(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
便器からの汚物を処理した処理水を、前記便器から汚物を排出する洗浄水に再利用するために、前記処理水を分解処理する微生物が着床する担体が充填され、前記処理水を前記担体の上方から散水する散水管を有する反応槽を備え、
前記担体のサイズは、前記反応槽の上層が下層側より大きく形成され、
前記反応槽には、前記担体中に空気を送り込むための散気管が配置され、
前記散気管は、前記反応槽の下端から上方に向かって延びるように配置されたトイレ装置。
前記散気管は、前記便器からの汚物を貯留する受入槽、前記受入槽からの汚物を微生物により分解処理する分解槽、前記分解槽により汚物が分解された処理水から残留物を沈降させて分離する沈降槽の少なくともいずれかからの送気管に接続された請求項1から4のいずれかの項に記載のトイレ装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係るトイレ装置を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係るトイレ装置は、便器から洗浄水により押し流した排泄物やトレットペーパーなどの汚物を微生物により分解処理して汚物を浄化し、再び洗浄水として使用する循環型トイレである。
図1に示すトイレ装置1は、便器10と、受入槽20と、分解槽30と、沈降槽40と、反応槽50と、洗浄水槽60と、汚物槽70と、制御部80とを備えている。
なお、
図1において、各部を繋ぐ実線の矢印は、汚物の流れ、汚物を微生物により分解した処理水の流れ、処理水から残留物を除去した洗浄水の流れを示すものであり、また、点線の矢印は空気の流れを示すもので、配管の接続状態を示すものではない。
【0019】
便器10は、男女別々でも、男女兼用でも、洋式や和式のいずれでも使用できる。便器10は、洗浄水槽60からの洗浄水により汚物を押し流す。便器10には、排泄物やトイレットペーパーをカッターにより粉砕して微細化すると共に、受入槽20まで圧送する排水圧送粉砕ポンプ11が設けられている。
受入槽20は、汚物を所定量貯留するものである。受入槽20は、分解槽30での前処理を行うために、貯留された汚物を曝気する送風機と散気管(図示せず)を有する。また、受入槽20は、汚物が所定量を超えると、超えた量の汚物を分解槽30へ送るポンプ(図示せず)を有する。
分解槽30は、受入槽20からの汚物を微生物により分解処理するものである。分解槽30は、好気性微生物による分解が行われる好気槽31と、嫌気性微生物による分解が行われる嫌気槽32とを備えている。
【0020】
沈降槽40は、多段により形成され、分解槽からの汚物が含まれる処理水を通過させ、汚物を沈降させて分離するものである。本実施の形態では、沈降槽40を、第1沈降槽41と第2沈降槽42との2段式としている。
反応槽50は、沈降槽40からの処理水を微生物により更に分解処理するものである。反応槽50は、沈降槽40からの処理水が一時的に貯留される処理前貯水部51と、微生物により分解処理する反応部52と、反応部52を通過した洗浄水を一旦貯留する処理後貯水部53とを備えている。
【0021】
洗浄水槽60は、浄化された処理水を洗浄水として所定量を貯留して便器10へ供給するものである。洗浄水槽60には、蒸発して不足する洗浄水を補うために、洗浄水槽60に雨水を補充する雨水導入部90が接続されている。本実施の形態では、洗浄水槽60と、受入槽20とが、一つ筐体の内部に形成されている。
汚物槽70は、沈降槽40と反応槽50からの残留物である汚物を貯留して、受入槽20へ戻すものである。
制御部80は、電動により作動するバルブの開閉を制御するものである。
【0022】
(分解槽・第1沈降槽の説明)
ここで、分解槽30および第1沈降槽41の構成について、
図2を参照しながら詳細に説明する。
図2に示す好気槽31と嫌気槽32とから構成された分解槽30は、第1沈降槽41と一体的に構成され、箱状の筐体110の内部に形成されている。
この筐体110の内部が、第1区画壁111と第2区画壁112とより3つに区切られることで、好気槽31と嫌気槽32と第1沈降槽41とが形成されている。
筐体110の上部には、分解槽30(好気槽31,嫌気槽32)および第1沈降槽41の上部空間を覆う蓋部113が形成されている。
【0023】
好気槽31は、底部311に送風機312からの空気を汚物中に放散する散気管313が設置されている。また、好気槽31の底部311には、好気性の微生物が着床する担体314が設置されている。担体314は、木材チップが使用でき、杉や檜を木材チップとしたものが使用できる。檜の木材チップは、殺菌作用を有するため、担体314としては杉の木材チップが好ましい。
嫌気槽32には、底部321に隙間を空けた状態で、筐体110の上部110aから垂下する迂回板322が形成されている。底部321には、嫌気性の微生物が着床する担体323が設置されている。担体323は、好気槽31と同様に、木材チップが使用できる。
【0024】
沈降槽40の前段となる第1沈降槽41には、第1沈降槽41の中層に位置する取入口により処理水を取り込み、次段となる第2沈降槽42に処理水を送るための第1排出管411と、上層に浮遊する汚物を汚物槽70(
図3参照)へ送るための第2排出管412と、下層に沈降した汚物を汚物槽70へ送るための第3排出管413とを備えている。
【0025】
第1排出管411は、逆L字状に形成されている。第1排出管411は、処理水の中層に取入口411aが位置し、上方へ伸び、第2区画壁112の高さより低い位置であり、かつ第2排出管412の取入口412aより高い位置から水平に向きを変え、第1沈降槽41の側壁110bを貫通して、第2沈降槽42(
図3参照)に接続している。
【0026】
また、第2排出管412は、L字状に形成されている。第2排出管412は、処理水の上澄みに浮遊する汚物を排出するために、取入口412aが上層に位置し、深さ方向に延びた後、水平に向きを変え、第1沈降槽41の側壁110bを貫通して、汚物槽70へ向かうように配管されている。
第2排出管412には、電動により開閉が行われるバルブ412b(
図3参照)が設けられている。
【0027】
第3排出管413は、底部41aを漏斗状とする底板41bの下端に接続されている。第3排出管413には、手動操作により開閉が行われるバルブ413aと、電動により開閉が行われるバルブ413b(
図3参照)とが設けられている。
【0028】
(第2沈降槽・汚物槽の説明)
次に、第2沈降槽42と汚物槽70について、
図3を参照しながら詳細に説明する。
第2沈降槽42は、上下方向に蛇行する流通管が直列に複数段接続されている。本実施の形態では、第2沈降槽42は、V字状またはU字状に形成された第1〜第3流通管421〜423が連接された3段の沈降槽である。
【0029】
第1流通管421は、水平に延びる第1排出管411が、一方の枝管の上部に接続され、上部から下方へ延び、谷部である下端で折り返した後に、他方の枝管の上部であって、第1排出管411の接続位置よりも低い位置の上部に、第2流通管422が接続されている。
【0030】
第2流通管422は、他方の枝管の上部であって、第1流通管421の接続位置よりも低い位置の上部に、第3流通管423が接続されている。
更に、第3流通管423は、他方の枝管の上部であって、第2流通管422の接続位置よりも低い位置の上部に、反応槽50(
図4参照)への処理水通水管424が接続されている。
【0031】
第2沈降槽42は、更に、第1〜第3流通管421〜423のそれぞれの下端と汚物槽70とを接続する第4排出管425と、第1〜第3流通管421〜423のそれぞれの下端と第4排出管425の本管425aとを接続する支管425bに設けられたバルブ426a〜426cとを備えている。
【0032】
汚物槽70には、第2沈降槽42の第4排出管425からの汚物と、第3排出管413からの汚物と、第2排出管412からの汚物とが貯留される。また、汚物槽70には、反応槽50(
図4参照)からの汚物も貯留される。汚物槽70には、底部に溜まった汚物を受入槽20(
図1参照)へ戻すポンプ71が配置されている。
【0033】
(反応槽の説明)
次に、反応槽50について、
図4を参照しながら詳細に説明する。
反応槽50は、処理前貯水部51として機能する第1槽50aと、反応部52として機能する第2槽50bと、処理後貯水部53として機能する第3槽50cとを一体的に形成したものである。
第1槽50aの側壁には、第2沈降槽42からの処理水通水管424が接続されている。第1槽50aの下端には、処理前貯水部51にて沈降した汚物を汚物槽70へ排出するための第5排出管511が接続されている。第5排出管511には、電動により開閉が制御されるバルブ512が設けられている。
第1槽50aの内部には、反応部52内に、溜まった処理水を汲み上げるポンプ513が配置されている。
【0034】
第2槽50bの上部空間には、ポンプ513により汲み上げられた処理水を散水する散水管521が配置されている。
第2槽50bの下部には、下端から上方へ延びるように配置された散気管522が配置されている。第2槽50bの内部には、微生物を着床させる担体523が、散気管522を埋設した状態で積み重ねられている。担体523は、分解槽30にて用いた木材チップが使用できる。担体523は、反応槽50の第2槽50bの上層が下層側より大きいサイズに形成されている。
【0035】
この担体523は、複数層により形成されている。本実施の形態では、最上段に位置する担体層523aは中型サイズに形成され、担体層523aより下層となる担体層523b〜523fは小型サイズに形成されている。
また、散気管522の周囲に位置する担体523は、散気管522との距離が近い方のサイズが大きく形成されている。本実施の形態では、散気管522の周囲に位置する最下層の担体層523gは大型サイズに形成され、更に担体層523gの周囲の担体層523hは中型サイズに形成されている。
【0036】
例えば、小型サイズは、幅が約2〜3mm、長さが約5mmから1cm程度の細長の木片とすることができる。中型サイズは、幅が約5mm〜1cm、長さが約1cm、厚みが約5mm〜1cmのブロック状の木片とすることができる。大型サイズは、幅が約1cm〜2cm、長さが約3cm〜5cm、厚みが約2mm〜1cmのブロック状または板状の木片とすることができる。なお、それぞれのサイズの担体523には、他のサイズの木片や木皮、木粉などが混在していてもよい。
【0037】
担体523は、層ごとに圧縮されている。この担体523への圧縮は、上から圧縮機により圧縮しながら積み上げたり、また、圧縮機が無い場合には製作者が足で踏み均しながら積み上げたりしてもよい。本実施の形態では、担体層523g,523hを入れた後に、担体層523aを除く、担体層523b〜523fを圧縮しながら積み上げている。
【0038】
散気管522には、筐体110の蓋部113(
図2参照)と、受入槽20および洗浄水槽60(
図1参照)とからの送気管524が接続されている。この送気管524には、送風機525が設けられ、送風機525が分解槽30および第1沈降槽41と、受入槽20と、および洗浄水槽60における臭気を散気管522へ送風する。
第2槽50bの下方に位置する第3槽50cは、第2槽50bである反応部52を通過した洗浄水を汲み上げ洗浄水槽60へ圧送するポンプ531が配置されている。
【0039】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係るトイレ装置1の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
使用者が排泄を済ませ、
図1に示す便器10から排泄物とトイレットペーパーとによる汚物を洗浄水により押し流すと、排水圧送粉砕ポンプ11により粉砕され、受入槽20へ圧送される。
受入槽20では、排泄物とトイレットペーパーとよる汚物が送風機からの送風により散気管から泡が放出され、汚物が十分に空気を含んだ状態となり、分解槽30へ送られる。
【0040】
図2に示す分解槽30では、汚物はまず好気槽31へ送られる。好気槽31では、底部311から散気管313により放出される空気により担体314に好気性の微生物が着床して、好気槽31内の汚物を分解処理する。そして、第1区画壁111より高く溜まった汚物は、自然流下により次の嫌気槽32へ移動する。
【0041】
嫌気槽32では、底部321の担体323に着床した嫌気性の微生物により分解処理される。嫌気槽32では、迂回板322が上部から垂下しているため、汚物は担体323に接触して第1区画壁111側から第2区画壁112側へ移動するので、嫌気性の微生物による分解処理が効果的に行われる。
好気槽31と嫌気槽32とにより分解処理されることで汚物が浄化され処理水となり、第2区画壁112を超えた処理水が、嫌気槽32から自然流下により第1沈降槽41へ移動する。
【0042】
第1沈降槽41では、分解槽30にて分解処理されなかった残留物が沈降して底部41aに堆積する。また、第1沈降槽41では、水分より比重が軽い残留物が処理水に浮遊する。
従って、第1沈降槽41に溜まった処理水の中層が最も澄んだ状態であるため、上層や下層の汚物を避けて中層の処理水を、第1排出管411に取り込み、
図3に示す第2沈降槽42へ流す。
【0043】
このように、第1排出管411により、第1沈降槽41に溜まった最も澄んだ状態の処理水を第2沈降槽42へ送ることができるので、反応槽50および洗浄水槽60へ十分に浄化された処理水を送ることができる。従って、再利用される洗浄水として清浄な状態のものが使用できる。
【0044】
図3に示す第2沈降槽42では、第1流通管421から第3流通管423まで、順次、自然流下しながら通過する間に、第1流通管421から第3流通管423のそれぞれの下端に残留物が沈降する。第2沈降槽42を通過するうちに、更に浄化された処理水は、反応槽50へ流れる。
このように第2沈降槽42では、第1流通管421から第3流通管423まで配管をV字状またはU字状に形成された配管を複数段直列に接続して、処理水を自然流下させながら汚物を沈降させているため、汚物を沈降させるために必要な高さを抑えることができる。従って、第2沈降槽42の高さを低くしても、確実に処理水から汚物を沈降させ、更に浄化することができる。
【0045】
図4に示す反応槽50では、処理水は処理前貯水部51に一旦溜められる。そして、ポンプ513により汲み上げられた処理水は、反応部52(第2槽50b)の上部で散水管521により散水される。処理水は、担体523の上方から散水されて浸透するが、上層の担体層523aは、下層側の小型サイズの担体層523b〜523fよりサイズが大きい、中型サイズである。そのため、汚物が残留した処理水であっても、汚物が上層の担体層523aの間隙に浸透しやすい。また、上層の担体層523aは、担体層523b〜523fと異なり圧縮されていない非圧縮層であるため、散水管521から散水された汚物を浸透させやくすることができる。
【0046】
従って、担体層523aに浸透した処理水に含まれる汚物は、木片の間隙に浸透することで木片により分断されるので、汚物が担体層523aの表層に堆積して膜となって固まることが防止でき、処理水を下層側へ浸透させることができる。
【0047】
担体層523aを通過した汚物を含む処理水は、小型サイズの担体層523b〜523fに浸透する。更に、中型サイズおよび大型サイズの担体層523g,523hに浸透する。
担体層523a〜523hには、好気性の微生物が着床しており、反応部52の下部に配置された散気管522から、送風機525による空気が放散される。従って、散気管522から放散される空気が担体層523a〜523hに行き渡るため、微生物による分解処理が促進されるので、担体層523a〜523hを浸透する処理水に含まれる汚物は、分解処理され、浄化される。
【0048】
担体層523b〜523fは、層ごとに圧縮された複数層により形成されている。従って、担体523の間隙が小さくなるため、反応部52に多くの担体523を充填することができるので、処理水を多くの担体523と接触させることができる。
【0049】
散気管522の周囲には、大型サイズの担体層523g、更にその周囲には中型サイズの担体層523hが、散気管522を中心に配置されている。そのため、散気管522からの空気は、まず、大型サイズの担体層523gへ送り込まれて間隙を進行し、更に、中型サイズの担体層523hの間隙を進行して小型サイズの担体層523f〜523aへ進行する。
【0050】
このように、散気管522との距離が近い方の担体523のサイズを大きくすることで、散気管522の周囲の担体523の間隙を大きくすることができるので、散気管522からの空気をサイズが大きい担体523からサイズが小さい担体523へとスムーズに送り込むことができる。
【0051】
従って、上層から下層側へと処理水が浸透する担体層523a〜523hとは、反対に、散気管522からの空気を、下層から上層側の担体層523h〜523aに向かって、担体523に浸透した処理水へスムーズに送り込むことができる。従って、反応部52内を満遍なく空気を行き渡らせることができ、担体523に着床した微生物を活性化することができる。
【0052】
ここで、散気管522へ送り込まれ、好気性の微生物を活性化する空気について、
図5に基づいて説明する。
図5に示すように、上述したように、受入槽20と洗浄水槽60とが筐体120の内部に形成されている。また、
図2に示すように分解槽30(好気槽31、嫌気槽32)と、第1沈降槽41が筐体110の内部に形成されている。
反応槽50の散気管522に接続され、送風機525が介在する送気管524は、この筐体110,120に接続されている。
【0053】
この構成により、筐体110内で発生した好気槽31と嫌気槽32と第1沈降槽41とによる臭気と、筐体120内で発生した受入槽20と洗浄水槽60とによる臭気を、散気管522から反応部52の担体523内へ放散させることで、微生物を活性化しつつ、微生物による分解処理により無臭化することができる。
従って、
図1に示す便器10で排泄する使用者や、トイレ装置1の周囲に所在する者が不快に感じる悪臭を抑制することができる。
【0054】
本実施の形態では、送気管524が、受入槽20と、分解槽30と、第1沈降槽41との全部に接続されているが、少なくともいずれか一つでもよい。しかし、送気管524が全部に接続されていると不快な臭気の発生を抑制できるため好ましい。
【0055】
上記例では、反応部52に充填された担体523として、上層の中型サイズの担体層523aと、担体層523aの下側の小型サイズの担体層523b〜523fとの2種類としていたが、3種類以上のサイズの担体523を、上層が下層側より大きくなるように配置してもよい。
また、散気管522の周囲の担体523として、大型サイズの担体層523gと中型サイズの担体層523hとの2種類としていたが、3種類以上のサイズの担体を、散気管522との距離が近い方の担体523のサイズが大きくなるように配置してもよい。
【0056】
反応部52により浄化された処理水は、洗浄水となって処理後貯水部53(第3槽50c)に滴下する。そして、処理後貯水部53に滴下して溜まった洗浄水は、ポンプ531により、
図1に示す洗浄水槽60へ送られる。洗浄水槽60に溜まった洗浄水は、使用者が排泄後に排出操作することで、再び、便器10に流れ使用される。
【0057】
一方、
図2および
図6に示す第1沈降槽41の底部41aに沈降した汚物は、第3排出管413へ流れ込む。従って、第3排出管413が、下層に沈降した汚物を流れ込ませ、汚物槽70へ送るため、第1沈降槽41の下層の処理水から汚物を除去することができる。第3排出管413に設けられたバルブ413a(
図2参照)は、通常、開放状態で使用されるため、第3排出管413に流れ込んだ汚物は、電動のバルブ413bにより通水が制御される。
【0058】
また、第1沈降槽41に溜まった処理水に浮遊する汚物は、第2排出管412へ流れ込む。従って、第2排出管412が、上層に浮遊する汚物を、取入口412aに流れ込ませ、汚物槽70へ送るため、第1沈降槽41の上層の処理水から汚物を除去することができる。第2排出管412へ流れ込んだ汚物は、電動のバルブ412bにより通水が制御される。
【0059】
図3および
図6に示す第2沈降槽42の第1流通管421から第3流通管423の底部に沈降した汚物は、第4排出管425の支管425bへ流れ込む。従って、第4排出管425が、第2沈降槽42に沈降した汚物を、汚物槽70へ送るため、第2沈降槽42から汚物を除去することができる。第4排出管425の支管425bに設けられた電動のバルブ426a〜426cにより通水が制御される。
【0060】
図4および
図6に示す反応槽50の処理前貯水部51(第1槽50a)の底部に沈降した汚物は、第5排出管511へ流れ込む。従って、第5排出管511が、沈降した汚物を、汚物槽70へ送るため、処理前貯水部51から汚物を除去することができる。第5排出管511へ流れ込んだ汚物は、電動のバルブ512により通水が制御される。
【0061】
排泄物のうち大便やトイレットペーパーが、排水圧送粉砕ポンプ11で粉砕され圧送されて、受入槽20から反応槽50を通過するうちに、微細化すると共に、水分と空気を含み比重が軽くなる。従って、第1沈降槽41に流れ込んだ処理水に含まれる汚物は、上層にて浮遊するため、最も汚物が多く層厚な状態となる。反応槽50を通過しても水分より比重の重い汚物は、下層に沈殿して堆積するが、処理水の上層に浮遊する汚物よりは少量である。
【0062】
第1沈降槽41における中層の処理水は、上層や下層の処理水と比較して最も澄んだ状態であるため、第2沈降槽42を通過する際に処理水に含まれた汚物が沈降して堆積しても、第1沈降槽41にて沈降した汚物よりも少量である。
【0063】
また、反応槽50の処理前貯水部51における処理水は、第1沈降槽41や第2沈降槽42を通過する度に浄化されるため、処理水に含まれる汚物の量は、第2沈降槽42を通過する際に沈降する汚物の量より更に少ない。
【0064】
従って、制御部80は、バルブ412b、バルブ413b、バルブ426a〜426cまたはバルブ512に対して、汚物量に応じて時間差を付けて開閉の制御を行う。
例えば、
図6および
図7に示すように、制御部80は、汚物量が最も多く流れる第1沈降槽41における第2排出管412のバルブ412bを1時間ごとに開く。
また、制御部80は、次に汚物量が多く流れる第1沈降槽41における第3排出管413のバルブ413bを3時間ごとに開く。
更に、制御部80は、最も少ない汚物量が流れる第4排出管425の支管425bに設けられたバルブ426a〜426cと、処理前貯水部51の第5排出管511に設けられたバルブ512を6時間ごとに開く。
バルブ(412b,413b,426a〜426c,512)を開く時間間隔は、図示しない操作盤から入力し、制御部80に設定することができる。
【0065】
まだ十分に汚物が堆積していない状態でバルブが開かれると、浄化された処理水が汚物と一緒に汚物槽70へ流れ込むため、汚物槽70から排出させた汚物の量だけでなく、一緒に流れ出る浄化された処理水も、汚物槽70のサイズを決定する上で考慮する必要がある。
しかし、制御部80がバルブ412b,413b,426a〜426c,512に対して、汚物量に応じた時間間隔により時間差を付けて開くことで、汚物が十分に堆積した状態でバルブが開かれるので、汚物と一緒に、澄んだ状態の処理水が大量に、汚物槽70へ流れ込むことを抑止することができる。
【0066】
従って、汚物槽70を過大なサイズとしなくてもよく、また、汚物槽70への処理水の流出が少ないため、十分な量の浄化された処理水を反応槽50から洗浄水槽60へ送り込むことができるので、十分な量の洗浄水を確保することができる。
【0067】
上記例では、制御部80が、一定の時間間隔で、各バルブを開いていたが、例えば、
図1に示す便器10にて洗浄水が流され、汚物が排出されたことを検出するセンサを設け、このセンサが検出した汚物の排出頻度に応じて、制御部80が時間間隔を調整するようにしてもよい。
更に、センサにより小便と大便とを区別して検出するようにすれば、大便の排出頻度に応じて制御部80が時間間隔を調整するようにしてもよい。
【0068】
例えば、汚物を含む処理水は、浄化され、澄んだ状態の処理水より、粘性が高いため、汚物がバルブを通過して汚物槽70まで到達するためには、時間を要し、汚物を押し流すだけの力が必要である。制御部80は、バルブ412b,413b,426a〜426c,512の1回の開放時間が、図示しない操作盤から入力された設定により調整される。従って、汚物量が多い、またはトイレ装置の設置環境によっては、バルブの開放時間を長く設定することで、バルブを開放状態としたときに、各槽に残留する汚物の量を減少させることができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、沈降槽40を第1沈降槽41と第2沈降槽42とによる2段式とし、第1沈降槽41の中層から処理水を取り出し、第2沈降槽42へ流していた。例えば、3段以上の沈降槽により構成した場合には、2段目以降のいずれかの沈降槽を前段として、この前段の沈降槽から次段の沈降槽へ処理水を送るときに、前段の沈降槽の中層から処理水を取り出し次段へ流すと共に、上層に浮遊する汚物、下層に沈降した汚物を汚物槽へ送るようにすることができる。