特許第6709760号(P6709760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709760
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】車両のリッド装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20200608BHJP
【FI】
   B60K15/05 B
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-137838(P2017-137838)
(22)【出願日】2017年7月14日
(65)【公開番号】特開2019-18671(P2019-18671A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100088708
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】矢倉 誠司
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−47827(JP,A)
【文献】 特開2005−343367(JP,A)
【文献】 特開2010−280243(JP,A)
【文献】 特開2013−112228(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/005630(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05, 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口内部に給油口又は電気充電口を配置するハウジングと、前記ハウジングの開口を開閉するリッドと、前記リッドを前記ハウジングに開閉可能に連結支持するリンク部材と、前記リッドを閉位置から開途中である第1基準位置まで付勢力により移動可能、かつ第1基準位置より更に開方向にある第2基準位置から全開位置まで付勢力により移動可能にする付勢部材とを有した車両のリッド装置であって、
前記リンク部材は一端側が前記リッドの裏側に枢支され、他端側が前記ハウジング内に設けられるベース部材に枢支される第一のリンク部材及び第二のリンク部材からなると共に、前記付勢部材が前記リッドを閉位置から第1基準位置へ切り換えるためのポップアップ用当接部、及び第2基準位置を挟んで第1基準位置への付勢と全開位置への付勢を切り換えるためのデッドロック用当接部を有している、ことを特徴としている車両のリッド装置。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記第一のリンク部材と前記ベース部材の間に配置されており、前記ポップアップ用当接部は前記第一のリンク部材のリッド側に配される箇所であると共に、前記デッドロック用当接部は前記第一のリンク部材のベース部材側に配される箇所であることを特徴とする請求項1に記載の車両のリッド装置。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記第一のリンク部材と前記第二のリンク部材の間に配置されており、前記ポップアップ用当接部は前記第一のリンク部材の所定箇所であると共に、前記デッドロック用当接部は前記第一のリンク部材の所定箇所であることを特徴とする請求項1に記載の車両のリッド装置。
【請求項4】
前記ベース部材は、前記ポップアップ用当接部に対応した付勢部材用第一当接部、及び前記デッドロック用当接部に対応した付勢部材用第二当接部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両のリッド装置。
【請求項5】
前記付勢部材用第一当接部は前記ベース部材の前記第二のリンク部材側に配された面であると共に、前記付勢部材用第二当接部は前記ベース部材の前記第一のリング部材側に配された面であることを特徴とする請求項4に記載の車両のリッド装置。
【請求項6】
前記第二のリンク部材は前記ポップアップ用当接部に対応した付勢部材用第一当接部を有していると共に、前記ベース部材は前記デッドロック用当接部に対応した付勢部材用第二当接部を有していることを特徴とする請求項1又は3に記載の車両のリッド装置。
【請求項7】
前記付勢部材は捻りコイルばねであることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の車両のリッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のリッド装置に関し、特に車体に設けられた給油口又は電気充電口用の空間を開閉する場合に好適なリッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図18及び図19は特許文献1に開示された車両のリッド装置を示している。このリッド装置1は、給油口等を配置するハウジング(ソーサー)2と、開口2aを開閉するリッド(蓋部材)3と、リッド3に延設されてハウジング2に対しリッド3を連結支持するアーム3bと、リッド3を閉位置から開途中である第1基準位置まで付勢力によりポップアップしたり、また、更に開方向にある第2基準位置を挟んで閉じ方向である第1基準位置への付勢と全開位置への付勢を切り換える(以下、これをデッドロックという)ための付勢手段であるばね5とを有している。
【0003】
ハウジング2は、筒状部2b及び筒状部に連設された水平延長部2cを形成している。リッド3は、開口2aを開閉する蓋本体3a及びグースネックタイプのアーム3bからなる。アーム3bは、水平延長部2c内に配置されてピン4により回動可能に軸支される。符号3cはばね5(後述する弾性変形部5c)が当接する当接部である。ばね5は、図11(b)のごとく上下方向へ延び水平延在部2cに固定される本体側固定部5aと、該固定部5aの下端から水平方向に延びる本体側水平部5bと、該水平部5bのリッド側の端部から上方へ延びる弾性変形部5cと、弾性変形部5cの上端から水平方向へ延びるリッド側水平部5dと、その水平部5dのリッド側の端部から下方へ延びてアーム部3bに固定されてアーム部と共に移動するリッド側固定部5eとを有している。また、弾性変形部5cは、水平部5bの端部から斜め上方へ延びる斜め延在部5c1と、リッド側水平部5dの端部から下方へ延びる上下延在部5c2とからなる。符号5fは、本体側水平部5aの上端から水平方向に延びる折り返し部である。
【0004】
以上のばね5は、本体側固定部5aが水平延在部2cに固定され、リッド側固定部5eがアーム部3bに固定された状態に組み込まれ、リッド3に対し伸縮方向の付勢力を加えた状態となる。また、ばね5は、リッド3の回転位置によっては、伸縮方向の付勢力(この付勢力を『第2付勢力』という)の他、伸縮方向と略直角な方向の付勢力(この付勢力を『第1付勢力』という)をリッド3に加える場合がある。すなわち、この構造では、弾性変形部5cがリッド3の閉塞方向への押し込みにより弾性変形し、ばね5からリッド3を開放方向へ付勢するポップアップ用第1付勢力が作用する(第1付勢部)。また、リッド固定部5eがリッド3の回転中心(ピン4)と本体側固定部5aを結ぶ仮想線100よりも、閉塞側であると第2付勢力はリッド3を閉塞する方向へ作用し、開放側であると第2付勢力はリッド3を開放する方向へ作用する。つまり、ばね5は、第1基準位置を超えた第2基準位置までリッド3を閉塞方向へ付勢し、第2基準位置から全開位置までリッド3を開放方向へ付勢するデッドロック用として作用する。
【0005】
従って、リッド装置としては、リッドが閉位置で不図示のロック機構により係止されており、ロック機構のロック解除によりばねの第1付勢力により第1基準位置まで回動される。その後は、リッドが第2基準位置まで回動操作されると、第2基準位置からばねの第2付勢力により全開位置まで回動されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−98284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記リッド装置では、第2付勢力がばねの伸縮方向の弾性力により付与され、第1付勢力がその伸縮方向と略直角な方向の弾性力により付与されるようにして、単一のばねにより異なる2方向の付勢力を独立して発生させ、それによりスペース効率を良好にすると共に、各部品のレイアウトの自由度を向上できるとある。ところが、このような構造では、リッドが全開位置でハウジングから離間して意匠性を損ねたり、ハウジングが水平延在部の存在でコンパクト化し難い。また、リッド組付け操作では、アームが水平延在部の内奥側に挿入された状態でピン等で枢支したり、ばねが本体側固定部を水平延在部内の決められた箇所に係止しなければならず作業性が悪い。
【0008】
本発明の目的は、以上の課題を解決して、リッドをポップアップ用とデッドロック用の付勢力により移動する構造において、ハウジングのコンパクト化を可能にしたり意匠性に優れた車両のリッド装置を提供する。また、リッド組付け操作性も良好に行えるようにする。他の目的は以下の内容説明のなかで明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明は、各形態を参照して特定すると、開口内部に給油口又は電気充電口を配置するハウジング(1)と、前記ハウジングの開口を開閉するリッド(2)と、前記リッドを前記ハウジングに開閉可能に連結支持するリンク部材と、前記リッドを閉位置から開途中である第1基準位置まで付勢力により移動可能、かつ第1基準位置より更に開方向にある第2基準位置から全開位置まで付勢力により移動可能にする付勢部材(6又は9)とを有した車両のリッド装置であって、前記リンク部材は一端側が前記リッドの裏側に枢支され、他端側が前記ハウジング内に設けられるベース部材(3又は3A)に枢支される第一のリンク部材(4又は7)及び第二のリンク部材(5又は8)からなると共に、前記付勢部材(6又は9)が前記リッドを閉位置から第1基準位置へ切り換えるためのポップアップ用当接部(リッドの跳ね上げつまりポップアップの際に付勢部材が力点として接触する当接部という意味である、以下同じ。第1形態では第一のリンク部材の一方の脚部、第2形態では第一のリンク部材7)、及び第2基準位置を挟んで第1基準位置への付勢と全開位置への付勢を切り換えるためのデッドロック用当接部(付勢方向の切換つまりデッドロックの際に付勢部材が力点として接触する当接部という意味である、以下同じ。第1形態では第一のリンク部材の脚部(他方の脚部)、第2形態では第一のリンク部材7の段差部72a)を有していることを特徴としている
【0010】
以上の本発明は、請求項2〜5で特定したように具体化されることがより好ましい。
(ア)前記付勢部材(6)は、前記第一のリンク部材(4)と前記ベース部材(3)の間に配置されており、前記ポップアップ用当接部は前記第一のリンク部材のリッド側に配される箇所(一方の脚部外面41a)であると共に、前記デッドロック用当接部は前記第一のリンク部材のベース部材側に配される箇所(他方の脚部内面41b)である(請求項2)。これは第1形態に基づいた特定である。
(イ)前記付勢部材(9)は、前記第一のリンク部材(7)と前記第二のリンク部材(8)の間に配置されており、前記ポップアップ用当接部は前記第一のリンク部材(7)の所定箇所(張出部73)であると共に、前記デッドロック用当接部は前記第一のリンク部材(7)の所定箇所(段差部72a)である(請求項3)。これは第2形態に基づいた特定である。
【0011】
(ウ)前記ベース部材(3)は、前記ポップアップ用当接部に対応した付勢部材用第一当接部(窓35a)、及び前記デッドロック用当接部に対応した付勢部材用第二当接部(連結部33b)を有している構成である(請求項4)。これは第1形態に基づいた特定である。
(エ)前記付勢部材用第一当接部は前記ベース部材の前記第二のリンク部材側に配された面(窓35aの下側背面)であると共に、前記付勢部材用第二当接部は前記ベース部材の前記第一のリング部材側に配された面(連結部33bの正面側)である構成である(請求項5)。
【0012】
(オ)前記第二のリンク部材(8)は前記ポップアップ用当接部に対応した付勢部材用第一当接部(張出部86の正面側)を有していると共に、前記ベース部材(37)は前記デッドロック用当接部に対応した付勢部材用第二当接部(ガイド溝33c)を有している構成である(請求項6)。これは第2形態に基づく特定である。
(エ)前記付勢部材(6又は9)は捻りコイルばねである(請求項7)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、リッドを閉位置から第1基準位置に跳ね上げるポップアップ用の付勢力及び第2基準位置から全開位置への付勢と第1基準位置への付勢を切り換えるためのデッドロック用の付勢力を単一の付勢部材により得られることに加え、各形態例から明らかなごとく2つのリンク部材によりリッドの動きを制御してコンパクト化を図ったり、ハウジングに内設されるベース部材により付勢部材の組付け及びハウジングへの組付けを簡易化できる。
【0014】
請求項2の発明では、第1形態から分かるように、付勢部材が第一のリンク部材とベース部材の間に配置されていると共に、第一のリンク部材がポップアップ用当接部とデッドロック用当接部を反対側の面に有しているため、簡明であり良好な加工性及び組立性を維持可能となる。
【0015】
請求項3の発明では、第2形態に示されるごとく請求項2に比べ、付勢部材が2つのリンク部材の間に配置されているため第二のリンク部材も常にがたつきなく支持可能となり、加えてポップアップ用当接部が第一のリンク部材の所定箇所、デッドロック用当接部が第一のリンク部材の所定箇所であることから、設計自由度を拡大できる。
【0016】
請求項4の発明では、請求項2において、ベース部材がポップアップ用当接部に対応した付勢部材用第一当接部、及びデッドロック用当接部に対応した付勢部材用第二当接部を有しているため、例えばベース部材、2つのリンク部材、付勢部材の組立体とした状態から、リッドに連結し、最後にハウジングに組み入れ可能となる。
【0017】
請求項5の発明では、付勢部材用第一当接部がベース部材の第二のリンク部材側に配された面、付勢部材用第二当接部がベース部材の第一のリング部材側に配された面であるため、第1形態のごとく簡明なものとなる。
【0018】
請求項6の発明では、第二のリンク部材がポップアップ用当接部に対応した付勢部材用第一当接部を有し、ベース部材がデッドロック用当接部に対応した付勢部材用第二当接部を有しているため、第2形態のごとく簡明なものとなる。
【0019】
請求項7の発明では、付勢部材が捻りコイルばねであるため、各形態のごとく巻線部(コイル部)の両端を利用して必要な付勢力を容易に得ることができる。具体例としては、巻線部を利用して第一のリンク部材に支持した状態で、巻線部の一端側を利用してポップアップ用の付勢力を得るようにしたり、巻線部の他端側を利用して第2基準位置から第1基準位置への付勢及び第2基準位置から全開位置への付勢を得るようにする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1形態のリッド装置を車体側に装着した状態において、(a)はリッドを閉位置で示す模式図、(b)はリッドの第1基準位置で示す模式図である。
図2】上記リッドの全開位置で示す模式図である。
図3】上記リッド装置の部材構成を示す概略分解図である。
図4図3のA部を拡大した構成図である。
図5】(a)、(b)、(c)はベース部材及び第一のリンク部材を正面、背面、側面から見た状態で示す模式構成図である。
図6】(a)、(b)、(c)はベース部材及び第二のリンク部材を正面、背面、側面から見た状態で示す模式構成図である。
図7】上記リッド装置をリッドの閉位置で示す模式構成図である。
図8】上記リッド装置をリッドの第1基準位置で示す模式構成図である。
図9】上記リッド装置をリッドの第2基準位置で示す模式構成図である。
図10】上記リッド装置をリッドの全開位置で示す模式構成図である。
図11】第2形態のリッドを図4に対応して示した拡大構成図である。
図12】(a)、(b)、(c)は図11のベース部材及び第一のリンク部材を正面、背面、側面から見た状態で示す模式構成図である。
図13】(a)、(b)、(c)は図11のベース部材及び第二のリンク部材を正面、背面、側面から見た状態で示す模式構成図である。
図14】第2形態のリッド装置をリッドの閉位置で示す模式構成図である。
図15】第2形態のリッド装置をリッドの第1基準位置で示す模式構成図である。
図16】第2形態のリッド装置をリッドの第2基準位置で示す模式構成図である。
図17】第2形態のリッド装置をリッドの全開位置で示す模式構成図である。
図18】(a)と(b)は特許文献1の図1図2(a)を示した説明図である。
図19】特許文献1の図4を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。この説明では、第1形態のリッド装置の構造、その作動特徴、第2形態のリッド装置の構造、その作動特待の順で詳述する。
【0022】
(第1形態の構造)図1から図4において、このリッド装置は、給油口又は電気充填口用の空間12を区画している上開口した略容器状のハウジング1と、ハウジング1の上開口を開閉するリッド2と、ハウジング1の内周囲に装着されるベース部材3と、ベース部材3に対してリッド2を開閉可能に支持するリンク部材として第一及び第二のリンク部材4,5とを備え、リッド2がハウジング1に対しベース部材3と2つのリンク部材4,5を介して回動可能に支持されている。また、リッド2は、リッド本体20及び該リッド本体の意匠面に装着されるリッドアウタ27からなる。なお、材質は、ハウジング1、リッド本体20、リッドアウタ27、ベース部材3、第一のリンク部材4、第二のリンク5はそれぞれ樹脂製であるが、樹脂以外であってもよい。
【0023】
換言すると、リッド2は、ハウジング1の外周に装着されるロック手段Lのロック部材により図7で示した閉位置に係止される。この係止は、例えば、ロック手段Lが車室内のオープナーを介して係止解除操作されたり、ドアロックの解除操作と連動して係止解除される。すると、リッド2は、付勢部材6の付勢力により閉位置から図8のごとく少しだけ開く第1基準位置まで回動される。そして、リッド2を手などで開方向へ回動させると第2基準位置で付勢部材7の付勢方向が反転し、以後は図10のごとく付勢部材7の付勢力で同図の実線で示した全開方向へ回動される。細部は以下の通りである。
【0024】
ハウジング1は、図3及び図1に示されるごとく筒状部10の上周囲が略矩形のフランジ部に形成され、該フランジ部の内側に設けられてリッド2を受け止める段差11、該フランジ部の外周囲に突設された複数の弾性係止爪10a、筒状部10の底壁に設けられた円形の貫通孔13、内周囲に設けられてベース部材3を配置可能な凹部14及び凹部14と奥側の傾斜面14a、傾斜部14aの両側に設けられた張出部14b、張出部14bに設けられた取付孔14c、段差11にあって張出部14bの上側に対応した箇所に設けられた浅い窪み部11a、内周囲にあって凹部14と対向する箇所に位置している深い窪み部15などを備えている。
【0025】
このうち、各弾性係止爪10aは、リッド装置をボディB内側に固定された取付枠に対し装着する際、該取付枠の開口部を弾性縮径しつつ通過し、通過と同時に復元することにより抜け止めされて装着可能にする。貫通孔13は、燃料タンク側の連結管に接続したり電気充電機構などを配置可能にする。凹部14は、対向した内側面に縦リブ状の突条部17を有している。両突条部17は、後述するベース部材3の溝部32と係合することで、ベース部材3を凹部14に装着可能にする。窪み部11aは、リッド2が閉位置から開方向へ回動されるときにリッド2の基端側を逃がす。窪み部15は、リッド2の閉位置でリッド側係合片27を逃がすと共に、窪み部15の区画壁に設けられた不図示の貫通孔を有している。符号16aは嵌合穴、16b及び18はガイド片である。
【0026】
リッド2は、図3及び図4に示されるごとく各リンク部材3,4が連結されるリッド本体20と、リッド本体20の外面に装着されるリッドアウタ27とからなる。ここで、リッドアウタ27は、リッド2の意匠面を形成しており、下面に設けられた略コ形状のリブ28と、リブ28の両内側対向面に設けられた複数の被係合部28aと、コ形状の中心線上に設けられた複数の係止突起29とを有している。これに対し、リッド本体20は、平板21の後側に対の腕部22を隙間20aを保って突設している。平板21の上面は、リブ28の内側に配置される枠状のリブ23と、リブ23の両側に設けられて被係合部28aに係合される係合部23aと、リブ23内に設けられた多数の補強リブと共に、係止突起29と係合される凹部などを有している。
【0027】
また、平板21の下面には、前側に係合片24及びその片側に凸部21a(図7を参照)が突設されている。係合片24は、前後に貫通された係止孔24aと、一側面に突設された略円弧状のガイド部24bとを有している。リッド2は、ガイド部24bがハウジング側のガイド部16bに沿って案内されながら閉位置まで回動されると、上記ロック手段Lのロック部材が係合片の係止孔24aに挿入係合することで、閉位置に係止される。また、左右の腕部22には、各リンク部材4,5の対応部が回動自在に連結される。各腕部22の対向内面には、図4の示されるごとく穴25及び穴26が前後に間隔を保ってそれぞれ同軸線上に設けられている。このうち、穴25は、穴26より前側に位置して後述する第一のリンク部材4の対応する上側の軸44と嵌合する。穴26は、後述する第二のリンク部材5の対応する上側の軸54と嵌合する。
【0028】
ベース部材3は、凹部14に収まる略矩形板状からなり、図4図5に示されるごとく略コ形の中央部30と、中央部30のコ形両辺に相当する連結部33a,33b等を介して連結された側壁31,31とを備えている。一方の連結部33aの下側には前後に貫通された窓35aが設けられている。他方の連結部33bの下側には前後に開口した2つの小窓35bが設けられている。すなわち、窓35aは、図5(a)のごとく連結部33aの下側で前後に貫通された矩形の空洞として形成され、該空洞の底面30bが前後連通されている。これに比べ、窓35bは、連結部33bの下側で正面から背面近くまで欠肉された矩形の空洞(この空洞の底面30bは前後に連通されていない)として設けられると共に、背面側が面で閉じられており、その背面に形成されている。
【0029】
また、各側壁31は、外面に設けられて突条部17と係合する溝部32、背面上側に突出されて張出部14bに嵌る位置出用突出部34、背面下側に設けられた取付孔39を有している。各側壁31には、溝部32の上側に位置して左右同軸線上に貫通されたピン用挿入穴36と、内下側に位置して内面から溝部32まで左右同軸線上に貫通された軸用穴37とを有している。符号37aは後述する第二のリンク部材の軸55を穴37に嵌合する際のガイド溝である。
【0030】
第一のリンク部材4及び第二のリンク部材5はベース部材3に対し回動可能に支持される。すなわち、第一のリンク部材4は、図5に示されるごとく側面視で略く形となっていて、外面側が意匠面で内面側が付勢部材用配置部となっている。形状的には、上側の板部40と、板部40の下両側から斜め下向きに突出された脚部41,41とを有している。板部40には、上両側に同軸線上に突設された軸44,44と、下両側に同軸線上に貫通された穴45,45と、内両側に左右対向した状態に設けられた支持軸部46,46とが設けられている。各脚部41のうち、一方が上述した窓35aを形成している空洞、他方が小窓35bを形成している面の手前の空洞に配置される。符号47は、一方の脚部41の下端中間に設けられたガイド溝である。
【0031】
以上の第一のリンク部材4は、図4のごとくベース部材3に対し両側の穴45をベース部材の対応する挿入穴36に重ねた状態で、ピンPがベース部材側挿入穴36から穴45に回動自在に嵌合される。その際は、付勢部材6として捻りコイルばねが組み込まれる。この付勢部材6において、巻線部(コイル部)6aは、ベース部材の支持軸部46同士の間隔より若干長くなっている。
【0032】
一端6b側は、先端部分を略U形に折り曲げられており、巻線部6aに連結されている第1節b1、第1節b1からL形に折り曲げられた第2節b2、第2節b2からL形に折り曲げられた第3節b3からなる。これに対し、他端6cは、先端部分を卍形を構成している1つの片のような形状に折り曲げられており、巻線部6aに連結されている第1節c1、第1節b1からL形に折り曲げられた第2節c2、第2節c2から第1節c1と略平行に折り曲げられた第3節c3からなる。この例では、一端6bの第3節b3が概略巻線部6aの方向を向いているが、他端6cの第3節c3が概略巻線部6aから離れる方向を向いている。
【0033】
そして、以上の付勢部材6は、巻線部6aの両側を対応する支持軸部46に嵌合した状態で第一のリンク部材4内側に安定支持される。一端6bは、第1及び第2節b1,b2が小窓35b側の前側空洞より正面側に配置され、第3節b3が対応する脚部41の内面41b側よりガイド溝47を通って外面41a側に沿う方向へ引き出されている。他端6cは、第1節c1が対応する脚部41の内面41bに当接し、第2節c2が前側空洞より窓35aに配置され、第3節c3が窓35aの窓枠端面に沿って下向きに引き出されている。
【0034】
組立状態(リッド2が図8の第1基準位置)において、一端6bは先端(第3節b3)が小窓35bの空洞から対応する脚部41の外面41aに接している。リッド2が第1基準位置から第2基準位置に付勢力に抗して回動される過程において、他一端6cは第1節c1が対応する側の脚部41の内面41aに接しており、回動に伴って該脚部41に強く押されると共に、図9のごとく第2節c2及び第1節c3が窓35から大きく外へ突出された状態となる。この過程では、他端6cは第2節c2と巻線部6aとの間に付勢力を蓄積する。この付勢力は、リッド2が第1基準位置から第2基準位置まで回動操作されると、それ以降はリッド2を設計通りの全開位置(図10)まで自動で回動可能にする。
【0035】
これに対し、第二のリンク部材5は、図4及び図6に示されるごとく幅広の上部50と、幅細の下部51と、上部50の両側より突出した突出部52,52とからなる。各突出部52の外面には軸54が同軸線上に突設されている。下部51の両外側面には軸55が同軸線上に突設されている。
【0036】
以上の第二のリンク部材6は、リッド本体20に対し各突出部52がリッドの腕部22と腕部22の間に配置され、かつ、軸部54が対応する穴26に回動自在に嵌合される。また、下側の各軸55がベース部材の対応する穴37に回動自在に嵌合連結される。
【0037】
以上のようにして、各リンク部材5,6をベース部材3とリッド本体20の各脚部22に組付けた状態において、ベース部材3は、ハウジングの凹部14に対し両側の溝部32が突条部17に嵌るよう押入される。すると、ベース部材3は、背面側の突出部34が規制突起14bに当接した状態で位置出しされると共に、突条部17と溝部32の係合により凹部14に装着される。なお、ベース部材3は、必要に応じて、不図示のネジ等の止め具により締め付け固定される。この操作では、止め具がハウジング1の外側より取付孔14c及びベース部材の取付孔39に螺入される。
【0038】
(作動)以上のリッド装置の作動を図1及び図2図7図10を参照し明らかにする。
(1)このリッド装置では、リッド2が車体のボディBと略同一面となる図1(a)及び図7の閉位置と、図2及び図10の全開位置とに切り換えられる。ここで、まず、閉位置において、リッド2は、付勢部材6の巻線部6aと一端6bとの間に蓄えられた付勢力に抗して、上記ロック部材により係止される。
【0039】
すなわち、この構造では、図8の組立状態において、付勢部材の一端6bは先端(第3節b3)が小窓35bの空洞から対応する脚部41の外面41aに接している。そして、リッド2が図8の第1基準位置から閉位置に回動される過程では、第一のリンク部材4がリッド本体20に接近する方向、つまり逆時計回りに回動される。すると、一端6bは第1節b1及び第2節b2がベース部材側に接触していなく、かつ、第3節b3がポップアップ用当接部である一方脚部41の外面41aに当接しているため、その当接部が力点となって巻線部6aとの間に付勢力を蓄積する。リッド2は、蓄積された付勢力によりロック部材で係止された閉位置にがたつきなく安定保持される。なお、リッド2の閉位置及び第1基準位置において、他端6cは、連結部33aの下側にある前後に貫通された窓35aの下側背面に当接している(バネ固定点)。また、ロック部材は、リッド2の閉位置で係止孔24aに突出係合しリッド2を閉状態に係止し、ロック解除により没となりリッド2を開方向へ回動可能となる。
【0040】
(2)図1(b)及び図8は、ロック解除によりリッド2が付勢部材6に蓄積されていた付勢力により第1基準位置まで回動される。この第1基準位置は、リッド2が車体のボディの開口より少し浮き上がり、使用者が手の先端を一点鎖線で示すごとくボディBとの間に形成される隙間に入れてリッド2を開方向へ回動操作可能な状態である。この状態において、付勢部材6は、一端6bの第1節b1が連結部33bに当接(固定点)すると共に、他端6cが窓35aの下側背面に当接(バネ固定点)しているため、半開状態に保持される。
【0041】
(3)図9は、リッド2が図8の第1基準位置から更に開方向に設定されている第2基準位置まで回動操作された状態である。リッド2が第2基準位置まで回動される過程において、他端6cは、上述したごとく第1節c1が対応する脚部内面41bに当接した状態で脚部41の空洞内への移動で背面側へ押圧され、同図のごとく第2節c2及び第1節c3が窓35から大きく外へ突出される。この過程では、他端6cには、特に第2節c2と巻線部6aとの間に所定の付勢力を蓄積する。
【0042】
そして、この構造では、例えば、リッド2が第1基準位置から第2基準位置まで付勢力に抗して回動操作されると、それ以降は前記した第2節c2と巻線部6aとの間に蓄積された付勢力によりリッド2を第2基準位置から全開位置まで自動で回動可能にする。また、リッド2が全開位置から第2基準位置まで回動操作されると、付勢方向が反転して、以降はリッド2を第2基準位置から第1基準位置まで自動で回動可能にする。
【0043】
(4)また、この構造では、リッド2が第一,第二のリンク部材4,5を介して回動により開閉されるためリッドの動きをコンパクトにできる点、リッド2の全開位置において、第二のリンク部材5の上部50が第一のリンク部材4のく形内側に当接している点、第二のリンク部材5がリッド2と第一のリンク部材4に挟まれた状態となっているため見え難くなっている点、第一のリンク部材5が脚部22同士の間に平坦な意匠面を配置している点、等により見栄的に優れている。勿論、以上のリッド装置は、ハウジング1、リッド2(リッド本体20及びリッドアウタ27)、ベース部材3、第一のリンク部材4及び第二のリンク5は樹脂製であるため量産性に優れていると共に軽量化も図り易くなっている。
【0044】
(第2形態の構造)図11から図13において、このリッド装置は、第1形態と同様に空間12を区画している上開口した略容器状のハウジング1と、ハウジング1の上開口を開閉するリッド2と、ハウジング1の内周囲に装着されるベース部材3Aと、ベース部材3Aに対してリッド2を開閉可能に支持するリンク部材として第一及び第二のリンク部材7,8と、両リンク部材7,8の間に配置された付勢部材9とを備え、リッド2がハウジング1に対しベース部材3Aと2つのリンク部材7,8を介して回動可能に支持されている。そして、リッド2は、上記したロック手段Lのロック部材により図14で示した閉位置に係止される。この係止が係止解除されると、リッド2は、付勢部材6の付勢力により閉位置から図15のごとく少しだけ開く第1基準位置まで回動される。そして、リッド2を手などで開方向へ回動させると第2基準位置で付勢部材9の付勢方向が反転し、以後は図16及び図17のごとく付勢部材9の付勢力で同図の実線で示した全開方向へ回動される。細部は以下の通りである。なお、第2形態において、ハウジング1とリッド2は第1形態と実質的に同じため説明を省く。
【0045】
ベース部材3Aは、凹部14に収まる略矩形板状からなり、図11図12に示されるごとく略コ形の中央部30と、中央部30のコ形両辺の端部に連結部33a,33b等を介して一体化されている側壁31,31と、背面に位置して中央部30の下両側に設けられた凹所38とを備えている。中央部30の前壁と各側壁31の間は所定隙間を保っていると共に、各連結部33a,33bの下側は窓35を介して前後に貫通されている。各窓35は、連結部33a,33bの下側で前後に貫通された矩形の空洞となっている。符号30bは窓35の内側底面である。符号33cは連結部33bの正面側に設けらて、後述する付勢部材の巻線部9aと一端9b側との間の部分に当接可能なガイド溝である。
【0046】
また、各凹所38は中央部30の下両側に位置している。図12(b)に示されるごとく左側の凹所38は、窓35との間に横壁を介して区切られている。これに対し、右側の凹所38は、窓35との間が縦溝30cを介して連通されている。この縦溝30cは、後述する付勢部材の他端9cが中央部30の前壁と対応側壁31との間の隙間から右側の凹所38内に突出可能にする。また、右側の凹所38は、切欠部38aを通じて一段低くなった中央部30の前壁と若干の段差を持って連通されている。この切欠部38aは、後述する第二のリンク部材8の張出部73を凹所38内に配置可能にする。
【0047】
各側壁31は、外面に設けられてハウジングの突条部17と係合する溝部32、背面上側に突出されて張出部14bに当接する位置出用突出部34、背面下側に設けられた取付孔39を有している。また、各側壁31の上側には、左右同軸線上に貫通されたピン用挿入穴36が設けられている。窓35を区画している内側壁には、左右同軸線上に貫通された軸用穴37が設けられている。
【0048】
第一のリンク部材7及び第二のリンク部材8はベース部材3Aに対し回動可能に支持される。すなわち、第一のリンク部材7は、側面視で略く形となっていて、外面側が意匠面で内面側が付勢部材用配置部となっている。形状的には、上側の板部70と、板部70の下両側から斜め下向きに突出された脚部72,72とを有している。板部70には、上両側に同軸線上に突設された軸74,74と、両側に同軸線上に貫通された穴75,75と、内両側に左右対向した状態に設けられた支持軸部76,76とが設けられている。脚部72の一方側には、内下側端面に張出部73が設けられている。張出部73には、左右方向に貫通された遊嵌穴73aが設けられている。脚部72の他方側には、一段低く形成されて付勢部材の他端9cと巻線部9aとの間の部分を保持する段差部72aが設けられている。
【0049】
以上の第一のリンク部材7は、図12(b)のごとくベース部材3Aに対し両側の穴75をベース部材の対応する挿入穴36に重ねた状態で、ピンPがベース部材側挿入穴36から穴75に回動自在に嵌合される。その際は、付勢部材9として捻りコイルばねが組み込まれる。この付勢部材9において、巻線部(コイル部)9aは、ベース部材の支持軸部76同士の間隔より若干長くなっている。
【0050】
一端9b側は先端部分が略L形に折り曲げられている。他端9cは先端部分が斜め下向きに突出されている。そして、この付勢部材9は、巻線部9aの両側を対応する支持軸部76に嵌合した状態で第一のリンク部材7内側に安定支持される。一端9bは、途中部分が上記縦溝30cを通り、先端が張出部の遊嵌穴73aに挿入される。他端9cは、第一のリンク部材の背面上側から縦穴30cを通って対応する凹所38内に揺動自在に挿通される。
【0051】
これに対し、第二のリンク部材8は、図11及び図13に示されるごとく幅広の上部80と、幅細の下部81と、上部80の上両側より突出した突出部82,82と、下部81から斜め下側へ突出された折曲部83とからなる。各突出部82の外面には軸84が同軸線上に突設されている。下部81の両外側面には軸85が同軸線上に突設されている。折曲部83の一方側面には張出部86が直角に突設されている。
【0052】
以上の第二のリンク部材8は、リッド本体20に対し各突出部82がリッドの腕部22と腕部22の間に配置され、かつ、軸84がリッド本体20の対応する穴26に回動自在に嵌合される。また、下側の各軸85がベース部材の対応する穴37に回動自在に嵌合連結される。すると、張出部86は切欠部38aから凹所38に配置される。この状態では、図14図17のごとく付勢部材の他端9cが張出部86の外面に当接したり、張出部86から外れて第一のリンク部材側段差部72aに当接可能となっている。そして、この構造は、第二のリンク部材8が軸85と穴37の枢支部を支点として回動する過程で揺動し、他端9cと巻線部9aとの間に付勢力を蓄積したりその蓄積した付勢力を各リンク部材7,8の可動用つまりデッドロック用付勢力として利用可能となる。
【0053】
以上のようにして、各リンク部材7,8がベース部材3Aとリッド本体20の各脚部22とに組付けた状態において、ベース部材3Aは、ハウジングの凹部14に対し両側の溝部32が突条部17に嵌るよう押入される。すると、ベース部材3は、背面側の突出部34が規制突起14bに当接した状態で位置出しされると共に、突条部17と溝部32の係合により凹部14に装着される。なお、ベース部材3は、必要に応じて、不図示のネジ等の止め具により締め付け固定される。この操作では、止め具がハウジング1の外側より取付孔14c及びベース部材の取付孔39に螺入される。これらは第1形態と同じ。
【0054】
(作動)以上のリッド装置の作動を図14図17を参照し明らかにする。
(1)このリッド装置では、リッド2が車体のボディBと略同一面となる図14の閉位置と、図17の全開位置とに切り換えられる。まず、閉位置において、リッド2は、付勢部材9の巻線部9aと一端9bとの間に蓄えられた付勢力に抗して、上記ロック手段Lのロック部材により係止される。
【0055】
すなわち、この構造では、図15の組立状態において、付勢部材の一端9bは第一のリンク部材側張出部73の遊嵌穴73aに嵌合していると共に、ポップアップ用当接部である遊嵌穴73aの対応内端面に接している。そして、リッド2が図15の第1基準位置から図14の閉位置に回動される過程では、第一のリンク部材7がリッド本体20に接近する方向、つまり逆時計回りに回動される。すると、一端9bも遊嵌穴73aの対応内端面に押されて巻線部9aとの間に付勢力を蓄積する。リッド2は、蓄積された付勢力によりロック部材で係止された閉位置にがたつきなく安定保持される。なお、リッド2の閉位置及び第1基準位置において、他端9cは、第二のリンク部材の張出部86の外面に当接している(バネ固定点)。また、ロック部材は、リッド2の閉位置で係止孔24aに突出係合しリッド2を閉状態に係止し、ロック解除により没となりリッド2を開方向へ回動可能となる。
【0056】
(2)図15は、ロック解除によりリッド2が付勢部材9に蓄積されていた付勢力により第1基準位置まで回動された状態である。この第1基準位置は、リッド2が車体のボディBの開口より少し浮き上がり、使用者が手の先端を一点鎖線で示すごとくボディBとの間に形成される隙間に入れてリッド2を開方向へ回動操作可能な状態である。この状態において、付勢部材9のうち、巻線部9aと一端9bがベース部材のガイド溝33cに当たることで静止されると共に、一端9bが第一のリンク部材側遊嵌穴73aの対応内端面に当接(バネ固定点)し、他端9cが第二のリンク部材側張出部86の外面に当接(バネ固定点)しているため同図の半開状態に保持される。
【0057】
なお、この状態では、巻線部9aと一端9bの間の部分がベース部材3Aのガイド溝33c(バネ固定点つまり、デッドロック用当接部に対応したベース部材側ガイド溝33)に当接し、一端9bがその当接部を支点として弾性変位する。同時に、巻線部9aと他端9cの間の部分が第一のリンク部材側段差部72a(バネ固定点つまり、デッドロック用当接部)に当接し、他端9cがその当接部を支点として弾性変位する構成となっている。
【0058】
(3)図16は、リッド2が図15の第1基準位置から更に開方向に設定されている第2基準位置まで回動操作された状態である。リッド2が第2基準位置まで回動される過程において、巻線部9aと他端9cの間が第一のリンク部材の段差部72aに押圧される。この過程では他端9cと巻線部9aとの間に所定の付勢力を蓄積する。
【0059】
そして、この構造では、例えば、リッド2が第1基準位置から第2基準位置まで付勢力に抗して回動操作される。すると、図17に示されるごとく図16の第2基準位置を過ぎると、それ以降は前記他端9c側に蓄積された付勢力によりリッド2を全開位置まで自動で回動可能にすることになる。
【0060】
(4)なお、以上の構造では、リッド2が第一,第二のリンク部材7,8を介して回動により開閉されるためリッドの動きをコンパクトにできる点、リッド2の全開位置において、第二のリンク部材8の上部80が第一のリンク部材7のく形内側に接近している点、第二のリンク部材8がリッド2と第一のリンク部材7に挟まれた状態となっているため見え難くなっている点、第一のリンク部材7が脚部22同士の間に平坦な意匠面を配置している点、等により見栄的に優れている。これらは第1形態と同じ。
【0061】
以上のリッド装置は、請求項で特定される要件を除いて種々変更可能なものである。例えば、リッド2は、リッド本体20にアウタリッド27を一体に形成することも可能である。また、第一のリンク部材4又は7は、穴45又は75を有し、軸であるピンPを使用して、ピンPをベース部材3の挿入穴36から穴45又は75に装着するようにしたが、前記穴及びピンに代えて軸44のような軸を設けてベース部材側の挿入穴36から穴45又は75に対応して設けられる穴に直に嵌合するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1・・・・・ハウジング(10は筒状部)
2・・・・・リッド(20はリッド本体、27はリッドアウタ)
3・・・・・ベース部材(30は中央部、31は側壁、35aは窓)
3A・・・・ベース部材(30は中央部、31は側壁)
4・・・・・第一のリンク部材(40は板部)
5・・・・・第二のリンク部材(50は上部、51は下部)
6・・・・・付勢部材(捻りコイルばね:6aは巻線部)
6b・・・・一端(b1は第1節、b2は第2節、b3は第3節)
6c・・・・他端(c1は第1節、c2は第2節、c3は第3節)
7・・・・・第一のリンク部材(70は板部)
8・・・・・第二のリンク部材(80は上部、81は下部)
9・・・・・付勢部材(捻りコイルばね:9aは巻線部)
9b・・・・一端
9c・・・・他端
12・・・・給油口又は電気充電口用空間
14・・・・凹部(14aは突条部)
24・・・・穴
25・・・・穴
32・・・・溝部
33c・・・ガイド溝(付勢部材用第二当接部)
35a・・・窓(この下側背面:付勢部材用第一当接部)
36・・・・ピン用挿入穴
41・・・・脚部(ポップアップ及びデッドロック用の当接部)
41a・・・脚部外面(ポップアップ用当接部)
41b・・・脚部内面(デッドロック用当接部)
44・・・・軸
45・・・・ピン用穴
46・・・・支持軸部
54・・・・軸
55・・・・軸
72a・・・段差部(デッドロック用当接部)
73・・・・張出部(ポップアップ用当接部に対応し、73aは遊嵌穴)
74・・・・軸
75・・・・ピン用穴
76・・・・支持軸部
83・・・・折曲曲部(86は張出部)
84・・・・軸
85・・・・軸
L・・・・・ロック手段
S・・・・・ピン(軸に相当)
B・・・・・車体のボディ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19