(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709854
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】メンブレインフィルムを用いた化粧用パフの製作方法、及びこれを用いて製造された化粧用パフ
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20200608BHJP
【FI】
A45D34/04 535Z
A45D34/04 535C
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-550316(P2018-550316)
(86)(22)【出願日】2016年12月12日
(65)【公表番号】特表2018-537260(P2018-537260A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】KR2016014510
(87)【国際公開番号】WO2017105045
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2018年6月13日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0178052
(32)【優先日】2015年12月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517211883
【氏名又は名称】コスメッカコリア シーオー.、 エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100081318
【弁理士】
【氏名又は名称】羽切 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100132458
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 圭代
(74)【代理人】
【識別番号】100165146
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 博喜
(72)【発明者】
【氏名】ゾ,ヒョン デ
(72)【発明者】
【氏名】アン,ヒョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョン ムン
【審査官】
石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開実用新案第20−2010−0011637(KR,U)
【文献】
国際公開第2011/024578(WO,A1)
【文献】
実開昭62−061612(JP,U)
【文献】
特表2003−511127(JP,A)
【文献】
特開2004−313791(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/183055(WO,A1)
【文献】
特開2005−349194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一面がメンブレインフィルムからなる液状化粧料貯留部を形成する内皮10と、
前記内皮10の外側面の全体又は一部を覆う多孔性のクッション材20と、
前記内皮10又は前記クッション材20を覆い、外部のメイクアップ化粧料又は外部のバクテリアの浸透を遮断させる外皮30と、
前記液状化粧料貯留部に貯留される液状化粧料40と、
前記内皮10の一部の内側面にコーティングされるコート膜50とを含み、
前記内皮10のメンブレインフィルムは、ポアサイズが0.025〜0.2μmである多孔性であり、貯留された液状化粧料を、所定の加圧力(F)により、前記メンブレインフィルムの数多い気孔を介して外部に吐出させることを特徴とするメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項2】
前記メンブレインフィルムは、親水性材質又は疎水性材質であることを特徴とする請求項1に記載のメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項3】
前記メンブレインフィルムは、親水性材質として、再生セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、及びポリアミド、ガラス、及び酸化アルミニウム(アルミナ)より選ばれたいずれか1つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項4】
前記親水性材質のメンブレインフィルムの厚さは、0.01〜0.24mmであることを特徴とする請求項3に記載のメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項5】
前記親水性材質のメンブレインフィルムの空気透過性は、0.1〜1.2cfmであることを特徴とする請求項3に記載のメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項6】
前記メンブレインフィルムは、疎水性材質として、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びナイロンより選ばれたいずれか1つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項7】
前記疎水性材質のメンブレインフィルムの厚さは、0.001〜0.02mmであることを特徴とする請求項6に記載のメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項8】
前記疎水性材質のメンブレインフィルムの空気透過性は、0.1〜1.4cfmであることを特徴とする請求項6に記載のメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項9】
前記内皮10は、内皮上面10aと内皮下面10bとに分けられ、
前記内皮上面10aは、メンブレインフィルムからなり、前記内皮下面10bは、指によって加圧される面に対応する面であり、貯留された液状化粧料が指方へ吐出しないように、内皮下面10bの内側面に前記コート膜50を形成して、防水コーティング処理を行うか、前記内皮下面10b自体を防水材質で形成することを特徴とする請求項1に記載のメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項10】
前記外皮30は、液状化粧料は通過させ、外部からのメイクアップ化粧料やバクテリアの浸透を遮断させるルビーセル材質又はNBR材質であることを特徴とする請求項1に記載のメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項11】
前記液状化粧料貯留部に貯留される液状化粧料40は、皮膚に水分と栄養を供給して保湿効果を与えるエッセンスや、化粧水、又は植物性及び動物性オイルのいずれか1つ、又は、これらが混合した液状化粧料であることを特徴とする請求項1に記載のメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項12】
メンブレインフィルムからなる内皮上面10aと、コート膜50がコーティングされた下部外皮30bとが、液状化粧料貯留部を形成し、
多孔性の上部クッション材20aが前記内皮上面10aの外側面を覆い、上部外皮30aが前記上部クッション材20aを覆い、
前記液状化粧料貯留部に液状化粧料40が貯留されて、
前記メンブレインフィルムは、ポアサイズが0.025〜0.2μmである多孔性であり、貯留された液状化粧料を、所定の加圧力(F)により、前記メンブレインフィルムの数多い気孔を介して外部に吐出させることを特徴とするメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項13】
メンブレインフィルムからなる内皮上面10aと、コート膜50がコーティングされた下部外皮30bとが、液状化粧料貯留部を形成し、
上部外皮30aが前記内皮上面10aの外側面を覆い、
前記液状化粧料貯留部に液状化粧料40が貯留されて、
前記メンブレインフィルムは、ポアサイズが0.025〜0.2μmである多孔性であり、貯留された液状化粧料を、所定の加圧力(F)により、前記メンブレインフィルムの数多い気孔を介して外部に吐出させることを特徴とするメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ。
【請求項14】
(S1) 内皮10の少なくとも一面がメンブレインフィルムからなる液状化粧料貯留部を形成するステップと、
(S2) 前記液状化粧料貯留部内に液状化粧料を充填するステップと、
(S3) 前記内皮10の外側面の全体又は内皮上面10aを多孔性のクッション材20で覆うステップと、
(S4) 前記内皮10又は前記クッション材20の外側面を外皮30で覆うステップとを含み、
前記メンブレインフィルムは、ポアサイズが0.025〜0.2μmである多孔性であり、貯留された液状化粧料を、所定の加圧力(F)により、前記メンブレインフィルムの数多い気孔を介して外部に吐出させ、
前記外皮30は、液状化粧料を通過させ、外部のメイクアップ化粧料又はバクテリアの浸透を遮断させることを特徴とするメンブレインフィルムを用いた化粧用パフの製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンブレインフィルムを用いた化粧用パフに関し、詳しくは、フィルター役割を果たすメンブレインフィルムを用いて、エッセンス、化粧水、及びオイルなどの液状化粧料を内蔵したパフを製作することにより、使用時の圧力だけで、液状化粧料がパフの外に吐出して、皮膚保湿及び収斂効果を与えることができ、パフが皮膚の保湿成分を吸収して皮膚を乾燥させることを防止し、且つ、外部の内容物又はバクテリアが内部に浸透することを防止するメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ製作方法、及びこれを用いて製造された化粧用パフに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、化粧料は、機能により、基礎化粧品、メイクアップ化粧品などに区分され、該当化粧料は、状態によって、クリーム、粉末、液状に区分され、各状態に合う容器に保管される。
【0003】
この際、メイクアップベースとして用いられるファンデーションのような色調化粧料を、顔や皮膚にまんべんなく密着して塗るために用いるものが化粧用パフ(puff)である。
【0004】
このようなパフは、綿、スポンジ、発泡NBR、ポリエステル、ナイロン、アクリル、又はアセテートからなり、弾力性のパッドタイプであって、一般に、化粧品容器と共に収納される。このように、化粧品容器に収納されたパフを用いて化粧する際は、パフが収納された化粧品容器からパフを取出し、パフの底面に化粧料をつけて使用することになる。
【0005】
しかし、このように、パフに化粧料をつけて皮膚にまんべんなく塗るとき、パフは、化粧料及び皮膚の保湿成分を吸収して、皮膚を乾燥させることがある。
【0006】
また、粉末状の化粧料は、長時間大気中に晒されると、粉末に含有されたオイルや水分が大気中に蒸発して、化粧料がパフに付け難いことで、化粧料を皮膚に均一に塗ることができないという問題もある。
【0007】
前記のような問題点を解決するために、実用新案登録番号第20−0456829号には、クッション体の内部に液体を貯留した液体貯留部が形成され、液体貯留部の一面には、外皮に向けて液体を吐出させる吐出口と、漏れ防止膜が形成され、液体貯留部がバネ復元力を有するゴム又は合成樹脂のいずれか1つからなり、液体貯蔵部を加圧することによって、液体が吐出口を介して排出するように形成されたパフを開示している。
【0008】
しかし、前記のような吐出口と漏れ防止膜の構造は、内部液体がスムーズに吐出されないという不都合があり、これを改善した吐出口の開閉を調節するスクリュー構造は、その構造が複雑であり、パフが容易に代替可能な代替品であることに鑑みると、非経済的であり、且つ使い勝手の悪いという問題点がある。
【0009】
また、内部液体化粧料のため濡らされたパフ部分を通じて、外部からバクテリアがパフに寄生するか、内部液体貯留部まで浸透することを防止できないという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特許文献1:大韓民国実用新案登録公報第20−0456829号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記のような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、フィルター役割を果たすメンブレインフィルムを用いて、エッセンス、化粧水、及びオイルなどの液状化粧料を内蔵したパフを製作することにより、使用時の圧力だけで、液状化粧料がパフの外に吐出されて、皮膚保湿及び収斂効果を与えることができ、パフが皮膚の保湿成分を吸収して皮膚を乾燥させることを防止し、且つ、外部の内容物又はバクテリアが内部に浸透することを防止するメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ製作方法、及びこれを用いて製造された化粧用パフを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した問題を解決するために、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフは、少なくとも一面がメンブレインフィルムからなる液状化粧料貯留部を形成する内皮10と、前記内皮10の外側面の全体又は一部を覆う多孔性のクッション材20と、前記内皮10又は前記クッション材20を覆い、外部のメイクアップ化粧料又は外部のバクテリアの浸透を遮断させる外皮30と、前記液状化粧料貯留部に貯留される液状化粧料40と、前記内皮10の一部の内側面にコーティングされるコート膜50とを含み、戦記内皮10のメンブレインフィルムは
、ポアサイズが0.025〜0.2μmである多孔性であり、貯留された液状化粧料を、所定の加圧力(F)により、前記メンブレインフィルムの数多い気孔を介して外部に吐出させることを特徴とする。
【0014】
前記メンブレインフィルムは、親水性材質又は疎水性材質である。
【0015】
前記メンブレインフィルムは、親水性材質として、再生セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、及びポリアミド、ガラス、及び酸化アルミニウム(アルミナ)より選ばれたいずれか1つである。
【0016】
前記親水性材質のメンブレインフィルムの厚さは、0.01〜0.24mmである。
【0017】
前記親水性材質のメンブレインフィルムの空気透過性は、0.1〜1.2cfmである。
【0018】
前記メンブレインフィルムは、疎水性材質として、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びナイロンより選ばれたいずれか1つである。
【0019】
前記疎水性材質のメンブレインフィルムの厚さは、0.001〜0.02mmである。
【0020】
前記疎水性材質のメンブレインフィルムの空気透過性は、0.1〜1.4cfmである。
【0022】
前記内皮10は、内皮上面10aと内皮下面10bとに分けられ、前記内皮上面10aは、メンブレインフィルムからなり、前記内皮下面10bは、指によって加圧される面に対応する面であり、貯留された液状化粧料が指方へ吐出しないように、内皮下面10bの内側面に前記コート膜50を形成して、防水コーティング処理を行うか、前記内皮下面10b自体を防水材質で形成する。
【0023】
前記外皮30は、液状化粧料は通過させ、外部からのメイクアップ化粧料やバクテリアの浸透を遮断させるルビーセル材質又はNBR材質である。
【0024】
前記液状化粧料貯留部に貯留される液状化粧料40は、皮膚に水分と栄養を供給して保湿効果を与えるエッセンスや、化粧水、又は植物性及び動物性オイルのいずれか1つ、又は、これらが混合した液状化粧料である。
【0025】
また、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフは、メンブレインフィルムからなる内皮上面10aと、コート膜50がコーティングされた下部外皮30bとが、液状化粧料貯留部を形成し、多孔性の上部クッション材20aが前記内皮上面10aの外側面を覆い、上部外皮30aが前記上部クッション材20aを覆い、前記液状化粧料貯留部に液状化粧料40が貯留されて、前記メンブレインフィルムは
、ポアサイズが0.025〜0.2μmである多孔性であり、貯留された液状化粧料を、所定の加圧力(F)により、前記メンブレインフィルムの数多い気孔を介して外部に吐出させることを特徴とする。
【0026】
さらに、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフは、メンブレインフィルムからなる内皮上面10aと、コート膜50がコーティングされた下部外皮30bとが、液状化粧料貯留部を形成し、上部外皮30aが前記内皮上面10aの外側面を覆い、前記液状化粧料貯留部に液状化粧料40が貯留されて、前記メンブレインフィルムは
、ポアサイズが0.025〜0.2μmである多孔性であり、貯留された液状化粧料を、所定の加圧力(F)により、前記メンブレインフィルムの数多い気孔を介して外部に吐出させることを特徴とする。
【0027】
なお、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフの制作方法は、(S1) 内皮10の少なくとも一面がメンブレインフィルムからなる液状化粧料貯留部を形成するステップと、(S2) 前記液状化粧料貯留部内に液状化粧料を充填するステップと、(S3) 前記内皮10の外側面の全体又は内皮上面10aを多孔性のクッション材20で覆うステップと、(S4) 前記内皮10又は前記クッション材20の外側面を外皮30で覆うステップとを含み、前記メンブレインフィルムは
、ポアサイズが0.025〜0.2μmである多孔性であり、貯留された液状化粧料を、所定の加圧力(F)により、前記メンブレインフィルムの数多い気孔を介して外部に吐出させ、前記外皮30は、液状化粧料を通過させ、外部のメイクアップ化粧料又はバクテリアの浸透を遮断させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明のメンブレインフィルムを用いて製作された化粧用パフは、使用時の圧力だけで、エッセンス、化粧水、及びオイルなどの液状化粧料がパフの外に吐出されて、皮膚保湿及び収斂効果を与え、皮膚を乾燥させることを防止し、且つ、外部の内容物又はバクテリアが内部に浸透することを防止する効果がある。
【0030】
具体的に、液状化粧料は、通過させ、外部からメイクアップ化粧料又はバクテリアなどの浸透を遮断させる材質の外皮を用いることにより、外皮につけられたメイクアップ化粧料が顔皮膚により均一に密着して塗布されるようにし、外部から浸透するバクテリアなどを1次的に遮断することができる。
【0031】
また、使用する外皮材質によって、メイクアップ化粧料又はバクテリアなどが外皮内に浸透しても、外皮内側に設けられたメイクアップ化粧料又はバクテリアなどのポアサイズより相対的に小さいポアサイズを有するメンブレインフィルムによって、メイクアップ化粧料又はバクテリアなどが液状化粧料貯留部まで浸透することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフを示す斜視図であって、貯留部の液状化粧料が外部に吐出されて、外皮がしっとりした状態を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフの好適な一実施例の一部断面図である。
【
図3】
図3は、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフの好適な一実施例の加圧力により、貯留部の液状化粧料が外部に吐出され、外部のバクテリアが浸透遮断されることを示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図3のメンブレインフィルムからなる内皮上面、上部クッション材、上部外皮の結合状態、及び化粧料の通過とバクテリア浸透の遮断を斜視図で示す図である。
【
図5】
図5の(a)、(b)、(c)は、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフの好適な実施例及び他の実施例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフの製作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、添付の図面により、本発明の好適な実施例を詳しく説明する。
【0034】
図1は、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフを示す斜視図であって、貯留部の液状化粧料が外部に吐出されて、外皮がしっとりした状態を示す図、
図2は、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフの好適な一実施例の一部断面図、
図3は、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフの好適な一実施例の加圧力により、貯留部の液状化粧料が外部に吐出され、外部のバクテリアが浸透遮断されることを示す断面図、
図4は、
図3のメンブレインフィルムからなる内皮上面、上部クッション材、上部外皮の結合状態、及び化粧料の通過とバクテリア浸透の遮断を斜視図で示す図、
図5の(a)、(b)、(c)は、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフの好適な実施例及び他の実施例を示す断面図、
図6は、本発明によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフの製作フローチャートである。
【0035】
図1乃至
図4、
図5の(a)に示しているように、本発明の好適な実施例によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ1は、少なくとも一面がメンブレインフィルムからなる液状化粧料貯留部を形成する内皮10と、前記内皮10の外側面の全体又は一部を覆う多孔性のクッション材20と、前記内皮10又はクッション材20を覆い、外部よりバクテリアの浸透を遮断する外皮30と、前記液状化粧料貯留部に貯留された液状化粧料40と、前記内皮の内側面にコーティングされるコート膜50とを含む。
【0036】
内皮10は、液状化粧料の貯留が可能であり、且つ、所定の加圧力(F)で、貯留された液状化粧料を外皮に吐出させるものであり、化粧水などの液状化粧料を貯留するために、丸形且つフラットの袋状であり、内皮上面10aと内皮下面10bとに分けられる。ここで、顔皮膚に接触される面に対応する内皮の少なくとも一面、即ち、内皮上面10aを、メンブレインフィルムで形成する。
【0037】
内皮10の少なくとも一面をメンブレインフィルムで形成することは、貯留された液状化粧料を、所定の加圧力(F)により、メンブレインフィルムを介して外部に吐出させるためである。勿論、内皮上面10aと内皮下面10bとをメンブレインフィルムで形成することもできる。
【0038】
メンブレインフィルムの材質は、親水性又は疎水性材質であり、液状化粧料を選択的に通過させる材質であれば、特に制限はない。
【0039】
ここで、親水性材質は、分子膜として、再生セルロース、ニトロセルロース(Nitrocellulose)、酢酸セルロース(Cellulose acetate)、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol)、及びポリアミド(Polyamide)が使用可能であり、セラミックス膜として、ガラス、酸化アルミニウム(アルミナ)が使用可能である。
【0040】
このような親水性材質のメンブレインフィルムの厚さは、0.01〜0.24mm、望ましくは0.12mmであり、空気透過性(Air Permeability)は、0.1〜1.2cfm、望ましくは0.6cfm(cubic feet per minute)である。
【0041】
また、疎水性材質として、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びナイロンが使用可能である。
【0042】
このような疎水性材質のメンブレインフィルムの厚さは、0.001〜0.02mm、望ましくは0.01mmであり、空気透過性は、0.1〜1.4cfm、望ましくは0.7cfmである。
【0043】
一方、疎水性材質に、スルホン基又はカルボニル基の親水基を導入して、親水性で処理することもできる。疎水性材質に親水性を付与する方法として、親水性高分子層を物理的吸着又は化学的コーティングする方法、放射線又は低温プラズマを用いて、分離膜内に親水性セグメントを導入する方法、樹脂内に無機材料を添加する方法、親水性高分子又は両方の高分子を用いて、キャスト溶液内に配合させる方法が使用可能である。
【0044】
メンブレインフィルムの数多い気孔の径、すなわち、ポアサイズは、略0.025〜0.2μmであり、これよりも小サイズの液状化粧料は、使用者の加圧だけで、メンブレインフィルムを通してパフの外に吐出される。また、パフの外部に塗布される固形のメイクアップ化粧料や、パフに沈積されたメイクアップ化粧料又はバクテリアなどは、これよりもポアサイズが大きいため、パフの内部、望ましくは液状化粧料貯留部への浸透が防止される。このように、相対的に小サイズのポアを有するメンブレインフィルムを外皮の内側に設けることにより、メイクアップ化粧料又はバクテリアなどが、使用の外皮材質によって外皮の内部に浸透しても、メンブレインフィルムにより、液状化粧料貯留部まで浸透することを防止することになる。
【0045】
また、内皮下面10bは、指によって加圧される面に対応する面であり、貯留された液状化粧料が指方へ吐出されないように、内皮下面10bの内側面にコート膜50を設けて、防水コーティング処理を行うか、内皮下面10b自体を防水材質で形成する。
【0046】
ここで、内皮上面10aと内皮下面10bは、熱融着又は接着により密封することができる。
【0047】
クッション材20は、多孔性材質であって、上部クッション材20aと下部クッション材20bとに分けられ、内皮10の外側面の全体又は内皮上面10aを覆うように設けられる。このようにクッション材を設けることにより、メンブレインフィルムを通過した液状化粧料は、外皮に伝達されると共に、クッション材の弾性力により、外皮には、適量のメイクップ化粧料がつけられ、皮膚には、メイクアップ化粧料の塗布性がよくなって、密着力を高めることができる。
【0048】
本発明では、クッション材20(20a、20b)を構成要素として説明しているが、外皮の材質により、省略してもよい。
【0049】
外皮30は、液状化粧料は通過させ、外部からのメイクアップ化粧料やバクテリアなどの浸透を遮断する材質であって、上部外皮30aと下部外皮30bとに分けられ、内皮10又はクッション材20の外側面を覆うように設けられる。
【0050】
外皮30としては、ポリウレタンのような合成樹脂からなる抗菌力に優れているルビーセル(Rubycell)材質、又は連続気孔多孔質体からなるクッション感と衝撃吸収に優れ、オイルに対する抵抗性を有する耐油性のNBR(Nitrile Butadiene Rubber)材質が望ましい。
【0051】
このような外皮材質は、内部から吐出される液状化粧料を外部に貫通させるので、液状化粧料でしっとりした外皮は、外皮につけられたメイクアップ化粧料が顔皮膚により均一で密着して塗布されるようにし、外部から浸透するバクテリアなどを1次的に遮断させる。
【0052】
外皮材質として、各種のラテックススポンジ、植毛(FLOCKING;Poly Urethane Flocked Foam)スポンジ、PVA(Poly Vinyl Alcohol)スポンジ、SBR(Styrene Butadiene Rubber)、NR(Natural Rubber)、又はNBR、SBR、NR原料を混合してなるラテックス素材の気孔多孔質体も使用することができる。
【0053】
液状化粧料貯留部に貯留された液状化粧料40は、皮膚に水分と栄養を供給して、保湿効果を与えるエッセンスや化粧水、又は皮膚にやさしい植物性及び動物性オイルのいずれか1つ、又はこれらが混合した液状化粧料からなる。このような液状化粧料40は、キサンタンガムやカルボマーのような増粘剤による分子間の凝集力によってゲル化状態に維持されるので、一定の圧力(F)で加圧しない場合は、メンブレインフィルムの外に吐出されなくなる。
【0054】
外皮の外に吐出された液状化粧料は、メイクアップ化粧料の使用に際して、顔皮膚に水分などを供給する。
【0055】
コート膜50は、液状化粧料が吐出しない内皮10の内側面にコーティングされるもので、加圧する指が位置する面に対応する内皮下面10bの内側面にコーティングされる。これは、貯留された液状化粧料40が、加圧する指が位置する方に吐出しないようにするためである。
【0056】
ここで、コート液としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリレート・アクリルアミドコーポリマ、ロジン、ワックス、シリコン樹脂類より選ばれた1種以上のコート製剤を、精製水、アルコール、イソドデカン、ミネラルオイルの溶媒で溶解して製造されたコート液を使用することができるが、これに限るものではない。
【0057】
図3及び
図4における矢印pは、バクテリアなどが浸透しないことを示し、矢印tは、貯留された液状化粧料40が、加圧力(F)により、メンブレインフィルム、クッション材、外皮の外に吐出されることを示している。
【0058】
また、本発明の好適な他の実施例によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ1は、
図5の(b)に示しているように、メンブレインフィルムからなる内皮上面10aと、コート膜50がコーティングされた下部外皮30bとが、液状化粧料貯留部を形成している。また、多孔性の上部クッション材20aが前記内皮上面10aの外側面を覆い、上部外皮30aが上部クッション材20aを覆っており、前記液状化粧料貯留部に液状化粧料40が貯留される構成を有する。
【0059】
また、本発明の好適な他の実施例によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ1は、
図5の(c)に示しているように、メンブレインフィルムからなる内皮上面10aと、コート膜50がコーティングされた下部外皮30bとが、液状化粧料貯留部を形成し、上部外皮30aが前記内皮上面10aの外側面を覆い、前記液状化粧料貯留部に液状化粧料40が貯留される構成を有する。
【0060】
また、
図6に示しているように、本発明の好適な実施例によるメンブレインフィルムを用いた化粧用パフ1の製作方法は、下記の通りである。
【0061】
(S1) 内皮10の少なくとも一面が、メンブレインフィルムからなる液状化粧料貯留部を形成するステップ
化粧水などの液状化粧料を貯留するために、丸形且つフラットな袋状の内皮10で液状化粧料貯留部を形成し、顔皮膚に接触する面に対応する内皮上面10aを、メンブレインフィルムで構成する。
【0062】
(S2) 液状化粧料貯留部内に液状化粧料を充填するステップ
メンブレインフィルムからなる内皮上面10aと、防水コーティング処理された内皮下面10bとからなる液状化粧料貯留部内に、注射器や他の注入手段により、化粧水のような液状化粧料を注入する。注入部分は、バネ復元力に優れるゴム材質で形成するか、その他の様々な方法で密封処理することで、注入後の注入部分より、内部の液状化粧料が漏れない。
【0063】
(S3) 内皮10の外側面の全体又は内皮上面10aを多孔性のクッション材20で覆うステップ
多孔性材質のクッション材20で、内皮10の外側面の全体又は内皮上面10aを覆うことにより、メンブレインフィルムを通過した液状化粧料が外皮に伝達されると共に、クッション材の弾性力によって、外皮に適量のメイクアップ化粧料がつけられるようにして、皮膚にはメイクアップ化粧料の塗布性を良くして密着力を高める。
【0064】
(S4) 内皮10又はクッション材20の外側面を外皮30で覆うステップ
内皮10又はクッション材20の外側面を、液状化粧料は通過させ、外部バクテリアの浸透を遮断する材質の外皮30で覆う。
【0065】
ここで、ルビーセル材質又はNBR材質からなる外皮が、内部より吐出される液状化粧料を外部に貫通させて含有しているので、液状化粧料によりしっとりした外皮は、外皮につけられたメイクアップ化粧料が顔皮膚に更に均一に密着して塗布されるようにし、また、外部から浸透するバクテリアなどは遮断させる。
【0066】
また、化粧用パフは、平断面が円状であることを示しているが、これに限るものではなく、使用用途や趣向に合わせて、四角形、三角形、多角形、及び楕円形など、様々な形状で製作することができる。
【0067】
更に、本発明による化粧用パフにおいては、メンブレインフィルムが内皮の全体又は内皮上面の全体を形成するように示しているが、これに限るものではなく、内皮上面の一定の範囲にのみ設けてもよい。
【0068】
以上で本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、下記の請求範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形及び改良形態も、本発明の権利範囲に属する。