【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題に対し、本発明者らは、鋭意研究の結果、顔の動きと顔面を中心とする頭頸部の筋肉の状態との間に、高い相関関係があることを見出した。そして、顔の特定部位の運動を解析することで、特定の顔の筋肉に関するパラメータを推定できることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、対象者の表情変化の過程を撮影した動画を用いて、当該対象者の顔面を中心とする頭頸部構造を評価する為の解析方法であって、
前記動画を取得する動画取得ステップと、
前記動画を用いて、顔運動評価値を取得する解析ステップと、
前記解析ステップにおいて取得された前記顔運動評価値から、予め記憶された前記顔運動評価値と顔面および周囲を含む頭頸部構造の評価値との間の相関関係に基づいて、前記評価値を推定する評価ステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成とすることで、対象者の動画を撮影するだけで顔面を中心とする頭頸部の評価をすることができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記評価ステップにおいて、予め記憶された前記顔運動評価値と顔面及び周囲を含む頭頸部の筋肉評価値との間の相関関係に基づいて、前記筋肉評価値を推定することを特徴とする。
このような構成とすることで、対象者の動画を撮影するだけで顔面を中心とする頭頸部の筋肉の評価をすることができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記筋肉評価値は、頭頸部の筋肉の量に関する評価を表す筋肉量評価値を含み、
前記評価ステップにおいて、前記筋肉量評価値を推定することを特徴とする。
このような構成とすることで、動画から頭頸部の筋肉量に関する評価を推定することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記筋肉評価値は、頭頸部の筋肉の質に関する評価を表す筋肉質評価値を含み、
前記評価ステップにおいて、前記筋肉質評価値を推定することを特徴とする。
このような構成とすることで、動画から頭頸部の筋肉の質に関する評価を推定することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記顔運動評価値は、前記表情変化による顔の特徴点の運動評価値を含み、
前記解析ステップにおいて、前記特徴点の運動評価値を取得することを特徴とする。
このような構成とすることで、動画中の特徴点を追跡することにより、頭頸部構造を評価することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記特徴点の運動評価値は、前記表情変化の前後における前記特徴点の移動量を含むことを特徴とする。
このような構成とすることで、移動量によって特徴点の運動を単純化して頭頸部構造の評価を行うことができるため、計算量を減らすことができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記特徴点は、頬部又は口角の点を含むことを特徴とする。
このような構成とすることで、表情変化によって大きく運動し、その運動の差を評価しやすい点を解析に用いることができるため、より正確に頭頸部構造の評価を行えるようになる効果が期待できる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記表情変化は、笑顔を作る動作であり、
評価の対象となる頭頸部構造は、大頬骨筋又は小頬骨筋を含むことを特徴とする。
このような構成とすることで、本発明者らが見出した、笑顔を作ったときの頬部又は口角の点の移動量等の運動評価値と、大頬骨筋又は小頬骨筋の厚みや脂肪浸潤等の筋肉評価値と、の間の相関関係に基づいて、正確に頭頸部構造の評価値を推定することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記顔運動評価値は、表情の大きさを表す表情評価値を含み、
前記解析ステップにおいて、前記表情評価値を取得することを特徴とする。
このような構成とすることで、表情評価値と頭頸部構造の評価値との相関関係に基づいて、表情評価値から頭頸部構造の評価値を推定することができる。これにより、表情の大きさから頭頸部構造を評価できるため、より簡単に頭頸部構造の評価を行うことができる。
【0018】
本発明は、対象者の表情変化の過程を撮影した動画を用いて、当該対象者の顔面を中心とする頭頸部構造を評価する為の解析システムであって、
前記動画を取得する動画取得手段と、
前記動画を用いて、顔運動評価値を取得する解析手段と、
前記解析手段が取得した前記顔運動評価値から、予め記憶された前記顔運動評価値と顔面および周囲を含む頭頸部構造の評価値との間の相関関係に基づいて、前記評価値を推定する評価手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明は、対象者の表情変化の過程を撮影した動画を用いて、当該対象者の顔面を中心とする頭頸部構造を評価する為の解析プログラムであって、
コンピュータを、前記動画を取得する動画取得手段と、
前記動画を用いて、顔運動評価値を取得する解析手段と、
前記解析手段が取得した前記顔運動評価値から、予め記憶された前記顔運動評価値と顔面を中心とする頭頸部構造の評価値との間の相関関係に基づいて、前記評価値を推定する評価手段と、として機能させることを特徴とする。