特許第6709788号(P6709788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6709788凸状径方向逃げ面と円弧プロファイルを有するコーナとを備えるエンドミル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709788
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】凸状径方向逃げ面と円弧プロファイルを有するコーナとを備えるエンドミル
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/10 20060101AFI20200608BHJP
【FI】
   B23C5/10 Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-534022(P2017-534022)
(86)(22)【出願日】2015年8月9日
(65)【公表番号】特表2017-526548(P2017-526548A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】IL2015050810
(87)【国際公開番号】WO2016042542
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年6月12日
(31)【優先権主張番号】14/486,118
(32)【優先日】2014年9月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シュピーゲルマン,レオニード
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−275918(JP,A)
【文献】 特開2003−071625(JP,A)
【文献】 特開平06−218614(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0180104(US,A1)
【文献】 国際公開第2004/058438(WO,A1)
【文献】 特開2005−297107(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0060053(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0133926(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/076691(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0356081(US,A1)
【文献】 特表2015−533666(JP,A)
【文献】 特開2007−030074(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/123189(WO,A1)
【文献】 特開2013−018110(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1348508(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 1/00−9/00
B23P 5/00−17/06
B23P 23/00−25/00
B24B 3/00−3/60
B24B 21/00−39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方方向及び後方方向を規定する回転軸線を有するエンドミルであって、
前端部と、後端部と、前記前端部及び前記後端部の間に延びる周囲表面と、
前記前端部から後方に延びる刃部と、
前記刃部の後方に位置するシャンク部と、を備え、
前記刃部が、前記前端部から前記周囲表面へと延びる歯を備え、
前記歯が、
すくい面と、
凸状径方向逃げ面と、
前記すくい面と前記凸状径方向逃げ面との交差部分に形成された切れ刃と、
円弧プロファイルを含むコーナであって、前記円弧プロファイルが、円の中心点と、軸方向及び径方向接線と、軸方向及び径方向接点と、径方向接平面と、前記円の中心点から前記円弧プロファイルまでにおいて測定可能な半径の大きさMと、を有する想像上の円の一部分を規定する、コーナと、
前記すくい面と前記凸状径方向逃げ面との両方に接続され、前記径方向接平面の後方に延びるコーナ逃げ面と、を備え、
前記コーナ逃げ面が、径方向接平面の後方にコーナ逃げ末端部形状を有し、前記コーナ逃げ末端部形状が、前記径方向接平面からの距離が増加するにつれてテーパ状になる、エンドミル。
【請求項2】
前記コーナ逃げ面が、前記切れ刃において、前記凸状径方向逃げ面に接線方向に接続されている、請求項1に記載のエンドミル。
【請求項3】
前記切れ刃における、前記凸状径方向逃げ面への前記コーナ逃げ面の接線方向に接続される部分が、前記回転軸線に垂直に延びる前部末端径方向平面の後方にあり、前記前部末端径方向平面が、前記半径の大きさMの5%に等しい前部軸方向距離を超えて前記径方向接平面の前方にない、請求項2に記載のエンドミル。
【請求項4】
前記前部末端径方向平面が、前記半径の大きさMの3%に等しい前部軸方向距離を超えて前記径方向接平面の前方にない、請求項3に記載のエンドミル。
【請求項5】
前記コーナ逃げ面が、前記切れ刃と前記径方向接平面との交差部分においてのみ前記凸状径方向逃げ面に接線方向に接続されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンドミル。
【請求項6】
前記凸状径方向逃げ面が、前記切れ刃に直に隣接した凸部と、前記凸部によって前記切れ刃から隔てられた平坦部と、を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンドミル。
【請求項7】
前記コーナ逃げ面が、前記回転軸線に垂直に延びる後部末端径方向平面の前方で終端し、前記後部末端径方向平面が、前記半径の大きさMの5%に等しい後部軸方向距離を超えて前記径方向接平面の後方にない、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエンドミル。
【請求項8】
前記後部末端径方向平面が、前記半径の大きさMの3%に等しい後部軸方向距離を超えて前記径方向接平面の後方にない、請求項7に記載のエンドミル。
【請求項9】
前記刃部が刃部直径Dを有し、前記想像上の円上の前記径方向接点が、前記刃部直径Dの0.04%以下である径方向長さL(L≦0.04%D)だけ前記エンドミルから離間している、請求項1〜8のいずれか1項に記載のエンドミル。
【請求項10】
が前記刃部直径Dの0.02%以下である(L≦0.02%D)、請求項9に記載のエンドミル。
【請求項11】
前記歯が滑らかである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエンドミル。
【請求項12】
前記コーナ逃げ末端部形状が三角形である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のエンドミル。
【請求項13】
前記刃部が、前記歯に加え、1つ以上のさらなる歯を備え、前記1つ以上のさらなる歯のそれぞれが前記歯と同じ特徴を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載のエンドミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本願の対象は、凸状径方向逃げ面と円弧プロファイルを有するコーナとを有する、一体歯(すなわち、非インサート)型のエンドミルに関し、特に、仕上げ作業用のエンドミルに関する。
【背景技術】
【0002】
[002]本出願で参照される種類のエンドミルは、この数十年間、継続的な改良の対象となってきた。
【0003】
[003]工作物を高速で機械加工する場合及び/又は工作物が機械加工困難な材料で作製されている場合であっても、世界市場の競争が激しいことから、より高度の仕上げ及び長い工具寿命をもたらすエンドミルによる機械加工に対する需要は絶えず増加している。
【0004】
[004]従って、ミクロンにおいて測定可能な不連続部のサイズ低減をもたらす設計修正であったとしても、性能の大幅な向上とみなされる。
【0005】
[005]本願は、凸状径方向逃げ面と、凸状径方向逃げ面に接続されたコーナ半径表面(平坦又は凹状である)と、を有するエンドミルのコーナに関する。詳述すると、エンドミルは、その切れ刃に直に隣接して、平坦若しくは凹状径方向逃げ面又は凸状径方向逃げ面のいずれかを有し得る。明細書及び特許請求の範囲の目的のため、凸状径方向逃げ面は、切れ刃に直に隣接する少なくともその一部が凸状に湾曲している径方向逃げ面と定義される。切れ刃に直に隣接する凸部と、次いで、凸部によって切れ刃から隔てられた平坦部(すなわち、回転軸線に垂直な平面内において直線に従う部分)と、を含む径方向逃げ面もまた、凸状径方向逃げ面とみなされることは理解されよう。平坦又は凹状径方向逃げ面をコーナ半径表面(平坦又は凹状である)と表面不整合部(surface mismatch)なく位置合わせすることは、凸状径方向逃げ面をこうしたコーナ半径表面と位置合わせすることに比べてあまり問題がないと考えられる。従って、本願の対象は、凸状径方向逃げ面を有する種類のエンドミルのみに関する。
【0006】
[006]本願は、また、特に、円弧プロファイルを有するコーナを備えるエンドミルに関する。コーナの円弧プロファイルは、こうしたエンドミルが回転軸線の周りを回転している最中に、回転軸線に垂直な方向に見ると示される。明細書及び特許請求の範囲の目的のため、これは「プロファイル図」と呼ばれる。
【0007】
[007]円弧プロファイルは、想像上の円の一部を規定する。円は、円の中心点と、軸方向及び径方向接線と、軸方向及び径方向接点と、円の中心点から円弧プロファイルまでにおいて測定可能な半径の大きさと、を有する。軸方向接点は、円と軸方向接線との交差部分に位置する。軸方向接線は、円の中心点から前方に、エンドミルの回転軸線と平行な方向に延びる。径方向接点は、円と径方向接線との交差部分に位置する。径方向接線は、円の中心点から径方向外側に、回転軸線と垂直な方向に延びる。
【0008】
[008]本出願のエンドミルのさらなる特徴について述べるために、円からの平面も規定され得る。具体的には、径方向接平面が回転軸線に垂直に延び、円の中心点及び径方向接点の両方が両方とも径方向接平面内にある。径方向接線もまた径方向接平面内にある。同様に、以下に記載される他の径方向線は、回転軸線に垂直に延びる、対応する径方向面内にあると理解され得る。
【0009】
[009]円及び関連の線、平面、接点及び半径の大きさは想像上のものであるため、エンドミル上に見える特徴ではなくむしろ、その構造に由来し得るものであることは理解されよう。
【0010】
[0010]本発明の目的は、新たな、改良されたエンドミルを提供することである。
【発明の概要】
【0011】
[0011]本願の対象の第1の態様によれば、前方方向及び後方方向を規定する回転軸線を有するエンドミルであって、
前端部及び後端部と、前端部と後端部との間に延びる周囲表面と、
前端部から後方向に延びる刃部と、
刃部の後方に位置するシャンク部と、を備え、
刃部が、前端部から周囲表面へと延びる歯を備え、
歯が、
すくい面と、
凸状径方向逃げ面と、
すくい面と凸状径方向逃げ面との交差部分に形成された切れ刃と、
円弧プロファイルを含むコーナであって、円弧プロファイルが、円の中心点と、軸方向及び径方向接線と、軸方向及び径方向接点と、径方向接平面と、円の中心点から円弧プロファイルまでにおいて測定可能な半径の大きさMと、を有する円の一部分を規定する、コーナと、
すくい面と凸状径方向逃げ面との両方に接続され、径方向接平面の後方に延びるコーナ逃げ面と、を備える、エンドミルが提供される。
【0012】
[0012]本願の対象の別の態様によれば、すくい面と、凸状径方向逃げ面と、すくい面及び凸状径方向逃げ面の両方に接続されたコーナ逃げ面と、を備えるエンドミルが提供される。
【0013】
[0013]本願の対象のさらに別の態様によれば、すくい面と凸状径方向逃げ面との交差部分に形成された切れ刃と、切れ刃において凸状径方向逃げ面に接線方向に接続されたコーナ逃げ面と、を備えるエンドミルが提供される。
【0014】
[0014]本願の対象のさらに別の態様によれば、径方向接点を規定する円弧プロファイルを有するコーナと、すくい面及び凸状径方向逃げ面と、コーナ逃げ面と、を備え、径方向接点とエンドミルとが位置合わせされた、エンドミルが提供される。
【0015】
[0015]本願の対象のさらに別の態様によれば、すくい面と凸状径方向逃げ面との交差部分に形成された切れ刃と、径方向接平面の後方に延びるとともに、また、切れ刃において凸状径方向逃げ面に接線方向に接続されている、コーナ逃げ面と、を備えるエンドミルが提供される。
【0016】
[0016]本願の対象のさらに別の態様によれば、凸状径方向逃げ面と、径方向接平面の後方に延びるコーナ逃げ面と、を備えるエンドミルが提供される。
【0017】
[0017]本願の対象の別の態様によれば、前端部及び後端部と、すくい面と、凸状径方向逃げ面と、すくい面及び凸状径方向逃げ面の両方に接続されているとともに、前端部から半径の大きさを超える量だけ後方に延びるコーナ逃げ面と、を備えるエンドミルが提供される。
【0018】
[0018]本願による予想される利点エンドミルは、接続されたコーナ逃げ面と凸状径方向逃げ面とにおける不連続部及び/又は不整合部の大きさ低減を含むことは理解されよう。従って、工具寿命及び/又は工作物の表面仕上げを向上させることが理論的には可能である。このような利点は、また、追加の製造ステップ(例えば刃溝)を必要とすることなく達成可能であってもよい。
【0019】
[0019]上記は概要であり、上記態様のどれもが、以下に記載する特徴のいずれかをさらに含んでもよいことは理解されよう。具体的には、以下の特徴を、単独又は組み合わせのいずれかにおいて、上記態様のいずれかに適用可能であってもよい。
A.エンドミルが、前方方向及び後方方向を規定する回転軸線を有し得る。
B.エンドミルが、前端部及び後端部と、前端部と後端部との間に延びる周囲表面と、を備え得る。
C.エンドミルが、基本的な円筒状の形状を有し得る。
D.エンドミルが、前端部から後方に延びる刃部を備え得る。この刃部は、基本的な円筒状の形状を有し得る。
E.刃部が、刃部直径Dを有し得る。
F.シャンク部が、刃部の後方に位置し得る。
G.刃部が、歯又は複数の歯を含み得る。歯(単数)又は歯(複数)は、刃部と一体に形成されている。刃部の歯はすべて同じ特徴を有し得る。
H.刃部の歯は、エンドミルの前端部から周囲表面まで延び得る。
I.歯は、滑らか(すなわち鋸歯状ではない)であり得る。
J.歯が、すくい面と、凸状径方向逃げ面と、すくい面と凸状径方向逃げ面との交差部分に形成された切れ刃と、を含み得る。
K.凸状径方向逃げ面が、切れ刃に直に隣接する凸部と、凸部によって切れ刃から隔てられた平坦部と、を備え得る。
L.歯が、コーナを備え得る。
M.コーナが、円の中心点と、軸方向及び径方向接線と、軸方向及び径方向接点と、径方向接平面と、円の中心点から円弧プロファイルまでにおいて測定可能な半径の大きさMと、を有する円の一部分を規定する円弧プロファイルを備え得る。
N.歯が、コーナ逃げ面を備え得る。
O.コーナ逃げ面が、すくい面と凸状径方向逃げ面との両方に接続され得る。
P.コーナ逃げ面が、切れ刃において、凸状径方向逃げ面に接線方向に接続され得る。切れ刃における径方向逃げ面へのコーナ逃げ面の接線接続部は、径方向接平面にあり得る又は径方向接平面に隣接し得る。接線接続部は、回転軸線に垂直に延びる前部末端径方向平面の後方にある場合、径方向接平面に隣接しているとみなされる。前部末端径方向平面は、半径の大きさの5%に等しい、好ましくは半径の大きさの3%に等しい前部軸方向距離を超えて、径方向接平面の前方にないとされ得る。最も好ましくは、コーナ逃げ面は、切れ刃と径方向接平面との交差部分のみにおいて凸状径方向逃げ面に接線方向に接続されている。
Q.コーナ逃げ面が、径方向接平面の後方に延び得る。コーナ逃げ面は、回転軸線に垂直に延びる後部末端径方向平面の前方で終端し得る。後部末端径方向平面は、半径の大きさの5%に等しい、好ましくは半径の大きさの3%に等しい後部軸方向距離を超えて径方向接平面の後方にないとされ得る。
R.径方向接点とエンドミルは位置合わせされ得る。径方向接点とエンドミルとの間に規定された径方向長さLが刃部直径Dの0.04%以下(L≦0.04%D)である場合、径方向接点とエンドミルは位置合わせされたとみなされる。好ましくは、Lは刃部直径Dの0.02%以下(L≦0.02%D)である。径方向長さLがゼロに近付くにつれて、より接近した、好ましいアライメントであるとみなされることは理解されよう。
S.コーナ逃げ面が、径方向接平面の後方にコーナ逃げ末端部形状を有し得る。コーナ逃げ末端部形状は、径方向接平面からの距離が増加するにつれてテーパし得る。コーナ逃げ末端部形状は三角形であり得る。
【0020】
[0020]本願の対象をさらに理解するため、及び本願の対象が実際にどのように実施され得るかを示すために、ここで、添付の図面について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】右上隅にコーナのプロファイル図を含む、本願の対象によるエンドミルの概略側面図である。
図1B図1Aのエンドミルの概略正面端部図である。
図2A】先行技術のエンドミルの刃部の一部分の概略側面図である(プロファイル図に対してわずかに切削方向に回転させている)。
図2B図2AにIIBで示される丸で囲まれた部分の概略拡大図である。
図3A図2A、特に、図1A及び図IBのエンドミルの刃部の一部分の概略側面図に類似する図である(図1Aのプロファイル図に対してわずかに切削方向に回転させている)。
図3B図3AにIIIBで示される丸で囲まれた部分の概略拡大図である。
図4A】先行技術のエンドミルの刃部の一部分の側面図を示す(右上隅にコーナのプロファイル図を含む)。
図4B図4AにIVBで示される丸で囲まれた部分の概略拡大図である。
図5A】先行技術のエンドミルの刃部のコーナの概略プロファイル図である。
図5B図5AにVBで示される丸で囲まれた部分の概略拡大図である。
図6A図1A図1B図3A及び図3Bのエンドミルの刃部のコーナの概略プロファイル図である。
図6B図6AにVIBで示される丸で囲まれた部分の概略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0021]典型的には超硬合金などの超硬かつ耐摩耗材料で作製され、特に、機械加工作業の仕上げ用に構成されたエンドミル10を示す図1A及び図1Bについて述べる。
【0023】
[0022]エンドミル10は、回転軸線12の周りを回転するように構成されており、回転軸線12は、エンドミル10の中心を長手方向に延び得るとともに、エンドミルの中心点Cp1に一致し得る。この例では、エンドミルの回転方向Dは、図1Bに示される正面端部図において反時計回りである。回転軸線12は、前方方向Dと、反対の後方方向Dとを規定し得る(これら方向は回転軸線12に平行であるが、回転軸線12と同軸である必要はないことに留意されたい)。
【0024】
[0023]エンドミル10は、前端部14と、前端部14から遠位に位置する後端部16と、前端部14と後端部16との間に延びる周囲表面18と、を備え得る。
【0025】
[0024]エンドミル10は、刃部20と、刃部20の後方に位置するシャンク部22と、を備え得る。
【0026】
[0025]刃部20は、刃部直径Dを含み得るとともに、前端部14から後方に延び得る。
【0027】
[0026]刃部20は、少なくとも1つの歯24(例えば、第1、第2及び第3の歯24A、24B、24C)を含み得る。
【0028】
[0027]各歯24は、工作物の仕上げを向上させるために滑らか(すなわち非鋸歯状)であり得る。
【0029】
[0028]刃部20は、隣接する歯24の間に周方向に位置する溝26を含み得る(例えば、溝26Aは、第1の歯24Aと第2の歯24Bとの間に周方向に位置し得る)。刃部20は、複数の溝26(例えば、第1、第2及び第3の溝26A、26B、26C)を含み得る。各溝26は、回転軸線12とともに成すねじれ角H(例えば、一定又は可変)を有し得る。
【0030】
[0029]また、図3Bを参照すると、各歯24は、すくい面28と、凸状径方向逃げ面30と、すくい面28と凸状径方向逃げ面30との交差部分に形成された切れ刃32と、すくい面28と凸状径方向逃げ面30とに接続されたコーナ逃げ面34と、を備え得る。
【0031】
[0030]凸状径方向逃げ面30は、切れ刃32に直に隣接した凸部30aと、凸部30aによって切れ刃32から隔てられた平坦部30bと、を備え得る。
【0032】
[0031]これに限定されるものではないが、本願の対象は、凸状径方向逃げ面がこのような凸部30a及び平坦部30bの構造を有することから特に有利であると考えられる。
【0033】
[0032]各歯24は、前端部14から周囲表面18まで延び得る。
【0034】
[0033]前端部14と周囲表面18との交差部分において、各歯24はコーナ36を備え得る。
【0035】
[0034]図1Aに示されるプロファイル図において、回転軸線12の周りにおけるエンドミル10の回転中、コーナ36は、想像上の円Iの一部を規定する円弧プロファイル38を呈する。
【0036】
[0035]図6Aに注目すると、円Iは、円の中心点CP2と、軸方向及び径方向接線LAT、LRTと、軸方向及び径方向接点PAT、PRTと、円の中心点CP2から円弧プロファイル38までにおいて測定可能な半径の大きさMと、を有し得る。
【0037】
[0036]軸方向接点PATは、円Iと、軸方向接線LATとの交差部分に位置する。軸方向接線LATは、円の中心点CP2から前方にかつエンドミル10の回転軸線12と平行な方向に延びる。径方向接点PRTは、円Iと、径方向接線LRTとの交差部分に位置する。径方向接線LRTは、円の中心点CP2から、回転軸線12に垂直な径方向外側方向に延びる。回転軸線12に垂直な径方向接平面SRTが規定され、径方向接線LRTを含む。換言すると、径方向接平面SRTは、回転軸線12に垂直に延び、円の中心点CP2及び径方向接点PRTの両方を含む平面と定義され得る。径方向接平面SRTは、軸方向接点PATから半径の大きさMだけ離間している。
【0038】
[0037]概して、円の中心点(又はより正確には、円の中心点と軸方向接点との間の軸方向距離、この距離は、また、半径の大きさに等しい)の位置が決定された後(例えば、エンドミルの回転中及び図6Aに示される図などのプロファイル図の観察中に)、径方向接平面(エンドミルの回転軸線に垂直であり、円の中心点がその上にある平面)の位置が設定され得る。径方向接平面の位置が決定された後、エンドミルを回転軸線の周りで回転させることができ、径方向接平面の位置に対するコーナ逃げ面の範囲などの他の特徴が決定され得る。
【0039】
[0038]図2A及び図2Bに注目すると、比較目的のため、アポストロフィ(‘)も付加した同じ参照符号を有する、対応する特徴を備える先行技術のエンドミル刃部20’が示されている。
【0040】
[0039]特に、先行技術のコーナ逃げ面34’の最後部コーナ逃げ点34a’は径方向接平面SRT’の前方に位置している。対照的に、図3A及び図3Bのコーナ逃げ面34は径方向接平面SRTの後方に延びる。
【0041】
[0040]径方向接平面SRTの後方のコーナ逃げ面34は、コーナ逃げ面34の最後部コーナ逃げ点34aに近接して、コーナ逃げ末端部形状40を有し得る。示されるように、末端部形状40はテーパ状とされ得る。コーナ逃げ末端部形状40は三角形であると考えられ得る。
【0042】
[0041]最後部コーナ逃げ点34aは、後部末端径方向平面SREの前方に位置する。径方向接平面SRTと後部末端径方向平面SREとの間に規定される後部軸方向距離LRAは、半径の大きさMの5%以下に等しくなり得る(図6A)。
【0043】
[0042]図4A及び図4Bに注目すると、比較目的のため、2つのアポストロフィ(‘‘)も付加した同じ参照符号を有する、対応する特徴を備える先行技術のエンドミル刃部20’’が示され、これら図のすべての他の参照符号には、また、2つのアポストロフィ(‘‘)が付加されている。
【0044】
[0043]円弧プロファイル38’’は、特に、44’’として示される不連続部において終了し、円I’’に従う。従って、円I’’上に位置する径方向接点PRT’’とエンドミル10’’との間に径方向の間隙46’’がある。径方向の間隙46’’は、径方向接点PRT’’からエンドミル10’’まで回転軸線12に垂直な方向に測定可能な径方向長さL’’を有し得る。
【0045】
[0044]対照的に、図6Aを参照すると、円弧プロファイル38は円Iに従い、径方向長さL(図示せず)は刃部直径D図1A)の0.04%以下である。示される例では、径方向長さLは小さすぎて見えないことから図示しない。
【0046】
[0045]図5A及び図5Bに注目すると、比較目的のため、3つのアポストロフィ(’’’)も付加した同じ参考符号を有する、対応する特徴を備える先行技術のエンドミル刃部が示される。
【0047】
[0046]図5Bには、コーナ逃げ面34’’’が、切れ刃32’’’において、湾曲した径方向逃げ面30’’’に接続される接続点33’’’が示されている。特に、コーナ逃げ面34’’’は、径方向接点PRT’’’の大幅に前方の切れ刃32’’’において、径方向逃げ面30’’’に非接線方向に接続されている。従って、径方向逃げ面30’’’の経路と円I’’’の経路とは接続点33’’’の後方で発散する。
【0048】
[0047]対照的に、図6Bは、コーナ逃げ面34が、切れ刃32において、径方向逃げ面30に接続される接続点33を示す。接続点33は、径方向接平面SRTの前方とされ得るものの、なお、前部末端径方向平面SFE(径方向接平面SRTに平行な平面)の後方とすべきである。前部末端径方向平面SFEは、半径の大きさM(図6A)の5%に等しい前部軸方向距離LFAを超えて径方向接平面SRTの前方にない。最も好ましくは、示されるように、接線接続部は径方向接点PRTにある。付加的に、コーナ逃げ面34は、切れ刃32において、径方向逃げ面30に接線方向に接続されている。
【0049】
[0048]示されるように、径方向逃げ面30の経路と円Iの経路とは、径方向接平面SRTの後方で一直線になっている。
【0050】
[0049]上記は、例示的実施形態及び詳細を含み、例示されない実施形態及び詳細を本願のクレームの範囲から排除するものではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B