特許第6709809号(P6709809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6709809端子付き電線の製造方法及び端子付き電線
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709809
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】端子付き電線の製造方法及び端子付き電線
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/00 20060101AFI20200608BHJP
   H01R 4/70 20060101ALI20200608BHJP
   H01R 4/18 20060101ALI20200608BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20200608BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20200608BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   H01R43/00 B
   H01R4/70 K
   H01R4/18 A
   H01R43/048 Z
   H01B13/00 521
   H01B7/00 306
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-9949(P2018-9949)
(22)【出願日】2018年1月24日
(65)【公開番号】特開2019-129068(P2019-129068A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2019年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大沼 雅則
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−181367(JP,A)
【文献】 特開2011−238500(JP,A)
【文献】 特開2014−130703(JP,A)
【文献】 特開2017−212089(JP,A)
【文献】 特開2011−192530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/00
H01B 7/00
H01B 13/00
H01R 4/18
H01R 4/70
H01R 43/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の芯線に圧着される芯線圧着部と、前記電線の被覆部分に対して隙間をあけて囲む被覆固定部と、前記芯線圧着部と前記被覆固定部とを繋ぐ繋ぎ部とを有する端子金具が接続された端子付き電線の製造方法であって、
前記芯線の先端部が突出した前記芯線圧着部の端部の芯線突出領域に第一樹脂を塗布する第一樹脂塗布処理と、
前記第一樹脂塗布処理で塗布した前記第一樹脂を硬化させる第一樹脂硬化処理と、
少なくとも前記繋ぎ部で前記芯線が通された繋ぎ領域に第二樹脂を塗布する第二樹脂塗布処理と、
前記繋ぎ領域に塗布した前記第二樹脂が、少なくとも前記芯線の周囲及び前記芯線を構成する各素線間に浸透するまでの浸透時間を経過させる樹脂浸透処理と、
前記第二樹脂塗布処理で塗布した前記第二樹脂を硬化させる第二樹脂硬化処理と、
を含
前記樹脂浸透処理において、前記被覆固定部における前記電線の前記被覆との隙間に前記第二樹脂を浸透させて、前記被覆固定部と前記被覆とを前記第二樹脂によって全周且つ長手方向にわたって固着させる
ことを特徴とする端子付き電線の製造方法。
【請求項2】
前記第二樹脂塗布処理において、前記繋ぎ領域とともに前記芯線突出領域に前記第二樹脂を塗布する
ことを特徴とする請求項1に記載の端子付き電線の製造方法。
【請求項3】
芯線を被覆で覆った電線と、前記芯線を露出させた前記電線の端部に接続された端子金具と、を備える端子付き電線であって、
前記端子金具は、
前記芯線に加締められて前記芯線に圧着された芯線圧着部と、
前記被覆部分に対して隙間をあけて囲む被覆固定部と、
前記芯線圧着部と前記被覆固定部との間に設けられ、前記被覆固定部側から前記芯線圧着部側へ延びる前記芯線が通された繋ぎ部と、
を有し、
少なくとも前記芯線の先端部が突出した前記芯線圧着部の端部の芯線突出領域及び前記繋ぎ部で前記芯線が通された繋ぎ領域が樹脂で覆われ、
前記芯線突出領域に塗布された樹脂が、前記端子金具の底面側の下層部と、前記下層部に積層された上層部と、から構成され
前記繋ぎ部は、前記芯線の全周を覆うように充填された樹脂によって封止され、
前記被覆固定部は、前記繋ぎ部に充填されて前記被覆との隙間に導かれた前記樹脂によって、全周且つ長手方向に亘って前記被覆と固着されている
ことを特徴とする端子付き電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端部に端子金具が接続された端子付き電線の製造方法及び端子付き電線に関する。
【背景技術】
【0002】
電線の芯線に加締められる芯線圧着部と芯線を覆う被覆部分に加締められる被覆圧着部とを有する端子金具が端部に接続された端子付き電線の製造方法として、電線と端子金具との接続部を樹脂で封止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この製造方法では、電線と端子金具との接続部を覆うように樹脂を塗布し、塗布した樹脂の粘度を熱によって低下させることで端子と芯線との間及び芯線を構成する素線間に樹脂を浸透させ、その後、樹脂を全体的に硬化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−225171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の製造方法では、接続部に塗布した樹脂の粘度を熱によって下げて端子と芯線間及び芯線の素線間へ浸透させる加熱工程に時間を要する。このため、この加熱工程の間に、芯線圧着部から突出する芯線の先端側に塗布されている樹脂が流れ出してしまう。すると、この流れ出した樹脂が、接続相手との接点や締結部などを有する電気接続部に付着し、接続信頼性の低下を招くおそれがある。また、樹脂の流れ出しによって芯線の先端部を覆う樹脂厚が薄くなり、止水性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接続相手との良好な接続信頼性が確保され、しかも、電線と端子金具との接続部における良好な止水性が確保された端子付き電線の製造方法及び端子付き電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る端子付き電線の製造方法は、下記(1)〜()を特徴としている。
(1) 電線の芯線に圧着される芯線圧着部と、前記電線の被覆部分に対して隙間をあけて囲む被覆固定部と、前記芯線圧着部と前記被覆固定部とを繋ぐ繋ぎ部とを有する端子金具が接続された端子付き電線の製造方法であって、
前記芯線の先端部が突出した前記芯線圧着部の端部の芯線突出領域に第一樹脂を塗布する第一樹脂塗布処理と、
前記第一樹脂塗布処理で塗布した前記第一樹脂を硬化させる第一樹脂硬化処理と、
少なくとも前記繋ぎ部で前記芯線が通された繋ぎ領域に第二樹脂を塗布する第二樹脂塗布処理と、
前記繋ぎ領域に塗布した前記第二樹脂が、少なくとも前記芯線の周囲及び前記芯線を構成する各素線間に浸透するまでの浸透時間を経過させる樹脂浸透処理と、
前記第二樹脂塗布処理で塗布した前記第二樹脂を硬化させる第二樹脂硬化処理と、
を含
前記樹脂浸透処理において、前記被覆固定部における前記電線の前記被覆との隙間に前記第二樹脂を浸透させて、前記被覆固定部と前記被覆とを前記第二樹脂によって全周且つ長手方向にわたって固着される
ことを特徴とする端子付き電線の製造方法。
(2) 前記第二樹脂塗布処理において、前記繋ぎ領域とともに前記芯線突出領域に前記第二樹脂を塗布する
ことを特徴とする(1)に記載の端子付き電線の製造方法
【0007】
上記(1)の構成の端子付き電線によれば、芯線突出領域では、第一樹脂を第一樹脂塗布処理で塗布して第一樹脂硬化処理で迅速に硬化させるので、芯線突出領域に塗布した第一樹脂の流れ出しを抑制できる。これにより、第一樹脂が端子金具における接続相手との接点や締結部に付着することによる接続信頼性の低下を抑制でき、また、芯線圧着部から突出した芯線の先端部における良好な止水性を確保できる。
また、繋ぎ領域では、第二樹脂塗布処理で第二樹脂を塗布して樹脂浸透処理で浸透時間を経過させた後に第二樹脂硬化処理で硬化させるので、繋ぎ部を通る芯線の周囲及び芯線を構成する素線間に樹脂を確実に浸透させて良好な止水性を確保することができる。
つまり、接続相手との良好な接続信頼性が確保され、しかも、電線と端子金具との接続部における良好な止水性が確保された端子付き電線を製造することができる。
更に、上記(1)の構成の端子付き電線によれば、被覆固定部における電線の被覆との隙間に第二樹脂を浸透させることで、被覆固定部と電線の被覆とを第二樹脂によって強固に固着させることができ、電線に作用する外力による影響を抑制できる。
上記(2)の構成の端子付き電線によれば、芯線突出領域に対して第一樹脂を塗布して硬化させた後に第二樹脂を塗布して硬化させるので、芯線突出領域を第一樹脂からなる下層部と第二樹脂からなる上層部の二層で封止することができる。これにより、ばらけやすい芯線の先端部を確実に封止することができ、しかも、第一樹脂からなる下層部に気泡があっても第二樹脂からなる上層部で覆うことができる
【0008】
また、上述した目的を達成するために、本発明に係る端子付き電線は、下記()を特徴としている。
) 芯線を被覆で覆った電線と、前記芯線を露出させた前記電線の端部に接続された端子金具と、を備える端子付き電線であって、
前記端子金具は、
前記芯線に加締められて前記芯線に圧着された芯線圧着部と、
前記被覆部分に対して隙間をあけて囲む被覆固定部と、
前記芯線圧着部と前記被覆固定部との間に設けられ、前記被覆固定部側から前記芯線圧着部側へ延びる前記芯線が通された繋ぎ部と、
を有し、
少なくとも前記芯線の先端部が突出した前記芯線圧着部の端部の芯線突出領域及び前記繋ぎ部で前記芯線が通された繋ぎ領域が樹脂で覆われ、
前記芯線突出領域に塗布された樹脂が、前記端子金具の底面側の下層部と、前記下層部に積層された上層部と、から構成され
前記繋ぎ部は、前記芯線の全周を覆うように充填された樹脂によって封止され、
前記被覆固定部は、前記繋ぎ部に充填されて前記被覆との隙間に導かれた前記樹脂によって、全周且つ長手方向に亘って前記被覆と固着されている
ことを特徴とする端子付き電線。
【0009】
上記()の構成の端子付き電線によれば、芯線圧着部から芯線の先端部が突出した芯線突出領域及び芯線が通された繋ぎ領域が樹脂によって封止されているので、止水性に優れた端子付き電線とすることができる。また、芯線突出領域は、端子金具の底面側の下層部と、下層部に積層された上層部とからなる二層の樹脂によって封止されているので、ばらけやすい芯線の先端部のさらに良好な止水性を確保できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接続相手との良好な接続信頼性が確保され、しかも、電線と端子金具との接続部における良好な止水性が確保された端子付き電線の製造方法及び端子付き電線を提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る端子付き電線を示す図であって、図1(a)は端子付き電線の斜視図、図1(b)は樹脂のない端子付き電線の斜視図である。
図2図2は、端子付き電線の長手方向に沿う断面図である。
図3図3は、端子付き電線における端子金具の電線接続部を示す図であって、図3(a)は平面図、図3(b)は長手方向に沿う断面図である。
図4図4は、端子付き電線の芯線突出領域における断面図である。
図5図5は、端子付き電線の繋ぎ領域における断面図である。
図6図6は、端子付き電線の被覆固定領域における断面図である。
図7図7は、樹脂部形成工程における処理を説明するフローチャートである。
図8図8は、樹脂部形成工程における各処理を説明する図であって、図8(a)〜図8(d)は、それぞれ端子付き電線の長手方向に沿う概略断面図である。
図9図9は、端子金具に対する電線の位置決めを説明する電線を断面視した端子金具の後端から視た図である。
図10図10は、参考例に係る端子付き電線の一部の長手方向に沿う概略断面図である。
図11図11は、被覆固定部の変形例を説明する図であって、図11(a)及び図11(b)は、それぞれ端子付き電線の被覆固定領域における断面図である。
図12図12は、端子金具の変形例を説明する端子付き電線の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る端子付き電線を示す図であって、図1(a)は端子付き電線の斜視図、図1(b)は樹脂のない端子付き電線の斜視図である。図2は、端子付き電線の長手方向に沿う断面図である。
【0014】
図1(a)(b)及び図2に示すように、本実施形態に係る端子付き電線10は、電線11と、端子金具20とを備えている。電線11には、その端部に端子金具20が電気的に接続されている。端子付き電線10は、例えば、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスを構成する。
【0015】
電線11は、芯線12と、この芯線12を覆う樹脂からなる被覆13とを有した絶縁電線である。芯線12は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるもので、複数の素線12aを撚り合わせて構成されている。このように、電線11の芯線12をアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成することで、端子付き電線10が軽量化され、この端子付き電線10から構成されるワイヤハーネスの軽量化が図られる。軽量化された端子付き電線10は、特に電気自動車やハイブリット自動車などのワイヤハーネスが多用される車両に用いて好適である。
【0016】
端子金具20は、前部に電気接続部31を有し、後部に電線接続部41を有している。電気接続部31と電線接続部41とは、連結部35によって互いに繋がっている。
【0017】
端子金具20は、導電性金属材料からなる金属板に対してプレス加工(打ち抜き加工及び曲げ加工)を施すことで形成されたものである。端子金具20は、例えば、銅または銅合金等からなる金属板を母材として形成されている。
【0018】
電気接続部31は、先端部が開口された筒状に形成されており、この電気接続部31には、開口部分に接続相手の端子金具のタブが挿し込まれて電気的に接続される。
【0019】
図3は、端子付き電線における端子金具の電線接続部を示す図であって、図3(a)は平面図、図3(b)は長手方向に沿う断面図である。
図3(a)(b)に示すように、電線接続部41には、芯線12を露出させた電線11の端部が電気的に接続される。電線接続部41は、電気接続部31側から順に、芯線圧着部45と、繋ぎ部46と、被覆固定部47とを有している。
【0020】
芯線圧着部45は、一対の芯線加締め片45aを有し、被覆固定部47は、一対の被覆固定片47aを有している。繋ぎ部46は、芯線圧着部45と被覆固定部47とを繋ぐ部分であり、繋ぎ部46には、その両側部に、芯線圧着部45の芯線加締め片45a及び被覆固定部47の被覆固定片47aと連続する立上げ部46aを有している。芯線圧着部45、繋ぎ部46及び被覆固定部47は、互いに底面板部48によって連結されている。
【0021】
芯線圧着部45では、芯線加締め片45aが両側から加締められている。これにより、電線11は、その芯線12に、芯線圧着部45が圧着されて電気的に接続されている。芯線12は、芯線圧着部45よりも電気接続部31側へ先端部が僅かに突出した状態で芯線圧着部45に圧着固定される。芯線圧着部45は、電気接続部31側の端部及び繋ぎ部46側の端部に、それぞれ次第に広がるベルマウス部45bが形成されており、芯線12への芯線加締め片45aの食い込みが抑制されている。
【0022】
繋ぎ部46では、電線11の被覆13から芯線圧着部45へ延びる芯線12が通されている。また、繋ぎ部46には、被覆13の端部が被覆固定部47から僅かに突出されている。この繋ぎ部46では、芯線12と底面板部48との間に隙間G1が形成されている(図3(b)参照)。また、繋ぎ部46では、平面視で芯線12と立上げ部46aとの間にG2が形成されている(図3(a)参照)。
【0023】
被覆固定部47では、被覆固定片47aが電線11の端部における被覆13部分を包み込むように曲げられ、それぞれの端部が互いに重なり合うように加締められている。被覆固定部47では、電線11の被覆13に対して隙間G3をあけた状態で被覆固定片47aが加締められている。
【0024】
図2に示すように、電線接続部41では、樹脂Rによって芯線12が封止されて止水されている。樹脂Rは、紫外線硬化型樹脂からなるもので、電線接続部41における長手方向にわたって塗布されている。具体的には、樹脂Rは、電線接続部41における芯線圧着部45よりも電気接続部31側の芯線突出領域A、芯線圧着部45によって芯線12が圧着された芯線圧着領域B、繋ぎ部46で芯線12が通された繋ぎ領域C、被覆13部分の周囲に被覆固定片47aが隙間G3をあけて加締められた被覆固定領域D及び被覆固定部47の後端側の被覆領域Eに設けられている。
【0025】
図4は、端子付き電線の芯線突出領域における断面図である。
図4に示すように、芯線突出領域Aでは、樹脂Rによって、芯線圧着部45から突出された芯線12の先端部が覆われている。この芯線突出領域Aでは、芯線12を覆う樹脂Rが、第一樹脂R1からなる下層部Ru及び第二樹脂R2からなる上層部Roから構成されている。
【0026】
芯線圧着領域Bでは、樹脂Rによって、芯線12を圧着する芯線圧着部45の上部における芯線加締め片45aの突き合わせ部分が覆われている。
【0027】
図5は、端子付き電線の繋ぎ領域における断面図である。
図5に示すように、繋ぎ領域Cでは、樹脂Rによって、繋ぎ部46が埋められて芯線12が封止されている。そして、この繋ぎ領域Cでは、底面板部48と芯線12との隙間G1、芯線12と立上げ部46aとの隙間G2、芯線12の上方側及び芯線12を構成する各素線12a間に樹脂Rが充填されている。これにより、繋ぎ領域Cでは、芯線12が樹脂Rによって覆われている。
【0028】
図6は、端子付き電線の被覆固定領域における断面図である。
図6に示すように、被覆固定領域Dでは、樹脂Rによって、被覆13の外周と被覆固定部47の被覆固定片47aの内周との隙間G3が埋められている。これにより、被覆固定領域Dでは、電線11の被覆13と被覆固定部47とが樹脂Rによって全周及び長手方向にわたって固着されている。被覆固定部47では、繋ぎ部46に充填された樹脂Rが、外周側に付着することなく被覆13との隙間G3に浸透され、その樹脂Rによって隙間G3が埋められている。
【0029】
被覆固定領域Dでは、被覆固定部47の外径をDa、電線11の外径をDb、端子金具20の板厚をTとしたときに、次式(1)が成り立つ寸法とされている。
【0030】
Da>Db+2T…(1)
【0031】
被覆領域Eでは、樹脂Rによって、被覆固定部47の後端が全周にわたって覆われている。
【0032】
上記の端子付き電線10は、その端子金具20がコネクタを構成するハウジングのキャビティに挿し込まれて収容される。そして、コネクタ同士を接合させることで、接続相手の端子金具のタブが電気接続部31の開口部分に挿し込まれて電気的に接続される。
【0033】
次に、上記の端子付き電線10の製造方法について説明する。
【0034】
(1)端子接続工程
電線11の端部における被覆13を除去して芯線12を露出させる端末処理を行う。
次に、この端末処理を行った電線11の端部を端子金具20の電線接続部41に配置させ、芯線圧着部45の芯線加締め片45a及び被覆固定部47の被覆固定片47aを加締める。これにより、芯線圧着部45に電線11の芯線12を圧着して接続する。また、被覆固定部47では、電線11の被覆13部分に対して隙間G3が形成されるように、被覆固定片47aを包み込むように加締める。
【0035】
(2)封止工程
電線11の端部に接続した端子金具20の電線接続部41に対して、芯線突出領域A、芯線圧着領域B、繋ぎ領域C、被覆固定領域D及び被覆領域Eに樹脂Rを塗布して芯線12を封止する。この封止工程では、同一の紫外線硬化型樹脂からなる第一樹脂R1及び第二樹脂R2を塗布する。
【0036】
次に、封止工程を、図7に示すフローチャートに沿って具体的に説明する。
図7は、樹脂部形成工程における処理を説明するフローチャートである。図8は、樹脂部形成工程における各処理を説明する図であって、図8(a)〜図8(d)は、それぞれ端子付き電線の長手方向に沿う概略断面図である。図9は、端子金具に対する電線の位置決めを説明する電線を断面視した端子金具の後端から視た図である。
【0037】
(第一樹脂塗布処理)
電線11の端部に接続された端子金具20を、樹脂を塗布する塗布装置にセットしたら(ステップS1)、図8(a)に示すように、芯線突出領域Aに、紫外線硬化型樹脂からなる第一樹脂R1を塗布する(ステップS2)。この第一樹脂R1の塗布は、ノズルによって第一樹脂R1を芯線突出領域Aの上方から滴下することで行う。芯線突出領域Aに第一樹脂R1を滴下することで、芯線突出領域Aでは、滴下された第一樹脂R1によって芯線圧着部45から突出された芯線12の先端部が覆われる。
【0038】
(第一樹脂硬化処理)
図8(b)に示すように、第一樹脂塗布処理で塗布した第一樹脂R1に、紫外線照射器102によって紫外線を照射して硬化させる(ステップS3)。これにより、芯線突出領域Aにおいて、芯線12の先端を覆う第一樹脂R1が迅速に硬化され、樹脂Rの下層部Ruが形成される。
【0039】
(第二樹脂塗布処理)
図8(c)に示すように、芯線突出領域A、芯線圧着領域B、繋ぎ領域C、被覆固定領域D及び被覆領域Eに、紫外線硬化型樹脂からなる第二樹脂R2を塗布する(ステップS4)。
【0040】
この第二樹脂R2の塗布は、ノズルから第二樹脂R2を芯線突出領域A及び繋ぎ領域Cの上方から滴下することで行う。なお、第二樹脂R2は、繋ぎ領域Cで先に滴下し、その後芯線突出領域Aで滴下する。芯線突出領域Aで滴下する第二樹脂R2は、第一樹脂塗布処理で滴下した第一樹脂R1よりも少量とする。
【0041】
図9に示すように、第二樹脂塗布処理の際、端子金具20の近傍において、上方へ広がるV字状の電線支持溝103を有する治具104によって電線11を支持する。これにより、電線11の中心を、電線11を巻き込むように加締められた被覆固定部47の中心に位置決めする。
【0042】
(樹脂浸透処理)
第二樹脂塗布処理で繋ぎ領域Cに滴下した第二樹脂R2を浸透させるために、予め設定した浸透時間を経過させる(ステップS5)。この樹脂浸透処理における浸透時間は、第二樹脂R2の粘性や芯線12を構成する素線12aの本数等に応じて設定される。
【0043】
繋ぎ領域Cに滴下した第二樹脂R2は、浸透時間の経過により、芯線12の素線12a間に浸透し、さらに、芯線12と立上げ部46aとの隙間G2及び底面板部48と芯線12との隙間G1に流れ込む。これにより、繋ぎ領域Cでは、芯線12が第二樹脂R2によって覆われる。
【0044】
また、繋ぎ領域Cに滴下した第二樹脂R2は、浸透時間の経過により、被覆13の外周と被覆固定部47の内周との隙間G3に入り込み、毛細管現象によって後端側へ浸透する。これにより、被覆固定領域Dでは、電線11の被覆13と被覆固定部47との隙間G3に第二樹脂R2が隙間なく充填される。そして、この被覆固定領域Dの隙間G3に充填された第二樹脂R2は、その一部が被覆固定部47の後端から染み出す。これにより、被覆領域Eでは、被覆固定部47の後端側に、第二樹脂R2が全周にわたって塗布された状態となる。そして、この被覆領域Eに、全周にわたって染み出す第二樹脂R2を目視で確認することで、被覆固定領域Dにおける電線11の被覆13と被覆固定部47との隙間G3に第二樹脂R2が隙間なく充填されていることを容易に確認することができる。
【0045】
また、繋ぎ領域Cに滴下した第二樹脂R2は、その一部が芯線圧着部45の上部における芯線加締め片45aの突き合わせ部分に沿って芯線突出領域Aへ向かって毛細管現象によって導かれる。これにより、芯線圧着領域Bにおける芯線加締め片45aの突き合わせ部分が第二樹脂R2で覆われる。なお、芯線加締め片45aの突き合わせ部分に沿って芯線突出領域Aへ向かって導かれる第二樹脂R2は、芯線突出領域Aで硬化されている第一樹脂R1からなる下層部Ruによって堰き止められる。
【0046】
(第二樹脂硬化処理)
図8(d)に示すように、第二樹脂塗布処理で塗布した後に、樹脂浸透処理で各部へ浸透させた第二樹脂R2に、複数の紫外線照射器102によって紫外線を満遍なく照射して硬化させる(ステップS6)。
【0047】
これにより、芯線突出領域Aでは、下層部Ruの上部に滴下された第二樹脂R2が硬化して上層部Roが形成される。そして、この上層部Roが形成されることで、芯線突出領域Aでは、芯線12が下層部Ruと上層部Roとで確実に覆われる。ここで、芯線突出領域Aでは、芯線12を構成する各素線12aがばらけた状態となっているため、下層部Ruを形成する第一樹脂R1を滴下した際に、芯線12の素線12aの間に気泡BLが形成されて止水性が低下するおそれがある。しかし、下層部Ruの上部に上層部Roが形成されることで、下層部Ruが気泡BLごと上層部Roによって覆われることとなり、芯線突出領域Aにおける確実な止水性が確保される。
【0048】
繋ぎ領域Cでは、底面板部48と芯線12との隙間G1、芯線12と立上げ部46aとの隙間G2、芯線12の上方側及び芯線12を構成する各素線12a間に充填された第二樹脂R2が硬化し、芯線12が硬化した第二樹脂R2によって覆われる。
【0049】
また、被覆固定領域Dでは、被覆13の外周と被覆固定部47の内周との隙間G3に充填された第二樹脂R2が硬化し、電線11の被覆13と被覆固定部47とが硬化した第二樹脂R2によって全周及び長手方向にわたって強固に固着される。
【0050】
さらに、被覆領域Eでは、被覆固定部47の後端に全周にわたって染み出た第二樹脂R2が硬化し、被覆固定部47の後端と被覆13とが全周にわたって覆われる。
【0051】
上記の各処理を行うことで、電線11の端部に接続した端子金具20の電線接続部41が樹脂R(第一樹脂R1,第二樹脂R2)で覆われた端子付き電線1が得られる。
【0052】
ここで、図10に示す端子付き電線1は、芯線突出領域A及び繋ぎ領域Cに同時に樹脂Rを滴下して付着させ、さらに、繋ぎ領域Cで芯線12の周囲や素線12a間に樹脂Rを浸透させた後に樹脂Rを硬化させたものである。
【0053】
この端子付き電線1では、繋ぎ領域Cで樹脂Rを浸透させている浸透時間の経過時に、芯線突出領域Aに滴下した樹脂Rが流れ出てしまう。すると、この流れ出した樹脂Rが、電気接続部31の接点に付着し、接続信頼性の低下を招くおそれがある。また、樹脂Rの流れ出しによって芯線12の先端部における樹脂厚が薄くなり、止水性が低下するおそれがある。また、芯線突出領域Aでの樹脂Rの流れ出しを防ぐために、樹脂Rを塗布した後すぐに硬化させると、繋ぎ領域Cでの芯線12の周囲や素線12aの間への樹脂Rの浸透が不十分となり、止水性が低下してしまう。
【0054】
これに対して、本実施形態に係る端子付き電線10の製造方法によれば、芯線突出領域Aでは、第一樹脂R1を第一樹脂塗布処理で塗布して第一樹脂硬化処理で迅速に硬化させるので、芯線突出領域Aに塗布した第一樹脂R1の流れ出しを抑制できる。これにより、第一樹脂R1が端子金具20における接続相手との接点や締結部に付着することによる接続信頼性の低下を抑制でき、また、芯線圧着部45から突出した芯線12の先端部における良好な止水性を確保できる。
【0055】
また、繋ぎ領域Cでは、第二樹脂塗布処理で第二樹脂R2を塗布して樹脂浸透処理で浸透時間を経過させた後に第二樹脂硬化処理で硬化させるので、繋ぎ部Cに通された芯線12の周囲及び芯線12を構成する素線12a間に樹脂Rを確実に浸透させて良好な止水性を確保することができる。
【0056】
つまり、接続相手との良好な接続信頼性が確保され、しかも、電線11と端子金具20との電線接続部41における良好な止水性が確保された端子付き電線10を製造することができる。
【0057】
また、芯線突出領域Aに対して第一樹脂R1を塗布して硬化させた後に第二樹脂R2を塗布して硬化させるので、芯線突出領域Aを第一樹脂R1からなる下層部Ruと第二樹脂R2からなる上層部Roの二層で封止することができる。これにより、ばらけやすい芯線12の先端部を確実に封止することができ、しかも、第一樹脂R1からなる下層部Ruに気泡BLがあっても第二樹脂R2からなる上層部Roで覆うことができる。
【0058】
しかも、被覆固定部47における電線11の被覆13との隙間G3に第二樹脂R2を浸透させることで、被覆固定部47と電線11の被覆13とを第二樹脂R2によって強固に固着させることができ、電線11に作用する外力による影響を抑制できる。
【0059】
そして、本実施形態に係る端子付き電線10によれば、芯線圧着部45から芯線12の先端部が突出した芯線突出領域A及び芯線12が通された繋ぎ領域Cが樹脂R(第一樹脂R1,第二樹脂R2)によって封止されているので、止水性に優れた端子付き電線10とすることができる。また、芯線突出領域Aは、端子金具20の底面側の下層部Ruと、下層部Ruに積層された上層部Roとからなる二層の樹脂によって封止されているので、ばらけやすい芯線12の先端部のさらに良好な止水性を確保できる。
【0060】
なお、上記実施形態では、被覆固定部47として、被覆固定片47aの一部が重なり合って電線11を包み込む構造を例示したが、電線11の被覆13部分との間に隙間G3が形成されれば、被覆固定部47の形状は上記実施形態のものに限らない。また、被覆固定部47は、電線11の被覆13に対して一部が接触していてもよい。さらに、被覆固定部47の被覆固定片47aの端部同士は、互いに接触せずに隙間をあけた状態であってもよい。
【0061】
ここで、被覆固定部47としては、例えば、図11(a)に示すように、被覆固定片47aの端部同士が突き当てられて電線11を囲む形状に形成してもよく、また、図11(b)に示すように、被覆固定片47aの端部が電線11側へ巻き込まれて電線11を囲む形状に形成してもよい。
【0062】
また、端子金具20としては、コネクタのハウジングに形成されたキャビティに挿し込まれて用いられるものに限らず、接続相手と直接接続されるものでもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、接続相手の端子金具のタブが挿し込まれる箱型の電気接続部31を有する端子金具20を備える場合を例示したが、端子金具20の電気接続部31は、上記実施形態のものに限定されない。例えば、図12に示すように、接続相手に締結するためのボルト孔20aを有する締結部を備えたものでもよい。
【0064】
なお、樹脂R(第一樹脂R1,第二樹脂R2)としては、紫外線硬化型樹脂に限らず、熱硬化型樹脂を用いてもよい。この場合、第一樹脂硬化処理及び第二樹脂硬化処理では、塗布した樹脂R(第一樹脂R1,第二樹脂R2)を加熱して硬化させることとなる。
【0065】
また、電線11としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線12を有するものに限らず、銅または銅合金からなる芯線12を有するものでもよい。なお、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線12を有する電線11では、銅または銅合金からなる端子金具20との異種金属によるガルバニック腐食を樹脂Rによって効果的に抑制できる
【0066】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0067】
ここで、上述した本発明に係る端子付き電線の製造方法及び端子付き電線の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 電線(11)の芯線(12)に圧着される芯線圧着部(45)と、前記電線(11)の被覆(13)部分に固定される被覆固定部(47)と、前記芯線圧着部(45)と前記被覆固定部(47)とを繋ぐ繋ぎ部(46)とを有する端子金具(20)が接続された端子付き電線(10)の製造方法であって、
前記芯線(12)の先端部が突出した前記芯線圧着部(45)の端部の芯線突出領域(A)に第一樹脂(R1)を塗布する第一樹脂塗布処理と、
前記第一樹脂塗布処理で塗布した前記第一樹脂(R1)を硬化させる第一樹脂硬化処理と、
少なくとも前記繋ぎ部(46)で前記芯線(12)が通された繋ぎ領域(C)に第二樹脂(R2)を塗布する第二樹脂塗布処理と、
前記繋ぎ領域(C)に塗布した前記第二樹脂(R2)が、少なくとも前記芯線(12)の周囲及び前記芯線(12)を構成する各素線(12a)間に浸透するまでの浸透時間を経過させる樹脂浸透処理と、
前記第二樹脂塗布処理で塗布した前記第二樹脂(R2)を硬化させる第二樹脂硬化処理と、
を含む
ことを特徴とする端子付き電線の製造方法。
[2] 前記第二樹脂塗布処理において、前記繋ぎ領域(C)とともに前記芯線突出領域(A)に前記第二樹脂(R2)を塗布する
ことを特徴とする[1]に記載の端子付き電線の製造方法。
[3] 前記樹脂浸透処理において、前記被覆固定部(47)における前記電線(11)の前記被覆(13)との隙間(G3)に前記第二樹脂(R2)を浸透させる
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の端子付き電線の製造方法。
[4] 芯線(12)を被覆(13)で覆った電線(11)と、前記芯線(12)を露出させた前記電線(11)の端部に接続された端子金具(20)と、を備える端子付き電線(10)であって、
前記端子金具(20)は、
前記芯線(12)に加締められて前記芯線(12)に圧着された芯線圧着部(45)と、
前記被覆(13)部分に固定された被覆固定部(47)と、
前記芯線圧着部(45)と前記被覆固定部(47)との間に設けられ、前記被覆固定部(47)側から前記芯線圧着部(45)側へ延びる前記芯線(12)が通された繋ぎ部(46)と、
を有し、
少なくとも前記芯線(12)の先端部が突出した前記芯線圧着部(45)の端部の芯線突出領域(A)及び前記繋ぎ部(46)で前記芯線(12)が通された繋ぎ領域(C)が樹脂Rで覆われ、
前記芯線突出領域(A)に塗布された樹脂(R)が、前記端子金具(20)の底面側の下層部(Ru)と、前記下層部(Ru)に積層された上層部(Ro)と、から構成されている
ことを特徴とする端子付き電線。
【符号の説明】
【0068】
10:端子付き電線
11:電線
12:芯線
13:被覆
20:端子金具
45:芯線圧着部
46:繋ぎ部
47:被覆固定部
A:芯線突出領域
C:繋ぎ領域
G3:隙間
R:樹脂
R1:第一樹脂
R2:第二樹脂
Ru:下層部
Ro:上層部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12