(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
レーザーダイオードや発光ダイオードのような半導体素子の性能及び寿命は、当該素子を構成する種々の要素によって決定され、特に、素子が積層されるベース基板によって多くの影響を受ける。良質の半導体基板の製造のための様々な方法が提示されている。
【0004】
代表的なIII−V族化合物半導体基板としてGaN基板が挙げられ、GaN基板は、GaAs基板、InP基板などと共に、半導体素子に好適に用いられているが、GaAs基板及びInP基板に比べて製造コストが非常に高い。
【0005】
窒化ガリウム系半導体は、異種基板上に有機金属化学気相蒸着法(metal organic chemical vapor deposition;MOCVD)、分子ビーム成長法(molecular beam epitaxy)、水素化物気相蒸着法(hydride vapor phase epitaxy:HVPE)などのような気相成長法を通じて単結晶の窒化ガリウム(GaN)を製造している。
【0006】
その中でも、数〜数百μmに達する厚膜(thick film)の成長にはHVPE成長法が有利であり、特に、HVPE成長法によれば、成長条件、基板の使用条件などに応じて数mmのバルク(bulk)成長も可能である。
【0007】
しかし、異種基板と窒化ガリウム(GaN)系半導体との間の格子定数の差により窒化ガリウム層に内部応力(strain)が発生するようになり、成長後の冷却時にさらに多くの応力が界面に蓄積されてしまい、一定厚さ以上の成長時に亀裂が発生し、応力緩和のためにサファイアと窒化ガリウムとの界面から転位(dislocation)が発生するようになる。
【0008】
発生した転位は、結晶の成長方向に伝播するようになり、貫通転位は成長表面まで伝播して窒化物系半導体基板の結晶性を減少させることによって、究極的に素子の電気特性を低下させる。
【0009】
これを解決するために、特許文献1に開示されたような、HCl:NH
3の比を調節してHVPE成長法で窒化ガリウム単結晶のためのバッファ層を形成する方法が提案された。従来のバッファ層を形成する方法は、サファイア基板と窒化ガリウムとの境界面にナノ多孔性形態のバッファ層を形成して、窒化ガリウムとサファイア基板との間の熱膨張係数を減少させる技術を開示する。
【0010】
しかし、従来の方法は、成長前にサファイア基板をHClで前処理するため、工程が複雑であり、HClによりサファイア基板が損傷(例;エッチング)して結晶欠陥を増加させることがあり、工程の最後の段階でNH
3が比較的高い流量で注入されて、サファイア基板の表面に窒化ガリウムが均一に成長せず、サファイア基板のエッジにポリ窒化ガリウム(poly GaN)が集中成長する。
【0011】
また、特許文献2に開示されたような、NH
3の流量及びHClの流量を調節してHVPE成長法でIII族窒化物を成長させてIII族窒化物の反りを減少させる技術、特に、NH
3の流量を調節する技術が提案された。
【0012】
しかし、従来の方法は、サファイア基板の表面に窒化ガリウムが均一に成長せず、サファイア基板のエッジにポリ窒化ガリウム(poly GaN)が集中成長する。また、成長したIII族窒化物の結晶構造を予防しながら、可能なほどの所望の厚さに成長させて、高い光学品質を有する低欠陥物質を収得することが難しい。
【0013】
また、特許文献3に開示されたような、V/III比を調節してHVPE成長法で窒化ガリウム系半導体層を成長させて良質の窒化ガリウム系半導体層を製造する技術が提案された。
【0014】
しかし、従来の方法は、成長した窒化ガリウム系半導体層の結晶構造を予防しながら、可能なほどの厚さに成長させて、高い光学品質を有する低欠陥物質を収得することが難しい。
【0015】
また、Hae−Yong Leeによって行われた従来のHVPE成長法は、窒化ガリウムを成長させるとき、1010℃の成長温度でサセプタを100rpmで回転させて成長させることによって、窒化ガリウムの反りを減少させる技術が提案された(非特許文献1参照)。
【0016】
しかし、従来の方法は、工程の難易度が増加し、成長した窒化ガリウムの反りが十分に緩和されない。
【0017】
また、P.Viscontiによって行われた従来のHVPE成長技術は、水酸化カリウム(KOH)及びリン酸(H
3PO
4)を用いて化学的エッチングを通じて、成長した窒化ガリウムの欠陥を減少させる技術が提案された(非特許文献2参照)。
【0018】
しかし、従来の方法は、成長工程を行った後、化学的エッチング工程が行われるため、工程段階が追加され、過度な化学的エッチングによって窒化ガリウムが損傷することがある。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付の図面及び添付の図面に記載された内容を参照して、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明が実施例によって制限又は限定されるものではない。
【0037】
本明細書で使用された用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文句で特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作及び/又は素子以外に一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しない。
【0038】
本明細書で使用される「実施例」、「例」、「側面」、「例示」などは、記述された任意の態様(aspect)又は設計が他の態様又は設計よりも良好であるか、または利点があるものと解釈すべきものではない。
【0039】
また、「又は」という用語は、排他的論理和「exclusive or」よりは、包含的な論理和「inclusive or」を意味する。すなわち、特に言及しない限り、または文脈から明らかでない限り、「xがa又はbを用いる」という表現は、包含的な自然順列(natural inclusive permutations)のいずれか一つを意味する。
【0040】
また、本明細書及び請求項で使用される単数表現(「a」又は「an」)は、特に言及しない限り、または単数形態に関するものであることが文脈から明らかでない限り、一般的に「一つ以上」を意味するものと解釈しなければならない。
【0041】
以下の説明で使用される用語は、関連する技術分野で一般的かつ普遍的なものが選択されたが、技術の発達及び/又は変化、慣例、技術者の選好などに応じて他の用語があり得る。したがって、以下の説明で使用される用語は、技術的思想を限定するものと理解されてはならず、実施例を説明するための例示的な用語として理解されなければならない。
【0042】
また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、その場合、該当する説明部分で詳細にその意味を記載する。したがって、以下の説明で使用される用語は、単純な用語の名称ではなく、その用語が有する意味と、明細書全般にわたる内容とに基づいて理解されなければならない。
【0043】
一方、「第1」、「第2」などの用語は、様々な構成要素を説明するのに使用できるが、構成要素がこのような用語によって限定されるものではない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0044】
また、膜、層、領域、構成要素などの部分が他の部分の「上に」又は「上部に」あるとするとき、これは、他の部分の「真上に」ある場合のみならず、それらの間に他の膜、層、領域、構成要素などが介在している場合も含む。
【0045】
他の定義がなければ、本明細書で使用される全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解される意味として使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義されていない限り、理想的又は過度に解釈されない。
【0046】
一方、本発明を説明するにおいて、関連する公知機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。そして、本明細書で使用される用語(terminology)は、本発明の実施例を適切に表現するために使用された用語であって、これは、使用者、運用者の意図、または本発明の属する分野の慣例などによって変わり得る。したがって、本用語に対する定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて行われるべきである。
【0047】
以下では、
図1A乃至
図1Cを参照して、本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法について説明する。
【0048】
図1A乃至
図1Cは、本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法を示したフローチャート及びグラフである。
【0049】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、水素化物気相蒸着法を用いて行うことができる。
【0050】
水素化物気相蒸着装置は、反応室(reactor)、反応室内に配置されてサファイア(sapphire)基板を支持する基板支持部、反応室に連通するように配置された導入室、及びヒーターを備えることができ、導入室には、キャリアガス(carrier gas)、アンモニア(NH
3)ガス、及び塩化水素(HCl)ガスを供給することができる。
【0051】
また、導入室内には、ガリウム(Ga)を収容した容器が配置されており、導入室内に供給された塩化水素ガスは、容器内のガリウムと反応して塩化ガリウム(GaCl)ガスを生成する。生成された塩化ガリウムガスは、キャリアガス及びアンモニアガスと共に反応室内に供給されて窒化ガリウムを成長させることができる。
【0052】
また、塩化水素ガスの流量は、塩化ガリウムガスの分圧と比例するので、アンモニアガス:塩化ガリウムガスの比(NH
3:GaCl)(x:1)は、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量の比(NH
3:HCl)(x:1)と同一であり得る。
【0053】
キャリアガスとしては、非活性ガスが使用されてもよく、好ましくは、水素(H
2)ガス又は窒素(N
2)ガスであってもよい。
【0054】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、サファイア基板上にアンモニアガスを注入する第1表面処理ステップS110、サファイア基板上にアンモニアガス及び塩化水素ガスを注入してバッファ層を形成するステップS120、及びサファイア基板上にアンモニアガスを注入する第2表面処理ステップS130を含む。
【0055】
その後、サファイア基板上に、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)を段階的に減少(grading)させながら窒化ガリウムを成長させるステップS140を行う。
【0056】
したがって、本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)を段階的に減少させながら窒化ガリウムを成長させて、サファイア基板の表面に窒化ガリウムを均一に成長させることによって、サファイア基板のエッジ(edge)にポリ窒化ガリウム(poly GaN)が集中成長することを防止して、反り現象及び割れ現象を最小化することができる。
【0057】
また、本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、サファイア基板上にアンモニアガスを注入する第1表面処理ステップS110、サファイア基板上にアンモニアガス及び塩化水素ガスを注入してバッファ層を形成するステップS120、及びサファイア基板上にアンモニアガスを注入する第2表面処理ステップS130をそれぞれ分離して図示したが、ステップS110及びS130でも、ステップS120でのようにバッファ層が形成され得る。
【0058】
以下では、
図1A乃至
図1Cを参照して、本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法について詳細に説明する。
【0059】
ステップS110は、サファイア基板上にアンモニアガスを注入する第1表面処理を行う。
【0060】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、サファイア基板を反応室内に装着した後、アンモニアガスを注入して、サファイア基板に第1表面処理を行うことができる。
【0061】
サファイア基板にアンモニアガスを流すと、サファイアの表面に非常に薄い窒化アルミニウム(AlN)膜が形成され得、窒化アルミニウム膜はバッファ層(buffer layer)として使用され得る。
【0062】
例えば、サファイア基板を反応室に装着し、900℃〜1,100℃の温度でアンモニアガスでサファイア基板の表面を10分〜1時間エッチング(etching)処理すると、サファイア基板の材質である酸化アルミニウム(Al
2O
3)とアンモニアガスとが反応して、サファイア基板の表面を窒化アルミニウムに変化させることができる。
【0063】
酸化アルミニウム(Al
2O
3)とアンモニアガスとの反応は、下記の化学式1の通りである。
【0065】
図1B及び
図1Cを参照すると、ステップS110では、塩化水素ガスは注入されず、アンモニアガスのみが注入されるため、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)は0を有する。
【0066】
また、アンモニアガスは、ステップS110で16,000sccm〜18,000sccmの流量で注入することができ、アンモニアガスの流量が16,000sccm以下であると、生成される窒化アルミニウムの量及び大きさが小さくなるという問題があり、18,000sccmを超えると、生成される窒化アルミニウムの量及び大きさが過度に大きくなるという問題がある。
【0067】
ステップS120は、サファイア基板上に前記アンモニアガス及び塩化水素(HCl)ガスを注入してバッファ層を形成する。
【0068】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、サファイア基板が装着された反応室内にアンモニアガス及び塩化水素ガスを注入して、サファイア基板にバッファ層を形成することができる。
【0069】
例えば、サファイア基板を反応室に装着し、900℃〜1,100℃の温度でアンモニアガス及び塩化水素ガスでサファイア基板の表面を10分〜1時間エッチング処理すると、サファイア基板の材質である酸化アルミニウムとアンモニアガス及び塩化水素ガスとが反応して、サファイア基板の表面を窒化アルミニウムに変化させてバッファ層を形成することができる。
【0070】
また、ステップS120は、ステップS110とは異なり、追加的に塩化水素ガスが注入されるため、バッファ層が集中的に形成されて、ステップS110よりも厚い窒化アルミニウムを形成することができる。
【0071】
図1B及び
図1Cを参照すると、ステップS120では、ステップS110と同一の流量でアンモニアガスが注入されるが、ステップS110とは異なり、塩化水素ガスが一定の流量で注入される。
【0072】
また、アンモニアガスは、ステップS120で16,000sccm〜18,000sccmの流量で注入することができ、アンモニアガスの流量が16,000sccm以下であると、生成される窒化アルミニウムの量及び大きさが小さくなるという問題があり、18,000sccmを超えると、生成される窒化アルミニウムの量及び大きさが過度に大きくなるという問題がある。
【0073】
また、塩化水素ガスは、ステップS120で1,000sccm〜2,000sccmの流量で注入することができ、塩化水素ガスの流量が1,000sccm以下であると、窒化アルミニウムが十分に成長しないという問題があり、2,000sccmを超えると、窒化アルミニウムの成長とエッチングが同時に行われてしまい、窒化アルミニウムの形成に問題がある。
【0074】
また、ステップS120は、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)は、11〜13であってもよく、11以下であると、生成される窒化アルミニウムの量及び大きさが小さくなるという問題があり、13を超えると、生成される窒化アルミニウムの量及び大きさが過度に大きくなるという問題がある。
【0075】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、別途の追加工程なしにインサイチュ(in−situ)でバッファ層を形成することによって、工程の難易度を低減させることができる。
【0076】
また、バッファ層は、サファイア基板と、後続工程で成長する窒化ガリウムとの結晶学的差を減少させて、結晶欠陥密度を最小化させることができる。
【0077】
ステップS130は、サファイア基板上にアンモニアガスを注入する第2表面処理を行う。
【0078】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、サファイア基板が装着された反応室内にアンモニアガスを注入して、サファイア基板に第2表面処理を行うことができる。
【0079】
また、第2表面処理は、第1表面処理と同一の方法で行うことができる。
【0080】
サファイア基板にアンモニアガスを流すと、サファイアの表面に非常に薄い窒化アルミニウム(AlN)膜が形成され得、窒化アルミニウム膜は、バッファ層(buffer layer)として使用され得る。
【0081】
例えば、サファイア基板を反応室に装着し、900℃〜1,100℃の温度でアンモニアガスでサファイア基板の表面を10分〜1時間エッチング(etching)処理すると、サファイア基板の材質である酸化アルミニウム(Al
2O
3)とアンモニアガスとが反応して、サファイア基板の表面を窒化アルミニウムに変化させることができる。
【0082】
図1B及び
図1Cを参照すると、ステップS130では、塩化水素ガスは注入されず、アンモニアガスのみが注入されるため、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)は0を有する。
【0083】
また、アンモニアガスは、ステップS130で16,000sccm〜18,000sccmの流量で注入することができ、アンモニアガスの流量が16,000sccm以下であると、生成される窒化アルミニウムの量及び大きさが小さくなるという問題があり、18,000sccmを超えると、生成される窒化アルミニウムの量及び大きさが過度に大きくなるという問題がある。
【0084】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、ステップS110、S120及びS130を用いてバッファ層を形成することによって、窒化ガリウムの表面粗さを低減して、ミラーの表面のような表面を有する窒化ガリウムを成長させることができる。
【0085】
ステップS140は、サファイア基板上にアンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)を段階的に減少させながら窒化ガリウムを成長させる。
【0086】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、サファイア基板が装着された反応室内にアンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)を段階的に減少させながら窒化ガリウムを成長させることができる。
【0087】
また、ステップS140は、ピット窒化ガリウム層(Pit GaN)を成長させるステップS141、及びミラー窒化ガリウム層(Mirror GaN)を成長させるステップS142を含むことができる。
【0088】
ピット窒化ガリウム層は、初期に成長される窒化ガリウムであって、ミラー窒化ガリウム層よりも欠陥が多少多い部分であり、ミラー窒化ガリウム層は、ピット窒化ガリウム層の上部に形成される層であって、鏡の表面のような表面を有する窒化ガリウム層である。ステップS140は、ピット窒化ガリウム層とミラー窒化ガリウム層を区分して説明したが、ピット窒化ガリウム層及びミラー窒化ガリウム層は、成長工程中に自然に形成され得る。
【0089】
図1Bを参照すると、ステップS140の間、アンモニアガスの流量は、時間に応じて段階的に減少するが、塩化水素ガスの流量は、時間に応じて一定に維持され得る。
【0090】
また、実施例によって、ステップS140は、ピット窒化ガリウム層を成長させるステップS141の間は、塩化水素ガスの流量を時間に応じて一定に維持し、ミラー窒化ガリウム層を成長させるステップS142において塩化水素ガスの流量は、ステップS141の塩化水素ガスの流量よりも減少した値に一定に維持させることができる。
【0091】
ミラー窒化ガリウム層を成長させるステップS142において、ミラー窒化ガリウム層の成長速度は、塩化水素ガスの流量(塩化ガリウムの流量)に比例するようになり、ピット窒化ガリウム層と同一の塩化水素ガスの流量(塩化ガリウムの流量)で注入する場合、速い成長速度により多孔性のミラー窒化ガリウム層が形成され得るため、貫通転位密度が高くなることもある。
【0092】
したがって、ミラー窒化ガリウム層の貫通転位密度を低下させるために、成長速度を減少させることができ、成長速度を減少させるために、塩化水素ガスの流量(塩化ガリウムの流量)を減少させることができる。
【0093】
また、
図1Cを参照すると、ステップS140の間、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)は段階的に減少する。
【0094】
好ましくは、ピット窒化ガリウム層を成長させるステップS141では、ピット窒化ガリウム層が形成されるまではアンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)を段階的に減少させ、ミラー窒化ガリウム層を成長させるステップS142では、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)を一定の値に維持させる。
【0095】
したがって、本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、窒化ガリウムの成長時に、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)を段階的に減少させることによって、サファイア基板の表面に窒化ガリウムを均一に成長させることができ、サファイア基板のエッジにポリ窒化ガリウムが集中成長することを防止して、反り現象及び割れ現象を最小化することができる。
【0096】
また、窒化ガリウムの成長時に、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)を段階的に減少させることによって、成長時に発生する応力を最小化することができる。
【0097】
アンモニアガスは、ステップS140で3,000sccm〜20,000sccmの流量で注入することができ、アンモニアガスの流量が3,000sccm以下であると、窒化ガリウムの成長速度が非常に低下するという問題があり、20,000sccmを超えると、多孔性の窒化ガリウムが非常に速く成長するという問題がある。
【0098】
また、塩化水素ガスは、ステップS140で1,000sccm〜3,000sccmの流量で注入することができ、塩化水素ガスの流量が1,000sccm以下であると、窒化ガリウムの成長速度が著しく低下するという問題があり、3,000sccmを超えると、窒化ガリウムの成長速度は増加するが、表面の粗さが増加するという問題がある。
【0099】
また、ステップS140は、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)は2〜10.8であってもよく、2以下であると、窒化ガリウムの成長速度が低下するという問題があり、10.8を超えると、窒化ガリウムの成長速度は増加するが、多孔性の窒化ガリウムが成長するという問題がある。
【0100】
好ましくは、アンモニアガスは、ステップS141で4,000sccm〜20,000sccmの流量で注入することができ、アンモニアガスの流量が4,000sccm以下であると、多孔性の窒化ガリウムが成長しないため、サファイア基板と窒化ガリウムとの間のストレスを低減できないという問題があり、20,000sccmを超えると、多孔性の窒化ガリウムが成長するが、成長した表面の粗さが大きくなるため、窒化ガリウムの成長を妨げるという問題がある。
【0101】
したがって、ステップS141は、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)は2〜10.8であり得、2以下であると、多孔性の窒化ガリウムが成長しないため、窒化ガリウムのクラックを誘発するという問題があり、10.8を超えると、成長した窒化ガリウムの表面の粗さが大きくなるため、窒化ガリウムの成長を妨げることがある。
【0102】
好ましくは、アンモニアガスは、ステップS142で2,000sccm〜4,000sccmの流量で注入することができ、アンモニアガスの流量が2,000sccm以下であると、窒化ガリウムが円滑に成長しないという問題があり、4,000sccmを超えると、多孔性の窒化ガリウムが成長するという問題がある。
【0103】
また、ステップS142は、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)は1〜3であり得、1以下であると、窒化ガリウムの成長速度が低下するという問題があり、3を超えると、多孔性の窒化ガリウムが成長するという問題がある。
【0104】
また、本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比によって、窒化ガリウム基板の反りを制御することができる。
【0105】
したがって、初期の基板の反りの程度に応じて、アンモニアガス:塩化水素ガスの比を調節して、窒化ガリウム基板の反りを制御することができる。また、実施例によって、曲がった形態の窒化ガリウム基板を製造できるので、様々な分野に活用することができる。
【0106】
また、本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、時間に応じてアンモニアガス:塩化水素ガスの比を調節(段階的に減少)するだけでなく、成長する窒化ガリウム層の厚さに応じてアンモニアガス:塩化水素ガスの比を調節(段階的に減少)して、窒化ガリウム基板の反りを制御することができる。
【0107】
ピット窒化ガリウム層は、50μm〜200μmの厚さを有することができる。ピット窒化ガリウム層の厚さが50μm以下であると、サファイア基板と成長した窒化ガリウムとの間のストレスを低減できないという問題があり、200μmを超えると、ミラー窒化ガリウムの厚さを厚く形成できないという問題がある。
【0108】
ミラー窒化ガリウム層は、50μm〜200μmの厚さを有することができる。ミラー窒化ガリウム層の厚さが50μm以下であると、成長した窒化ガリウムの貫通転位(threading dislocation)が減少しないため、欠陥密度が増加するという問題があり、200μmを超えると、成長後に常温へのランプダウン(ramp down)過程でクラックが発生するという問題がある。
【0109】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、窒化ガリウムからサファイア基板を除去して自立(self−standing)構造の窒化ガリウム基板を製造することができる。
【0110】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、成長した窒化ガリウムをエッチング方法、レーザーリフトオフ(laser lift off;LLO)方法、及び機械的方法のうちの少なくとも1つの方法を用いてサファイア基板から分離することができ、好ましくは、レーザーリフトオフ方法を用いることができ、より好ましくは、355nmの紫外線を使用するレーザーリフトオフ方法で分離することができる。
【0111】
例えば、サファイア基板に高電力の紫外線レーザーを照射して窒化ガリウムとサファイア基板とを分離させることができ、使用される紫外線レーザーは、サファイア基板のバンドギャップよりはエネルギーが低く、窒化ガリウムのバンドギャップよりはエネルギーが高いため、紫外線レーザーを照射する場合、サファイア基板を通過し、窒化ガリウムの界面でレーザーエネルギーが印加される。
【0112】
したがって、サファイア基板と窒化ガリウムとの界面を瞬間的に溶かすようになり、サファイア基板と窒化ガリウムとが分離される。しかし、サファイア基板を分離させる工程は、サファイア基板と窒化ガリウムとの境界面に残留物質を残すことがあるが、残留物質は、例えば、エッチング方法によって除去することができる。
【0113】
また、本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、窒化ガリウムを成長させた後、サファイア基板を除去せずに工程を終了することによって、テンプレート基板構造の窒化ガリウム基板を製造することもできる。
【0114】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板は、応力緩和効果による亀裂現象の減少、及び成長モードの調節による欠陥密度の減少により、サファイア基板上に厚さ300μm以上及び直径50.8mm(2inch)以上の窒化ガリウム厚膜が成長しても、欠陥、反り及び亀裂が発生せず、厚さの面で、窒化ガリウム厚膜は無限大に成長可能である。
【0115】
本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法の好ましい実施例は、下記の実施例1の通りである。
【0117】
サファイア基板を水素化物気相成長反応室に装入した後、950℃の温度でアンモニアガスを流しながら第1表面処理を行い、アンモニアガス及び塩化水素ガスを流しながら窒化アルミニウムバッファ層を形成し、再びアンモニアガスを流しながら第2表面処理を行った。
【0118】
次いで、水素化物気相成長反応室のガリウム容器にガリウムを積載して位置させ、温度を850℃に維持しながら塩化水素ガスを流して、塩化ガリウム気体を生成した。他の注入口を介してアンモニアガスを段階的に減少させながら流す(アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比(x:1)を段階的に減少)ことによって、950℃で約300μmの厚さの窒化ガリウムをサファイア単結晶基板上に成長させた。
【0119】
また、工程の信頼性をテストするために、同一の工程により10個の窒化ガリウム基板を製造した。
【0120】
本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法の工程条件は、表1の通りである。
【0121】
表1は、本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法の工程条件を示した表である。
【0123】
本発明の実施例1に係る水素化物気相蒸着法を用いた窒化ガリウム基板の製造方法は、第1表面処理及び第2表面処理の間、アンモニアガスのみを16,800sccmの流量で注入した。
【0124】
また、第1表面処理を行った後、アンモニアガスを同一に16,800sccmの流量で注入し、塩化ガリウムを1,400sccmの流量(=塩化水素の流量)で注入して、バッファ層を形成した。
【0125】
また、本発明の実施例1に係る水素化物気相蒸着法を用いた窒化ガリウム基板の製造方法は、サファイア基板上に、アンモニアガス:塩化ガリウムガス(アンモニアガス:塩化水素ガス)の流量比を16段階で減少させながら窒化ガリウムを成長させ、そのうち、ピット窒化ガリウム層を成長させる工程を15段階で行い、ミラー窒化ガリウム層を成長させる工程は1段階で行った。
【0126】
表1に示すように、窒化ガリウムが成長する間、アンモニアガスの流量は段階的に減少し、それぞれの段階(1段階〜16段階)でのアンモニアガスは、一定時間あるいは一定厚さの間に同一の流量で注入される。
【0127】
反面、塩化ガリウム(塩化水素)ガスは、窒化ガリウムが成長する間、同一の流量で持続的に注入される。したがって、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比は、段階的に次第に減少する。
【0129】
水素化物気相成長反応室のガリウム容器にガリウムを積載して位置させ、温度を850℃に維持しながら1,800sccmの塩化水素ガスを流して、1,800sccmの塩化ガリウム気体を生成した。他の注入口を介して19,600sccmのアンモニアガスを供給して、アンモニアガス:塩化水素ガスの流量比10.8:1で流すことによって、990℃で約100μmのピット窒化ガリウム層及び200μmのミラー窒化ガリウム層を成長させて、300μmの厚さの窒化ガリウムをサファイア単結晶基板上に成長させた。
【0130】
また、工程の信頼性をテストするために、同一の工程により10個の窒化ガリウム基板を製造した。
【0132】
比較例1の工程において、100μmのピット窒化ガリウム層の厚さを75μmにする代わりに、225μmのミラー窒化ガリウム層を成長させることで、300μmの厚さの窒化ガリウムを成長させた以外は、比較例1と同様の方法で窒化ガリウム基板を製造した。
【0134】
比較例1の工程において、ミラー窒化ガリウムの成長厚さを200μmの代わりに180μmに成長させた以外は、比較例1と同様の方法で窒化ガリウム基板を製造した。
【0136】
比較例1の工程において、ミラー窒化ガリウムの厚さを200μmの代わりに220μmに成長させた以外は、比較例1と同様の方法で窒化ガリウム基板を製造した。
【0138】
比較例1の工程において、ミラー窒化ガリウムの成長厚さを200μmの代わりに175μmに成長させた以外は、比較例1と同様の方法で窒化ガリウム基板を製造した。
【0140】
比較例1の工程において、ミラー窒化ガリウムの成長厚さを200μmの代わりに205μmに成長させた以外は、比較例1と同様の方法で窒化ガリウム基板を製造した。
【0141】
以下では、
図2乃至
図5Cを参照して、本発明の実施例に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板の特性について説明する。
【0142】
図2は、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板及び比較例1〜比較例6によって製造された窒化ガリウム基板の厚さを示したグラフである。
【0143】
表2は、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板及び比較例1〜比較例6によって製造された窒化ガリウム基板の厚さを示した表である。
【表2】
【0144】
図2及び表2を参照すると、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板は、比較例1〜比較例6に比べて、均一な厚さを有する窒化ガリウム基板が製造される。
【0145】
図3は、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって窒化ガリウム基板の製造時及び比較例1〜比較例6によって窒化ガリウム基板の製造時に、レーザーリフトオフの前の窒化ガリウム基板の反りを示したグラフである。
【0146】
表3は、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって窒化ガリウム基板の製造時及び比較例1〜比較例6によって窒化ガリウム基板の製造時に、レーザーリフトオフの前の窒化ガリウム基板の反りを示した表である。
【0148】
図3及び表3を参照すると、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板は、比較例1〜比較例6による水素化物気相蒸着法を用いた窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板と類似の反りを有する。
【0149】
図4は、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって窒化ガリウム基板の製造時及び比較例1〜比較例6によって窒化ガリウム基板の製造時に、レーザーリフトオフ工程を通じてサファイア基板を分離した後の窒化ガリウム基板の反りを示したグラフである。
【0150】
表4は、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって窒化ガリウム基板の製造時及び比較例1〜比較例6によって窒化ガリウム基板の製造時に、レーザーリフトオフ工程を通じてサファイア基板を分離した後の窒化ガリウム基板の反りを示した表である。
【0152】
図4及び表4を参照すると、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板は、比較例1〜比較例6による窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板に比べて小さい反り値を有する。
【0153】
一般に、窒化ガリウム基板は、平均反り値が−30μmを有することが理想的である。
【0154】
本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板は、平均反り値が−50μmを有する。
【0155】
したがって、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法は、サファイア基板の表面に窒化ガリウムを均一に成長させて、サファイア基板のエッジにポリ窒化ガリウムが集中成長することを防止して、反りを最小化し、窒化ガリウムの成長時に発生する応力を最小化して、割れのない窒化ガリウム基板を製造することができる。
【0156】
図5A乃至
図5Cは、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板のミラー窒化ガリウム層(170μm)を示した走査電子顕微鏡−陰極線発光(SEM−Cathodoluminescence)イメージである。
【0157】
図5A乃至
図5Cを参照すると、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板のミラー窒化ガリウム層の欠陥比率が非常に少なく、均一に形成されることがわかる。
【0158】
また、
図5Aに示された、ミラー窒化ガリウム層の表面の中央部分の貫通転位(threading dislocation;TDD)は、1.31×10
7cm
−2であり、
図5Bに示された、ミラー窒化ガリウム層の表面の左側エッジ部分の貫通転位は、6.16×10
6cm
−2であり、
図5Cに示された、ミラー窒化ガリウム層の表面の右側エッジ部分の貫通転位は、7.63×10
6cm
−2であった。
【0159】
したがって、本発明の実施例1に係る窒化ガリウム基板の製造方法によって製造された窒化ガリウム基板の貫通転位が減少するということがわかる。
【0160】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施例と図面によって説明されたが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、このような記載から様々な修正及び変形が可能である。
【0161】
したがって、本発明の範囲は説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められなければならない。