(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の各実施例を説明する。
【0016】
(実施例1)
図1ないし
図7を参照して、本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る導電性エレメント100の背面側から見た斜視図である。説明の都合上、
図1に示すように三次元直交座標系を定義する。すなわち、図の左方から右方(紙面手前側)に向かってX軸、図の左方から右方(紙面奥側)に向かってY軸、図の下方から上方に向かってZ軸を、それぞれ定義する。尚、導電性エレメント100の設置方向を、X軸方向が左右方向、Y軸方向が前後方向、Z軸方向が上下方向として以下説明する。
【0017】
図2は、
図1に表した導電性エレメント100を、Y軸の周囲に180度回転して表す前面側から見た斜視図である。
図3は、
図1に表した導電性エレメント100を、Z軸の周囲に180度回転して表す斜視図である。なお以降に示す斜視図には、共通の三次元直交座標系を付記する。
【0018】
導電性エレメント100は、一枚の導電性の板状材料(例えば金属板)から例えばせん断加工等によって分離された
図4に示す板状部材102を折り曲げ加工して形成されたものである。
図4は、板状部材102の展開図である。
図4は、板状部材102の平面図としての実際の形状を実線で表すほか、この後説明する導電性エレメント100の各構成に対応する板状部材102の各部分を破線からなる楕円で囲んで示している。
図7を参照して後述するように、キャリア部130を介して連結され配列された複数の板状部材102から、一組の板状部材を構成することができる。
【0019】
図1ないし
図3を参照して、導電性エレメント100の構成を説明する。
図1、
図3に示すように、導電性エレメント100は箱型形状のハウジング101と、ハウジング101内に収容されている蛇行形状の板バネ部112aと、当該板バネ部112aに連接されハウジング101から突出する凸状の接触部114とを備えている。ハウジング101は側壁を形成する左壁部104と右壁部106とを有し、更に
図2に示すように、左壁部104と右壁部106とを連結する底壁部108を有している。
【0020】
図3に示すように、ハウジング101は側壁を形成する前壁部110を有する。前壁部110は左壁部104から連続しており、かつ、右壁部106に交わる向きに位置している。前壁部110の
図3における右側の辺上の2か所を突状に形成して、右壁部106の
図3における左端近傍2か所に設けられた孔に係合させている。すなわち、左壁部104、右壁部106、底壁部108及び前壁部110が、導電性エレメント100の他の構成要素を囲む形になっている。
【0021】
以上に説明した左壁部104、右壁部106、底壁部108及び前壁部110の展開図上の(すなわち、板状部材102における)位置関係は、
図4に示すとおりである。この展開図において板状部材102を、各部分の境界に当る直線(図示せず。)をはさんで
図4における紙面に対して手前に向かって折り曲げれば、
図1ないし
図3に示した左壁部104、右壁部106、底壁部108及び前壁部110の位置関係が成り立つことが明らかである。
【0022】
板状部材102は、底壁部108から
図4の上方に向かって延伸された部分(符号112を付して表す。)を含む。この部分は導電部であって、板状部材102を上述したように折り曲げて導電性エレメント100を形成したとき、
図1又は
図2に示す板バネ部112aとこれに連接する接触部114とを構成する。
【0023】
導電性エレメント100の使用の一例を、
図5を参照して説明する。
図5は、導電性エレメント100を搭載した印刷配線板ユニット400を電子機器筐体402に収容した状態を、断面図として表す図である。印刷配線板ユニット400には送受信部404が搭載され、送受信部404と導電性エレメント100の間を導体パターン406が接続している。導体パターン406の導電性エレメント100に近い側の端部を、第1電極408とする。導電性エレメント100は接続対象物である第1電極408に接続されるが、この点は後でより詳細に説明する。
【0024】
電子機器筐体402の内側(印刷配線板ユニット400に対向する側)に、アンテナとして使用される導体パターン410が例えばめっきされて設けられている。導体パターン410の導電性エレメント100に近い側の端部を、接触対象物である第2電極412とする。印刷配線板ユニット400は凸状の接触部114を初期状態から押圧した状態で電子機器筐体402内に収容され、
図5に示すように接触部114は第2電極412(接触対象物)に接触している。
【0025】
図5に示した状態において、
図4では上下方向に伸びた形状をとっている導電部112が、
図1及び
図2に示すように蛇行形状をとって左壁部104及び右壁部106の間に収容されている。即ち、接触部114に連接する上記の蛇行形状を成す部分はばねの機能を発揮する板バネ部112aであって、接触部114を上方(
図1、
図5の上方)に向かって押し上げる力を作用させる。その結果、接触部114を第2電極412(接触対象物)に対してより安定的に接触させることができる。尚、本実施例の板バネ部112aは
図6に示す様に底壁部108の一端からY軸方向の両端で3回屈曲して曲げ部F、G、Hを形成し、Z軸方向の弾性力を具有する。接触部114は1回屈曲して凸状と成しY軸方向の弾性力を形成する。
【0026】
図6は、導電性エレメント100の断面を表す斜視図である。
図6の断面は
図3の一点鎖線VIで示すように、前壁部110上をYZ面に平行に切断した面である。
図6は、導電性エレメント100の当該断面(斜線のハッチングで示す。)を、
図3とほぼ同じ向きに見て表す図である。
図6に表した符号は、116と118を除いて
図1ないし
図3に表したのと同じである。
【0027】
図6に示すように、接触部114の先端部116は内側に湾曲してその外面が前壁部110に接触するが、板バネ部112aのばねの機能により、前壁部110に対して所要の接触圧を保って接触させることができる。本願発明者の実際の設計及び実測例によれば、導電性エレメント100のサイズを底面(
図1における上下の面)2.8mm四方以下、高さ(
図1における上下の向き)4mm以下として板金により形成したときに得られた接触圧は、50グラム重弱であった。この値は、電極どうしの圧接によって電気的接続を確保するのに必要と一般に考えられる値(金めっきの場合、20グラム重。)を優に上回り、高信頼度の接触を実現している。なお、本実施例の導電性エレメント100は
図5に示す通り、接触部114が突出した状態で第2電極412と第1電極408とを電気的に接続する構成であり、高さ方向における接触部114の上下動寸法を小さくしている。このため、先端部116の前壁部110内面との接触圧は上下動によって余り変化せず、接触部114が接触対象物(第2電極412)により押し下げられても所要の接触圧を維持することが出来る。
【0028】
前壁部110の
図6における最下部(破線の楕円で囲んで示す。)を、対向電極接続部118と呼ぶ。導電性エレメント100が底壁部108の外面(
図2における上側の面)で上述したように印刷配線板ユニット400上に搭載されたとき、対向電極接続部118は印刷配線板ユニット400に設けられた第1電極408に接続されるものとする。
【0029】
そうすると、電子機器筐体402の内側にめっきされて形成されアンテナとして使用される導体パターン410は、第2電極412、接触部114、先端部116、前壁部110、対向電極接続部118、第1電極408及び導体パターン406を経て、送受信部404に電気的に接続される。このようなアンテナ接続経路の電気長は、導電性エレメント100の
図1における高さ(取り付け高さ)に依存しており、導電性エレメント100を低背化することによって短縮することができる。従来のポゴピン式コネクタのようにばね部を通してアンテナに給電する形態よりも電気長を大幅に短縮することができるので、アンテナ給電のような高周波応用に特に有効である。なお、先端部116が接触する前壁部110部分から対向電極接続部118に至る部分が従来にはないアンテナ接続経路を形成しており、この部分が通電部Eとなる。すなわち、導電性エレメント100が
図5に示す通り、第2電極412と第1電極408とを電気的に接続する状態即ち接触部114が下降し、先端部116もこれに合わせて下降した状態において当該先端部116が接触する前壁部110から下の部分が通電部Eである。このように、接触対象物(第2電極412)に押圧された状態の通電路Eが最短となっている。
【0030】
図4及び
図7を参照して、導電性エレメント100の製造方法を説明する。
図7は、複数の板状部材102が連結された状態を示す平面図である。
図7は、平面図としての実際の形状を実線で表すほか、複数の板状部材102に相当する部分をそれぞれ破線からなる楕円で囲んで示している。導電性の板状材料(例えば金属板)に複数の板状部材102を形取りすると共にキャリア部130を設け、形取りされた複数の板状部材102がキャリア部130を介して連結された一組の部材として板状材料から分離される。
【0031】
個々の板状部材102について、
図4を参照して説明したように、左壁部104、右壁部106、底壁部108、前壁部110及び導電部112にそれぞれ相当する部位の展開図の形状を板状材料に対して形取りする。これらの形取りされた部位がキャリア部130と共に板状材料から分離されて、
図7に示したように複数の板状部材102が連結された部材が形成される。
【0032】
個々の板状部材102を
図7に示した連結構成の部材から分離し、左壁部104、右壁部106、底壁部108、前壁部110及び導電部112の位置関係に合わせて板状部材102を折り曲げることにより、導電性エレメント100を製造することができる。以上説明した製造方法において、板状部材102の板状材料からの分離及び折り曲げについては、例えば公知の板金加工の方法を用いることができるので、説明を省略する。
【0033】
以上に説明したように、実施例1によれば、一枚の導電性の板状材料から分離した部材の折り曲げ加工によって導電性エレメントをシンプルに構成し、接触対象物(例えば第2電極412)に対して適正な接触圧を保つと共に電気的接続経路の電気長を短縮することができる。
【0034】
(実施例2)
次に、
図8及び
図9を参照して、本発明の実施例2を説明する。
図8は、実施例2の構成を説明する図である。
図8の左上の箇所に、プロテクタ600を示す。プロテクタ600は、
図8の左下の箇所に示した導電性エレメント100(実施例1に係るものと同じ。)をほぼ6面体とみなしたとき、その4面をカバーすると共に接触部114を露出させるように、導電性エレメント100と寸法を合わせて形成されている。プロテクタ600は、非導電性の材料(例えば耐熱性樹脂)から形成されている。
【0035】
図9は、
図8に示したようにプロテクタ600を取り付けた状態の導電性エレメント100を、
図6と同様に表す断面図である。図中の符号は、
図6及び
図8に表した符号とそれぞれ共通である。
【0036】
プロテクタ600を導電性エレメント100に対して、
図8の上下のブロック矢印の向きに装着することができる。そうすると、
図8の右下の箇所に示すように、導電性エレメント100は図中左側の前壁部110と図中上側の接触部114が露出しているのを除いて、プロテクタ600によって保護される。プロテクタ600は主に、導電性エレメント100に対して
図8の上方から印加される静荷重に対して、導電性エレメント100を保護する役割を果たす。
【0037】
図8に示した形状のプロテクタ600は、導電性エレメント100を底壁部108で印刷配線板ユニット100上に搭載した(例えばはんだリフロー工程を経て取り付けられた)後から取り付けることができる。はんだリフロー工程では部品取り付け面が上を向くとは限らないので、はんだリフロー工程よりも先に導電性エレメント100に対してプロテクタ600を取り付けておくと、その荷重に起因して導電性エレメント100が印刷配線板ユニットの取り付け位置から脱落する可能性がある。これを防止するため、導電性エレメント100を印刷配線板ユニットに搭載した後からプロテクタ600を取り付けられるような形状を採用している。
【0038】
本発明の実施例2によれば、導電性エレメント100の印刷配線板ユニットへの取り付け工程における脱落の防止を図りつつ、導電性エレメント100に加わる静荷重をプロテクタ600が受止めることによって導電性エレメント100を保護することができる。
【0039】
(実施例3)
次に、
図10及び
図11を参照して、本発明の実施例3を説明する。
図10は、実施例3に係る導電性エレメント300の斜視図である。導電性エレメント300の構成は、
図10に破線の楕円で囲んで示した上壁部310(ブリッジ部)を除いて
図1に表した導電性エレメント100と同じであり、それぞれ
図1に表したのと同じ符号を付して示す。
【0040】
導電性エレメント300は、一枚の導電性の板状材料(例えば金属板)から例えばせん断加工等によって分離された板状部材302を折り曲げ加工して形成されたものである。
図11は、板状部材302の展開図である。板状部材302は、
図11において左壁部104から左向きに延伸された上壁部310に相当する部位を除いて、
図4に示した板状部材102と同様に構成される。
【0041】
図11に表された板状部材302を、左壁部104、右壁部106、底壁部108、前壁部110及び上壁部310に相当する各部分の境界に当る直線(図示せず。)をはさんで
図11における紙面に対して手前に向かって折り曲げ、かつ、導電部112の板バネ部112aに相当する部分を蛇行させて左壁部104及び右壁部106の間に収容することにより、導電性エレメント300を
図10に示すように形成することができる。
【0042】
上壁部310は、左壁部104から連続する一部を右壁部106に向けてブリッジ状に折り曲げることにより形成される。上壁部310は、導電性エレメント300を図示しない印刷配線板ユニットに搭載するときの自動化実装工程において、吸着部として機能させることができる。
【0043】
上壁部310は、右壁部106から連続する一部を左壁部104に向けてブリッジ状に折り曲げることにより形成されてもよい。実施例2で説明したプロテクタ600を、導電性エレメント300に取り付けることもできる。
【0044】
板状部材302及び導電性エレメント300の製造方法は、実施例1の板状部材102及び導電性エレメント100の製造方法と同様である。
図7に示したのと同様にして、複数の板状部材302がキャリア部を介して連結された一組の板状部材として構成されてもよい。本発明の実施例3によれば、導電性エレメントに吸着部を設けて自動化実装に適合させ、生産効率をいっそう高めることができる。
【0045】
(実施例4)
次に、
図12〜
図16を参照して本発明の実施例4を説明する。説明の便宜上、前述の
図1〜
図7及び
図10に示す実施例1、実施例3と同様の部分には同一の符号を付している。
図12、
図13は実施例4に係る導電性エレメント320の前面側、背面側から見たそれぞれの斜視図である。
図14は導電性エレメント320の前壁部110上をYZ面に平行な断面で切断した斜視図である。
【0046】
図12〜
図14において、導電性エレメント320は箱型形状のハウジング321、ハウジング321内に収容されている蛇行形状の板バネ部112aと、当該板バネ部112aに連接されハウジング321から突出する凸状の接触部114とを備えている。ハウジング321は側壁を形成する左壁部104と右壁部106と、前壁部110とを有し、更に,左壁部104と右壁部106とを連結する底壁部108とを有している。また、ハウジング321の上壁部310は、
図15に示す通り左壁部104から連続する部分であって、右壁部106に向けてブリッジ状に折り曲げることにより形成される。上壁部310は、導電性エレメント320を図示しない印刷配線板ユニットに搭載するときの自動化実装工程において、吸着部として機能させることができる。
【0047】
すなわち、導電性エレメント320は、実施例3の導電性エレメント300に対して、支持片310a及び傾斜部110aが設けられる。また、板バネ部112aは底壁部108の一端からY軸方向の両端で2回屈曲して曲げ部G、Hを設け、Z軸方向の弾性力を形成する。更に、接触部114の頂点に向うテーパ部114a(
図13参照)の幅寸法は
図15の展開図に示す通り板バネ部112aとほぼ同じであり、接触部114の頂点部分から先端部116に至る部分の幅寸法は前記テーパ部114aの幅より狭く形成されている。従って、接触部114の弾性力は板バネ部112aに比して小さく、同じ外力が加わった場合、容易に変形する。その他の部分は実施例3と同様である。
【0048】
支持片310aは上壁部310の一端を内側に折り曲げて形成される。初期状態において支持片310aは板バネ部112aを弾性力に抗して支持し、板バネ部112aの伸長を規制する。この時、支持片310aを折り曲げる角度や長さによって支持片310aの折り曲げ深さを調整できる。これにより、初期状態の接触部114の突出量や荷重を調節することができる。
【0049】
即ち、接触部114の突出量は支持片310aの折り曲げ深さが大きいと小さくなり、支持片310aの折り曲げ深さが小さいと大きくなる。また、接触部114の初期の弾性力は支持片310aの折り曲げ深さが大きいと大きくなり、支持片310aの折り曲げ深さが小さいと小さくなる。
【0050】
導電性エレメント320の接触部114の初期の突出量や荷重の規格(許容範囲)は、製品仕様や用途、接続対象の配置手順、あるいはユーザの要求などによって異なる場合がある。導電性エレメント320の支持片310aの折り曲げ深さを調整することにより、それぞれの規格に適合させることができる。
【0051】
傾斜部110aは前壁部110の中央部分にU字状の切れ目を入れて内側向きに起こして形成されたもので、底壁部108側に向うほど、前壁部110の対向面である背面120に向かって即ち
図14において右方に傾斜する。なお、前壁部110の傾斜部110aの下部には矩形上の抜き孔109が形成されている。接触部114の先端部116は
図14に示す様に前壁部110の上部内面に接触しているが、詳細を後述するように接触部114の押圧によって下降し傾斜部110aの内面上を摺動する。
【0052】
図15は複数の板状部材102が連結された状態を示す平面図である。実施例1と同様に、導電性の板状材料(例えば金属板)に複数の板状部材322を形取してキャリア部130を介して連結された一組の部材が板状材料から分離される。次に、個々の板状部材322がキャリア部130から切り離され、板状部材102を折り曲げて導電性エレメント320が形成される。
【0053】
図16、
図17は導電性エレメント320の初期状態及び接触部114が押圧された状態の断面図を示している。導電性エレメント320の初期状態で板バネ部112aは支持片310aに当接し、接触部114の先端部116は前壁部110の内面に接触する。
【0054】
接触部114が接触対象物により押圧されると、先端部116は前壁部110内面を摺動下降し、傾斜部110aに至る。この時、板バネ部112aは上下方向に撓み、背面側の曲げ部Hも若干下降するが、主に先端部116が曲げ部Hを回転中心とする円弧を描きながら下降する。従って、前壁部110に傾斜部110aがなく垂直面であると、先端部116が下降する程、前壁部110内面から先端部116が離れる方向にも動き、接触圧が低下する。
【0055】
即ち、初期状態において先端部116は山状に形成された接触部114に基づく弾性力も加わって前壁部110内面に圧接している。しかし、先端部116と前壁部110内面とが離れる動きをすると、その分接触部114が伸長し(圧縮状態が減り)、弾性力が弱くなるので接触圧も低下する。
このため、本実施例においては、内側向きに傾斜する傾斜部110aを設け、先端部116の動きに追随し接触圧を維持若しくは強くするようにしている。
【0056】
なお、
図16の初期状態において、先端部116は前壁部110内面に圧接しているが、この状態では安定した通電を行う所定の接触圧よりも少し小さめにしている。接触圧が高ければ接触摩擦も大きくなり、先端部116の上下動をし難くする恐れがあり、一旦下降した先端部116が初期状態に復帰しないことも起こり得るからである。そこで本実施例においては、接触部114が接触対象物の押圧接触により少し下降し始めると板バネ部112a、及び接触部114の弾性作用によって、先端部116が前壁部110に対する接触圧が大きくなる現象、及び前壁部110内面よりも内側に傾斜部110a内面を突出させることで前壁部110の内面との接触圧を所定の接触圧としている。従って、
図17の状態において、接触対象物による押圧状態を解除した場合、接触圧が大きくても先端部116は板バネ部112aの復帰力、傾斜部110aの傾斜による復帰方向への力と相俟って、接触圧の低い上方へと移動し、接触圧の小さい
図16の状態に復帰することが出来る。
【0057】
仮に、傾斜部110aを設けなければ、接触部114が接触対象物により、
図17の位置まで押し込まれた場合、先端部116と前壁部110内面との接触圧は当然初期状態の接触圧よりも低くなる。この状態で、先端部116が前壁部110内面との摺動摩擦などの要因により先端部116が初期状態に復帰しないと、初期状態の接触圧の方が大きいため元の状態に戻ることは困難である。板バネ部112aが初期状態に未復帰の導電性エレメント320を電子機器筐体402に取り付けると、導電性エレメント320の接触不良が生じる恐れがある。
【0058】
これに対して本実施例の導電性エレメント320は上記の通り、前壁部110に傾斜部110aが設けられているため、先端部116の接触圧は初期状態の方が小さく出来る。従って、接触部114の押圧時に所定の接触圧を確保するとともに板バネ部112aが初期状態に復帰しない不具合を防止することができる。
【0059】
本実施例によると実施例1〜実施例3と同様に、底壁部108から延びる板バネ部112aの先端部116が対向電極接続部118を有した前壁部110に接触する。これにより、対向電極接続部118に接続する第1電極408(
図5参照)と接触部114に接触する第2電極412(
図5参照)との間の電気長を短縮できる。この場合、前壁部110において、傾斜部110aを形成した部分から下が通電部Eとなる。なお、前記接触部114の先端部116は対向電極接続部118(接続部)とハウジング321の同じ側端部の上方に対向するように配置されているので、他の位置に設けられる場合に比して前記対向電極接続部118との間の電気長をより短くすることが出来る。
【0060】
また、底壁部108に対向する上壁部310から折り曲げて板バネ部112aを支持する支持片310aを設けたので、支持片310aの折り曲げ深さによって接触部114の初期の突出量や荷重を容易に調整することができる。
【0061】
(実施例5)
次に、
図18〜
図22を参照して本発明の実施例5を説明する。説明の便宜上、前述の
図12〜
図17に示す実施例4と同様の部分には同一の符号を付している。
図18、
図19は実施例5に係る導電性エレメント340の斜視図である。
図20は導電性エレメント340の前壁部110上をYZ面に平行な断面で切断した斜視図である。
【0062】
導電性エレメント340は実施例4のハウジング321に相当する薄箱型状のハウジング341を有しており、且つ導電性エレメント320に対して、支持片310a及び傾斜部110a、接触部114の構造が異なる。また、板バネ部112aが底壁部108の一端から1回屈曲して曲げ部Gを設け、Z軸方向の弾性力を形成する。その他の部分は実施例4と同様である。
【0063】
支持片310aは上壁部310の一端部から中央部に向って切り起しにより折り曲げて形成される。初期状態において支持片310aは板バネ部112aを弾性力に抗して支持し、板バネ部112aの伸長を規制する。これにより、支持片310aの折り曲げ深さによって接触部114の初期の突出量や荷重を容易に調整することができる。
【0064】
傾斜部110aは前壁部110を屈曲して形成され、底壁部108側を前壁部110の対向面120に向かって傾斜する。また、前壁部110には内面側に突出して先端部116の摺動方向(Z軸方向)に延びる突起部110bが設けられる。突起部110bの外面形状はZ軸に垂直な断面において曲線または山型に形成され、先端部116と点接触する。
【0065】
導電性エレメント340は前述の
図15の板状部材322と同様の板状部材を折曲して形成される。この時、板状部材は底壁部108の一端から延びる板バネ部112aの先端部分即ち接触部114が厚みの薄い異形材により形成される。この薄肉部112bによって接触部114のY軸方向の弾性力を小さくできる。
【0066】
図21、
図22は導電性エレメント320の初期状態及び接触部114が押圧された状態の断面図を示している。導電性エレメント320の初期状態で板バネ部112aは支持片310aに当接し、接触部114の先端部116は前壁部110の内面に接触する。
【0067】
接触部114が押圧されると板バネ部112aは支持片310aから離れて上下方向(
図22の上下方向)に圧縮される。この時、先端部116は傾斜部110aを含む前壁部110の突起部110b上を摺動し、前壁部110との接触状態が保持される。
【0068】
前壁部110に対する先端部116の押圧力は接触部114が薄肉であるので初期状態を小さくでき、傾斜部110aによって接触部114の押圧、下降時において初期状態よりも大きくできる。また、先端部116と突起部110bとが点接触するため先端部116の押圧力が小さくても先端部116と突起部110bとの間では所定の接触圧を得ることができる。
【0069】
尚、導電性エレメント340の製造工程や導電性エレメント340を電子機器筐体402に取り付ける際に板バネ部120aの伸縮回数が多くなる場合がある。この時、先端部116と点接触する突起部110bが摩耗して所定の接触圧が得られない場合がある。
【0070】
このため、製造時等の状態に応じて突起部110bを設けてもよく、設けなくてもよい。板バネ部120aの伸縮回数が少ない場合に突起部110bを設けると、先端部116の押圧力を小さくできる。板バネ部120aの伸縮回数が多い場合に突起部110bを省くと、摩耗による接触圧の変動を防止できる。
【0071】
本実施例によると、第4実施例と同様の効果を得ることができる。また、板バネ部112aの先端側の接触部114を薄肉としたので、初期状態の先端部116の押圧力を小さくすることができる。また、傾斜部110aによって接触部114の押圧時に先端部116の押圧力を初期状態よりも大きくできる。
【0072】
また、前壁部110に先端部116の摺動方向に延びる突起部110bを設けたので、先端部116の押圧力が小さくても所定の接触圧を得ることができる。従って、導電性エレメント340の信頼性を確保することができる。この場合、前壁部110の通電部Eは傾斜部110aから下の部分となる。
【0073】
(実施例6)
次に、
図23〜
図25を参照して本発明の実施例6を説明する。説明の便宜上、前述の
図18〜
図22に示す実施例5と同様の部分には同一の符号を付している。
図23、
図24は実施例6に係る導電性エレメント360の斜視図及び側面図である。
図25は導電性エレメント360の側面断面図である。
【0074】
導電性エレメント360は実施例5のハウジング341に相当する薄箱型状のハウジング361を有しており、且つ実施例5の導電性エレメント340に対して、板バネ部112aの先端側に形成されている凸状の接触部114の先端部116の内面が前壁部110の上端に接離する。これに伴って、実施例5の傾斜部110a及び突起部110b(いずれも
図20参照)が省かれる。その他の部分は実施例5と同様である。
【0075】
前壁部110の上端には切欠き部110cが凹設される。当該切欠き部110cのX軸方向の長さ(幅)寸法は接触部114の幅寸法よりも大きく形成されている。これに対して先端部116は
図23に示す通り、接触部114から先細り形状に形成されている。初期状態の先端部116は前壁部110の外面から突出して切欠き部110cの上方に離れて配される。接触部114が押圧されると、先端部116はまず切欠き部110cの底部に当接し、更に押圧力に応じて当該底部上を摺動して、
図25に点線Dで示すように前方へ伸長する。つまり、接触部114の凸部形状は高さが低くなり裾部分が広がるような弾性変形を行い、変形前の状態に戻る力が発生する。このため、先端部116と切欠き部110cとの接触には当該力も加わり、十分な接触圧を確保することが出来る。また、先端部116の動作は切欠き部110cの両側部にガイドされるので、幅方向のぶれが防止され、接触状態が安定する。これにより、対向電極接続部118に接触する第1電極408(
図5参照)と接触部114に接触する第2電極412(
図5参照)とが前壁部110を介して導通する。なお、前壁部110の切欠き部110cから下が通電部Eとなる。
【0076】
本実施例によると、実施例5と同様の効果を得ることができる。また、先端部116が前壁部110に対して接離するため、接触部114に対する押圧が解除された場合、先端部116側は板バネ部112aの弾性力で上方に浮き上がりながら初期状態に戻ろうとするので、先端部116と切欠き部110cとの間には、初期状態に戻ることを妨げる摩擦力などの力は生じない。従って、板バネ部112aが初期状態に復帰しない不具合を防止することができる。なお本実施例の初期状態では先端部116が切欠き部110cから離れているが、
図26に示すように、先端部116を切欠き部110cに接触させた状態を初期状態としても良い。接触部114が押圧されると、先端部116は押圧力に応じて当該底部上を摺動し、
図26に点線D´で示すように前方へ伸長する。
【0077】
以上の各実施例として説明した導電性エレメントの構成、形状、製造方法は例示であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに変形することができる。導電性エレメントのアンテナ給電への応用を例にとって説明したが、本発明に係る導電性エレメントは、アンテナ給電以外のさまざまな電気的接続の用途にも適用することができる。