特許第6709923号(P6709923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ドンサプライの特許一覧

<>
  • 特許6709923-ブローオフバルブ用のアダプター 図000002
  • 特許6709923-ブローオフバルブ用のアダプター 図000003
  • 特許6709923-ブローオフバルブ用のアダプター 図000004
  • 特許6709923-ブローオフバルブ用のアダプター 図000005
  • 特許6709923-ブローオフバルブ用のアダプター 図000006
  • 特許6709923-ブローオフバルブ用のアダプター 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6709923
(24)【登録日】2020年5月28日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】ブローオフバルブ用のアダプター
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/12 20060101AFI20200608BHJP
   F02B 37/16 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   F02B37/12 303F
   F02B37/16 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-201242(P2019-201242)
(22)【出願日】2019年11月6日
【審査請求日】2019年11月7日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年7月 自社販売サイト:http://happoya.jp/?pid=144027484, ヤフオク:https://auctions.yahoo.co.jp/seller/happoyajp?sid=happoyajp&b=−19&n=20, 使用方法の説明サイト:https://youtu.be/E07IMGybiRs, 自社販売サイト:http://happoya.jp/?pid=146517743, ヤフオク:https://auctions.yahoo.co.jp/seller/happoyajp&sid=happoyajp&b=−19&n=20, 使用方法の説明サイト:https://youtu.be/Ao9_liIpmT4 の各ウェブサイトで発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519395972
【氏名又は名称】株式会社ドンサプライ
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(72)【発明者】
【氏名】ウォン チサム
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−089079(JP,A)
【文献】 特開2015−145664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/12
F02B 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブローオフバルブの出口に対し、内燃機関の吸入通路のうちターボチャージャーのコンプレッサーより上流側の通路から枝分かれした出口用配管の代わりに接続される入口部と、
前記入口部を通じて、前記ブローオフバルブを通過した空気が流入するハウジングと、
前記ハウジングに流入した空気を大気開放させる出口部とを備えている、ブローオフバルブ用のアダプター。
【請求項2】
ブローオフバルブの出口に対し、内燃機関の吸入通路のうちターボチャージャーのコンプレッサーより上流側の通路から枝分かれした出口用配管の代わりに接続される入口部と、
前記入口部を通じて、前記ブローオフバルブを通過した空気が流入するハウジングとを備え、
前記ターボチャージャーにおいてバックタービン現象を生じさせるために、前記ハウジングの内部空間がその外部と繋がる箇所が前記入口部のみである、ブローオフバルブ用のアダプター。
【請求項3】
前記ハウジングには、前記出口用配管を閉塞するための配管閉塞部が一体化されている、請求項1又は2に記載のブローオフバルブ用のアダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用のブローオフバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボチャージャーを使用する内燃機関では、吸入通路にブローオフバルブが設けられている。ブローオフバルブは、吸気通路のスロットルバルブの開度が縮小した際に開弁するバルブであり、ターボチャージャーのコンプレッサーとスロットルバルブとの間の空気をコンプレッサーの上流側に逃がすことで、コンプレッサーへの空気の逆流を抑制する。
【0003】
特許文献1には、空気の差圧を利用したブローオフバルブが記載されている。このブローオフバルブは、ブローオフバルブボンネットに多数の空気流入拡張溝と空気流入誘導溝を形成することにより、ダイヤフラムの反応速度をより速く提供できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2019−520532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車を改造する者の中には、純正のブローオフバルブを取り外し、流入した空気を大気開放させるタイプのブローオフバルブに交換する者がいる。この場合、ブローオフバルブが開状態の期間にブローオフバルブから空気が大気開放されるのに伴って、音が発生する。また、音を発生させる別の改造方法として、ターボチャージャーにおいてバックタービン現象が生じるように、ブローオフバルブを取り外すと共に、ブローオフバルブ30の入口に繋がっていた入口用配管と、出口に繋がっていた出口用配管とをそれぞれ塞ぐ改造を行う者がいる。しかし、従来は、何れの場合も、ブローオフバルブの取り外しが必要であった。また、後者の改造の場合、ブローオフバルブ30に繋がっていた配管の固定も必要であった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ブローオフバルブを取り外すことなく、従来と同様の作用又は現象が生じる改造を容易に行うことができるブローオフバルブ用のアダプターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、内燃機関の吸入通路のうちターボチャージャーのコンプレッサーより上流側の通路から枝分かれした出口用配管の代わりに、ブローオフバルブの出口に対し接続される入口部と、入口部を通じてブローオフバルブを通過した空気が流入するハウジングとを備えている。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、ハウジングに流入した空気を大気開放させる出口部をさらに備えている。
【0009】
第3の発明は、第1の発明において、ターボチャージャーにおいてバックタービン現象を生じさせるために、前記ハウジングの内部空間がその外部と繋がる箇所が前記入口部のみである。
【0010】
第4の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明において、ハウジングには、出口用配管を閉塞するための配管閉塞部が一体化されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ブローオフバルブに関する改造として、ブローオフバルブの出口に対し、内燃機関の吸入通路のうちターボチャージャーのコンプレッサーより上流側の通路から枝分かれした出口用配管の代わりにアダプターの入口部が接続される。これにより、ブローオフバルブの開弁時に、ブローオフバルブを通過した空気が、入口部を通じてハウジングに流入する。そのため、例えば、ハウジングに出口部を設けた場合、ハウジングに流入した空気を大気開放させることができるし、ハウジングに出口部を設けない場合、上述のコンプレッサーに空気を逆流させてバックタービン現象を生じさせることができる。本発明によれば、ブローオフバルブを取り外すことなく、従来と同様の作用又は現象が生じる改造を容易に行うことができる。また、本発明によれば、改造前の状態に、アダプターを取り外すという簡単な作業で容易に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係るブローオフバルブ用のアダプターの表側の斜視図ある。
図2図2は、実施形態に係るブローオフバルブ用のアダプターの裏側の斜視図ある。
図3図3は、実施形態に係るブローオフバルブ用のアダプターの裏面図である。
図4図4は、実施形態に係るブローオフバルブ用のアダプターの側面図である。
図5図5は、実施形態に係るブローオフバルブ用のアダプターの取付方法を説明するための図である。
図6図6は、その他の実施形態に係るブローオフバルブ用のアダプターの裏側の斜視図ある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0014】
本実施形態は、図1図4に示すブローオフバルブ用のアダプター(以下、「アダプター」と言う。)10である。以下では、アダプター10について説明を行う前に、ブローオフバルブ30について説明を行う。
【0015】
ブローオフバルブ30は、ターボチャージャー付きの内燃機関における吸入通路のバイパス通路40に接続されるバルブである。バイパス通路40は、入口用配管42及び出口用配管44により構成されている。入口用配管42は、内燃機関の吸気通路のうちターボチャージャーのコンプレッサーより下流側の下流側吸入通路(図示省略)において、スロットルバルブより上流の位置から枝分かれした配管である。出口用配管44は、吸気通路のうちターボチャージャーのコンプレッサーより上流側の上流側吸入通路38から枝分かれした配管である。
【0016】
ブローオフバルブ30は、図5(a)及び図5(b)に示すように、バルブ入口32とバルブ出口34とが設けられたバルブケース36と、バルブケース36内に収容されたバルブ機構(図示省略)とを備えている。アダプター10を取り付ける改造を行う前の状態(図5(a)の状態)では、バルブ入口32に入口用配管42が接続され、バルブ出口34に出口用配管44が接続されている。ブローオフバルブ30では、バルブ機構が開状態の期間はバルブ入口32とバルブ出口34とが繋がり、バルブ機構が閉状態の期間はバルブ入口32とバルブ出口34との繋がりが遮断される。なお、図5(b)において図示は省略するが、バルブ出口34の溝部34aにはOリングが取り付けられる。
【0017】
ブローオフバルブ30では、内燃機関の運転時にスロットルバルブの開度が縮小した時に、下流側吸入通路で行き場を失った空気がターボチャージャーのコンプレッサーに逆流しないように、下流側吸入通路の圧力が所定値を超えると、バルブ機構が開状態に切り替わる。これにより、改造を行う前の状態では、下流側吸入通路の空気が、バイパス通路40及びブローオフバルブ30を通じて、上流側吸入通路38に逃がされる。
【0018】
[1.アダプターの構成]
アダプター10は、ブローオフバルブ30の改造に使用される金属製パーツである。アダプター10は、図1及び図2に示すように、出口用配管44の代わりにブローオフバルブ30のバルブ出口34に対し直接的に接続される入口部12と、ブローオフバルブ30を通過した空気が入口部12を通じて流入するハウジング14と、ハウジング14に流入した空気を大気開放させる出口部13とを備えている。
【0019】
ハウジング14は、平面視において縦長形状であり、やや厚みがある板状に形成されている。平面視においてハウジング14は、大径部分の本体部15と、本体部15より小径の取付部16と、本体部15と取付部16の間の中間部17とを備えている。
【0020】
本体部15には、図2に示すように、片面から内側に窪む円形の凹部15aが形成されている。本体部15では、凹部15aの開口部分が、上述の入口部12となっている。凹部15aは、本体部15の厚さ方向に延びている。凹部15aは、ブローオフバルブ30のバルブ出口34を嵌め込み可能な大きさに形成されている。本明細書では、本体部15のうち凹部15a側を「裏側」と言い、その反対側を「表側」と言う。
【0021】
本体部15には、図3に示すように、凹部15aの壁面から外側に延び、本体部15の外周面15bに開口する貫通孔が、出口部13として形成されている。本体部15には、複数の出口部13(本実施形態では、5つの出口部13)が周方向に等間隔に形成されている。各出口部13は、本体部15の径方向に延びており、空気の通過に伴って音を発する。また、各出口部13の断面形状は、長円状であるが、円形又は矩形など他の形状であってもよい。
【0022】
本体部15の表側には、出口用配管44の端部を閉塞するための配管閉塞部20が、ハウジング14に一体形成されている。配管閉塞部20は、図4に示すように、略円柱状に形成され、本体部15の表面から突出している。平面視において、配管閉塞部20は、凹部15aと重なる位置(具体的には、同心となる位置)に配置されている。配管閉塞部20の中間部分には、Oリングを取り付けるための溝部20aが形成されている。また、配管閉塞部20の頂部20bは、出口用配管44の端部を塞ぐために円板状となっている。
【0023】
取付部16には、アダプター10をブローオフバルブ30に取り付ける際に使用する取付ネジ35用の貫通孔16aが形成されている。貫通孔16aは、円形に形成され、ハウジング14の厚さ方向に延びている。貫通孔16aの径は、取付ネジ35の頭部の直径より小さく、取付ネジ35の軸部の直径より大きくなっている。
【0024】
中間部17は、本体部15と取付部16の間の部分である。中間部17の幅は、本体部15から取付部16に向かって徐々の小さくなっている。
【0025】
[2.アダプターの取付方法]
図5を参照しながら、アダプター10の取付方法(ブローオフバルブ30の改造方法)について説明する。
【0026】
アダプター10を取り付ける前は、図5(a)に示すように、ブローオフバルブ30のバルブ入口32に入口用配管42が接続され、バルブ出口34に出口用配管44が接続されている。金属製の出口用配管44には、ブローオフバルブ30のバルブケース36に設けられたフランジ部45の貫通孔45a、及び、出口用配管44の外周面から突出する突出部46のネジ穴46aに通した取付ネジ33により、ブローオフバルブ30が固定されている。なお、図5(a)には、ブローオフバルブ30が開弁した際の空気の流通方向を記載している。また、入口用配管42には、可撓性を有する材料が用いられている。
【0027】
アダプター10を取り付ける際は、まず取付ネジ33を取り外し、図5(b)に示すように、出口用配管44からバルブ出口34を取り外す。次に、図5(c)に示すように、アダプター10の凹部15aにバルブ出口34を嵌め込むことにより、ブローオフバルブ30にアダプター10を装着する。貫通孔16aの位置は、ブローオフバルブ30の貫通孔45aに一致させる。
【0028】
さらに、図5(d)に示すように、アダプター10の配管閉塞部20を出口用配管44の端部を嵌め込み、出口用配管44の端部を塞ぐ。その際、アダプター10の貫通孔16aの位置は、突出部46のネジ穴46aに一致させる。そして、貫通孔45a、貫通孔16a及びネジ穴46aに取付ネジ35を挿通させてネジ穴46aに螺合することにより、アダプター10を出口用配管44及びブローオフバルブ30に固定する。以上の作業により、アダプター10の装着作業は完了する。なお、図5(c)〜図5(d)の工程において、アダプター10の配管閉塞部20を出口用配管44の端部を嵌め込んだ後に、アダプター10の凹部15aにバルブ出口34を嵌め込んでもよい。
【0029】
内燃機関の運転中にスロットルバルブが縮小して、下流側吸入通路の圧力が所定値を超えると、ブローオフバルブ30が閉状態から開状態に切り替わる。これにより、下流側吸入通路の空気は、ブローオフバルブ30を通過して、アダプター10の本体部15の入口部12から凹部15aに流入する。凹部15aに流入した空気は、凹部15aの底面に衝突して外側に流れ、各出口部13を通過してアダプター10の外側に排出される。各出口部13では、空気が通過する際に音が生じる。
【0030】
[3.実施形態の効果等]
本実施形態によれば、ブローオフバルブ30を交換することなく、ブローオフバルブ30の開弁に伴って音を発するブローオフバルブ用のアダプター10を提供することができる。また、本実施形態によれば、改造前の状態に、アダプター10を取り外すという簡単な作業で容易に戻すことができる。
【0031】
また、本実施形態によれば、ブローオフバルブ30のバルブ出口34から取り外した出口用配管44を閉塞するための配管閉塞部20がハウジング14に設けられているため、改造を行った者は、出口用配管44の端部を閉塞させるために別途にパーツを必要としない。また、ブローオフバルブ30を取り外さないため、入口用配管42の固定も必要としない。
【0032】
[4.その他の実施形態]
上記実施形態において、アダプター10は、図6に示すように、ハウジング14に出口部13を設けないタイプとしてもよい。この場合、ハウジング14の内部空間がその外部と繋がる箇所が入口部12のみである。そのため、内燃機関の運転中にスロットルバルブが縮小して、ブローオフバルブ30が開状態に切り替わっても、空気がアダプター10を通過できず、下流側吸入通路の空気がコンプレッサーに逆流し、バックタービン現象を生じる。本アダプター10によれば、ブローオフバルブ30を取り外すことなく、バックタービン現象が生じるブローオフバルブ用のアダプター10を提供することができる。また、アダプター10により、出口用配管44の閉塞も行うことができる。
【0033】
上記実施形態では、ハウジング14に入口部12が形成されているが、ハウジング14に接続する部材に入口部12を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、内燃機関用のブローオフバルブ等に適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 ブローオフバルブ用のアダプター
12 入口部
13 出口部
14 ハウジング
20 配管閉塞部
30 ブローオフバルブ
【要約】
【課題】ブローオフバルブを取り外すことなく、従来と同様の作用又は現象が生じる改造を容易に行うことができるブローオフバルブ用のアダプターを提供する。
【解決手段】ブローオフバルブ用のアダプター10は、ブローオフバルブ30の出口34に対し、内燃機関の吸入通路のうちターボチャージャーのコンプレッサーより上流側の通路から枝分かれした出口用配管44の代わりに接続される入口部12と、入口部12を通じてブローオフバルブ30を通過した空気が流入するハウジング14とを備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6