記横バックル上に位置付けられるように構成された頭部と、前記ストラップの前記第2端にくぼみ付けするように移動するように構成されたパンチを備え、前記頭部は、前記クランプカラーに対して前記締め付け具を位置付けるために、前記クランプカラーの前記バックルによって担持される前記少なくとも1つの外側タブの少なくとも一部分を受け入れるための少なくとも1つの溝を有することを特徴とする締め付け具。
【請求項17】
前記溝は、フック形状のスロットを備えることを特徴とする請求項16に記載の締め付け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプカラーに関する。このクランプカラーは、ループ状の金属ストラップと、このストラップの第1端に保持される横バックルとを備える。横バックルは、第1端の外側に、ストラップの第2端を第1端にかぶさって挿入する挿通路を形成する。このように挿入されるストラップの第2端は、くぼみ付けられることによって、横バックルを構成する少なくとも1つの要素およびストラップの第1端と連係し、それによりカラーの直径が大きくなる方向に移動しないように保持されるように適切に構成される。
【背景技術】
【0002】
そのような種類のカラーとして、例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載のものが知られている。カラーを物品の回りに締め付けるためには、ストラップを物品の回りで一巡させた後、そしてストラップの第2端をバックル内の挿通路に挿入した後、牽引力を第2端にかけてカラーの直径を狭め、そして第2端にくぼみを付けることによって、第2端をバックルおよび/または第1端に対して保持する必要がある。一般に、くぼみ付け中またはその後で、第2端は、バックルの近傍で切り離される。
【0003】
これらの操作は、カラーによってクランプされるべき物品の周囲において、小型で操作しやすい器具を使用して、その場で行われる必要がある。良好な締め付けを行うために、カラーが器具に対して適切に位置付けされることが重要である。特に、ストラップの第2端がくぼみ付けに適切となるように位置付けられることが重要である。
【0004】
上記特許文献1および特許文献2において使用される器具は、カラーのストラップに対して正確には位置付けされない。特許文献3は、非常に模式的にしか表されていないが、バックルのエッジが載る基礎板を形成する下部突出部を有する側部(flank)を有する器具を提案する。これは、バックルが非常に特異的な形状を有することを必要とする。なぜなら、バックルは、基礎板に載せることのできる、横方向に突出したエッジを有さなければいけないからである。さらに、器具の側部は、横方向に大きな容量の空間を占めるので、クランプ対象の物品の周囲が非常に乱雑となり、器具を使用することができなくなる場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1775220号明細書
【特許文献2】米国特許第5566726号明細書
【特許文献3】米国特許第7373695号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、締め付け具に対して容易に精度よく位置付けることのできるカラーを提案することによって、従来技術の欠点の少なくとも一部を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、バックルが少なくとも1つの半径方向に突出する外側タブを担持し、このタブが頭部を担持する柄部を有するフックの形状を有し、頭部の下に凹部が形成されるという特徴によって達成される。
【0008】
外側タブは、簡単かつ横向きに小型であるように作製され得る。タブの頭部の下に形成される凹部を利用して、特にカラーを締め付けるための器具の一部であり得る位置付け部材を挿入することによって、器具を外側タブと連係させて、カラーが締め付けられるようにカラーを位置付けすることが可能である。この連係において、フックの柄部により、カラーの横向きの正確な位置付け(すなわち、ストラップに対して横向きの方向における位置付け)が容易となるとともに、頭部により、接線方向の良好な位置付け(すなわち、バックルを通るストラップの接線に平行な方向における位置付け)が容易となる。
【0009】
一局面によると、フックの頭部は、実質的にストラップの長さに沿って伸びる自由エッジを有する。
【0010】
このように、フックは、特に実現するのが簡単な形状を有する。
【0011】
一局面によると、挿通路は、バックルの少なくとも1つの外側の壁部分によって規定される拘束区分を含み、外側の壁部分は、前記ストラップの第1端の外側の面の上方に位置し、外側タブは、外側の壁部分に対して縦方向にずれている。
【0012】
このように、外側の壁部分は、拘束壁として十分に機能する。カラーの締め付け中にタブが変形または損傷したとしても、外側の壁部分によって実現された拘束の質には全く影響を与えない。
【0013】
外側タブは、外側の壁部分から切り欠きによって分離されてもよい。この場合、特にタブの製造は簡単である。特に、外側タブおよび上記壁部分は、同じ基材壁を第1の部分および第2の部分を形成するように横方向に切り抜き、第1の部分を適切に折って壁部分を形成し、第2の部分を異なる折り方で折って外側タブを形成する。
【0014】
一局面によると、外側タブは、バックルの横エッジの近傍に位置し、この横エッジは、ストラップの第2端の自由先端からより遠くに位置する横エッジである。
【0015】
このように、外側タブは、ストラップの第2端を切り離す際に障害や邪魔とならず、この切り離しは、タブからより遠い側のバックルの横エッジの直ぐ近傍において、非常にきれいに行うことができる。同様に、ストラップの第2端を保持することによってカラーの締め付け状態を維持するためのくぼみ付けは、バックルの中央の近傍、またはタブからより遠い側の横エッジの近傍で、上記タブが障害や邪魔となることなく、精度よく行われ得る。
【0016】
一局面によると、バックルは、2つの類似した、半径方向に突出する外側タブを有し、これらの外側タブは、バックルの2つの縦側部のそれぞれから伸び、ストラップの第2端がタブの柄部の間に挿入され得る。
【0017】
これにより、カラーを締め付け具に対して横方向に制止することがさらに容易となる。
【0018】
一局面によると、カラーは、ストラップの第2端がタブの柄部の間の、柄部とバックルの縦側部との接合部の近傍のみに挿入されるようにするための手段を有する。
【0019】
これらの手段は、割出し型手段を構成する。これにより、カラーがクランプ対象の物品の回りで閉じられている場合に、実際にはストラップの第2端がタブ間に係合しているだけであり、実際に締め付けを達成するために機能するバックルの部分(たとえば、上記拘束区分を規定する壁部分)と係合していないにもかかわらず、カラーが正しく閉じられているように見えることを回避する。
【0020】
一局面によると、タブのうちの少なくとも1つ、好ましくは2つのタブのうちのそれぞれは、内側リブを、タブの柄部とタブの頭部との間の接合部において有する。
【0021】
このリブは、2つの利点を提供する。第1に、リブにより、外側タブがその柄部および頭部の接合部において強固となる。したがって、ストラップの第2端をくぼみ付けするには非常に大きな力が必要となり得るが、カラーを締め付けながら適切な位置に維持することが容易となる。さらに、リブは、そのサイズが適切であれば、上記割出し機能を提供するように機能し得る。
【0022】
一局面によると、バックルは、ストラップの第1端の内側の面に対向して配置される内側部分を有し、この内側部分は、ストラップの第1端の自由先端が向く方向と反対の方向に向く制止横エッジを有し、この制止横エッジは、ストラップの第1端に形成される制止後退部を規定するストラップの第1端の制止横止め部と連係し、ストラップの第2端は、カラーの直径が大きくなる方向に移動することを防止されるように保持されるくぼみ付け状態において、制止後退部において受け止められ、制止後退部の保持エッジと当接して連係する保持横止め部を有する。
【0023】
この場合、ストラップの第1端は、制止エッジと制止止め部との連係によって、バックルに対して制止される。ストラップの第2端のくぼみ付けは、保持止め部を形成し、この保持止め部は、バックルではなく、制止後退部の保持エッジと連係する。制止後退部の保持エッジ自体は、ストラップの第1端にて形成される。言い換えると、カラーは、その第1端がその第2端と直接連係することによって締め付けられる。したがって、締め付け状態において、大きな力は、バックルにはかからずに、ストラップの両端間に直接かかる。これにより、カラーの耐用期間にわたり、その締め付けが悪化する危険は制限される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の発明を実施するための形態を読めば本発明が十分に理解され、その利点がより明瞭となる。実施形態は、例を用いて説明するが、その例に限定されない。説明において、添付の図面を参照する。
【0025】
図1図1は、本発明のクランプカラーの締め付け前の斜視図である。
図2図2は、図1のカラーの締め付け後の部分斜視図である。
図3図3は、図1および図2のカラーのストラップの内側の面の、横バックルの近傍における斜視図である。
図4図4は、図2の断面IV−IVに沿った断面図である。
図5図5は、それより前の図のカラーがその締め付け具とどのように連係するかを示す模式的側面図である。
図6図6は、図5の矢印VIに沿って見た端面図である。
図7図7は、変形例における、横バックルを担持するカラーのストラップの第1端を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書において、用語「内側」は、カラーによって規定される円の幾何学的中心Cに対してより近くに位置する要素を説明するために使用される。他方、用語「外側」は、中心Cからより遠くに位置する要素を説明するために使用される。さらに、用語「縦」は、ストラップの長さに沿って伸びる要素、すなわち、図に示すようにストラップが一巡してそれ自体に重なる場合に、そのループ方向に伸びる要素を説明するために使用される。用語「横」は、上記長さに垂直に、すなわち、ストラップの幅にわたって伸びる要素を説明するために使用される。
【0027】
まず、図1および図3について説明する。図1および図3からわかるように、クランプカラーは、ループ状の金属ストラップ10と、このストラップの第1端10Aにて保持される横バックル12とを備える。図1および図2からより明らかにわかるように、第1端10Aの外側に、バックル12は、第2端10Bが挿入される挿通路13を形成する。
【0028】
本明細書において、ストラップの「第1端」は、バックルと連係する第1端の全区分を意味する。同様に、「第2端」は、バックルと連係する第2端の全区分を意味する。
【0029】
図3からより明らかにわかるように、バックル12は、ストラップ10の第1端10Aの内側の面に対向して配置された内側部分14を有する。外側において、バックルは、2つの外側の壁部分、それぞれ15Aおよび15B、を有する。各外側の壁部分は、内側部分14の対応する縦エッジから折り返されている。これらの外側の壁部分は、ストラップ10の第1端10Aの外側の面の上方に位置する舌状部分を形成する。これらの折り返し舌状部分の内側の面とストラップの第1端10Aの外側の面との間に半径方向に規定される空間は、挿通路13の拘束区分を形成する。この区分にストラップの第2端10Bが通される。「拘束区分」の概念は、上記空間の半径方向の高さがストラップの第2端10Bをこの空間に挿入するのにちょうど十分な高さであって、第2端が半径方向を外向きに移動しないように保持されることを意味する。
【0030】
特に図3および4からわかるように、第1端10Aは、第1端に対するバックルの制止に寄与する制止後退部16を有する。図4からよりよくわかるように、この制止後退部16は、バックル12の内側部分の制止横エッジ14Aと連係する制止横止め部16Aを有する。図示の例において、このエッジおよびこの止め部は、直線状であり、ストラップに対して横方向に伸びている。このように、止め部16Aとエッジ14Aとの連係により、ストラップの第1端10Aがバックル12に対してF方向(図4参照)に移動することが防止される。
【0031】
ストラップの第1端10Aを反対方向に保持するために、上記手段と類似する手段を使用する。そうするために、図示の例において、バックル12の内側部分14は、増設制止横エッジ14Bを有する。増設制止横エッジ14Bは、ストラップの第1端10Aの自由先端10’A側を向き、ストラップの第1端における増設制止横止め部16’Aと連係する。この増設制止横止め部は、上記第1端において形成される増設制止後退部16’を規定する。
【0032】
増設制止横止め部16’Aおよび増設制止後退部16’は、バックルの内側部分の横中心線Lを中心にして、制止横止め部16Aおよび制止後退部16に対して略対称である。止め部16’Aとエッジ14Bとの連係により、ストラップの第1端10Aがバックル12に対して図4に示す方向Fと反対の方向に移動することが防止される。
【0033】
カラーが締め付け状態にある場合、挿通路13に挿入されたストラップの第2端は、くぼみ付けされることによって、横バックル12を構成する要素のうちの少なくとも1つおよびストラップ10の第1端10Aと連係し、それによりカラーの直径が大きくなる方向に移動することが防止されるように保持される。
【0034】
図1は、第2端10Bが挿通路13に挿入された場合であって、くぼみ付けされる前の状態を示す。図2および図4は、くぼみ付けが行われた後の状態を示す。
【0035】
この例において、図4からより明瞭にわかるように、ストラップの第2端10Bは、制止後退部16において受け止められる保持横止め部11を有する。この保持横止め部は、制止後退部16の保持エッジ17Aと当接して連係する。保持止め部11と保持エッジ17Aとの連係によって、ストラップの第2端10Bが第1端10Aに対して図4において矢印Fによって示される方向に移動することが防止されることが理解され得る。言い換えると、カラーが一旦締め付けられると、この連係によって、カラーの緩みが防止される。
【0036】
ストラップの第2端10Bをくぼみ付けすることによって、ストラップの第2端10Bの内側の面上に突出部を形成する保持後退部11’が形成される。保持横止め部11は、この保持後退部11’を規定する。図4からわかるように、保持後退部は、制止後退部16において受け止められる。
【0037】
保持後退部11’は、横切り込みによって規定される。保持止め部11は、保持後退部11’の後ろに位置する、この切り込みの縁部(lip)上に形成される。切り込みの縁部は、ストラップの第2端の自由先端10’Bが向く方向と反対の方向に向く。
【0038】
この例において、制止後退部16は、皿部を形成する。この皿部の側部のうちの1つは、後退部16の外側にあるその面上で制止止め部16Aを形成し、後退部の内側にあるその面上で保持エッジ17Aを形成する。「内側」および「外側」の上記に定義した概念とは別に、後退部の内側および外側の面は、後退部自体に対して定義される。
【0039】
図3からより明瞭にわかるように、制止横エッジ14Aは、バックル12の内側部分14の第1の自由端12A上に位置する自由エッジである。より詳細には、この例において、制止横エッジ14Aは、上記第1の自由端12Aにおいて、ノッチ19の後ろに形成される。制止後退部16は、ノッチにおいて受け入れられ、そのスロットの両側にある、突出する枝部19Aおよび19Bが制止後退部16の両側に位置する。
【0040】
図3からわかるように、後退部16の内側の面は、ノッチの後ろの近傍において、バックルの内側部分14の内側の面の半径方向の高さから進み、ノッチ19の後ろから離れるにつれ徐々にストラップの平面に戻ることにより、ストラップの内側の面において急峻なショルダーを形成しないようにする。
【0041】
逆に、図からわかるように、バックル12の内側部分の自由端12Aに位置するストラップの第1端は、内向きに伸びるショルダー23を形成するので、このショルダーのストラップの自由先端10’Aからより遠い側に位置するストラップの内側の面がバックル12の内側の面と実質的に同一線上に位置するようになる。半径方向に測定されるショルダーの高さは、バックルの内側部分14の厚さEbに実施的に一致する。
【0042】
制止横エッジ14Aと同様に、増設制止横エッジ14Bは、バックルの自由エッジであるが、バックルの内側部分14の第1の自由端12Aと反対の第2の自由端12Bに位置する。また、この増設制止エッジ14Bは、バックルの内側部分14の第2の自由端12Bにおいて、ノッチ19’の後ろに形成される。このノッチの両側には、縦に突出する枝部19’Aおよび19’Bがある。
【0043】
また、図からわかるように、バックルの内側部分14の第2の自由端12Bにおいて、ストラップの第1端10Aは、側部突出部21A、21Bを有する。これらの突出部は、ストラップの第1端を部分的にパンチすることによって形成される。パンチによって材料が横方向を外向きに押し出される。側部突出部21A、21Bは、側部「出張り」を形成する。バックルの自由端12’Bは、側部「出張り」と連係する。側部突出部21A、21Bは、ストラップの第1端の保持に寄与し、ストラップの第1端がバックル12に対して矢印Fによって示される方向と反対の方向へ移動することを防止する。このように、図示の例において、ストラップの第1端をバックルに対して矢印Fの方向と反対の方向において保持するために、上記側部突出部21Aおよび21Bだけでなく、増設制止横エッジ14Bと連係する増設制止横止め部16’Aが使用される。
【0044】
これにより、カラーの締め付け中にかかる力に対して非常に高い耐性を得ることができる。締め付け中に、最小のクランプ直径が得られるように牽引力をストラップの第2端にかける場合には、締め付け具をバックル12に押し付けてもよく、したがって、バックルがストラップに対して確実に保持されることが重要である。
【0045】
もちろん、側部突出部21Aおよび21Bだけによって方向Fと反対の方向に保持することも可能であり、また横止め部16’Aと横エッジ14Bとの連係だけによって保持することも可能である。また、当業者によって利用可能な他の形式の保持方法を選択することも可能である。
【0046】
さらに、ストラップの第2端の締め付けを維持するように機能するストラップの第2端のくぼみ付けについての利点を示す例を説明する。この例において、精度のよい保持が達成され、カラーが締め付け状態にある場合にストラップにかかる牽引力が、バックル12を関与させることなく、「重なり合ったストラップ(strap−on−strap)」により確実にかかるようにする。しかし、また、本発明は、ストラップの第2端を保持する他の可能な技術に適用される。例えば、ストラップの第2端10Bのくぼみ付けは、欧州特許第1775220号明細書(バックルの内側部分における開口を使用することによる)、米国特許第7373695号明細書、または仏国特許第2542388号明細書に記載のように行ってもよい。
【0047】
本発明によると、バックル12は、少なくとも1つの半径方向に突出するフック形状の外側タブを備える。このタブの頭部の下に凹部が形成される。
【0048】
この例において、バックル12は、半径方向に突出する、この種の2つの外側タブ20および22を有する。各タブは、柄部(それぞれ20Aおよび22A)および頭部(それぞれ20Bおよび22B)を有するフックの形態であり、頭部20Bおよび22Bの下に凹部Dが形成される(図4を参照)。この凹部は、挿通路13の一区分を形成し、ストラップの第2端10Bは、フックの頭部20Bおよび22Bの下を通る。しかし、上記のように、ストラップの第2端10Bが半径方向を外向きに移動することを防止するようにストラップの第2端10Bを保持するように機能するのは、折り返し舌状部分15Aおよび15Bの形態を有するこの挿通路の拘束区分である。
【0049】
この例において、頭部は、縦に伸びる自由エッジ20’B、22’Bを有する。柄部は、バックルの両側で、その内側部分14の縦エッジから互いに面するように伸び、ストラップの第2端10Bは、それら柄部の間を通って挿通路13の拘束区分に入る。
【0050】
外側タブ20および22は、上記外側の壁部分15Aおよび15Bに対して縦方向にずれている。外側の壁部分15Aまたは15Bおよび対応する外側タブ20Aまたは20Bは、バックル12の縦エッジから伸び、このエッジから横方向に測定される長さが同じである。外側タブは、フックの柄部20A(または22A)と頭部20B(または22B)とを分ける縦折りラインlpを有する。もちろん、タブ20Aまたは20Bの長さは、タブがストラップに取り付けられた場所から開始して、タブの自由エッジ20’A(または20’B)へ到達する破線に沿って、ストラップの横方向にタブに沿って測定される。
【0051】
外側の壁部分15A(または15B)は、ストラップの第1端10Aの外側に位置する自由縦エッジ15’A(または15’B)を有する。
【0052】
例えば、外側の壁部分15Aまたは15Bが形成されるバックル12の各舌状部分は、最初はタブ20または22と一体となっていてもよい。1つの横切り欠きによってタブを壁部分から分離し、この壁部分をバックル12の内側部分14と平行になるまで折り返し、他方タブをフック形状にする。
【0053】
少なくともその外側部分において、バックル12は、カラーの軸Axに垂直なストラップ10の中心面IV−IVを中心にして対称である。この例において、さらにバックルの内側部分14も中心面IV−IVを中心にして対称である。
【0054】
タブ20および22は、カラーおよびそれを締め付けるように機能する器具が互いに対して正しく位置付けられることを確実にするために機能する。これは、図5および図6からより明瞭に理解され得る。図5および図6は、カラーがそれを締め付けるように機能する器具とどのように連係するかを示す。
【0055】
簡略のために、器具の頭部の機能部分のみを示す。より詳細については、例えば、仏国特許第2542388号明細書を参照のこと。
【0056】
器具は、カラーの横バックル12上に位置付けられるように適切に構成された頭部32と、ストラップ10の第2端10Bをくぼみ付けするように移動するように適切に構成されたパンチ33を含む。頭部32は、少なくとも1つの溝34を備える。この少なくとも1つの溝34は、カラーのバックル12によって担持される上記少なくとも1つの外側タブ20、22の少なくとも一部分を受け入れ、それにより器具をカラーに対して位置付ける。溝は、フック形状のスロットを備えてもよい。
【0057】
図5および6に示す器具30の部分は、その頭部32およびそのパンチ33を備える。パンチ33は、作動システムMによって、チャネル31内を移動し、カラーのストラップの第2端10Bにくぼみをつけ、保持止め部を形成する。図5において、矢印Aによって示される方向にパンチ33がくぼみを付けるように移動する場合の、カラーのストラップに接触する際のパンチ33が示される。
【0058】
カラーは、その第2端に牽引力が(図示しない手段によって)かけられることによって締め付けられ、同時に器具の頭部は、バックル12を支持する。所望のレベルの締め付けが一旦得られると、くぼみ付けを行うようにパンチ33を移動させる。なお、パンチ33の頭部33Aは、面取りされ、横切断スパイク33’Aを有し、同時に保持止め部11および保持後退部11’を形成する。
【0059】
上記のように、タブ20および22は、器具およびカラーを互いに対して位置付けるように機能する。また、タブ20および22は、パンチがくぼみ付けを行う方向Vに垂直な平面にバックルを位置付けることが可能である。
【0060】
より詳細には、タブ20および22は、側部後退部34によって形成される溝に少なくとも部分的に挿入される。より詳細には、タブによって形成されるフックの頭部20Bおよび22Bが後退部34に貫入する。このように、フックの頭部の内側の面は、それに面するように位置する後退部34の面と連係し、それにより器具がカラーに対して図6において矢印Hによって示される方向に移動することを防止する。
【0061】
さらに、2つのタブ20および22がバックル12のそれぞれ対応の縦エッジ上(すなわち、カラーの両側の縦エッジ上)に位置する状態で存在する限り、後退部34に対して内側(カラーの中心に向いて)に位置する器具の頭部の中心部分36は、タブ20および22によって形成されるフックの柄部20Aおよび22Aの間において制止される。これにより、器具が方向lにおいてカラーに対して横方向に移動することを防止できる。なお、器具の頭部は、この頭部の側部上で後退部34を閉じる側板(cheek plate)38を有することにより、タブを受け入れるための溝がフック形状のスロットの形態を取ってもよい。これらの側板38は、図6に示されており、そのうちの1つが図5において一点鎖線によって描かれている。
【0062】
上記のカラーにおいて、バックル12は、適切に切り抜かれ、折り返された金属のブランク部材から形成される。この例において、バックル形状にされた、このブランク部材の「接合平面」は、カラーの外側の、折り返し舌状部分15Aおよび15B間に位置する。この例において、舌状部分の縦端(自由縦エッジ)15’A、15’Bは、幅Eの間隔をあけて配置される。第一に、これにより、バックルを形成するための材料を節約することができる。第二に、図6からわかるように、これにより、器具をカラーに対して制止することを容易化できる。このように、器具の頭部32の中心部分36は、舌状部分15Aおよび15Bの自由端の間に形成された空間に収まる、内向きに突出する中心リブ36Aを有するので、カラーのストラップの第2端10Bと直接に連係することができる。反対に、後退部34の内側において、中心リブ36Aの両側で伸びる側部突出部は、折り返し舌状部分15Aおよび15Bと直接に連係する。
【0063】
再びタブ20および22について説明すると、タブ20および22は、柄部と頭部との間の接合部に内側リブ20Cおよび22Cをそれぞれ有することがわかる。内側リブの厚さは、頭部へ向かって大きくなる。例えば、これは、半径方向に対して実質的に45度に傾き、タブの内側に向かって突出するガセットによって実現できる。このように、フックの頭部の近傍におけるリブは、その間の間隔を、ストラップの第2端10Bの幅より小さく規定する。これにより、使用者が単に第2端をタブ20および22間に挿入することによってカラーが閉じられたと考えることを回避できる。使用者がそうしようとすると、上記内側リブの形状は、自然に第2端を内向きに(カラーの中心Cへ向って)、すなわち、折り返し舌状部分15Aおよび15Bの下で、挿通路13の拘束区分内に移動させる。言い換えると、リブ20C、22Cは、ストラップの第2端10Bが、タブの柄部20A、22A間の、この柄部とバックル12の縦側部との間の接合の近傍においてのみに挿入されることを可能にするための手段を形成する。
【0064】
図7において、それより前の図で使用した同じ参照符号に100を足したものを使用して、対応の要素を示す。
【0065】
この図に示す変形例において、上記少なくとも1つの外側の壁部分の自由縦エッジは、フックを担持する。
【0066】
より詳細には、この図からわかるように、ストラップ110の第1端は、横バックル112を担持する。横バックル112は、外側の壁部分115Aおよび115Bの自由縦エッジが半径方向を外向きに伸びるように立ち上がるフック151Aおよび151Bを担持することを除いて、先行する図のバックル12と実質的に類似する。これらのフックは、バックルをカラーのストラップから外すために機能する。「サークリップ(circlip)」タイプのプライヤなどの取り外し器具を頭部の下に設けられた空間に挿入して操作することによって、フックを下から支えることによって、器具は、外側の壁部分115Aおよび115Bを遠ざけるように移動させて、ストラップに対してバックルを緩めることができる。
【0067】
図をより明瞭にするために、図7は、ストラップの第2端がバックル112によって第1端の外側の面上に形成された挿通路に挿入されていない開放状態のカラーを示す。第2端が上記挿通路に係合されると、第2端は、外側タブ120および122の下および壁部分115A、115Bの下に位置し、したがってまた、フック151Aおよび151Bの下に位置する。
【0068】
一般に、バックルを外すことによってカラーを外す必要が生じ得るのは、カラーが閉じられ、締め付けられた場合である。例えばプライヤタイプなどの器具がフック151A、151Bの下に挿入されることによって、フックをストラップから引き離して、壁部分115Aおよび115Bを開放することができる。上記のように、外側タブ120および122は、切り欠きによって上記壁部分から分離される。これにより、遠ざけるように移動させた壁部分115Aおよび115Bは、外側タブの位置に影響を与えないので、外側タブは、ストラップの第2端の外側の面の上方で元の位置に留まる。外側タブの頭部の下に形成された隙間は、先行の図において示す例よりも小さくてもよい。このように、壁部分115Aおよび115Bが一旦遠ざかるように移動すると、ストラップの第2端は、外側タブの頭部の下に留まり、頭部に対向して配置される傾向がある。これにより、バックルは、緩むが、ストラップ上に一時的に保持される。これにより、バックルが一旦外された場合に、バックルがストラップから離れたり、床または地面に落下することが防止される。バックルを積極的にストラップから外すためには、バックルを把持しながら、ストラップの第2端をスライドさせて、カラーを開放すればよい。
【0069】
なお、フック151Aおよび151Bは、外側タブ120および122より半径方向に大きく突出し、フック151Aおよび151Bの間隔は、外側タブの間隔と比較して、小さい。これらの差異により、割出し効果を与え、カラーを締め付け具に対して位置付けするためのフックの使用を図ることを回避し、外側タブに作用してバックルを外すことを図ることを回避する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7