特許第6709858号(P6709858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧 ▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6709858-スタンドの位置検出装置 図000002
  • 特許6709858-スタンドの位置検出装置 図000003
  • 特許6709858-スタンドの位置検出装置 図000004
  • 特許6709858-スタンドの位置検出装置 図000005
  • 特許6709858-スタンドの位置検出装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709858
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】スタンドの位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   B62H 1/02 20060101AFI20200608BHJP
   B62J 45/40 20200101ALI20200608BHJP
【FI】
   B62H1/02 B
   B62H1/02 Z
   B62J45/40
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-558949(P2018-558949)
(86)(22)【出願日】2017年12月4日
(86)【国際出願番号】JP2017043465
(87)【国際公開番号】WO2018123450
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年3月22日
(31)【優先権主張番号】特願2016-255864(P2016-255864)
(32)【優先日】2016年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 恭造
(72)【発明者】
【氏名】山下 明彦
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−130314(JP,A)
【文献】 特開2011−047656(JP,A)
【文献】 特開2005−227095(JP,A)
【文献】 特開2005−209812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 1/02
B62J 45/40
G01D 5/12
H01H 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフレーム側に取り付けられる固定部と、前記固定部に対して回動軸を中心に回動可能なスタンドバーとを有するスタンドに用いられ、前記スタンドバーの位置を検出する装置であって、
前記スタンドバーの回動に伴って移動する移動部材と、
前記移動部材に装着された磁気発生部材と、
前記固定部側に取り付けられるケース部材とを備え、
前記ケース部材は、前記磁気発生部材の位置の変化を検出可能な磁気センサと、入力端と出力端を有して前記磁気センサの検出結果を外部に出力する外部接続端子とを備え、
前記磁気センサは、センサ本体と、前記センサ本体から突出するリード端子とを備え、
前記センサ本体が前記磁気発生部材に対して前記回動軸の軸方向に対向して配置され、
前記外部接続端子の前記入力端と前記リード端子とが直接接合されてなり、
前記ケース部材は、前記センサ本体と前記入力端との間に前記リード端子を挟持する挟持突起を有し、
前記入力端は、前記リード端子を挟持する挟持溝を有し、前記磁気センサを前記ケース部材に装着した際に、前記リード端子が前記入力端の挟持溝によって挟持されてなり、
前記ケース部材は、前記入力端が突出し、前記磁気センサを収納する収納凹部を備え、前記収納凹部内が絶縁樹脂により充填され、
前記ケース部材の表面側に形成されたセンサ用凹部の底面から、前記入力端および前記挟持突起が突出していること
を特徴とするスタンドの位置検出装置。
【請求項2】
前記外部接続端子は、前記外部接続端子の出力端が前記磁気センサに対して前記磁気発生部材側にオフセットされて配置され、前記入力端が前記リード端子に向けて前記回動軸の軸方向に突出されている、請求項1に記載のスタンドの位置検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車に回動自在に設けられたメインスタンドやサイドスタンドバーの位置を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二輪車に装着されているサイドスタンドは、サイドスタンドバーが二輪車の停止時に起立位置に下ろされて二輪車を支え、二輪車の走行時には収納位置に収納されて走行に支障のない状態で保持される。自動二輪車においては、サイドスタンドバーが起立位置のままで走行しないように、サイドスタンドバーの位置を検出して、起立位置の場合には走行ができないようにエンジンを制御することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、二輪車の車体フレームに固定され上ケース部材と下ケース部材とを有する固定部材と、サイドスタンドバーの回動に伴って移動する可動部材とを備え、上ケース部材及び下ケース部材に、磁石と磁気センサのいずれか一方が固定された位置検出装置が開示されている。
【0004】
特許文献1の位置検出装置では、上ケース部材と下ケース部材の間に可動部材が配置され、サイドスタンドバーが起立位置のときは可動部材が磁石と磁気センサとの間に介在して磁界を遮蔽し、収納位置の時には磁界を遮蔽しない状態とすることで、サイドスタンドの起立位置と収納位置の検出を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−166702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の位置検出装置では、磁気センサが略長方形状のプリント基板に配置されている。また、プリント基板には、磁気センサの他に、判定回路や出力回路、或いは外部出力端子等が配置されている。当該装置では、磁気センサで磁石の位置を検出し、その判定結果を判定回路や出力回路を経由して外部出力用の端子から出力する構成となっている。
【0007】
また、特許文献1に記載の位置検出装置は、公報の図1に記載されているように、サイドスタンドの回動軸の上方にケース部材を設け、そのケース部材内に磁気センサ等が配置されたプリント基板を収納している。
【0008】
当該装置では、スタンドバーの回動軸の周囲から前記ケース部材が大きく突出しており、二輪車の使用者がスタンドバーを操作しようとした際に前記ケース部材が邪魔になるおそれがある。また、当該装置のように、プリント基板に磁気センサやその他回路を配置する構成とすると、装置が大型化し、使用する電子デバイスや基板等の材料コストが上昇するという不都合がある。また、装置の製造の際に、プリント基板への電子デバイスの実装や、実装後のプリント基板のケース部材への組み込み等、組み立て作業の工数が多くなるという不都合がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、部品点数が少なく、省スペース化が可能なスタンドバーの位置検出装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、製造の際にも組み立て作業が容易なスタンドバーの位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明のスタンドの位置検出装置は、車両のフレーム側に取り付けられる固定部と、前記固定部に対して回動軸を中心に回動可能なスタンドバーとを有するスタンドに用いられ、前記スタンドバーの位置を検出する装置であって、前記スタンドバーの回動に伴って移動する移動部材と、前記移動部材に装着された磁気発生部材と、前記固定部側に取り付けられるケース部材とを備え、前記ケース部材は、前記磁気発生部材の位置の変化を検出可能な磁気センサと、入力端と出力端を有して前記磁気センサの検出結果を外部に出力する外部接続端子とを備え、前記磁気センサは、センサ本体と、前記センサ本体から突出するリード端子とを備え、前記センサ本体が前記磁気発生部材に対して前記回動軸の軸方向に対向して配置され、前記外部接続端子の前記入力端と前記リード端子とが直接接合されてなることを特徴とする。
【0011】
本発明のスタンドの位置検出装置によれば、磁気センサが磁気発生部材に対して回動軸の軸方向に対向して配置されているので、従来のように、磁気発生部材の周方向に突出する部分を少なくすることができる。また、外部接続端子の入力端と磁気センサのリード端子が直接接合されているので、配線や基板等の他の部材を必要としない。よって、本発明によれば、部品点数を少なくすることができ、省スペース化も可能となる。
【0012】
また、本発明のスタンドの位置検出装置において、前記外部接続端子は、前記外部接続端子の出力端が前記磁気センサに対して前記磁気発生部材側にオフセットされて配置され、前記入力端が前記リード端子に向けて前記回動軸の軸方向に突出されていることが好ましい。
【0013】
当該構成によれば、前記出力端が前記磁気発生部材側にオフセットされているので、磁気発生部材から回動軸の軸方向に配置される部材を少なくすることができる。このオフセット配置は、前記入力端をリード端子に向けて突出させることにより容易に実現できる。
【0014】
また、本発明のスタンドの位置検出装置において、前記ケース部材は、前記センサ本体と前記入力端との間に前記リード端子を挟持する挟持突起を有していることが好ましい。当該構成により、磁気センサをケース部材に強固に固定することができる。
【0015】
また、本発明のスタンドの位置検出装置において、前記入力端は、前記リード端子を挟持する挟持溝を有し、前記磁気センサを前記ケース部材に装着した際に、前記リード端子が、前記入力端の挟持溝によって挟持することが好ましい。当該構成によれば、磁気センサは、入力端の挟持溝によって固定されるため、磁気センサをケース部材に強固に固定することができる。
【0016】
また、本発明のスタンドの位置検出装置において、前記ケース部材は、前記入力端が突出し、前記磁気センサを収納する収納凹部を備え、前記収納凹部内が絶縁樹脂により充填されていることが好ましい。当該構成によれば、ケース部材に対して磁気センサが強固に固定され、外部環境の変化に対する耐性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スタンドの位置検出装置において、部品点数が少なくすることができ、省スペース化が可能となる。また、本発明によれば、ケース部材に対する磁気センサの組み込みが容易になるので、製造の際の組み立て作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係るサイドスタンド装置の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るサイドスタンド装置の分解斜視図である。
図3】本実施の形態に係るサイドスタンド装置の部分断面図である。
図4】本実施の形態に係るサイドスタンドスイッチの収納凹部内の状態を示す斜視図である。
図5】本実施の形態に係るサイドスタンドスイッチのセンサ部分を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、特にサイドスタンドの例について添付図面を参照して詳細に説明する。図1および図2を参照して、サイドスタンド装置の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るサイドスタンド装置の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係るサイドスタンド装置の分解斜視図である。
【0020】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係るサイドスタンド装置1は、自動二輪車を駐車時に起立状態に支持するものであり、図示しない車体フレームに設けられたブラケット(固定部)2と、ブラケット2にピボットボルト(回動軸)4を介して回動可能に取り付けられたサイドスタンドバー3とを備えて構成されている。また、サイドスタンド装置1には、ピボットボルト4に固定ボルト6を介してサイドスタンドスイッチ5が設けられ、サイドスタンドスイッチ5によりサイドスタンドバー3の回動位置が検出される。
【0021】
ブラケット2は、板状部11と、板状部11を厚み方向に貫通して固定された貫通ピン12とを有して構成されている。板状部11には、サイドスタンドバー3の取り付け位置において、厚み方向に貫通形成された軸孔13が形成されている。貫通ピン12の一端側は、サイドスタンドスイッチ5を位置決めする位置決めピンとして機能し、貫通ピン12の他端側は、図示しないリターンスプリングに係止される係止ピンとして機能する。
【0022】
サイドスタンドバー3は、ピボットボルト4によりブラケット2に取り付けられ、ピボットボルト4を中心として地面に接地される起立位置と地面に対して略水平な収納位置との間を回動可能に構成されている。サイドスタンドバー3の基端側は、板状部11を挟み込むように二股に形成された一対の連結部15、16が設けられており、この一対の連結部15、16を貫通するように軸孔17、18が形成されている。一方の連結部15の軸孔17の近傍には、サイドスタンドスイッチ5のロータ部材(移動部材)32に係合される係合孔19が貫通形成されている。
【0023】
ピボットボルト4は、一対の連結部15、16にブラケット2を挟み込んだ状態で、一対の連結部15、16の軸孔17、18およびブラケット2の軸孔13に挿通される。この場合、ピボットボルト4の中間部23は、一方の連結部15の軸孔17およびブラケット2の軸孔13に挿通され、先端側のネジ部24は、他方の連結部16の軸孔18に挿通されて一部が外部に露出される。
【0024】
ピボットボルト4は、この露出されたネジ部24に固定ナット7が螺合され、固定ナット7が締め付けられることにより一対の連結部15、16に固定される。これにより、サイドスタンドバー3は、ピボットボルト4と一体となってブラケット2に対して回動される。また、ピボットボルト4の頭部21には、固定ボルト6が螺合されるネジ穴22が形成されている。
【0025】
サイドスタンドスイッチ5は、サイドスタンドバー3が起立位置側または収納位置側のどちら側に位置するかを検出するものであり、固定ボルト6によりピボットボルト4の頭部21に取り付けられる。サイドスタンドスイッチ5のケース部材31には、挟持部34が形成されており、この挟持部34で貫通ピン12の一端側を挟み込むことによりサイドスタンドスイッチ5が位置決めされる。なお、サイドスタンドスイッチ5の詳細構成については後述する。
【0026】
固定ボルト6は、サイドスタンドスイッチ5を挿通してピボットボルト4のネジ穴22に螺合された状態で締め付けられることで、サイドスタンドスイッチ5をピボットボルト4に固定する。固定ボルト6は、頭部に円形のフランジ部27を有し、このフランジ部27によりサイドスタンドスイッチ5が安定的に押圧される。
【0027】
次に、図3図5を参照して、サイドスタンドスイッチの詳細構成について説明する。図3は、本実施の形態に係るサイドスタンド装置の部分断面図である。図4は、本実施の形態に係るサイドスタンドスイッチの収納凹部内の状態を示す斜視図である。図5は本実施の形態に係るサイドスタンドスイッチのセンサ部分を示す分解斜視図である。
【0028】
図3に示すように、サイドスタンドスイッチ5は、貫通ピン12の一端側に回転規制されたケース部材31と、ケース部材31の内側において回転可能に収納されたロータ部材32とを有して構成されている。ケース部材31は、合成樹脂等で成形され、下面を開放した筒状部33と、筒状部33の側方に設けられた上記の挟持部34と、磁気センサ37の信号を外部に送信するためのカプラ部35を備えている。
【0029】
図3及び図4に示すように、ケース部材31の表面側(図3において上側)には磁気センサ37を装着するためのセンサ用凹部38が形成されており、その内部に磁気センサ37が収納され、充填用樹脂38d(図1参照)が充填されている。また、磁気センサ37と後述するロータ部材32のプラスチックマグネット(磁気発生部材)36との間にはセンサ用凹部38の底面が介在しており、この底面とプラスチックマグネット36との間には隙間38aが形成されている。
【0030】
磁気センサ37は、磁気センサ本体37aと、磁気センサ本体37aから突出したリード端子37b,37cを備えている。また、センサ用凹部38の底面からは、カプラ部35の外部接続端子であるターミナル端子40の入力端40a,40aが突出しており、このターミナル端子40の出力端40b,40bは、ケース部材31の内部を介してカプラ部35内に突出している。
【0031】
入力端40a,40aには、図3図5に示すように、挟持溝40c,40cが形成されており、リード端子37b,37cが上方から挿入されると、挟持溝40c,40cによってリード端子37b,37cが挟持され、電気的に接続される。
【0032】
また、図4に示すように、センサ用凹部38の底面には、リード端子37b,37cを挟持する挟持突起38bが突出している。また、センサ用凹部38には、磁気センサ本体37aを位置決めするための位置決め突起38cが設けられている。
【0033】
図5は、プラスチックマグネット36と、磁気センサ37と、ターミナル端子40との位置関係を示す分解斜視図である。磁気センサ本体37aは、プラスチックマグネット36の図5における上面側に位置しており、ピボットボルト4の軸方向で対向するように配置されている。また、リード端子37b,37cは、磁気センサ本体37aから、プラスチックマグネット36の径方向の周壁から外部に突出するように配置されている。
【0034】
一方、ターミナル端子40は、出力端40b,40bの部分がプラスチックマグネット36の径方向の周壁に隣接するように配置されており、磁気センサ本体37aに対して、ピボットボルト4の軸方向にオフセットされている。ターミナル端子40の入力端40a,40aは、ターミナル端子40の本体部分からリード端子37b,37cに向けて突出するように折り曲げ加工されている。そして、入力端40a,40aに設けられた挟持溝40c,40cによってリード端子37b,37cを挟持している。本実施の形態では、入力端40a,40aとリード端子37b,37cは、さらに半田付けすることにより確実に両者を接続している。
【0035】
ここで、サイドスタンドスイッチ5の製造時の組立工程について説明すると、ターミナル端子40はケース部材31にインサート成形されて予め取り付けられており、当該成形により、センサ用凹部38、挟持突起38b、及び位置決め突起38c等が形成される。磁気センサ37をケース部材31に組み付ける際には、作業者または作業用ロボットが磁気センサ本体37aを位置決め突起38cのある箇所に磁気センサ37を組み付ける。その際、センサ用凹部38の位置決め突起38cに磁気センサ本体37aが位置決めされ、さらにリード端子37b,37cが挟持突起38b及び入力端40a,40aの挟持溝40c,40cに挟持される。
【0036】
その後、入力端40a,40aとリード端子37b,37cとが半田付けされて接続される。その後、センサ用凹部38内に絶縁樹脂38d(図1参照)が充填され、磁気センサ37及び接続部分の保護がなされる。このように、本実施形態のサイドスタンドスイッチ5によれば、部品点数が少なく、省スペース設計であり、さらに組み立て作業も容易且つ正確に行うことができる。
【0037】
ケース部材31の筒状部33は、図3に示すように、固定ボルト6等が挿通される開口部41と、後述するロータ部材32のプラスチックマグネット36が収納される小径部41aと、小径部41aからサイドスタンドバー3の方向に向けて拡径された大径部41bとを有している。この小径部41aと大径部41bとの間には両者の内径の相違から生じる段差部41cが形成されている。また、開口部41の内周面には、後述するフランジ部材9の軸受部9bの外周面を摺動するリング状の摺動部41dが設けられている。
【0038】
上記構成を有するケース部材31は、図3に示すように、固定ボルト6と、その周囲に装着される金属製のカラー8と、その周囲に装着される樹脂製のフランジ部材9によって回転自在に軸支される。
【0039】
カラー8は金属製の筒状体であり、フランジ部材9と同一の高さ(固定ボルト6の軸方向における長さ)を有している。フランジ部材9は、図4に示すように、ケース部材31の脱落を防止するためのフランジ部9aと、外径がフランジ部9aよりも小径に形成された軸受部9bと、外径が軸受部9bよりも小径に形成されロータ部材32を固定するためのロータ部材固定部9cを備えている。
【0040】
図3に示すように、カラー8及びフランジ部材9は、固定ボルト6のフランジ部27によってピボットボルト4の頭部21に固定される。ロータ部材32は、フランジ部材9のロータ部材固定部9cによってピボットボルト4の頭部21に固定されており、サイドスタンドバー3と共に回動する。
【0041】
ロータ部材32は、図3に示すように、リング状のロータ本体32aと、ロータ本体32aからサイドスタンドバー3の係合孔19に向けて突出する円筒状の係合ピン32bと、プラスチックマグネット36を係止する係止爪32cとを備えている。このロータ本体32a、係合ピン32b及び係止爪32cは、合成樹脂材料により一体に成形されている。
【0042】
ロータ本体32aは、ケース部材31の筒状部33における大径部41bの内径よりもわずかに小さい外径を有しており、係止爪32cの外面及びプラスチックマグネット36の外径よりも大径に形成されている。また、ロータ本体32aは、サイドスタンドバー3側に向けて凹入部32dが設けられて、軽量化と強度の向上が図られている。
【0043】
係合ピン32bは、中心に凹入部32eを有する円筒形状に形成されており、ロータ本体32aと一体に形成されている。この係合ピン32bは、ロータ本体32aのサイドスタンドバー3側の端面からサイドスタンドバー3側に延びるように設けられている。この係合ピン32bは、その外径をロータ本体32aの径方向の厚みと略同一の寸法としており、強度の向上が図られている。また、係合ピン32b自体の形状が、中心に凹入部32eを有する円筒形状となっているため、内部が中実になっている円柱形状にした場合に比べて、軽量化と強度の向上が図られている。
【0044】
プラスチックマグネット36は、リング状に形成された磁気発生部材であり、図5に示すように、ピボットボルト4の軸方向から見て90°の角度で4分割され、極性の異なる部材36a,36bが交互に連結されて構成されている。当該構成により、サイドスタンドバー3の回動に伴って磁気センサ37でその回動位置の検出を行うことができる。
【0045】
また、図3及び図5に示すように、プラスチックマグネット36には、その周方向に係止爪32cの幅と略同じ幅に形成された係止溝36cが設けられている。プラスチックマグネット36がロータ部材32の係止爪32cによって係止されている状態では、プラスチックマグネット36の外周面と係止爪32cの外周面がほぼ面一になるように形成されている。また、図3に示すように、プラスチックマグネット36の外周は、ロータ本体32aの外周よりも小径に形成されており、両者の外径の相違から生じる段差部32fが形成されている。
【0046】
このように構成されたサイドスタンド装置1においては、自動二輪車が走行される場合には、運転者によりサイドスタンドバー3が押し上げられ、サイドスタンドバー3がピボットボルト4を支点として起立位置から収納位置に回動される。このとき、サイドスタンドバー3と共に、係合ピン32bを介してロータ本体32aが回動し、ロータ本体32aに設けられたプラスチックマグネット36が回動する。
【0047】
このプラスチックマグネット36の動きは、ケース部材31に設けられている磁気センサ37によって検出される。ここで、サイドスタンドバー3が起立位置のときに、磁気センサ37に対面するプラスチックマグネット36の極性が36aだった場合、サイドスタンドバー3が収納位置まで回動すると、プラスチックマグネット36の極性は36bに変化する。このプラスチックマグネット36の極性の変化は、磁気センサ37によって検出され、サイドスタンドバー3が収納位置に位置することが検出される。
【0048】
一方、自動二輪車が駐車される場合には、運転者によりサイドスタンドバー3が押し下げられ、サイドスタンドバー3がピボットボルト4を支点として収納位置から起立位置に回動される。このとき、サイドスタンドバー3と共に、係合ピン32bを介してロータ本体32aが回動し、ロータ本体32aに設けられたプラスチックマグネット36が回転する。このプラスチックマグネット36の動きは、磁気センサ37によって検出される。これにより、サイドスタンドスイッチ5によりサイドスタンドバー3が起立位置に位置することが検出される。
【0049】
なお、上記実施形態においては、スタンドの例としてサイドスタンドを用いたものを示したが、メインスタンドであってもよい。また、上記実施形態では、ロータ本体32aを樹脂により成形しているが、これにより形状の設計自由度を高めると共に、ロータ本体32aを金属で成形する場合と比較して、成形時の製造コストを低減することが可能となる。また、サイドスタンドスイッチ5を軽量化することが可能となる。さらに、サイドスタンドスイッチ5において金属面が少なくなることにより、錆び防止用のメッキ費用を低減することが可能となる。
【0050】
また、上記実施形態では、入力端40a,40aとリード端子37b,37cを半田付けしているが、これに限らず、両者を挟持した状態のまま絶縁樹脂で充填してもよく、スポット溶接等で両者を溶着してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…サイドスタンド装置
2…ブラケット
3…サイドスタンドバー
4…ピボットボルト(回動軸)
5…サイドスタンドスイッチ(位置検出装置)
6…固定ボルト
7…固定ナット
19…係合孔
21…頭部
31…ケース部材
32…ロータ部材(移動部材)
32b…係合ピン
36…プラスチックマグネット(磁気発生部材)
37…磁気センサ
37a…磁気センサ本体
37b,37c…リード端子
38…収納凹部
38a…隙間
38b…挟持突起
38c…位置決め突起
38d…絶縁樹脂
40…ターミナル端子(外部接続端子)
40c…挟持溝
41…開口部
41a…小径部
41b…大径部
41c…段差部
41d…摺動部
図1
図2
図3
図4
図5