特許第6709811号(P6709811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709811
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】誘導電力伝送システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20200608BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20200608BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20200608BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   H02J50/60
   H02J50/90
   H02J50/10
   H02J7/00 301D
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-25910(P2018-25910)
(22)【出願日】2018年2月16日
(62)【分割の表示】特願2014-546664(P2014-546664)の分割
【原出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2018-110521(P2018-110521A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2018年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】504448092
【氏名又は名称】オークランド ユニサービシズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AUCKLAND UNISERVICES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091502
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 正威
(72)【発明者】
【氏名】コビック,グラント,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ボーイズ,ジョン,タルボット
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−193671(JP,A)
【文献】 特開2012−175793(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/041058(WO,A1)
【文献】 特開2010−239690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPTシステムの一次磁気構造の電気的特性およびIPTシステムの二次磁気構造の電気的特性を測定して、他方に対する一方の磁気構造の位置を検出するよう適合された位置検出手段を備え、前記位置検出手段が、短絡回路電流の位相および量によって、前記一次および二次磁気構造の横方向オフセットを測定する、IPTシステムの前記一次磁気構造および前記二次磁気構造間の相対位置を検出する装置。
【請求項2】
前記位置検出手段が、前記二次磁気構造で誘発された電圧よって、前記横方向オフセットを測定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記位置検出手段が、前記一次および二次磁気構造における電流量を比較することによって、前記一次および二次磁気構造間の距離を測定する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
IPTシステムの一次磁気構造およびIPTシステムの二次磁気構造間の相対位置により、VAR電流を判定する工程と、
前記一次磁気構造内の実際のVAR電流を測定して、前記一次磁気構造上または近傍に異物があるかどうかを判定する工程とを含む、異物の存在を検出するためにIPTシステムを操作する方法。
【請求項5】
前記IPTシステムの前記一次磁気構造および前記二次磁気構造の相対位置を測定する工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
相対位置を測定する前記工程が、前記一次磁気構造の電気的特性および前記二次磁気構造の電気的特性を測定して、他方に対する一方の磁気構造の位置を検出する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
相対位置を測定する前記工程が、短絡回路電流の位相および量によって、前記一次および二次磁気構造の横方向オフセットを測定する工程を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
相対位置を測定する前記工程が、前記二次磁気構造で誘発された電圧によって、横方向オフセットを測定する工程を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項9】
前記一次および二次磁気構造における電流量を比較することによって、前記一次磁気構造および前記二次磁気構造間の距離を測定する工程をさらに含む、請求項5乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記一次磁気構造および前記二次磁気構造の1つまたは両方についての情報を制御手段に伝達する工程を含む、請求項4乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
IPTシステムの一次磁気構造およびIPTシステムの二次磁気構造間の相対位置により、VAR電流を判定し、かつ、前記一次磁気構造での実際のVAR電流を測定して、前記一次磁気構造の上または近傍に異物があるかを判定するよう適合された制御手段を備える、IPTシステムのための異物検出装置。
【請求項12】
前記制御手段が、前記一次および二次磁気構造の前記相対位置を検出する位置検出手段を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記位置検出手段が、前記一次磁気構造の電気的特性および前記二次磁気構造の電気的特性を測定し、他方に対する一方の磁気構造の位置を検出する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記位置検出手段が、短絡回路電流の位相および量によって、前記一次および二次磁気構造の横方向オフセットを測定する、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記位置検出手段が、前記二次磁気構造で誘発された電圧によって、横方向オフセットを測定する、請求項12または13に記載の装置。
【請求項16】
前記位置検出手段が、前記一次および二次磁気構造における電流量を比較することによって、前記一次および二次磁気構造間の距離を測定する、請求項12乃至14のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記一次磁気構造および前記二次磁気構造の1つまたは両方についての情報を前記制御手段に伝達する手段を含む、請求項11乃至16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
IPTシステムのための異物検出装置を備えた請求項2に記載の装置であって、前記異物検出装置は、IPTシステムの一次磁気構造上または近傍にある異物が、所定の最大温度を超えた温度を有しているかを判定する赤外線検出手段を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導電力伝送(IPT)システムでの異物の検出のシステムおよび方法、およびIPTシステムでの磁力伝送構造の配置または相対位置の検出に関する。本発明はまた、例えば、電気自動車を高速で充電するための高出力IPTシステムからの火災の危険の緩和など、IPTシステムの安全性の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
純粋な電気自動車(つまり、ハイブリッド自動車とは反対に、電気のみで動く自動車)の開発において、電気自動車が広く受け入れられるために、解決しなければならない多くの問題がある。主な問題の1つが、車両のバッテリの充電に関連する不便性および安全性に対する懸念である。
【0003】
誘導電力伝送(IPT)は、従来の充電に対して、有用な代替手段を提供する。IPTシステムは米国特許US5293308に記述されている。
【0004】
その他の利点としては、IPTを用いることで、利用者が手動でバッテリにケーブルを接続しなくてもよい点が挙げられる。好ましい実施形態において、充電を行うため、道路または駐車場内に埋め込まれた(もしくは、これらの上に配置された)IPT充電パッド上に車両を停めるだけで十分な場合がある。
【0005】
磁束を車両の下のパッドに結合するため、路面に設置された送信側パッドを用いる電気自動車の誘電充電の開発において、関連する問題は、地面に設置されたパッド上に存在するであろう種々雑多な物体の加熱である。IPTシステムの本来の利便性の欠点の1つは、使用者が、車両をパッド上に停め、充電を開始する前に、IPTパッドに異物(効率を下げるか、もしくはIPTシステムの操作に危険をもたらす物体で、例えば金属性の物体)や、ごみがないかを確認する見込みがないことである。
【0006】
この問題に対する1つの解決法は、高機能な電子異物検出(FOD)システムを提供することであるが、このようなシステムは、厳しい条件下で動作し、かつ、極めて感度が高い必要がある。加えて、路面側のパッドと車両側のパッドが、異なる組織によって、異なる技術と異なる回路構造を用いて製造される場合があり、これによってさらに複雑さが増すことになる。
【0007】
一部の例では、例えば、薄箔からたばこやチューイング・ガム・パッケージなどの非常に小さい物体でさえも、充電中にIPTパッド上にあると、安全上の問題を引き起こすことがある。小さい金属化紙片は、充電状況によっては引火することもある。紙片自体の燃焼は、深刻なものではないが、例えば、車両の下に枯れ葉など、すぐ近くにその他の可燃性物質があると、その可燃性物質も引火するおそれがあり、すぐさま深刻な状況に発展する可能性がある。
【0008】
大きな物体(例えば、アルミ缶)自体は引火しないが、非常に高い熱をもつことがあり、車両が充電パッドから離れる際に、高熱を帯びた物体を子供が拾い、それによって怪我をするおそれがある。非常に大きい物体ならば、充電自体を停止させることがある。
【0009】
本明細書全体で、「IPT」とは、「誘導電力伝送」を意味する。「IPTパッド」は、IPTシステムの一部として、エネルギー伝送のために磁場を作り出す、または磁場からエネルギーを取り出すのに使用するための1つのコイルまたは複数のコイルを意味する。磁気構造は、パッドまたは、IPTシステムでの磁場の使用を通じて、エネルギーを伝送するのに用いられる、導体素子(例えば、IPTシステムのトラックまたはコイル)のその他の配列を含む。「一次」という用語は、磁場を作り出すためのエネルギーが与えられる磁気構造を指し、「二次」という用語は、その中で、一次または送信側構造からの磁場によって電流が誘導される磁気構造を指す。従って、「一次パッド」および「送信側パッド」は、磁場を作り出すためのエネルギーが与えられるパッド構造を指し、「二次パッド」は、その中で、一次構造からの磁場によって電流が誘導されるパッド構造を指す。
【0010】
本明細書において、出願番号または公開番号によって参照される先行特許明細書はすべて、その全体が参照によって、本明細書に援用される。しかし、本明細書における先行技術の参照は、先行技術がいかなる国でも周知の一般知識の一部を形成することを承認またはいかなる形でも提案するものではなく、かつそういうものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、現在のIPTシステムに関する現在の問題を克服または改善する、または少なくとも、有用な選択肢を提供する、IPTシステム、またはIPTシステムと共に使用する装置または方法を提供することである。
【0012】
さらに、または別の目的は、現在のIPTシステムに関する現在の問題を克服または改善する、または少なくとも、有用な選択肢を提供する、IPT一次パッドによって作り出される磁場における異物の存在、もしくは、IPT一次パッド上またはIPT一次パッドの近傍にある異物の存在を検出する方法または装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらに、または別の目的は、IPTシステムの一次磁気構造および二次磁気構造間の相対位置または配列を検出する方法または装置を提供することである。
【0014】
本発明のさらに、または別の目的は、現在のIPTシステムまたは方法に関する現在の問題を克服または改善する、または少なくとも、有用な選択肢を提供する、IPTパッドからの火災の危険性を軽減するシステムおよび方法を提供することである。
【0015】
本発明のその他の目的は、例示によってのみ示される以下の説明から明らかとなりうるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
1つの態様によれば、IPTシステムのための異物検出装置が提供され、該装置は、該システムのIPT一次パッド上または近傍での異物の存在を検出するよう適合された制御手段を備える。
【0017】
好ましくは、該制御手段は、異物検出のために、IPT一次パッドおよび/またはIPT二次パッドを用いる。
【0018】
好ましくは、該制御手段は、該IPT二次パッドが該IPT一次パッドに対して充電位置にある時間を検出するよう適合される。
【0019】
好ましくは、該制御手段は、異物検出時に該システムによって伝送される電力を選択的に低減するよう適合される。
【0020】
好ましくは、該制御手段は、少なくとも、
予想電力伝送率を判定し、
実際の電力伝送率を判定し、
該予想電力伝送率を該実際の電力伝送率と比較することによって異物を検出する。
【0021】
好ましくは、該装置は、該実際の電力伝送率が該予想電力伝送率を、所定の量を超えて下回っているかどうかを判定する。
【0022】
好ましくは、該装置は、該システムのIPT一次パッドおよび該システムのIPT二次パッド間の相対位置を測定する手段を含む。
【0023】
好ましくは、相対位置を測定する該手段は、該IPT一次および二次パッドの電気的特性を測定するよう適合される。
【0024】
好ましくは、相対位置を測定する該手段は、短絡回路電流の位相および量によって、該IPT一次および二次パッドの横方向オフセットを測定するよう適合される。
【0025】
好ましくは、相対位置を測定する該手段は、該IPT二次パッドで誘発された電圧(複数可)によって、横方向オフセットを測定するよう適合される。
【0026】
好ましくは、該装置は、該IPT一次および二次パッドにおける電流量を比較することによって、該IPT一次および二次パッド間の距離を測定する手段を含む。
【0027】
好ましくは、該装置は、該IPT一次パッドおよび二次パッドの1つまたは両方についての情報を該制御手段に伝達する通信手段を含む。
【0028】
さらなる態様では、異物の存在を検出するためにIPTシステムを操作する方法が提供され、該方法は、
予想電力伝送率を判定する工程と、
実際の電力伝送率を判定する工程と、
該予想電力伝送率を該実際の電力伝送率と比較する工程とを含む。
【0029】
好ましくは、該方法は、該実際の電力伝送率が該予想電力伝送率を、所定の量を超えて下回っているかどうかを判定する工程を含む。
【0030】
好ましくは、該方法は、該システムのIPT一次パッドおよび該システムのIPT二次パッド間の相対位置を測定する工程を含む。
【0031】
好ましくは、相対位置を測定する工程は、該IPT一次および二次パッドの電気的特性を測定する工程を含む。
【0032】
好ましくは、相対位置を測定する工程は、短絡回路電流の位相および量によって、該IPT一次および二次パッドの横方向オフセットを測定する工程を含む。
【0033】
好ましくは、相対位置を測定する工程は、該IPT二次パッドで誘発された電圧(複数可)によって、横方向オフセットを測定する工程を含む。
【0034】
好ましくは、該方法は、該IPT一次およびIPT二次パッドにおける電流量を比較することによって、該IPT一次および二次パッド間の距離を測定する工程を含む。
【0035】
好ましくは、該方法は、該IPT一次パッドおよびIPT二次パッドの1つまたは両方についての情報を制御手段に伝達する工程を含む。
【0036】
別の態様では、IPTシステムのための異物検出装置が提供され、該装置は、IPT一次およびIPT二次パッド間の相対位置により、VAR電流を判定し、かつ、該IPT一次パッドでの実際のVAR電流を測定して、該IPT一次パッドの上または該IPT一次パッドの近傍に異物があるかを判定するよう適合された制御手段を備える。
【0037】
好ましくは、該制御手段は、該IPT一次パッドおよび該IPT二次パッドの相対位置を検出する位置検出手段を含む。
【0038】
好ましくは、該位置検出手段は、該IPT一次およびIPT二次パッドの電気的特性を測定し、他方に対する一方のパッドの位置を検出する。
【0039】
好ましくは、該位置検出手段は、短絡回路電流の位相および量によって、該IPT一次および二次パッドの横方向オフセットを測定する。
【0040】
好ましくは、該位置検出手段は、該IPT二次パッドで誘発された電圧(複数可)によって、横方向オフセットを測定する。
【0041】
好ましくは、該位置検出手段は、該IPT一次およびIPT二次パッドにおける電流量を比較することによって、該IPT一次および二次パッド間の距離を測定する。
【0042】
好ましくは、該装置は、該IPT一次および二次パッドの1つまたは両方についての情報を該制御手段に伝達する手段を含む。
【0043】
別の態様では、異物の存在を検出するためにIPTシステムを操作する方法が提供され、該方法は、
IPT一次パッドおよびIPT二次パッド間の相対位置により、VAR電流を判定する工程と、
該IPT一次パッド内の実際のVAR電流を測定して、該IPT一次パッド上または該IPT一次パッドの近傍に異物があるかどうかを判定する工程とを含む。
【0044】
該方法は、好ましくは、該システムの該IPT一次パッドおよび該IPT二次パッドの相対位置を測定する工程を含む。
【0045】
好ましくは、相対位置を測定する該工程は、該IPT一次パッドおよびIPT二次パッドの電気的特性を測定して、他方に対する一方のパッドの位置を検出する工程を含む。
【0046】
好ましくは、相対位置を測定する該工程は、短絡回路電流の位相および量によって、該IPT一次および二次パッドの横方向オフセットを測定する工程を含む。
【0047】
好ましくは、相対位置を測定する該工程は、該IPT二次パッドで誘発された電圧(複数可)によって、横方向オフセットを測定する工程を含む。
【0048】
好ましくは、該方法は、該IPT一次およびIPT二次パッドにおける電流量を比較することによって、該IPT一次パッドおよびIPT二次パッド間の距離を測定する工程を含む。
【0049】
好ましくは、該方法は、該IPT一次パッドおよび該IPT二次パッドの1つまたは両方についての情報を制御手段に伝達する工程を含む。
【0050】
別の態様では、IPTシステムの一次磁気構造および二次磁気構造間の相対位置を検出する装置が提供され、該装置は、該IPT一次およびIPT二次磁気構造の電気的特性を測定して、他方に対する一方のパッドの位置を検出するよう適合された位置検出手段を備える。
【0051】
好ましくは、該位置検出手段は、短絡回路電流の位相および量によって、該一次および二次構造の横方向オフセットを測定する。
【0052】
好ましくは、該位置検出手段は、該IPT二次構造で誘発された電圧(複数可)によって、横方向オフセットを測定する。
【0053】
好ましくは、該位置検出手段は、該IPT一次およびIPT二次構造における電流量を比較することによって、IPT一次および二次構造間の距離を測定する。
【0054】
別の態様では、IPTシステムの一次磁気構造および二次磁気構造間の相対位置を検出する方法が提供され、該方法は、該IPT一次およびIPT二次磁気構造の電気的特性を測定して、他方に対する一方のパッドの位置を検出する工程を含む。
【0055】
好ましくは、該方法は、短絡回路電流の位相および量によって、該一次および二次構造の横方向オフセットを測定する工程を含む。
【0056】
好ましくは、該方法は、該IPT二次構造で誘発された電圧(複数可)によって、横方向オフセットを測定する工程を含む。
【0057】
好ましくは、該方法は、該IPT一次およびIPT二次構造における電流量を比較することによって、IPT一次および二次構造間の距離を測定する工程を含む。
【0058】
別の態様では、
制御手段と、
エア・フロー手段とを備え、
該制御手段が、該エア・フローを選択的に操作し、該システムのIPT一次パッドの表面上を流れるエア・フローを生じさせる、IPTシステムが提供される。
【0059】
好ましくは、該制御手段は、火災軽減方法の一部として、エア・フロー手段を操作する工程を含む。
【0060】
好ましくは、該制御手段は、IPT一次パッドに対して、IPT二次パッドが電力伝送位置にある時間を検出するよう適合される。
【0061】
好ましくは、該制御手段は、火災軽減方法の一部として、該システムによって伝送される電力を選択的に減らすよう適合される。
【0062】
好ましくは、該制御手段は、該IPT一次パッド上、または近傍に異物があるかを判定するよう適合される。
【0063】
好ましくは、該制御手段は、少なくとも、
予想電力伝送率を判定し、
実際の電力伝送率を判定し、
該予想電力伝送率を該実際の電力伝送率と比較することによって異物を検出する。
【0064】
好ましくは、該制御手段は、該実際の電力伝送率が該予想電力伝送率を、所定の量を超えて下回っているかどうかを判定する。
【0065】
好ましくは、該システムは、該システムのIPT一次パッドおよび該システムのIPT二次パッド間の相対位置を測定する手段を含む。
【0066】
好ましくは、相対位置を測定する該手段は、該IPT一次および二次パッドの電気的特性を測定する。
【0067】
好ましくは、相対位置を測定する該手段は、短絡回路電流の位相および量によって、該IPT一次および二次パッドの横方向オフセットを測定するよう適合される。
【0068】
好ましくは、相対位置を測定する該手段は、該IPT二次パッドで誘発された電圧(複数可)によって、横方向オフセットを測定するよう適合される。
【0069】
好ましくは、該システムは、該IPT一次およびIPT二次パッドにおける電流量を比較することによって、該IPT一次および二次パッド間の距離を測定する手段をさらに含む。
【0070】
好ましくは、該システムは、該IPT一次およびIPT二次パッドの1つまたは両方についての情報を該制御手段に伝達する通信手段をさらに含む。
【0071】
別の態様では、
IPT二次パッドが該システムのIPT一次パッドに対して充電位置にある時間を判定する工程と、
該IPT一次パッドの表面上を流れるエア・フローを生むエア・フロー手段を操作する工程とを含む、IPTシステムの操作方法を提供する。
【0072】
好ましくは、該方法は、火災軽減方法の一部として、該エア・フロー手段を操作する工程を含む。
【0073】
好ましくは、該方法は、充電開始前に、該エア・フロー手段を操作する工程を含む。
【0074】
好ましくは、該方法は、火災軽減方法の一部として、該システムによって伝送される電力を減らす工程を含む。
【0075】
好ましくは、該方法は、該IPTシステム一次パッド上または近傍に異物があるかを検出する工程を含む。
【0076】
好ましくは、該方法は、少なくとも、
予想電力伝送率を判定する工程と、
実際の電力伝送率を判定する工程と、
該予想電力伝送率を該実際の電力伝送率と比較する工程とを含む、異物を検出する該工程を含む。
【0077】
好ましくは、該方法は、該実際の電力伝送率が該予想電力伝送率を、所定の量を超えて下回っているかどうかを判定する工程を含む。
【0078】
好ましくは、該方法は、該システムのIPT一次パッドおよび該システムのIPT二次パッド間の相対位置を測定する工程を含む。
【0079】
好ましくは、該方法は、該IPT一次および二次パッドの電気的特性を測定し、相対位置を測定する工程を含む。
【0080】
好ましくは、相対位置を測定する該方法は、短絡回路電流の位相および量によって、該IPT一次および二次パッドの横方向オフセットを測定する工程を含む。
【0081】
好ましくは、相対位置を測定する該方法は、該IPT二次パッドで誘発された電圧(複数可)によって、横方向オフセットを測定する工程を含む。
【0082】
好ましくは、該方法は、該IPT一次およびIPT二次パッドにおける電流量を比較することによって、該IPT一次および二次パッド間の距離を測定する工程を含む。
【0083】
好ましくは、該方法は、該IPT一次パッドおよび該IPT二次パッドの1つまたは両方についての情報を制御手段に伝達する工程を含む。
【0084】
別の態様では、前述のいずれか1つによるIPTシステムを備える、IPT一次パッドからの火災の危険性を軽減するシステムが提供される。
【0085】
別の態様では、該一次パッドの上面上にエア・フローを生じさせる工程を含む、IPT一次パッドからの火災の危険性を軽減する方法が提供される。
【0086】
好ましくは、該方法は、該IPT一次パッドの実質的に上面全体上を流れるエア・フローを生じさせる工程を含む。
【0087】
好ましくは、該エア・フローは、境界効果の影響下で、該IPT充電パッドの該上面上を流れる。
【0088】
好ましくは、該境界効果は、コアンダ効果である。
【0089】
好ましくは、該エア・フローは、実質的に広く、薄い層状として構成される。
【0090】
好ましくは、該方法は、該一次パッドの該上面に達する前に、境界効果の影響下で、上面上に該エア・フローを流す工程を含む。
【0091】
好ましくは、該方法は、境界効果のある第2の面として該充電パッドを用いる工程を含む。
【0092】
別の態様では、IPT一次パッド上または近傍にある異物が、所定の最大温度を超えた温度を有しているかを判定する赤外線検出手段を備える、IPTシステムのための異物検出装置が提供される。
【0093】
別の態様では、
IPT送信側コイルと、
IPT受信側コイルと、
制御手段とを備え、使用時、該制御手段は、
該IPT送信側コイルと該IPT受信側コイルとの間の該予想電力伝送率を判定し、
実際の電力伝送率を判定し、
該実際の電力伝送率が該予想電力伝送率を所定の量を超えて下回っていれば、火災軽減方法を実施する、IPT充電システムが提供される。
【0094】
好ましくは、該火災軽減方法は、該電力伝送率を下げる工程を含む。
【0095】
好ましくは、該火災軽減方法は、該IPT充電パッド上にエア・フローを生じさせる操作手段を含む。
【0096】
好ましくは、該システムは、該IPT送信側コイルおよび該IPT受信側コイルの1つまたは両方についての情報を該制御手段に伝達する通信手段を備える。
【0097】
別の態様によれば、IPT送信側コイルによって生み出された磁場にある異物の存在を検出する方法は、
i)該IPT送信側コイルに対する所定の電力入力に対する該IPT送信側コイルとIPT受信側コイルとの間の予想電力伝送率を計算する工程と、
ii)該所定の電力入力での該IPT送信側コイルを操作する工程と、
iii)該IPT受信側コイルに対する実際の電力伝送率を測定する工程とを含む。
【0098】
好ましくは、該方法は、該IPT送信側コイルおよび該IPT受信側コイル間の相対配列を検出する工程を含む。
【0099】
好ましくは、該方法は、該実際の電力伝送率が該予想電力伝送率よりも所定の量を超えて下回っているかどうかを判定する工程を含む。
【0100】
別の態様によれば、IPT充電システムの操作方法は、
i)IPT送信側コイルに対する所定の電力入力に対する該IPT送信側コイルとIPT受信側コイルとの間の予想電力伝送率を計算する工程と、
ii)該所定の電力入力での該IPT送信側コイルを操作する工程と、
iii)該IPT受信側コイルに対する実際の電力伝送率を測定する工程と、
iv)実際の電力伝送率が該予想電力伝送率よりも所定の量を超えて下回っているかどうかを判定する工程と、
v)該実際の電力伝送率が該予想電力伝送率よりも所定の量を超えて下回っている場合に火災軽減方法を実施する工程とを含む。
【0101】
好ましくは、該方法は、該IPT送信側コイル間の相対配列を検出する工程を含む。
【0102】
好ましくは、該火災軽減方法は、該IPT充電パッド上にエア・フローを生じさせる操作手段を含む。
【0103】
好ましくは、該火災軽減方法は、該IPT送信側コイルへの該電力入力を下げる工程を含む。
【0104】
さらなる態様によれば、IPT充電パッドからの火災の危険性を軽減するシステムは、該IPT充電パッド上面上にエア・フローを生じさせる手段を含む。
【0105】
好ましくは、エア・フローを生じさせる該手段は、該IPT充電パッドの実質的に上面全体上を流れるエア・フローを生じさせる。
【0106】
好ましくは、該エア・フローを生じさせる該手段は、境界効果の影響下で、該IPT充電パッドの該上面上を流れるエア・フローを生じさせる。
【0107】
好ましくは、該境界効果は、コアンダ効果である。
【0108】
好ましくは、該エア・フローは、実質的に広く、薄い層状として構成される。
【0109】
好ましくは、該システムは、エア・フローを生じさせる該手段が操作されるときを判定する制御手段を備える。
【0110】
好ましくは、該制御手段は、タイマー手段を備える。
【0111】
好ましくは、該制御手段は、該IPTパッドによって送信された電力と、磁気的に結合されたIPT受信側パッドによって受信された電力を監視し、かつ、該充電パッドによって生成された磁場内に異物があることを判定する手段を備える。
【0112】
好ましくは、該制御手段は、該IPT充電パッド上にある異物が、所定の最大温度を超えた温度を有しているかを判定する赤外線検出手段を備える。
【0113】
好ましくは、エア・フローを生じさせる該手段は、その片側に設けられた少なくとも1つの排出手段と共に設けられた細長い電線管を備える。
【0114】
好ましくは、該排出手段は、細長い切り込みを備える。
【0115】
あるいは、該排出手段は、複数の排出開口部を備える。
【0116】
好ましくは、該排出開口部は、実質的に配列されている。
【0117】
好ましくは、エア・フローを生じさせる該手段は、境界効果の影響下で、該エア・フローが流れる表面を備える。
【0118】
好ましくは、該境界効果は、コアンダ効果である。
【0119】
好ましくは、該表面は、乱流を該エア・フローに誘導する後縁を有する。
【0120】
好ましくは、該表面は、該IPT充電パッドから離間される。
【0121】
さらなる態様では、IPT充電パッドの上面上にエア・フローを生じさせる工程を含む、該IPT充電パッドからの火災の危険性を軽減する方法が提供される。
【0122】
好ましくは、該方法は、該IPT充電パッドの実質的に上面全体上を流れるエア・フローを生じさせる工程を含む。
【0123】
好ましくは、該方法は、境界効果の影響下で、該IPT充電パッドの該上面上を流れるエア・フローを生じさせる工程を含む。
【0124】
好ましくは、該境界効果は、コアンダ効果である。
【0125】
好ましくは、該方法は、実質的に広く、薄い層状として該エア・フローを構成する工程を含む。
【0126】
好ましくは、該方法は、該エア・フローが該IPT充電パッドの該上面に達する前に、境界効果の影響下で、表面上に該エア・フローを流す工程を含む。
【0127】
本発明はまた、広くは、本出願の本明細書において参照または示される部品、要素および機能、個別的または集合的に、上記部品、要素または機能の2つまたはそれ以上の任意の組合せまたはすべての組合せにあり、かつ、本発明が関する当技術分野において既知の均等物を有する特定の完全体が本明細書において言及されている場合、該既知の均等物は、個別に説明されているかのように本明細書において援用されるものと見なされる。
【0128】
さらなる態様によれば、IPT充電システムおよび/またはIPT充電システムを操作する方法は、添付の図面を参照して、実質的に本明細書に記載されている通りに提供される。
【0129】
本発明のさらなる態様によれば、IPT充電パッドからの火災の危険性を軽減するシステムおよび/または方法は、添付の図面を参照して、実質的に本明細書に記載されている通りに提供される。
【0130】
その新規的な側面すべてにおいて考慮されるべき、本発明のさらなる態様は、本発明の実行できる実施形態の例示によって与えられる以下の説明から明らかとなるであろう。
【0131】
文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、「含む」および「含んでいる」などの用語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味において、つまり、「を含むが、これに限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0132】
図1】細長い電線管の断面を示した、本発明のシステムの概略側面図である。
図2図1の細長い電線管および排出口の概略前面図である。
図3】IPT充電パッドによって異物が加熱される、図1のシステムの概略前面図 である。
図4】既知の電流lを一次パッドに流す固定周波数LCLコンバータ(絶縁変圧器を追加)を用いた充電システムの構成を示す図である。
図5】本発明の実施形態の操作を示す概略フロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0133】
本発明により、IPTシステムの一次および/または二次パッド(複数可)を用いて、異物を検出することができる。また、IPTシステムの磁気構造の相対位置または配列を判定できる。
【0134】
本発明はまた、十分な速度を有する層状の空気が、路面に取り付けられたIPT充電パッドの上面に吹きつけられうる場合、上記で特定されているIPT充電パッド上の異物に関連する問題の一部または実質的にすべてが軽減されるか、もしくは実質的に解決しうることを認める。
【0135】
正しい形状、方向および速度のエア・フローは、以下の機能を実行しうる。
1.小さい金属化片を引火前に一掃する。
2.枯れ葉または紙片など、その他の小さい、引火するおそれのある破片が一掃され、それによって燃料の小さい引火を除去できる。
3.一掃されない大きな物体は、温度上昇が許容限界に維持され、災害を及ぼさないよう、該エア・フローによって冷却されうる。
【0136】
非常に大きな物体は、一掃できない。しかし、移動できない大きさの、または、該エア・フローによって少なくとも十分に冷却できない、物体は、ピックアップ・コイルへの電力潮流において検出できるのに十分な大きさである可能性がある。このような物体が検出されると、IPTパッドを通る電力伝送は、必要に応じて調整または停止できる。
【0137】
最初に図1、2および3を参照すると、本発明の1つの実施形態によるIPT充電パッドからの火災の危険性を軽減するシステムは、全般的に、矢印100で参照される。
【0138】
システム100は、細長い電線管2との流体連結において、インペラ手段1を含む、エア・フローを生じさせる手段を含む。電線管2は、その側面に設けられた少なくとも1つの排出口3を有する。排出口3は、好ましくは、図1〜3に示すように、細長い切り込みであるが、その他の実施形態においては、複数の排出口は、切り込みのある形状に近づけるよう、隣り合って、かつ、相互に一直線上に設けられてもよい。
【0139】
特に好ましい実施形態では、電線管2は、排出口3のすぐ下流で流面4を定義する。排出口3および流面4の構成は、好ましくは、排出口3からの気流Fが、通常はコアンダ効果である、境界効果の影響下で、流面4を流れる。流面4は、上反りの外形を有する。
【0140】
流面4の後縁5は、好ましくは、気流Fが後縁5から離され、乱流となるのに十分に小さい角度θを定義する。
【0141】
後縁5からの気流Fは、実質的に真っ直ぐな経路をたどり、IPT充電パッド7の上面6に接触する。しかし、該エア・フローは、後縁5と上面6との間を移動するため、該エア・フロー周囲の外気が加速化され、該エア・フローに結合するため、移動する空気の質量が増すが、流れの平均速度は下がる。
【0142】
当業者は、パッド7が地面から突き出ているように図示されているが、実質的に地面と同一平面上もしくは、地表よりも低いところに取り付けられうる。
【0143】
気流Fが上面6に突き当たる角度は、該エア・フローが、通常はコアンダ効果である、境界効果の影響下で、上面6に接触されたままになるよう選択される。接近角は、好ましくは、10°と70°との間、より好ましくは、30°と60°との間、最も好ましくは、約45°である。出願者は、該流れが、コアンダ効果の影響下で、該パッド上面に接触したままであるようにすることと、排出口3がパッド7の前に必ず配置されるよう距離を最小化することとの間の最良の妥協点として、45°を選択した。
【0144】
気流Fは、好ましくは、実質的に上面6全体を移動する。排出口3での該エア・フローの速度は、該上面を流れる該エア・フローの平均速度が、少なくとも5m/s、より好ましくは、少なくとも10m/sとなるよう選択される。出願者は、この範囲の空気の速度が、パッド7から薄片、紙片、金属化プラスティックおよび葉などの小さい異物を除去し、かつ、アルミ缶などの大きな物体を十分に冷却するのに適していることを発見した。
【0145】
パッド7上の気流Fの乱流は、空気と任意の大きな物体との間の熱伝導係数を改善し、かつ、これらを冷却する上で有用である。
【0146】
ダクトのない軸流ファンを用いるエア・フロー・システムとは対照的に、該エア・フロー生成手段は、比較的薄型の形状を有するよう構成されうるため、IPTパッド7と受信側のIPTパッド(図示せず)を携行する車両の下側との間にある空間に比較的容易に配置および取り付けできる。
【0147】
該システムは、すべての可動部(例えば、インペラおよびモーター)が適切な筐体8内に設けられうるため、頑丈かつ堅牢である。好ましい実施形態では、インペラ1は、排出口3から離れて取り付けられてもよい。
【0148】
システム100は、好ましくは、制御手段10を含む。好ましい実施形態では、該制御手段は、連続で通常の状態で動作しないよう、インペラ1を制御する。一部の実施形態では、制御手段10は、タイマーを備え、かつ、インペラ1は、時間間隔で所定の期間中実行されてもよい。追加的にまたは代替案として、制御手段10は、気流Fが必要でありうることを示す異物の存在を検出する1つまたは複数のセンサー手段11と共に設けられてもよく、かつ/または、センサー手段11と通信してもよい。1つの実施形態では、センサー手段11は、最小または閾値温度を超えて加熱される物体14の特性である、赤外線放射13を検出できる受動型赤外線(PIR)センサー12を備えていてもよい。別の実施形態(図示せず)では、該制御手段は、場内に物体があることを示すパッド7によって生成された磁場への変化を検出するセンサー手段を備えていてもよい。さらに別の実施形態では、該センサー手段は、パッド7の上面6の温度、または該パッドに隣接する空気(もしくは、例えば、道路表面など、該パッドを覆う任意の物質。誤解を避けるため、パッド7の上部または上面への参照は、必要に応じて、該パッドを覆う物質の上部または上面を含む)を監視する手段を備えていてもよい。これは、加熱される異物の認識において役に立つが、異物の存在に関係なく、パッド7の温度が所定の最大温度を超えて上昇したら、インペラ1を作動させるのに用いることもできる。このように、該システムは、該パッドを冷却することによって、該IPTパッドの効率性を向上させるという、さらなる利点ももたらしうる。しかし、該エア・フローの形状、速度、方向および乱流は、好ましくは、該パッド自体を冷却するのではなく、物体を該パッドから離し、かつ/もしくは、該パッド上にある物体を冷却する目的を達成するよう、選択される。
【0149】
制御手段10は、IPTパッド7上の異物の存在の有無を調べることができる。
【0150】
好ましい実施形態では、一次側から伝送され、二次側で使用されうる電力と共に、二次受信機の場所(一次または送信側パッドに対する位置)、サイズ、形状、および同調は、制御手段10によって決定、かつ/もしくは制御手段10に知られる。一部の実施形態では、この情報は、送信側充電回路と車両/受信側充電回路との間で、通信手段(図示せず)を介して伝送される。該通信システムは、多くのIPT充電プロトコルの本質的な特徴である。
【0151】
1つの実施形態では、並列同調充電システムが使用される。パッド間配列の検出および電力検出を支援するため、短絡が二次または受信側パッドに適用されうる(一方、直列同調システムの場合は、開回路が適用されるべきである)。1つまたは複数の二次コイルに適用される短絡は、無負荷状態を表す。
【0152】
システム損失が決定され、電力伝送中の異物検出に役立つよう用いられるようにできる代替手段は、(これにより、検出のため、電力伝達を遮断する必要がなくなる。)該二次および一次パッド間の通信チャネル上での電力伝送に関する情報を共有する工程を含む。上記の通り、この情報共有は、該二次が、最大効率を得るために、該充電システムの調整に役立たせるために、車両のバッテリ・システムからの需要を該一次に伝える必要がある静止充電用途において重要である。二次電子機器は、該二次上の同調回路の出力および/またはバッテリ負荷に連結された電子機器の出力での電流および電圧の測定を用いて、車両のバッテリに供給される正確な受信電力を判定できる。この情報は、損失の判定に役立たせるため、一次電子機器と共有されうる。該一次側では、供給される電力を確立するために、実際の電力は、幹線からの測定値および/またはインバータ・ブリッジ電流の測定値を用いて測定できる。該一次から供給される電力と該二次で受け取られる電力との間の差は計算され、損失の判定に用いられうる。許容範囲以外の損失は異常状態を引き起こす。この損失の計算は、該パッド間で異物が動く際に、該異物が挟まれることによる損失における段階変化を素早く検出できるよう、連続で行われうる。
【0153】
損失の予想レベルの判定を支援するのに、該二次および一次パッドの相対位置を確立し、かつ、その大きさおよびトポロジを把握することが有用である。例えば、前者(該パッドの該相対位置)が1つの実施形態で、以下に説明される方法を用いて決定されうる一方で、この情報は、該一次および二次システム間で、通信またはRFIDタグを介して、伝達されうる。
【0154】
該送信側および受信側パッドの相対位置を判定するため、1つまたは複数の該二次(受信側)コイルにおける電流の量と位相の両方を測定し、受信側パッドがどこで該一次に関しているかを判定するのに用いられうる。動力抽出のために、複数の二次コイルを有するパッドの場合(並んで配列された、2つの、全般的に平面なコイルと、隣り合って重なっている、中央直交「Q」コイルとを有する、PCT/NZ2011/000153に記載のDDQパッド、または2つの、全般的に平面で、重なっている、相互に分離されたコイルを有するWO2011/016737およびPCT/NZ2011/000154に記載のパッドまたはバイポーラ・パッドなど)、個々の電力コイルにおける短絡電流の位相および量の測定は、XおよびY方向における、中央に配列された位置からの相対的な横方向オフセットを判定するために十分な情報を提供するとともに、該一次パッドの電流量と該二次コイルの電流量との比較は、結合度の変化の結果であるシステムにおける高さおよび空隙を特定するのに役立つ。これを達成するため、電流センサーが、各受信側コイルの同調後(整流前)に追加される。DDQ受信機の場合、一方のコイルが「水平」磁束を、他方が「垂直」磁束成分を測定する。そのため、横方向に変位した場合、量に変化が生じ、また、受信側が送信側コイルの左または右のいずれかに位置決めされると、約180°の位相での相対的シフトが生じる(実際のシフトは、離調レベルおよびコイルの品質に基づいて若干変化する)。この2つの受信側コイルの出力間の相対的な位相のシフトは、地面上の該一次パッドが、環状または分極構造、もしくは、例えば、トラックなどの別の磁気構造であるかどうかに関係なく生じる。これと共に、コイルに結合される受け取られた電圧の量は、一次構造に対して定義された位置でゼロにまで下がる。例として、中央配置位置においては、該一次が分極構造の場合、電圧はQコイルには結合されず、該一次が環状構造の場合、電圧はDDコイルには結合されない。受信機が横方向に移動するとともに、一方のコイルでは、結合された電圧が増大し、他方のコイルでは減少し、かつこの変化は、横位置の決定に役立ち、一方で、受信側コイル間の位相における変化は、受信機がどの側に動かされたかを判定するのに役立つ。受信構造として用いられるバイポーラ・パッドの出力に配置された電流センサーを用いることで、同様の結果を達成できる。
【0155】
例えば、該二次構造が停車位置に着こうとしている車両の下に取り付けられた場合に、該二次構造がY方向に移動すると、y方向での相対位置(車両の移動方向)を決定できる。これらの条件下で、受信機が遮断(車両が定位置に着こうとする際によく見られる状態)されると、該構造のコイルで結合された電圧および短絡電流の量が増加する。車両が中央位置を通過すると、この結合された電圧は減少する。
【0156】
1つのコイルしかない二次システムの場合(WO2008/140333で説明されている環状パッド・システムで見られるような)、上記の方法で配置と停車を支援するため、該二次から外されたさらなるサーチ・コイルを該パッド周辺に配置できる。
【0157】
図4を参照すると、既知の電流lを一次パッド401に流す固定周波数LCLコンバータ(絶縁変圧器を追加)を用いた充電システムの形態でのIPTシステム400の例が示されている。システム400の一般的な構造は、既知ではあるが、制御手段10は、本書において説明されているように、既知ではない。
【0158】
二次パッド402が短絡状態に置かれると、トラック内の電流lおよびインバータ・ブリッジ(本明細書に示す通り、Hブリッジ構成403)内の電流両方を調整できる。理想的な同調状態下で、該Hブリッジを流れる電流は実際の電流で、(短絡状態下での該システム内での損失である)負荷を表す。位置と同調での変化により、さらなるVAR電流が生じ(ただし、これらの電流は小さいはずである)、かつ、該一次に対する該二次の相対位置が判定できる場合に推定できる。さらに、幹線電流および電圧を測定して、実際のワット数およびVARを判定できるようにしうる。前述の通り、これらの損失測定も、該一次および二次間で情報を共有するために、アクティブな通信チャンネルを用いて、電力伝送中、そのまま行うことができる。
【0159】
そのため、該一次および二次構造間の相対位置によってVAR電流を判定した場合、該一次構造内の実際のVAR電流を用いて、該IPT一次パッド上または近傍に異物があるかを判定できる。
【0160】
加熱されうる異物が、該一次および二次パッド間に置かれた場合、磁束の一部が、異物が渦電流および損失を励起するのを妨げるため、該二次に供給されるVAは減る。これにより、短絡電流量が減るよう、該二次パッド内の磁束が下がる。異物が十分大きければ、この低減を検出できる。最悪の場合、磁束は該二次を一切結合しない(例えば、金属板が充電パッド間に置かれた場合など)。異物における損失も、Hブリッジ内の電流量の増加によって表されうる。短絡電流状態下では、この電流は極めて小さく、該二次の位置、形状および同調が既知の場合、有効な範囲内で把握されるべきである。従って、異物によるさらなる損失が検出できる。
【0161】
1つの実施形態では、該システムは、図5に広く示される通りに動作しうる。
【0162】
工程200において、該システムは、車両が充電位置に移動し、充電サイクルが開始されたときを検出する。工程201では、該システムは、上記の1つまたは複数の方法を用いて、車両への予想電力伝送速度を計算する。
【0163】
充電動作開始前に、インペラは、該パッドから異物を除去する時間中動作する(工程203)。その後、充電操作が工程204で実行される。
【0164】
工程205では、実際の電力伝送速度と、該予想速度が比較される。この速度が予想通りの場合(もしくは、少なくとも小さい範囲内で、例えば、予想伝送速度の計算の誤差の範囲に等しい場合)、該システムは、定期的に(例えば、1:10のデューティ・サイクル下で)該インペラを操作し(工程206)、異常が発生した場合に備え、該電力伝送速度を監視し続ける。
【0165】
該電力伝送速度が予想よりも小さいが、予想値の許容範囲内の場合(異物が該パッド上にあるが、該エア・フローによって冷却され続けられるほど十分に小さいことを示す場合など)、該制御手段は、火災軽減方法を実施しうる(工程207)。これには、該インペラを操作して、エア・フローを生じさせる工程および/または該送信側パッドへの電力を減らす工程が含まれうる。該制御手段は、送信側および受信側パッド間の該電力伝送速度を監視し続ける。
【0166】
選択される火災軽減方法は、異物によって吸収される際に計算される電力量に応じて決まりうる。例えば、電力損失が比較的小さいため、該インペラが、実質的にまったく電力損失が生じなかった場合に用いられるよりも、わずかに高い頻度でのみ用いられるようになりうる。しかし、計算された電力損失が最大許容値に近い場合、該電力伝送速度が下げられ得、該インペラは頻繁にまたは連続で操作されうる。この結果、充電動作が比較的遅く、かつ非効率的になるが、利用者が車両に戻って、充電がまったく行われないことに気付くような状況が回避される。
【0167】
該電力伝送速度が予想よりも小さく、許容範囲外の場合(異物が該パッド上にあり、大きすぎて冷却され続けられないことを示す場合など)、該コントローラは、充電動作を停止し(工程208)、利用者にこれが発生したことを示す警告またはアラームを何らかの形態で作動させうる。これは最も望ましくない結果であるが、一部の場合、低い充電速度で、該インペラを連続で動作させても、充電を安全に続けられない場合がある。
【0168】
一部の実施形態では、該システムは、さらなるセンサー(例えば、温度または赤外線センサー)が、異物が許容温度を超えて加熱されていることを示した場合、該センサー(複数可)からの入力も受信でき、火災軽減方法を実施し、充電を完全に停止しうる。これは、実際の電力伝送速度と予想電力伝送速度との間の差が計算の誤差範囲内であったとしても発生しうる。
【0169】
別の実施形態では、一次および二次磁気構造間の領域の走査に赤外線カメラまたはセンサーを用いることができる。一部の実施形態では、十分な情報を提供するために、様々な場所に配置された、もしくは配列に設けられた複数のカメラまたはセンサーが必要になりうる。車両充電システムの例では、該カメラまたはセンサーは、車両の下に取り付けることができる。該カメラが車両と共に移動する場合、例えば、石、水、および氷などの予想される状況に耐えるため、該カメラは、非常に頑丈である必要がある。該カメラまたはセンサーが固定されている場合、その他の車両、破壊要因および天候からの損傷から保護される必要がある。
【0170】
本発明のさらなる利点は、猫などのペットがエア・フローを不快なものと感じ、IPT充電パッド上に居続けるのをやめさせうることである。通常の使用中でも、該パッドは多少加熱されうるため、あるいは、該パッドがペットにとって居続けるのに魅力的な場所かもしれない。IPT充電パッドは、20kHzから30kHzの間で動作するため、猫や犬などの動物には聞こえる(かつ不快である)が、人間には聞こえない充電周波数で音を生じさせるのは比較的容易でありうる。このことはまた、ペットを該パッドに近づけないようにする上でも有用である。
【0171】
該システムの構成要素の場所においてある程度の柔軟性をもたすことができうる。例えば、好ましい実施形態では、車両が充電される場所ならどこでも利用できるよう、該インペラおよび電線管を取り付けることができる。しかし、一部の実施形態では、これらの構成要素は、地面もしくは該送信側パッド近傍の床面に取り付けられてもよい。
【0172】
制御手段10は、該インペラおよび電線管近傍に取り付けられてもよい。しかし、その他の実施形態では、制御手段10は、これらの構成要素から離されてもよい。一部の実施形態では、該制御手段は、該送信側コイルに関連付けられうるが、その他の実施形態では、該制御手段は、車両に取り付けられうる。
【0173】
上記の異物検出方法および装置は、検出された異物を取り除くための任意の装置(例えば、エア・フロー・システム)とは完全に分けられて、または独立して用いられうる。同様に、上記の相対位置または配列方法および装置は、全般的に、異物の検出およびパッド・ベースのシステムに限定されることなく、IPTシステムで用いられうる。
【0174】
文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、「備える」および「備えている」などの用語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味において、つまり、「を含むが、これに限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【0175】
前述の説明において、既知の均等物を有する、本発明の特定の構成要素または完全体についての参照がなされており、該均等物は、個別に説明されているかのように、本明細書において援用される。
【0176】
本発明は、例示によって、かつその可能な実施形態への参照と共に説明されてきたが、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に対して、変更または改良がなされうることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5