(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709917
(24)【登録日】2020年5月28日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】ピロー包装機及びピロー包装機で形成されるセンターシール部の検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20200608BHJP
G01N 23/18 20180101ALI20200608BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/18
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-117050(P2017-117050)
(22)【出願日】2017年6月14日
(65)【公開番号】特開2019-2774(P2019-2774A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2019年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】牧野 正俊
【審査官】
佐藤 仁美
(56)【参考文献】
【文献】
実公平05−020651(JP,Y2)
【文献】
特開2017−067716(JP,A)
【文献】
特開2003−020017(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0005662(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC
B65B 11/00−11/58
19/00−23/22
31/00−31/10
41/00−41/18
49/00−51/32
57/00−65/08
G01N 23/00−23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して供給される帯状フィルムを筒状に製袋する製袋器と、前記製袋器の上流側に配置され、前記製袋器内に被包装物を搬送供給する被包装物搬送供給装置と、前記筒状に製袋された前記帯状フィルムの両側端縁部にセンターシールを施すセンターシール装置と、そのセンターシール装置の下流側に配置され、前記両側端縁部が前記センターシールされた筒状フィルムの幅方向にシール・カットするトップシール装置と、を備えたピロー包装機であって、
前記センターシールがされる部位の検査を行うX線検査装置を備え、
前記センターシール装置は、前記両側端縁部を挟み込んで搬送する一対のピンチローラと、そのピンチローラの下流側に配置され前記両側端縁部を加熱・加圧するセンターシーラを備え、
前記X線検査装置は、前記センターシーラの上流側で、前記両側端縁部にX線を照射して検査を行うものであることを特徴とするピロー包装機。
【請求項2】
前記X線検査装置は、前記ピンチローラと、前記センターシーラの間に位置する前記両側端縁部に前記X線を照射するものであることを特徴とする請求項1に記載のピロー包装機。
【請求項3】
前記X線検査装置は、前記ピンチローラの上流側に位置する前記両側端縁部に前記X線を照射するものであることを特徴とする請求項1に記載のピロー包装機。
【請求項4】
前記ピンチローラの上流側に、前記両側端縁部を挟みこむ一対の補助ローラを備え、
前記補助ローラは、前記両側端縁部に接触する部位が平坦面であり、
前記X線検査装置は、前記補助ローラと、前記ピンチローラとの間に位置する前記両側端縁部に前記X線を照射するものであることを特徴とする請求項3に記載のピロー包装機。
【請求項5】
前記X線検査装置は、前記被包装物には照射されないようにする手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のピロー包装機。
【請求項6】
連続して供給される帯状フィルムを製袋器で筒状に製袋して、重ね合わされた前記帯状フィルムの両側端縁部に対し、センターシール装置がシールしてセンターシール部を形成する機能を備えたピロー包装機における検査方法であって、
X線検査装置が、前記センターシール装置のセンターシーラによる加熱する前の領域にX線を照射し、異物混入の検査を行うことを特徴とするピロー包装機で形成されるセンターシール部の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロー包装機及びピロー包装機で形成されるセンターシール部の検査方法に関するもので、特にセンターシール部のシール不良を検出する機能を備えたピロー包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
包装機の一形態であるピロー包装機は、以下のような構成を備えている。まず、原反フィルムに巻き取られた帯状フィルムを連続して製袋器に供給し、その製袋器を通過させる際に筒状に製袋された筒状フィルムを形成する。また、この製袋器の上流側には被包装物搬送供給装置を配置し、その被包装物搬送供給装置から所定間隔毎に搬送される被包装物が、製袋器内に供給される。これにより、被包装物が製袋器内を通過すると、筒状フィルム内に所定間隔毎に収納されることになり、その被包装物は筒状フィルムとともに搬送される。その搬送方向に沿って、センターシール装置並びにトップシール装置が配置されている。センターシール装置は、筒状フィルムのフィルム重合端をシールするものである。トップシール装置は、筒状フィルムの所定位置(前後の被包装物が存在していない部分)を進行方向横方向にシールするとともに、カットすることで、先端の被包装物が収納された筒状フィルムの部分を後続の筒状フィルムから分離し、包装体を製造するようになる。
【0003】
被包装物が、例えばビスケットその他の焼き菓子や、フリーズドライなどの比較的脆く、製品の一部が欠けて離脱するようなものの場合、離脱した欠片等が、シール前の筒状フィルムのフィルム重合端に進入した状態で、センターシール装置でシールされるおそれがある。係る状態が発生すると、センターシール部に異物が混入したシール不良となり、そのようなシール不良の包装体は、不良品となり廃棄する必要がある。
【0004】
そこで、例えば、センターシール装置の下流側に検査装置を設け、センターシール部における異物の混入の有無を検査する。そして、異物が混入する不良品を検知した場合には、トップシール装置よりも下流側に配置される不良品排出装置にて、センターシール部に異物が混入した不良品の包装体を、良品の搬送ラインから排除する。
【0005】
そして、アルミ蒸着フィルム等の非透明の包装フィルムや、センターシール部の部分にも比較的濃い色が印刷されている包装フィルムを用いて製造される包装体の場合、一般の光学センサでは包装フィルムを透過できずに不良検査が行えないため、検査装置としてX線検査装置(軟X線検査装置を含む)を用いることが考えられる。ピロー包装機ではないが、例えば特許文献1には、シール状態の検査にX線検査装置を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−24132
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、センターシール装置で加熱・加圧して形成されたセンターシール部は、シーラのシール目や、ピンチローラで加圧され、前方に引っ張られることなどから、正常なシール状態であっても筋が形成されたり、シール皺などが形成されたりする。係るシール皺等は、目で見た場合にはさほど問題は無いので、上述したように正常なシール状態となるが、X線検査装置では、当該シール皺等と、異物の透過率が同程度となり、シール皺なのか、被包装物の欠片等の異物なのかが判別できず、異物噛み込みのシール不良を正しく検出することができないという課題を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のピロー包装機は、(1)連続して供給される帯状フィルムを筒状に製袋する製袋器と、前記製袋器の上流側に配置され、前記製袋器内に被包装物を搬送供給する被包装物搬送供給装置と、前記筒状に製袋された前記帯状フィルムの両側端縁部にセンターシールを施すセンターシール装置と、そのセンターシール装置の下流側に配置され、前記両側端縁部が前記センターシールされた筒状フィルムの幅方向にシール・カットするトップシール装置と、を備えたピロー包装機であって、前記センターシールがされる部位の検査を行うX線検査装置を備え、前記センターシール装置は、前記両側端縁部を挟み込んで搬送する一対のピンチローラと、そのピンチローラの下流側に配置され前記両側端縁部を加熱・加圧するセンターシーラを備え、前記X線検査装置は、前記センターシーラの上流側で、前記両側端縁部にX線を照射して検査を行うようにした。X線は、軟X線を含む。
【0009】
本発明では、センターシーラで加熱する前の帯状フィルムの重ね合わさった両側端縁部に対してX線を照射し、当該両側端縁部に異物の混入の有無等を検査する。両側端縁部は、検査後にセンターシーラで加熱され、熱シールされてセンターシール部となる。よって、シール前の両側端縁部を検査し、異物が検出された場合には、当該異物が存在した状態のままシールされるため、センターシール部は異物が存在するシール不良となる。一方、重ね合った両側端縁部で異物が検出されなかった場合、そのままシールされるので異物混入の無いセンターシール部が形成される。本発明では、加熱前の両側端縁部に対してX線を照射して検査するので、その照射される部位ではセンターシーラの加熱により形成されるシール皺などが形成されておらず、仮に、両側端縁部内に異物が混入した場合には、精度良く当該異物を検出することができる。このように本発明は、実際にシールする前の状態でシールの良否検査を行うことを特徴とする。
【0010】
(2)前記X線検査装置は、前記ピンチローラと、前記センターシーラの間に位置する前記両側端縁部に前記X線を照射するものとするとよい。このようにすると、X線が照射される両側端縁部の部分は、その上流側はピンチローラで挟まれており、ピンチローラとセンターシーラの間の比較的狭い範囲であるため、帯状フィルムの両側端縁部は重なり・接触した状態を保持したまま進む。よって、X線による検査後に両側端縁部内に新たに異物が侵入してくるおそれ、並びに、検査時に両側端縁部に存在した異物がセンターシーラに至る前に離脱するおそれが可及的に抑制され、センターシール部のシール不良の有無をより精度の良く判定できる。
【0011】
(3)前記X線検査装置は、前記ピンチローラの上流側に位置する前記両側端縁部に前記X線を照射するものとするとよい。ピンチローラは、両側端縁部をしっかり挟み込んで前方に付勢力を与えるため、両側端縁部に接触する側周面に凹凸が形成されることが多く、係る凹凸の部分が両側端縁部に接触することで、両側端縁部の表面に凹凸が形成されることがある。係るピンチローラが接触される両側端縁部は、加熱されておらず加圧のみであるので、当該表面に形成される凹凸も軽く形成されるが、例えば、X線の感度を高くするなどした場合に、当該凹凸が検出され、異物混入の判定に影響を与えるおそれが出てくる。そこで、ピンチローラの上流側でX線を照射して検査することで、係る問題が無くなり、より高精度に検査できるので良い。
【0012】
(4)前記記ピンチローラの上流側に、前記両側端縁部を挟みこむ一対の補助ローラを備え、前記補助ローラは、前記両側端縁部に接触する部位が平坦面であり、前記X線検査装置は、前記補助ローラと、前記ピンチローラとの間に位置する前記両側端縁部に前記X線を照射するものとするとよい。このようにすると、ピンチローラの上流側の両側端縁部の検査領域の前後が、補助ローラとピンチローラでともに挟み込まれて、ピンと張った状態になるので、より精度良く検査できるので良い。
【0013】
(5)前記X線検査装置は、前記被包装物には照射されないようにする手段を備えるようにするとよい。このようにすると、照射したX線を効率よく検査に用いることができ、また、被包装物に対するX線が照射されることによる影響がないので良い。
【0014】
(6)本発明に係るピロー包装機で形成されるセンターシール部の検査方法は、連続して供給される帯状フィルムを製袋器で筒状に製袋して、重ね合わされた前記帯状フィルムの両側端縁部に対し、センターシール装置がシールしてセンターシール部を形成する機能を備えたピロー包装機における検査方法であって、X線検査装置が、前記センターシール装置のセンターシーラによる加熱する前の領域にX線を照射し、異物混入の検査を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、センターシーラで加熱される前の帯状フィルムの両側端縁部にX線を照射して検査を行うため、検査領域の表面には加熱によるシール皺等が無く、精度良く異物の混入の有無等の検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るピロー包装機の好適な一実施形態を示す正面図である。
【
図2】本発明要部となるX線検査装置とセンターシール装置の部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0018】
図1は、本発明に係るピロー包装機の好適な実施形態を示している。ピロー包装機は、包装機本体1と、その包装機本体1に対して帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置2と、包装機本体1の上流側に配置され、その包装機本体1に対して被包装物3を所定間隔毎に供給する被包装物搬送供給装置4とを備えている。被包装物3は、例えば、ビスケットその他の焼き菓子や、フリーズドライ、ラーメン等の乾麺などの脆くて搬送途中で欠片が落ちやすい物品(食品)であるが、本発明のピロー包装機における被包装物2は、これに限るものではない。
【0019】
フィルム供給装置2は、帯状フィルム5をロール状に巻き取った原反ロール6に対し、図示省略する駆動モータ(サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール6の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体1に供給する。また、原反ロール6から包装機本体1に至る所定位置に各種のローラ7(図では、代表して1個のみ記載している)を配置し、原反ロール6から送り出された帯状フィルム5は、そのローラ7に掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体1に導かれる。本発明では、必ずしも原反ロール6に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルムの搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしても良い。
【0020】
帯状フィルム5は、例えばアルミ蒸着フィルム等の非透明のフィルム材や、センターシール部となる両側端縁部5aの部分にも比較的濃い色が印刷されているフィルム材を用いる。
【0021】
被包装物搬送供給装置4は、前後に配置されたスプロケット9と、その複数のスプロケット9に掛け渡されたエンドレスチェーン10と、そのエンドレスチェーン10に所定ピッチ毎に取り付けられた複数の押送フィンガー11を備えて構成される。これにより、被包装物3の後面に押送フィンガー11が突き当たると、押送フィンガー11の移動に伴い、被包装物3も搬送路上を前進移動する。
【0022】
包装機本体1は、供給される帯状フィルム5を筒状フィルム14に製袋する製袋器15と、その製袋器15の下流側に配置され、筒状フィルム14のフィルム重合端を進行方向に沿って熱シールするセンターシール装置17と、そのセンターシール装置17の下流側に配置され、被包装物3を内包する筒状フィルム14を搬送するベルトコンベア16と、ベルトコンベア16の上方所定位置に配置された上側抑えベルト18と、ベルトコンベア16の下流側に配置されたトップシール装置20と、トップシール装置20の下流側に配置された搬送コンベア装置19と、を備えている。
【0023】
製袋器15は、フィルム供給装置2から連続して供給される帯状フィルム5を通過させることで、帯状フィルム5の両側端縁部5a同士を接触・重合させ、筒状となった筒状フィルム14に製袋する。また、被包装物搬送供給装置4から包装機本体1に対して順次供給される被包装物3は、製袋器15内に送り込まれる。これにより、製袋器15に供給された被包装物3は、筒状フィルム14内に所定間隔ごとに配置されることになる。
【0024】
センターシール装置17は、重合された帯状フィルム5の両側端縁部5aをシールする。このセンターシール装置17は、帯状フィルム5の両側端縁部5aを両側から挟み込みながら加熱することで熱シールする。より具体的には、
図2に拡大して示すように、センターシール装置17は、係る両側端縁部5aを重ね合わせた部位を挟み込んで搬送力を与える一対のピンチローラ17aと、その重ね合わせた部位を両側から挟み込んで加熱シールする角棒状の一対のバーシーラ17bと、そのバーシーラ17bの下流側に配置され、加熱して溶融したフィルムの側縁の重ね合わされた部位を加圧すると共に冷却して熱シールを完了する一対のプレスローラ17cと、を備える。これらバーシーラ17bとプレスローラ17cでセンターシーラを構成する。また本実施形態では角棒状のバーシーラ17bとプレスローラ17cからなるセンターシーラを用いたが、両側端縁部5aを挟んで左右に配置したローラ型のセンターシーラを用いたものとしてもよい。ローラ型は、加熱と加圧を行う。
【0025】
また、プレスローラ17cは、ピンチローラとしての機能も備える。つまり、プレスローラ17cは、所定の圧力でセンターシール部42を挟み込んだ状態で同期して回転しているため、そのセンターシール部42ひいては筒状フィルム14に対して搬送力を与えることになる。つまり、本実施形態では、バーシーラ17bの前後にピンチローラを配置する構成を採っていると言える。
【0026】
上側抑えベルト18は、トップシール装置20の上流側の直近に配置されており、筒状フィルム14内の被包装物3が上方に持ち上がるのを抑制し、水平状態を保持しながら搬送できるようにしている。
【0027】
トップシール装置20は、筒状フィルム14に対し、進行方向に対して直交する方向、つまり、フィルムを横断する方向にシールすると共にカットするものである。本実施形態のトップシール装置20は、いわゆるボックスモーションタイプのもので、上下に配置された一対のトップシーラ21,22が、互いのシール面21a,22aを対向させた状態を維持しながら所定の軌跡で公転移動させるための駆動機構を備える。この駆動機構により動作する両トップシーラ21,22は、所定距離だけ離れた基準位置から互いに接近移動して筒状フィルム14を上下から挟み込むことで、そのシール面21a,22aに接触したフィルム部位を所定の圧力で加圧すると共に加熱する。そして、両トップシーラ21,22は、上記のように互いに接近して筒状フィルム14を挟持した状態を維持したまま互いに筒状フィルム14の移動方向に沿って前進移動する。このときの移動速度は、筒状フィルム14の移動速度と等しくしている。両トップシーラ21,22は、所定距離だけ移動すると互いに離反移動すると共に、筒状フィルム14の移動方向と逆方向に移動して基準位置に至る。
【0028】
このように、本実施形態のトップシール装置20は、両トップシーラ21,22を昇降移動する機能と、筒状フィルム14の進行方向にそって前後進移動する機能を備える。係る機能を実施するための駆動機構は、例えば一つの駆動源の動力をカム,リンク等の動力伝達機構を介して両トップシーラ21,22に伝達するようにしたものでも良いし、昇降移動するための駆動源と前後進移動するための駆動源を別に備えたものとしても良い。
【0029】
このトップシーラ21,22にてシール・カットするフィルム部位は、前後の被包装物3の間の所定位置である。これにより、トップシール装置20を通過することで、筒状フィルム14の先頭部分は、後続から分離され、包装体23が製造される。
【0030】
ここで本実施形態では、センターシール装置17のバーシーラ17bよりも上流側の所定位置に、X線検査装置30を配置する。本実施形態のX線検査装置30は、検査対象領域であるセンターシールする前の重なり合った帯状フィルム5の両側端縁部5aに軟X線を照射し、検査対象領域を透過した軟X線の強弱を探知して、被包装物3の欠片等の異物の混入を検出するものである。
【0031】
すなわち、製袋器15にて筒状に製袋された帯状フィルム5の両側端縁部5aは、製袋器15の底面より外側・下方に突出し、吊り下がった状態で互いに接触し重なり合う。その状態のまま、両側端縁部5aが左右から一対のピンチローラ17aで挟まれた状態で前方への搬送力を受け、そのまま前進移動してバーシーラ17bで加熱され、溶融・軟化する。両側端縁部5aは、センターシーラ17bで加熱された状態で、下流のプレスローラ17cで加圧・冷却されることでシールされてセンターシール部24が形成される。センターシール部24は、その後倒されて、筒状フィルム14の底面に沿うように変位し、その状態のまま搬送される。
【0032】
本実施形態の被包装物3は、脆くてその一部が欠片として落ちることがあり、係る欠片は、落下位置によっては重なり合った両側端縁部5a間に挟まった状態になる。この挟まった状態のまま、ピンチローラ17a・バーシーラ17bを経てプレスローラ17cを通過すると、当該挟まった欠片は、そのままシールされてセンターシール部24内に存在し、シール不良となる。特に、ピンチローラ17a以降は、当該ピンチローラ17aとプレスローラ17cがそれぞれ左右の両側端縁部5aを挟み込んでいて、当該両側端縁部5aは比較的ピンと張った状態で両者間を通過していくので、両側端縁部5aに挟まった欠片は、その後に両側端縁部5aの下方すなわち外部に落下・離脱することなくそのままの状態でバーシーラ17bを通過し、プレスローラ17cに至る。よって、上述したように、両側端縁部5a内に挟まった欠片は、そのままセンターシール部24内に存在する。なお、両側端縁部5a間には、上記の被包装物3の欠片以外にも、各種の異物が入り込むことがある。
【0033】
上述したように、X線検査装置30は、バーシーラ17bで加熱される前の両側端縁部5aを検査対象領域とする。このX線検査装置30は、製袋器15の下面・被包装物3の搬送面よりも下側で、搬送方向に対して直交方向の左右両側に配置したX線照射装置31と、ラインセンサ32と、ラインセンサ32の出力信号に基づき欠片その他の異物混入等の不良品の有無を判定する判定処理部(図示省略)を備える。X線照射装置31と、ラインセンサ32は、両側端縁部5aを挟んで対向配置する。X線照射装置31は、両側端縁部5aに向けて略水平方向に軟X線を放射する。放射された軟X線は、両側端縁部5aを透過し、その透過した軟X線の透過レベルをラインセンサ32で測定する。信号処理部は、ラインセンサ32で測定した信号を解析し、両側端縁部5a内への被包装物の欠片その他の異物の混入等の不良を検出する。信号処理部は、当該不良を検出すると、検出信号を出力し、係る検出信号はトップシール装置20の下流側に配置される不良品排出装置(図示せず)に伝えられる。不良品排出装置は、当該不良の部分を含む包装体23を、正規の包装体23を搬送する正常ラインから排出する。
【0034】
本実施形態では、センターシーラを構成するバーシーラ17bで加熱される前の両側端縁部5aに軟X線を照射するため、その照射される部位ではバーシーラ17bの加熱により形成されるシール皺などが形成されておらず、仮に、両側端縁部5a内に異物が混入した場合には、精度良く当該異物を検出することができる。そして、上述したように、ピンチローラ17aからバーシーラ17bまでの未加熱の両側端縁部5a間に挟まれた異物は、そのまま加熱・加圧されてシールされ、異物が混入したセンターシール部42となる。一方、検査対象領域の両側端縁部5aにおいて欠片その他の異物が検出されなかった場合、その検査後のバーシーラ17bに至るまでの間に、両側端縁部5a間に異物が混入するおそれは無いため、シール不良の無いセンターシール部42となる。よって、本実施形態のX線検査装置30の検査結果により、センターシール部42のシール不良の有無を精度良く判定することができる。
【0035】
さらに本実施形態では、X線検査装置30は、X線照射装置31から出射される軟X線が、被包装物3には照射されないようにする手段を備えている。
図2(c)中、二点鎖線で示すように、X線照射装置31から出射された軟X線は、一定の広がりをもって進む。そこで、例えば、出射された軟X線の照射範囲内に被包装物が存在すると、正常に存在するものであり、仮に透過後の軟X線をラインセンサで検出しても欠片その他の異物の検査に用いられない。よって、X線照射装置31から出射された軟X線を効率よく検査に利用できないので好ましくない。また、X線照射装置31から出射された軟X線は、少なくなくともピロー包装機の外に漏れるのを抑制するために、適宜位置に遮蔽板等を配置してシールドする必要があるする必要があり、上述したように軟X線が被包装物を透過する無駄な広がりを持つと、広いエリアに遮蔽板等を配置する必要があり、装置が大型化するので好ましくない。さらに、被包装物に軟X線を照射すること自体が好ましくない場合があり、特に被包装物が医薬品の場合には品質の劣化が懸念されることがある。これに対し本実施形態では、被包装物に軟Xが照射されないようにしたため、上記の3つの問題がいずれも生じないので良い。
【0036】
X線照射装置31から出射される軟X線が、被包装物3には照射されないようにする手段は、例えば、軟X線の照射方向を斜め下にし、照射範囲の上限が水平になり被包装物3の搬送面より下側に位置するようにしたり、例えば、被包装物3よりもX線照射装置31側の所定位置に、斜め上方に向かう軟X線の進路を遮断する遮蔽部材を配置したりして、軟X線の照射範囲を
図3(c)に示すようにするとよい。
【0037】
上述した実施形態では、ピンチローラ17aと、バーシーラ17bの間に存在する両側端縁部5aを検査対象としたが、本発明はこれに限ることは無く、例えば、ピンチローラ17aの上流側で検査を行うようにしても良い。ピンチローラ17aは、両側端縁部5aを挟み込んで前方へ付勢するため、ピンチローラ17aの側周面、すなわち、帯状フィルム5の両側端縁部5aに接触する面に凹凸を形成しているものがある。そのような凹凸を有するピンチローラ17aは、当該凹凸によりしっかりと両側端縁部5aを挟み込み、よりしっかりと帯状フィルム5を搬送する。このとき、ピンチローラ17aに挟み込まれた両側端縁部5aは、ピンチローラ17aの側周面の凹凸の跡が付くことがある。この凹凸の後は、単に加圧しているだけでシーラによる加熱がないので、シール皺などに比べるとX線検査装置30で検出されにくいが、例えば感度を上げたりすると、当該凹凸も検出され、欠片その他の異物との区別が付きにくくなるおそれがある。そこで、本形態のように、ピンチローラ17aの上流側を検査領域にすると、係る問題が無く、より精度良く異物混入の有無を検知できるので良い。
【0038】
この場合に、例えば
図3に示すように、ピンチローラ17aのさらに上流側に、両側端縁部5aを挟み込む一対の補助ローラ35を配置すると良い。この補助ローラ35は、例えば、側周面は平坦面で、フリーローラとすると良い。このようにすると、側周面が平坦面のために挟まれた両側端縁部5aに凹凸などが形成されず、補助ローラ35が両側端縁部5aを挟み込むことで、ピンチローラ17aの上流側の検査領域で両側端縁部5aが離れることが無く接触した状態となるのでよい。
【0039】
また、上述した実施形態並びに変形例では、両側端縁部5aが下に来るピロー包装機に適用した例を説明したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば
図4に示すように両側端縁部5aが上に来る逆ピロー包装機に適用しても良い。但し、両側端縁部5aが下に来る通常のピロー包装機の方が、欠片その他の異物が両側端縁部5a間に入りやすいので、本発明が有効に機能するので良い。そして、被包装物には物品を包装した一次包装品も含まれる。この場合は、被包装物の欠片ではなく包装しているフィルムに付着して紛れ込んだ異物や製袋器を通じてフィルム内に入り込んだ異物などがセンターシール部に混入していないかを検出する。
【0040】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0041】
1 包装機本体
2 フィルム供給装置
3 被包装物
4 被包装物搬送供給装置
5 帯状フィルム
5a 側端縁部
14 筒状フィルム
15 製袋器
17 センターシール装置
17a ピンチローラ
17b バーシーラ
17c プレスローラ
20 トップシール装置
23 包装体
24 センターシール部
30 X線検査装置
31 X線照射装置
32 ラインセンサ
42 センターシール部